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JP4548289B2 - 組電池の容量調整装置 - Google Patents

組電池の容量調整装置 Download PDF

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Description

本発明は、複数のセルから構成される組電池の容量調整装置に関する。
組電池を構成する複数のセル間の電圧バラツキを求め、求めた電圧バラツキに応じて、各セルの放電必要容量を演算して、セル間の容量調整を行う装置が知られている(特許文献1参照)。
特開平10−322925号公報
しかしながら、従来の装置では、セルの電圧を検出する際の誤差等に起因して、求めた電圧バラツキに誤差が含まれるため、容量調整が必要な時に容量調整が行われなかったり、容量調整が必要で無い時に容量調整が行われてしまうという問題があった。
本発明による組電池の容量調整装置は、異なるタイミングで検出された複数のセル電圧バラツキ量を記憶しておき、複数の電圧バラツキ量の差に基づいて、組電池の目標SOCを決定して、組電池の充放電を制御することを特徴とする。
本発明による組電池の容量調整装置によれば、複数の電圧バラツキ量の差に基づいて、組電池の目標SOCを決定するので、電圧バラツキ量の検出精度を向上させることができ、セル間の容量調整を適切に行うことができる。
−第1の実施の形態−
図1は、第1の実施の形態における組電池の容量調整装置をハイブリッド自動車に適用した場合のシステム構成を示す図である。組電池(バッテリ)1は、n(nは自然数)個のセルC1〜Cnを直列に接続して構成される。組電池1の直流電圧は、インバータ4にて交流電圧に変換されて、車両の走行駆動源である交流モータ5に印加される。
交流モータ5は、電動機として機能するとともに、図示しないエンジンを動力源として、発電機としても機能する。交流モータ5によって発電された電力は、組電池1の充電に用いられる。コントローラ3は、CPU3a、ROM3b、RAM3c、タイマ3dを備え、インバータ4を制御することにより、組電池1の充電および放電を制御する。コントローラ3は、特に、セル間の電圧バラツキ、車両の走行頻度、および、セルの容量調整頻度を求め、求めたセル間の電圧バラツキ、車両の走行頻度、および、セルの容量調整頻度に応じて、組電池1の目標SOCを制御する。
図2は、組電池1の充放電制御領域を示す図である。コントローラ3は、組電池1のSOCが30%から85%の範囲に収まるように、組電池1の充放電を制御する。SOCが30%から65%の範囲は、組電池1の充電に際し、図示しないエンジンを動力源として交流モータ5による発電を行う制御領域であり、SOCが65%を越えると、エンジンを動力源として交流モータ5を駆動させて発電を行うことが禁止される。SOCが65%から85%の範囲では、車両の減速時等において、交流モータ5の回生運転による発電が許容される。この場合、SOCが大きくなるほど、組電池1の入力可能パワーが制限される。また、SOCが40%以下になると、組電池1の出力可能パワーが制限される。
容量調整回路A1〜Anは、各セルC1〜Cnごとに設けられ、対応するセルの電圧が所定のバイパス作動電圧Vbpsを超えると、対応するセルの放電を行うことにより、セル間の容量調整を行う。電圧比較回路B1〜Bnは、各セルC1〜Cnごとに設けられ、対応するセルの電圧が所定のしきい値電圧VLmを下回ると、電圧低下信号をコントローラ3に出力する。所定のしきい値電圧VLmは、セルの電圧バラツキを検知したい値に設定しておく。
電圧センサ6は、組電池1の総電圧Vbatを検出して、コントローラ3に出力する。電流センサ7は、組電池1の充放電電流Ibatを検出して、コントローラ3に出力する。
図3は、第1の実施の形態における組電池の容量調整装置によって行われる処理内容を示すフローチャートである。コントローラ3は、車両が起動すると、ステップS10の処理を開始する。ステップS10では、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdを求める。RAM3cには、後述するセル電圧バラツキ量ΔVcのデータが所定数であるk個、格納されている。図4は、RAM3cに格納されているセル電圧バラツキ量ΔVcの一例を示す図である。ここでは、k個のセル電圧バラツキ量ΔVcのデータのうち、最小の値を示すデータΔVcLと、最大の値を示すデータΔVcMとの差をセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdとする。セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdを求めると、ステップS20に進む。
ステップS20では、車両の放置時間を求める。車両の放置時間は、車両が起動した時刻、すなわち、図示しない車両のキースイッチがオンされた時刻から、前回、車両のキースイッチ(不図示)がオフされた時刻の差を算出することにより求める。具体的には、車両のキースイッチがオフされると、タイマ3dによる時間計測を開始して、キースイッチがオンされるまでの時間を車両の放置時間とする。車両の放置時間を求めると、ステップS30に進む。
ステップS30では、次式(1)より、車両の走行頻度を求める。なお、式(1)中の放置時間は、ステップS20で求めた車両の放置時間であり、走行時間は、前回の車両走行時に、タイマ3dによって計測された走行時間であり、RAM3cに格納されている時間を用いる。車両の走行頻度を求めると、ステップS40に進む。
走行頻度=(走行時間)/(走行時間+放置時間) (1)
ステップS40では、電流センサ7によって検出される充放電電流Ibatの絶対値が所定の電流しきい値以下であるか否かを判定する。充放電電流Ibatの絶対値が所定の電流しきい値より大きいと判定すると、ステップS40で待機し、充放電電流Ibatの絶対値が所定の電流しきい値以下であると判定すると、ステップS50に進む。なお、所定の電流しきい値は、組電池1がほとんど充放電を行っていないとみなせる値に設定しておく。
ステップS50では、全ての電圧比較回路B1〜Bnのうち、少なくとも1つの電圧比較回路から電圧低下信号が入力されたか否かを判定する。電圧低下信号が入力されていないと判定するとステップS40に戻り、電圧低下信号が入力されたと判定すると、ステップS60に進む。
ステップS60では、電圧バラツキ量ΔVcを求める。ここでは、次式(2)に示すように、コントローラ3に電圧低下信号が入力された時のセルの平均電圧と、上述した所定のしきい値電圧VLmとの差を電圧バラツキ量ΔVcとする。なお、セルの平均電圧は、電圧センサ6によって検出される組電池1の総電圧Vbatをセル数nで除算することにより求める。
ΔVc=セルの平均電圧(Vbat/n)−しきい値電圧VLm (2)
ステップS60に続くステップS70では、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonを求める。ここでは、セルの平均電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えている間は、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えているセルの放電が行われることによって、セル間の容量調整が行われていると判断し、セルの平均電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えている時間を車両の走行時間で除算した時間を、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonとする。より具体的には、次式(3)により、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonを求める。
Ton=∫(セルの平均電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えた回数)dt/∫(演算回数)dt (3)
上式(3)では、車両の走行中に、所定の演算周期ごとに、セルの平均電圧(Vbat/n)とバイパス作動電圧Vbpsとを比較し、セルの平均電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えた回数C1をカウントする。この回数C1を、セルの平均電圧とバイパス作動電圧Vbpsとを比較した回数C2で除算することによって、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonを求めている。この単位走行時間あたりの容量調整時間Tonは、容量調整が行われた頻度を表している。
ステップS70に続くステップS80では、ステップS10で求めたセル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、ステップS30で求めた車両の走行頻度、および、ステップS70で求めた単位走行時間あたりの容量調整時間Tonに基づいて、組電池1の充放電を制御する際のSOC制御中心を変更する。SOC制御中心とは、組電池1の充放電を制御する際の目標SOC(基準SOC)であり、通常制御時のSOC制御中心は、50%である。
SOC制御中心の変更方法について説明する。セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが大きい場合には、セル間の容量調整が不足していると判断して、SOC制御中心の値を大きくする。すなわち、組電池1の目標SOCを高くすることにより、各セルの電圧が上昇するので、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えるセルの数が多くなり、容量調整が行われる頻度を増やすことができる。逆に、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが小さい場合には、セル間の容量調整が頻繁に行われていると判断して、SOC制御中心の値を小さくする。すなわち、容量調整が頻繁に行われることによって、セルに蓄えられている電力が無駄に放電されている可能性があるので、組電池1の目標SOCを低くすることによって、各セルの電圧を低下させて、無駄な放電が行われるのを防ぐ。
また、車両の走行頻度が少ない場合には、セル間の容量調整を行う機会が少なくなるため、SOC制御中心の値を大きくする。さらに、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonが少ない場合にも、セル間の容量調整時間が不足していると判断して、SOC制御中心の値を大きくする。SOC制御中心を大きくする、すなわち、組電池1の目標SOCを高くすることにより、各セルの電圧が上昇するので、セル間の容量調整が行われる頻度を増やすことができる。
図5は、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、車両の走行頻度、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、SOC制御中心との関係を示すテーブルである。図5において、容量調整不足とは、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが所定量ΔV1以上であることを意味し、容量調整過多とは、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが所定量ΔV2未満であることを意味している。
例えば、車両の走行頻度が所定頻度未満であり、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonが所定時間T1未満であって、かつ、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが所定量ΔV1以上の場合には、SOC制御中心を10%大きくする。この場合、全てのセルの電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えた状態で維持される可能性があり、車両の走行中に、容量調整回路A1〜Anによる容量調整を行っても、全セルの電圧がバイパス作動電圧Vbpsの大きさにそろわない可能性がある。ここで、容量調整回路A1〜Anは、図示しないキースイッチがオフしている間も、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpsより高いセルに対して放電を行うことにより、セル間の容量調整を行う。車両の走行頻度が所定頻度未満の場合には、キースイッチをオフにしている時間が長いため、車両の走行中に、セル電圧をバイパス作動電圧Vbpsの大きさにそろえることができなくても、キーオフ時に、容量調整を行うことによって、電圧バラツキを抑制することができる。
また、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが所定量ΔV1未満であり、かつ、車両の走行頻度が所定頻度以上の場合には、車両の走行中に十分な容量調整が行われていると判断できるため、SOC制御中心を小さくする。これにより、無駄な放電が行われるのを防ぐことができる。
図5に示すテーブルは、実験等によって予め求めておいて、RAM3cに格納しておく。コントローラ3は、ステップS10で求めたセル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、ステップS30で求めた車両の走行頻度、および、ステップS70で求めた単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、RAM3cに格納されているテーブルとに基づいて、SOC制御中心を決定する。
図6(a)〜図6(c)は、SOC制御中心について説明するための図である。図6(a)は、通常制御時におけるSOC頻度を示しており、SOC制御中心は50%である。すなわち、SOCが50%の位置を中心として、組電池1の充放電が行われる。図6(b)は、SOC制御中心を5%高くした場合のSOC頻度を示しており、図6(c)は、SOC制御中心を5%低くした場合のSOC頻度を示している。
図6(b)に示すように、SOC制御中心を高くすることにより、各セルの電圧は上昇するので、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えるセルが多くなる。これにより、セル間の容量調整を行う頻度を多くすることができる。逆に、SOC制御中心を低くすることにより、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpsを越えるセルが少なくなるので、セル間の容量調整を行う頻度を少なくして、無駄な放電を抑制することができる。
図3に示すフローチャートのステップS80において、SOC制御中心を変更すると、ステップS90に進む。ステップS90では、図示しない車両のキースイッチがオフされたか否かを判定する。キースイッチがオフされていないと判定するとステップS40に戻り、オフされたと判定すると、ステップS100に進む。
ステップS100では、ステップS60で求めた電圧バラツキ量ΔVcをRAM3cに記憶させる。上述したように、RAM3cには、k個の電圧バラツキ量ΔVcのデータを記憶させておくので、RAM3cにk個のデータが格納されている場合には、古いデータを消去するとともに、新しいデータを記憶させていく。電圧バラツキ量ΔVcをRAM3cに記憶させると、ステップS110に進む。
ステップS110では、ステップS70で求めたバラツキ調整時間TonをRAM3cに記憶させて、ステップS120に進む。ステップS120では、キースイッチがオンされている間に、タイマ3dで計測された車両の走行時間、および、キースイッチがオフされた時のシャットダウン時刻をRAM3cに記憶させて、図3に示すフローチャートの処理を終了する。
第1の実施の形態における組電池の容量調整装置によれば、セルの電圧が所定のしきい値電圧以下になったことを示す電圧低下信号が出力された時のセルの平均電圧から、所定のしきい値電圧を減算した値を電圧バラツキ量ΔVcとして複数記憶しておき、複数の電圧バラツキ量ΔVcに基づいて、組電池の目標SOCを決定して、組電池の充放電を制御するので、セル間の容量調整を適切に行うことができる。
図7は、セルの平均電圧と所定のしきい値電圧VLmとの関係を示す図である。電圧センサ6によって検出される総電圧Vbatをセル数nで除算して得られる平均電圧Vaveには、電圧センサ6の検出誤差Δx1が含まれる。また、セルの電圧が所定のしきい値電圧VLmを下回ると、電圧比較回路B1〜Bnから電圧低下信号が出力される際にも、電圧比較回路B1〜Bnの電圧比較誤差Δx2が含まれる。従って、電圧比較回路から電圧低下信号が出力された時のセルの平均電圧と、所定のしきい値電圧VLmとの差を意味する電圧バラツキ量ΔVcの理論値は、Vave−VLmであるが、上述した誤差を考慮すると、その最大値は、図7に示すように、ΔVc+Δx1/2+Δx2/2であり、最小値は、ΔVc−Δx1/2−Δx2/2となる。従って、電圧比較回路から電圧低下信号が出力された時のセルの平均電圧から、所定のしきい値電圧VLmを減算して得られる1つの電圧バラツキ量ΔVcに基づいて、組電池1の目標SOCを変更する従来の方法では、容量調整が必要な時に容量調整が行われなかったり、容量調整が必要で無い時に容量調整が行われてしまう可能性がある。
これに対して、第1の実施の形態における組電池の容量調整装置によれば、複数の電圧バラツキ量ΔVcに基づいて、組電池の目標SOCを決定する。特に、複数の電圧バラツキ量ΔVcのうち、値が最大の電圧バラツキ量と、値が最小の電圧バラツキ量との差を求め、求めた差が大きいほど、目標SOCを大きくする。これにより、電圧バラツキ量に誤差が含まれている場合でも、電圧バラツキ量の最大値と最小値との差が拡大すれば、セルの電圧バラツキが拡大していると判断することによって、組電池1の目標SOCを高くして、セル間の容量調整を行うことができる。また、複数の電圧バラツキ量ΔVcのうち、値が最大の電圧バラツキ量と、値が最小の電圧バラツキ量との差が小さい場合には、セルの容量調整が頻繁に行われて、セルの電圧バラツキが小さくなっていると判断できるので、目標SOCを小さくして、セルの無駄な放電が行われるのを防ぐことができる。
また、第1の実施の形態における組電池の容量調整装置によれば、複数の電圧バラツキ量ΔVc、車両の走行頻度、および、車両の走行中に容量調整が行われた頻度に基づいて、組電池1の目標SOCを決定するので、より適切にセル間の容量調整を行うことができる。例えば、車両の走行頻度が少ないほど、目標SOCを高くするので、各セルの電圧を高くして、容量調整を行う頻度を多くすることができる。また、容量調整が行われた頻度が少ないほど、目標SOCを高くすることにより、容量調整を行う頻度を多くすることができる。
−第2の実施の形態−
第2の実施の形態における組電池の容量調整装置では、第1の実施の形態における組電池の容量調整装置と同様に、複数の電圧バラツキ量ΔVc、車両の走行頻度、および、車両の走行中に容量調整が行われた頻度に基づいて、組電池1の目標SOCを決定するとともに、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、および、SOC制御中心に基づいて、組電池1の入力可能パワー(入力可能電力)および出力可能パワー(出力可能電力)を制限する。
図8は、第2の実施の形態における組電池の容量調整装置によって行われる処理内容を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップについては、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
コントローラ3は、車両が起動すると、ステップS10の処理を開始する。ステップS10からステップS30の処理は、図3に示すフローチャートのステップS10からステップS30の処理と同一である。ステップS30に続くステップS200では、電圧センサ6によって検出される組電池1の総電圧、および、電流センサ7によって検出される組電池1の充放電電流を検出して、ステップS210に進む。
ステップS210では、組電池1のSOCを求める。例えば、組電池1の電圧とSOCとの関係を示すテーブルを予め用意しておき、このテーブルと、電圧センサ6により検出された電圧値とに基づいて、SOCを算出することができる。組電池1のSOCを求めると、ステップS220に進む。ステップS220では、ステップS210で求めたSOCに基づいて、組電池1の入力可能パワーおよび出力可能パワーを求める。ここでは、組電池1のSOCと入力可能パワーとの対応関係を示すテーブル、および、組電池1のSOCと出力可能パワーとの対応関係を示すテーブルを予め用意しておき、このテーブルと、ステップS210で求めたSOCとに基づいて、入力可能パワーおよび出力可能パワーを求める。入力可能パワーおよび出力可能パワーを求めると、ステップS40に進む。
ステップS40からステップS80の処理は、図3に示すフローチャートのステップS40からステップS80の処理と同一である。ステップS80に続くステップS230では、ステップS80で変更したSOC制御中心、および、ステップS10で求めたセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdに基づいて、組電池1の入力可能パワーおよび出力可能パワーを変更する。
図9は、SOC制御中心およびセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdと、入力可能パワーおよび出力可能パワーとの関係を示す図であり、ステップS220で求めた入力可能パワーおよび出力可能パワーに対する値を示している。例えば、図9において、80%という数字は、ステップS220で求めた入力可能パワー(出力可能パワー)に対して、80%の値に制限することを示しており、100%という数字は、ステップS220で求めた入力可能パワー(出力可能パワー)と同値であり、制限量が0であることを示している。
上述したように、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが大きくなるほど、SOC制御中心を高くしている。従って、バラツキ変動量ΔVcdが大きいほど、また、SOC制御中心が高いほど、入力可能パワー(入力電力量の制限値)を小さくして、過充電状態となるセルが発生するのを防ぐ。逆に、バラツキ変動量ΔVcdが小さいほど、また、SOC制御中心が低いほど、出力可能パワー(出力電力量の制限値)を小さくすることにより、過放電状態となるセルが発生するのを防ぐ。
ステップS230において、SOC制御中心およびセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdに基づいて、入力可能パワーおよび出力可能パワーを変更すると、ステップS90に進む。ステップS90からステップS120までの処理は、図3に示すフローチャートのステップS90からステップS120までの処理と同一である。
第2の実施の形態における組電池の容量調整装置によれば、組電池1の目標SOCおよびセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdに基づいて、組電池1の入力可能パワーおよび出力可能パワーを変更するので、組電池1の目標SOC(SOC制御中心)が変更されても、セルが過充電状態または過放電状態となるのを防ぐことができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されることはない。例えば、第1の実施の形態における組電池の容量調整装置では、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、車両の走行頻度、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、SOC制御中心との関係を示すテーブルを予め用意しておいて、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、車両の走行頻度、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonに基づいて、組電池1の目標SOCを決定した。しかし、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、すなわち、複数の電圧バラツキ量ΔVcにのみ基づいて、目標SOCを決定するようにしてもよい。
上述した第1および第2の実施の形態では、複数のセル電圧バラツキ量ΔVcのうち、最小の値を示すデータΔVcLと、最大の値を示すデータΔVcMとの差をセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdとしたが、別の方法により、バラツキ変動量ΔVcdを設定してもよい。例えば、RAM3cに格納されているk個のセル電圧バラツキ量ΔVcのうち、あるタイミングで検出されたセル電圧バラツキ量ΔVci-1と、その次のタイミングで検出されたセル電圧バラツキ量ΔVciとの差を求め、その差が最大のものをバラツキ変動量ΔVcdとすることもできる。図10は、この方法を図示したものである。
複数のセル電圧バラツキ量ΔVcのうち、最小の値を示すデータΔVcLと、最大の値を示すデータΔVcMとの差をセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdとする方法では、車両の走行中に行われるセル間の容量調整によって、電圧バラツキが小さくなっているにも関わらず、求めたバラツキ変動量ΔVcdが大きければ、目標SOCが高めに設定されてしまう。しかし、あるタイミングで検出されたセル電圧バラツキ量ΔVci-1と、その次のタイミングで検出されたセル電圧バラツキ量ΔVciとの差の最大値をバラツキ変動量ΔVcdに設定する方法によれば、電圧バラツキが小さくなっているにも関わらず、目標SOCが高めに設定されてしまうという問題が生じるのを防ぐことができる。
通常制御時のSOC制御中心の値を50%として説明したが、50%より低くてもよいし、高くてもよい。また、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、車両の走行頻度、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、SOC制御中心との関係を示すテーブルの一例を図5に示したが、SOC制御中心を変更する大きさは、図5に示す値に限定されることはない。例えば、図5では、バラツキ変動量ΔVcdの項目として、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが所定量ΔV1以上の状態を示す容量調整不足の場合と、セル電圧のバラツキ変動量ΔVcdが所定量ΔV2未満の状態を示す容量調整過多の場合の2つしか示していないが、上述したように、バラツキ変動量ΔVcdの値が大きいほど、SOC制御中心が大きくなるように設定し、バラツキ変動量ΔVcdの値が小さいほど、SOC制御中心が小さくなるように設定されればよい。
上述した第1および第2の実施の形態では、電圧比較回路B1〜Bnから、セルの電圧が所定のしきい値電圧VLm以下であることを示す電圧低下信号が出力された時のセルの平均電圧と、所定のしきい値電圧VLmとの差を電圧バラツキ量ΔVcとして記憶したが、電圧バラツキ量ΔVcの求め方は、この方法に限定されることはない。
上述した第1および第2の実施の形態では、組電池の容量調整装置をハイブリッド自動車に適用した例を挙げて説明したが、電気自動車に適用することもできる。
特許請求の範囲の構成要素と第1および第2の実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、電圧センサ6およびコントローラ3が平均電圧算出手段を、電圧比較回路B1〜Bnが電圧比較手段を、容量調整回路A1〜Anが容量調整手段を、コントローラ3が電圧バラツキ量検出手段、電圧バラツキ量記憶手段、目標SOC決定手段、充放電制御手段、走行頻度検出手段、容量調整頻度検出手段、入力可能電力設定手段、および、出力可能電力設定手段をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係に何ら限定されるものではない。
第1の実施の形態における組電池の容量調整装置をハイブリッド自動車に適用した場合のシステム構成を示す図 組電池の充放電制御領域を示す図 第1の実施の形態における組電池の容量調整装置によって行われる処理内容を示すフローチャート 複数のセル電圧バラツキΔVcの一例を示す図 セル電圧のバラツキ変動量ΔVcd、車両の走行頻度、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、SOC制御中心との関係を示す図 図6(a)〜図6(c)は、SOC制御中心について説明するための図 セルの平均電圧と所定のしきい値電圧VLmとの関係を示す図 第2の実施の形態における組電池の容量調整装置によって行われる処理内容を示すフローチャート SOC制御中心およびセル電圧のバラツキ変動量ΔVcdと、入力可能パワーおよび出力可能パワーとの関係を示す図 あるタイミングで検出されたセル電圧バラツキ量と、その次のタイミングで検出されたセル電圧バラツキ量との差をバラツキ変動量ΔVcdとして設定する方法を説明するための図
符号の説明
1…組電池、3…コントローラ、3a…CPU、3b…ROM、3c…RAM、3d…タイマ、4…インバータ、5…交流モータ、6…電圧センサ、7…電流センサ

Claims (15)

  1. 組電池を構成する各セルに設けられ、セルの電圧が所定のバイパス作動電圧を超えた場合に当該セルの放電を行う容量調整を行う容量調整手段と、
    複数のセル間で生じている電圧バラツキの量(以下、電圧バラツキ量)を検出する電圧バラツキ量検出手段と、
    前記電圧バラツキ量検出手段によって、異なるタイミングで検出された複数の電圧バラツキ量を記憶する電圧バラツキ量記憶手段と、
    前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量の差に基づいて、組電池の目標SOCを決定する目標SOC決定手段と、
    前記目標SOC決定手段によって決定された目標SOCに基づいて、組電池の充放電を制御する充放電制御手段とを備えることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  2. 請求項1に記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量のうち、値が最大の電圧バラツキ量と、値が最小の電圧バラツキ量との差が大きいほど、前記目標SOCを大きくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  3. 請求項1または2に記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量のうち、値が最大の電圧バラツキ量と、値が最小の電圧バラツキ量との差が小さいほど、前記目標SOCを小さくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  4. 請求項1に記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量のうち、あるタイミングで検出された電圧バラツキ量と、その次のタイミングで検出された電圧バラツキ量との差が最大となるものを抽出し、抽出した電圧バラツキ量の差が大きいほど、前記目標SOCを大きくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  5. 請求項1または4に記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量のうち、あるタイミングで検出された電圧バラツキ量と、その次のタイミングで検出された電圧バラツキ量との差が最大となるものを抽出し、抽出した電圧バラツキ量の差が小さいほど、前記目標SOCを小さくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組電池の容量調整装置において、
    組電池の容量調整装置が搭載された車両の走行頻度を検出する走行頻度検出手段をさらに備え、
    前記目標SOC決定手段は、前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量の差、および、前記走行頻度検出手段によって検出された走行頻度に基づいて、組電池の目標SOCを決定することを特徴とする組電池の容量調整装置。
  7. 請求項6に記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記走行頻度検出手段によって検出された走行頻度が少ないほど、組電池の目標SOCを大きくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  8. 請求項6または7に記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記走行頻度検出手段によって検出された走行頻度が多いほど、組電池の目標SOCを小さくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の組電池の容量調整装置において、
    組電池の容量調整装置が搭載された車両の走行中に、前記容量調整手段によって容量調整が行われた頻度を検出する容量調整頻度検出手段をさらに備え、
    前記目標SOC決定手段は、前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量の差、および、前記容量調整手段によって容量調整が行われた頻度に基づいて、組電池の目標SOCを決定することを特徴とする組電池の容量調整装置。
  10. 請求項6〜8のいずれかに記載の組電池の容量調整装置において、
    組電池の容量調整装置が搭載された車両の走行中に、前記容量調整手段によって容量調整が行われた頻度を検出する容量調整頻度検出手段をさらに備え、
    前記目標SOC決定手段は、前記電圧バラツキ量記憶手段に記憶されている複数の電圧バラツキ量の差、前記走行頻度検出手段によって検出された走行頻度、および、前記容量調整手段によって容量調整が行われた頻度に基づいて、組電池の目標SOCを決定することを特徴とする組電池の容量調整装置。
  11. 請求項9または10に記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記容量調整手段によって容量調整が行われた頻度が少ないほど、組電池の目標SOCを大きくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段は、前記容量調整手段によって容量調整が行われた頻度が多いほど、組電池の目標SOCを小さくすることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段によって決定された目標SOCに基づいて、組電池の入力可能電力を設定する入力可能電力設定手段をさらに備えることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の組電池の容量調整装置において、
    前記目標SOC決定手段によって決定された目標SOCに基づいて、組電池の出力可能電力を設定する出力可能電力設定手段をさらに備えることを特徴とする組電池の容量調整装置。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の組電池の容量調整装置において、
    組電池を構成する複数のセルの平均電圧を求める平均電圧算出手段と、
    各セルの電圧と、所定のしきい値電圧とを比較し、セルの電圧が前記所定のしきい値電圧以下になると、電圧低下信号を出力する電圧比較手段とをさらに備え、
    前記電圧バラツキ量検出手段は、前記電圧比較手段から前記電圧低下信号が出力された時に前記平均電圧算出手段によって求められた平均電圧から、前記所定のしきい値電圧を減算した値を電圧バラツキ量として検出することを特徴とする組電池の容量調整装置。
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