JP4395053B2 - 燃料電池用金属製セパレータ及びその加工方法 - Google Patents
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Description
a)貴金属をコーティングする方法は、例えば燃料電池自動車に用いる場合、一台あたり数百枚のセパレータを使用するため、材料費だけで非常に高価なものになってしまう。また、コーティング層とステンレス鋼基板の間に、ステンレス鋼の不働態酸化皮膜が完全に還元されずに残留し、ステンレス鋼とコーティング層の間に層間抵抗が生じ、電力ロスとなるため、皮膜を除去しながら貴金属を付着させる必要があるため、高価なドライプロセスなど生産性、製造コスト上の課題も多い。
b)導電性金属微粒子を析出物として表面に露出させる方法は、母材にC、Cr、Mo、B等の含有量を上げる必要があることから、材料の延性が著しく低下し、セパレータのような多数の凹凸形状にプレス加工することができない。
c)導電性金属微粒子の粉末をショットする方法は、母材のセパレータに小型軽量化のため板厚0.1mm程度の箔をプレス成形したものを用いることが望ましいが、ショットの衝突圧力によって表面が塑性変形したり、表面が削り取られてしまい所定の形状が得られない。またショット粉は、母材に食い込むことなく表面で反発し跳ね返るものが大半で、ショット粉の歩留まりロスも大きい。
(1)ステンレス鋼、チタン、またはチタン基合金を母材とし、連続する凸部及び凹部を有する燃料電池用金属製セパレータであって、前記母材の板厚tが、0.05mm≦t≦0.2mmの範囲であり、W、Ti、Zr、V、Cr、Moの何れか1種以上の窒化物からなり、平均粒径dが0.1μm≦d≦10μmである微粒子の中心位置が前記母材の表面からd/2μm以内にあり、前記微粒子が前記母材表面から突出して複数埋め込まれていることを特徴とする燃料電池用金属製セパレータ。
(2)周辺に平坦部を有し、中央部はガス流路となる前記凸部及び凹部を有することを特徴とする前記(1)記載の燃料電池用金属製セパレータ。
(3)凸部及び凹部の山から山まで、又は谷から谷までのピッチが1.0〜3.0mmであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の燃料電池用金属製セパレータ。
(4)微粒子が、凸部及び凹部の山及び谷、又は山のみの母材表面から突出して複数埋め込まれていることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の燃料電池用金属製セパレータ。
(5)前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の燃料電池用金属製セパレータを成形加工する方法であって、ステンレス鋼板、チタン板又はチタン基合金板を、前記凸部及び凹部に対応する流路溝が形成され、前記微粒子が付着した上下一対のロールにより、前記凸部及び凹部を圧延転写成形すると同時に、前記微粒子を前記母材表面に圧着させることを特徴とする燃料電池用金属製セパレータの加工方法。
(6)前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の燃料電池用金属製セパレータを成形加工する方法であって、ステンレス鋼板、チタン板又はチタン基合金板に前記微粒子を吹付けた後又は吹付けながら、前記凸部及び凹部に対応する流路溝が形成された上下一対のロールにより、前記凹凸部を圧延転写成形すると同時に、前記微粒子を前記母材表面に圧着させることを特徴とする燃料電池用金属製セパレータの加工方法。
(7)微粒子をスラリー状にして、ロール表面または被加工板表面に供給することを特徴とする前記(5)又は(6)記載の燃料電池用金属製セパレータの加工方法
図1は、本発明に属する固体高分子型燃料電池用金属製セパレータ1の断面形状の一例である。凹凸形状の凸部11及び凹部12の内側である谷14は燃料ガスや酸素の流路となり、凸部11及び凹部12の外側である山13は集電対となるカーボンペーパーと接し電気の導通路となる。またセパレータは加湿強酸雰囲気に曝されることから、電気伝導性と共に高い耐食性が要求される。このため使用する金属は、表面に安定な不働態皮膜を形成する不働態金属、例えばステンレス鋼、チタンまたはチタン基合金が、コストの観点からも最も適している。特に、ステンレス鋼は、11質量%以上のクロムを含有するステンレス鋼が好ましく、また、チタンは工業用純チタンが実用的に好ましい。
導電性を有する金属化合物は、合金設計により母材中に析出させることも可能であるが、このような金属化合物の生成は母材の延性を著しく低下させるため、図1に示したような微細凹凸形状をプレス成形などの塑性加工により形成することが困難となる。従って、導電性微粒子は、セパレータの凹凸形状を成形加工した後、表面に配置することが望ましい。
1a…不働態金属
1b…不働態被膜
2…微粒子
3…集電体カーボンペーパー
4…圧下ロール
5…溝加工部
6…金属薄板
7…スプレーノズル
8…コーターロール
11 セパレータ凸部
12 セパレータ凹部
13 山
14 谷
41 ロール溝凹部
42 ロール溝凸部
43 ロール溝の谷
Claims (7)
- ステンレス鋼、チタン、またはチタン基合金を母材とし、連続する凸部及び凹部を有する燃料電池用金属製セパレータであって、前記母材の板厚tが、0.05mm≦t≦0.2mmの範囲であり、W、Ti、Zr、V、Cr、Moの何れか1種以上の窒化物からなり、平均粒径dが0.1μm≦d≦10μmである微粒子の中心位置が前記母材の表面からd/2μm以内にあり、前記微粒子が前記母材表面から突出して複数埋め込まれていることを特徴とする燃料電池用金属製セパレータ。
- 周辺に平坦部を有し、中央部はガス流路となる前記凸部及び凹部を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池用金属製セパレータ。
- 凸部及び凹部の山から山まで、又は谷から谷までのピッチが1.0〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池用金属製セパレータ。
- 微粒子が、凸部及び凹部の山及び谷、又は山のみの母材表面から突出して複数埋め込まれていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池用金属製セパレータ。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池用金属製セパレータを成形加工する方法であって、ステンレス鋼板、チタン板又はチタン基合金板を、前記凸部及び凹部に対応する流路溝が形成され、前記微粒子が付着した上下一対のロールにより、前記凸部及び凹部を圧延転写成形すると同時に、前記微粒子を前記母材表面に圧着させることを特徴とする燃料電池用金属製セパレータの加工方法。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池用金属製セパレータを成形加工する方法であって、ステンレス鋼板、チタン板又はチタン基合金板に前記微粒子を吹付けた後又は吹付けながら、前記凸部及び凹部に対応する流路溝が形成された上下一対のロールにより、前記凹凸部を圧延転写成形すると同時に、前記微粒子を前記母材表面に圧着させることを特徴とする燃料電池用金属製セパレータの加工方法。
- 微粒子をスラリー状にして、ロール表面または被加工板表面に供給することを特徴とする請求項5又は6記載の燃料電池用金属製セパレータの加工方法。
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