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JP4573883B2 - クラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置及びその制御システム - Google Patents

クラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置及びその制御システム Download PDF

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Description

この発明は紙、フィルム、糸、ワイヤなどの長尺材の巻出し又は巻取り、中間の、材料の張力を制御するためのパウダクラッチ・ブレーキやヒステリシスクラッチ・ブレーキ等の制御に用いるクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置とその制御システムに関するものである。
特許文献1に示される従来のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置においては、外部からのアナログ信号、デジタルパラレル信号と設定変更信号の組合わせによる設定、及びシリアル信号による電流設定のみが行えることが開示されている。またこれらの指令に対して過去に設定された指令値を記憶する手段はなく、現在に設定された指令のみが有効となることが開示されている。また外部表示設定器については開示されていない。
特開2005−30531号公報
この発明の対象となる紙、フィルム、糸、ワイヤなどの長尺材の巻出し又は巻取り、中間の張力制御を行う機械では、制御軸が1軸では無く複数軸の場合も多い。従来のクラッチ・ブレーキ制御用パワーアンプ装置においては、複数台の設定を行うときは、1台1台ごとに設定を行わなければならないため、複数台のパワーアンプ装置の設定を行う時に煩わしく、時間も要していた。また、それぞれ各パワーアンプ装置を集中管理、設定、モニタすることが出来なかった。
また、従来装置では、本体の表示設定機能や極めて限られた表示設定パネルを外部に接続できる接続機能を有するだけであった。このために外部の設定表示パネルはユーザが自由に操作画面の操作表示デザインを変更することが出来ず、表示画面の構成も自由に出来なかった。
更に、従来装置では機械にかけられる材料の変更による電流設定変更が生じた場合、そのつど電流設定自体を外部から変更する必要が有った。またこのために外部に別の設定記憶及び切替装置を必要とした。さらにアナログ入力指令による電流設定の場合はアナログ入力フィルタの影響で迅速な設定変更が実現できないと言う問題が有った。
この発明は、上記のような点に鑑み、ユーザが自由にデザインしたプログラマブル表示器を用いて複数台のパワーアンプ装置への同時設定や、モニタが行え、また新たなユーザが画面データを作成せずに本体内蔵の操作パネルのみで複雑な設定も簡単に行えるクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置とその制御システムを提供することを目的とする。
この発明のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置は、プログラマブルコントローラのプログラマブル表示器と通信が可能な通信機能と、上記プログラマブル表示器との通信手順を制御する通信手順制御機能と、上記通信手順制御機能により内部のメモリに記憶されたクラッチまたはブレーキ制御用の各種設定データを、上記プログラマブルコントローラが接続されている様に上記プログラマブル表示器に表示し、或いは上記プログラマブル表示器から設定することが可能なプログラマブルコントローラ通信模擬機能とを有し、上記プログラマブル表示器からの設定表示操作と、本体に備えた設定表示手段からの設定表示操作とを選択的に行えるようにした。
この発明のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置よれば、ユーザが自由にデザインしたプログラマブル表示器を用いて複数台のパワーアンプ装置への同時設定や、モニタが行えると共に、設定に最低限必要な画面データをメーカが提供すれば新たなユーザは画面データを作成せずに本体内蔵の操作パネルのみで複雑な設定も簡単に行うことができる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。
まず、実施の形態1のパワーアンプ装置単体について説明する。
図1は実施の形態1に係るクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置100の外形図で、同図(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)は下面図である。
セグメント表示部11は装置の状態や演算結果の表示、各種設定の設定項目や設定値を表示するため手段である。キースイッチ12は7セグメント表示部11に表示される表示の切替や設定値の変更操作を行うための設定手段である。外部接続用端子13はクラッチ・ブレーキ用制御の定電流出力、各種アナログ指令、各種接点入力指令、電源入力などの配線を接続するための端子である。
プログラマブル表示器接続用コネクタ14はプログラマブルコントローラのプログラマブル表示器用通信ケーブルを接続するためのコネクタである。
このコネクタ14にはプログラマブルコントローラのプログラマブル表示器とのRS−422通信を行うための信号、プログラマブル表示器が接続された事を検出するための信号が入出力される。また小形プログラマブル表示器接続の為の5V電源も接続されているために、5V電源方式の小形プログラマブル表示器が接続されて場合にはこのコネクタを接続するだけでプログラマブル表示器への電源供給が行える。また中大形プログラマブル表示器を接続する場合には、通信ラインのみ表示器へ接続し、プログラマブル表示器への電源供給は別電源から行うことも出来る。このコネクタに接続できるプログラマブル表示器は通信信号がRS−422に準拠していることが必要である。
パラレルデジタル信号入力接続用コネクタ15は外部からデジタルのON/OFF信号により出力電流指令を行う為の入力端子である。またこのコネクタ15からの入力切替え指令は機能切替え設定により、装置の内部メモリにあらかじめ設定した複数の出力電流設定値や同様に内部メモリにあらかじめ設定した慣性補償ゲインを切替える為の入力指令機能にも変更することができる。
RS−485通信用端子16は複数台のパワーアンプ装置100相互のデータ通信用ケーブル接続用端子である。この端子に接続する機器の信号仕様はRS−485で定められたものであることが必要である。またこの端子の通信手順はプログラマブルコントローラの相互通信手順に準拠しており、プログラマブルコントローラとパワーアンプ装置の通信も可能である。またパソコンなどでこの通信手順に合致した通信プログラムを実行すればパソコンなどとの通信も可能である。
RS−485通信用終端抵抗切替スイッチ18はRS−485通信信号の反射を吸収するための終端抵抗をON/OFFするためのスイッチで、通信ラインの両端に位置した装置のみ終端抵抗をONする。
通信信号確認用ランプ17はRS−485通信用端子台7に入力された通信信号のH/Lレベルが入替わるたびに点滅をして通信信号が動作していることを確認するためのランプである。このランプは送信信号確認用と受信信号確認用それぞれの信号が確認できる。
メモリカセット19は取外し可能な外部メモリでパワーアンプ装置の各種設定が外部に記憶できる。内部の設定メモリとこのメモリカセット19間の設定の交互コピーが行えるようになっており、別のパワーアンプ装置への設定コピーや故障した時のためにメモリカセットにも設定をバックアップしメンテナンス性を高める為に用いることが出来る。また内部メモリと外部カセットで各種設定の記憶先の優先を設定出来るために一時的な設定変更や設定の復帰にも使用できる。
次に、実施の形態1に係るクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置100の内部構成について説明する。
図2において、マイクロコンピュータ20はこのパワーアンプ装置100の演算制御やメモリ管理通信処理などを行うプログラムを実行する。
内部不揮発性メモリ22は電源が切れても記憶を保持できるメモリでパワーアンプ装置100の数々の設定データや動作切替え設定などを記憶する。またパワーアンプ装置100の回路が固有に持つハードウェア特性のバラツキを補正するための、ハードウェア固有値も記憶している。このハードウェア固有値は出荷試験などで特性を測定し、その値を記憶したものである。
この内部不揮発性メモリ22に記憶されたデータは電源ON時に内部揮発性メモリ21に読出され、設定変更のタイミングや電源OFF時に再び記憶保持される。また同様にメモリカセット19内のメモリも不揮発性メモリが採用されている。マイクロコンピュータ20はデータをそれぞれのメモリに切替えて書込みまたは呼出しが行える。
アナログ−デジタル変換器23はこのパワーアンプ装置に入力されたアナログ指令をデジタル値に変換し、デジタル−アナログ変換器24はマイクロコンピュータ20で演算した指令値をアナログ出力として変換する。
定電流増幅器25はクラッチ・ブレーキ制御用出力の増幅器でマイクロコンピュータ20からのアナログ指令によりクラッチ・ブレーキの励磁コイルに流れる電流を一定に制御・増幅する。
定電流増幅器25は、電流検出手段と検出した電流と出力指令とを比較制御する手段と、その結果を増幅する増幅器で構成されているが、それぞれの手段はマイクロコンピュータ20内部で処理するか、ハードウェアで処理するかはケースバイケースである。よって定電流増幅器25の内部構成と定電流制御の構成だけでなく、増幅形式や、PWM制御を行うかシリーズ制御を行うかは、この発明において本質的なことではない。また、定電流制御に代えて定電圧制御を行っても良い。
さらに、パワーアンプ装置100内部のデータ処理のブロックを図3により説明する。
RS−422通信機能26はRS−422シリアル通信の信号を定められたタイミングで送信したり、受信したりする機能であり、一般的にはマイクロコンピュータ20に内蔵したハードウェアで実現する場合もある。
RS−422通信手順27は前記RS−422通信機能26を制御し、シリアル送受信の手順制御を行う機能である。パワーアンプ装置100の場合はRS−422通信として、図2のプログラマブル表示器接続用コネクタ14に接続されるプログラマブル表示器とのシリアル送受信手順を制御する事になる。
このRS−422通信手順27はプログラマブルコントローラのプログラム接続用通信と同じ通信手順を使用する。またプログラマブル表示器接続確認手段29によりパワーアンプ装置100はプログラマブル表示器がハードウェア的に接続されたかを確認出来る。
一般的にプログラマブルコントローラのプログラマ接続用通信の通信手順はプログラマブルコントローラのメーカごとに各社異なるが、メジャーメーカのうちどれかの通信手順に合致すればプログラマブル表示器との通信手順は一致させることが可能である。それはプログラマブル表示器側で各社メジャーなプログラマブルコントローラメーカのプログラマ接続用通信仕様に対応できるような通信手順の切替え手段を有しているからである。
プログラマブルコントローラ通信模擬機能28はプログラマブル表示器とパワーアンプ装置100の内部メモリとの相互変換を行う機能である。プログラマブル表示器はプログラマブルコントローラとの通信初期化の時にプログラマブルコントローラの接続確認を行う。例えばプログラマブルコントローラの機種コードの読出しや各種通信要素(ひとつひとつのデータやON/OFF信号)の停電保持範囲等がそれで、この接続確認が正常に終了しないと、プログラマブル表示器はプログラマブルコントローラとの通信を始めない。
またプログラマブル表示器は各種通信要素の指定を要素番号や定められたメモリアドレス、コード番号を通信手順27に載せて指定してくるために、パワーアンプ装置100ではプログラマブルコントローラのアドレスでアドレッシングされたこの通信データをパワーアンプ装置100のメモリのアドレスに変換する必要がある。またパワーアンプ装置100からの送信データは、パワーアンプ装置100のメモリのモニタや設定情報をプログラマブルコントローラの送信するデータと同じ形でプログラマブル表示器に送信しなければならない。
このRS−422通信手順27とプログラマブルコントローラ通信模擬機能28を組合わせて実現することで、パワーアンプ装置100がプログラマブル表示器から見ると、あたかもプログラマブルコントローラで有るかの様に振る舞い、相互の通信が確立できる。
RS−485通信機能30はRS−422シリアル通信の信号を定められたタイミングで送信したり、受信したりする機能であり、RS−422通信機能26と同様にRS−485シリアル通信の信号を定められたタイミングで送信したり、受信したりする機能で信号の仕様はRS−422通信機能26とは1対1通信か多対多通信のみが異なる。一方RS−485通信手順31はRS−422通信のプログラマ接続用通信とは異なり様々な通信手順が存在する。従ってマイクロコンピュータはRS−485通信手順31で実行する通信手順を切替えて使用する。パワーアンプ装置100の場合はプログラマブルコントローラが有している相互通信手順を2種類切替える事が出来る。
揮発性メモリ21は電源がOFFすると記憶内容が消滅するメモリで、一時的な記憶を行う。キー入力により変更されたデータは入力値として適正な範囲のデータで有ることを確認後、この揮発性メモリ21に一旦記憶され、パワーアンプ装置100はこの設定データにより動作演算を行う。また設定データはいくつかの設定変更が行われたタイミングで不揮発性メモリ22へ停電保持される。またプログラマブル表示器からの設定データも一旦揮発性メモリ21へ記憶し、設定の種類や範囲を判断した後、正規の設定データのアドレスへ記憶される。また内部演算した結果や入力演算値などの表示データは揮発性メモリ21へ記憶され、キー操作によって表示される。同様にプログラマブル表示器からの要求が有れば通信データとして一時記憶され、次にプログラマブル表示器へ送信される。
このように通信送受信データを一旦揮発性メモリ21に記憶するのは、通信方式がシリアル通信の場合データ時系列を経て送信又は受信されるためである。またパワーアンプ装置相互間の通信についてもプログラマブル表示器と同様なやりとりで一時記憶メモリへ記憶される。
図4はパワーアンプ装置100の設定モニタ項目一覧である。ここで連番1から16はモニタデータ項目で17から144迄は設定データ項目になる。また連番201から208迄はON/OFFモニタデータ項目で、209から216はON/OFF設定項目になっている。
この表のデバイス番号とはプログラム表示器とのやりとりを行う時のプログラマブルコントローラのデータ要素に対応したデータ番号である。例えばプログラマブル表示器でD0のデータをモニタするとパワーアンプ装置100の出力%モニタが行え、プログラマブル表示器からD16にデータを書込むとパワーアンプ装置100の内部トルク(張力)設定0にデータが設定される。
この表を元にプログラマブル表示器で表示画面の設計デザインを行えば、ユーザが自由に設定表示画面を作成することが出来る。またパワーアンプ装置メーカがあらかじめ設定モニタ用のプログラマブル表示器のデザインデータを用意し、ユーザがそれをプログラマブル表示器へインストールして利用することも可能である。さらにパワーアンプ装置メーカが用意したプログラマブル表示器のデザインデータをユーザがパソコンで追加変更することも可能である。
実施の形態2.
次に、実施の形態2として、この発明に係るパワーアンプ装置100を複数台用いたコイル巻線機制御システムについて説明する。
まず、図5によりコイル巻線機のしくみについて説明する。図5において、コイル巻線機200は原材料ボビン3に巻かれた電線5をコイルボビン8へ巻取モータ7で巻取る装置である。この時の電線5の張り具合は巻上がったコイルの精度や品質を左右することになるために、電線5の張り具合を制御する必要がある。この電線5の張り具合を制御する部分がテンションユニット1である。このテンションユニット1にはプーリが付けられた電磁ブレーキ2が設置されており、この電磁ブレーキ2にパワーアンプ装置100を接続し、このパワーアンプ装置100が電磁ブレーキ2の励磁電流を一定または変化させることにより電線5の張り具合を制御する。
一般的にコイル巻線機200に使用される電磁ブレーキ2はヒステリシス式ブレーキが多く使用される。それはこの様なコイル巻線機では機械の加減速が早く、回転部分の慣性が電線の張り具合に影響を与えるために、回転部分の慣性モーメントが出来るだけ小さいヒステリシス式ブレーキが適しているからである。従ってブレーキの慣性モーメントの影響が少ない加減速の遅い機械や電線5が太い場合は、パウダ式ブレーキが使用される場合もある。
ガイド6は電線5がコイルボビン8へ整列して巻けるように左右へ移動し電線5をトラバースするためのものである。さらに電線5をコイルボビン8のピンに絡げる時にはこのガイド6により絡げ動作も行う。コイルボビン8へ巻線が行われる工程としては、ピン絡げ→加速→巻線及びトラバース→減速→ピン絡げ→電線切断→コイルボビン交換の順序で繰返し動作が行われる。
電線5の張力はそれぞれの工程で異なるために、パワーアンプ装置100の励磁電流をそれぞれの工程ごとに変化させて電磁ブレーキ2のブレーキ力を変化させる。
さらにコイル巻線機200では1台の機械に複数個のコイルを巻けるようになっているものも多く、このような場合はそれぞれのコイルボビン8に対応してテンションユニット1が必要である。またこのテンションユニット1の電磁ブレーキ2を励磁するパワーアンプ装置100も複数台必要である。このようにコイル巻線機200では複数台のパワーアンプ装置100を同時に操作し同時に電磁ブレーキ2に励磁する電流を可変させることが必要である。
次に、図6及び図7により従来のパワーアンプ装置を用いた場合と、この発明のパワーアンプ装置を用いた場合のコイル巻線機制御システムについて比較説明する。
図6の従来例では電磁ブレーキ2にパワーアンプ装置4が各1台接続されており、パワーアンプ装置4への電流指令切替装置9からコイル巻線機の各工程での電磁ブレーキ2のブレーキ力に対応して励磁電流の切替えが行われる。
この電流指令切替装置9は各工程での電磁ブレーキ2の励磁電流を各工程に設定した値で記憶し上位の装置から切替指令が来たら、そのタイミングで巻線機の工程に対応した電流値の指令をパワーアンプ装置4へ指令する。またこの電流指令切替装置9は巻線機で使用するコイルの品種によりそれに従った設定をあらかじめ保管し、品種の切替も行える様になっている場合もある。
この図6の従来例では電流指令切替装置9は小形プログラマブルコントローラと小形プログラマブル表示器で構成したが、巻線機のメーカによっては専用の電流指令切替装置9を用いている場合もある。
これに対して図7のこの発明によるパワーアンプ装置100を用いたコイル巻線機制御システムにおいては、パワーアンプ装置100はあらかじめいくつかの品種に対応した電流設定や慣性補償設定を内蔵し、かつ設定は小形プログラマブル表示器10によりそれぞれのパワーアンプ装置100を個別又は一括で各パワーアンプ装置に対して設定変更が行える為に図6の電流指令切替え装置9は必要無く直接上位の制御装置からの切替え指令を実現できる。さらにパワーアンプ装置100間の相互通信と上位のプログラマブルコントローラとの通信仕様を一致させた場合はI/Oによる接続無しに、相互間通信のみでも切替えが行える。またコイルの品種による設定切替がパワーアンプ装置100の持っている設定数を越えた場合は、小形プログラマブル表示器10の機能として内蔵されているレシピ機能を用いれば、小形プログラマブル表示器10のメモリの制限範囲で拡張も可能である。
図8は図7のようなコイル巻線機制御システムにおいて、互いに接続された複数台のパワーアンプ装置100間の相互通信手順を説明した図である。このパワーアンプ装置間の通信要素は全て数値データで局番により要素番号が割振られている。この場合、各局は4つのデータ要素を受持つ事になる。各局間の通信のやりとりは全て親局がマスタとして制御する事になる。
通信全体の流れの説明により各局のデータ受渡しについて説明する。
(A)マスタ局がパラメータ送信を行い、変更要求するデータの範囲を指定する。パワーアンプ装置100の場合は4要素のデータ変更要求を設定する。これを受けた子局は自分が送信するデータを準備する。(B)次にマスタ局は自分のデータを各子局へ送信する。パワーアンプ装置100の場合はD000〜003迄の4つのデータに当たる。(C)次にマスタ局は子局1に対して送信要求を出す。(D)これを受けた子局1は自局のデータを送信する。
パワーアンプ装置100の場合はD100〜013迄のデータで、親局と他の子局はこのデータを受けて子局1のデータとして保管する。この手順を子局1→子局2→・・・→子局7→子局1と周期的に繰返すことにより、各局の通信データは全ての局に共有する事が出来る。
パワーアンプ装置100では、局番に役割と優先を付けてプログラマブル表示器からのデータや親局からの指定データを子局とやりとりできるようにした。これによりパワーアンプ装置100では親局のデータをD000=局番指定、D001=パラメータ番号、D002=パラメータ内容、D003=接点指令とした。また子局1をプログラマブル表示器接続専用局番にし、D010=局番指定、D011=パラメータ番号、D012=パラメータ内容、D013=接点指令とした。
さらに子局2〜以降はD0*0=出力%モニタ、D0*1=パラメータ番号、D0*2=パラメータ内容、D0*3=接点モニタ(*は子局番号)にした。親局及び子局1の局番指定は書込みや読出しを行いたい局番号を指定し、パラメータ番号は図4の設定一覧表の連番を設定する。またこのパラメータ番号に対応したデータをパラメータ内容とする。
例えば、子局へデータ設定を行いたいときには設定変更したい子局番号、設定項目、設定データを親局又は子局1のデータとして送信する。するとこれを受取った該当の小局は設定データ変更を行う。また全子局へデータを設定したい場合はD000=局番指定又はD010=局番指定に“0”ゼロを設定する。これを受取った全ての子局はパラメータ番号に対応した設定をパラメータ内容に対応したデータに設定変更をする。さた子局からのデータを読出したいときはD001=パラメータ番号あるいはD011=パラメータ番号に1000を加えた数値を設定する。これに対応して子局は現在の設定値をD0*1=パラメータ番号、D0*2=パラメータ内容に書込む。
次に、パワーアンプ装置100の自局番決定方法について説明する。
このパワーアンプ装置の相互通信では親局が局番0、プログラマブル表示器のデータは局番1に占有して割付ける。このうち親局である局番0はパワーアンプ装置間の相互通信を制御するために通信ラインに必ず1台必要である。
そこでこの発明のパワーアンプ装置100では設定パラメータとしての局番設定以外に通信ラインに接続されたパワーアンプ装置のどれかを自動的に親局に振舞うようにする。
図9はパワーアンプ装置100の自局番の決め方を表したフローである。また図10はパワーアンプ装置100の局番割振り例を表した図である。このように自局番号を決定することで相互間通信の親局が決定できる。
さらにパワーアンプ装置100は機械装置へ組付け時に必須となる設定項目を優先的に設定できる“初期設定モード”という操作モードを有している。この設定モードはパワーアンプ装置100が出荷後から初期設定項目が設定完了されるまでに振舞う操作モードで、接続されるクラッチ・ブレーキの形名や定格電流、各種入出力の選択など機械装置の仕様が決定すればどのパワーアンプ装置にも同じ設定を行わなければならない基本の設定項目ばかりの操作を行えるようにしたものである。
また、この“初期設定モード”は切替えて解除されると“初期設定モード”で設定が行える設定項目を含めた、その他の設定項目も設定可能な通常の操作モードになる。“初期設定モード”ともうひとつの“通常操作モード”を切替えるためには、別途切替スイッチを設けても良いが、パワーアンプ装置100の場合は接続するクラッチ・ブレーキの機種設定が行われた後、次の電源切り、入りで切替るようになっている。また再び初期設定モードを行いたい場合には、出荷時の状態に設定メモリを初期化すれば良い。
パワーアンプ装置100は開梱後の状態では前記“初期設定モード”となるが、この時は同機械に設置された他のパワーアンプ装置に対してもすべて同じ初期設定を行いたい。そこで機械設置後パワーアンプ装置相互の通信が確立されていた際、一台のパワーアンプ装置の設定操作により、相互通信が確立されたパワーアンプ装置全てに対して同じ設定が転送される様にする。
1台のパワーアンプ装置の操作とはパワーアンプ装置にプログラマブル表示器が接続された事あるいはパワーアンプ装置内蔵の表示設定手段を操作中あるいは操作後10秒と決め、この条件に合ったパワーアンプ装置を自動的に親局番0に割振る事にする。これが図9のS901又はS903の条件である。プログラマブル表示器が接続されていないときはS902に分岐するが、パネル操作中又は操作後10秒以内で有れば再びS903に分岐する事になる。初期設定モードでは自局番の設定は行えないので初期値として設定されている局番2の設定は変更されていない。
従って親局とするパワーアンプ装置の場合、初期設定モードではS905に分岐する。次に初期設定モードである場合はS907へ分岐し自局番を0にする。一方プログラマブル表示器が接続されていないパワーアンプ装置や操作が行われないパワーアンプ装置では設定された初期値の局番として振舞う。“初期設定モード”が解除された後は、各1台1台の局番指定を変更すれば良い。この時にパワーアンプ装置相互通信回線のどれか1台を親局に設定することで相互通信が確立できる。
この結果、図10の様な局番割振りが行える。
なお、図11は、この発明のパワーアンプ装置100に対する初期設定項目の一例を示すものである。
また、この相互通信の通信方式や通信手順はプログラマブルコントローラ間の通信手段に準じておりパワーアンプ装置相互の通信回線にプログラマブルコントローラを接続する事も可能である。例えば親局としてプログラマブルコントローラを設定すればプログラマブルコントローラから通信回線に接続されたパワーアンプ装置へ設定やモニタが行える。
図6の様なコイル巻線機用パワーアンプ装置接続例で制御を行った場合には、上述したとおり、ピン絡げ→加速→巻線及びトラバース→減速→ピン絡げ→電線切断→コイルボビン交換の順序の工程を繰返すので、ブレーキの励磁電流を変更する必要が頻繁に発生する。従来のパワーアンプ装置では全ての設定は内蔵されたボリュームやスイッチや外部からのパラレル信号やアナログ信号により動作する。
またブレーキやクラッチのトルクはパワーアンプ装置の外部から指令を受けないと変更できないので、必ず電流指令切替装置9が必要になり、ここで励磁電流の指令値を持ちここからの信号でパワーアンプ装置の出力を切替える必要があった。
しかしパワーアンプ装置100では設定をメモリで記憶しており、あらかじめ記憶した設定を切替さえすれば、図6の様に電流指令切替装置9をパワーアンプ装置外に設置する必要はない。パワーアンプ装置100では切替え指令として、パラレルON/OFF指令かプログラマブル表示器からの切替え、相互間通信による切替えが使用できる。また図5の様な巻線機械200では上述した様にまたこの励磁電流の変更は出来るだけ迅速に行えることが望ましい。
これに対しても従来のパワーアンプ装置では励磁電流の設定は全て外部から行われるためにパワーアンプ装置内へ一旦設定を取込む操作が必要であったが、この発明のパワーアンプ装置100では設定をメモリで記憶しており、あらかじめ記憶した設定を切替えさえすればデータを取込む必要は無い。特にアナログ指令を可変させて電流指令切替えを行う場合には、アナログ入力にノイズなど高周波をカットするためにフィルタなどを挿入し、指令の信頼性を高めることもあり、巻線機械の場合出来るだけ急峻にブレーキの励磁電流の変化をさせたいが、急峻な応答性は望めない。
この発明のパワーアンプ装置100の場合は図12の様な制御ブロックの様に内部で各設定の演算を行う。これは機械側の変化する要素やバラツキを補正するためである。ここで図12のブロック図では内部(記憶)トルク設定32はひとつのブロックで書かれているが、内部トルク設定切替え34に書かれているように、設定切替え指令により16個の設定を切替えることができる事に注目して欲しい。これは機械側が前述のようにいくつかの工程を繰返すからである。
一方、機械の加減速時は機械機構が持っているイナーシャの影響で張力の変動が現れる。このイナーシャによる加減速の張力変動を抑制するには図13の様に張力変動と逆位相の指令を張力制御しているクラッチやブレーキへ与えれば良い。この制御出力と逆位相の指令は加減速時の直前の出力に対し一定倍のゲインとして働くようにする。
このためにパワーアンプ装置100では慣性補償ゲイン機能を備えている。パワーアンプ装置100の場合、この機能へ慣性補償ゲイン設定33を入力する時はアナログ指令、内部メモリに記憶した設定から選択できるが、内部メモリによる設定を用いた場合には前述したトルク設定と同様に16個の設定をあらかじめ記憶設定することができる、またこれらの切替えもトルク設定と同様に行える。
この発明の実施の形態1に係るクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置の外形図である。 実施の形態1に係るクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置の内部構成図である。 実施の形態1に係るクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置の内部データ処理のブロック図である。 実施の形態1に係るパワーアンプ装置の設定モニタ項目一覧を示す図である。 コイル巻線機のしくみを説明するための概略図である。 従来のコイル巻線機用パワーアンプ装置の接続例を示す図である。 この発明の実施の形態2に係るコイル巻線機用パワーアンプ装置の接続例を示す図である。 実施の形態2におけるパワーアンプ装置間通信手順を説明した図である。 実施の形態2におけるパワーアンプ装置の自局番の決め方を表したフロー図である。 実施の形態2におけるパワーアンプ装置の自局番の例を示す図である。 実施の形態2におけるパワーアンプ装置の初期設定項目を示す図である。 実施の形態2におけるパワーアンプ装置の制御機能ブロック図である。 機械の加減速時の制御出力の制御方法を示す説明図である。
符号の説明
1 テンションユニット、2 電磁ブレーキ、3 原材料ボビン、4 パワーアンプ装置、5 電線、6 ガイド、7 巻取モータ、8 コイルボビン、9 電流指令切替装置、10 小形プログラマブル表示器、11 7セグメント表示、12 キースイッチ、13 外部接続用端子、14 プログラマブル表示器接続用コネクタ、15 パラレルデジタル信号入力接続用コネクタ、16 RS−485通信用端子、17 パワーアンプ相互間通信信号確認用ランプ、18 RS−485通信用終端抵抗切替スイッチ、19 メモリカセット、20 マイクロコンピュータ、21 内部揮発性メモリ、22 内部不揮発性メモリ、23 アナログ−デジタル変換器、24 デジタル−アナログ変換器、25 定電流増幅器、26 RS−422通信機能、27 RS−422通信手順、28 プログラマブルコントローラ通信模擬機能、29 プログラマブル表示器接続確認手段、30 RS−485通信機能、31 RS−485通信手順、32 内部トルク設定、33 慣性補償ゲイン設定、34 内部トルク設定切替え
100 パワーアンプ装置、200 コイル巻線機

Claims (9)

  1. プログラマブルコントローラのプログラマブル表示器と通信が可能な通信機能と、上記プログラマブル表示器との通信手順を制御する通信手順制御機能と、上記通信手順制御機能により内部のメモリに記憶されたクラッチまたはブレーキ制御用の各種設定データを、上記プログラマブルコントローラが接続されている様に上記プログラマブル表示器に表示し、或いは上記プログラマブル表示器から設定することが可能なプログラマブルコントローラ通信模擬機能とを有し、
    上記プログラマブル表示器からの設定表示操作と、本体に備えた設定表示手段からの設定表示操作とを選択的に行えるようにした
    ことを特徴とするクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置。
  2. 同一機能を有する複数台のパワーアンプ装置との通信が行える交互通信手段を備え、上記同一機能を有する複数台のパワーアンプ装置に対し同時に指令を与える通信と、上記同一機能を有する複数台のパワーアンプ装置に対し個別に指令を与える通信を選択的に行えるようにしたことを特徴とする請求項1記載のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置。
  3. 上記プログラマブル表示器が接続された場合に、上記交互通信手段に対して自局番号以外に上記プログラマブル表示器が接続された局で有ることを示す占有の局番号を割振ることを特徴とする請求項2記載のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置。
  4. 上記交互通信手段として、プログラマブルコントローラの交互通信手段を採用したことを特徴とする請求項2または3記載のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置。
  5. クラッチまたはブレーキ制御用の複数の出力電流設定データを記憶すると共に、外部からの設定切替指令により上記記憶された上記出力電流設定データを切替えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置。
  6. 上記クラッチまたはブレーキの加減速時に出力電流を設定する複数の慣性補償ゲイン設定データを記憶すると共に、外部からの上記クラッチまたはブレーキの加減速のタイミング入力指令により、上記慣性補償ゲインを切替えることを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれか一つに記載のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置。
  7. 外部からの制御指令に応じて複数のクラッチまたはブレーキの動作をそれぞれ制御する同一機能を有する複数台のパワーアンプ装置を含み、
    上記各クラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置は、
    プログラマブルコントローラのプログラマブル表示器と通信が可能な通信機能と、上記プログラマブル表示器との通信手順を制御する通信手順制御機能と、上記通信手順制御機能により内部のメモリに記憶されたクラッチまたはブレーキ制御用の各種設定データを、上記プログラマブルコントローラが接続されている様に上記プログラマブル表示器に表示し、或いは上記プログラマブル表示器から設定することが可能なプログラマブルコントローラ通信模擬機能と、
    同一機能を有する複数台のパワーアンプ装置との通信が行える交互通信手段とを有し、
    上記同一機能を有する複数台のパワーアンプ装置のうち、選択された一つを親局とし、上記交互通信手段を介して、該親局の設定操作により上記同一機能を有する他のパワーアンプ装置に対するデータ設定を一括して行えるようにした
    クラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置の制御システム。
  8. 上記親局は、上記プログラマブル表示器が接続されたか、あるいは上記パワーアンプ装置に内蔵の表示設定手段を操作中あるいは操作後所定時間経過したことを条件に選択されるようにしたことを特徴とする請求項7記載のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプ装置の制御システム。
  9. 使用上必須となる設定項目だけを優先して設定可能な第一の設定操作モードと、全ての設定項目の設定可能な第二の操作設定モードを選択的に行えるようにしたことを特徴とする請求項7または8記載のクラッチ・ブレーキ用パワーアンプの制御システム。
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