本発明は、高い周期性を有する凸凹形状が形成された基板、及び磁気記録媒体の作製方法、並びにこれらの製造装置に関するものである。
ハードディスクに代表される磁気記録の分野では、記録媒体、記録ヘッド、及び再生ヘッドの特性向上により、面密度で400Gbit/inch2を超える記録密度が達成されつつあり、更に密度の向上が続いている。
このうち、現行のハードディスクに用いられる磁気記録媒体では、熱揺らぎの問題が指摘されており、記録密度の更なる増加に伴って磁気情報を長期間、安定に保持しておくことが困難となることが知られている。
上記の熱揺らぎの問題は、磁気記録媒体の磁気ビットを形成する磁性粒子の体積vと磁気異方性エネルギー定数Kuとの積である、磁気異方性エネルギーvKuと、熱エネルギーkT(k:ボルツマン定数、T:温度)との関係で表され、磁気異方性エネルギーvKuが熱エネルギーkTの数十倍程度まで小さくなると、熱揺らぎによる磁気情報の消失が顕著となることが知られている。
上記熱揺らぎの問題を解消するための1つの手法として、パターンドメディアと呼ばれる磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記磁気記録媒体は、従来のハードディスクに用いられる磁気記録媒体において採用されている、複数個の小さな磁性粒子から1つの磁気ビットを形成する媒体(グラニュラー媒体)に代えて、1個の磁性粒子で1つの磁気ビットを形成し、磁性粒子の間を非磁性材料で分離する媒体である。上記磁気記録媒体は、グラニュラー媒体に比べて磁性粒子の体積vを大きくすることができることから熱揺らぎ問題の解消に効果が高い。
一方で、1個の磁性粒子で1つの磁気ビットを形成するために、個々の磁性粒子の大きさや配列周期のばらつきが、記録時に必要となる磁界のばらつきや再生時のノイズを引き起こす原因となる。このため、磁気ビットの配列周期パターンをできる限り均一に作製する必要がある。
このようなパターンドメディアを実現するための技術のうち、特許文献1には、ブロックコポリマーを利用して作製可能な磁気記録媒体を開示している。
また、特許文献2は、アルミナを加工したアルミナナノホール内に硬磁性体からなる充填物を形成した磁気記録媒体を開示している。
また、特許文献3は、磁性材料からなる複数の磁性コラムと、非磁性材料からなり且つ複数の磁性コラム間に介在する非磁性領域とを含む記録磁性層を備える磁気記録媒体を開示している。
上記特許文献3には、パターンドメディアを作製するためのマスク材として所定のターゲットを用いたスパッタリング法を用い、所定の材料を島状に堆積成長させることによって材料粒子を形成することが記載されている。また、上記材料粒子形成用の材料として、例えば、Ag、Cr、W、Mo、Ta、又はこれらの合金を採用することができると記載されている(特許文献3の段落〔0038〕参照)。
また、別のマスク材として、いわゆるナノパーティクルとして析出可能な成分を溶解している溶液をスピンコーティング法により磁性材料膜の表面に塗布した後、当該溶液の液体成分を蒸発させてナノパーティクルを析出させてもよいと記載されている(特許文献3の段落〔0040〕参照)。
更には、特許文献1〜3に記載の方法の他に、磁性材料の上にレジスト材を塗布し、フォトリソグラフィや電子ビーム露光によってパターンを形成し、現像した後、レジスト材をマスクとして、磁性材料をエッチングしてパターンドメディアを作製する方法や、FIB(Focused Ion Beam)を用いて磁性体を直接加工し、パターン化する方法が知られている。
特開2000−251236号公報(2000年9月14日公開)
特開2002−175621号公報(2002年6月21日公開)
特開2004−272997号公報(2004年9月30日公開)
しかしながら、上記従来の方法では、簡易な方法で均一性の高い磁性粒子の周期性パターンを一度に形成することが困難であるという問題を生じる。
具体的には、特許文献1及び2に開示された方法や、特許文献3の段落〔0040〕に記載されているナノパーティクルを用いる方法、及び特許文献1〜3以外の技術として公知であるフォトリソグラフィ、電子線リソグラフィ、FIBを利用して磁性体を加工する方法では、何れも、従来のグラニュラー媒体の製造には不要であった装置や工程の導入が多数必要であり、製造コストが増加すると共に製造プロセスが複雑になるという問題がある。
また、上記のうちFIBを用いる方法を除いては、通常、ウェットプロセスが必要となるため、薬液中の汚染物質が付着して不良が発生する恐れがある。FIBにおいては、直接加工を行うので削り屑が発生し汚染物として付着する恐れがある。
更には、上記公知技術のうち、フォトリソグラフィ、電子線リソグラフィ、FIBを用いる方法では、個々のパターンを1つずつ順に形成する必要があるため、媒体作製に時間が掛かるのみならずコスト増加に繋がる。
これに対して、特許文献3の段落〔0038〕に開示されているような、スパッタリング法により所定の材料を島状に堆積成長させる方法では、スパッタ成膜でパターンを作製できるため、従来の媒体製造工程と親和性が高いと考えられる。しかしながら、スパッタリング現象によってターゲットから叩き出される粒子のサイズ及び運動エネルギーには分散があるため、基板上に形成される島状の形状をナノメートルオーダーで均一化することは極めて困難である。そして、実際に形成される島状形状は、サイズ及び周期が共にランダムなものとなってしまうため、このような方法で作製される形状を有する基板を、高い均一性が求められるパターンドメディア用のパターンとして適用することには問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な方法で均一性の高い磁性粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、凸凹形状が形成された基板の作製方法、及びこれら方法を用いる磁気記録媒体の製造方法、並びにこれら方法で用いる凸凹形状が形成された基板の作製装置及び磁気記録媒体の製造装置を実現することにある。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法は、上記課題を解決するために、不活性ガス存在下で、基板に、供給材料を、原子若しくは分子の状態で供給源から供給し、当該基板上に、供給材料と基板表面の材料との合金を凸部として形成することによって、ナノメートルオーダーの周期性を有する凸凹形状が形成された基板を作製する方法であり、上記供給源は、上記凸部を形成する基板表面へ供給材料を直接入射させることができない位置に配置され、正負両極性成分を有する100kHz以上100MHz以下の範囲の高周波電圧を、上記基板及び当該基板を支持する基板支持部材の少なくとも一方に対して印加することを特徴としている。
上記方法では、正負両極性成分を有する高周波電圧を、上記基板及び当該基板を支持する支持部材の少なくとも一方に対して印加する。このため、基板及び/若しくは基板支持部材に接地電圧に対して負の電圧が印加されている時間範囲では、不活性ガスイオンに対し、基板に衝突する方向の運動エネルギーが与えられ、不活性ガスイオンは基板の表面に衝突して、それぞれの表面に存在する原子若しくは分子(以下、「原子等」と略す)を物理的に叩き出す。一方、正の電圧が印加されている時間範囲では、不活性ガスイオンに対し、基板から離れる方向の運動エネルギーが与えられ、基板から叩き出された原子等及び供給源から供給された原子等は基板の表面に付着する。
このようにして、基板表面において原子等の叩き出しと付着とが繰り返されることにより、基板表面では供給源から供給された原子等と基板から叩き出された原子等とが合金を生成しながら粒子成長する。
また、上記方法では、上記供給源は、上記微粒子を形成する基板表面へ供給材料を直接入射させることができない位置に配置される。
このような配置を取ることで、供給源から供給された原子等のうち、高エネルギーの成分が直接基板表面に到達することを防ぎ、基板表面を迂回したエネルギーの低い原子等のみが基板表面に到達する。
これにより、基板上にナノメートルオーダーの高い周期性で微粒子を形成させることができる。
従って、上記方法によれば、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、微粒子を形成することができるという効果を奏する。
つまり、上記方法では、パターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体の製造に適用可能な、高い周期性を有するナノメートルオーダーの微粒子を、従来の磁気記録媒体と親和性の高い真空装置を用いて簡易に形成することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法では、上記基板表面の構成材料が、Si、Ge、及びAlからなる群から選択される何れか1つの元素を主体とする材料、若しくは当該材料の合金を主体とする材料であり、上記供給材料が、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、及びWからなる群から選択される何れか1つの元素を主体とする材料若しくは当該材料の合金を主体とする材料、又はこれらの材料と上記基板表面の構成材料との合金を主体とする材料、であることが好ましい。
上記方法によれば、基板上において合金が生成され易く、更には基板上に形成される微粒子が、隣接する他の微粒子との隙間が開いた状態で、エッチングマスクとして適用可能なサイズに粒子成長する。
従って、上記方法によれば、エッチングマスクとして好適な孤立微粒子を形成することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法では、上記基板への供給材料の供給がスパッタリングによって行われることが好ましい。
上記方法では、高周波電圧を印加した際にプラズマが発生するため、スパッタリングにより供給材料の供給を行うことにより基板表面における微粒子の成長を促進させることができ、より短時間で微粒子を形成することができる。
また、スパッタリング法は従来の磁気記録媒体製造方法で広く用いられている方法であるため、パターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法では、上記基板が、上記供給源に対するスパッタリングに伴って発生するプラズマ発光領域の外側に配置されていることが好ましい。
上記方法によれば、供給源から放出された供給材料が基板表面に直接入射しない配置を簡易な構成で提供することができるため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、微粒子をより簡単に形成することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法では、上記供給源が、上記基板を支持する基板支持部材上に形成されていること、又は当該基板支持部材の少なくとも一部が上記供給源で形成されていることが好ましい。
上記方法によれば、供給源から放出された供給材料が基板表面に直接入射しない配置を簡易な構成で提供することができるため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、微粒子をより簡単に形成することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法では、上記基板と上記供給源との間に、上記供給材料が上記基板表面に直線的に入射することを防ぐための遮蔽部材が配置されていることが好ましい。
上記方法によれば、供給源から放出された供給材料が基板表面に直接入射しない配置を簡易な構成で提供することができるため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、微粒子をより簡単に形成することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法では、微粒子が形成される上記基板表面が段状となっていることが好ましい。
上記方法によれば、形成される微粒子を段差に沿って配列させることが可能であるため、パターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法では、上記基板は、磁性膜と、合金生成層とを備えており、上記基板表面は、上記合金生成層からなり、上記磁性膜は、上記合金生成層の下に隣接して積層しており、上記凸部は、供給材料と合金生成層の材料との合金から形成されることが好ましい。
上記方法によれば、簡易なプロセスでパターンドメディアを製造することができるため、パターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができる。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製は、更に、上記凸部をマスクとして、上記基板をエッチングすることが好ましい。
上記方法によれば、微粒子によって形成された凸凹形状の高さ(深さ)をより高く(深く)し、高密度磁気記録媒体の下地としてより好適な凸凹形状を形成することができる。
従って、上記方法によれば、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、凸凹形状が形成された基板を製造することができるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製の何れか1つの方法によって作製した基板における凸凹形状を、第1の転写用基板上に第1の樹脂層が形成された第1の転写材料における当該第1の樹脂層に転写することにより、第1の転写用基板上に当該第1の樹脂層からなる凸部が形成された第1の転写材料を形成する工程と、上記第1の樹脂層をマスクとして、上記第1の転写用基板をエッチングする工程と、を含み、上記第1の転写用基板は、SiO 2 基板、ガラス基板、Si基板、及び表面熱酸化Si基板からなる群から選択される少なくとも1つであり、上記第1の樹脂層は、アクリル系樹脂、SOG(Spin−on−Glass)、HSQ(Hydrogen Silsequioxane)等の塗布液を塗布したもの、及びUV硬化樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
上記方法によれば、微粒子によって形成された凸凹形状の高さ(深さ)をより高く(深く)することができると共に、転写によって当該凸凹形状を簡易に複製できることから、パターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができる。
従って、上記方法によれば、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、凸凹形状を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製の何れか1つの方法によって作製した基板における凸凹形状を、第1の転写用基板上に第1の樹脂層が形成された第1の転写材料における当該第1の樹脂層に転写することにより、第1の転写用基板上に当該第1の樹脂層からなる凸部が形成された第1の転写材料を形成する工程と、上記第1の転写材料の形状を、第2の転写用基板上に第2の樹脂層が形成された第2の転写材料における当該第2の樹脂層に転写することにより、第2の転写用基板上に当該第2の樹脂層からなる凸部が形成された第2の転写材料を形成する工程と、上記第2の樹脂層をマスクとして、上記第2の転写用基板をエッチングする工程と、を含み、上記第1の転写用基板及び上記第2の転写用基板は、それぞれ独立して、SiO 2 基板、ガラス基板、Si基板、及び表面熱酸化Si基板からなる群から選択される少なくとも1つであり、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、それぞれ独立して、アクリル系樹脂、SOG(Spin−on−Glass)、HSQ(Hydrogen Silsequioxane)等の塗布液を塗布したもの、及びUV硬化樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
上記方法によれば、微粒子によって形成された凸凹形状の高さ(深さ)をより高く(深く)することができると共に、転写によって当該凸凹形状を簡易に複製できることから、パターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができるという効果を奏する。
従って、上記方法によれば、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、凸凹形状を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状形成方法では、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法の何れか1つの方法によって作製した基板における凸凹形状を、第1の転写用基板上に磁性膜及び第1の樹脂層がこの順に形成された第1の転写材料における当該第1の樹脂層に転写することにより、当該磁性膜上に当該第1の樹脂層からなる凸部が形成された第1の転写材料を形成する工程と、上記第1の樹脂層をマスクとして、上記磁性膜をエッチングする工程と、を含み、上記第1の転写用基板は、SiO 2 基板、ガラス基板、Si基板、及び表面熱酸化Si基板からなる群から選択される少なくとも1つであり、上記第1の樹脂層は、アクリル系樹脂、SOG(Spin−on−Glass)、HSQ(Hydrogen Silsequioxane)等の塗布液を塗布したもの、及びUV硬化樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
上記方法によれば、簡易なプロセスでパターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体を製造することができるため、高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状形成方法では、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法の何れか1つの方法によって作製した基板における凸凹形状を、第1の転写用基板上に第1の樹脂層が形成された第1の転写材料における当該第1の樹脂層に転写することにより、第1の転写用基板上に当該第1の樹脂層からなる凸部が形成された第1の転写材料を形成する工程と、上記第1の転写材料の形状を、第2の転写用基板上に磁性膜及び第2の樹脂層がこの順に形成された第2の転写材料における当該第2の樹脂層に転写することにより、当該磁性膜上に当該第2の樹脂層からなる凸部が形成された第2の転写材料を形成する工程と、上記第2の樹脂層をマスクとして、上記磁性膜をエッチングする工程と、を含み、上記第1の転写用基板及び上記第2の転写用基板は、それぞれ独立して、SiO 2 基板、ガラス基板、Si基板、及び表面熱酸化Si基板からなる群から選択される少なくとも1つであり、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、それぞれ独立して、アクリル系樹脂、SOG(Spin−on−Glass)、HSQ(Hydrogen Silsequioxane)等の塗布液を塗布したもの、及びUV硬化樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
上記方法によれば、簡易なプロセスでパターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体を製造することができるため、高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法の何れか1つの方法を用いて、表面に凸凹形状が形成された基板を作製する工程と、上記基板における凸凹形状が形成された面上に磁性膜を形成する工程と、を含むことを特徴としている。
上記方法によれば、酸化し易い等の理由でエッチングが困難な磁性材料を用いる磁気記録媒体においても高密度の磁気情報が記録可能な磁気記録媒体を提供することができる。
従って、上記方法によれば、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することできるという効果を奏する。
本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、磁性膜が形成されている面上に凸部を形成する上記本発明に係る方法を用いて、表面に凸凹形状が形成された基板を作製する工程と、形成された上記凸部をマスクとして、合金生成層及び磁性膜をエッチングする工程と、エッチング後の上記基板における上記磁性膜上に保護層を形成する工程と、を含むことを特徴としている。
上記方法によれば、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することできるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製装置は、上記課題を解決するために、本発明に係る、凸凹形状が形成された基板の作製方法に用いられる、供給材料と基板表面の材料との合金を凸部として形成することによって、ナノメートルオーダーの周期性を有する凸凹形状が形成された基板を作製する装置であって、不活性ガス導入手段と、基板を支持する基板支持部材と、供給材料を供給する供給源と、上記供給源から上記供給材料を原子若しくは分子の状態で発生させる供給材料発生手段と、を備える、基板上に微粒子を形成する微粒子形成装置であり、正負両極性成分を有する100kHz以上100MHz以下の範囲の高周波電圧を、上記基板及び上記支持部材の少なくとも一方に対して印加する高周波電源を備え、上記供給源は、上記微粒子を形成する基板表面へ供給材料を直接入射させることができない位置に配置されていることを特徴としている。
上記構成では、正負両極性成分を有する高周波電圧を、上記基板及び当該基板を支持する支持部材の少なくとも一方に対して印加する。このため、基板及び/若しくは基板支持部材に接地電圧に対して負の電圧が印加されている時間範囲では、不活性ガスイオンに対し、基板に衝突する方向の運動エネルギーが与えられ、不活性ガスイオンは基板の表面に衝突して、それぞれの表面に存在する原子若しくは分子(以下、「原子等」と略す)を物理的に叩き出す。一方、正の電圧が印加されている時間範囲では、不活性ガスイオンに対し、基板から離れる方向の運動エネルギーが与えられ、基板から叩き出された原子等及び供給源から供給された原子等は基板の表面に付着する。
このようにして、基板表面において原子等の叩き出しと付着とが繰り返されることにより、基板表面では供給源から供給された原子等と基板から叩き出された原子等とが合金を生成しながら粒子成長する。
また、上記構成では、上記供給源は、上記微粒子を形成する基板表面へ供給材料を直接入射させることができない位置に配置される。
このような配置を取ることで、供給源から供給された原子等のうち、高エネルギーの成分が直接基板表面に到達することを防ぎ、基板表面を迂回したエネルギーの低い原子等のみが基板表面に到達する。
これにより、基板上にナノメートルオーダーの高い周期性で微粒子を形成させることができる。
従って、上記構成によれば、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、微粒子を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製装置では、上記供給源が、上記基板を支持する基板支持部材上に形成されていること、又は当該基板支持部材の少なくとも一部が上記供給源で形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、供給源から放出された供給材料が基板表面に直接入射しない配置を簡易な構成で提供することができるため、より簡単に均一性の高い周期性パターンを一度に形成することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製装置では、上記供給材料が上記基板表面に直線的に入射することを防ぐための遮蔽部材を更に備えていることが好ましい。
上記構成によれば、供給源から放出された供給材料が基板表面に直接入射しない配置を簡易な構成で提供することができるため、より簡単に均一性の高い周期性パターンを一度に形成することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製装置では、上記供給材料発生手段がスパッタリングにより供給材料を発生させる手段であることが好ましい。
上記構成では、高周波電圧を印加した際にプラズマが発生するため、スパッタリングにより供給材料の供給を行うことにより基板表面における微粒子の成長を促進させることができ、より短時間で微粒子を形成することができる。
また、スパッタリング法は従来の磁気記録媒体製造方法で広く用いられている方法であるため、パターンドメディアに代表される高密度磁気記録媒体の製造工程を大幅に簡略化することができる。
本発明に係る磁気記録媒体の製造装置は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製装置の何れか1つを備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、上記本発明に係る微粒子形成装置を備えているため、エッチングが困難な磁性材料を用いる磁気記録媒体においても高密度の磁気情報が記録可能な磁気記録媒体を製造することができる。
従って、上記構成によれば、従来のグラニュラー媒体製造方法と親和性の高いドライプロセスを用い、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することできるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法は、以上のように、不活性ガス存在下で、基板に、供給材料を、原子若しくは分子の状態で供給源から供給し、当該基板上に、供給材料と基板表面の材料との合金を凸部として形成することによって、ナノメートルオーダーの周期性を有する凸凹形状が形成された基板を作製する方法であり、上記供給源は、上記凸部を形成する基板表面へ供給材料を直接入射させることができない位置に配置され、正負両極性成分を有する100kHz以上100MHz以下の範囲の高周波電圧を、上記基板及び当該基板を支持する基板支持部材の少なくとも一方に対して印加することを特徴としている。
このため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、微粒子を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法は、以上のように、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製の何れか1つの方法によって作製した基板における凸凹形状を、第1の転写用基板上に第1の樹脂層が形成された第1の転写材料における当該第1の樹脂層に転写することにより、第1の転写用基板上に当該第1の樹脂層からなる凸部が形成された第1の転写材料を形成する工程と、上記第1の樹脂層をマスクとして、上記第1の転写用基板をエッチングする工程と、を含み、上記第1の転写用基板は、SiO 2 基板、ガラス基板、Si基板、及び表面熱酸化Si基板からなる群から選択される少なくとも1つであり、上記第1の樹脂層は、アクリル系樹脂、SOG(Spin−on−Glass)、HSQ(Hydrogen Silsequioxane)等の塗布液を塗布したもの、及びUV硬化樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
このため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、凸凹形状を形成することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法は、以上のように、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製の何れか1つの方法によって作製した基板における凸凹形状を、第1の転写用基板上に第1の樹脂層が形成された第1の転写材料における当該第1の樹脂層に転写することにより、第1の転写用基板上に当該第1の樹脂層からなる凸部が形成された第1の転写材料を形成する工程と、上記第1の転写材料の形状を、第2の転写用基板上に第2の樹脂層が形成された第2の転写材料における当該第2の樹脂層に転写することにより、第2の転写用基板上に当該第2の樹脂層からなる凸部が形成された第2の転写材料を形成する工程と、上記第2の樹脂層をマスクとして、上記第2の転写用基板をエッチングする工程と、を含み、上記第1の転写用基板及び上記第2の転写用基板は、それぞれ独立して、SiO 2 基板、ガラス基板、Si基板、及び表面熱酸化Si基板からなる群から選択される少なくとも1つであり、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、それぞれ独立して、アクリル系樹脂、SOG(Spin−on−Glass)、HSQ(Hydrogen Silsequioxane)等の塗布液を塗布したもの、及びUV硬化樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
このため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、凸凹形状を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、以上のように、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製方法の何れか1つの方法を用いて、表面に凸凹形状が形成された基板を作製する工程と、上記基板における凸凹形状が形成された面上に磁性膜を形成する工程と、を含むことを特徴としている。
このため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することできるという効果を奏する。
また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、以上のように、磁性膜が形成されている面上に凸部を形成する上記本発明に係る方法を用いて、表面に凸凹形状が形成された基板を作製する工程と、形成された上記凸部をマスクとして、合金生成層及び磁性膜をエッチングする工程と、エッチング後の上記基板における上記磁性膜上に保護層を形成する工程と、を含むことを特徴としている。
このため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することできるという効果を奏する。
本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製装置は、以上のように、本発明に係る、凸凹形状が形成された基板の作製方法に用いられる、供給材料と基板表面の材料との合金を凸部として形成することによって、ナノメートルオーダーの周期性を有する凸凹形状が形成された基板を作製する装置であって、不活性ガス導入手段と、基板を支持する基板支持部材と、供給材料を供給する供給源と、上記供給源から上記供給材料を原子若しくは分子の状態で発生させる供給材料発生手段と、を備える、基板上に微粒子を形成する微粒子形成装置であり、正負両極性成分を有する100kHz以上100MHz以下の範囲の高周波電圧を、上記基板及び上記支持部材の少なくとも一方に対して印加する高周波電源を備え、上記供給源は、上記微粒子を形成する基板表面へ供給材料を直接入射させることができない位置に配置されていることを特徴としている。
このため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することを可能とする、微粒子を形成することができるという効果を奏する。
更には、本発明に係る磁気記録媒体の製造装置は、以上のように、上記本発明に係る凸凹形状が形成された基板の作製装置の何れか1つを備えていることを特徴としている。
このため、簡易な方法で均一性の高い磁気微粒子の周期性パターンを一度に形成することできるという効果を奏する。
以下、本発明について詳しく説明する。
尚、本明細書における「主体とする」若しくは「主成分とする」とは、当該成分が、全成分中で最も多く含まれていることを意味し、好ましくは当該成分が50質量%以上含まれていることを意味し、最も好ましくは当該成分が100質量%含まれていることを意味する。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。
〔第1実施形態〕
(a)凸凹形状が形成された基板の作製装置
本実施形態に係る微粒子形成装置(凸凹形状が形成された基板の作製装置)の概略図を図1に示す。
図1に示すように、本実施形態に用いる微粒子形成装置11は、基板104を支持する基板支持部材102と、供給材料を基板104へ供給する供給源103とを備え、基板104に供給材料をスパッタリングにより供給することにより当該基板104上に微粒子を形成する装置である。微粒子形成装置11は、更には、正負両極性成分を有する高周波電圧を、上記基板104及び上記基板支持部材102の少なくとも一方に対して印加する高周波電源105を備え、上記供給源103は、上記微粒子を形成する基板104の表面へ供給材料を直接入射させることができない位置に配置されている。
尚、本明細書における「微粒子を形成する基板表面へ供給材料を直接入射させることができない位置」とは、例えば、上記基板104を、供給源103から放出された供給材料が直線的に到達しない位置に配置するか、後述するように、微粒子を形成する基板104の表面と供給材料を供給する供給源103との間に、供給材料が供給源103から直進して基板104表面に到達することができないように遮蔽物を設けることにより実現することができる。
更に、上記の遮蔽物については、例えば、基板104裏面方向から供給材料を供給する(基板104自体を遮蔽物とする)方法や、供給源103と基板104との間に遮蔽部材を設ける方法を選択することができる。
上記高周波電源105は、インピーダンスの調整を行う整合器106を介して基板支持部材102に電気的に接続されている。
上記微粒子形成装置11では、上記基板104、基板支持部材102、及び供給源103は、真空チャンバー101内に備えられている。真空チャンバー101には、真空ポンプ107が接続され、真空チャンバー101の内部を減圧状態にすることができる。
また、真空チャンバー101には、ArやKr、Xeに代表される不活性ガスを内部に導入するためのガス配管(不活性ガス導入手段)109が接続されている。
上記微粒子形成装置11では、上記不活性ガスを導入し、高周波電圧を加えることによって真空チャンバー101内でプラズマ放電を生じさせ、スパッタリング現象を利用して基板104上に微粒子を形成することが可能となる。
本実施の形態では、上記供給源103は、基板支持部材102の表面に形成されており、基板104は、基板支持部材102の当該表面側に取り付けられる。
本実施の形態では、上記基板支持部材102は、高周波電源105が電気的に接続される部材であるので、導電性の金属材料を用いて形成されることが望ましい。
基板支持部材102の構成は、基板104を支持できるものであればよく、例えば、基板104をネジやバネで固定する構成、磁石を用いて固定する構成、真空吸着する構成等を用いることができる。
尚、上記基板支持部材102では、必ずしも基板104を積極的に固定する必要は無く、基板支持部材102上に基板104を単に載せるものであっても構わない。更に、基板支持部材102は、真空チャンバー101の内部で回転動作を行うものや、高周波電源105から給電される部材と基板を支持する部材とが組み合わされて成るものであっても構わない。
つまり、上記基板支持部材102における、基板104を支持する部分が直接電気的に接続された状態であってもよく、他の部材を介して間接的に電気的に接続された状態であってもよい。例えば、回転体と台座とが組み合わされて成り、回転体に基板104が保持され、台座に高周波電源105からの給電がなされる基板支持部材102であっても構わない。
上記供給源103は、基板104に対して、当該基板104表面の構成材料と合金を生成可能な供給材料を、原子若しくは分子(以下、「原子等」と略する場合もある)の状態で供給源から供給する。当該原子等の状態の供給材料は、基板104表面の材料と合金を生成し、基板104表面に当該合金の微粒子を形成することが可能なものである。
上記基板104を構成する材料と上記供給材料とが、上記合金を生成するか否かを判断するためには、例えば、状態遷移図(Phase Diagram)を用いることができる。
つまり、本明細書における「基板表面の構成材料と合金を生成可能な供給材料」とは、基板104表面の構成材料との状態遷移図において、基板104表面の構成材料との合金の領域を有する供給材料を意味する。より好ましくは、基板104表面の構成材料との状態遷移図において、使用する微粒子形成条件(温度、圧力)における基板104表面の構成材料との合金の領域を有する供給材料を意味する。
供給源103に用いる材料は、基板104表面の構成材料と合金を生成することができる供給材料を発生させることができれば特には限定されないが、例えば、元素周期表の3族〜6族に属する元素を主体とする材料から選択することができる。より具体的には、高融点材料であるV、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、及びWからなる群から選択される何れか1つの元素を主体とする材料、当該群から選択される少なくとも1つの元素を含む合金を主体とする材料、又はこれらの材料と上記基板104表面の構成材料との合金を主体とする材料が挙げられる。また、上記に記載の材料と後述する基板104表面の材料との合金を適用しても構わない。
供給源103は、基板支持部材102上に薄膜として形成されたものであってもよく、バルク状に形成されたものであってもよい。また、供給源103は基板支持部材102の全面に形成する必要は無く、少なくとも基板104によって隠される領域以外の領域に部分的に形成されていればよい。
上記基板104は、供給源103から供給される原子等と合金を生成する材料を主体とする基板であってもよいし、上記供給される原子等と合金を生成する材料を少なくとも表面に形成した基板であってもよい。
上記基板104若しくは上記基板104の表面を構成する材料は、供給源103から供給される原子等と合金を生成することができれば、特には限定されないが、例えば、SiやGeに代表される元素を主体とする半導体材料や、Alが挙げられる。
供給される原子等と合金を生成する材料を、基板104の表面に形成する場合には、基板104の母材は特に限定されず、上記の材料以外に、例えば、SiO2やAl2O3、ガラスに代表される絶縁体材料、GaAsやGaNに代表される半導体材料、種々の金属材料、及び樹脂基板を用いることができる。
尚、上記供給源103に適用する材料と基板104に適用する材料とを決定するに当っては、供給源103から供給された供給材料が基板104上で基板104の表面材料と合金微粒子を作る際に、生成する合金微粒子が基板104表面に対して馴染まない性質(濡れ性が悪い状態)を示すように材料選択することが更に望ましい。
これは、生成する合金微粒子が基板104表面に対して馴染まない性質を示すことで、微粒子(微粒子集合体)が、隣り合う微粒子との間に隙間を形成した状態で形成され、個々の微粒子を孤立させることができるためである。これにより、例えば、微粒子をマスクとしたエッチングを行う際に好適な微粒子を提供することができる。
このように、基板104上に形成される微粒子が基板104表面に対して馴染まない性質を示すようにするためには、基板104側の表面エネルギーを小さく、微粒子側の表面エネルギー及び基板104と微粒子との間の界面エネルギーを大きくすることが重要である。従って、表面エネルギーの大きな材料を微粒子の材料として用い、これに比べて表面エネルギーの小さな材料を基板104表面の材料として用いることが望ましい。表面エネルギーの大きさは、材料(元素)の融点と概ね相関があることが知られており、供給源103に用いる材料(元素)の融点が概ね1500℃を超えるような高融点材料を用いることが望ましい。つまり、基板104表面を構成する材料は、供給源103に用いる材料よりも低い融点の材料を用いることが望ましい。
また、供給源103から供給された供給材料が基板104上で基板104の表面材料と合金微粒子を生成するように、基板104表面の構成材料と供給材料とを選択することによって、供給材料が基板104表面の構成材料と合金を生成しない場合に形成される微粒子と比較して、得られる微粒子の融点を低下させることができる(供給材料に対して基板104表面の構成材料の融点が低い場合)。これにより、基板104上に形成された微粒子が、基板104表面に対して馴染まない性質を有し、且つ、エッチングマスクとして適用できる程度に粒子成長させることができる。
具体的には、例えば、基板104表面を構成する材料として、供給材料と合金を生成することができない材料を用いた場合に、基板104上で1〜2nm以下程度の極めて小さな粒子を形成するような高融点材料であっても、基板104表面を構成する材料を、供給材料と合金を生成することができる材料とすることにより、得られる微粒子(合金)の融点は供給材料の融点と比較して低下し、当該微粒子を基板104上で直径5nm〜数十nm程度の粒子にまで成長させることができる。
本実施の形態における高周波電源105は、供給源103から供給材料をスパッタリングによって叩き出すことが可能な周波数範囲、具体的には100kHz以上100MHz以下の範囲の高周波電圧を発生する電源であって、接地電圧に対して正負両方の成分を有する高周波電圧を供給可能なものである。例えば、高周波スパッタリングの電源として一般的な13.56MHzの高周波電圧を発生する電源を用いることができる。
上記正負両方の成分を有する高周波電圧の波形の一例を図2に示す。
図2に示すように、高周波電源105が発生する高周波電圧は、例えば、略正弦波の形状をしており、接地電圧(図2中の0のライン)に対して正及び負の両方の成分を有している。
ここで、高周波電圧の最大値と最小値との差をVpp、高周波電圧の平均値から接地電圧を引いた値をVdcとすると、接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有するためには、VppがVdcの絶対値よりも大きくなるように設定されていればよい。
尚、図2では、一例としてVdcが負の場合の波形を図示しているが、必ずしもVdcは負である必要は無く、正であっても構わない。
真空ポンプ107は、真空チャンバー101を減圧状態にすることができるポンプであればどのようなものを用いても構わないが、例えば、ロータリーポンプ又はドライポンプと、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、及びディフュージョンポンプから選ばれる何れかのポンプとを組み併せて用いることができる。
尚、図1では、高周波電源105における基板支持部材102側と反対側は接地状態としてあり、且つ、真空チャンバー101の壁面と同電位として図示してあるが、基板支持部材102に対して高周波電位を印加することができるものであればよく、このような構成に限るものではない。具体的には、例えば、真空チャンバー101内に対向電極を配置し、これを高周波電源105の基板支持部材102側と反対側と同電位としてもよい。
(b)微粒子の形成方法
本実施形態の微粒子形成は、以下のような手順で行われる。
まず、真空ポンプ107を用いて真空チャンバー101の真空引きを行い、真空チャンバー101内を減圧状態とする。このときの到達真空度は特に限定するものではないが、汚染物の影響を小さくする観点から、例えば、1×10−3Pa以下、より望ましくは1×10−4Pa以下とする。続いて、ガス配管から不活性ガスを導入する。このときの真空チャンバー101内部の圧力(ガス圧)は、例えば、1×10−2Pa〜1Pa程度とする。
続いて、高周波電源105に通電し、基板支持部材102に対して高周波電圧を印加する。このとき、真空チャンバー101内に不活性ガスが導入されていることによってプラズマ放電が生じ、スパッタリングが起こる。
このときの高周波電圧の最大値と最小値との差(Vpp)は、例えば200V〜2000Vに設定する。高周波電圧の平均値から接地電圧を引いた値(Vdc)は、例えば−500V〜+100Vとする。また、VppとVdcとの関係は、VppがVdcの絶対値よりも大きくなるように設定する。これにより、高周波電圧は、接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有することになる。尚、上記不活性ガス導入と高周波電圧の印加とは、順序が逆であっても構わない。
上記高周波電圧の大きさは、基板支持部材102に対する入射電力と反射電力とによって制御されるものであっても構わない。上記入射電力は、入射電力を基板支持部材102における基板104取り付け面の面積で割った単位面積当りの入射電力が、例えば0.02W/cm2〜1.2W/cm2程度となるように設定する。反射電力は、できる限り小さいことが望ましいが、例えば入射電力の1割以下程度とする。
ここで、基板支持部材102に、接地電圧に対して負の電圧が印加されている時間範囲では、真空チャンバー101内の不活性ガスイオンに対し、基板支持部材102に衝突する方向の運動エネルギーが与えられ、不活性ガスイオンは供給源103及び基板104表面に衝突して、それぞれの表面に存在する原子等を物理的に叩き出す。
一方、接地電圧に対して正の電圧が印加されている時間範囲では、真空チャンバー101内の不活性ガスイオンに対し、基板支持部材102から離れる方向の運動エネルギーが与えられ、供給源103及び基板104から叩き出された原子等は基板104の表面に付着する。
このようにして、供給源103及び基板104表面において叩き出しと付着とを繰り返すことにより、基板104の表面で供給源103から供給された原子等と基板104から叩き出された原子等とが合金を生成しながら粒子成長する。
このとき、供給源103から供給される供給材料が、基板104の表面を構成する材料と比べて融点が高い材料である場合には、基板104上で成長した粒子は、基板104表面に対して馴染まない性質を示し、粒子同士の間に隙間を作りながら基板104上に周期性を持った孤立微粒子(集合体)が形成される。上記の微粒子を形成する形成時間は特に限定するものではないが、例えば、100秒〜3600秒程度の範囲とすることができる。
最後に、高周波電圧の印加を停止し、プラズマ放電を終了させることにより、ナノメートルオーダーの高い周期性で微粒子(凸凹形状)を形成することができる。
尚、本実施形態では、基板104における微粒子を形成する面(図1に示した基板104の紙面上側の面)に、供給源103から放出された供給原子等が直接入射しない配置(微粒子を形成する面に供給元素が直線的に入射することを妨げられる配置)となっている。
具体的には、基板104自体に妨げられて、供給源103から放出された供給原子等が直接基板104における微粒子を形成する面に入射しないようになっている。
このような配置を取ることで、スパッタリングによって供給源103から叩き出されたエネルギーやサイズ分散の大きなスパッタリング粒子のうち、高エネルギーの成分が直接基板104表面に到達することを防ぎ、基板104を迂回したエネルギーの低い粒子のみが基板104表面に到達して高周期性の微粒子(凸凹形状)が形成される。
また、本実施形態では、スパッタリング装置において主として基板104表面をクリーニングするために用いられる逆スパッタリングを用いてもよい。使用するスパッタリング装置の逆スパッタリングが、上記のように接地電圧に対して正及び負の両方の成分を発生する高周波電源を用いて行うものであれば、本実施形態と同様に微粒子を形成することができる。
逆スパッタリングを利用する場合も、基板104を支持する部材(基板支持部材102に相当)表面に、予め供給源103となる材料を形成しておき、基板104を取り付けた後、不活性ガス雰囲気中で逆スパッタリングを行う。これにより、供給源103及び基板104の表面から叩き出された原子等が基板104上に付着し、運動エネルギーを与えられることによって合金となり、粒子成長して周期性を持った微粒子となる。このように逆スパッタリングを利用すれば、基板104の表面クリーニングと微粒子形成とを一度に行うことができ、効率的である。
本実施形態において、Vdcは正であっても負であっても構わないが、負であることがより好ましい。これは、Vdcを負とすることにより、供給源103及び基板104以外から飛来する不純物原子等が基板104へ付着することを防ぐことができると共に、基板104を微粒子形成装置11内に導入する以前に表面に吸着した不要な吸着物を、上記の微粒子形成プロセスと同時に除去することができるためである。これにより、基板104表面の吸着物が初期成長核となり、微粒子の成長を妨げて粒子サイズが不均一になることを防ぐことができる。
本実施形態において、基板104と基板支持部材102とは電気的に導通していてもよく、導通していなくても構わない。電気的に導通していない場合であっても、基板104の極近傍に基板支持部材102が存在するため、基板支持部材102に向かう運動エネルギーを与えられたイオンが基板104にも到達する。このため、導通している場合と同様の効果が得られる。
具体的には、例えば、基板104として不導体の母材に、供給源103から供給される原子等と合金を生成する材料を表面に形成したものを用いる場合でも高周期性の微粒子(凸凹形状)が得られる。また、基板支持部材102を介さずに基板104に直接高周波電圧が印加されていても構わない。
本実施形態において、周期性を持った微粒子(凸凹形状)を得るためには、(i)供給源103を構成する材料(供給源103から供給される材料)と基板104の表面に存在する材料とが合金を生成する組み合わせであること、(ii)基板104に対して高周波電圧が印加されること、(iii)基板104と供給源103との配置が、供給源103から基板104に対して供給される原子等が直接入射しない配置であること、である。
従って、これら(i)〜(iii)の要素を満足するための装置構成であればよく、必ずしも図1に示した装置構成に限定されるものではない。
例えば、図3に示す微粒子形成装置11’のように、基板支持部材102自体が供給源であってもよく、図4に示す微粒子形成装置11’’のように、供給源103が基板支持部材102とは別の部材として配置されていても構わない。
更には、図4に示す構成において、供給源103に電圧(電力)を供給する電源と、基板104に電圧(電力)を供給する電源とが別個の電源であっても構わない。このとき、供給源103に電圧(電力)を供給する電源は高周波電源ではなく、直流電源であっても構わない。また、図1、図3、及び図4の構成において、基板支持部材102に対する高周波電圧の印加は、基板104に印加されてもよい。
図4において、供給源103には高周波電源105からの電源供給がなされずに、供給源103に対してイオンビームや電子ビームを照射して供給源103から原子等を供給するためのイオン源や電子源が備えられていてもよい。又は、供給源103を加熱して分子を蒸発させるための加熱源が備えられたものであってもよい。
更には、図5に断面図を示す微粒子形成装置11’’’のように、ディスク状の基板104が、基板支持部材102、内周支持部材102a(基板支持部材102に対して例えば磁石やネジ止めで固定される)、及び必要に応じて用いられる外周リング102b(同じく、基板支持部材102に対して例えば磁石やネジ止めで固定される)によって保持されるものであっても構わない。そして、この場合には、図5に示すように、基板支持部材102、内周支持部材102a、及び外周リング102bの露出面に供給源103を形成してもよい。
ここで、図5に示す構成では、内周支持部材102a、及び外周リング102bの表面に形成される供給源103は、基板104の表面に対して前方(図5における紙面上方向)に位置することになるが、微粒子を形成するための高周波電圧の印加に際して、基板104と供給源103との間にはスパッタリングを起こすような電位差が生じないために、供給源103を構成する材料が基板104に対して直接入射することが無い。
このように、基板104の表面よりも前面側(図5における紙面上方向)に供給源103が配置されていても、高周波電圧の印加に際して供給源103と基板104との間に、スパッタリングを起こすような電位差が生じない配置になっている場合についても、上記(iii)に記載の、「基板104と供給源103との配置が供給源103から基板104に対して供給される原子等が直接入射しない配置」となり、高周期性の微粒子(凸凹形状)を形成することができる。このことは、図5に示すようなディスク状の基板104に限るものではなく、他の形状の基板においても同様である。
〔第2実施形態〕
本実施の形態の他の一例について図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、本実施の形態において説明しない構成は、特に断らない限り上記第1実施形態と同じである。また、説明の便宜上、上記第1実施形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6は、本実施の形態に係る微粒子形成装置の更に他の一例の概略構成を示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態に用いる微粒子形成装置21は、第1実施形態において示した微粒子形成装置11と同様に、真空チャンバー101と、真空チャンバー101の内部に備えられた基板支持部材102と、基板支持部材102に取り付けられる基板104と、基板支持部材102に対して高周波電圧を印加する高周波電源105と、インピーダンスの調整を行う整合器106と、真空チャンバー101の真空引きを行う真空ポンプ107とを備える。
ここで、本実施形態では、基板104に対して原子等を供給する供給源203がスパッタリングのターゲット材として配置され、基板支持部材102に対して高周波電圧を印加する高周波電源105と共通、又は高周波電源105とは別のスパッタリング用電源が接続されて、供給源203から原子等がスパッタリングによって放出される。
尚、上記供給源203を構成する材料は、上述した供給源103と同じである。
加えて、本実施形態では、供給源203と基板104とを結ぶ直線上に、供給源203からの原子等が基板104に直接入射することを防ぐ遮蔽部材208が配置されている。
このように遮蔽部材208が配置されることにより、供給源203から放出された原子等は、基板104に直線的に直接到達することができず、成膜雰囲気中に存在する不活性ガスや供給源203から放出された他の原子等に衝突して散乱された原子等や、遮蔽部材208に衝突して散乱又は回折したエネルギーの低い原子等が基板104の表面に到達する。
ここで第1実施形態と同様に、基板支持部材102に印加された高周波電圧によって基板104表面で叩き出しと付着とが繰り返し起こることにより、基板104の表面で供給源203から供給された原子等と基板104から叩き出された原子等とが合金を生成しながら粒子成長する。
このとき、供給源203から供給される材料が基板104の表面を構成する材料に比べて融点が高い材料である場合には、基板104上で成長した粒子は、基板104表面に対して馴染まない性質を示し、粒子同士の間に隙間を作りながら基板104上に周期性を持った孤立微粒子が形成される。これによってナノメートルオーダーの高い周期性を有する微粒子(凸凹形状)を形成することができる。
遮蔽部材208を構成する材料は、供給源203から供給される原子等を遮蔽することができれば特に限定されないが、スパッタリングによるダメージに耐え得る部材を用いることが好ましい。例えば、ステンレスやアルミニウム、アルミニウム合金、ガラス等を用いることができる。
また、遮蔽部材208がスパッタリングされ、基板104に遮蔽部材208を構成する材料が付着しないようにするために、遮蔽部材208は接地電圧、又は基板支持部材102と同電位とすることがより好ましい。
本実施形態において、基板支持部材102の表面は、難スパッタ材料で保護されるか、第1実施形態と同様に、基板支持部材102の表面に供給源203と同じ材料が形成されることが望ましい。又は、基板支持部材102自体が供給源203と同じ材料であっても構わない。
これにより、高周波電圧の印加により基板支持部材102の構成材料が不純物として基板104に供給されることを防ぐことができる。基板支持部材102を基板104と同程度に小さくし、基板支持部材102の構成材料が基板104の表面に到達しないようにしても構わない。
本実施形態では、遮蔽部材208が存在することによって、基板104の微粒子を形成しようとする面(図6に示した基板104の上側の面)に対して、供給源203から放出された供給原子等が直接入射しない配置(微粒子を形成しようとする面に供給原子等が直線的に入射することを妨げられる配置)となっている。
このような配置を取ることで、スパッタリングによって供給源203から叩き出されたエネルギーやサイズ分散の大きなスパッタリング粒子のうち、高エネルギーの成分が直接基板104表面に到達してしまうことを防ぎ、遮蔽部材208を迂回したエネルギーの低い粒子のみが基板104表面に到達して高周期性の微粒子(凸凹形状)が形成される。
本実施形態の微粒子形成装置21を用いて、基板104の表面に高周期性の微粒子を作製する方法を用いれば、基板104に印加する高周波電圧の大きさ(Vpp及びVdc)と、供給源203に供給するスパッタリング電力とを、個別に調整することが可能であるため、微粒子の粒径、間隔、高さ及び周期性をコントロールする自由度が高まる。
本実施形態において、供給源203に供給するスパッタリング電力は、単位面積当たり例えば、0.2W/cm2〜8.2W/cm2程度とする。供給源203のスパッタリングターゲットとして直径6インチのものを用いる場合には、およそ30W〜1.5kWの電力を投入することに相当する。
基板支持部材102に対して印加する高周波電圧の最大値と最小値との差(Vpp)は、第1実施形態と同様に、例えば200V〜2000Vに設定する。高周波電圧の平均値から接地電圧を引いた値(Vdc)についても第1実施形態と同様に、例えば−500V〜+100Vとする。VppとVdcとの関係は、VppがVdcの絶対値よりも大きくなるように設定する。
これにより、高周波電圧は、接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有することになる。上記の高周波電圧の大きさは、基板支持部材102に対する入射電力と反射電力との大きさによって制御されるものであっても構わない。上記入射電力と反射電力とで制御する場合、入射電力を基板支持部材102における基板104取り付け面の面積で割った単位面積当りの入射電力が第1実施形態と同様に、例えば、0.02W/cm2〜1.2W/cm2程度となるように設定する。反射電力は、できる限り小さいことが望ましいが、例えば入射電力の1割以下程度とする。
本実施形態の微粒子形成装置21においては、供給源203にスパッタリング電源からの電力供給がなされずに、供給源203に対してイオンビームや電子ビームを照射して供給源203から原子等を供給するためのイオン源や電子源が備えられていてもよい。又は、供給源203を加熱して分子を蒸発させるための加熱源が備えられたものであってもよい。
<第3実施形態>
本実施の形態の更に他の一例について図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、本実施の形態において説明しない構成は、特に断らない限り上記第1実施形態及び第2実施形態と同じである。また、説明の便宜上、上記第1実施形態及び第2実施形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7は、本実施の形態に係る微粒子形成装置の更に他の一例の概略構成を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態に用いる微粒子形成装置31は、第1及び第2実施形態に示した微粒子形成装置11及び21と同様に、真空チャンバー101と、真空チャンバー101の内部に備えられた基板支持部材102と、基板支持部材102に取り付けられる基板104と、基板支持部材102に対して高周波電圧を印加する高周波電源105と、インピーダンスの調整を行う整合器106と、真空チャンバー101の真空引きを行う真空ポンプ107とを備える。
また、本実施形態の微粒子形成装置31は、第2実施形態に示した微粒子形成装置21と同様に、基板104に対して原子等を供給する供給源203がスパッタリングのターゲット材として配置され、基板支持部材102に対して高周波電圧を印加する高周波電源105と共通、又は高周波電源105とは別のスパッタリング用電源が接続されて供給源203から原子等がスパッタリングによって放出される。
ここで、本実施形態の微粒子形成装置31では、図7に示すように、供給源203から放出される原子等の放電プラズマ309を外した位置に基板104が配置されている。
このように、供給される原子等の放電プラズマ309を外した位置に基板104が配置されることによって、供給源203から放出された原子等は、基板104に直線的に直接到達することが無く、成膜雰囲気中に存在する不活性ガスや供給源203から放出された他の原子等、又はチャンバー壁等の真空チャンバー101内に存在する部材に衝突して散乱又は反射されたエネルギーの低い原子等が基板104の表面に到達する。
ここで第1及び第2実施形態と同様に、基板支持部材102に印加された高周波電圧によって、基板104表面で叩き出しと付着とが繰り返し起こされることにより、基板104の表面で供給源203から供給された原子等と基板104から叩き出された原子等とが合金を生成しながら粒子成長する。このとき、供給源203の材料が基板104の材料に比べて融点が高い材料である場合には、基板104上で成長した粒子は基板104表面に対して馴染まない性質を示し、粒子同士の間に隙間を作りながら基板104上に周期性を持った孤立微粒子として形成される。これによってナノメートルオーダーの高い周期性を有する微粒子(凸凹形状)を形成することができる。
放電プラズマ309の範囲は供給源203をスパッタリングした際の放電状態を目視で観察することによって概ね判別可能であるが、基板104の位置を少しずつ変えながら高い周期性が得られる範囲を確認することがより好ましい。
他の判断基準として、図7に示すように、供給源203の基板104に最も近い端部と基板104の供給源203に最も近い端部とを結んだ直線と、供給源203の表面(プラズマが発生する基板104側の表面)の延長線との成す角度をθとしたときに、θを略55度以下にすることによっても本実施形態の微粒子作製を実現することができる。
尚、多くのスパッタリング装置では、ターゲット材の周囲をアースシールドと呼ばれる部材が囲んでいる。本実施形態の微粒子形成装置31においても上記アースシールドによって、放電プラズマの一部が遮蔽された状態になっている場合には、アースシールドが遮蔽部材として機能するため、遮蔽された陰の部分に当る領域では、第2実施形態に示したように高周期性の微粒子(凸凹形状)が得られる。
従って、このような場合では、上記θが55度よりも大きい場合であっても供給源203から放出された原子等が基板104に直線的に直接入射することが無く、高周期の凸凹形状を得ることができる。
本実施形態では、放電プラズマ309を外した位置に基板104を配置したことによって、基板104の微粒子を形成しようとする面(図7に図示した基板104の上側の面)に供給源203から放出された供給材料が直接入射しない配置(供給材料が直線的には入射しない配置)となっている。このような配置を取ることで、スパッタリングによって供給源203から叩き出されたエネルギーやサイズ分散の大きなスパッタリング粒子のうち、高エネルギーの成分が直接基板104表面に到達してしまうことを防ぎ、エネルギーの低い粒子のみが基板104表面に到達して高周期性の微粒子(凸凹形状)が形成される。
尚、本実施形態においては、供給源203の横方向に放電プラズマ309を外して基板104を配置した場合についてのみ示したが、これ以外にも供給源203の表面と直交する方向(供給源203から離れる方向)に、放電プラズマ309を外して基板104を配置しても構わない。
これによれば、供給源203から放出された供給材料(原子等)が、スパッタリング雰囲気中に存在するAr等の不活性ガス分子や供給材料(原子等)に衝突して、供給源203から離れる程エネルギーを失っていくので、供給源203から離れる方向に放電プラズマ309を外して基板104を配置した場合においても、供給源203の横方向に放電プラズマ309を外して基板104を配置した場合と同じ効果が得られる。
このように、供給源203から離れる方向に放電プラズマ309を外して基板104を配置する場合には、特に限定するものではないが、供給源203と基板104との距離を、供給源203から放出される供給材料(原子等)の平均自由行程の2倍以上程度とすることが望ましい。
尚、本実施形態において、基板支持部材102は、放電プラズマ309の範囲外に配置する必要はなく、少なくとも基板104が放電プラズマ309の領域外に配置されていればよい。
本実施形態において、供給源203に供給するスパッタリング電力は、単位面積当たり例えば0.05W/cm2〜5.5W/cm2程度とする。供給源203のスパッタリングターゲットとして直径6インチのものを用いる場合には、およそ10W〜1kWの電力を投入することに相当する。
基板支持部材102に対して印加する高周波電圧の最大値と最小値との差(Vpp)は、第1及び第2実施形態と同様に、例えば、200V〜2000Vに設定する。高周波電圧の平均値から接地電圧を引いた値(Vdc)についても第1及び第2実施形態と同様に、例えば−500V〜+100Vとする。VppとVdcとの関係は、VppがVdcの絶対値よりも大きくなるように設定する。これにより、高周波電圧は、接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有することになる。
上記の高周波電圧の大きさは、基板支持部材102に対する入射電力と反射電力との大きさによって制御されるものであっても構わない。上記入射電力と反射電力とで制御する場合、入射電力を基板支持部材102の基板104にける取り付け面の面積で割った単位面積当りの入射電力が第1及び第2実施形態と同様に、例えば、0.02W/cm2〜1.2W/cm2程度となるように設定する。また、反射電力は、できる限り小さいことが望ましいが、例えば入射電力の1割以下程度とする。
本実施形態の微粒子形成装置31においても、供給源203にスパッタリング電源からの電力供給がなされずに、供給源203に対してイオンビームや電子ビームを照射して供給源203から原子等を供給するためのイオン源や電子源が備えられていてもよい。又は、供給源303を加熱して分子を蒸発させるための加熱源が備えられたものであってもよい。
〔第4実施形態〕
本実施の形態の更に他の一例について説明すれば、以下の通りである。尚、本実施の形態において説明しない構成は、特に断らない限り上記第1実施形態〜第3実施形態と同じである。また、説明の便宜上、上記第1実施形態〜第3実施形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態では、第1〜第3実施形態に記載の方法を用いて作製可能な高周期性の微粒子を配列するための方法について開示する。
例えば、ハードディスクに代表されるディスクストレージの記録媒体に、第1〜第3実施形態に記載した高周期性の微粒子をパターンドメディアとして適用しようとする場合、記録媒体のトラック長さ方向に沿って微粒子が配列されていることが望ましい。本実施形態では、基板104表面に予めライン状の段差を形成し、その段差に沿って微粒子を配列させる方法について開示する。
基板104表面に段差を形成する方法としては、例えば、フォトリソグラフィや電子線リソグラフィに代表される微細な形状の描画が可能なリソグラフィ技術と、上記リソグラフィ後に基板に段差を形成するドライ又はウェットのエッチングとを組み併せることにより実現することができる。又は、FIB(Focused Ion Beam)に代表される、基板を微小サイズで直接加工できる技術を用いても構わない。
基板104に形成する段差は高さ(深さ)が微粒子の高さ程度、具体的には3nm程度以上あればよく、段差側壁部分の底面に対する傾斜角は、側壁の最も急峻な箇所で10度程度以上あることが望ましい。
上記ディスクストレージの記録媒体に適用する場合に、トラックに相当する繰り返し段差(ライン状に繋がった凸凹の繰り返し)を形成する際には、その周期は例えば100nm以下に形成することが望ましい。このとき凹部の幅と凸部の幅との比率は同じであってもよく、何れかが広くなっていても構わない。
予め段差が形成された基板104は、真空チャンバー101内の基板支持部材102に取り付け、第1〜第3実施形態に記載の何れかの方法で、基板104の段差を形成した表面に微粒子を形成し、高周期性の凸凹形状を得る。
このとき、基板104の表面では、第1〜第3実施形態と同様に供給源103(203)から供給された原子等と、基板104表面の原子等との合金が生成されながら粒子成長が起こるが、本実施形態では基板104上には段差が形成されているために、粒子成長に際して段差を乗り越えて成長することが妨げられ、結果として予め形成された段差に沿って微粒子が配列する。
尚、本実施形態においては、段差に沿って微粒子が並ぶので、形成する段差は必ずしもトラック状に並んだものでなくてもよく、用途に応じて他の形状を採用しても構わない。
〔第5実施形態〕
本実施の形態の更に他の一例について説明すれば、以下の通りである。尚、本実施の形態において説明しない構成は、特に断らない限り上記第1実施形態〜第4実施形態と同じである。また、説明の便宜上、上記第1実施形態〜第4実施形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
第5実施形態として、第1〜第4実施形態に示した高周期性の微粒子(凸凹形状)をマスクとしてエッチングを行い、凸凹形状の高さ(深さ)を高く(深く)する方法について示す。
ここで、第1〜第4実施形態に示した微粒子の形成方法を用いれば、凸凹形状の凸部は、供給源103(203)の構成材料が含まれた微粒子となっており、供給源103の構成材料に対するエッチングレートよりも、基板104表面の材料に対するエッチングレートの方が早くなるようなエッチャントを選択し、ドライ又はウェットプロセスを用いてエッチングを行うことで、高い周期性を維持したまま凸凹形状の高さ(深さ)を高く(深く)することができる。
ドライプロセスを用いるエッチング方法としては、真空装置内に上記微粒子(凸凹形状)が形成された基板104を取り付け、フッ化物や塩化物に代表されるハロゲン系の反応性ガスを導入した状態でプラズマを生じさせてエッチングを行うRIE(Reative Ion Etching)法が特に好適である。
導入する反応性ガスとしては、例えば、CHF3、CF4、C4F8、CHF3、SF6、CCl4、CH2Cl2が挙げられる。この他にArガスを導入してエッチングを行うArミリング法も適用可能である。
ウェットプロセスを用いるエッチング方法としては、酸性又はアルカリ性の溶液中に上記微粒子(凸凹形状)が形成された基板104を浸してエッチングを行う方法が好適である。具体的には、例えば、硫酸や塩酸を含む溶液や、水酸化カリウム(KOH)水溶液、エチレンジアミン・ピロカテコール(EDP)水溶液、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)水溶液を適用することができる。
上記のドライ又はウェットプロセスを用いたエッチングにより、凸凹形状の凸部を構成する材料(基板104の表面材料と供給源103(203)を構成する材料との合金)に比べて、凹部を構成する材料(基板104の表面材料)のエッチングがより速く進むため、凸凹形状の高さ(深さ)を高く(深く)することが可能となる。
尚、ウエットエッチングを施す際には、凹部をエッチングしたエッチャントが凸部と凹部との間の側壁をエッチングしてしまうサイドエッチングにより、凸部が除去されてしまうおそれが有る。これを防ぐためには基板104の面方位を利用した異方性エッチングを用いることが好適である。具体的には、例えば基板104に面方位(110)のSi基板を用い、水酸化カリウム(KOH)水溶液、エチレンジアミン・ピロカテコール(EDP)水溶液、又はテトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)水溶液で異方性エッチングする。これにより、基板104の深さ方向に優先的にエッチングが進むため、上記サイドエッチングを軽減することが可能となる。
〔第6実施形態〕
本実施の形態の更に他の一例について、図8(a)〜図13(g)に基づいて説明すれば以下の通りである。
尚、本実施の形態において説明しない構成は、特に断らない限り上記第1実施形態〜第5実施形態と同じである。また、説明の便宜上、上記第1実施形態〜第5実施形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
第6実施形態として、第1〜第5実施形態の形成方法を用いて作製した高周期性の微粒子(凸凹形状)を磁気記録媒体に適用する形態について示す。
第1〜第5実施形態に示した高周期性の微粒子(凸凹形状)を磁気記録媒体に適用するに当っては、(I)高周期性の微粒子(凸凹形状)の上に磁気情報を記録する記録膜(磁気層)を形成する(凸凹形状を記録層の下地として用いる)方法、(II)微粒子を形成する前の基板104に予め記録膜を形成しておき、この上に第1〜第3実施形態に示した方法で高周期性の微粒子(凸凹形状)を形成した後、凸部を構成する微粒子をマスクとしたエッチング処理を施し、凸部下の記録膜以外の記録膜を除去する方法(パターンドメディア)、(III)微粒子を形成した基板104をマスタとして、他の基板に形状を転写し、転写した形状を(I)と同様に下地として用いるか、転写した形状を(II)と同様にエッチングマスクとして用いる方法、を適用することができる。
<方法(I)>
上記方法のうち、上記方法(I)に記載の、凸凹形状を記録層の下地として用いる場合の磁気記録媒体の製造方法について、図8及び図9を用いて説明する。
ここで示す方法は、特に、磁気情報を記録する記録層が、酸化し易い等の理由でエッチングすることが困難な場合に、パターンドメディアと同様に高密度の磁気記録を実現する際に好適な方法である。
図8(a)〜(c)は、製造工程の一例を示す断面図である。
まず、図8(a)の工程で、基板104上に高周期性の微粒子(凸凹形状)を形成する。具体的には、第1〜第3実施形態に示した微粒子形成方法で基板104上に微粒子610を形成する。
続いて、図8(b)の工程で、第5実施形態に示した方法を用いて、凸部を構成する微粒子610をマスクとした基板104のエッチングを行う。
続いて、図8(c)に示す工程で、磁気情報を記録する記録層(磁気層)611と記録層611を保護する保護層612とを形成して磁気記録媒体651が完成する。
記録層611に用いる材料としては、基板面に対して垂直方向に磁気情報が記録される垂直磁気異方性を持った磁性材料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、Co、Fe、又はCoFeの合金を基体とし、Cr、Ta、Ni、Pt、Pd、B、Zr、Nb、及び/又はRh等を加えた材料や、同じくCo、Fe、又はCoFeの合金を基体とし希土類金属を加えた、TbFe、TbFeCo、GdFe、GdFeCo、DyFe、DyFeCo、GdTbFeCo、TbDyFeCo、及び/又はSmCo等の希土類−遷移金属磁性体を用いることができる。尚、これらの磁性体は積層して用いても構わない。
記録層611の膜厚は、例えば5nm〜50nm程度で形成する。記録層611が高周期性の微粒子(凸凹形状)の上に形成されることにより、記録層611に記録される磁区(磁気情報に相当)の磁壁をピニングする効果が生じる。これにより、凸凹形状に応じて磁区が区切られ、凸凹形状が存在しない場合に比べて高い記録密度で磁気情報が記録できる。特に本実施形態では、凸凹形状が高い周期性を有するため、形成される磁区の大きさが揃い、磁気情報再生時のノイズが小さく読み出しエラーの少ない磁気記録媒体を提供することができる。
上記記録層611は、例えば、スパッタリング法により基板104上に形成することができる。
保護層612は、磁気ヘッド等の外部からの物理的な接触から記録層611を保護することができる材料であれば特に限定するものではないが、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜やAlN(窒化アルミニウム)、SiN(窒化シリコン)、CN(窒化炭素)等の窒化膜等が好適である。
保護層612の膜厚は、例えば2nm〜10nmで形成する。保護層612上には磁気ヘッドとの間の摩擦を軽減し、ヘッドクラッシュを防止する潤滑層が設けられていてもよい。保護層612についても記録層611と同様に、例えばスパッタリング法により形成することができる。
本実施形態において、記録層611の形成に先立ち、記録層611に外部磁界を印加して記録を行う際に膜面に垂直な方向の磁界を増強して記録を補助するための軟磁性裏打ち層を形成しても構わない。また、本実施形態に用いる基板104は、第4実施形態に示したように、予め段差が設けられたものであってもよい。
尚、図8(a)〜(c)には、基板104表面の材料が基板104の母材と同じである場合について示したが、第1〜第3実施形態に示した方法と同様に、供給源103(203)の材料と合金を生成する材料を表面に形成した基板104を用いても構わない。このとき、図8(b)におけるエッチングは、表面に形成した材料のみをエッチングするものであってもよく、表面に形成した材料と基板104の母材との両方をエッチングするものであってもよい。
また、図8(b)に示したエッチングの工程は、記録層611に磁壁のピニング効果を与える目的で行われるものであり、図8(a)に示した微粒子(凸凹形状)形成のみでピニング効果が十分に得られる場合には、図8(b)に示したエッチング処理工程は不要である。
図9(a)〜(d)は、本実施形態の磁気記録媒体製造工程(方法(I))の他の一例を示す断面図である。
図9(a)〜(d)に示す製造工程のうち、図9(a)及び(b)の工程は、図8(a)及び(b)に示した製造工程と同じものであるが、図9(c)の工程において、図9(b)で基板104のエッチング時にマスクとして用いた微粒子610を除去する点が図8に示した製造工程と異なる。
具体的には、図9(c)において、例えば、過酸化水素を含む薬液に浸して微粒子610を除去し、基板104の平坦部を表面に露出させ、図9(d)の工程において、図8(c)の工程と同様に、記録層611及び保護層612を形成して磁気記録媒体652が完成する。
図9(a)〜(d)に示した製造方法を用いれば、図8(a)〜(c)に示した製造方法を用いる磁気記録媒体に比べて、完成した磁気記録媒体の表面が平坦となるために、浮上型の磁気ヘッドを使用する際に好適な磁気記録媒体を提供することができる。
尚、図8又は図9に示した製造工程を用いて製造した磁気記録媒体では、媒体表面を平滑にするため最終的に形成された保護層612表面に対して、CMP(Chemical Mechanical Polishing)に代表される研磨方法を用いて研磨を施しても構わない。
<方法(II)>
続いて、上記方法(II)として記載した、基板104上に予め記録層を形成しておき、この上に微粒子(凸凹形状)を形成した後にエッチング処理を施し、凸部下の記録膜以外の記録膜を除去する方法(パターンドメディア)について、図10及び図11を用いて説明する。
図10(a)〜(c)は、上記方法(II)の磁気記録媒体の製造工程の一例を示す断面図である。
まず、図10(a)の工程で、基板104上に、記録層611と、供給源103の材料と合金を形成する材料から成る合金生成層613とを形成し、第1〜第3実施形態に示した微粒子形成方法で合金生成層613上に微粒子610を形成する。
上記合金生成層613は、第1〜第3実施形態において、基板104表面の材料として適用した材料と同じ材料から選択される薄膜層であり、例えば、SiやGeに代表される元素を主体とする半導体材料やAlを主体とする材料を膜厚5nm〜100nm程度で形成される。
尚、記録層611と合金生成層613との間には、保護層612が形成されていても構わない。また、図10に示す製造工程において基板104は必ずしも表面の材料が供給源103(203)の材料と合金を生成するものである必要は無い。例えば、SiO2やAl2O3、ガラスに代表される絶縁体材料、GaAsやGaNに代表される半導体材料、種々の金属材料、及び、樹脂基板を用いても構わない。
続いて、図10(b)の工程で、凸部を構成する微粒子610をマスクとして記録層611のエッチングを行う。記録層611のエッチングに際しては、第5実施形態に示した方法や、メタンガスやメタノールガス雰囲気中でRIE(Reative Ion Etching)を行う方法が適用可能である。
続いて、図10(c)の工程で、保護層612を形成し、必要に応じて磁気ヘッドとの間の摩擦を軽減し、ヘッドクラッシュを防止する潤滑層(図示せず)を形成して磁気記録媒体653を完成する。
尚、図10(a)の工程において、記録層611に外部磁界を印加して記録を行う際に膜面に垂直な方向の磁界を増強して記録を補助するための軟磁性裏打ち層を、記録層611の形成に先立ち形成しても構わない。
また、本実施形態に用いる基板104は、第4実施形態に示したように、予め段差が設けられたものであってもよい。基板104に段差を設けずに、合金生成層613に段差が設けられていてもよい。
図11(a)〜(d)は、本実施形態の磁気記録媒体製造方法(II)の他の一例を示す断面図である。
図11(a)〜(d)に示す製造工程のうち、図11(a)及び(b)の工程は、図10(a)及び(b)に示した製造工程と同じものであるが、図11(c)の工程において、図11(b)で基板104のエッチング時にマスクとした微粒子610を除去する点が図10に示した製造工程と異なる。
具体的には、図11(c)において、合金生成層613を除去できる薬液を用いて、合金生成層613とその上に形成された微粒子610とを除去する。又は、例えば過酸化水素を含む薬液に浸して微粒子610を除去する。
このようにして記録層611上に平坦部を露出させた後、図11(d)の工程において、図10(c)の工程と同様に、保護層612を形成することにより磁気記録媒体654は完成する。
尚、図11(a)〜(d)の工程において、記録層611と合金生成層613との間にこれらと異なる材料から成る剥離層を形成し、図11(c)の工程において、上記剥離層を溶解する薬液を用いて微粒子610ごと除去することによって記録層611上に平坦部を露出させても構わない。
また、微粒子610を除去する図11(c)の工程において記録層611がダメージを受けることを防ぐために、記録層611と合金生成層613との間に、保護層612が形成されていても構わない。
図11(a)〜(d)に示した製造方法を用いれば、図10(a)〜(c)に示した製造方法を用いる磁気記録媒体に比べて、完成した磁気記録媒体の表面が平坦になるために、浮上型の磁気ヘッドを使用する際に好適な磁気記録媒体を提供することができる。
尚、図10又は図11に示した製造工程を用いて製造した磁気記録媒体では、媒体表面を平滑にするため最終的に形成された保護層612表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)に代表される研磨方法を用いて研磨が施されても構わない。
<方法(III)>
続いて、上記方法(III)として記載した、微粒子を形成した基板104をマスタとして、他の基板に形状を転写して用いる方法について、図12及び図13を用いて説明する。
図12(a)〜(g)は、上記方法(III)の磁気記録媒体の製造工程の一例として、微粒子形状(凸凹形状)を他の基板に形状を転写し、転写した形状を記録層の下地として用いる場合について示す断面図である。
まず、図12(a)の工程では、図8(a)及び(b)で説明した工程と同様に、基板104上に高周期性の微粒子610を形成し、第5実施形態に示した方法を用いて、凸部を構成する微粒子610をマスクとした基板104のエッチングを行う。
続いて、図12(b)に示す工程で、微粒子610の形状を転写する第1の樹脂層615が形成された上記基板104とは別の基板(第1の転写用基板(第1の転写材料)614)を用意し、これを基板104の微粒子610が形成された面に押圧することにより転写する。
ここで用いる第1の樹脂層615は、ナノインプリント技術として知られる転写技術に用いられる樹脂を適用することが可能であって、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)に代表されるアクリル系樹脂や、SOG(Spin−on−Glass)、HSQ(Hydrogen Silsequioxane)等の塗布液を塗布したもの、UV硬化樹脂等を用いることができる。
転写時の押圧は、0.1MPa〜10MPa程度の圧力を加えて行い、必要に応じて第1の樹脂層615を軟化又は硬化させるために加熱や紫外光照射を行う。また、第1の樹脂層615上には、転写後の剥離(基板104及び微粒子610と第1の樹脂層615との間の剥離)を容易にするための剥離剤が塗布されていてもよい。
第1の転写用基板614は、転写時にかかる押圧に耐え得るものであればどのような基板を選択しても構わないが、例えば、SiO2基板、ガラス基板、Si基板、表面熱酸化Si基板等が適用可能である。
上記微粒子610の形状が転写された第1の樹脂層615を、第1の転写用基板614と共に剥離した後、図12(c)に示すように、第1の樹脂層615に転写された微粒子610の形状を、更に別の転写用基板(第2の転写用基板(第2の転写材料)616)上に形成された第2の樹脂層617に押圧して転写する。
このときの第2の転写用基板616及び第2の樹脂層617に用いる材料はそれぞれ、第1の転写用基板614及び第1の樹脂層615に示したものと同じ材料を適用することが可能であるが、第2の樹脂層617については押圧を行う段階で第1の樹脂層615よりも柔らかい状態となるように材料を選択する。
尚、第2の樹脂層617上にも第1の樹脂層615と同様に転写後の剥離を容易にするための剥離剤が塗布されていてもよい。
続いて、図12(d)に示す工程で、第1の樹脂層615の形状が転写された第2の樹脂層617を第2の転写用基板616と共に剥離し、転写時に付着した残渣を取り除くために軽度のアッシング処理を行う。
続いて、図12(e)に示す工程で、第2の樹脂層617をマスクとして第2の転写用基板616のエッチングを行い、図12(f)に示す工程で、剥離液に浸すか、又はアッシング処理を施して第2の樹脂層617を除去する。そして、図12(g)に示す工程で、記録層611及び保護層612を形成することにより磁気記録媒体655が完成する。
尚、図12(g)に示した工程において、記録層611に外部磁界を印加して記録を行う際に、膜面に垂直な方向の磁界を増強して記録を補助するための軟磁性裏打ち層を、記録層611の形成に先立ち形成しても構わない。
また、図12(a)〜(g)の製造工程では、基板104表面の材料が基板104の母材と同じである場合について示したが、第1〜第3実施形態に示した方法と同様に、供給源103(203)の材料と合金を生成する材料を表面に形成した基板104を用いても構わない。
このとき、図12(a)におけるエッチングは、表面に形成した材料のみをエッチングするものであってもよく、表面に形成した材料と基板104の母材との両方をエッチングするものであってもよい。また、本実施形態に用いる基板104は、第4実施形態に示したように、予め段差が設けられたものであってもよい。
また、図12(a)の工程に含まれる基板104のエッチングは、最終的に第2の転写用基板616上に形成される凸凹形状の高さ(深さ)を高く(深く)し、記録層611に磁壁のピニング効果を与える目的で行われるものであり、微粒子(凸凹形状)形成のみの高さでピニング効果が十分に得られる場合には、必ずしも図12(a)においてエッチング処理を行う必要はない。
また、図12(a)〜(g)の製造工程では、微粒子610の形状の転写を2回行う場合について示したが、第1の転写用基板614(第1の樹脂層615)に対する1回のみの転写であっても構わない。この場合、微粒子610の形状が転写された第1の樹脂層615をマスクとして第1の転写用基板614をエッチングし、第1の樹脂層615を除去した後に、記録層611及び保護層612を第1の転写用基板614上に形成して磁気記録媒体を完成させる。従って、この場合、最終的に形成される凸凹パターンは基板104上に形成された凸凹パターンとは逆のパターンとなる。
図13(a)〜(g)は、本実施形態の磁気記録媒体製造工程(III)の他の一例を示す断面図である。
図13(a)〜(d)に示す製造工程のうち、図13(a)及び(b)の工程は、図12(a)及び(b)の工程と同一の工程であるので説明を省略する。
図13(c)の工程において、図12(c)の工程と同様に、第1の樹脂層615に転写された微粒子610の形状を、更に別の転写用基板(第2の転写用基板616)上に形成された第2の樹脂層617に押圧して転写するが、このとき、第2の転写用基板616上には、予め記録層611が形成されている点が図12の工程と異なる。
次に、図13(d)に示す工程で、図12(d)の工程と同様に第1の樹脂層615の形状が転写された第2の樹脂層617を記録層611及び第2の転写用基板616と共に剥離し、転写時に付着した残渣を取り除くために軽度のアッシング処理を行う。
続いて、図13(e)に示す工程で、第2の樹脂層617をマスクとして記録層611のエッチングを行う。このときのエッチングに際しては、図10(b)の工程と同様に、第5実施形態に示した方法を適用するか、メタンガスやメタノールガス雰囲気中でRIE(Reative Ion Etching)を行う。
更に、図13(f)に示す工程で、図12(f)の工程と同様に、剥離液に浸すか、又はアッシング処理を施して第2の樹脂層617を除去し、図13(g)に示す工程で、保護層612を形成して磁気記録媒体656を完成させる。
尚、図13(c)に示した工程において、記録層611に外部磁界を印加して記録を行う際に、膜面に垂直な方向の磁界を増強して記録を補助するための軟磁性裏打ち層を、記録層611の形成に先立ち形成しても構わない。また、必要に応じて記録層611と第2の樹脂層617との間に保護層612を形成してもよい。
尚、図13(a)〜(g)の製造工程では、基板104表面の材料が基板104の母材と同じである場合について図示したが、第1〜第3実施形態に示した方法と同様に、供給源103(203)の材料と合金を生成する材料を表面に形成した基板104を用いても構わない。このとき、図13(a)におけるエッチングは、表面に形成した材料のみをエッチングするものであってもよく、表面に形成した材料と基板104の母材との両方をエッチングするものであってもよい。また、基板104は、第4実施形態に示したように、予め段差が設けられたものであってもよい。
また、図13(a)の工程に含まれる基板104のエッチングは、図13(e)の工程で記録層611をエッチングする際に、記録層611の膜厚分全てがエッチングできる程度に、マスクである第2の樹脂層617の高さを高くする目的で行われるものであり、第2の樹脂層617が、記録層611をエッチングするエッチャントに対して十分な耐性を有する場合には、必ずしも図13(a)においてエッチング処理を行う必要はない。
また、図13(a)〜(g)の製造工程では、微粒子610の形状の転写を2回行う場合について示したが、第1の転写用基板614(第1の樹脂層615)に対する1回のみの転写であっても構わない。
この場合、記録層611は予め第1の転写用基板614に形成しておき、微粒子610の形状が転写された第1の樹脂層615をマスクとして記録層611をエッチングし、第1の樹脂層615を除去した後に、保護層612を第1の転写用基板614上に形成して磁気記録媒体を完成させる。従って、この場合、最終的に形成される記録層611のパターンは基板104上に形成された凸凹パターンと逆のパターンとなる。
尚、図12又は図13に示した製造工程を用いて製造した磁気記録媒体では、媒体表面を平滑にするため最終的に形成された保護層612表面に対して、CMP(Chemical Mechanical Polishing)に代表される研磨方法を用いて研磨を施しても構わない。
また、本実施形態に記載の磁気記録媒体651〜656は何れも、必ずしも磁場のみによって磁気情報が記録される磁気記録媒体である必要は無く、磁場印加と略同時に磁気記録媒体の加熱を行う熱アシスト磁気記録(光アシスト磁気記録)によって情報の記録が行われるものであっても構わない。
更には、第1〜第3実施形態に記載の高周期性の微粒子(凸凹形状)形成方法は、単独で用いてもよく、何れか2つの形態又は3つ全ての形態を複合して適用しても構わない。
また、第1〜第5実施形態に記載の高周期性の微粒子(凸凹形状)形成方法を用いて形成した微粒子(凸凹形状)の用途は、必ずしも第6実施形態に示したような磁気記録媒体に限られるものではなく、他の産業用途に用いられるものであっても構わない。
例えば、基板表面に外部から取り込んだ検体を吸着又は化学反応させる反応膜を形成して、検体を分析するセンサー素子においては、本明細書に記載の微粒子(凸凹形状)を用いることで基板の表面積を大きくすることができる。特に、高周期性であることによって面積の利用効率が高いのみならず、検出感度のばらつきを小さくすることができるという効果が得られる。
また、他の用途として、カーボンナノワイヤーに代表される種々のナノワイヤーの成長基点として本明細書に記載の微粒子(凸凹形状)を用いることも可能である。非常に簡易な方法で、粒径分散が小さく高周期性の凸凹形状が得られるため、等間隔で且つ径の分散が小さいナノワイヤーを必要とする用途に好適である。
尚、以上説明した本発明は、以下のように言い換えることもできる。即ち、
(1)正負両極性成分を有する100kHz以上100MHz以下の範囲の高周波電圧を基板に対して印加すると共に、前記基板の構成材料又は前記基板上に形成された薄膜材料と合金を生成可能な供給材料を、前記供給材料が前記基板表面に直接入射しない位置に配置された供給源から供給し、前記基板上に微粒子を形成することを特徴とする微粒子形成方法。
(2)上記基板の構成材料又は上記基板上に形成された薄膜材料が、Si、Ge、Alの何れかを主体とする材料、又は、これらの合金を主体とする材料であり、且つ、上記供給材料が、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの何れかを主体とする材料、これらの合金を主体とする材料、又は、これらの材料と上記基板の構成材料又は上記基板上に形成された薄膜材料との合金を主体とする材料、の何れかであることを特徴とする上記(1)に記載の微粒子形成方法。
(3)上記基板表面への供給材料の供給がスパッタリングによって行われることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の微粒子形成方法。
(4)上記基板を支持する基板支持部材上に上記供給材料が形成されているか、又は、前記基板支持部材の少なくとも一部が上記供給材料で形成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の微粒子形成方法。
(5)上記基板と上記供給源との間に、上記供給材料が上記基板表面に直線的に入射することを防ぐための遮蔽部材が配置されていることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1つに記載の微粒子形成方法。
(6)上記基板が、上記供給源に対するスパッタリングに伴って発生するプラズマ発光領域の外側に配置されていることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか1つに記載の微粒子形成方法。
(7)上記基板上の微粒子が形成される領域内に段差が形成されていることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れか1つに記載の微粒子形成方法。
(8)上記(1)〜(7)の何れか1つに記載の微粒子形成方法を用いて形成した微粒子をマスクとして、上記基板又は上記基板上に形成された薄膜をエッチングすることを特徴とする凸凹形状形成方法。
(9)上記(1)〜(7)の何れか1つに記載の微粒子形成方法を用いて形成した微粒子形状、又は、上記(8)に記載の凸凹形状形成方法を用いて形成した凸凹形状を、第1の被転写材料に転写し、前記第1の被転写材料に転写された形状をマスクとして、前記第1の被転写材料の基体、又は、前記第1の被転写材料の基体上に形成された薄膜をエッチングすることを特徴とする凸凹形状形成方法。
(10)上記(1)〜(7)の何れか1つに記載の微粒子形成方法を用いて形成した微粒子形状、又は、上記(8)に記載の凸凹形状形成方法を用いて形成した凸凹形状を、第1の被転写材料に転写し、前記第1の被転写材料に転写された形状を、第2の被転写材料に転写し、前記第2の被転写材料に転写された形状をマスクとして、前記第2の被転写材料の基体、又は、前記第2の被転写材料の基体上に形成された薄膜をエッチングすることを特徴とする凸凹形状形成方法。
(11)上記(1)〜(7)の何れか1つに記載の微粒子形成方法を用いて表面に微粒子を形成した基板、又は、上記(8)〜(10)の何れか1つに記載の凸凹形状形成方法を用いて表面に凸凹形状を形成した基板又は基体上に磁性膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(12)上記(8)〜(10)の何れか1つに記載の薄膜が磁性膜であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<AFM(Atomic Force Microscope)観察>
本実施例における全てのAFM観察は、Veeco社製のNanoscope DI−3100を用いて行った。
(実施例1)
実施例1として、第1実施形態に示した、図1の微粒子形成装置を用いて、基板104上に高周期性を有する微粒子(凸凹形状)を形成した例を示す。
本実施例においては、到達真空度が5×10−5Paの真空チャンバー101を用い、基板支持部材102にステンレスを用いた。基板支持部材102表面には、予めスパッタリング装置を用いてTaを膜厚100nm形成し、これを供給源103として用いた。このときのTa膜は、基板支持部材における基板104取り付け面全面に形成した。基板104にはBがドープされたP型Siウエハ(面方位(100))を用いた。基板104は上記Ta薄膜が形成された基板支持部材102上にバネ部材で固定した。
微粒子形成時に真空チャンバー101に導入する不活性ガスはArガスとし、ガス導入時の圧力が、8.6×10−2Paとなるように設定した。
高周波電源105には、周波数13.56MHzであり1kWまでの電力印加が可能な電源を使用し、高周波電源105から基板支持部材102への高周波電圧の印加に際しては、図1に示すように、高周波電源105の基板支持部材102側と反対側が電気的に接地され、真空チャンバー101側壁と同電位となるように接続し、入射電力が一定となるように制御を行った。尚、本実施例では、入射電力が200Wとなるように印加した。
本実施例で用いた基板支持部材102の基板104取り付け面の直径は550mmであったので、入射電力の単位面積当たりの大きさは0.08W/cm2に相当する。加えて、整合器106で調整を行い反射電力は5W以下とした。
これにより、微粒子(凸凹形状)を形成している時間中に、Vdcは−110V〜−140Vの範囲で、Vppは820V〜850Vの範囲で、それぞれ変化した。これは、印加した高周波電圧が接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有する状態である。
高周波電圧の印加時間は900秒間連続とした。基板支持部材102における基板104取り付け面と、これと対向する真空チャンバー101壁との距離は200mmとした。
本実施例の方法で微粒子(凸凹形状)を形成した基板104の表面形状を、AFMを用いて観察した結果を図14及び図15に示す。
図14は300nm角の走査範囲で表面を観察した結果の斜視図、図15は1μm角の走査範囲で表面を観察した結果の上面図である。
図14、図15に示すように、本実施例で作製した微粒子(凸凹形状)は、1μm角の範囲での最大高低差が5.0nm、算術平均粗さRaが0.52nmの周期的な微粒子が並んだ形状であった。また、微粒子は互いに孤立して形成されている様子が見られた。
図16には、作製した微粒子(凸凹形状)の基板面に平行な方向の周期性を確認するために、図15に示した1μm角のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラム(2D−spectrum)の図(図16(a))、及び、同じく1μm角の測定結果を2次元フーリエ変換したパワースペクトル密度(Power Spectrum Density:PSD)のグラフ(図16(b))をそれぞれ示す。
図16(a)に示す2次元スペクトラムは、図の明るい箇所ほど強度が強いことを示すものであり、部分的に明るい箇所はその場所(周波数)の周期成分がそれ以外の周期成分に比べて特に強いことを示すものである。
図16(a)の結果から、11nm〜30nmの範囲に相当する周波数の範囲でリング状の明るい部分が見えており、本実施例で作製された微粒子(凸凹形状)が11nm〜30nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが明らかとなった。またリング状であることから基板面に平行な方向に等方的に配置されている。
一方、図16(b)に示したパワースペクトル密度からも、11nm〜30nmの範囲に明瞭なピークが現れており、ピークの最も高い位置は19nmであった。
以上の結果から、本実施例で作製された凸凹形状が11nm〜30nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることを確認することができた。
尚、本実施例では、P型のSiウエハを基板104として用いたが、N型のSiウエハでも同様の結果が得られた。更にはドープ元素量や面方位の異なるSiウエハにおいても同様の結果が得られた。このように、基板104は必ずしも純粋な元素である必要は無く、供給源103の材料と合金を生成する材料が主体となっていればよい。
本実施例で作製した試料の表面を、オージェ分光法を用いて元素分析したところ、基板104の表面材料であるSi以外に、供給源103に用いたTaが検出された。即ち、本実施例の工程を行うことで基板104表面にTaが付着することが確認できた。
更にArエッチングを行いながら試料の表面を削り、深さ方向の元素分析(エッチング量:5nm毎)についても行ったところ、5nmエッチングした後では僅かにTaが検出されたが、10nmエッチングしたところではTaが検出されなくなった。この深さは、AFMで観察された微粒子の高さと一致するものであり、供給源103を構成する材料であるTaは基板104の表面に形成された微粒子中に含まれている可能性が高いと考えられる。
尚、本実施例で供給源103に用いたTaは、融点が約2996℃であり、298Kにおける表面エネルギーは3018erg/cm2程度であることが知られている。これに対し、基板104に用いたSiは、融点が約1414℃であり、298Kにおける表面エネルギーは1107erg/cm2程度であることが知られている。
このように、本実施例で用いた材料(元素)の組み合わせは、供給源103に用いた材料(元素)の表面エネルギーが基板104表面の材料(元素)の表面エネルギーに比べて高く、基板104上に形成される微粒子が基板104表面に対して馴染まない性質となる材料(元素)の組み合わせとなっている。
また、本実施例において、予め基板洗浄を行って表面の自然吸着物や自然酸化膜を除去した基板104と、基板洗浄を行わず、自然吸着物や自然酸化膜が表面に付着したままの基板104との両方について表面に微粒子を作製し、形状をAFM観察で比較したが顕著な差は見られなかった。
従って、基板104表層の数nm程度に存在する吸着物の影響はさほど無く、その下に形成される数十nm程度(高周波電圧の印加によって材料が叩き出される深さ程度)に存在する材料種が特に重要である。
尚、本実施例においては、基板加熱及び基板冷却を行わなかったが、形成される微粒子のサイズや間隔を調整するために、基板加熱又は基板冷却を行っても構わない。
(参考例)
参考例として、実施例1で基板104に用いたSiウエハ(実施例1に記載した処理を行う前の状態)の表面形状をAFMで観察した結果(図17)、及び、上記AFM観察をもとに実施例1と同様に2次元スペクトラム(図18(a))及び2次元のパワースペクトル密度(図18(b))を求めた結果について示す。
図17には、300nm角の走査範囲でSiウエハ表面を観察した結果の斜視図を示す。
上記Siウエハの表面は1μm角の走査範囲で最大高低差が1.6nm、算術平均粗さRaが0.15nmであった。
また、図18(a)に示す2次元スペクトラムでは、実施例1で見られたようなリング状の明るい部分は見られず、図18(b)に示したパワースペクトル密度でも、実施例1で見られたような明瞭なピークは見られなかった。
(比較例1)
比較例1として、実施例1で用いた基板と同じSiウエハを基板104とし、実施例1で供給源103の材料として用いたTaを基板104と対向する位置にターゲットとして備えるスパッタリング装置を使用して、Taを基板104にスパッタリング成膜した結果を示す。
上記Taの成膜に際しては、スパッタリング装置の到達真空度を実施例1と同じ5×10−5Paとし、実施例1と同様にArガスを導入して、ガス導入時の圧力が8.6×10−2Paとなるようにした。Taターゲットは直径6インチのものを用い、放電可能な最小電力であるDC20Wの電力をターゲットに加えて900秒間スパッタリング成膜を行った。ターゲットと基板104との間の距離は160mmとした。基板104並びに基板支持部材102に対しては、実施例1で行ったような高周波電圧の印加は行わなかった。
図19に、上記の方法で作製した比較例1の試料について、表面形状を300nm角の走査範囲でAFMを用いて観察した結果を示す。
図19に示すように、比較例1では実施例1に示したようなナノメートルオーダーの周期性の有る凸凹形状は見られず、1μm角の走査範囲で観察した際の最大高低差が2.2nm、算術平均粗さRaが0.16nmと実施例1よりも小さな値であった。
図20(a)及び(b)に、比較例1について、上記AFM観察(走査範囲:1μm角)をもとに2次元スペクトラム及び2次元のパワースペクトル密度を求めた結果について示す。
図20(a)に示す2次元スペクトラムからは、実施例1で見られたリング状の明るい部分は見られず、図20(b)に示したパワースペクトル密度には、明瞭なピークは現れなかった。これらの結果から、比較例1の試料では周期性を持った微粒子(凸凹形状)は形成されていないことが確認された。
この他に、Arガス圧力、スパッタリング時の入射電力、成膜時間をそれぞれ変化させて試料を作製したが、何れの場合でも実施例1で得られた周期性を持った微粒子(凸凹形状)を形成することはできなかった。
本比較例の結果は、実施例1で得られたような周期性を有する微粒子(凸凹形状)を形成するためには、単に供給源103から基板104に対して原子等を供給するだけでは無く、基板支持部材102に対して(基板104と導通している場合には基板104に対しても)接地電圧に対して正負両方の成分を持った高周波電圧が印加され、表面の叩き出しと再付着とが繰り返し起こることが重要であることを示すものである。
(比較例2)
比較例2として、比較例1にターゲット材料として用いたTaに代わり、Alをターゲット材料とした例について示す。本比較例においても、比較例1で用いたSiウエハを基板104とし、基板104と対向する位置にAlターゲットを備えるスパッタリング装置を使用して、Alを基板104にスパッタリング成膜した。
上記Alの成膜に際しては、スパッタリング装置の到達真空度を比較例1と同じ5×10−5Paとし、比較例1と同様にArガスを導入して、ガス導入時の圧力が8.6×10−2Paとなるようにした。Alターゲットは直径6インチのものを用い、DC400Wの電力をターゲットに加えて10秒間スパッタリング成膜を行った。ターゲットと基板104との間の距離は160mmとした。基板104並びに基板支持部材102に対しては、実施例1で行ったような高周波電圧の印加は行わなかった。
図21には、上記の方法で作製した比較例2の試料について、表面形状を300nm角の走査範囲でAFMを用いて観察した結果を示す。
図21に示すように、本比較例ではAlの融点が低いために基板104上で粒子の凝集が起こり、凸凹形状が確認された。1μm角の走査範囲で観察した際の最大高低差は7.8nm、算術平均粗さRaは0.58nmであった。但し、実施例1に比べて個々の凸凹の大きさにばらつきが見られる結果であった。
図22(a)及び(b)に、比較例2について、上記AFM観察(走査範囲:1μm角)をもとに2次元スペクトラム及び2次元のパワースペクトル密度を求めた結果について示す。
図22(a)に示した2次元スペクトラムからは、実施例1で見られたようなリング状の明るい部分は見られず、図22(b)に示したパワースペクトル密度には、明瞭なピークは現れなかった。
これらの結果から、比較例2の試料では、Alの凝集により、基板104表面に凸凹形状を形成することは可能であるが、形成される凸凹の形状は均一性が低いことが明らかとなった。スパッタリング成膜によって凸凹形状を形成すると、基板104表面に到達する粒子のエネルギーや、粒径を揃えることが困難であり、周期性を持った凸凹形状を形成することは難しいことを示すものである。
この他に、Arガス圧力、スパッタリング時の入射電力、成膜時間をそれぞれ変化させて試料を作製したが、何れの場合でも実施例1で得られた高い周期性を得ることはできなかった。
(比較例3)
本比較例では、実施例1において、供給源103の材料をTaからAlに変更したこと以外は実施例1と全く同様の操作を行った。
供給源103のAlの形成に際しても、実施例1のTaと同じ方法を用い、予めスパッタリング装置を用いてAlを基板支持部材102表面に膜厚100nm形成し、これを供給源103として用いた。
図23に、上記の方法で作製した比較例3の試料について、表面形状を300nm角の走査範囲でAFMを用いて観察した結果を示す。
図23に示すように、比較例2では実施例1に示したようなナノメートルオーダーの周期性の有る微粒子(凸凹形状)は見られず、1μm角の走査範囲で観察した際の最大高低差が2.1nm、算術平均粗さRaが0.13nmと実施例1よりも小さな値であった。
また、上記AFM観察をもとに2次元スペクトラム及び2次元のパワースペクトル密度を求めた結果、参考例や比較例1と同様に、2次元スペクトラムには実施例1で見られたようなリング状の明るい部分は見られず、パワースペクトル密度には明瞭なピークは現れなかった。これらの結果から、比較例2の試料では周期性を持った微粒子(凸凹形状)は形成されていないことが確認された。
本比較例で供給源103に用いたAlは、基板104に用いたSiと合金を生成しない材料であり、更にSiよりも融点が低い。本比較例の結果は、供給源103に用いる材料と基板104の表面の材料とが合金を生成する材料であること、及び、供給源103に用いる材料の融点が基板104表面の材料よりも高融点であることが望ましいことを示す結果である。
この他に、供給源103の材料として、難スパッタ材料であるMgOについても検討し、Alの場合と同様に、実施例1で得られた周期性を持った微粒子(凸凹形状)を形成することはできないことを確認した。即ち、基板104表面に対する他の元素供給が無い状態でも、周期性を持った微粒子(凸凹形状)を形成することはできないことを確認した。
(比較例4)
比較例4では、実施例1において、基板104をSiウエハから、Siウエハの表面を熱酸化した熱酸化Siウエハに変更したこと以外は実施例1と全く同じ操作を行った。
本実施例で使用した熱酸化Siウエハは、Siウエハを熱酸化し、表面から500nm以上の厚さが酸化Siとなっている熱酸化Siウエハである。
図24は、上記熱酸化Siウエハを基板104に用いて作製した比較例4の試料について、表面形状を300nm角の走査範囲でAFMを用いて観察した結果を示す。
図24に示すように、比較例4では比較例1及び3と同様に、実施例1に示したようなナノメートルオーダーの周期性の有る微粒子(凸凹形状)は見られず、1μm角の走査範囲で観察した際の最大高低差が2.7nm、算術平均粗さRaが0.19nmと実施例1よりも小さな値であった。
また、上記AFM観察をもとに2次元スペクトラム及び2次元のパワースペクトル密度を求めた結果、参考例や比較例1〜3と同様に、2次元スペクトラムには実施例1で見られたようなリング状の明るい部分は見られず、パワースペクトル密度には明瞭なピークは現れなかった。これらの結果から、比較例4の試料においても周期性を持った微粒子(凸凹形状)は形成されていないことが確認された。
本比較例における基板104表面の酸化Siは、供給源103に用いたTaと合金を生成しない材料であり、本比較例の結果は、比較例2と共に、供給源103に用いる材料と基板104の表面の材料とは合金を生成する材料であることが望ましいこと示す結果である。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において900秒間とした基板支持部材102に対する高周波電圧の印加時間を変化させたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
表1に、作製した試料表面のAFM観察結果(走査範囲:1μm角)から得られた、最大高低差Rmax、算術平均粗さRa、2次元のパワースペクトル密度(PSD)のグラフに現れる明瞭なピークの範囲、上記ピークの最高位置、及び基板104上に形成された微粒子の平均粒径D、のそれぞれについて、高周波電圧の印加時間と併せて示す。
表1に示すように、高周波電圧の印加時間が長くなるのに伴って、凸凹形状が高く(深く)なり、パワースペクトル密度(PSD)のピークは長周期側へシフトした。ここで、パワースペクトル密度(PSD)のグラフに現れる明瞭なピークは、試料表面に形成された凸凹形状の面内2次元方向の周期を表すので、ピークが長周期側へシフトすることは、凸凹形状が高い周期性を保ったまま、繰返し周期が長くなっていることを表している。
表1の結果から、高周波電圧の印加時間を変化させることにより、微粒子(凸凹形状)の高さ(深さ)を調整することが可能であると共に、高い周期性を保ったまま、用途に応じて容易に周期及び粒径を調整することが可能な製法であることが分かる。
尚、本発明に係る製法では、高周波電圧の印加時間は、例えば30秒以上3600秒以下の範囲内であることが特に望ましい。印加時間が30秒以上である場合には、微粒子(凸凹形状)を高い周期性を持って表面に安定して成長させることができる。また、3600秒以下であれば、高い周期性を持った微粒子(凸凹形状)を効率良く作製することが可能である。つまり、印加時間が3600秒を超える場合であっても、高い周期性を持った微粒子(凸凹形状)を作製することは可能であるが、プロセス時間が長いために生産上非効率である。
(実施例3)
実施例3では、実施例1において200Wとした入射電力を変化させたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
表2に、作製した試料表面のAFM観察結果(走査範囲:1μm角)から得られた、最大高低差Rmax、算術平均粗さRa、2次元のパワースペクトル密度(PSD)のグラフに現れる明瞭なピークの範囲、上記ピークの最高位置、及び、基板104上に形成された微粒子の平均粒径D、のそれぞれについて、高周波電圧を発生させるための入射電力、及び、印加時間と併せて示す。
表2に示した試料のうち、試料3−1〜3−3については、高周波電圧の印加時間を実施例1と同じ900秒とし、試料3−4及び3−5については、3600秒とした。他の作製条件については、何れの試料も実施例1と同じとした。
試料作製中の高周波電圧の最大値と最小値との差(Vpp)は、入射電力を200Wとした試料3−1及び3−5で820V〜850V、300Wとした試料3−2で1000V〜1060V、400Wとした試料3−3で1160V〜1220V、100Wとした試料3−4で570V〜600V程度であった。
また、高周波電圧の平均値から接地電圧を引いた値(Vdc)は、入射電力を200Wとした試料3−1及び3−5で−110V〜−140V、300Wとした試料3−2で−160V〜−190V、400Wとした試料3−3で−190V〜−220V、100Wとした試料3−4で−75V〜−95V程度であった。
このように表2に示した試料は全て、VppがVdcの絶対値よりも大きくなるように設定されており、これにより、高周波電圧は、接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有するものであった。
表2の試料3−1〜3−3に示すように、入射電力が大きくなる(Vpp及びVdcの絶対値が大きくなる)のに伴って、凸凹形状が高く(深く)なり、パワースペクトル密度(PSD)のピークは長周期側へシフトし、平均粒径が大きくなった。
ここで、パワースペクトル密度(PSD)のグラフに現れる明瞭なピークは、試料表面に形成された凸凹形状の周期を表すので、ピークが長周期側へシフトすることは、凸凹形状が高い周期性を保ったまま、繰返し周期が長くなっていることを表している。
また、表2の試料3−4及び3−5の結果からも、入射電力が大きくなる(Vpp及びVdcの絶対値が大きくなる)のに伴って、凸凹形状が高く(深く)なり、パワースペクトル密度(PSD)のピークは長周期側へシフトし、平均粒径が大きくなる様子が見られた。
以上の表2の結果から、入射電力を変化させる(高周波電圧のVppやVdcを変化させる)ことにより、微粒子(凸凹形状)の高さ(深さ)を調整することが可能であり、高い周期性を保ったまま、用途に応じて容易に周期及び粒径を調整することが可能な製法であることが分かる。
本発明に係る製法では、高周波電圧の最大値と最小値との差(Vpp)は、例えば100V以上2000V以下の範囲内とすることが特に望ましい。Vppが100V以上であれば、供給源103に衝突する不活性ガスイオンの運動エネルギーが十分高くなり、供給源103から供給材料を効率よく叩き出すことができ、基板104上に微粒子(凸凹形状)を安定して形成することができる。
一方、Vppが2000V以下であれば、基板104に衝突する不活性ガスイオンの運動エネルギーが大きくなりすぎることを抑制することができ、基板104に意図しないダメージを与え、不均一な凹凸形状が形成されることを抑制することができる。このため、基板104上に高い周期性の微粒子(凸凹形状)を安定して形成することができる。
(実施例4)
実施例4とでは、実施例1において8.6×10−2PaとしたArガス導入時の圧力を変化させたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
表3に、作製した試料表面のAFM観察結果(走査範囲:1μm角)から得られた、最大高低差Rmax、算術平均粗さRa、2次元のパワースペクトル密度(PSD)のグラフに現れる明瞭なピークの範囲、上記ピークの最高位置、基板104上に形成された微粒子の平均粒径D、及び、微粒子粒径の標準偏差σのそれぞれについて、Arガス導入時の圧力(ガス圧)及び入射電力と併せて示す。
表3に示した試料のうち、試料4−1、及び4−2については、入射電力の値を実施例1と同じ200Wとし、試料4−3については300Wとした。他の作製条件については、何れの試料も実施例1と同じとした。
試料作製中の高周波電圧の最大値と最小値との差(Vpp)は、ガス圧を8.6×10−2Paとした試料4−1で820V〜850V、1.3×10−2Paとした試料4−2で640V〜720V、1.3×10−2Paとし、入射電力を300Wとした試料4−3で730V〜800V程度であった。
また、高周波電圧の平均値から接地電圧を引いた値(Vdc)は試料4−1で−110V〜−140V、試料4−2で−160V〜−190V、試料4−3で−220V〜−250V程度であった。このように表3に示した試料は全て、VppがVdcの絶対値よりも大きくなるように設定されており、これにより、高周波電圧は、接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有するものであった。
表3の試料4−1と4−2とを比較すると、試料4−2の方が凸凹形状が低く(浅く)なっており、パワースペクトル密度(PSD)のピークが短周期側に有り、平均粒径が小さくなった。
更に、試料4−1及び4−2の微粒子径の標準偏差σを比べると、ガス圧が低い試料4−2の方が標準偏差σが小さくなっていることが分かる。このことは低いガス圧力下で凸凹形状を形成することにより、微粒子の粒径分散を小さく抑えることができることを示している。
本製法において、凸凹形状を形成する際のガス圧範囲は、1.0×10−2Pa以上1.0Pa以下の範囲内であることが特に望ましい。ガス圧が1.0×10−2Pa以上であれば、安定してプラズマ放電を得ることができる。また、1.0Pa以下であれば、導入した不活性ガスが微粒子中に取り込まれることを抑制することができ、微粒子の均一性をより高くすることができる。
但し、供給源103から原子等を叩き出す方法が、本実施例に示したようなスパッタリング法ではなく、イオンビームや電子ビームを照射する方法や、加熱により分子を蒸発させる方法を選択する場合には、より低いガス圧力下で凸凹形状を安定形成することができる。場合によっては、Arガス等の不活性ガスを導入せずに行っても構わない。
このように、供給源103から供給される原子等と、基板104表面の原子等との合金が形成され、基板104上に微粒子として形成される際には、取り込まれる不純物の量が微粒子の均一性に大きな影響を及ぼすと考えられる。このため、微粒子を形成する際に用いる真空チャンバーの到達圧力はできるだけ低く(高真空状態に)して不純物を除外し、更に、プロセス時に導入する不活性ガスは最小限とし、且つ、高純度のガスを使用することが望ましい。
次に、試料4−3は、試料4−2と同じく1.3×10−2Paのガス圧下で作製し、試料4−1と同じ平均粒径D(10nm)が得られるところまで入射電力を大きくした(300W)試料である。試料4−3を試料4−1と比べると、パワースペクトル密度グラフのピーク位置が、試料4−3の方が長周期側にあることが分かる。
即ち、試料4−3は試料4−1と同じ平均粒径を持つ微粒子が形成されていながら、その周期は試料4−1よりも長周期となっている。言い換えれば、試料4−3の方が、微粒子同士の間隔が広い形状となっている。これは、微粒子(凸凹形状)を形成する際のガス圧力を変化させることにより、形成される微粒子の粒径のみならず、微粒子の間隔を調整することができる製法であることを示す結果である。
加えて、試料4−3は、試料4−1と比べてRmax及びRaの値が大きく、基板104上に形成された微粒子の高さが高いことが分かる。このように、形成された微粒子の高さが高い試料を用いれば、実施例13に後述するような、微粒子をマスクとして基板104をエッチングする場合に、安定したマスク効果を得ることができるので、より深いエッチングを行うことが可能となるという効果が得られる。
(実施例5)
実施例5では、実施例1において真空チャンバーに導入する不活性ガスとして用いたArガスの替わりに同じ不活性ガスであるXeガスを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
導入ガス種をXeガスに変更した場合においても、実施例1と同様に高い周期性を有する微粒子(凸凹形状)がAFM観察から確認され、実施例1と同様の最大高低差、及び算術平均粗さRaが得られた。
具体的には、1μm角の範囲での最大高低差が5.3nm、算術平均粗さRaが0.55nmであった。また、微粒子は互いに孤立して形成されている様子が見られた。測定範囲が1μm角のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したパワースペクトル密度のグラフからも、11nm〜30nmの範囲に明瞭なピークが現れ、ピークが最も高い位置が19nmであった。
このように、導入ガスとしてArガス以外の不活性ガスを用いた場合においても、実施例1と同様に高い周期性を有する微粒子(凸凹形状)が形成可能である。
(実施例6)
実施例6では、実施例1において基板104に用いたSiウエハの替わりに、Siウエハの表面を熱酸化した熱酸化Siウエハの表面に、Si膜を70nmの膜厚で形成した基板を基板104として用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
本実施例に用いた熱酸化Siウエハは、比較例4で用いた熱酸化Siウエハと同じものであって、Siウエハを熱酸化し、表面から500nm以上の厚さが酸化Siとなっている熱酸化Siウエハである。
既に比較例4で示したように、基板104に熱酸化Siウエハを用いた場合には、基板104の表面が供給源103の材料(Ta)と合金を作らない酸化Siであるために、作製条件を実施例1と同じ条件にしても高周期性の微粒子(凸凹形状)が得られることは無かった。
これに対し、本実施例では、熱酸化Siウエハ上にSi膜を形成しており、基板104の表面が、供給源103の材料(Ta)と合金を生成する材料(Si)となっている点が比較例3とは異なる。
本実施例の基板104は、熱酸化Siウエハ上にスパッタリング法でSi膜を70nm成膜して作製した。到達真空度は5×10−5Paとし、Si成膜時にはArガスを導入した。成膜時のガス圧力は7.5×10−2Paとした。スパッタリングターゲットに用いたSiはBがドープされ、抵抗率が0.1Ωcm以下のSi単結晶ターゲットを用い、DCスパッタリング法で成膜した。
上記のようにして、表面にSi膜が形成された基板104を実施例1と同様に、予めスパッタリング装置を用いてTaを膜厚100nm形成した基板支持部材102上に保持した。
微粒子形成時に真空チャンバー101に導入する不活性ガスは実施例1と同様にArガスとし、ガス導入時の圧力が、1.3×10−2Paとなるように設定した。高周波電源105から基板支持部材102への高周波電圧の印加に際しては、入射電力が300Wと一定となるように制御を行い、高周波電圧の印加時間は1000秒間連続とした。試料作製中の高周波電圧の最大値と最小値との差(Vpp)は730V〜800V程度、高周波電圧の平均値から接地電圧を引いた値(Vdc)は−220V〜−250V程度であった。
本実施例の試料について、表面形状をAFMで観察した結果(図25)、及び、上記AFM観察をもとに2次元スペクトラム(図26(a))及び2次元のパワースペクトル密度(図26(b))を求めた結果について示す。
図25には、300nm角の走査範囲で試料表面を観察した結果の斜視図を示す。作製した試料の表面は1μm角の走査範囲での最大高低差が6.4nm、算術平均粗さRaが0.74nmであった。また、微粒子は互いに孤立して形成されている様子が見られた。
図26(a)に示す2次元スペクトラムでは、13nm〜38nmの範囲に相当する周波数の範囲でリング状の明るい部分が見えており、本実施例で作製された凸凹形状が13nm〜38nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが明らかとなった。
一方、図26(b)に示すパワースペクトル密度からも、13nm〜38nmの範囲に明瞭なピークが現れており、ピークが最も高い位置が23nmであった。
以上の結果から、本実施例で作製された凸凹形状は、13nm〜38nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが確認でき、基板104の表面が供給源103の材料(本実施例ではTa)と合金を生成する材料(本実施例ではSi)となっていれば高い周期性を有するナノオーダーの凸凹形状が形成できることが確認できた。
尚、本実施例のように、基板104の表面に供給源13の材料と合金を生成する材料を薄膜で形成する場合、基板104の表面が高周波電圧の印加によってエッチングされることを考慮に入れる必要がある。具体的には、凸凹形状を形成するプロセスの間で基板104からエッチングされる膜厚よりも厚い膜厚で表面に薄膜を形成しておく。これにより、エッチングによって薄膜が全て無くなり、プロセス中に下地材料が露出してしまうことを防ぐことができる。
また、本実施例においては、Bがドープされ、抵抗率が0.1Ωcm以下のSi単結晶ターゲットを用いたが、高周期性の凸凹形状が形成できればよく、これに限るものではない。添加材料や添加量が異なっていてもよく、添加物を含まないものであっても構わない。また、スパッタリングで形成された膜は単結晶ではないため、ターゲット材が必ずしも単結晶である必要は無い。
また、本実施例においては、熱酸化Siウエハ上にSi膜を形成した例について示したが、この他にも、SiO2基板、バリウムホウケイ酸ガラス基板、ポリカーボネート基板上にSi膜を形成した場合でも同じように高周期性の微粒子(凸凹形状)が確認できた。
このように、高周期性の微粒子(凸凹形状)を得るためには基板104の母材は特に限定されるものではなく、基板104の表面(表面から深さ方向に数十nm程度の範囲)に形成されている材料種が重要であることが分かる。更に、不導体材料を基板104の母材として用いても高周期性の微粒子(凸凹形状)が得られたことから、基板支持部材102と基板104とは必ずしも電気的に導通していなくても構わない。
また、本実施例においては、基板加熱及び基板冷却を行わなかったが、形成される微粒子のサイズや間隔を調整するために、基板加熱又は基板冷却を行っても構わない。
(実施例7)
実施例7として、第2実施形態に示した遮蔽部材208を有する微粒子形成装置(図6)を用いて、高周期性の微粒子(凸凹形状)を作製した一例を示す。
本実施例においては、実施例1と同様に到達真空度が5×10−5Paの真空チャンバー101を用い、基板支持部材102にはステンレスを用いた。基板支持部材102表面には、予めスパッタリング装置を用いて難スパッタ材料であるMgOを膜厚30nmで形成し、高周波電圧印加時に基板支持部材102から基板104に対して原子等が供給され難いようにした。
このときのMgO膜は、基板支持部材102の基板104取り付け面全面に形成した。基板104は実施例1と同様に、BがドープされたP型Siウエハ(面方位(100))を用いた。基板104の直径76mmとし、上記MgO薄膜が形成された基板支持部材102上にバネ部材で固定した。供給源203であるスパッタリングターゲット材には直径152mmのTaを用いた。供給源203は、基板104と対向するように配置し、基板104までの距離を160mmとした。遮蔽部材208はステンレスからなる直径216mm、厚み3mmの円盤を使用し、供給源203と基板104とを結ぶ直線上に供給源203から30mmの位置に供給源203に対向させて配置した。遮蔽部材208は電気的に接地状態とした。
このような配置とするにより、供給源203からスパッタリングによって放出された原子等(Ta)は、遮蔽部材208によって基板104に直線的に直接入射することが妨げられ、成膜雰囲気中に存在する不活性ガスや供給源203から放出された他の原子等に衝突して散乱された原子等や、遮蔽部材208に衝突して散乱又は回折したエネルギーの低い原子等が基板104に到達する。
微粒子形成時に真空チャンバー101に導入する不活性ガスはArガスとし、ガス導入時の圧力が、8.6×10−2Paとなるように設定した。高周波電源105についても実施例1と同様に、周波数13.56MHzであり1kWまでの電力印加が可能な電源を使用し、高周波電源105から基板支持部材102への高周波電圧の印加に際しては、図6に示すように、高周波電源105の基板支持部材102側と反対側が電気的に接地され、真空チャンバー101側壁と同電位となるように接続し、入射電力が一定となるように制御を行った。
本実施例では、入射電力が200Wとなるように印加した。本実施例で用いた基板支持部材102の基板104取り付け面の直径は550mmであったので、入射電力の単位面積当たりの大きさは0.08W/cm2に相当する。加えて、整合器106で調整を行い反射電力は5W以下とした。これにより、凸凹形状を形成している時間中に、Vdcは−70V〜−140Vの範囲で、Vppは820V〜850Vの範囲で、それぞれ変化した。これは、印加した高周波電圧が接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有する状態である。
高周波電圧の印加時間は600秒間連続とした。供給源203にはDCスパッタリング電源を電気的に接続し、450Wの電力を投入して上記の高周波電圧の印加に併せて600秒間Taターゲットのスパッタリングを行った。Taターゲットには直径152mmのものを用いたので、ターゲットに投入された単位面積当たりの電力は、2.5W/cm2に相当する。基板支持部材102における基板104取り付け面と、これと対向する真空チャンバー101壁との距離は200mmとした。
本実施例の方法で微粒子(凸凹形状)を形成した基板104の表面について、AFMを用いて300nm角の走査範囲で観察した結果を図27に示す。
図27に示すように、本実施例の方法を用いても、周期的な微粒子が並んだ表面形状が得られており、1μm角の走査範囲での最大高低差は7.3nm、算術平均粗さRaは0.70nmであった。また、微粒子は互いに孤立して形成されている様子が見られた。
図28には、作製した微粒子(凸凹形状)の基板面に平行な方向の周期性を確認するために、図27に示す試料のAFM測定結果(走査範囲:1μm)を2次元フーリエ変換したスペクトラム(図28(a))、及び、2次元フーリエ変換したパワースペクトル密度のグラフ(図28(b))をそれぞれ示す。
図28(a)の結果から、11nm〜31nmの範囲に相当する周波数の範囲でリング状の明るい部分が見えており、本実施例で作製された凸凹形状が11nm〜31nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが明らかとなった。またリング状であることから基板面に平行な方向に等方的に配置されている。
一方、図28(b)に示すパワースペクトル密度からも、11nm〜31nmの範囲に明瞭なピークが現れており、ピークが最も高い位置が20nmであった。以上の結果から、本実施例で作製された微粒子(凸凹形状)が11nm〜31nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが確認できた。
尚、本実施例においても、基板加熱及び基板冷却を行わなかったが、形成される微粒子のサイズや間隔を調整するために、基板加熱又は基板冷却を行っても構わない。
(実施例8)
実施例8として、第3実施形態に示した微粒子形成装置(図7)を用いて、高周期性の微粒子(凸凹形状)を作製した一例を示す。
本実施例においては、実施例1と同様に到達真空度が5×10−5Paの真空チャンバー101を用い、基板支持部材102にステンレスを用いた。基板支持部材102表面には、予めスパッタリング装置を用いて難スパッタ材料であるMgOを膜厚30nmで形成し、高周波電圧印加時に基板支持部材102から基板104に対して原子等が供給され難いようにした。このときのMgO膜は、基板支持部材102における基板104取り付け面全面に形成した。
基板104は実施例1と同様に、BがドープされたP型Siウエハ(面方位(100))を用いた。基板104の直径76mmとし、上記MgO薄膜が形成された基板支持部材102上にバネ部材で固定した。供給源203であるスパッタリングターゲット材には直径152mmのTaを用いた。供給源203と基板104とは互いの表面が平行となるように配置し、図7中の角度θが55度となるように配置した。供給源203と基板支持部材102との距離は160mmとした。
微粒子形成時に真空チャンバー101に導入する不活性ガスはArガスとし、ガス導入時の圧力が、1.7×10−2Paとなるように設定した。
高周波電源105についても実施例1と同様に、周波数13.56MHzであり1kWまでの電力印加が可能な電源を使用し、高周波電源105から基板支持部材102への高周波電圧の印加に際しては、図7に示すように、高周波電源105の基板支持部材102側と反対側が電気的に接地され、真空チャンバー101側壁と同電位となるように接続し、入射電力が一定となるように制御を行った。
本実施例では入射電力が400Wとなるように印加した。本実施例で用いた基板支持部材102における基板104取り付け面の直径は550mmであるので、入射電力の単位面積当たりの大きさは0.17W/cm2に相当する。加えて、整合器106で調整を行い反射電力は5W以下とした。これにより、微粒子(凸凹形状)を形成している時間中に、Vdcは−259V〜−300Vの範囲で、Vppは1000V〜1080Vの範囲で、それぞれ変化した。これは、印加した高周波電圧が接地電圧に対して正及び負の両方の成分を有する状態である。
高周波電圧の印加時間は300秒間連続とした。供給源203にはDCスパッタリング電源を電気的に接続し、20Wの電力を投入して上記高周波電圧印加に併せて300秒間Taターゲットのスパッタリングを行った。Taターゲットには直径152mmのものを用いたので、ターゲットに投入された単位面積当たりの電力は、0.11W/cm2に相当する。基板支持部材102における基板104取り付け面と、これと対向する真空チャンバー101壁との距離は200mmとした。
本実施例の方法で微粒子(凸凹形状)を形成した基板104の表面形状について、AFMを用いて300nm角の走査範囲で観察した結果を図29に示す。
図29に示すように、本実施例の方法を用いても、周期的な微粒子が並んだ表面形状が得られており、1μm角の走査範囲での最大高低差は5.7nm、算術平均粗さRaは0.63nmであった。また、微粒子は互いに孤立して形成されている様子が見られた。
図30には、作製した微粒子(凸凹形状)の基板面に平行な方向の周期性を確認するために、図29に示した試料のAFM測定結果(走査範囲:1μm)を2次元フーリエ変換したスペクトラム(図30(a))、及び、2次元フーリエ変換したパワースペクトル密度のグラフ(図30(b))をそれぞれ示す。
図30(a)の結果から、15nm〜38nmの範囲に相当する周波数の範囲でリング状の明るい部分が見えており、本実施例で作製された微粒子(凸凹形状)が15nm〜38nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが明らかとなった。またリング状であることから基板面に平行な方向に等方的に配置されている。
一方、図30(b)に示したパワースペクトル密度からも、15nm〜38nmの範囲に明瞭なピークが現れており、ピークが最も高い位置が25nmであった。
以上の結果から、本実施例で作製された微粒子(凸凹形状)が15nm〜38nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが確認できた。
尚、本実施例においても、基板加熱及び基板冷却を行わなかったが、形成される微粒子のサイズや間隔を調整するために、基板加熱又は基板冷却を行っても構わない。
(実施例9)
実施例9として、第3実施形態において、供給源203の基板104に最も近い端部と基板104の供給源203に最も近い端部とを結んだ直線と、供給源203の表面の延長線との成す角度θを変化させた例を示す。具体的には、図7に示した微粒子形成装置31において、基板104の位置を、基板104表面の延長線上で(即ち、基板104を平行移動させて)変化させ、角度θを変化させた。基板104の位置を変化させたこと以外は実施例8と同様の操作を行った。
まず、角度θが55度を超える場合には、作製した試料の表面は凸凹形状が形成されているものの、基板104上で成長した粒子同士が結合し、基板104の面方向にランダムに細長く繋がった形状となっていた。このときのAFM測定結果(走査範囲:1μm)を2次元フーリエ変換したパワースペクトル密度のグラフからは、明瞭なピークは見られず、高い周期性は得られなかった。
これは、基板104に対して供給源203からの原子等(Ta)が直接供給されたために、基板104へ到達した際の原子等の運動エネルギーが大きすぎ、基板104上で形成された微粒子が隣接する微粒子と衝突し、これら微粒子同士が不規則に結合したことによるものと考えられる。
一方、角度θが25度〜55度の範囲では、実施例8に示した結果と同様に、パワースペクトル密度のグラフに明瞭なピークが現れ、高い周期性を持った微粒子(凸凹形状)が形成されていることが確認された。また、微粒子は互いに孤立して形成されている様子が見られた。
本検討を行った装置では装置構成上、角度θを25度よりも小さくすることが不可能であったが、更に角度θを小さくした場合でも、必要に応じて供給源203に投入する電力を調整し、高い周期性を持った微粒子(凸凹形状)を作製することができる。
(実施例10)
実施例1〜9では、基板104の表面材料としてSiを、供給される材料(供給源103又は203)としてTaを、それぞれ用いた例について示したが、これ以外にも合金を生じ易く、基板上でナノメートルオーダーの微粒子を形成できる材料を選択すれば同様の結果が得られる。本実施例では、第1〜第3の実施形態に適用可能な材料の組み合わせについて示す。
図31〜図33に、第1〜第3の実施形態に適用可能な材料のいくつかの例についての二元状態図を示す(Binary Alloy Phase Diagrams Second Edition Volume3 1990年、ASM)。
図31には、実施例1〜9で用いたSiとTaとの二元状態図を、図32にはSiとWとの二元状態図を、図33にはSiとMoとの二元状態図をそれぞれ示す。
図31から分かるように、実施例1〜9で用いたSiとTaとの組み合わせは、SiとTaとの比率を変化しながら幅広い組成範囲で合金が形成されるため、合金が生成され易い系であることが分かる。
また、図32に示すSi及びW、図33に示すSi及びMoについても同様に、幅広い組成範囲で合金が生成される系であることが分かる。この他、上記文献の二元状態図によれば、Siに替えてGeやAlを適用した場合や、Ta、W、Moに替えて元素周期表上でこれらの材料と同じ又は周辺の族に属する材料を用いた場合の組み合わせにおいて、合金が生成され易いことが分かる。
このような合金が生成され易い組み合わせとして、必ずしも以下の範囲に限定するものではないが、元素周期表の3族〜6族に属する元素を主体とする材料と、13族〜15族に属する元素を主体とする材料との組み合わせを選択することが好ましい。更に、基板104表面に対して馴染まない性質を高めるためには、生成される合金の融点が高く、生成される合金の融点と基板104の表面を構成する材料(元素)の融点との温度差が大きいことが概ね望ましい。
このことから、供給源103(203)に適用する材料として、3族〜6族に属する高融点材料である、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選ばれる元素を主体とする材料とするか、又はこれらの合金を主体とする材料を用い、基板104の表面材料として、Al、Si、Geから選ばれる元素を主体とする材料、又はこれらの合金を主体とする材料を用いることが特に望ましい。また、上記供給源103(203)に適用する材料は、上記の供給源103(203)に好適な材料と上記基板104表面材料に好適な材料との合金であっても構わない。
(実施例11)
実施例10に示した、第1〜第3の実施形態に適用可能な材料の組み合わせの一例として、基板104にSiを、供給源103にWを用いた場合について実際に試料を作製した結果を実施例11として示す。
本実施例では実施例1に記載の作製方法を用いたが、供給源103としてTaの替わりにWを用いたこと以外に、真空チャンバー101の到達真空度を8.5×10−5Pa、Arガス導入時の圧力を1.3×10−1Pa、高周波電源105の入射電力を100Wとした点が実施例1とは異なる。
本実施例の試料の表面形状について、AFMを用いて300nm角の走査範囲で観察した結果を図34に示す。
図34に示すように、供給源103にWを用いた場合でも、周期的な微粒子が並んだ表面形状が得られており、1μm角の走査範囲での最大高低差は4.0nm、算術平均粗さRaは0.34nmであった。また、微粒子は互いに孤立して形成されている様子が見られた。
図35には、作製した微粒子(凸凹形状)の基板104面に平行な方向の周期性を確認するために、図34に示した試料のAFM測定結果(走査範囲:1μm)を2次元フーリエ変換したスペクトラム(図35(a))、及び2次元フーリエ変換したパワースペクトル密度のグラフ(図35(b))をそれぞれ示す。
図35(a)の結果から、12nm〜31nmの範囲に相当する周波数の範囲でリング状の明るい部分が見えており、本実施例で作製された微粒子(凸凹形状)が12nm〜31nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが明らかとなった。またリング状であることから基板面に平行な方向に等方的に配置されている。
一方、図35(b)に示すパワースペクトル密度からも、12nm〜31nmの範囲に明瞭なピークが現れており、ピークが最も高い位置が20nmであった。
以上の結果から、本実施例で作製された微粒子(凸凹形状)が12nm〜31nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが確認できた。
本実施例で供給源103に用いたWは、融点が3387℃程度であり、298Kにおける表面エネルギーは3468erg/cm2程度であることが知られている。
これに対し、基板104に用いたSiは、融点が約1414℃であり、298Kにおける表面エネルギーは1107erg/cm2程度であることが知られている。このように、本実施例で用いた材料(元素)の組み合わせは、供給源103に用いた材料(元素)の表面エネルギーが基板104表面の材料(元素)の表面エネルギーに比べて高く、基板104上に形成される微粒子が基板104表面に対して馴染まない性質を示すような材料(元素)の組み合わせとなっている。
(実施例12)
本実施例では、第4実施形態に示した基板104に予め段差を形成し、微粒子を一列に配列させる方法について、実際に試料を作製した例について示す。
本実施例においては、基板104として、実施例1と同じくBがドープされたP型Siウエハ(面方位(100))を用いた。基板104にはフォトリソグラフィとRIE(Reactive Ion Etching)とを用いて段差を形成した。
具体的には、フォトレジストを基板104上に膜厚1μmで塗布して乾燥させた後、Xeランプを光源とするフォトリソグラフィ装置で幅が約1μmのライン形状を露光した。続いて、露光部分を現像し、RIE装置に取り付けてCHF3とSF6との混合ガス雰囲気中で上記レジストをマスクとして基板104にライン状の段差を形成した。基板104に形成された段差は高さ(深さ)が約15nm、側壁の底面に対する傾斜角は最も急峻な箇所で16度(即ち、側壁と底面とがなす角度が106度)であった。
続いて、上記の段差が形成された基板104を真空チャンバー101に入れ、実施例1に記載した微粒子形成方法と同じ方法を用いて基板104上に微粒子を形成し、高周期性の凸凹形状を得た。
図36に、本実施例の方法で作製した高周期性凸凹形状のAFM像を示す。
図36に示すように、形成した段差に沿って微粒子が一列に配列している様子が分かる(図36中の四角で囲んだ領域)。また、段差の裾(底部)付近でこのような配列が見られていることから、段差の高さ(深さ)は必ずしも今回作製した15nmを必要とするものではなく、微粒子の高さ程度(約3nm)有れば十分である。また、微粒子の配列が見られた段差の裾(底部)近傍の底面に対する傾斜角は約10度であり、微粒子の配列に際しては傾斜角が10度程度あれば十分である。
尚、本実施例では、凹部幅が1μm程度の段差を形成した例について示したが、凹部幅、凸部幅ともに、微粒子の直径程度まで小さくしても構わない。
(実施例13)
実施例13として、第1実施形態に記載の微粒子の形成方法を用いて、高周期性の凸凹形状を形成した基板104に対し、第5実施形態に記載のエッチングを実際に施して、微粒子の凸凹形状の高さ(深さ)を高くした例について示す。
本実施例においては、エッチング処理を施す対象の試料として、実施例4に記載の試料4−3(微粒子形成時のArガス圧:1.3×10−2Pa、入射電力:300W、高周波電圧印加時間:900秒)を用いた。
上記試料4−3を、平行平板型のRIE(Reactive Ion Etching)装置に入れ、CHF3とSF6との混合ガス雰囲気中でRFプラズマを立たせ、凸凹形状の凸部(微粒子)をマスクとした凹部(基板104)の異方性エッチングを行った。
本実施例において、CHF3ガスとSF6ガスとの混合比は1:2とし、5.0Paの雰囲気中でプラズマを発生させた。RF電源の入射電力は30Wとし、反射電力を1W以下に抑えた状態で20秒間のエッチング処理を行った。
本実施例の試料の表面形状について、AFMを用いて300nm角の走査範囲で観察した結果を図37に示す。
図37に示すように、エッチング処理を行った後においても、周期的な微粒子が並んだ表面形状が得られており、1μm角の走査範囲での最大高低差は14.4nm、算術平均粗さRaは1.87nmと、エッチング前の試料4−3(最大高低差は7.2nm、算術平均粗さRaは0.70nm)に比べて凸凹形状の高さ(深さ)が高く(深く)なっていた。即ち、凸部(形成された微粒子)をマスクとして、凹部(基板104の表面材料)をエッチングできることが確認できた。
図38には、エッチング後の試料のAFM測定結果(走査範囲:1μm)を2次元フーリエ変換したスペクトラム(図38(a))、及び2次元フーリエ変換したパワースペクトル密度のグラフ(図38(b))をそれぞれ示す。
図38(a)の結果から16nm〜45nmの範囲に相当する周波数の範囲でリング状の明るい部分が見えており、本実施例で作製された凸凹形状が16nm〜45mの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが明らかとなった。またリング状であることから基板104面に平行な方向に等方的に配置されている。
一方、図38(b)に示したパワースペクトル密度からも、16nm〜45nmの範囲に明瞭なピークが現れており、ピークが最も高い位置が29nmであった。以上の結果から、本実施例で作製された試料では、エッチング処理後においても16nm〜45nmの極めて狭い範囲で強い周期性を有していることが確認できた。
また、AFM観察結果から、凸部の側壁の基板104表面に対する傾斜角を求めた結果、試料4−3では、傾斜が最も大きくなる箇所で30度であったのに対し、本実施例のエッチング後の試料では、58度と大きくなっていることが確認できた。このように、凸部(形成された微粒子)をマスクとして、凹部(基板104の表面材料)をエッチングすることにより、凸凹形状の高さ(深さ)が高く(深く)なるのみならず、側壁の傾斜角も大きくすることが可能である。
また、本実施例の結果から、実施例1に示したオージェ分光法の結果と併せて、基板104の表面に形成された微粒子にRIEに対するエッチング耐性の高いTa(供給源103の構成元素)が含まれていることが確認できた。
(実施例14)
実施例14として、第6実施形態に示した製造方法を用いて、磁気記録媒体を作製した例について示す。尚、ここでは、第6実施形態において図8(a)〜(c)に示した磁気記録媒体の製造工程を用いて作製した磁気記録媒体651について示す。
本実施例において、基板104には、ハードディスク媒体の基板として一般的に用いられるガラスディスクを適用し、この表面にBがドープされたSi膜をスパッタリング法により膜厚70nmで形成した。
まず、図8(a)の工程として、基板104の母材(ガラスディスク)が異なること以外は、実施例6と全く同じ方法で、基板104表面に高い周期性を有する微粒子610を形成させた。このとき得られた微粒子610は、実施例6と同じように13nm〜38nmの範囲で強い周期性を示すものであった。
続いて、図8(b)の工程として、実施例13に示した方法を用いて、微粒子610をマスクとしたエッチング処理を施した。本実施例では、実施例13と同様にCHF3ガスとSF6ガスとの混合比を1:2とし、5.0Paの雰囲気中でプラズマを発生させた。また、RF電源の入射電力は30Wとし、反射電力を1W以下に抑えた状態で12秒間のエッチング処理を行った。その結果、実施例13と同様に、1μm角のAFM走査範囲で最大高低差が15nm程度の凸凹形状が得られた。
続いて、図8(c)の工程として、記録層611にTbFeCoからなる記録層(磁性膜)611を膜厚15nmで形成し、続いて保護層612としてAlNを膜厚5nmで形成した。上記記録層611として用いたTbFeCoは、凸凹形状を形成していないSi基板上における特性が、補償温度が室温(25℃)以下であり、25℃における保磁力が1.5kOe(0.12A/m)、キュリー温度が180℃となるように組成比を調整したものである。
上記の工程で作製した磁気記録媒体651について、基板104面に垂直な方向に20kOe1.6A/m)の磁界を印加した後、磁界を掃引しながら極性を反転させると共に、磁界の大きさを徐々に減少させていく交流消磁(ACイレーズ)を行った。上記交流消磁後の磁気記録媒体651についてMFM(Magnetic Force Microscope)を用いて、記録層611に形成された磁区の観察を行った。上記のMFM観察は、AFM観察と同じく、Veeco社製のNanoscope DI−3100を用いて行った。
図39(a)に、図34の工程で作製した本実施例の磁気記録媒体651についてのMFM像を示す。図39(b)に、比較用として、本実施例に用いたものと同じガラスディスク上に、微粒子610の形成やエッチングを行わずに、記録層611と保護層612とを形成した磁気記録媒体についてのMFM像を併せて示す。
上記比較用の記録層611及び保護層612は、本実施例の記録層611及び保護層612と同じ材料、同じ膜厚とした。また、比較用の磁気記録媒体についても本実施例の磁気記録媒体651と同様に、交流消磁(ACイレーズ)を行った後にMFM観察を行った。尚、図39(a)及び(b)における明暗は、記録層611から発生する基板面に垂直な方向の磁界の大きさに対応しており、明るい部分及び暗い部分が記録層611に形成された磁区に相当する。
図39に示す結果から、図39(b)の比較用の磁気記録媒体では、300nm〜500nm程度の周期を中心として磁区が形成され(磁化反転が生じており)、観察した範囲で最も小さな磁区は直径が約200nmであった。
これに対し、図39(a)に示す本実施例の磁気記録媒体651では、70nm〜120nm程度の周期を中心として磁区が形成され(磁化反転が生じており)、観察した範囲で最も小さな磁区は直径が約50nmと、比較用に比べて磁区のサイズを1/4程度に減少させることができた。
これは、本実施例の磁気記録媒体651では記録層611の下地として高周期性の微粒子(凸凹形状)が形成されているので、記録層611に対してピニング効果が働いていることが原因と考えられる。即ち、凸凹形状が無ければ、本来300nm〜500nmのサイズで同じ向きに結合して磁区を形成する特性の記録層611が、上記サイズよりも小さな周期の微粒子(凸凹形状)が存在することによって、上記の300nm〜500nmのサイズで同じ向きに結合することを阻害されて、小さな磁区の状態で安定保持されていると考えられる。
図39(a)に示したMFM像からは、記録層611の下地として形成した微粒子(凸凹形状)の周期(直径25nm前後)に対応するわずかな明暗の変化も見られており、本実施例の磁気記録媒体651で実現された磁区の微細化が、下地の微粒子(凸凹形状)に起因していることが明らかである。
更に、下地の微粒子(凸凹形状)が高い周期性を有しているので、高い周期性を持たない下地を適用する場合に比べて、形成される磁区サイズの分散を小さくすることができる。これにより、磁気記録媒体に対して磁気情報の記録再生を行う際に、記録ビットが均一なサイズで形成され、再生信号品質を高めることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み併せて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、磁界を利用して磁気情報を記録する通常の磁気記録方式や、光又は熱と磁界とを利用して磁気情報を記録する光磁気記録方式や、光(熱)アシスト磁気記録方式等に適用することができる。具体的には、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスク等ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系等の記録媒体の製造に広く適用することができる。更には、外部から取り込んだ検体を分析するセンサー素子の製造や、カーボンナノワイヤーやカーボンナノチューブに代表されるナノワイヤーやナノチューブの製造に適用することができる。
本実施の形態に係る微粒子形成装置の一例の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態に係る微粒子を形成するために用いられる高周波電圧の波形の一例を示すグラフである。
本実施の形態に係る微粒子形成装置の他の一例の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態に係る微粒子形成装置の更に他の一例の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態に係る微粒子形成装置の更に他の一例の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態に係る微粒子形成装置の更に他の一例の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態に係る微粒子形成装置の更に他の一例の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法の一例を示す断面工程図である。
本実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法の他の一例を示す断面工程図である。
本実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法の更に他の一例を示す断面工程図である。
本実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法の更に他の一例を示す断面工程図である。
本実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法の更に他の一例を示す断面工程図である。
本実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法の更に他の一例を示す断面工程図である。
本実施の形態に係る微粒子形成方法を用いて形成した、実施例1の微粒子形状を観察したAFM像を示す図である。
本実施の形態に係る微粒子形成方法を用いて形成した、実施例1の微粒子形状を観察したAFM像を示す図である。
(a)は実施例1の微粒子形状のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
参考例の基板表面を観察したAFM像である。
(a)は参考例の基板のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
比較例1の試料表面を観察したAFM像を示す図である。
(a)は比較例1の試料表面のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
比較例2の試料表面を観察したAFM像である。
(a)は比較例2の試料表面のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
比較例3の試料表面を観察したAFM像を示す図である。
比較例4の試料表面を観察したAFM像を示す図である。
本実施の形態に係る微粒子形成方法を用いて形成した、実施例6の微粒子形状を観察したAFM像を示す図である。
(a)は実施例6の微粒子形状のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
本実施の形態に係る微粒子形成方法を用いて形成した、実施例7の微粒子形状を観察したAFM像を示す図である。
(a)は実施例7の微粒子形状のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
本実施の形態に係る微粒子形成方法を用いて形成した、実施例8の微粒子形状を観察したAFM像を示す図である。
(a)は実施例8の微粒子形状のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
TaとSiとの二元状態図である。
SiとWとの二元状態図である。
MoとSiとの二元状態図である。
本実施の形態に係る微粒子形成方法を用いて形成した、実施例11の微粒子形状を観察したAFM像を示す図である。
(a)は実施例11の微粒子形状のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
第4実施形態の微粒子配列方法を用いて配列させた実施例12の微粒子形状を観察したAFM像を示す図である。
第4実施形態のエッチング方法を用い、エッチングを行った実施例13の凸凹形状を観察したAFM像を示す図である。
(a)は実施例13の微粒子形状のAFM測定結果を2次元フーリエ変換したスペクトラムを示す図であり、(b)はパワースペクトル密度を示す図である。
(a)は実施例14の磁気記録媒体のMFM像を示す図であり、(b)は比較用の磁気記録媒体のMFM像を示す図である。
11 微粒子形成装置
11’ 微粒子形成装置
11’’ 微粒子形成装置
11’’’ 微粒子形成装置
21 微粒子形成装置
31 微粒子形成装置
101 真空チャンバー
102 基板支持部材
102a 内周支持部材(基板支持部材)
102b 外周リング(基板支持部材)
103 供給源
203 供給源
104 基板
105 高周波電源
106 整合器
107 真空ポンプ
109 ガス配管(不活性ガス導入手段)
208 遮蔽部材
309 放電プラズマ
610 微粒子
611 記録層(磁性膜)
612 保護層
613 合金生成層
614 第1の転写用基板(第1の転写材料)
615 第1の樹脂層
616 第2の転写用基板(第2の転写材料)
617 第2の樹脂層
651〜656 磁気記録媒体