JP4332266B2 - 帯電部材、電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
帯電部材、電子写真装置及びプロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
本発明は、複写機、プリンター、ファックス等の電子写真装置に用いられる帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には、光導電性材料を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し(帯電工程)、ついで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし(現像工程)、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写し(転写工程)、その後、熱や圧力等により転写材上にトナー画像を定着して(定着工程)複写物を得るものである。また、転写材上に転写されずに感光体上に残ったトナー粒子は、種々の手段によって感光体上より除去される(クリーニング工程)ことを主体としてなる。
【0003】
このような電子写真法においては、種々の導電性部材がさまざまな目的で使用されている。例えば、帯電工程においては感光体を所定の電位にする帯電用部材が、また例えば現像工程においては現像用部材が、更に例えば転写工程においては転写用部材が挙げられる。これらに用いられる導電性部材にはさまざまな特性のものが用いられているが、特に導電性部材表面の摩耗や損傷等のダメージを防ぐために低摩擦係数化の検討が多数行なわれており、摩擦係数(この用語が静摩擦係数を意味する場合や動摩擦係数を意味する場合、あるいはいずれを示すのが不明な場合であっても)を小さくすることは、導電性部材表面の摩耗や損傷等のダメージを防ぐためにはある程度の効果が認められる。
【0004】
最近のコンピュータ及びその周辺機器の普及によってネットワーク環境が整備されるにつれて電子写真装置の市場は急速に拡大し、様々な環境で使用されるようになっている。それに伴い、情報の出力手段としてのプリンター、複写機及びファックス等の電子写真装置には、より一層の高画質・高耐久性が求められるようになっている。高画質の観点からは画像の忠実な再現性が強く求められるが、それに対応する手段の一つとして高解像度化の流れがある。すなわち原画像をいかに細かく認識し、再現するかということであり、600dpiから800dpiや1200dpi、あるいはそれ以上への技術開発がその一例として挙げられる。また、高耐久性の観点からは高い強度や靱性を有する材料の検討がなされている。
【0005】
導電性部材として帯電工程に用いられる帯電部材を一例に挙げると、直流電圧や、直流電圧と交流電圧の重畳電圧を印加したローラー、ブレード、ブラシ、ベルト、フィルム及びチップ等さまざまな導電性部材を挙げることができ、これらを感光体表面に接触又は近接させることにより感光体表面を所定の極性及び電位に帯電させる方法が検討され多く利用されているが、これら従来の帯電部材をこれらより一層の高画質・高耐久性が求められる電子写真装置に用いた場合、初期は良好な画像が得られても、使用枚数の増大に伴って、画像の横方向(すなわち画像が出力される方向に対して直角方向)に、軽微ではあるが、横スジ状の濃度ムラ(以下バンディング)が現れてしまう場合があった。バンディングは周期性を有しており、周期の異なるものがいくつも複合したかたちで画像上に現れてくることがある。この現象は、従来の電子写真装置では問題にならないレベルであっても、高画質化に伴い新たに顕在化した問題であり、更には、高耐久化によって助長されているものと推定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、特に強く高画質、高耐久性を求められる電子写真装置において、バンディング等の画像不良が発生せず、良好な特性を有する導電性部材に関する技術開発が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、高画質、高耐久性が求められる電子写真装置にも好適に用いることができる帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、静摩擦係数をμSとし、動摩擦係数をμDとした時に、μS≦1.0、μD≦0.5であり、かつ、1≦μS/μDであって、動摩擦係数の最大値をμDmax、最小値をμDminとした時に、1≦μDmax/μDmin≦2である帯電部材であって、下記(1)または(2)の構成を有していることを特徴とする帯電部材が提供される:
(1)基体と、該基体上に形成された導電性弾性層と、該弾性層上に形成された最外層とからなり、
該最外層は、導電性カーボンブラックが分散されたアクリル樹脂からなる導電性粒子と、導電性酸化スズと、四フッ化エチレン−ビニルエ−テル−ビニルエステル共重合体と、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネートとを含む塗料を塗布し、加熱することにより形成されたものであって、かつ、該導電性粒子に由来する凸部を表面に有していること、
(2)基体と、該基体上に形成された導電性弾性層と、該導電性弾性層上に形成された被覆層と、該被覆層上に形成された最外層とからなり、
該被覆層は、溶解したメトキシメチル化ナイロンと、導電性カーボンブラックと、導電性カーボンブラックが分散されたフェノール樹脂からなる導電性粒子とを含む塗料を塗布し、加熱することにより形成されたものであり、
該最外層は、メトキシメチル化ナイロンを含む塗料を塗布し、加熱することにより形成されたものであり、かつ、該被覆層中の該導電性粒子に由来する凸部を表面に有していること。
【0009】
また、本発明に従って、帯電部材と、該帯電部材と接触している電子写真感光体とを有し、電圧を印加した該帯電部材によって該電子写真感光体を帯電する電子写真装置において、該帯電部材が請求項1に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真装置が提供される。
【0010】
更に、本発明に従って、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは、帯電部材と、該帯電部材と接触している電子写真感光体とを一体に支持し、該帯電部材が請求項1に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明によれば、未だ詳細は不明であるが概ね以下の理由によってバンディングが改善されるものと推定される。以下、接触式のローラ形状の帯電部材(以下帯電ローラ)を例に取り説明する。最初、帯電部材は所定の圧力で感光体に押し付けられた状態で静止しているが、画像形成の信号を受け取ると所定の駆動力によって感光体が回転を始める。それにつれて従動で、あるいは独立した駆動力によって帯電部材も所定の方向に所定の速度で回転を始め、予め設定された条件によりバイアスが印加され感光体を帯電する。その後、転写材(紙)が排出されるまで、所定の駆動力によって感光体は回転し続け、導電部材も回転を続ける。従って、一連の工程中に帯電部材に関しては静止状態から動的状態へ移行するための力と動的状態を継続するための力の2種類の力があることがわかる。
【0013】
本発明においては、静止状態から動的状態へ移行するための力(すなわち回転を開始するための力)を静摩擦力とし、静摩擦力から計算で得られる摩擦係数を静摩擦係数と称し、動的状態を継続するための力(すなわち回転を継続するための力)を動摩擦力とし、動摩擦力から計算で得られる摩擦係数を動摩擦係数と称する。摩擦力(あるいは摩擦係数)は、導電性部材やそれに接触する部材の表面性や材料によって、あるいはそれらの組み合わせによって、さまざまな時間的変化のパターンを示すことがわかっている。図28に導電性部材の摩擦係数(荷重)の時間的変化のパターン例を示す。
【0014】
一方、バンディングは感光体の周方向の帯電むらであり、それは感光体と導電性部材との相対移動速度の微小な速度むらによって引き起こされているものと推定される。すなわち、感光体と導電性部材との接触性によって、ビビリやスティックスリップ等が発生することによる相対速度むらや、その状態で長期にわたって力の伝達経路に負担がかかり続けることによって、特にギア類の摩耗等が発生し易く、摩耗の程度も部分的にばらついたりすることによる相対速度むら等であると推定される。電子写真装置にはさまざまなピッチを有するギア類が多数用いられており、部分的な摩耗等の変化を生じたギアのピッチに応じて周期性が発生するものと考えられる。これらがあいまって、画像上のバンディングとして現れてしまうものと推定される。
【0015】
すなわち、バンディングの主原因は、導電性部材表面の摩耗や損傷等のダメージではなく、導電性部材とそれに接触する部材との接触状態の微小なばらつきやそこから引き起こされる副次的な要因による接触状態の変化等に起因するものと推定される。つまり、導電性部材表面のダメージを抑えても、バンディングは発生する場合があるということを意味する。これらは従来の電子写真装置では問題とならなかったレベルであっても、高画質化、高耐久化等のより一層の高機能性を求められるような電子写真装置において発生し易い現象であり、非常に微妙な力のバランスを制御することがこの新たな問題点を解決するためには必要なことであるということができる。
【0016】
本発明のように、μS≦1.0、μD≦0.5であれば、回転を開始あるいは継続するのにもあまり大きな力を必要としないので過度の負荷がかからず、導電性部材や接触する他の部材の表面、あるいはギア類等のダメージや変化を小さくすることができるので、長期にわたって安定した特性を得ることができる。また、1≦μS/μDであれば、回転を開始し始める最初に大きな力を要するがその後の摩擦力がそれ以下の力ですむために、いったん回転を始めてしまえば、ある程度の慣性力を利用することができるので滑らかな回転を得ることができるためビビリやスティックスリップ等の発生もなく、また、力の伝達経路にかかる負荷を小さくてすむためにギア類の摩耗等による影響を小さくすることができるものと推定される。
【0017】
更には、0<t(秒)≦60の範囲において、最大値(任意の点)及び最小値(任意の点)から上式により求められる動摩擦係数(μD)の最大値をμDmax、最小値をμDminとした時に、1≦μDmax/μDmin≦2であれば、部分的な動摩擦力のバラツキが小さく、より滑らかな回転を得ることができるのでよりビビリ等がより発生し難くなるとともに、長期的な摩耗量や摩耗バラツキ等の影響を軽減できるので高耐久性の観点からなおさら好ましい。
【0018】
本発明における静摩擦係数及び動摩擦係数の測定方法の一例(概要)を図3に示す。本測定方法は、測定物がローラ形状の場合に好適な方法で、オイラーのベルト式に準拠した方法であり、この方法によれば、測定物である導電性部材XXと所定の角度(θ)で接触したベルト(厚さ20μm、幅30mm、長さ180mm)は、片方の端部が測定部(荷重計)と、他端部が重りWと結ばれている。この状態で導電性部材を所定の方向、速度で回転させた時、測定部で測定された力をF(g)、重りの重さをW(g)とした時、摩擦係数(μ)は以下の式で求められる;
μ=(1/θ)ln(F/W)
【0019】
この測定方法により得られるチャートの一例を図4に示す。ここにおいて、導電性部材を回転させた直後の値が回転を開始するのに必要な力であり、それ以降が回転を継続するのに必要な力であることがわかるので、回転開始点(すなわちt=0秒時点)の力が静摩擦力ということができ、また、0<t(秒)≦60の任意の時間における力が任意の時間における動摩擦力ということができるが本発明では30秒後の値をもって、動摩擦力とした。
【0020】
従って、
静摩擦係数:μS=(1/θ)ln(F<t=0>/W)
動摩擦係数:μD=(1/θ)ln(F<t=30>/W)
で求めることができる。
【0021】
本測定方法において、ベルトの表面(導電性部材と接触する面)を所定の材料(例えば、感光体の最外層、現像剤を適当な手段によって塗布したもの、あるいはステンレス等の標準物質)とすることによってさまざまな物質に対する摩擦係数を求めることができる。つまり、接触する面の材質や回転速度、荷重等を実機のプロセス条件に合わせればより好ましいが、導電性部材と感光体との摩擦係数の測定と導電性部材とステンレスとの摩擦係数の測定を行ない比較検討の結果、ステンレスに対する摩擦係数を用いても良いことが判明した。
【0022】
すなわち、導電性部材と感光体との摩擦係数=K×導電性部材とステンレスとの摩擦係数で概ね表わされる。ここで、Kは感光体表面の材料や状態によって決定される数値で、感光体材料や表面状態が同一であればほぼ一定の値となるが、それらが多少なりとも異なれば変化してしまう。従って、材料種やそれらの配合比、製造条件あるいは表面物性等を実際の系にできるだけ合致することが望ましいが、そのためには、非常な煩雑さを伴うこと、及び上記の通り導電性部材と感光体との摩擦係数と導電性部材とステンレスとの摩擦係数とが規則性を有する傾向があるので、本発明においては、簡便のために、摩擦係数は、対ステンレス(表面の十点平均粗さRZが5μm以下)、回転速度は100rpm、荷重は50gの条件で測定した。
【0023】
また、本発明における静摩擦係数及び動摩擦係数の測定方法の別の一例(概要)を図5に示す。本測定方法は、測定物が平板形状の場合に好適な方法である。この方法によれば、測定物である導電性部材XXは平板上に安定して置かれて上方から荷重がかけられており、導電性部材XXは測定部RRと結ばれている。この状態で導電性部材XXを移動速度一定の条件で引っ張り、導電性部材が横方向に動き出した時(あるいは動いている時)に測定部RRで測定された力をF(g)、荷重をW(g)とした時、摩擦係数(μ)は以下の式で求められる;
μ=F/W
【0024】
この場合には、平板の表面を所定の材料(例えば、感光体の最外層、現像剤をシート状にしたもの、あるいはステンレス等の標準物質)とすることによってさまざまな物質に対する摩擦係数を求めることができる。つまり、接触する面の材質や相対的な移動速度、荷重等を実機のプロセス条件に合わせればより好ましいが、本発明においては、摩擦係数は、対ステンレス、移動速度は100mm/min、荷重は50gの条件で測定した。この測定方法により得られるチャートとしては、前述の方法と同様であり、静摩擦係数、動摩擦係数についても同様の考え方をすることができる。
【0025】
ところで本発明において、特には、μS≦0.8、μD≦0.4であり、かつ、1≦μS/μD≦3であって、動摩擦係数(μD)の最大値をμDmax、最小値をμDminとした時に、1≦μDmax/μDmin≦1.5であれば、本発明の効果がより一層大きく得られるだけでなく、いったん使用された導電性部材であっても簡単な清掃手段等によって初期の特性をほぼ回復することができる等の更なる効果を得ることができるので、より一層好ましい。
【0026】
通常、導電性部材は使用に伴い特性が変化するが、その原因としては、大きく2つのことが考えられる。1つ目は、導電性部材表面に付着物が付着することであり、付着物としては現像剤成分、感光体成分、紙等の転写材成分、塵埃、放電生成物等、及びこれらの混合物からなるものと考えられるが、大部分は現像剤あるいは現像剤由来の成分であるものと推定される。2つ目は、一定荷重下でこすられながら電気を通電した状態で長期間使用されるため、物理的、化学的、電気的な負荷によって、高分子化合物が摩耗したり、構造変化を起こしたりすることによる特性変化である。
【0027】
導電性部材の特性が特に上記の範囲であれば、付着物との物理的付着力が小さくまた付着量も少ないため容易に除去できることに加えて、低負荷状態での使用が可能となるため導電性部材自体(特に最外層)の特性変化を小さくすることができる。従って、最外層をいったん剥離した後、再形成する等の複雑な工程を必要とせずに繰り返し使用が可能となるので再生、リサイクルにも適し、なおさら非常に好ましい。
【0028】
本発明の導電性部材は、導電性の制御や硬度の調整等の容易さの面から、少なくとも、基体と高分子化合物を主体としてなる最外層とを有することが好ましく、静摩擦係数、動摩擦係数及びこれらの関係を本発明の範囲とするためには、最外層に用いる高分子化合物の種類や添加剤等の配合処方や表面性の制御等を最適に組み合わせる必要がある。
【0029】
最外層に用いられる材料としては、従来既知の熱硬化性や熱可塑性の樹脂、エラストマー及びゴム等の高分子化合物を使用することができるが、最外層は高離型性や低汚れ付着性等の特性を有することが重要であり、その観点から最外層に用いられる高分子化合物としても高離型性や低汚れ付着性の材料が特に好ましく、例えば、ポリアミド系高分子化合物、フッ素系高分子化合物、イミド系高分子化合物、ウレタン系高分子化合物、ビニル系高分子化合物(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、N−ビニル高分子及びビニリデン等これらの変成物や誘導体がある。更に、具体的には、ポリ酢酸ビニルは酢酸ビニルの単独あるいは共重合体である。ポリビニルアルコールはさまざまなケン化度のものがあり、更にはアセタール化、アセチル化、脱水等の反応物を含む。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールとアルデヒドとの反応物であり、各々の種類によりさまざまな構造があるが、代表的なものとしてポリビニルブチラール及びポリビニルホルマールがある。ポリビニルエーテルとしては、例えば、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリアリールビニルエーテル及びポリビニルチオエーテル等があり、N−ビニル高分子としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリ−N−ビニルフタルイミド及びポリビニルアミン等がある)、スチレン系高分子化合物、シリコーン系高分子化合物、オレフィン系高分子化合物及びエポキシ系高分子化合物等を挙げることができ、1種類でも2種以上の混合物や共重合物として使用することができる。
【0030】
そこに必要に応じて導電性付与材料、絶縁性材料、電荷調整材料、着色材料、加工助剤、架橋(加硫)剤、架橋(加硫)助剤、活性剤、離型剤、滑剤、粘着付与剤、酸化防止剤、架橋(加硫)促進剤、発泡剤、発泡助剤、防黴剤、安定剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、加水分解防止剤、可塑剤、軟化剤、表面粗し材料、磁性材料及びその他の各種添加剤を添加したものが使用される。
【0031】
最外層の更なる高離型性や低汚れ付着性、加えて摩擦係数の低減化や制御等が必要な場合、固体状や液体状の添加剤を最外層中に添加することが好ましい。これらの添加剤の例としては、例えば、いわゆる固体潤滑剤、滑剤、樹脂微粒子、無機粉体及びオイル類を挙げることができる。いわゆる固体潤滑剤としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン及び窒化ほう素等を挙げることができる。また、滑剤としては、例えば、パラフィンワックス及びポリオレフィンワックス等の脂肪族炭化水素系化合物、高級脂肪酸、脂肪族アルコール類、あるいは脂肪酸アミド、脂肪酸エステル類及び金属石けん類等を挙げることができる。更には、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド及びオレフィン樹脂等の樹脂微粒子類や例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、ハイドロタルサイト及び炭素粉末等の無機粉体、あるいはシリコーンオイル及びエステル系可塑剤等のオイル類等を挙げることができる。これらを1種以上適宜使用することで、所望の効果を得ることができる。更には、これらの物質を導電性部材表面に予め均一に塗布してもよいが、多量に付着し過ぎると導電特性の低下を招く可能性があるので、付着量は導電性部材の単位表面積あたり1mg(すなわち1mg/cm2 )以下であることが好ましく、0.5mg/cm2 以下であれば更に好ましい。
【0032】
本発明の導電性部材においては、上記の効果を相乗的に発揮するために、安定した電気的特性を有することが重要である。
【0033】
体積抵抗値(ρc)は、1×103Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは1×104Ωcm以上1×1011Ωcm以下の範囲である。本発明の導電性部材は、使用されるプロセス的な条件により、上記体積抵抗値の範囲(1×103Ωcm以上1×1012Ωcm以下)内において最適な体積抵抗値が選択されるが、通常プロセス的な制御により、最適な体積抵抗値±1桁(レンジで2桁以内)の範囲であれば体積抵抗値の異なる別の導電性部材が投入されても対応できるように構成されているが、当然導電性部材間の体積抵抗値のバラツキは小さい方が好ましく、レンジで1桁以内であることが望ましい。
【0034】
導電性部材の体積抵抗値の測定方法を図6に示す。導電性部材を23℃/65%RHの環境に12時間以上放置して十分なじませてから、その環境下で金属ドラムに所定の荷重で押し付けた状態で、所定のスピードで回転させながら所定の電圧を印加し、流れる電流を時間の経過とともに所定時間チャートに記録する。この時、金属ドラムの外径、荷重、印加電圧、金属ドラム及び導電性部材の回転スピード等は、その導電性部材を使用する電子写真装置の条件にて行なうことが好ましいが、本発明においては簡便のため、金属ドラムはステンレス製(表面の十点平均粗さRzが5μm以下)で、その外径が30mm、荷重Wを片側500g(合計1kg)、金属ドラムの回転スピードを30rpm、導電性部材の回転は金属ドラムに従動、印加電圧を直流−500Vとした。
【0035】
この時の測定チャートの一例を図7に示すが、本発明においては電圧印加後30秒後の電流値を読み取り、それをI(A)とすると、導電性部材の抵抗値Rs(Ω)は、R=|V/I|=|−500/I|で計算される。
【0036】
次に、導電性部材が金属ドラムに押し付けられた時のニップ面積を適当な手段により測定し、これらの値から導電性部材の体積抵抗値を次式によって計算する。
【0037】
ρc=Rs×S/T
ρc:導電性部材の体積抵抗値(Ωcm)、Rs:導電性部材の抵抗値(Ω)
S:ニップ面積(cm2)、T:導電性部材の有効厚さ(cm)
【0038】
なお、導電性部材の有効厚さとは、自由状態(荷重をかけない状態)における高分子材料を主体とした層(複数の場合はそれらの合計)の肉厚(あるいは繊維長)のことであり、部分的に異なる場合は加重平均をもって導電性部材の有効厚さと称する。
【0039】
また、温度変化、湿度変化及び温湿度変化等に対して体積抵抗値の変動が小さいことが好ましく、特には高温高湿(30℃/80%RH)から低温低湿(15℃/10%RH)の範囲において体積抵抗値の変動が10倍以内(より好ましくは8倍以内、一層好ましくは5倍以内)であることが好ましく、特に最外層は吸湿性や吸水性の小さい材料によって構成されることが好ましい。もちろん、原材料の段階では吸湿性や吸水性が大きくても、架橋や表面処理等の化学反応を伴うことによって、最外層としての吸水性や吸湿性を小さくすることも可能である。
【0040】
更に、体積抵抗値の印加電圧依存性が小さいほど好ましい。一般的に高分子化合物の印加電圧と抵抗(体積抵抗、表面抵抗とも)の関係は、高電圧ほど抵抗(体積抵抗、表面抵抗とも)が小さくなる特性を有する。従って、高分子化合物からなる層を有する導電性部材においても同様の傾向を示す。しかしながら、これらの傾向は、使用される原材料に起因する影響(原材料の種類や特性、あるいは不純物の種類、特性及び含有率等)や導電性部材の製造条件、層構成といった種々の要因によって影響を受けており、図24の導電性部材の体積抵抗率の印加電圧依存性の例を示すように様々なパターンを示す。
【0041】
印加電圧に対する抵抗依存性が小さければ感光体等にピンホールがあってもリークに対して有利(特に直流電圧)であるということだけでなく、本発明のように摩擦係数を低減、制御した導電性部材では、その回転は非常に円滑になされることになるため放電性や導電性の均一性は非常に優れているが、そのため逆に、ちょっとした接触状態の変化が放電性や導電性のバラツキを生じることがある。具体的には、使用に伴って、あるいは環境に伴って、導電性部材の抵抗が変化した時、印加電圧に対する抵抗依存性が大きい導電性部材の場合では印加電圧が大きく変化し、その結果、静電的に引き付け合う力が変化することによって接触状態が変化してしまう可能性があるので、印加電圧依存性を小さくすることにより、これらに起因する影響を小さくすることができる。
【0042】
この時、印加電圧依存性としては、30℃/80%RH、23℃/65%RH及び15℃/10%RHの各環境下において導電性部材の各々の環境における体積抵抗値を印加電圧200V(直流)から1000V(直流)の範囲において100Vおきに測定した時の最大値と最小値の比が10倍以内(好ましくは8倍以内、より好ましくは5倍以内)であることが一層好ましい。これらの場合における導電性部材の体積抵抗値の測定は、温度、湿度あるいは印加電圧を所定の条件とした上で、図6に示す方法と同様にして測定、計算を行なう。
【0043】
加えて、体積抵抗値の時間依存性が小さいほど好ましい。すなわち、体積抵抗値は導電性部材に電圧を印加し所定時間後の電流値を測定して所定の方法で計算するが、印加直後に測定された電流値は時間とともに変化(減少又は増加)することが多く、通常は電流値が減少(体積抵抗値は増加)する傾向が一般的である。これらの傾向は使用する材料(バインダーや導電性付与材の種類あるいはそれらの組み合わせ)によって異なるが、時間の経過とともに電流値が徐々に変化するものや初期の変化率が大きいがその後ほぼ一定になるもの等様々なパターンを示す(数例を図25に示す)。本発明の場合は、前述の体積抵抗値の時間的な依存性が小さい方が好ましく、図6に示す測定方法に従い、電圧印加直後から60秒間における体積抵抗値の時間的変化を観察した時に、その間における最大値と最小値の比が10倍以内(好ましくは8倍以内、より好ましくは5倍以内)であることが特に好ましい。
【0044】
更に加えて、個々の導電性部材内での体積抵抗値の部分的なバラツキは小さい方が好ましく、体積抵抗値の最大値(ρcMAX)と最小値(ρcMIN)のバラツキをそれらの比(ρcMAX/ρcMIN)で表わすとすると、ρcMAX/ρcMINが10倍以内(より好ましくは8倍以内、一層好ましくは5倍以内)であることが好ましい。この時のρcMAX/ρcMINは、円周方向と長手方向の2通りがありえるが、大きい方の値が前記範囲であることが望ましい。
【0045】
円周方向のバラツキについては、図6に示す方法に従って測定を行なう。この時、電流値チャートはローラ一周分の周期の繰り返しとなるが、電圧印加30秒後の点を含むローラ一周分における最小電流値(IMIN)と最大電流値(IMAX)とから、体積抵抗値の最大値(ρcMAX)と最小値(ρcMIN)をそれぞれ求めることによって、計算される。
【0046】
また、長手方向のバラツキについては、図8に示す方法によって導電性部材長手方向各部における体積抵抗値を測定、計算し、最大値と最小値の比を求めることによって計算される。測定結果の一例を図9に示す。なお、この測定方法においては、周方向の抵抗測定時のニップ面積と同一になるように導電性部材の外径を考慮して電極の幅を決定することが好ましく、また印加バイアスも同一であることが好ましいが、本発明の場合は、簡便のため電極幅は10mm、印加バイアスは直流−500Vとした。
【0047】
これらは導電性部材の体積抵抗値に関して詳述したものであるが、当然のことながら表面抵抗値についても同様のことがいえる。
【0048】
このようにして得られた導電性部材に、交流電圧を印加した時の複素誘電率及び誘電正接(誘電的なtanδのことで、本発明ではtanδDと表わす)が次式で表わされる時、23℃/65%RHの環境下において、誘電正接が2以下であったり、誘電損率が周波数1×103Hz以上1×105Hz以下の範囲に変曲点又は肩を有することが一層好ましく、また特に直流電圧のみを印加する場合に好ましい。
【0049】
ε*=ε'−ε''、 tanδD=ε''/ε'
(ε*:複素誘電率、ε':誘電率、ε'':誘電損率、tanδD:誘電正接)
【0050】
更には、これらの電気的な諸特性は最外層についても同様であることが好ましく、高分子材料を主体とする層が複数ある場合には、すべての層が同様であれば、非常に好ましい。この時、最外層の体積抵抗値は、基体の体積抵抗値の10倍以上であればなおさら一層好ましい。これらの観点からは、最外層の吸水率は小さい方が好ましく、ASTMD570に準拠した時の吸水率(条件は23℃/60%RHとする)が1.5%以下(好ましくは1.0%以下)であることが好ましい。また、最外層の線膨張係数も小さい方が好ましく、ASTMD696に準拠した時の線膨張係数が、1×10-2℃-1以下(好ましくは1×10-4℃-1以下)であることが望ましい。
【0051】
また、最外層の厚さとしては、平均膜厚が1000μm以下(好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、一層好ましくは100μm以下で、なかでも50μm以下の場合において非常に優れた効果を得ることができるので最適である)が好ましく、更には、平均膜厚の±20%以内の範囲に最大膜厚と最小膜厚が入っていると一層好ましい。また、最外層の厚さがある程度薄い場合等では、所定の特性を安定して保持するためには最外層にはある程度の高物性が要求され、4×106Pa以上の100%モジュラスを有する最外層であれば特に良好な結果が得られるし、耐摩耗性が良好であれば一層好ましい。
【0052】
更なる摩擦係数の低減や安定化の観点からは、表面に複数の凸部を有することが一層好ましい。導電性部材表面に凸部を設けるためには、最外層によって形成する方法と基体によって形成する方法があり、場合によってはこれらを組み合わせることもできる。
【0053】
最外層によって表面に凸部を形成する方法としては、さまざまな方法を用いることができ特に限定はないが、例えば最外層に微粒子を添加する方法が挙げられる。一例としては、最外層用材料を溶剤や水に溶解あるいは分散した塗料に微粒子を所定量分散させてから、ディッピングやスプレーで塗工した後、加熱して最外層を形成する方法がある。加熱により、単に乾燥だけでなく架橋等の化学反応を行なうこともでき、物性の向上に効果がある。これらの場合、微粒子の添加量は最外層用材料中のバインダー成分100重量部に対して、100重量部以下、できれば50重量部以下であれば好ましい。
【0054】
別の例としては、最外層用材料を溶剤や水に溶解あるいは分散した塗料をディッピングやスプレーで塗工した後、エア等の圧力で微粒子を吹き付けた後、加熱して最外層を形成する方法がある。更にその他の方法としては、最外層用材料を熱で溶融した後、エア等の圧力で微粒子を吹き付けて最外層を形成する方法がある。
【0055】
微粒子としては、有機材料、無機材料のいずれでも使用することができるが、有機材料としては、例えば、高分子化合物を主体とした微粒子があり、無機材料としては、例えば、カーボン類(カーボンブラック、カーボングラファイト及びカーボン粒子等)や無機化合物(種々の元素の酸化物、炭酸塩、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、水酸化物及び硫酸塩等やこれらの混合物があり、一例としてマグネタイト、フェライト、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム及び窒素ホウ素等)があり、微粒子の粉体抵抗値(ρh)は導電性部材の体積抵抗値に近いことが、導電性部材の導電性のバラツキを小さくするという面から望ましく、具体的にはρhが23℃/65%RHにおいて1×1015Ωcm以下(より好ましくは1×1012Ωcm以下、一層好ましくは1×1010Ωcm以下)であることが好ましく、更には、ρh/ρc≦1×106(より好ましくは1×1-7≦ρh/ρc≦5×105、一層好ましくは5×10-6≦ρh/ρc≦1×105)であることが好ましい。また、粉体が主として含まれる層の体積抵抗値を(ρs)とした時、ρsは1×107 Ωcm以上(より好ましくは1×109Ωcm以上、一層好ましくは1×1011Ωcm以上)であることが好ましく、更には、ρh/ρs≦1×105(より好ましくは1×10-8≦ρh/ρs≦5×104、一層好ましくは5×10-7≦ρh/ρs≦1×104 )であることが好ましい。
【0056】
本発明における微粒子の粉体抵抗値の測定方法を図10に示す。セル1001に微粒子を充填し、微粒子に接触するように電極1002及び1003を配し、電極間に電圧(V)を印加し、その時流れる電流(I)を測定し、次式によって計算した。
【0057】
ρh=R×Sh/th、 R=|V/I|
ρh:微粒子の粉体抵抗値(Ωcm)、R:微粒子の抵抗値(Ω)(測定値)
Sh:充填した微粒子と電極の接触面積(cm2)、
th:充填した微粒子の厚み(cm)
【0058】
本発明においては、Sh=2cm2、th =0.1cm、V=1000(V)とし、上部電極に10kgの荷重をかけた。測定環境は23℃/65%RHに12時間以上放置後、同一環境において測定を行なった。
【0059】
本発明においては、微粒子の材質や形状に特に制限なく使用することができるが、上記範囲の微粒子を使用すればより好ましい。例えば、ゴムや樹脂に導電剤を添加して混練粉砕した後、分級等の粒度(例えば、平均粒度や粒度分布等)の調整や研磨して球状にする等の形状の調整等を行なったり、モノマーに導電剤を分散あるいは溶解して重合し導電性高分子微粒子を得たり、ゲル状の球状粒子を使用したり、樹脂粒子や無機粉体の表面を導電化処理(例えば、コーティング、ドーピング及びメッキ等)したりすることもできる。
【0060】
また、形状としては、例えば、球状や不定形状(扁平形状、ウィスカ形状、楕円形状、ドーナツ形状、金平糖形状及び星型形状等、あるいはこれらの複合体や集合体等)で使用されるが、凸部の形状や配列にある程度の規則性を必要とする場合には、球状の形状を用いれば制御することもできる。これらの微粒子の粒径は、大きすぎると画像上ポチ等の不具合を生じることがあるので概ね200μm以下、更には100μm以下であれば好ましく、微粒子添加効果を最大限に発揮するためには、1μm以上50μm以下が非常に好適であり、もちろん任意の粒度分布を有していても構わない。
【0061】
また、微粒子を添加することによる高分子材料の物性低下を低減するため、微粒子表面をシラン系、チタン系及びアルミニウム系等のカップリング剤処理や粘着剤、接着剤等の塗布や反応性基の導入等のいわゆる表面処理を施すことが有用である。この時、微粒子表面が例えば微小凹凸構造を有するようないわゆる比表面積が大きい(好ましくは1.5以上)微粒子を用いれば、その影響(例えば、表面積増大による効果や投錨効果等)により物性改善に優れた効果が得られるので好ましい。更には、高物性の高分子材料を選択することも好ましく、100%モジュラスが5×106Pa以上の高分子材料であれば、最外層としての100%モジュラスが4×106Pa以上の物性を得易いのでより好ましい。加えてこれらの場合には、微粒子の吸湿性や吸水性を改善することができるので非常に好ましい。なお、これらの物性は測定時の温度や湿度の影響を受けることがあるので、23℃/65%RHにおける結果である。
【0062】
最外層によって表面に凸部を形成する第2の方法として、熱可塑性高分子材料によって最外層を形成した場合、熱的な特性を利用した方法を挙げることができる。例えば、熱可塑性高分子材料を溶剤に溶解した塗料を用いて塗工を行なったり、チューブ状に押出したものを被覆したりすることによって最外層を形成した後、所定の表面形状(凹部)を施した金属製の圧接部材を熱可塑性高分子材料の融点以上まで熱して最外層に押し付け、金属製圧接部材の凹部形状にほぼ準じた形状を最外層表面に凸部として転写することによって所定の凸部を設ける方法や熱可塑性高分子材料の融点以上まで熱した粉体や粒子をエア等の圧力で最外層表面に吹き付け、熱及び衝撃によって熱可塑性高分子材料表面の形状を変形させたり、粉体や粒子が付着したりすることによって、最外層表面に凸部を設ける方法等がある。その後、熱やエネルギー線(紫外線、赤外線、マイクロ波及びX線等)等に暴露や照射を行い、架橋等の化学反応を行なえば、物理的あるいは熱的特性が向上するので好ましい。
【0063】
最外層によって表面に凸部を形成する第3の方法として、例えば、最外層を発泡させる方法を挙げることができる。この場合、高分子化合物中に発泡剤を添加し加熱やマイクロ波等のエネルギー線を照射する等の手段によって化学的発泡を行なう方法や機械的に高分子化合物中に気泡を発生、混入したりする等の手段による物理的発泡を行なう方法がある。この場合、最外層の厚さ方向によって発泡密度や発泡径を異なるようにする等、さまざまな発泡制御をすることによって、所望の状態とすることができる。この場合、最外層の表面側ほど気泡密度や発泡径を大きくすると良好な効果を得易い傾向にある。
【0064】
また、基体によって表面に凸部形成するには、基体を構成する各層の任意の1層あるいは2層以上に凸部を形成することによって、略同様の形状を表面に反映させる方法がある。この場合、一般的には芯金等の導電性支持体上に形成する弾性層表面に凸部を形成することが簡易な方法で優れる。具体的には、所定の形状を金型に掘り込んでおき(凹部)、そこに弾性体を充填することで、その形状がそのまま転写され凸部となる。あるいは、導電性支持体上に直接適当な手段で凸部を設けてもよい。あるいは、上述したような、最外層に凸部を設ける手段にて基体に凸部を設けることもできる。このようにして基体に凸部を設けた上に最外層を設ければ、基体に設けた凸部と略同様の形状を表面に形成することができる。この場合、最外層の厚さが基体の凸部高さに比べて大きすぎると、ダレたような感じとなって良好な形状が得られない場合があるので、最外層の厚さは基体の凸部高さの20倍以内程度であることが好ましい。
【0065】
このようにして得られた導電性部材は、均一導電性を保持したり他部材との安定な接触性等の面から、導電性部材表面の任意の凸部において、該凸部の最大幅をH(μm)、該凸部の最大高さをT(μm)とした時に、0.02≦T/H≦1であることが好ましく、一層望ましくは0.025≦T/H≦0.5である。更には、均一導電性のより高度な保持や製造面での安定性の面からは、導電性部材表面の任意の凸部において、該凸部の最大高さをT(μm)、該凸部の最大高さを含まない最外層の厚さをA(μm)とした時に、T/A≦2であることが好ましく、一層望ましくは、0.01≦T/A≦1である。
【0066】
更に、本発明においては、2種以上の凸部形状が混在すれば、汚れ付着性の低減に、より一層の効果があるので好ましい。代表的な凸部の形状としては、凸部の頂部が平面や曲面を有することが好ましく、平面方向の断面形状としては円形や楕円形が、高さ方向の断面形状としては台形あるいは上底に相当する部分が曲線で表わされた略台形状であることがより好ましい。また、高さが異なる凸部が混在すればより好ましい。加えて、凸部が例えばほぼ等間隔で配列されている等のある規則性を有していればなおさら好ましい。当然のことであるが凹部が併存しても差し支えない。
【0067】
また、本発明における凸部とはマクロ的に見た場合には導電性部材表面のうねり的な意味合いと表面粗さ的な意味合いとを併せ持つものであるので、従来のSm、Rz、Ra及びRmax といった指標では表わせないものである。
【0068】
ところで、本発明の導電性部材は、複数の高分子化合物層からなる場合が多い。その場合、基体に弾性を有する層を設けることが、静的及び動的状態における安定した接触状態を確保するために重要である。すなわち、代表的には導電性支持体、弾性を有する層及び最外層とからなる構成を挙げることができるが、もちろんこれ以外にも種々の機能を達成するための機能層を必要なだけ設けて構わない。
【0069】
弾性を有する層に使用される材料としては特に制限はなく、従来既知の樹脂、エラストマー及びゴム等を使用することができるが、例えば、樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)及びゴム等の高分子化合物群から選択されたバインダーに、必要に応じて導電性付与材料、絶縁性材料、電荷調整材料、着色材料、加工助剤、架橋(加硫)剤、架橋(加硫)助剤、活性剤、離型剤、滑剤、粘着付与剤、酸化防止剤、架橋(加硫)促進剤、発泡剤、発泡助剤、防黴剤、安定剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、加水分解防止剤、可塑剤、軟化剤、表面粗し材料、磁性材料及びその他各種添加剤を添加したものが使用される。
【0070】
樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂及びそれらのハロゲン化物、ABS樹脂、アイオノマー樹脂、アクリル系あるいはメタクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、サラン系樹脂、セルロース系樹脂及びその誘導体、レーヨン、ポリブテン、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等を、またTPEとしては、例えば、スチレン系TPE、ポリエステル系TPE、オレフィン系TPE、アクリル系TPE、ウレタン系TPE、シリコーン系TPE、フッ素系TPE、ポリアミド系TPE、ブタジエン系TPE、アクリロニトリル系TPE及び液晶系TPE等を、更にはゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)及びその水素添加物や変成物、エチレンプロピレンゴム(エチレンとプロピレンを任意の割合で共重合したEPM又はエチレンとプロピレンの他にエチリデンノルボーネンやジシクロペンタジエン等のジエン類を第3成分として添加共重合したEPDM)及びそのハロゲン化物、ブチルゴム(IIR)及びそのハロゲン化物、ブタジエンゴム(cis−1,4結合、trans−1,4結合、アタクチック又はシンジオタクチック又はアイソタクチック−1,2結合をそれぞれ0〜100重量%の間で任意の割合をとってなる)、トランスオクテンゴム、ニトリルゴム(NBR)及びそのカルボキシル化物や水素添加物、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びそのカルボキシル化物や水素添加物、クロロプレンゴム(硫黄変成タイプやメルカプタン変成タイプ等)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)及びそのアルキル化物、ウレタンゴム(ポリエステル又はポリエーテルポリオールとイソシアネートとの反応で得られる−NHCOO−基を有するもの及びその変成物)、エピクロルヒドリンゴム(エピクロルヒドリンの単独重合体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドの共重合体やこれらにアリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシドを加えた2元あるいは3元共重合体、更には、エチレンオキサイドの代わりにプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを用いたもの)や塩素の代わりに他のハロゲンを導入したもの、シリコーンゴム(主鎖にシロキサン構造を有し、側鎖にメチル基等のアルキル基、ビニル基、フェニル基等の置換基を含有するもの)及びそのハロゲン化物や有機ポリマーセグメント導入物、フッ素ゴム(主鎖が炭化水素を骨格としフッ素を置換した種々の構成を有するモノマーを単独重合あるいは2種以上任意の割合で共重合してなるものやフッ素含有モノマーとプロピレン等の不飽和炭化水素モノマーを共重合してなる)、アクリルゴム(架橋サイトとしてハロゲン活性基含有モノマー、エポキシ活性基含有モノマー、ジエン系モノマー、カルボキシル基含有モノマー等の架橋モノマーが0.5〜5質量%導入されてなる)、ポリノルボーネンゴム、多硫化ゴム、ポリエーテル系特殊ゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレン・アクリルゴム、環化ゴム(ポリイソプレン系、ポリブタジエン系等)等を挙げることができる。
【0071】
これらの高分子化合物は、その求められる特性に応じて、単独あるいは混合(ブレンドやアロイ化)して使用したり、更には、これらの高分子化合物を構成する単量体同士を任意の組み合わせ、任意の割合で共重合(ランダム、ブロック及びグラフト)させたもの、あるいは例えば置換基の導入や水素添加したりした変成物として使用することができる。これらの高分子化合物の製造方法としては特に制限はないが、一般にはモノマーに触媒を添加し溶液重合や乳化重合や気相重合等の重合方法がとられ、重合された高分子化合物中の残さや不純物を少なくするという観点からは溶液重合や気相重合が好ましい。
【0072】
なお、2種以上の高分子化合物を混合して使用する場合には、性状(固体状、液体状及びラテックス等)、相溶性、分散粒子径の大きさと形状、架橋剤の種類や分配、充填剤の分配、ポリマー間の共架橋性、分子量、ガラス転移点や融点等を考慮して材料や加工条件等を適宜選択することが重要であり、それによって、例えば、NBR/エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム/エチレンプロピレンゴム及びシリコーンゴム/アクリルゴム等の通常相溶性があまり良くないとされる組み合わせにおいても、一方の高分子化合物からなるマトリックス中に、他方の高分子化合物からなる微小なドメインを形成することができ、高分子化合物同士の良好な分散状態あるいは海/島構造とすることができる。
【0073】
これらの高分子化合物に前述の種々の添加剤を必要に応じて添加し、所定の加工方法によりスポンジやソリッドで、場合によってはゲル状で使用できるし、繊維状に成形することも可能である。架橋あるいは加硫の操作を行なうには、加熱、水素付加、湿気、紫外線、放射線及び超音波等を照射する等の方法があり、その結果、高分子量化、3次元化、IPN化及び固定化等の効果が生じる。
【0074】
このようにして得られた弾性を有する層は、大きな弾性を有する方が好ましい。なぜならば、外部から力が加わった時に弾性を有する層は変形を起こすが、弾性が大きいということは、力が加わった瞬間から変形を生じるまでに要する時間が短い、ということを意味するので、特に摩擦係数を測定するような場合においては、荷重が除去された部分において瞬時に元に戻ろうとする力が働くが、弾性を有する層の弾性が大きければその力を補助する方向に働き、その結果スティックスリップのような不安定な現象を起こし難いので安定した特性が得られ易いという大きな利点があるからであり、この観点において、表面(最外層)だけでなくその下方の層の寄与度も無視できない場合があるからである。更には、詳細は不明なれども、種々の加工工程において寸法や形状(例えば、振れ、真円度、熱収縮や膨張による変化及び研磨性等)の安定性が優れるといった更なる効果も見出され、一層望ましい傾向にある。
【0075】
ところで、弾性を示す指標としては、一般的には例えば、損失係数(力学的なtanδのことで、本発明においてはtanδTと表わす)、貯蔵弾性率、損失弾性率、せん断弾性率、減衰率、ヤング率、ばね定数、応力−荷重(SS)曲線、永久伸び、反発弾性率、応力緩和、クリープ及び圧縮永久歪み等さまざまなものがあるが、例えば、反発弾性率が30%以上(好ましくは40%以上、一層好ましくは50%以上)やtanδTが0.4未満(好ましくは0.3未満、一層好ましくは0.25未満)で、いわゆるスナッピー性を有するものが特に好ましい。これらの特性は、加硫剤の種類や配合量、加硫条件(温度や時間等)、加硫形態(加硫密度、反応度及び結合様式等)、材料特性(ポリマーの分子量、不飽和度及び架橋サイトや原材料のpH等)等により大きく左右されるので、個々の配合処方において最適となるように適宜選択することが重要である。
【0076】
本発明において弾性を有する層の厚さ(又は長さ)は、1〜20mmが好ましく、JISA硬度で70゜以下(好ましくは60゜以下)あるいはASKER−C硬度で90゜以下(好ましくは70゜以下)に調整される。弾性層の上方に被覆層が形成される場合は、上方の層ほど硬度が高くなるような構成となることが多い。特に低硬度(ASKER−C硬度で50゜以下)が要求される場合には、配合的な工夫やスポンジが使用されることがある。スポンジを使用する場合、発泡径は500μm以下(より望ましくは150μm以下)が好ましく、研磨等により発泡面が表面に現れていても、あるいはスキン層を有していても構わないし、発泡状態が、連続気泡及び独立気泡のいずれであってもよいが、導電性部材の精度向上や交流電圧を印加する場合の帯電音低減等の観点からは、独立気泡でスキン層を有する構成ができれば好ましい。
【0077】
弾性を有する層に導電性付与材料を使用する場合には、従来公知の電子導電体及びイオン導電体のいずれでも使用することができる。本発明における電子導電体としては、体積抵抗値が1×106cm未満の物質をいい、例えば、カーボン類(カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維及びカーボン粒子等があり、例えば、グラフト処理したカーボンブラックはグラフト鎖に導入する高分子種によってバインダー高分子材料との相溶性を制御できる)、金属粉(例えば、金、銀、銅、ニッケル及びアルミニウム等やアロイ化物を粉砕、アトマイズ等により微粒子化したもの)、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、フェライト及びマグネタイト等)、導電化処理を施した複金属化合物、導電化処理を施した無機化合物及び導電性ポリマー(例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピリジン及びポリアズレン等)を挙げることができる。
【0078】
また、イオン導電体としては、例えば、金属塩、アンモニウム塩やイオン導電性ポリマー等が挙げられる。金属塩を構成する正イオンとしては、例えば、I族又はII族の金属イオンが挙げられ、中でも陽イオン半径の比較的小さいリチウム、ナトリウム及びカリウムの金属塩が特に好ましく、アンモニウム塩を構成する正イオンとしては、四級アンモニウムイオンが一般的である。一方、これらの塩を構成する陰イオンとしては、例えば、ハロゲン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、スルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン及びホウ酸イオン等を挙げることができる。また、イオン導電性ポリマーとしては、例えば、アルキレンオキサイド重合体等のポリエーテル結合を有する化合物及びその塩等の複合体等がある。これらイオン導電体は、解離定数(大きいほど導電付与性が良好)やpH(他の材料との相互作用の関係上5〜9、できれば6〜8が好ましい)を考慮して適正に使用することができる。これらの導電性付与材料は、1種類あるいは2種類以上混合しても構わないし、またこれらに限定されるわけではない。
【0079】
なお当然のことながら、上述した弾性を有する層に用いることができる諸材料を最外層に用いることもできる。更には、直接接する2層において、同一あるいは同系統の高分子化合物が共通して使用(単独、ブレンドを問わない)されていれば、直接接する2層間の密着性を向上することができる。
【0080】
本発明の導電性部材の形状としては、例えば、ローラ状、ブレード状、チップ状、ワイヤー状、ベルト状、フィルム状、ブラシ状、シート状及び湾曲した面を有する形状等、特に制限はなく、他の部材に対して接触式あるいは非接触式のいずれにおいても使用することができるが、特に接触式で用いられた場合に特に優れた特性を発揮することができる。また、少なくとも、基体と高分子化合物を主体としてなる最外層とを有することが好ましいが、使用される基体としては特に制限がない。基体の具体的な例としては、導電性支持体であったり、導電性支持体上に弾性を有する層を形成したり、その上に更に機能層を1層あるいは複数層設けてもよい。本発明の導電性部材が特に、ローラ形状で、少なくとも導電性支持体と最外層を有する場合には、導電性部材の最大径(D)と導電性支持体の最外径(d)とが、1.5≦D/d≦4であれば安定した特性を安定して製造し易いという利点があり好ましい。
【0081】
更には、導電性部材が感光体と相対移動する場合(例えば、感光体が回転し帯電部材は固定、感光体及び帯電部材が回転する、帯電部材が感光体長手方向に移動する等)には、空回転やスリップを完全に防止するという観点から導電性部材が移動、回転の一方又は両方の動作をするための駆動装置を有することが好ましい。
【0082】
加えて、導電性部材が感光体と接触する場合、所定のニップ形状を形成して感光体と接触しており、ニップ形状は接触状態や当接圧力等の影響によってさまざまな形状を示す。しかしながら、ニップ内部を詳細に観察すると、導電性部材は凸部を有しているために感光体と直接接触しているのは凸部の頂部やその付近であることがわかる。こちらの方も当然のことながら、接触状態な当接圧力等の影響によって変形状態が変わってくるので、任意の一点の凸部であっても、頂部付近の極小さな面で接触したり、頂部がかなり押しつぶされその結果かなり大きな面での接触になったり、といったように接触する面積が変化することがあるし、ニップ部内で凸部が複数ある場合には、直接接触している部分が複数あることになり、直接接触している面積とは個々の凸部の接触面積の合計になる。この時、ニップ部内において直接接触している部分の面積(St)のニップ部面積(Sn)に占める割合(St/Sn)が、50%より大きく95%以下であれば、安定した接触状態の確保と表面積低減効果とを両立できるので好ましく、65%以上95%以下であればより好ましく、80%以上95%以下であれば非常に好ましい。
【0083】
本発明の場合、直接接触している面積が小さくともその周辺で導電点や放電点が十分確保される。もちろん、種々の電子写真装置においては、導電性部材や電子写真感光体等の材質、形状、物性、寸法、当接力及び当接状態等のさまざまな条件が異なるが、その電子写真装置の標準的な条件、状態において、直接接触している部分の面積とニップ部面積との関係が上記範囲内であることが重要である。
【0084】
本発明の導電性部材を電子写真装置に用いるには特に制限はないが、例えば、高解像度(特には1200dpi以上)や高速(特にはプロセススピードが160mm/sec以上)の電子写真装置、あるいは、カラー画像やグラフィック画像を出力する電子写真装置に特に適する。更には、高耐久性(特には連続出力で5000枚以上や合計出力が15000枚以上)の求められる電子写真装置に一層適し、更に加えて、独立したクリーナー機構を有さないいわゆるクリーナーレスシステムを有する電子写真装置のように、転写残りの現像剤成分が比較的多くなってしまうような電子写真装置に、特に有用に使用することができる。
【0085】
また、導電性部材を帯電部材として用いた場合には、帯電バイアスとして直流電圧のみを印加する場合や直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する場合のいずれの電子写真装置にも使用することができるが、導電性のムラを画像上に反映し易い直流電圧のみを帯電バイアスとして使用する電子写真装置に特に好適である。この場合、感光体に対向して、転写手段の下流側かつ帯電手段の上流側に位置し、帯電手段前の感光体表面の電位を平均化するための部材(例えば、前露光、ニップ部への露光及び前帯電等)を有したり、帯電部材の表面に付着した異物を除去するための装置を有したりすれば導電性のむらを軽減することができるのでなお好ましい。異物を除去するための装置としては、金属、ゴム、樹脂及びこれらの複合体等からなるブラシ、ローラ、ブレード、シート、フィルム、ベルト及びチップ等を帯電部材に接触させることによって異物を機械的に剥ぎ取り除去する手段や、接触又は非接触状態でバイアスを印加して静電的に吸着除去する手段等を挙げることができる。バイアスを印加する場合には異物の帯電極性とは逆極性の直流バイアスを使用することが好ましい。
【0086】
本発明の電子写真装置に使用されるトナーには特に限定はなく、さまざまな材質(例えば、バインダー、電荷制御剤、染料、顔料及び助剤等)、色調(イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック)、構造(例えば、単層あるいは複数層構成、バインダー中における種々の添加剤の存在比率や偏在の程度等)、物性(例えば、熱的、物理的、電気的、磁気的及び化学的等)、表面特性(例えば、比表面積、表面硬度及び極性等)、粒径(例えば、平均粒径及び粒度分布等)、形状(例えば、球形及び不定形等)のものを使用することができるが、特には、略球状であるトナーやカラー画像用トナーを用いた場合、導電性部材表面への付着低減効果が顕著であるので好ましい。略球状のトナーの製造方法としては種々の方法があるが、例えば、粉砕後に研磨により不定形のトナーを球状にする方法や重合法によって製造する方法等があり、特に重合法により製造されたトナーを用いた場合に最適である。
【0087】
トナーの形態を表わす指標として従来から、形状係数SF−1や形状係数SF−2が用いられており、形状係数SF−1は、粒子の丸さの度合いを示し、形状係数SF−2は、粒子の凹凸の度合いを示す。本発明においては、形状係数SF−1が100〜150、形状係数SF−2が100〜140の範囲であることが好ましい。ここで、形状係数SF−1及びSF−2については、次のように計測される。
【0088】
例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、1000倍に拡大した2μm以上のトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して例えばニコレ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入し、解析を行い下式より得られた値を、定義する。
【0089】
SF−1={(MXLNG)2×π/(AREA)×4}×100
SF−2={(PERIME)2/(AREA)×4π}×100
ここで、式中MXLNGは粒子の絶対最大長、PERIMEは粒子の周囲長、AREAは粒子の投影面を示す。
【0090】
また、本発明に使用されるトナーのトリボ値としては好ましい範囲がある。すなわち、本発明の導電性部材が使用される電子写真装置において、現像剤担持体表面におけるトナーのトリボ値が、感光体の帯電極性と同じで、10〜40mC/kgの範囲であれば、安定して使用可能であり好ましい。
【0091】
本発明の電子写真装置に使用される感光体には特に限定はなく、従来公知のものを使用することができ、例えば、導電性支持体上に有機感光層や無機感光層を形成したものや、最外層に電荷注入層を設けたもの等を挙げることができ、また感光体の形状としては、例えば、円筒状、ベルト状、フィルム状及びシート状等さまざまな形状のものが使用できる。
【0092】
以下、本発明を実施例によって説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
【0093】
【実施例】
まず本発明に使用される部材及び評価機械の構成、材質及び製造方法等を説明する。
【0094】
[電子写真装置使用例1]
本発明の実施例及び比較例において使用される評価用機械である電子写真装置を以下のように準備した。まず電子写真装置としてレーザービームを用いたデジタル複写機(キヤノン製:GP55)を用意した。装置の概略は、解像度が400dpi、感光体の帯電手段としてコロナ帯電器を備え、現像手段として1成分ジャンピング現像方法を採用した1成分現像器を備え、転写手段としてコロナ帯電器、ブレードクリーニング手段、帯電前露光手段を備える。また、感光体帯電器、クリーニング手段及び感光体は、一体型のユニットとなっている。プロセススピードは150mm/sである。該デジタル複写機を以下のように改造して電子写真装置No.1とした。
【0095】
まず、解像度を1200dpiに、プロセススピードを160mm/sに改造した。次に、感光体の帯電手段をコロナ帯電器から接触式の導電性ローラ(帯電ローラ)に変更し、帯電ローラには帯電バイアスとして直流電圧−1300Vを印加する。
【0096】
また、現像部分を1成分ジャンピング現像から、2成分現像剤を使用可能にするために改造を行なった。現像バイアスは、直流−500Vとした。
【0097】
更に、コロナ帯電器を用いた転写手段をローラ転写方式に変更した。概略を図13に示す。
【0098】
[電子写真装置使用例2]
電子写真装置No.1から独立したクリーナ手段を取り除きクリーナレスシステムに改造して電子写真装置No.2とした。概略を図14に示す。
【0099】
[電子写真装置使用例3]
レーザービームを用いたデジタル複写機(キヤノン製:GP55)を以下のように改造して電子写真装置No.3とした。
【0100】
まず、解像度を1200dpiに改造し、次に、感光体の帯電手段をコロナ帯電器から接触式の導電性ローラ(帯電ローラ)に変更し、帯電バイアスとして、直流電圧−700Vに交流成分2kVpp/1.5kHzの正弦波を重畳したものを使用する。
【0101】
更に、コロナ帯電器を用いた転写手段をローラ転写方式に変更した。概略を図15に示す。
【0102】
[電子写真装置使用例4]
電子写真装置No.1を更に次のように改造して電子写真装置No.4とした。まず、導電性部材の回転駆動装置をつけた。導電性部材の回転は、感光体の回転方向に対し従動方向で、感光体の回転速度の2倍とした。また、導電性ファーブラシ製のローラを導電性部材の表面に接触させ異物除去ローラとした。導電性ファーブラシは、フッ素樹脂にカーボンブラックを添加し混練後繊維状に成形したものをファーブラシ状に形成したものである。フッ素樹脂は、特に吸湿性や吸水性が小さいので、本ファーブラシは環境変動に対して抵抗の変化が非常に小さいという特徴を持つ。なお、本例において異物除去ローラは、ファーブラシ製を使用したが例えば金属のような他の材質でも構わない。
【0103】
更に、異物除去ローラの回転駆動装置をつけ、異物除去ローラの回転方向は導電性部材の回転方向に対し従動方向で、導電性部材の回転速度の1.2倍とした。異物除去ローラにはバイアスとして直流−1500Vが印加できる。概略を図16に示す。
【0104】
[電子写真装置使用例5]
電子写真装置としてレーザービームを用いたデジタル複写機(キヤノン製:GP55)を用意し、以下のように改造して電子写真装置No.5とした。
【0105】
まず、解像度を1200dpiに、プロセススピードを160mm/sに改造した。次に、現像部分を1成分ジャンピング現像から、2成分現像剤を使用可能にするために改造を行なった。現像バイアスは、直流−500Vとした。
【0106】
更に、コロナ帯電器を用いた転写手段をローラ転写方式に変更した。概略を図17に示す。
【0107】
[感光体製造例1]
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に下引き層、正電荷注入防止層、電荷発生層及び電荷輸送層の順に機能層を設け、感光体No.1を作成した。
【0108】
下引き層は、アルミニウムドラムの欠陥等を均したり、露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電層である。
【0109】
正電荷注入防止層は、アルミニウム支持体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止するために設けられ、厚さ約1μmのポリアミド樹脂によって106Ωcm程度に抵抗調整されている。
【0110】
電荷発生層は、レーザ露光を受けることによって正負の電荷対を発生するために設けられた層であり、チタニルフタロシアニン系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層である。
【0111】
電荷輸送層は、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾンを分散した厚さ17μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。この感光体表面抵抗を測定したところ、電荷輸送層単体の場合、5×1015Ωcmであった。
【0112】
[トナー製造例1]
スチレン83.5重量部、n−ブチルアクリレート16.5重量部、低分子量ポリプロピレン7重量部、カーボンブラック6.0重量部、含金属アゾ染料1.4重量部及びアゾ系開始剤3.5重量部を分散混合する。次に、純水100重量部に対しリン酸カルシウム1重量部の比からなる分散液500重量部を調製し、ここに上記分散混合液を加えホモミキサーにより十分分散させ、80℃で11時間重合し、得られた重合体をろ過し、洗浄を行った後に、乾燥分級してトナー組成物を得た。
【0113】
上記トナー組成物に、疎水化処理された酸化チタン2.0重量%を添加し、平均粒径7.9μmのトナーNo.1を作成した。このトナーは、重合法により球状に形成されている。形状係数は、SF−1は118、SF−2は110であった。
【0114】
[トナー製造例2]
ポリエステル樹脂 100重量部
含金属アゾ染料 0.3重量部
低分子量ポリプロピレン 6.0重量部
カーボンブラック 5.5重量部
上記材料を乾式混合した後に、160℃に設定した2軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却し、気流式粉砕機により微粉砕した後に風力分級して粒度分布の調整されたトナー組成物を得た。このトナー組成物に、疎水化処理された酸化チタン1.4重量%を添加して、平均粒径7.1μmのトナーNo.2を作成した。
【0115】
[現像剤製造例1]
平均径60μmのニッケル亜鉛フェライトに、アクリル変性シリコーン樹脂をコートしたものを、100重量部に対しトナーNo.1を6重量部を混合し現像剤No.1とした。
【0116】
[現像剤製造例2]
平均径60μmのニッケル亜鉛フェライトに、シリコーン樹脂をコートしたものを、100重量部に対しトナーNo.2を6重量部を混合し現像剤No.2とした。
【0117】
[導電性部材製造例1]
<1−1 基体の作成>
NBR(結合アクリロニトリル量43%、ML1+4(100 ℃ )=45、比重1.00)80重量部、液状NBR(結合アクリロニトリル量32%、ブルックフィルド粘度5000cP(70℃)、比重0.98)20重量部、酸化亜鉛5重量部、ステアリン酸1重量部、導電性カーボンブラック8重量部、サーマルカーボンブラック5重量部、シリカ1重量部、マイカ1重量部、ハードクレー3重量部、ジエチレングリコール0.3重量部、ポリエチレングリコール0.2重量部、2−メルカプトベンズイミダゾール0.5重量部、DOP15重量部及びナフテン系オイル15重量部を十分冷却したニーダで混練し導電性NBRゴムバッチを得た。これを一晩熟成後、加硫剤として硫黄0.5重量部、加硫促進剤としてN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド2.0重量部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.5重量部及びテトラブチルチウラム・ジスルフィド1.5重量部を添加、オープンロールにて混練し、導電性ゴムコンパウンド1を得た。
【0118】
次に、予め導電性接着剤を塗布した、長さ450mm、直径9mm(両端50mmは直径6mm)のステンレス製芯金を導電性支持体として内面が滑らかな円筒状金型の中心にセットし、その周囲に導電性ゴムコンパウンド1をインジェクションによって流し込んだ後、170℃の雰囲気中に60分間放置することによって加硫成形を行い、導電性支持体であるステンレス製芯金の周囲に弾性を有する層としてパーティングラインのないソリッドゴム(肉厚が3.5mm、外径16mm、ゴム長350mm)が形成された導電性ゴムローラ1を作成し、これを基体1とした。
【0119】
基体1の体積抵抗値を、23℃/65%RHの環境に24時間放置した後同環境において、図6の方法によって測定、計算したところ、5.2×103 Ωcmであった。この時の周方向最大抵抗値/最小抵抗値の比(抵抗むら)を求めたところ2.9であり、図9に示す方法によって長手最大抵抗値/最小抵抗値の比(抵抗むら)を求めたところ4.6であった。これらの諸特性を表1に示す。
【0120】
<1−2 最外層用塗料の作成>
(1)微粒子1の作成
アクリル樹脂100重量部、ステアリン酸カルシウム2重量部、低分子量ポリプロピレン3重量部及び導電性カーボンブラック6重量部を乾式混合した後に、160℃に設定した2軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却し、気流式粉砕機により微粉砕した後に風力分級して粒度分布を調整した。その後、表面を研磨し、略球状の微粒子1を得た。微粒子1の粉体抵抗を図10の方法によって測定したところ6.3×102Ωcmであった。更に、粒径を測定したところ平均粒径が8.0μmで、平均粒径付近にピークを有する粒度分布を有していた。
【0121】
(2)最外層用塗料1の作成
四フッ化エチレン−ビニルエーテル−ビニルエステル共重合体を主成分とするフッ素系樹脂塗料(B型粘度(25℃)=650cp、固形分水酸基価=60mgKOH/g、色数=ガードナーで5以下、Tg=25℃、鉛筆硬度=B以上)を酢酸エチルを用いて固形分調整を行ない、固形分3重量%とした。この塗料の固形分100重量部に対して、導電性酸化スズ(表面を酸化アンチモンでドーピングした透明導電性粉末、一次粒径0.02μm)10重量%、微粒子1を8重量%、レベリング剤としてジメチルシリコーンオイルを100ppm添加し、メディアを用いてペイントシェーカーで12時間分散後、メディアを分離し、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)をOH/NCO=1/1になるように添加混合し最外層用塗料1を作成した。
【0122】
<1−3 導電性部材の作成>
基体1の表面を2−ブタノンにて洗浄後、接着力向上のためγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランでプライマー処理した後、最外層用塗料1を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度40mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に135℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して被覆層を形成し、導電性部材No.1を作成し、以下の各特性の測定を行なった。なお、導電性部材No.1の断面構成を図2−(a)に示す。
【0123】
<1−4 導電性部材No.1の特性測定>
(1)物理的特性
▲1▼摩擦係数:前述したように図3に示す方法で測定したところ、μS≦0.50、μD≦0.30、μDmax=0.34、μDmin=0.26であった。従って、μS/μD=1.67、μDmax/μDmin=1.31ある。
【0124】
▲2▼形状測定:導電性部材No.1表面の任意の部分の断面を電子顕微鏡にて1000倍に拡大、観察を行なった。その視野中に含まれる凸部を任意に3点(場所X、場所Y、場所Zとする)選びだし、該凸部の最大幅H、最大高さT、該凸部の最大高さを含まない最外層の厚さAを測定したところ、場所Xでは、H=10μm、T=5μm、A=15μmであり、T/H=0.5、T/A=0.33、場所Yでは、H=11μm、T=5μm、A=15μmであり、T/H=0.45、T/A=0.33、場所Zでは、H=10μm、T=4μm、A=17μmであり、T/H=0.4、T/A=0.24であった。導電性部材No.1の形状としては任意の3点の単純平均とし、従って、T/H=0.45、T/A=0.3である。
【0125】
(2)電気的特性
▲1▼体積抵抗値:30℃/80%RH、23℃/65%RH及び15℃/10%RHの各環境において、図6の方法に従って測定、計算したところ、体積抵抗値ρcは各々、1.9×105Ωcm、3.2×105Ωcm及び8.7×105Ωcmであり、これらの環境の範囲における体積抵抗値の変動は4.6倍であることがわかった。
【0126】
▲2▼体積抵抗値の印加電圧依存性:30℃/80%RH、23℃/65%RH及び15℃/10%RHの各環境下において、印加電圧(直流)を−200Vから−1000Vの範囲で100Vおきに測定、体積抵抗値を求めたところ、いずれの環境においても印加電圧が高くなるにしたがって体積抵抗値が小さくなった(−200Vで最大値、−1000Vで最小値を示した)。この時の最大値と最小値の比は30℃/80%RHの環境で3.7倍、23℃/65%RHの環境で3.8倍及び15℃/10%RHの環境で4.5倍であった。
【0127】
▲3▼体積抵抗値の時間依存性:電圧印加直後(0秒)から60秒間における体積抵抗値の時間的変化を上記各環境において求めたところ、いずれも時間の経過とともに体積抵抗値が増大(電流値が減少)する傾向があった。この時、30℃/80%RHの環境で4.2倍、23℃/65%RHの環境で3.8倍、15℃/10%RHの環境で5.0倍であった。
【0128】
▲4▼抵抗比:周方向最大抵抗値/最小抵抗値の比は2.5で、長手最大抵抗値/最小抵抗値の比は4.0であった。
【0129】
▲5▼誘電特性:体積抵抗値の測定に使用した装置を用い、導電性部材No.1に印加する電圧をピーク間電圧100Vppの交流電圧とする。周波数は1×102、1×103、1×104、1×105、1×106及び1×107Hzの6点とし、これらの時流れた電流をオシロスコープで読み取り、電圧と電流の位相差(δ)を測定することによって、誘電正接(tanδD)及び誘電損率が求められる。これらの結果を図11に示す。なお、本発明では前述した各測定点における測定値を滑らかな曲線で結んだ時の最大値をもって誘電正接とする。その結果、これらの周波数の範囲でtanδDの最大値が0.08であり、1×104Hzの周波数において誘電損率は最小値を示したので、導電性部材No.1の誘電正接は0.08、誘電損率は変曲点を有しそのピーク位置は1×104Hzであることが分かった。測定環境は23℃/65%RHである。これらの諸特性を表1に示す。
【0130】
<1−5 最外層の特性測定>
▲1▼膜厚:最外層の膜厚は、<1−4導電性部材No.1の特性測定>(2)物理的特性▲2▼形状測定において得られたT+Aを最外層の膜厚とし、3点の単純平均をもって導電性部材No.1の最外層の平均膜厚とした。従って本実施例の場合は、20.3μmであるので、平均膜厚の±30%以内の範囲に最大膜厚と最小膜厚が入っていることがわかる。
【0131】
▲2▼100%モジュラス:まず、導電性部材No.1から最外層を採取した。本実施例の場合には、最外層は基体と強固に接着しているため以下のようにした。基体の一部が付着していても構わないので最外層付近を切り出した。これを−50℃中に12時間放置して冷凍した状態で、基体の一部が付着している面を非常に目の細かい紙やすりで注意深くこすり、磨くことによって基体の一部を除去したのち、常温に戻し12時間放置してモジュラス測定用の試料として使用することにした。研磨面の表面粗さを測定したところRzが10μmであった。本実施例のような手段によって最外層を採取する場合は、Rzが10μm以下であれば試料として使用することができる。また、最外層が容易に剥離できる場合は剥離することによって採取してもよいが、できるだけ伸ばさないように注意して剥離する。
【0132】
このようにして採取した最外層を長さ40mm、幅10mmに打ち抜いて試料片とした。試料片の厚さを求める必要があるが、この場合は<1−4導電性部材No.1の特性測定>(2)物理的特性▲2▼形状測定において得られたAを最外層の厚さとし、3点の単純平均をもって導電性部材No.1の最外層の平均厚さとした。すなわち本実施例の場合は、平均厚さ=(15+15+17)/3=15.7μm=0.00157(cm)である。
【0133】
次いで、試料片に20mm間隔の標線を引いた後、引張試験機(テンシロン)に装着、100mm/min.の速度で試料片を引っ張る。この時の応力変化をチャートに記録しておく。標線間距離が40mmになった時の応力をF100(kgf)とすると、100%モジュラスは次式で求められる。
【0134】
M100(Pa)=K×F100(kgf)/試料片の断面積(cm2)
=K×F100(kgf)/試料片の幅(cm)×試料の平均厚さ(cm)
M100 (Pa):100%モジュラス、K:定数(9.80665×104)
試料片の幅:1(cm)、試料の平均厚さ:0.00157(cm)
【0135】
このようにして100%モジュラスを求めたところ、8.1×106Paであった。なお、23℃/65%RHに12時間以上放置後、同一環境において測定を行なった。また、応力変化のチャートからヤング率、ばね定数を求めることができる。更に、試料片が破断するまで荷重や伸びを測定すれば、引張り強さ(破断力、破断時応力)や伸び(破断伸び)等も同時に測定できる。
【0136】
▲3▼体積抵抗値:▲1▼膜厚の測定において最外層を採取した方法と同様の手段によって最外層を採取した。2枚の電極の間に最外層をはさみ、所定の電圧を印加した時流れる電流量を測定し、次式によって最外層の体積抵抗値を求めた。
【0137】
ρs=R×Sa/ta、 R=|V/I|
ρs:最外層の体積抵抗値(Ωcm)、R:最外層の体積抵抗値(Ω)
Sa:電極面積(cm2)、ta:試料厚さ(cm)、
V:印加電圧(V)、I:電流(A)
【0138】
本発明においては、Sa=2cm2、ta=T+A=0.00203cm、V=−500(V)とし、上部電極に10kgの荷重をかけた。23℃/65%RHに12時間以上放置後、同一環境において測定を行なった。その結果、ρs=1.0×109Ωcmであり、基体の体積抵抗値の約200000倍であることが分かった。これらの諸特性を表1に示す。
【0139】
<1−6 弾性を有する層の特性測定>
弾性を有する層の反発弾性率(RB)及び損失係数(tanδT)を測定したところ、RB=60%、tanδT=0.26であった。本実施例においてこれらの測定は、導電性部材から試料を採取することとした。弾性を有する層を形成した後も、最外層を形成する等の理由により熱履歴等を受けることがあるためである。
【0140】
反発弾性率の測定方法は、加硫ゴム物理試験方法(JISK6301−1995)の11項に示される反発弾性試験に準じて行う。但し、試験片は導電性部材から切り出し、直径6mmとし、厚さが10mmになるように重ねた。また、鉄棒は直径5mmとし鉄棒の中心におもりをつけることで鉄棒全体の重量が350gとなるように調節し、23℃/65%RHの環境中で測定を行なうものとした。
【0141】
また、損失係数の測定は、加硫ゴムの動的性質試験方法(JISK6394−1995)に準じて行う。損失係数は、配合処方や製造条件の影響を大きく受けそれらの少しの違いによっても数値が大きく異なる場合もあるので、試験片は導電性部材から切り出すことが好ましいので、本実施例においては、試験片の大きさは直径5mm×厚さ1mmに調整することにし、S1形の接着板を用いた。つまり、弾性を有する層を1mmの厚さにスライスし、直径5mmに打ち抜く。スライスする時、冷凍やその他の手段によって加工し易くしてもよい。
【0142】
次いで、この試験片が装着できるように測定部を調節した非共振強制振動型の動的粘弾性測定装置を用いて、せん断モード、試験環境23℃/65%RH、試験振動数10Hz、せん断ひずみ振幅1.0%で測定するものとした。これらの諸特性を表1に示す。
【0143】
[導電性部材製造例2]
<2−1 基体の作成>
ECOゴム(エピクロルヒドリン52mol%、エチレンオキサイド41mol%、アリルグリシジルエーテル7mol%を共重合してなる、ML1+4(100 ℃ )=50)100重量部、硫黄0.5重量部、2−メルカプトイミダゾリン1.5重量部、ハードシリカ5重量部、不定形シリカ5重量部、酸化マグネシウム3重量部、脂肪酸エステル2重量部、2−メルカプトベンズイミダゾール1重量部、ジエチレングリコール0.5重量部、過塩素酸リチウム2重量部及びナフテン系オイル10重量部を十分冷却したオープンロールにて混練し、導電性ゴムコンパウンド2を得た。
【0144】
2分割された金型の中心に、予め導電性接着剤を塗布した長さ450mm、直径9mm(両端50mmは直径6mm)のステンレス製芯金をセットし、導電性ゴムコンパウンド2をその周囲にインジェクションによって流し込んだ後、170℃の雰囲気中に60分間放置することによって加硫成形を行い、導電性支持体であるステンレス製芯金の周囲に弾性を有する層としてパーティングラインのあるソリッドゴム(肉厚が3.5mm、外径16mm、ゴム長350mm)を形成した。この表面を砥石で研磨して所定の外径としてから液体窒素中に浸漬して冷凍後、ガラスビーズを空気流と共に吹き付けて表面を全体的に粗すことによって表面に凸部を形成した。その後、常温に戻すことによって導電性ゴムローラ2を作成し、これを基体2とした。
【0145】
<2−2 最外層用塗料の作成>
ビニルブチラール−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(Tg=90℃)からなるブチラール樹脂のエタノール溶液に混合アルコール(メタノール/エタノール=1/1)を添加し、固形分を5重量%に調整し、固形分100重量部に対して、グラファイト10重量部、窒化ほう素5質量部を添加し、メディアを用いてペイントシェーカーで12時間分散後、メディアを分離してから、HMDIを4重量部添加して最外層用塗料2を作成した。
【0146】
<2−3 導電性部材の作成>
基体2の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料2を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度50mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に160℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して最外層を形成した後、その表面に窒化ほう素を少量塗り付け、均一に付着させ導電性部材No.2を作成した。なおこの時、表面への窒化ほう素の付着量を測定したところ0.4mg/cm2であった。なお、導電性部材No.2の断面構成を図2−(b)に示す。
【0147】
<2−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0148】
[導電性部材製造例3]
<3−1 基体の作成>
シリコーンゴム(ジメチルシロキサン単位99.6mol%、メチルビニルシロキサン単位0.275mol%、メチルフェニルシロキサン単位0.1mol%、分子鎖両末端がメチルビニルシリル基0.025mol%で封鎖)100重量部、導電性カーボンブラック17重量部、シリカ8重量部、マイカ4重量部、ジメチルシリコーンオイル20重量部、DOP5重量部、ステアリン酸亜鉛0.5重量部及びポリエチレングリコール1重量部を十分混練し一晩熟成後、発泡剤(AIBN)7質量部、架橋剤(ベンゾイルパーオキサイド)3質量部を添加、良く混合混練し、導電性ゴムコンパウンド3を得た。
【0149】
導電性ゴムコンパウンド3を押出し機を用いて、本実施例で使用する導電性部材の外径より一回り小さい外径を有するチューブ状に押出し、370mmの長さにカットしてゴムチューブ3とする。また、予め導電性接着剤を塗布した、長さ450mm、直径9mm(両端50mmは直径6mm)のステンレス製芯金を導電性支持体とし、その周囲にゴムチューブ3を被覆し、発泡後の表面性均一化のために、ゴムチューブ3の表面全面にマイカを少量均一に塗布しておく。この状態で、所定の内径寸法を有する円筒状の金型に挿入、170℃の雰囲気中に60分間放置して架橋及び発泡を行ったのち金型から取り出して、所定のゴム長になるように両端部をカットして、発泡径が70μm、発泡体の肉厚が3.5mm、外径16mm、ゴム長350mmの表面にスキン層を有するスポンジタイプの導電性ゴムローラ3を作成し、これを基体3とした。
【0150】
<3−2 最外層用塗料の作成>
ナイロン6/66/11/12共重合体(伸び350%、Tg=50℃)のメタノール溶液に更にメタノールを加えて固形分を8重量%に調整し、固形分100重量部に対して、表面処理した導電性カーボンブラック3重量部、カーボンマイクロビーズ(平均粒径10μm、比表面積1.5m2 /g以下、嵩比重0.80〜0.90、真比重1.35〜1.40、粉体抵抗値8.0×10-1Ωcm)10重量部を添加して、メディアを用いてペイントシェーカーで12時間分散後、メディアを分離して最外層用塗料3を作成した。
【0151】
<3−3 導電性部材の作成>
基体3の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料3を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度45mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に155℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して最外層を形成し、導電性部材No.3を作成した。なお、導電性部材No.3の断面構成を図2−(c)に示す。
【0152】
<3−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0153】
[導電性部材製造例4]
<4−1 基体の作成>
(1)導電性ゴムローラ4の作成
導電性部材製造例1の導電性ゴムコンパウンド1を使用した。次に、内面が滑らかな円筒状金型を準備し、その内面に掘り込みを施し凹部を形成した。予め導電性接着剤を塗布した、長さ450mm、直径9mm(両端50mmは直径6mm)のステンレス製芯金を導電性支持体として上記内面処理した円筒状金型の中心にセットし、その周囲に導電性ゴムコンパウンド1をインジェクションによって流し込んだ後、170℃の雰囲気中に60分間放置することによって加硫成形を行い、導電性支持体であるステンレス製芯金の周囲に弾性を有する層としてソリッドゴムが形成された導電性ゴムローラ4を作成した。導電性ゴムローラ4の表面及び断面は図2−(d)に示すような2種類の凸部を全面に有する。なお、肉厚は3.5mm(凸部以外の部分)、外径は16mm、ゴム長は350mmである。
【0154】
(2)被覆層用塗料4の作成
水素を付加したNBR(結合アクリロニトリル量37%、ヨウ素価14)90質量部、液状NBR(結合アクリロニトリル量32%)10質量部、導電性カーボンブラック3質量部、シリカ1質量部、ハードクレー1質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、硫黄0.4重量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド2.0重量部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.8重量部及びテトラブチルチウラム・ジスルフィド1.8重量部を添加、オープンロールにて混練し、導電性ゴムコンパウンド4を得た後、ゴム分が3重量%となるように、トルエン/MIBK=7/3の混合溶剤に溶解し、塗料Aを作成した。
【0155】
次に、アクリル変成ポリウレタン塗料(固形分45重量%、溶剤はトルエン/MIBK=7/3、OH価27、酸価5以上、Tg98℃)をトルエン/MIBK=7/3の混合溶剤にて固形分を10重量%に調整後、固形分100重量部に対して導電性カーボンブラックを7重量部を添加し、メディアとともにペイントシェーカーにて12時間分散した。その後、メディアを分離し、NCO/OH=1/1になるようにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を添加しよく混合し、塗料Bを作成した。更に、塗料Aと塗料Bの固形分が1:1になるように混合後、混合した塗料の固形分100重量部に対して700ppmの割合の過塩素酸リチウムを添加したのち十分攪拌混合し、被覆層用塗料4を作成した。
【0156】
(3)基体4の作成
導電性ゴムローラ4の表面を2−ブタノンにて洗浄後、シランカップリング剤を塗布、風乾後、被覆層用塗料4を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度60mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に160℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して被覆層を形成し、基体4を作成した。
【0157】
<4−2 最外層用塗料の作成>
ビニルブチラール−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(Tg=90℃)のエタノール溶液に混合アルコール(メタノール/エタノール=1/1)を添加し、固形分を5重量%に調整したのち、HMDIを6重量部添加して最外層塗料4を作成した。
【0158】
<4−3 導電性部材の作成>
基体4の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料4を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度50mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に160℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して最外層を形成し、導電性部材No.4を作成した。なお、導電性部材No.4の断面構成を図2−(d)に示す。
【0159】
<4−4 特性>
特性を表1に示す。
【0160】
[導電性部材製造例5]
<5−1 基体の作成>
(1)導電性ゴムローラ5の作成
シリコーンゴム(ジメチルシロキサン単位99.7mol%、メチルビニルシロキサン単位0.275mol%、分子鎖両末端がメチルビニルシリル基0.025mol%で封鎖)100重量部、導電性カーボンブラック15重量部、シリカ5重量部、マイカ5重量部、石英粉5重量部、ジメチルシリコーンオイル10重量部、ステアリン酸亜鉛0.5重量部及びポリエチレングリコール1重量部を熱したオープンロールで混練し、バッチAを得た。
【0161】
次に、アクリルゴム(エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びメトキシエチルアクリレートの共重合体で架橋コモノマーはENB、ML1+4(100 ℃ )=40)100重量部、導電性カーボンブラック3重量部、SRFカーボンブラック3重量部及びステアリン酸亜鉛1重量部を冷却したオープンロールを用いて混練後、その状態のままオープンロールを徐々に加熱した。十分加熱してから前記シリコーンバッチを徐々に添加し均一に混合するまで十分混練しバッチBを得た。
【0162】
更には、バッチBが100重量部に対し、導電性カーボンブラック8重量部及びジメチルシリコーンオイル10重量部を添加、十分混練してからオープンロールからはずし常温にて冷却し、バッチCとした。
【0163】
これを一晩熟成後、バッチC100重量部に対し、架橋剤(ジクミルパーオキサイド)5重量部を添加、よく混合混練し、導電性ゴムコンパウンド5を得た。この導電性ゴムコンパウンド5を用い180℃の雰囲気中に60分間放置したこと以外は導電性部材製造例1と同様にして導電性ゴムローラ5を作成した。
【0164】
(2)微粒子5の作成
ノボラック型のフェノール樹脂100質量部及び導電性カーボンブラック10質量部を溶融混合後、ヘキサメチレンテトラミンを適宜添加して加熱硬化させた。これを粉砕、分級し、平均粒径14μm(10μmと20μmにピークを持つ)、粉体抵抗値9.0×105Ωcmの導電性フェノール樹脂からなる微粒子5を得た。
【0165】
(3)被覆層用塗料5の作成
反応容器にε−カプロラクタム、水、安息香酸及びε−アミノカプロン酸をとり、窒素気流中で240℃に6時間保ち、6−ナイロンを合成した。得られた6−ナイロンをぎ酸に溶解し、りん酸触媒下でホルムアルデヒド及びメタノールを添加した。1日放置後、水/アセトンの混合溶媒中に注ぎ、アンモニアで中和してポリマーの沈殿物を得た。この沈殿物を熱水洗浄後に乾燥し、メトキシメチル化度30%のメトキシメチル化ナイロンを合成した。得られたメトキシメチル化ナイロンを蒸留したメタノールとアセトンの混合溶媒(混合重量比1:1)中に浸漬し、40℃で12時間放置後、ゲル分等の不溶物をろ過除去し、ろ液の溶媒をエヴァポレーターで揮発した後、十分熱乾燥してメトキシメチル化度30%のメトキシメチル化ナイロン精製物を得た。
【0166】
得られたメトキシメチル化ナイロン精製物を固形分が8重量%の濃度になるようメタノールに溶解したのち、水を添加して固形分を6重量%に調整し、固形分100重量部に対して導電性カーボンブラックを8重量部と微粒子5を10重量部を添加し、メディアとともにペイントシェーカーにて12時間分散した。その後、メディアを分離し、固形分(樹脂分)100重量部に対して2重量%に相当する無水クエン酸を添加して被覆層用塗料5を作成した。
【0167】
(4)基体5の作成
導電性ゴムローラ5の表面を2−ブタノンにて洗浄し、被覆層用塗料5を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度60mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に150℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して被覆層を形成し、基体5を作成した。
【0168】
<5−2 最外層用塗料の作成>
被覆層用塗料5で使用したメトキシメチル化ナイロン精製物を固形分が8重量%の濃度になるようメタノールに溶解したのち、水を添加して固形分を6重量%に調整して最外層用塗料5を作成した。
【0169】
<5−3 導電性部材の作成>
基体5の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料2を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度60mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に150℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して最外層を形成して導電性部材No.5を作成した。なお、導電性部材No.5の断面構成を図2−(e)に示す。
【0170】
<5−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0171】
[導電性部材製造例6]
<6−1 基体の作成>
(1)導電性ゴムローラ6の作成
フッ素ゴム(1,1−ジフロロエチレンと6フッ化プロピレンと4フッ化エチレンの共重合体、ML1+10(100 ℃ )=60)100質量部、導電性カーボンブラック10質量部、シリカ1質量部、ステアリン酸スズ1質量部及びジエチレングリコール3質量部、石英を電気及びガス法で1900℃で完全に溶融して石英ガラス化した無定形高純度溶融石英ガラスフィラー(以下石英ガラス;白色、真比重2.21、新モース硬度7、屈折率1.459)0.5質量部、高活性酸化マグネシウム4質量部、水酸化カルシウム7質量部及び発泡剤(AIBN)8質量部、を十分冷却したオープンロールで混練しフッ素ゴムの導電性ゴムコンパウンド6を得た。
【0172】
次に、単軸押出し機を用いて、導電性ゴムコンパウンド6を本実施例で使用する導電性部材の外径より一回り小さい外径を有するチューブ状に押出しながら予め導電性接着剤を塗布した、長さ450mm、直径9mm(両端50mmは直径6mm)のステンレス製芯金からなる導電性支持体の周囲に被覆する。被覆したゴムの面長を所定の寸法に合わせた後、所定の内径寸法を有する円筒状の金型に挿入、加熱して基層を形成し、発泡径が50μm、発泡体の肉厚が3.5mm、外径16mm、ゴム長350mmの表面にスキン層を有するスポンジタイプの導電性ゴムローラ6を作成した。
【0173】
(2)被覆層の作成
スチレンブタジエンエラストマー(以下SBS、比重0.94、MFR10g/10min.、ショアA硬度61゜、300%モジュラス1.2MPa、引張り強度1.7MPa、伸び600%、スチレン含有量31重量%)100重量部、導電性カーボンブラック15重量部、導電性酸化チタン10重量部、ステアリン酸亜鉛5質量部、加工助剤(低密度ポリエチレンに非イオン系界面活性剤7重量%添加)2重量部及びマイカ1質量部を加圧式ニーダ中で180℃、30分間溶融混練し、冷却粉砕後、短軸押出機を用いて、内径が15mm、肉厚が200μmのシームレスチューブを成形した。このシームレスチューブを長さ360mmに切断したのち以下の方法でシームレスチューブ表面の粗面化処理を行った。
【0174】
まず、切断したシームレスチューブの内側にエアを吹き込み、内径を15.1mmに広げながら、外径15.0mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の丸棒を挿入する。PTFEの丸棒を挿入したシームレスチューブを円周方向に回転させながら、180℃に加熱した回転するステンレスローラに押し付けた。ステンレスローラ表面には凹凸が形成されており、シームレスチューブ表面にその模様が転写され、ステンレスローラ上の凹部にほぼ対応して凸部が形成された。冷却後、PTFE丸棒を引き抜き、シームレスチューブ6とした。
【0175】
(3)基体6の作成
シームレスチューブ6の内側にエアを吹き込み、内径を16.4mmに広げた後、導電性ローラ6を挿入、かん合して、表面に(凹)凸部を有する基体6を作成した。
【0176】
<6−2 最外層用塗料の作成>
シームレスチューブ6に用いたSBSをトルエンに溶解し固形分5%に調整した。固形分100重量部に対し、グラファイト6重量部を添加しペイントシェーカーにてメディア分散を12時間行なった後、ろ過しメディアを分離した。ろ液中の固形分100重量部に対して、ジクミルパーオキサイド1重量部及びトリアリルイソシアヌレート(TAIC)2重量部を添加、混合分散を行なって、最外層用塗料6を作成した。
【0177】
<6−3 導電性部材の作成>
基体6の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料6を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度50mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に表面に10Mradのγ線を表面均一に照射して架橋することによって最外層を形成して導電性部材No.6を作成した。なお、導電性部材No.6の断面構成を図2−(f)に示す。
【0178】
<6−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0179】
[導電性部材製造例7]
<7−1 基体の作成>
(1)導電性ゴムローラ7の作成
SBR(結合スチレン量23.5%、ML1+4(100 ℃ )=35)100重量部、導電性カーボンブラック13重量部、シリカ4重量部、DOP30重量部、ステアリン酸1重量部及び酸化亜鉛5重量部を十分混練し導電性ゴムバッチを得た。これを一晩熟成後、加硫剤として硫黄1.3質量部、加硫促進剤としてN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド1.5質量部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.5質量部及びテトラブチルチウラム・ジスルフィド1質量部を添加、混練し、導電性ゴムコンパウンド7を得た。導電性ゴムコンパウンド7を用いたこと以外は導電性部材製造例1と同様にして導電性ゴムローラ7を作成した。
【0180】
(2)微粒子7の準備
球状のシリコーンゴム弾性体(平均粒径10μm、粒径分布5〜20μm、真比重0.97、嵩比重0.18、水分0.5%以下)を準備し、これを微粒子7とした。
【0181】
(3)被覆層用塗料7の作成
アジピン酸エステルを主成分としてなるポリエステルポリオール(OH価35、酸価9未満、固形分70%)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)溶液を固形分10%にPMAで調整し、固形分100重量部に対し、導電性カーボンブラックを7重量部を添加してサンドミルを用いて10時間分散した後、NCO/OH=1/1になるようにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を添加しよく混合して被覆層用塗料7を作成した。
【0182】
(4)基体7の作成
導電性ゴムローラ7の表面を2−ブタノンを用いてよく洗浄した後、被覆層用塗料7を用いて浸漬塗工、風乾工程まで実施し表面が生乾きの状態とした。これを回転保持し、空気流中に投入した微粒子7を3kg/cm2 の空気流とともにその表面に吹き付け付着(一部めりこんだ状態)させた後、150℃の熱風燥炉で30分間加熱を行ってウレタン層を形成するとともに、その表面に微粒子が付着した基体7を作成した。
【0183】
<7−2 最外層用塗料の作成>
最外層用塗料5にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを樹脂分100重量部に対して0.5重量部添加して最外層用塗料7とした。
【0184】
<7−3 導電性部材の作成>
基体7の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料7を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度60mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に150℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して最外層を形成して導電性部材No.7を作成した。なお、導電性部材No.7の断面構成を図2−(g)に示す。
【0185】
<7−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0186】
[導電性部材製造例8]
<8−1 基体の作成>
(1)導電性ゴムローラ8の作成
EPDM(プロピレン含量43質量%、第3成分エチリデンノルボルネン、ヨウ素価26、ML1+4(100 ℃ )=45)100質量部、導電性カーボンブラック14質量部、シリカ3質量部、パラフィンオイル90質量部、ステアリン酸1質量部、酸化亜鉛5質量部及びジエチレングリコール3質量部を十分冷却したニーダで混練し導電性EPDMゴムバッチを得た。これを一晩熟成後、加硫剤として硫黄1.5質量部、加硫促進剤としてN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド1.3質量部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.7質量部及びテトラブチルチウラムジスルフィド1.3質量部、発泡剤としてアゾジカルボンアミド5質量部及びp,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)5質量部を添加、混練し、導電性ゴムコンパウンド5を得た。
【0187】
この導電性ゴムコンパウンド5を押し出し機を用いて、内径9mm、外径15.5mmのチューブ状に押し出し、圧力6kg/cm2で1時間の条件で水蒸気加硫にて一次加硫を行い発泡体チューブを得た。加硫、発泡の均一化を図るために、この発泡体チューブを更に130℃で40分間二次加硫を行ったのち、予め導電性接着剤を塗布した長さ450mm、直径9mm(両端50mmは直径6mm)のステンレス製芯金に被覆して130℃で30分間加熱し接着させる。十分冷却後、外径を研磨し、発泡径が約80μm、発泡体の肉厚が3.5mm、外径16mm、ゴム長350mmの、発泡面が表面に現れたスポンジタイプの導電性ローラ8を作成した。
【0188】
(2)被覆層用塗料8の作成
被覆層用塗料7の樹脂分100重量部に対し、アゾジカルボンアミド1質量部及びp,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)1質量部をよく分散して被覆層用塗料8を作成した。
【0189】
(3)基体8の作成
導電性ゴムローラ8の表面を2−ブタノンを用いてよく洗浄した後、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランを塗布して表面処理を行ってから、被覆層用塗料8を用いて浸漬塗工を行った後、直ちに150℃の熱風乾燥炉で30分間加熱したところ、溶剤の揮発と発泡剤の分解及びスポンジ内の空気の膨張等により表面が発泡した状態のウレタン層からなる基体8を作成した。
【0190】
<8−2 最外層用塗料の作成>
ソフトセグメントとして末端にメタクリル酸グリシジルを有するアクリル樹脂(メタクリル酸メチル40重量部、アクリル酸n−ブチル30重量部、スチレン20重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル8重量部及びメタクリル酸1重量部からなる)と、アジペート系ポリエステルポリオール(アジピン酸ネオペンチルグリコールよりなるポリエステルポリオール100重量部及びジメチロールプロピオン酸0.8重量部とからなる)とを反応させて得られたアクリル複合ポリエステルポリオールと、イソホロンジイソシアネート(EPDI)からなるプレポリマーを水中に高速攪拌によって分散させ、その後ヘキサメチレンジアミンによって鎖延長とすることで水系アクリル複合ウレタン塗料を得た。なお、アクリル成分:ウレタン成分=5:3とした。
【0191】
次に、導電性を調整するために導電性の微粒子を分散した。導電性の微粒子としてアンチモンドープして導電化処理を施した酸化スズ微粒子を使用し、アンモニア水でPH7に調整した水中に分散したスラリーを使用した。この場合、酸化スズの表面は酸、アルカリ処理等によって表面処理しゼータ電位等を調整し分散性を向上させておくことが好ましい。本実施例の場合は、水系アクリル複合ウレタン塗料の固形分100重量部に対し、酸化スズが30重量部となるように、上記のスラリーの添加量を調整し、更に親水基であるカルボキシル基との架橋剤としてヘキサメチルメトキシメラミン10重量部を添加した。分散はスターラで行い、最外層用塗料8を作成した。
【0192】
<8−3 導電性部材の作成>
基体8の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料8を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度60mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に150℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して最外層を形成して導電性部材No.8を作成した。なお、導電性部材No.8の断面構成を図2−(h)に示す。
【0193】
<8−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0194】
[導電性部材製造例9]
<9−1 基体の作成>
(1)導電性ゴムローラ9の作成
まず、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(以下CSM;ML1+4(100 ℃ )=30)100重量部、導電性カーボンブラック18重量部、シリカ2重量部、タルク5重量部、DOP50重量部、ステアリン酸1重量部、酸化マグネシウム8重量部、ジエチレングリコール2重量部、ペンタエリスリトール3重量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド2重量部、アゾジカルボンアミド4重量部及びp,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)5重量部を添加、十分冷却したオープンロールで混練し、導電性ゴムコンパウンド9を作成した。
【0195】
次に、フッ素エラストマー100重量部、導電性カーボンブラック10重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部、石英を電気及びガス法で1900℃で完全に溶融して石英ガラス化した無定形高純度溶融石英ガラスフィラー1重量部を加圧式ニーダ中で200℃、30分間溶融混練し、冷却粉砕して導電性エラストマーコンパウンド9を作成した。
【0196】
得られた導電性ゴムコンパウンド9と導電性エラストマーコンパウンド9とをヘッド部分を2つ有する押出機を用いて2層押し出しを行い350mmの長さにカットして、外側に導電性エラストマーコンパウンド9、内側に導電性ゴムコンパウンド9とからなる2層シームレスチューブ9を成形した。なお、この2層シームレスチューブ9の外径は16mm、内径は13mm、導電性エラストマーコンパウンド9の肉厚は150μmである。
【0197】
2層シームレスチユーブ9を導電性部材製造例3で使用した円筒状の金型に挿入する。この時、マイカ、タルク及び炭カル等の粉体を少量表面に塗ってから挿入すれば作業が容易になるので好ましい。次いで、その中心部に長さ450mm、直径9mm(両端50mmは直径6mm)のステンレス製芯金をセットし、この状態で170℃の雰囲気中に60分間放置して架橋及び発泡を行ったのち金型から取り出し、発泡体の肉厚が3.35mm、外径16mm、ゴム長350mmの導電性ゴムローラ9を作成した。なお、断面を切って発泡径を測定したところ、シームレスチューブに近づくほど発泡径が小さいことがわかり、その平均径は86μmであった。
【0198】
(2)微粒子9の作成
ポリエステル樹脂100重量部、低分子量ポリプロピレン6.0重量部及び導電性カーボンブラック5重量部を乾式混合した後に、160℃に設定した2軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却し、気流式粉砕機により微粉砕した後に風力分級して平均粒径20μmの微粒子9を作成した。
【0199】
(3)基体9の作成
導電性ゴムローラ9をステンレスの金属ローラに押し付け回転させる。この状態で金属ローラを加熱し、導電性ゴムローラ9の表面を165℃に保つ。ここに、空気流中に投入した微粒子9(予め40℃に加温しておく)を3kg/cm2の空気流と共にその表面に吹き付け溶融付着させ、表面に微粒子が付着した基体9を作成した。
【0200】
<9−2 最外層用塗料の作成>
ポリエーテルイミドを塩化メチレンに溶解し固形分を5重量%になるように調整して最外層用塗料9を作成した。
【0201】
<9−3 導電性部材の作成>
基体9を専用の回転装置にセットし400rpmで回転させた。次いで、エア圧を2kgf/cm2に調整したスプレー塗工機を用い、最外層用塗料9を吐出口から基体9表面に吹き付けた。吐出口の移動速度は200mm/min.、吐出口と基体9の距離を50mmとした。その後、120℃で30分間加熱乾燥して導電性部材9を作成した。なお、導電性部材No.9の断面構成を図2−(i)に示す。
【0202】
<9−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0203】
[導電性部材製造例10]
<10−1 基体の作成>
(1)導電性ゴムローラ10の作成
シリコーンゴム(ジメチルシロキサン単位99.7mol%、メチルビニルシロキサン単位0.275mol%、分子鎖両末端がメチルビニルシリル基0.025mol%で封鎖)100重量部、導電性カーボンブラック10重量部、シリカ5重量部、石英粉5重量部、ジメチルシリコーンオイル20重量部、ステアリン酸亜鉛0.5重量部及びポリエチレングリコール1重量部を熱したオープンロールで混練してから架橋剤(ジクミルパーオキサイド)5重量部を添加、よく混合混練し、導電性ゴムコンパウンド10を得た。
【0204】
導電性ゴムコンパウンド10を用いたこと以外は導電性部材製造例5と同様にして導電性ゴムローラ10を作成した。
【0205】
(2)被覆層用塗料10−1の作成
液状の多硫化ゴム(平均分子量4000、架橋率0.5%、比重1.29)をシクロヘキサンで、固形分を5重量%に調整した。次いで、固形分100重量部に対し、導電性カーボンブラック8重量部を添加し、サンドミルで良く混合したのち、パラキノンジオキシム5重量部を添加して被覆層用塗料10−1を作成した。
【0206】
(3)被覆層用塗料10−2の作成
被覆層用塗料5に用いた球状のシリコーンゴム弾性体(平均粒径10μm、粒径分布5〜20μm、真比重0.97、嵩比重0.18、水分0.5%以下)の代わりに、最外層用塗料3で用いたカーボンマイクロビーズ(平均粒径10μm、比表面積1.5m2/g以下、嵩比重0.80〜0.90、真比重1.35〜1.40、粉体抵抗値8.0×10-1Ωcm)を使用したこと以外は導電性部材製造例5と同様にして被覆層用塗料10−2を作成した。
【0207】
(4)基体10の作成
導電性ゴムローラ10の表面を2−ブタノンにて洗浄してから、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランにてカップリング処理を行った後、まず、被覆層用塗料10−1を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度100mm/sec.で1回塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に100℃の熱風乾燥炉で15分間乾燥した。次いで、被覆層用塗料10−2を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度50mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に150℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して被覆層を形成して基体10を作成した。
【0208】
<10−2 最外層用塗料の作成>
固形分が5重量%となるように調整したこと以外は導電性部材製造例5と同様にして最外層用塗料10を作成した。
【0209】
<10−3 導電性部材の作成>
基体10の表面を2−ブタノンにて洗浄後、最外層用塗料10を用いて浸漬塗工を行なった。塗工条件は、引き上げ速度60mm/sec.で上下を反転させ繰り返し塗工を行った。塗工後、23℃/65%RHの雰囲気中で8時間風乾し、更に150℃の熱風乾燥炉で30分間加熱して最外層を形成して導電性部材No.10を作成した。なお、導電性部材No.10の断面構成を図2−(j)に示す。
【0210】
<10−4 特性>
各特性を表1に示す。
【0211】
[導電性部材製造例11]
微粒子5を使用しなかったこと以外は導電性部材製造例5と同様にして、導電性部材No.500を作成した。
【0212】
[導電性部材製造例12]
粗面化処理を行わなかったこと以外は導電性部材製造例6と同様にして、導電性部材No.600を作成した。
【0213】
【表1】
【0214】
【表2】
*A:印加電圧依存性及び時間依存性は、3環境中、最も大きな値を示す。
*B:周方向、長さ方向のうち大きな値を示す。
【表3】
【0215】
【表4】
特に記載なき場合、測定環境は23℃/65%RHで実施した。
【0216】
次に、これらの部材、装置を用いた実施例、参考例及び比較例にて、本発明を説明する。
【0217】
(実施例1)
表2に示す組み合わせで、10000枚まで耐久を行ない、初期から2000枚毎に画像の状態をチェックした。
【0218】
耐久の条件は、評価モードが、3%文字原稿、A4横送り、連続通紙とし、23℃/65%RHの環境で実施したところ、初期から10000枚まで良好な画像が得られることがわかった。
【0219】
なお、本実施例においては導電性部材が感光体と直接接触している部分の面積を次のように求めた。まず、感光体表面に紙を巻きつける。紙は厚さが100μm以下であればよいが薄いほど好ましく、本実施例ではトレーシングペーバーを使用した。次に、導電性部材表面にインクを薄く均一に塗る。インクは導電性部材表面を膨潤したり、溶解したりしないことが必要で、本実施例では朱肉を使用した。これらを注意深くプロセスカートリッジに組みつけ電子写真装置にセットして10分間放置し、ニップ部において導電性部材表面の朱肉がトレーシングペーパーに転写するようにしたのち、分解しトレーシングペーパーを取り出す。トレーシングペーパー表面の状態をコンピューターに取り込み、画像処理を行い、ニップ部内において直接接触している部分の面積(色が転写した部分)を求め、ニップ部面積に対して、その占める割合を計算する。この様にして求めたところ、本実施例では94%であった。これらの結果を表2に示す。
【0220】
(実施例2、参考例1〜9)
表2に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
【0221】
(比較例1)
表2に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行なった。6000枚を過ぎたところで周期性のある濃度ムラが発生し、10000枚で顕著になった。周期性を調査したところ、帯電ローラピッチの濃度ムラとドラムギアピッチの濃度ムラとが混在していることが分かり、本比較例においてはドラムギア起因のバンディングが発生していることが分かった。結果を表2に示す。
【0222】
(比較例2)
表2に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行なった。4000枚を過ぎたところで周期性のある濃度ムラが発生し、8000枚で顕著になった。周期性を調査したところ、帯電ローラピッチの濃度ムラ、ドラムギアピッチの濃度ムラ及び低周期ピッチの濃度ムラの3種類が混在していることが分かり、本比較例ではドラムギア起因のバンディングとそれ以外の要因に起因するバンディングとが発生していることが分かった。結果を表2に示す。
【0223】
【表5】
【0224】
(参考例10)
表3に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行なった。本参考例においては、クリーナレスシステムの電子写真装置を使用している。結果を表3に示す。
【0225】
(参考例11)
表3に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行なった。本参考例においては、導電性部材に印加する電圧として直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を使用している。結果を表3に示す。
【0226】
(参考例12)
表3に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行なった。本参考例においては、感光体の一次帯電用途に使用した導電性部材表面に付着した異物を除去するための部材を具備した電子写真装置を使用している。結果を表3に示す。
【0227】
(参考例13)
表3に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行なった。本参考例においては、導電性部材を現像用途に使用している。結果を表3に示す。
【0228】
(実施例3)
表3に示すような組み合わせで、実施例1と同様にして評価を行なった。本参考例においては、実施例2で使用した導電性部材を清掃後再度使用しており、リサイクルに非常に適した導電性部材であることがわかった。なお、清掃は、表面に付着した異物等を除去するために2kgf/cm2のドライエアーを吹き付けた後乾いたウェスで注意深く導電性部材表面を拭いて実施した。結果を表3に示す。
【0229】
【表6】
【0230】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、バンディング等の画像不良が発生しない、優れた導電特性を長期にわたって有する帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
【0231】
また、本発明は特に高画質(600dpi以上の解像度)を有する電子写真装置や高速の電子写真装置(160mm/sec.以上のプロセススピード)や高耐久性(10000枚)の電子写真装置等、種々の高機能化が要求される電子写真装置においても特に好適に用いることができる。
【0232】
更には、帯電部材表面への異物付着が発生し易いカラー機やクリーナレスシステムの電子写真装置にも良好に使用することができる。
【0233】
加えて、本発明の帯電部材は非常にリサイクル性が優れているので、簡便な清掃方法で、繰り返し使用可能な帯電部材を供給することができるという優れた利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性部材の一例を示す断面図(周方向)である。
【図2】本発明の導電性部材の表面付近の断面の拡大図である。
【図3】本発明の導電性部材の摩擦係数測定器の一例である。
【図4】摩擦係数測定器を用いて測定した時のチャートの一例である。
【図5】本発明の導電性部材の摩擦係数測定器の別の一例である。
【図6】本発明の導電性部材の体積抵抗値測定器の概略図である。
【図7】体積抵抗値の測定結果の一例である。
【図8】本発明の導電性部材の長手方向における体積抵抗値測定器の概略図である。
【図9】導電性部材の長手方向における体積抵抗値の測定結果の一例である。
【図10】粉体の体積抵抗値測定器の概略図である。
【図11】本発明の導電性部材の誘電特性の測定結果の一例である。
【図12】本発明の導電性部材のその他の構成を示す例である。
【図13】本発明の実施例に用いた電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図14】本発明の実施例に用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。
【図15】本発明の実施例に用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。
【図16】本発明の実施例に用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。
【図17】本発明の実施例に用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。
【図18】本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。ここでは本発明の導電性部材を帯電用途、現像用途及び転写用途のいずれにも使用している。
【図19】本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。ここでは本発明の導電性部材はブレード形状である。
【図20】本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。ここでは本発明の導電性部材はベルト形状である。
【図21】本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。ここでは本発明の導電性部材と感光体の相対移動方向がカウンター方向である。
【図22】本発明の導電性部材を用いた電子写真装置の別の一例を示す概略図である。ここでは本発明の導電性部材と感光体は非接触である。
【図23】本発明の導電性部材における、凸部の最大値(H)、凸部の最大高さ(T)及び凸部の最大高さを含まない最外層の厚さ(A)を示す概略図である。
【図24】本発明の導電性部材の体積抵抗率の印加電圧依存性を示す例である。
【図25】本発明の導電性部材の電流値の時間依存性を示す例である。
【図26】本発明の導電性部材を感光体帯電用途に用いた場合の導電性部材への印加バイアス(直流電圧と交流電圧の重畳系)と感光体表面電位の関係の一例を示すグラフである。
【図27】本発明の導電性部材を感光体帯電用途に用いた場合の、導電性部材への印加バイアス(直流電圧)と感光体表面電位の関係の別の例を示すグラフである。(A):放電を伴わない場合の典型的なパターンの一例(B):放電を伴なう場合の典型的なパターンの一例
【図28】本発明の導電性部材の摩擦係数(ここでは荷重)の時間的変化を示す数例である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 帯電器
2a 支持体
2b 弾性を有する層
2c 被覆層
2h 微粒子
2z 最外層
2A 基体
3 像露光
4 現像器
5 転写材
6 転写装置
7 定着装置
8 クリーニング装置
9 導電性部材清掃部材
600 金属ドラム
601 電源
602 電流計
W 荷重
N 有効長さ
800 電極
801 電源
802 電流計
1000 測定セル
1001,1002 電極
1003 ガイドリング
1004 電流計
1005 電圧計
1006 定電圧装置
1007 測定サンプル
1008 絶縁物
VD 感光体表面電位
VDC 導電性部材に印加した直流電圧
Vpp 導電性部材に印加した交流のピーク間電圧
f 導電性部材に印加した交流の周波数
Claims (4)
- 静摩擦係数をμSとし、動摩擦係数をμDとした時に、μS≦1.0、μD≦0.5であり、かつ、1≦μS/μDであって、動摩擦係数の最大値をμDmax、最小値をμDminとした時に、1≦μDmax/μDmin≦2である帯電部材であって、下記(1)または(2)の構成を有していることを特徴とする帯電部材:
(1)基体と、該基体上に形成された導電性弾性層と、該弾性層上に形成された最外層とからなり、
該最外層は、導電性カーボンブラックが分散されたアクリル樹脂からなる導電性粒子と、導電性酸化スズと、四フッ化エチレン−ビニルエ−テル−ビニルエステル共重合体と、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネートとを含む塗料を塗布し、加熱することにより形成されたものであって、かつ、該導電性粒子に由来する凸部を表面に有していること、
(2)基体と、該基体上に形成された導電性弾性層と、該導電性弾性層上に形成された被覆層と、該被覆層上に形成された最外層とからなり、
該被覆層は、溶解したメトキシメチル化ナイロンと、導電性カーボンブラックと、導電性カーボンブラックが分散されたフェノール樹脂からなる導電性粒子とを含む塗料を塗布し、加熱することにより形成されたものであり、
該最外層は、メトキシメチル化ナイロンを含む塗料を塗布し、加熱することにより形成されたものであり、かつ、該被覆層中の該導電性粒子に由来する凸部を表面に有していること。 - 帯電部材と、該帯電部材と接触している電子写真感光体とを有し、電圧を印加した該帯電部材によって該電子写真感光体を帯電する電子写真装置において、該帯電部材が請求項1に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真装置。
- 前記帯電部材に印加する電圧が直流電圧である請求項2に記載の電子写真装置。
- 電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは、帯電部材と、該帯電部材と接触している電子写真感光体とを一体に支持し、該帯電部材が請求項1に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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