JP4361717B2 - (メタ)アクリル酸エステル化物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等の構成成分樹脂の原料モノマーとして有用な(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸触媒の存在下でイソブチレン、イソアミレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、カンフェン等のオレフィンの二重結合に酢酸やギ酸等のカルボン酸を付加させてエステル結合を形成する方法は従来からよく知られている。この方法で使用される酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、ポリリン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸等プロトン酸、金属ハロゲン化物、三フッ化ホウ素等のルイス酸、12−タングストリン酸、12−タングストケイ酸、12−モリブドリン酸、12−モリブドケイ酸等のヘテロポリ酸、スルホン酸系イオン交換樹脂が知られている。
【0003】
例えば、カンフェンと(メタ)アクリル酸からイソボルニル(メタ)アクリレートを製造する方法で使用される酸触媒として、硫酸(特開昭54−126293号公報)、強酸イオン交換体(特開昭58−49337号公報)、リンモリブデンヘテロポリ酸(特開平7−69982号公報)が知られている。また、ジシクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸からジヒドロジシクロペンチル(メタ)アクリレートを製造する方法で使用される酸触媒として、酸性タングステンヘテロポリ酸化合物(DE3034033号公報)が知られている。
【0004】
そこで、本発明者らはラクトン、環状ケトン等のカルボニル基を有するヘテロ環と縮合した環式飽和炭化水素に(メタ)アクリロイルオキシ基が結合した(メタ)アクリル酸エステルを製造するために、前記の酸触媒を用いてラクトン、環状ケトン等のカルボニル基を有するヘテロ環と縮合した環式不飽和炭化水素の二重結合に(メタ)アクリル酸を付加する方法を行った。しかしながら、この方法では、原料の(メタ)アクリル酸や環式不飽和炭化水素が重合するため、目的の(メタ)アクリル酸エステルを得ることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等の構成成分樹脂の原料モノマーとして有用な、ラクトン、環状ケトン等のカルボニル基を有するヘテロ環と縮合した環式飽和炭化水素に(メタ)アクリロイルオキシ基が結合した(メタ)アクリル酸エステルを少ない工程で重合させることなく製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、含フッ素置換基を有するスルホン酸の存在下で、式(1)
【化1】
(式(1)中、X1は−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−または−C(O)−O−C(O)−を示し、a、bはそれぞれ0〜2の整数を示し、Z 1 が式(2)を示す。)
【0007】
【化2】
【0008】
(式(2)中、R 1 〜R 6 は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示す。また、R 1 〜R 6 は一緒になって炭素数1〜6のメチレン鎖であってもよい。メチレン鎖は炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよく、またメチレン鎖の途中に−O−、−S−を有していてもよい。さらに、R 1 とR 2 は一緒になって−O−または−S−であってもよい。)
で表される化合物の不飽和結合に(メタ)アクリル酸のカルボキシ基を付加させて、(メタ)アクリル酸エステル(3)を生じさせる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法である。
【0009】
【化3】
(式(3)中、R a は水素またはメチル基を示す。また、X 1 、a、bは式(1)と同じであり、R 1 〜R 6 は式(2)と同じである。)
【0010】
特に、前記式(1)の化合物が式(4)であって、製造される(メタ)アクリル酸エステルが式(5)で表される(メタ)アクリル酸エステルである場合に好適である。
【0011】
【化4】
(式中、X 2 は−O−C(O)−または−C(O)−O−を示し、c、dはそれぞれ0〜2の整数を示す。)
【0012】
【化5】
【0013】
(式(5)中、R b は水素またはメチル基を示し、X 2 、c、dは式(4)と同じである。)
【0014】
本発明において、含フッ素置換基を有するスルホン酸は、トリフルオロメタンスルホン酸またはパーフルオロスルホン酸系高分子であることが好ましい。
【0015】
また本発明において、含フッ素置換基を有するスルホン酸の反応液中の濃度は1〜50質量%であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において、原料として使用するのは前記式(1)の化合物である。式(1)において、X1を含む環構造は、X1が−C(O)−の場合は環状ケトン、−O−C(O)−または−C(O)−O−の場合はラクトン、−C(O)−O−C(O)−の場合は酸無水物である。後述する付加反応において、式(1)の化合物の重合の恐れが少ないことから、X1は−C(O)−、−O−C(O)−または−C(O)−O−が好ましく、特に−O−C(O)−または−C(O)−O−が好ましい。
【0017】
式(1)において、a、bはそれぞれ0〜2の整数であるが、原料および生成物の安定性の点から0または1が好ましい。また、a+bは、X1が−C(O)−の場合は2〜3が好ましく、−O−C(O)−または−C(O)−O−の場合は0〜2が好ましく、−C(O)−O−C(O)−の場合は0〜2が好ましい。
【0018】
式(1)において、Z1は環式不飽和炭化水素基であり、単環式不飽和炭化水素基または多環式不飽和炭化水素基のいずれでもよい。多環式不飽和炭化水素基としては、例えば、縮合多環式不飽和炭化水素基、橋かけ環式不飽和炭化水素基、スピロ不飽和炭化水素基およびこれらの基を含む基が挙げられる。Z1が有する不飽和結合は一つでも複数でもよいが、付加反応で得られる生成物の種類を少なくして目的生成物の選択性を高めるためには不飽和結合は一つが好ましい。Z1の環状骨格を構成する炭素に結合する水素は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を有していてもよい。炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。また、Z1の環状骨格を構成する炭素は、酸素原子または硫黄原子に置き換えられていてもよい。Z1の具体例としては次の(6)〜(23)が挙げられる。
【0019】
【化11】
【0020】
Z1としては炭素数7〜18の多環式不飽和炭化水素基が好ましく、例えば前記式(8)〜(23)の多環式不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0021】
また、前記式(1)で表される化合物の付加反応に対する反応性の点から、Z1としては前記式(2)で示される環式不飽和炭化水素基が好ましい。式(2)において、R1〜R6は、独立している場合、水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を示す。また、R1〜R6は一緒になって炭素数1〜6のメチレン鎖であってもよい。メチレン鎖は炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよく、またメチレン鎖の途中に−O−、−S−を有していてもよい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。途中に−O−、−S−を有する炭素数1〜6のメチレン鎖としては、例えば−CH2−O−CH2−、−CH2−O−(CH2)2−、−CH2−O−(CH2)3−、−CH2−O−(CH2)4−、−CH2−O−(CH2)5−、−(CH2)2−O−(CH2)2−、−(CH2)2−O−(CH2)3−、−(CH2)2−O−(CH2)4−、−(CH2)3−O−(CH2)3−、−CH2−S−CH2−、−CH2−S−(CH2)2−、−CH2−S−(CH2)3−、−CH2−S−(CH2)4−、−CH2−S−(CH2)5−、−(CH2)2−S−(CH2)2−、−(CH2)2−S−(CH2)3−、−(CH2)2−S−(CH2)4−、−(CH2)3−S−(CH2)3−等が挙げられる。さらに、R1とR2は一緒になって−O−または−S−であってもよい。前記式(2)におけるZ1の具体例としては次の(24)〜(41)が挙げられる。
【0022】
【化12】
【0023】
本発明において、最も好適な前記式(1)の化合物は前記式(4)の化合物である。すなわち、前記式(1)において、X1が−O−C(O)−または−C(O)−O−、Z1が前記式(25)の多環式不飽和炭化水素基、a(c)、b(d)が0〜2の化合物である。a(c)、b(d)は0〜1が特に好ましい。前記式(4)の化合物のうち好ましいものとしては次の式(42)〜(44)の化合物、および炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基を有する化合物が挙げられる。反応性、目的物選択性の観点から、無置換の式(42)〜(44)の化合物が特に好ましい。
【0024】
【化13】
(上記式(42)〜(44)中のYは、−CH2−または−O−を示す。)
【0025】
前記式(1)の化合物は、例えば、2−シクロペンテン−1−オン、γ−クロトノラクトン、無水マレイン酸やその誘導体等に、1,3−ブタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、不飽和結合を二つ有するテルペン、フラン、ピラン、チオフェンやその誘導体等を付加させるディールス・アルダー反応によって製造することができる。ディールス・アルダー反応は既知の条件で行うことができるが、無溶媒またはベンゼン等の溶媒中、必要に応じてルイス酸等の触媒を添加して行うことが好ましい。
【0026】
また、ラクトンを含む前記式(1)の化合物は、酸無水物を水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより製造することができる。このような製造方法としては、例えば、J.Org.Chem.,35,3574(1970)記載のTHFまたはDMF溶媒を用いる方法、Synthesis,42(1974)記載のエタノール溶媒を用いる方法が挙げられる。
【0027】
さらに、前記式(1)の化合物は、例えば、次の式(45)で表されるヒドロキシ基を有する化合物を脱水することで製造することができる。
【0028】
【化14】
【0029】
本発明では、含フッ素置換基を有するスルホン酸の存在下で、式(1)の化合物の不飽和結合に(メタ)アクリル酸のカルボキシ基を反応させてエステルを生じさせる。なお、(メタ)アクリル酸とは慣用されるように、メタクリル酸およびアクリル酸の総称である。また、(メタ)アクリル酸のエステルを(メタ)アクリル酸エステルという。
【0030】
本発明で触媒として使用する含フッ素置換基を有するスルホン酸としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸や、ナフィオン(商品名、デュポン社製)等に代表されるパーフルオロスルホン酸系高分子等が挙げられる。なかでも、反応速度の点から、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフィオンが好ましい。
【0031】
触媒がトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸の場合、触媒の使用量は、反応速度の点から式(1)の化合物に対して0.02倍モル以上が好ましく、0.05倍モル以上がより好ましく、0.08倍モル以上が特に好ましい。また、副反応抑制の点から式(1)の化合物に対して10倍モル以下が好ましく、1倍モル以下がより好ましく、0.5倍モル以下が特に好ましい。
【0032】
触媒がパーフルオロスルホン酸系高分子の場合、触媒の使用量は、式(1)の化合物に対して質量で0.02倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、0.08以上が特に好ましい。また、副反応抑制の点から、式(1)の化合物に対して質量で10倍以下が好ましく、1倍以下がより好ましく、0.5倍以下が特に好ましい。
【0033】
また、本発明では(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルといった重合性の化合物を扱うことから、反応時に重合しないように注意する必要がある。重合抑制の点で、反応液中の触媒濃度は1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。また、副反応抑制の点で、触媒の濃度は50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく30質量%以下が特に好ましい。
【0034】
(メタ)アクリル酸の使用量は式(1)の化合物に対して通常は0.5〜10倍モルの範囲であるが、収率の点から1倍モル以上が好ましく、1.2倍モル以上がより好ましく、2倍モル以上が特に好ましい。また、廃液処理の点から(メタ)アクリル酸の使用量は、10倍モル以下が好ましく、5倍モル以下がより好ましく、3倍モル以下が特に好ましい。
【0035】
本発明では溶媒を使用しなくても反応は進行するが、有機溶媒を使用することもできる。使用できる有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等の含塩素系溶媒等が挙げられる。
【0036】
有機溶媒の使用量は、反応速度や廃溶媒量の点から、式(1)の化合物に対して100質量倍以下が好ましく、50質量倍以下がより好ましく、10質量倍以下が特に好ましい。
【0037】
本発明の反応の形態としては、例えば、密閉容器を使用し、減圧、常圧、加圧のいずれかで反応を行う密閉系、沸点またはそれ以下で反応を行い、揮発する原料、生成物または溶媒を冷却器で還流する還流系等が挙げられる。
【0038】
反応温度は、通常は0〜120℃の範囲である。反応温度は、反応速度の点から、20℃以上が好ましく、40℃以上が特に好ましい。また、重合抑制の点から、100℃以下が好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応時間は反応温度等を勘案して適宜決めればよいが、通常は1〜48時間の範囲が好ましい。
【0039】
本発明では、重合防止剤を反応液に適宜添加してもよい。使用できる重合防止剤は特に限定されず、例えば、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合防止剤、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6―ジ―tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合防止剤、アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系重合防止剤、金属銅、硫酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合防止剤等が挙げられる。重合防止剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。重合防止剤の添加量は、式(2)の化合物に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
【0040】
本発明では、副反応が少ないので目的とする(メタ)アクリル酸エステルを収率良く得ることができるので、簡単な精製操作で高純度の(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。精製方法としては、例えば、再結晶、酸、アルカリ、水や有機溶媒による洗浄、溶媒分別法、カラムクロマトグラフィー、蒸留、薄膜蒸留等が挙げられる。
【0041】
本発明では、前記式(1)において、Z1が前記式(2)で示される環式不飽和炭化水素基の場合、(メタ)アクリル酸の付加反応により前記式(3)の(メタ)アクリル酸エステルが得られる。また、前記式(1)の化合物が前記式(4)で示される化合物の場合、前記式(5)の(メタ)アクリル酸エステルが得られる。式(5)の(メタ)アクリル酸エステルしては、例えば、次の(45)〜(51)の(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらの幾何異性体、光学異性体等が挙げられる。
【0042】
【化15】
(上記式(46)〜(51)中のVは、−CH2−または−O−を示す。)
【0043】
式(1)の化合物として、光学活性体やラセミ混合物を使用することもできる。光学活性体は、ラセミ混合物から、例えば、優先晶析法、光学分割カラムの使用等、既知の光学分割法により単離することができる。このような光学活性体やラセミ混合物の式(1)の化合物を使用すると、原料に由来する光学活性体あるいはラセミ混合物の(メタ)アクリル酸エステルが得られることがある。このような(メタ)アクリル酸エステルからは、例えば、優先晶析法、光学分割カラムの使用等、既知の光学分割法により高純度の光学活性体を単離できる。これらの光学活性体、ラセミ混合物のいずれでも塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等の構成成分樹脂の原料モノマーとして使用できる。
【0044】
【実施例】
実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。生成物の定量分析はFIDガスクロマトグラフにて行った。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
[実施例1]
攪拌機、温度計を備えた密閉型耐圧容器に前記式(42)のYが−CH2−である化合物15.0g(0.1モル)、メタクリル酸17.2g(0.2モル)、トリフルオロメタンスルホン酸1.5g(0.01モル)を入れた後、密閉中、攪拌しながら60℃で8時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を分析したところ、前記式(46)のメタクリル酸エステルが19.6g(収率83%)生成していた。このときの触媒の濃度は、4.5質量%であった。
【0046】
[実施例2]
攪拌機、温度計を備えた密閉型耐圧容器に前記式(43)のYが−CH2−である化合物16.4g(0.1モル)、メタクリル酸17.2g(0.2モル)、トリフルオロメタンスルホン酸3.0g(0.02モル)を入れた後、密閉中、攪拌しながら60℃で4時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を分析したところ、前記式(47)のメタクリル酸エステルが19.8g(収率79%)生成していた。このときの触媒の濃度は、8.2質量%であった。
【0047】
[実施例3]
攪拌機、温度計を備えた密閉型耐圧容器に、前記式(44)のYが−CH2−である化合物13.6g(0.1モル)、メタクリル酸17.2g(0.2モル)、トリフルオロメタンスルホン1.2g(0.008モル)を入れた後、密閉中、攪拌しながら60℃で12時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を分析したところ、下記式(48)のメタクリル酸エステルが16.0g(収率72%)生成していた。このときの触媒の濃度は、3.8質量%であった。
【0048】
[実施例4〜6]
メタクリル酸の代わりにアクリル酸14.4g(0.2モル)を使用した以外は実施例1〜3と同様の方法で前記式(49)〜(51)のVが−CH2−であるアクリル酸エステルを得た。収量および収率を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
[実施例7]
攪拌機、温度計を備えた密閉型耐圧容器に、前記式(42)の化合物15.0g(0.1モル)、メタクリル酸17.2g(0.2モル)、ナフィオンNR−50(デュポン社製)2.0gを入れた後、密閉中、攪拌しながら60℃で8時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を分析したところ、上記式(46)で表されるメタクリル酸エステルが19.1g(収率81%)生成していた。このときの触媒の濃度は、5.8質量%であった。
【0051】
[比較例1]
攪拌機、温度計を備えた密閉型耐圧容器に、前記式(42)の化合物15.0g(0.1モル)、メタクリル酸17.2g(0.2モル)、濃硫酸1.0g(0.01モル)を入れた後、密閉中、攪拌しながら60℃で反応した。反応開始2時間後に内部を確認したところ、反応液は重合により固化していた。
【0052】
[比較例2]
攪拌機、温度計を備えた密閉型耐圧容器に、上記式(42)の化合物15.0g(0.1モル)、メタクリル酸17.2g(0.2モル)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体1.42g(0.01モル)を入れた後、密閉中、攪拌しながら60℃で反応した。反応開始1時間後に内部を確認したところ、反応液は重合により固化していた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等の構成成分樹脂の原料モノマーとして有用な、ラクトン、環状ケトン等のカルボニル基を有するヘテロ環と縮合した環式飽和炭化水素に(メタ)アクリロイルオキシ基が結合した(メタ)アクリル酸エステルを少ない工程で重合させることなく製造することができる。
Claims (4)
- 含フッ素置換基を有するスルホン酸の存在下で、式(1)
で表される化合物の不飽和結合に(メタ)アクリル酸のカルボキシ基を付加させて、(メタ)アクリル酸エステル(3)を生じさせる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 前記式(1)の化合物が式(4)
で表される(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 - 含フッ素置換基を有するスルホン酸がトリフルオロメタンスルホン酸またはパーフルオロスルホン酸系高分子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 含フッ素置換基を有するスルホン酸の反応液中の濃度が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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