JP4467122B2 - エンジンの燃料性状判定装置およびエンジン制御装置 - Google Patents
エンジンの燃料性状判定装置およびエンジン制御装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、揮発性の高,低による燃料性状を判定するエンジンの燃料性状判定装置、および、その判定結果に応じて燃料噴射量と点火時期との少なくとも一方を補正するエンジン制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両のエンジンに使用される燃料、特にガソリンの揮発性は、仕向地やガソリンスタンド毎に種々相違する。例えば、冬季や極寒冷地等の低温環境下では、エンジンの始動性を良好に保つため、揮発性の高い軽質のガソリンが用いられ、夏季や高温地等の高温環境下ではガソリンの揮発を抑制するため揮発性の低い重質ガソリンが用いられる。また、ガソリンの揮発性は、燃料補給による燃料タンク内の燃料のブレンド等によっても相違する。
このように燃料の揮発性は、環境条件による燃料の質の相違などに起因して変化するが、それはエンジン性能にも直接影響するきわめて重要なファクターになる。
【0003】
例えば、揮発性が高ければ、それだけ燃料の燃焼効率も上がり、不完全燃焼をなくすことができ、当然のこととしてエンジンの出力を大きく保てる。
また、揮発性が高ければそれだけ気化および霧化しやすいので、インジェクタから噴射された燃料の吸気ポート壁面付着量が減少し、その分、燃料が効率よくエンジンの燃焼室に供給される。燃焼室に燃料が効率よく供給されれば、エンジン出力も大きく保つことができる。
ところが、燃料の揮発性が低くなると、燃料の気化及び霧化の悪化によりエンジンの燃焼性が悪化し、また、燃料の吸気ポート付着量も増加する。そのため、燃料の揮発性が低い場合には、揮発性が高い場合に比べ点火時期を進角補正して燃焼性を改善し、或いは燃料噴射量を増量補正しなければ、適正なエンジン出力を保てなくなる。
【0004】
このように燃料の揮発性の高,低は、エンジンの出力に大きく影響するので、従来から、揮発性の高,低による燃料性状を判定し、その判定結果に応じて燃料噴射量や点火時期を制御する技術が種々提案されている。
例えば、本出願人は、特開平11−132092号公報により、エンジン始動から所定時間に亘り、エンジン回転数と吸入空気量センサにより検出される吸入空気量とを積算し、この吸入空気量積算値とエンジン回転数積算値との比を予め設定した判定しきい値と比較して、燃料の揮発性の高低を判定し、この判定結果に応じて燃料噴射量や点火時期を補正する技術を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記先行例による技術は、吸入空気量センサによる吸入空気量の積算値を用いて燃料性状を判定しているため、吸入空気量センサを備え、吸入空気量とエンジン回転数とに基づいて燃料噴射量を設定するいわゆるLジェトロ方式のエンジンしか適用できない。すなわち、エンジン回転数とスロットル弁下流の吸気管圧力とに基づいて燃料噴射量を設定するDジェトロ方式のエンジンや、エンジン回転数とスロットル開度とに基づいて燃料噴射量を設定するα−N方式のエンジン等、吸入空気量センサを備えていないエンジンには適用できない不都合がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、吸入空気量センサを備えるLジェトロ方式のエンジンは勿論のこと、吸入空気量センサを備えていないDジェトロ方式やα−N方式等のエンジンにも適用することが可能な汎用性に優れるエンジンの燃料性状判定装置およびエンジン制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、エンジンの運転状態に基づいてエンジンに供給される燃料の性状を判定する燃料性状判定装置において、エンジン始動後、所定時間にわたるエンジンの回転数積算値と燃料噴射量積算値とのそれぞれを算出する積算値算出手段と、エンジン回転数積算値と燃料噴射量積算値との比を求め、この積算値比と予め設定した判定しきい値との比較によって燃料性状を判定する燃料性状判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、エンジンの運転状態に基づいてエンジンに供給される燃料の性状を判定し、その燃料性状に応じて燃料噴射量と点火時期との少なくとも一方を補正するエンジン制御装置において、エンジン始動後、所定時間にわたるエンジンの回転数積算値と燃料噴射量積算値とのそれぞれを算出する積算値算出手段と、エンジン回転数積算値と燃料噴射量積算値との比を求め、この積算値比と予め設定した判定しきい値とを比較して、燃料の揮発性の高,低を判定する燃料性状判定手段と、燃料の揮発性が低いときには、燃料の揮発性が高いときに対して、燃料噴射量の増量補正と点火時期の進角補正との少なくとも一方を実行する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1或いは請求項2記載の発明において、上記燃料性状判定手段は、エンジン回転数積算値を燃料噴射量積算値により除算し、この除算値が判定しきい値以上のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値が判定しきい値未満のとき、燃料の揮発性が低いと判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1或いは請求項2記載の発明において、上記燃料性状判定手段は、燃料噴射量積算値をエンジン回転数積算値により除算し、この除算値が判定しきい値未満のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値が判定しきい値以上のとき、燃料の揮発性が低いと判定することを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジン始動から所定時間にわたりエンジン回転数の積算値と燃料噴射量の積算値とを算出する。そして、エンジン回転数積算値と燃料噴射量積算値との比を求め、この積算値比と予め設定した判定しきい値との比較によって燃料性状を判定する。ここで、エンジン回転数と燃料噴射量とを用いて燃料性状を判定するため、吸入空気量センサを備えていないエンジンにも適用でき、汎用性に優れる。
【0012】
請求項2記載の発明は、エンジン始動から所定時間にわたりエンジン回転数の積算値と燃料噴射量の積算値とを算出する。そして、エンジン回転数積算値と燃料噴射量積算値との比を求め、この積算値比と予め設定した判定しきい値とを比較して、燃料の揮発性の高,低を判定する。そして、燃料の揮発性が低いときには、燃料の揮発性が高いときに対し、燃料噴射量の増量補正と点火時期の進角補正との少なくとも一方を実行する。
【0013】
その際、請求項3記載の発明のように、エンジン回転数積算値を燃料噴射量積算値により除算し、この除算値が判定しきい値以上のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値が判定しきい値未満のとき、燃料の揮発性が低いと判定することが望ましい。または、請求項4記載の発明のように、逆に燃料噴射量積算値をエンジン回転数積算値により除算し、この除算値が判定しきい値未満のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値が判定しきい値以上のとき、燃料の揮発性が低いと判定してもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を説明する。先ず、本発明が適用されるエンジンの全体構成について、図4に従い説明する。同図において、符号1はエンジンであり、本形態においては自動車等の車両用の水平対向式多気筒ガソリンエンジンを示す。エンジン1のシリンダブロック2の左右両バンクには、それぞれシリンダヘッド3を備え、燃焼室4、吸気ポート5、排気ポート6、点火プラグ7、動弁機構等が設けられている。
【0015】
吸気系として、エンジン1の稼動により、エアインテークチャンバ8を介して導入された空気がエアクリーナ9により浄化され、吸気管10を介してスロットルチャンバ11に至るよう構成されている。スロットルチャンバ11に配設されたスロットル弁12は、アクセルペダルに連動するとともに、アクセルペダルの踏み込み量に応じて開度が決まる。
【0016】
また、スロットル弁12の上流と下流とを短絡するバイパス通路13に、アイドル回転数制御弁(ISC弁)14が配設されている。ISC弁14は、その開度により、スロットル弁12の全閉によるアイドル時や減速時に、吸入空気量を制御することで、アイドル回転数を制御し、或いは減速時のエンストを防止するためのものである。
【0017】
スロットル弁12の開度によって流量が制御された吸入空気は、エアチャンバ15、吸気マニホルド16を介して各気筒に分配され、インジェクタ17から噴射された燃料(ガソリン)と混合される。インジェクタ17は吸気マニホルド16における吸気ポート5の直上流位置に配置され、エンジン1の気筒毎に設けられている。各インジェクタ17には、燃料タンク18と連通した燃料配管19を介して燃料ポンプ20により圧送され燃料フィルタ21を経た燃料が供給される。
【0018】
また、インジェクタ17から燃料タンク18への燃料配管の中途に、吸気マニホルド16に圧力室を連通するプレッシャレギュレータ22が配設され、プレッシャレギュレータ22によってインジェクタ17に供給される燃料の圧力がスロットル弁12下流の吸気管圧力に対し常時一定の差圧状態に保たれる。これにより、インジェクタ17の開弁時間により燃料噴射量が的確に制御され得る。すなわち、エンジン1に供給される燃料噴射量は、インジェクタ17の開弁時間を定める燃料噴射パルス幅に依存し、後述の電子制御装置50から出力される燃料噴射パルス幅信号により制御される。
【0019】
そして、インジェクタ17からの噴射燃料と吸入空気とによる混合気が、吸気弁23の開弁によりエンジン1の燃焼室4に流入する。更に、点火系として各点火プラグ7毎にイグナイタ内蔵イグニッションコイル24からの点火信号が入力するよう接続されている。そして、燃焼室4で圧縮された混合気を点火プラグ7により着火し、混合気を燃焼させることで、エンジン1の駆動力(エンジン出力)が発生する。
【0020】
一方、排気系としては、燃焼後のガスが、排気弁25の開弁により燃焼室4から排気ポート6に排出され、各排気ポート6に連通する排気マニホルド26により合流されて排気管27に至り、排気管27に介装された触媒コンバータ28による酸化還元作用により浄化されてマフラ29を経て大気に放出するよう構成されている。
【0021】
次に、エンジン運転状態を検出するための各種センサについて説明する。エンジン負荷の一例としてスロットル弁12下流の吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ30がエアチャンバ15に連通接続されている。また、シリンダブロック2にノックセンサ31が取付けられると共に、エンジン温度としてエンジン冷却水温を検出するため左右両バンクを連通する冷却水通路32に冷却水温センサ33が臨まされ、エンジン1の空燃比状態を検出するため触媒コンバータ27の直上流にO2センサ34が装着されている。さらに、スロットル弁12にスロットル開度センサ35が連設されている。
【0022】
また、エンジン1のクランクシャフト36にクランクロータ37が軸着され、このクランクロータ37の外周に電磁ピックアップ等からなるクランク角センサ38が対設されている。更に動弁機構におけるカムシャフト40に連設するカムロータ41に電磁ピックアップ等からなる気筒判別センサ42が対設されている。クランク角センサ38、気筒判別センサ42は、それぞれクランクロータ37、カムロータ41に所定間隔毎に形成された突起をエンジン運転に伴い検出し、クランクパルス、気筒判別パルスを出力する。そして、電子制御装置50において、クランクパルスの入力間隔(突起の検出間隔)の時間からエンジン回転数Neを算出すると共に、点火時期及び燃料噴射時期等を演算し、更に、クランクパルス及び気筒判別パルスの入力パターンから気筒判別を行う。
【0023】
次に、図5に基づいて電子制御系の構成について説明する。電子制御装置(ECU)50は、CPU51、ROM52、RAM53、バックアップRAM54、カウンタ・タイマ群55、及びI/Oインターフェイス56をバスラインを介して接続したマイクロコンピュータを中心として構成され、各部に所定の安定化電源を供給する定電圧回路57、駆動回路58、A/D変換機59等の周辺回路を備えている。
【0024】
尚、カウンタ・タイマ群55は、フリーランカウンタ、気筒判別センサ信号(気筒判別パルス)の入力計数用カウンタ等の各種カウンタ、燃料噴射用タイマ、点火用タイマ、定期割込みを発生させるための定期割込み用タイマ、及びシステム異常監視用のウオッチドッグタイマ等の各種タイマを便宜上総称するものであり、その他、各種のソフトウエアカウンタ・タイマを含む。
【0025】
定電圧回路57は、2回路のリレー接点を有する電源リレー60の第1のリレー接点を介してバッテリ61に接続され、電源リレー60は、そのリレーコイルの一端が接地され、リレーコイルの他端が駆動回路58に接続されている。尚、電源リレー60の第2のリレー接点には、バッテリ61から各アクチュエータに電源を供給するための電源線が接続されている。また、バッテリ61には、燃料ポンプリレー62のリレー接点を介して燃料ポンプ20が接続されると共に、イグニッションスイッチ63の一端が接続され、このイグニッションスイッチ63の他端がI/Oインターフェイス56の入力ポートに接続されている。
【0026】
更に、定電圧回路57は、直接、バッテリ61に接続され、バッテリ61に接続されるイグニッションスイッチ63のONがI/Oインターフェイス56の入力ポートで検出されて電源リレー60の接点か閉となると、ECU50内の各部へ電源を供給する一方、イグニッションスイッチ63のON,OFFに拘らず、常時、バックアップRAM54にバックアップ用の電源を供給する。
【0027】
また、I/Oインターフェイス56の入力ポートには、ノックセンサ31、クランク角センサ38、気筒判別センサ42、車速センサ43が接続され、更に、A/D変換器59を介して吸気管圧力センサ30、スロットル開度センサ35、冷却水温センサ33、O2センサ34が接続されると共に、バッテリ電圧VBが入力されてモニタされる。一方、I/Oインターフェイス56の出力ポートには、ISC弁14、インジェクタ17、電源リレー60及び燃料ポンプリレー62の各リレーコイルが駆動回路58を介して接続されると共に、イグナイタ内蔵イグニッションコイル24のイグナイタ24aが接続されている。
【0028】
そして、イグニッションスイッチ63がONされると、電源リレー60がONし、定電圧回路57を介して各部に定電圧が供給され、ECU50が各種制御を実行する。すなわち、ECU50においてCPU51が、ROM52にメモリされている制御プログラムに基づき、I/Oインターフェイス56を介して各種センサからの検出信号を入力処理し、RAM53に格納された各種データ、学習によりバックアップRAM54に格納された各種学習値データ、ROM52に格納されている固定データに基づき、燃料性状を判定し燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅や点火時期の各種制御量の演算に反映する。
【0029】
そして、演算した燃料噴射量を定める駆動パルス幅信号を、駆動回路58を介して、所定のタイミングで該当気筒のインジェクタ17に出力して燃料噴射制御を行い、また、所定のタイミングでイグナイタ24aに点火信号を出力して点火時期制御を実行し、ISC弁14に制御信号を出力してアイドル回転数制御等を実行する。
【0030】
以上の制御系において、揮発性の高,低による燃料性状は、エンジン始動から所定時間にわたる燃料噴射量の積算値と、エンジン回転数の積算値との比に反映されることに着目したもので、ECU50における燃料性状の判定は、エンジン始動から所定時間にわたりエンジン回転数の積算値と燃料噴射量の積算値とを算出する。そして、エンジン回転数積算値と燃料噴射量積算値との比を求め、この積算値比と予め設定した判定しきい値との比較によって燃料性状を判定する。より具体的には、エンジン回転数積算値を燃料噴射量積算値により除算し、この除算値が判定しきい値以上のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値が判定しきい値未満のとき、燃料の揮発性が低いと判定する。ここで、エンジン回転数と燃料噴射量とを用いて燃料性状を判定するため、吸入空気量センサを備えていないエンジン1にも適用することが可能となり、汎用性に優れる。
【0031】
そして、ECU50は、燃料の揮発性の高,低の判定結果に基づき、燃料の揮発性が低いときには、燃料の揮発性が高いときに対し、燃料噴射量の増量補正と点火時期の進角補正との少なくとも一方を実行する。
【0032】
すなわち、ECU50は、本発明に係る積算値算出手段、燃料性状判定手段、制御手段としての機能を実現し、具体的には図1〜図3に示す各ルーチンにより各手段の機能を実現する。
【0033】
ここで、本発明の基本原理について説明する。エンジン1の始動直後において、燃料噴射量が同一のもとで、重質燃料(重質のガソリン)の使用により燃料の揮発性が低い場合は、燃料の霧化及び気化が悪化し、インジェクタ17から燃料を噴射した際に、蒸発燃料量が減少し吸気ポート5の壁面に付着する燃料量が増加するため、燃焼室4内に供給される混合気の空燃比がリーン化すると共に、燃焼室4への液状燃料の供給量が増加する。このため、エンジン1の燃焼が悪化してエンジン回転数Neの上昇が遅くなる。その結果、燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiの積算値ΣTiに対し、エンジン回転数Neの積算値ΣNeが相対的に小さくなり、エンジン回転数積算値ΣNeと燃料噴射パルス幅積算値ΣTiとの積算値比ΣNe/ΣTiが相対的に小さな値となる。
【0034】
また、逆に、軽質燃料(軽質のガソリン)の使用により燃料の揮発性が高い場合は、燃料の霧化及び気化が良く、インジェクタ17から燃料を噴射した際の蒸発燃料量が増加し吸気ポート5の壁面に付着する燃料量が減少すると共に、燃焼室4への液状燃料の供給量が減少し、燃焼室4内に供給される混合気の空燃比が適正化する。このため、相対的にエンジン1の燃焼性が向上し、エンジン始動後のエンジン回転数Neの上昇が速くなる。その結果、逆に燃料噴射パルス幅積算値ΣTiに対し、エンジン回転数積算値ΣNeが相対的に大きくなり、エンジン回転数積算値ΣNeと燃料噴射パルス幅積算値ΣTiとの積算値比ΣNe/ΣTiが相対的に大きな値となる。
【0035】
従って、エンジン回転数積算値ΣNeと燃料噴射量の積算値に相当する燃料噴射パルス幅積算値ΣTiとの積算値比ΣNe/ΣTiを、予め設定した判定しきい値FNと比較することで、燃料性状を的確に把握することが可能となる。そして、吸入空気量を用いることなく、燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiの積算値ΣTiを採用して揮発性の高,低による燃料性状を判定するので、吸入空気量センサを備えるLジェトロ方式のエンジンは勿論のこと、本形態のように、スロットル弁下流の吸気管圧力に基づいて燃料噴射量を設定するDジェトロ方式のエンジン1や、スロットル開度とエンジン回転数Neとに基づいて燃料噴射量を設定するα−N方式のエンジン等、吸入空気量センサを備えていないエンジンにおいても正確に燃料性状を判定することが可能となる。
【0036】
以下、ECU50による燃料性状判定、燃料噴射制御及び点火時期制御に係わる処理について、図1〜図3のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
図1〜図3は、イグニッションスイッチ63がONされてシステムに電源が投入され、システムがイニシャライズ(各フラグ、各カウント値のクリア等)された後、所定時間或いは所定周期毎に実行されるルーチンであり、図1の燃料性状判定ルーチンにより、揮発性の高,低による燃料性状を判定し、その判定結果を図2の燃料噴射制御ルーチン、及び図3の点火時期制御ルーチンにおいて、それぞれ燃料噴射量の設定、点火時期の設定に反映させる。
【0038】
尚、本実施の形態においては、軽質燃料の使用による燃料の揮発性が高い場合を基準として、燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Ti及び点火時期ADVが設定される。このため、重質燃料の使用による燃料の揮発性が低いと判定された場合に、燃料噴射量が増量補正されると共に、点火時期ADVが進角補正される。
【0039】
先ず、図1の燃料性状判定ルーチンについて説明する。燃料性状判定ルーチンは、システムイニシャライズ後、所定時間(例えば10msec)毎に実行され、最初のステップ101で、燃料性状判定終了フラグFENDを参照し、既に燃料性状の判定が終了しているか否かを判断する。
【0040】
ここで、燃料性状の判定は、ECU50への電源投入によるシステム起動後、エンジン1が始動されてから所定時間の間だけ行われるものであり、この間、燃料性状判定終了フラグFEND=0に保持される。そして、エンジン1が始動してから所定時間を経過した時点で、燃料性状の判定が行われ、燃料性状の判定後に燃料性状判定終了フラグFENDがセット(FEND=1)される。そして、燃料性状の判定後、この燃料性状の判定結果に基づいて燃料噴射パルス幅Tiや点火時期ADVが設定される。
【0041】
このため、FEND=0で、未だ燃料性状の判定が終了していない場合は、ステップ101からステップ102へ進み、エンジン回転数Neが0か否かを調べることにより、エンジン始動(エンジン稼動)か否かを判断する。
【0042】
そして、Ne=0でエンジン1が停止状態にある場合は、燃料噴射が行われておらず、且つ、エンジン回転数Neの上昇が有り得ないため、そのままルーチンを抜ける。
【0043】
一方、Ne≠0であり、エンジン1が稼動のエンジン始動後は、ステップ103へ進み、ルーチン実行毎に、ステップ103,104で、それぞれエンジン回転数積算値ΣNe,燃料噴射パルス幅積算値ΣTiに、エンジン回転数Ne、後述する図2の燃料噴射制御ルーチンにおいて設定され燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiを加算し(ΣNe←ΣNe+Ne,ΣTi←ΣTi+Ti)、エンジン始動から所定時間にわたるエンジン回転数積算値ΣNe及び燃料噴射パルス幅積算値ΣTiを求める。
【0044】
そして続くステップ105で、エンジン始動後の時間を計時するカウント値CNTを設定値CSと比較し、エンジン始動後の時間が設定値CSにより定まる所定時間に達したか否かを判断する。ここで、設定値CSは、エンジン始動後、エンジン回転数積算値ΣNe及び燃料噴射パルス幅積算値ΣTiに燃料性状による影響が反映されて、エンジン回転数積算値ΣNeと燃料噴射パルス幅積算値ΣTiとの比によって正確に燃料性状を判定し得る時間を予めシミュレーション或いは実験等により求め、本ルーチンの実行周期により定まる時間相当値に換算し、これを設定値CSとしてROM52に固定データとしてメモリされている。
【0045】
そして、CNT<CSでエンジン始動後の時間が設定値CSにより定まる所定時間に達しておらず、エンジン回転数積算値ΣNe及び燃料噴射パルス幅積算値ΣTiに燃料性状による影響が反映されていないと推定される時には、ステップ106へ進み、カウント値CNTをカウントアップして(CNT←CNT+1)、ルーチンを抜ける。
【0046】
その後、ルーチン実行毎にカウント値CNTがカウントアップされて、CNT≧CSとなり、エンジン始動後の時間が設定値CSにより定まる所定時間に達し、エンジン回転数積算値ΣNe及び燃料噴射パルス幅積算値ΣTiに燃料性状による影響が反映されたと推定された時点でステップ105からステップ107へ進む。そして、エンジン回転数積算値ΣNeを燃料噴射パルス幅積算値ΣTiにより除算して、エンジン回転数積算値ΣNeと燃料噴射パルス幅積算値ΣTiとの比、すなわち積算値比ΣNe/ΣTiを求め、この積算値比ΣNe/ΣTiと予め設定した判定しきい値FNとの比較によって燃料性状を判定する。
【0047】
ここで、判定しきい値FNは、エンジン始動後、エンジン回転数積算値ΣNe及び燃料噴射パルス幅積算値ΣTiに燃料性状による影響が反映されて、エンジン回転数積算値ΣNeと燃料噴射パルス幅積算値ΣTiとの比によって正確に揮発性の高,低による燃料性状を判定し得る判定しきい値を予めシミュレーション或いは実験等により求め、これを判定しきい値FNとしてROM52に固定データとしてメモリされているものである。
【0048】
そして、ΣNe/ΣTi<FNで、積算値比ΣNe/ΣTiが判定しきい値FN未満のとき、燃料の揮発性が低く、重質の燃料が使用されていると判断して、ステップ108へ進み、重質燃料の使用を表す重質燃料フラグFFNをセットし(FFN←1)、燃料性状判定の終了によりステップ110で、燃料性状判定終了フラグFENDをセットして(FEND←1)、ルーチンを抜ける。
【0049】
また、ΣNe/ΣTi≧FNで、積算値比ΣNe/ΣTiが判定しきい値FN以上のとき、燃料の揮発性が高く、軽質の燃料が使用されていると判断して、ステップ109へ進み、重質燃料フラグFFNをクリアし(FFN←0)、ステップ110を経てルーチンを抜ける。
【0050】
そして、この重質燃料フラグFFNが、後述の燃料噴射制御ルーチン(図2)及び点火時期制御ルーチン(図3)において参照され、FFN=1で重質燃料が使用され燃料の揮発性が低いときは、燃料噴射量の増量補正、点火時期の進角補正が行われる。
【0051】
また、燃料性状判定の終了後は、燃料性状判定終了フラグFFNがセットされることで(FEND=1)、ステップ101からそのままルーチンを抜ける。
【0052】
尚、本実施の形態においては、エンジン回転数積算値ΣNeを燃料噴射パルス幅積算値ΣTiにより除算し、この除算値ΣNe/ΣTiが判定しきい値FN以上のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値ΣNe/ΣTiが判定しきい値FN未満のとき、燃料の揮発性が低いと判定するようにしているが、逆に燃料噴射パルス幅積算値ΣTiをエンジン回転数積算値ΣNeにより除算し、この除算値ΣTi/ΣNeが判定しきい値FN未満のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値ΣTi/ΣNeが判定しきい値FN以上のとき、燃料の揮発性が低いと判定してもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、燃料噴射量積算値として燃料噴射パルス幅Tiの積算値ΣTiを用いて燃料性状を判定しているが、これに代えて、燃料噴射量積算値として後述の燃料噴射制御ルーチンにおいて設定される基本燃料噴射量を表す基本燃料噴射パルス幅Tpを用い、基本燃料噴射パルス幅積算値ΣTpにより燃料性状を判定してもよい。
【0054】
次に、図2の燃料噴射制御ルーチンについて説明する。この燃料噴射制御ルーチンは、所定周期毎に実行される。本実施の形態においては、Dジェトロ方式により燃料噴射量を設定するもので、先ず、周知のように、ステップ201で、吸気管圧力センサ30により検出されるスロットル弁12下流の吸気管圧力Pとエンジン回転数Neとに基づいてテーブルを補間計算付で参照して、基本燃料噴射量を定める基本燃料噴射パルス幅Tpを設定する。尚、テーブルに格納されている基本燃料噴射パルス幅Tpは、揮発性の高い軽質燃料使用時に対応するもので、予めシミュレーション或いは実験等により、軽質燃料使用のもとで、エンジン負荷を表すスロットル弁12下流の吸気管圧力Pとエンジン回転数Neとをパラメータとする運転領域毎に、適正な基本燃料噴射量を得るためのインジェクタ17の開弁時間を定める基本燃料噴射パルス幅Tpを求め、ROM52にテーブルとしてメモリされている。
【0055】
次いでステップ202で、重質燃料フラグFFNを参照し、FFN=0で揮発性の高い軽質燃料が使用されている時には、ステップ203へ進み、重質燃料使用時に燃料増量補正するための重質燃料増量係数KFNを、補正無しに対応するKFN=1.0に設定して、ステップ205へ進む。すなわち、重質燃料増量係数KFNは、揮発性の高い軽質燃料に対応して設定された基本燃料噴射量を、揮発性の低い重質燃料に対応して増量補正するための係数である。従って、重質燃料増量係数KFNを1.0に設定することは、軽質燃料に対応したテーブル値Tpを補正することなく、そのまま用いることを意味する。
【0056】
一方、FFN=1で重質燃料が使用されている時には、ステップ202からステップ204へ進み、重質燃料増量係数KFNを、燃料増量率を定める設定値FNS(FNS>1.0)により設定する。尚、この設定値FNSは、軽質燃料に対応して設定される基本燃料噴射量(基本燃料噴射パルス幅Tp)を重質燃料に対応して増量補正するための適正増量率であり、予めシミュレーション或いは実験等により適正値を求め、固定データとしてROM52にメモリされている。
【0057】
そして、ステップ205で、基本燃料噴射パルス幅Tpに、周知の冷却水温補正、加減速補正、全開増量補正、アイドル後増量補正等に係わる各種増量分補正係数COEFと、O2センサ34の出力値に基づき実空燃比を目標空燃比に収束させるための空燃比フィードバック補正係数LAMBDAとを乗算して空燃比補正すると共に、空燃比学習により設定される空燃比学習補正係数KBLRCを乗算して学習補正し、更に、重質燃料増量係数KFNを乗算した後、バッテリ電圧VBによって定まる無効パルス幅Tsを加算して、最終的な燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiを演算し(Ti←Tp×COEF×LAMBDA×KBLRC×KFN+Ts)、続くステップ206で、この燃料噴射パルス幅Tiをセットして、ルーチンを抜ける。
【0058】
その結果、重質燃料フラグFFNがクリアされており(FFN=0)、揮発性の高い軽質燃料が使用されているときには、重質燃料増量係数KFNがKFN=1.0に設定されることで、重質燃料増量補正無しとなり、軽質燃料に対応してエンジン運転状態に基づき設定された燃料噴射パルス幅Tiによる駆動パルス信号が、所定タイミングで該当気筒のインジェクタ17に出力される。そして、燃料噴射パルス幅Tiに相当する量の燃料が噴射され、揮発性の高い軽質燃料の使用時は、軽質燃料対応の適正な燃料噴射量によりエンジン1の良好な燃焼が保たれる。
【0059】
また、重質燃料の使用により重質燃料フラグFFNがセットされているときには(FFN=1)、重質燃料増量係数KFNが適正増量率を定める設定値FNS(FNS>1.0)により設定されることで、軽質燃料対応の燃料噴射量が重質燃料の使用に対応して増量補正される。これにより、重質燃料使用時の吸気ポート5壁面への燃料付着量の増加等に起因する空燃比のリーン化が補償されてエンジン1の燃焼の悪化が防止される。
【0060】
従って、揮発性の高,低による燃料性状の相違に対応して、燃料噴射量を最適設定することが可能となり、燃料性状の相違に拘らず常にエンジン1の良好な燃焼性を確保して排気エミッションを改善することができる。
【0061】
また、燃料噴射制御と並行して図3に示す点火時期制御ルーチンにより点火時期制御が行われる。図3の点火時期制御ルーチンは、所定周期毎に実行されるもので、先ず、ステップ301で、エンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとエンジン回転数Neとに基づいてテーブルを補間計算付で参照して、基本点火時期ADVBを設定する。尚、本実施の形態においては、テーブルに格納されている基本点火時期ADVBは、進角値として与えられ、揮発性の高い軽質燃料使用時に対応するものである。そして、この基本点火時期ADVBは、予めシミュレーション或いは実験等により、軽質燃料使用のもとで、エンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとエンジン回転数Neとをパラメータとする運転領域毎に適正な点火時期(点火進角値)を求め、ROMにテーブルとしてメモリされている。
【0062】
次いでステップ302で、ノックセンサ31の出力により検出されるノックの有無に応じ、周知のように点火時期を遅角,進角補正するためのノック補正値ADVKを設定する。
【0063】
そして、ステップ303で、重質燃料フラグFFNを参照し、FFN=0で軽質燃料が使用されている時には、ステップ304へ進み、重質燃料使用時に点火時期を進角補正するための重質燃料補正進角値ADVFNを補正無しに対応するADVFN=0に設定して、ステップ306へ進む。すなわち、重質燃料補正進角値ADVFNは、揮発性の高い軽質燃料に対応して設定された基本点火時期ADVBを、揮発性の低い重質燃料に対応して進角補正するための進角補正量である。従って、ADVFN=0に設定することは、軽質燃料に対応した基本点火時期ADVBを補正することなく、そのまま用いることを意味する。
【0064】
一方、FFN=1で揮発性の低い重質燃料が使用されている時には、ステップ303からステップ305へ進み、重質燃料補正進角値ADVFNを、進角補正量を定める設定値AFN(AFN>0°)により設定する。尚、この設定値AFNは、軽質燃料に対応して設定された基本点火時期ADVBを重質燃料に対応して進角補正するに適正な進角補正量であり、予めシミュレーション或いは実験等により適正値を求め、固定データとしてROMにメモリされている。
【0065】
そして、ステップ306で、基本点火時期ADVBに、ノック補正値ADVKと重質燃料進角補正値ADVFNとを加算して、最終的な点火時期ADVを演算し(ADV←ADVB+ADVK+ADVFN)、続くステップ307で、この点火時期ADVをセットして、ルーチンを抜ける。
【0066】
その結果、重質燃料フラグFFNがクリアされており(FFN=0)、揮発性の高い軽質燃料が使用されているときには、重質燃料補正進角値ADVFNがADVFN=0に設定されることで、軽質燃料に対応する適正点火時期が設定される。そして、この点火時期ADVに達した時点で、該当気筒に対する点火信号がカットされ、イグニッションコイル24の2次側に誘起された高電圧の電流により該当気筒の点火プラグ7がスパークして点火が行われる。従って、軽質燃料の使用時は、軽質燃料に対応する適正点火時期によりエンジンの良好な燃焼が確保される。
【0067】
また、揮発性の低い重質燃料の使用により重質燃料フラグFFNがセットされているときには(FFN=1)、重質燃料補正進角値ADVFNが適正進角補正量を定める設定値AFNにより設定されることで、軽質燃料対応の点火時期が重質燃料の使用に対応して進角補正される。すなわち、重質燃料は燃料の揮発性が低いため、軽質燃料に比べノックが生じ難いため点火時期を進角設定することが可能であり、重質燃料使用時は、軽質燃料対応の点火時期を進角補正することで、燃焼期間を早め、エンジン1の燃焼性の向上を図る。これにより、重質燃料使用時のエンジン1の燃焼性の悪化による図示平均有効圧力の低下を抑制し、重質燃料使用時のエンジン出力の低下を抑制する。
【0068】
これにより、揮発性の高,低による燃料性状の相違に対応して点火時期を最適設定することが可能となり、燃料性状の相違に拘らず常にエンジン1の良好な燃焼性を確保して更なる排気エミッションの改善を図ることができる。
【0069】
尚、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更であることは云うまでもない。例えば本実施の形態においては、スロットル弁下流の吸気管圧力Pにより燃料噴射量を設定するDジェトロ方式のエンジンに適用した例につき説明したが、本発明はこれに限定されず、吸入空気量センサを備えずにスロットル開度とエンジン回転数とに基づいて燃料噴射量を設定するα−N方式のエンジンや、吸入空気量センサを備えるLジェトロ方式を採用するエンジンにも適用することが可能であることは云うまでもない。
【0070】
また、本実施の形態では、燃料性状に応じて燃料噴射量と点火時期との双方を補正しているが、本発明はこれに限定されず、燃料性状に応じて燃料噴射量と点火時期との少なくとも一方を補正してもよい。更に、水平対向式ガソリンエンジンに限定されることなく、種々のエンジンに適用可能であることは云うまでもない。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エンジン始動から所定時間にわたるエンジン回転数の積算値と燃料噴射量の積算値との積算値比を基準にして燃料性状を判定するので、燃料噴射式のエンジンには全て適用できる。すなわち、吸入空気量センサを備えるLジェトロ方式のエンジンは勿論のこと、吸入空気量センサを備えず、エンジン回転数とスロットル弁下流の吸気管圧力とに基づいて燃料噴射量を設定するDジェトロ方式のエンジンや、エンジン回転数とスロットル開度とに基づいて燃料噴射量を設定するα−N方式のエンジン等にも適用でき、汎用性を著しく向上することができる。
【0072】
また、この判定結果に基づいて、燃料の揮発性が低いときは、燃料の揮発性が高いときに対し、燃料噴射量の増量補正と点火時期の進角補正との少なくとも一方を実行するので、揮発性の高,低による燃料性状の相違に対応して、燃料噴射量と点火時期との少なくとも一方を最適設定することが可能となり、燃料性状の相違に拘らず常にエンジンの良好な燃焼性を確保することができ、排気エミッションを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料性状判定ルーチンのフローチャート
【図2】燃料噴射制御ルーチンのフローチャート
【図3】点火時期制御ルーチンのフローチャート
【図4】エンジンの全体構成図
【図5】電子制御系の回路構成図
【符号の説明】
1 エンジン
50 電子制御装置(積算値算出手段、燃料性状判定手段、制御手段)
Ne エンジン回転数
ΣNe エンジン回転数積算値
Ti 燃料噴射パルス幅(燃料噴射量)
ΣTi 燃料噴射パルス幅積算値(燃料噴射量積算値)
FN 判定しきい値
Claims (4)
- エンジンの運転状態に基づいてエンジンに供給される燃料の性状を判定する燃料性状判定装置において、
エンジン始動後、所定時間にわたるエンジンの回転数積算値と燃料噴射量積算値とのそれぞれを算出する積算値算出手段と、
エンジン回転数積算値と燃料噴射量積算値との比を求め、この積算値比と予め設定した判定しきい値との比較によって燃料性状を判定する燃料性状判定手段とを備えたことを特徴とするエンジンの燃料性状判定装置。 - エンジンの運転状態に基づいてエンジンに供給される燃料の性状を判定し、その燃料性状に応じて燃料噴射量と点火時期との少なくとも一方を補正するエンジン制御装置において、
エンジン始動後、所定時間にわたるエンジンの回転数積算値と燃料噴射量積算値とのそれぞれを算出する積算値算出手段と、
エンジン回転数積算値と燃料噴射量積算値との比を求め、この積算値比と予め設定した判定しきい値とを比較して、燃料の揮発性の高,低を判定する燃料性状判定手段と、
燃料の揮発性が低いときには、燃料の揮発性が高いときに対して、燃料噴射量の増量補正と点火時期の進角補正との少なくとも一方を実行する制御手段とを備えたことを特徴とするエンジン制御装置。 - 上記燃料性状判定手段は、エンジン回転数積算値を燃料噴射量積算値により除算し、この除算値が判定しきい値以上のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値が判定しきい値未満のとき、燃料の揮発性が低いと判定することを特徴とする請求項1記載のエンジンの燃料性状判定装置或いは請求項2記載のエンジン制御装置。
- 上記燃料性状判定手段は、燃料噴射量積算値をエンジン回転数積算値により除算し、この除算値が判定しきい値未満のとき、燃料の揮発性が高いと判定し、除算値が判定しきい値以上のとき、燃料の揮発性が低いと判定することを特徴とする請求項1記載のエンジンの燃料性状判定装置或いは請求項2記載のエンジン制御装置。
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