JP4290858B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子に関するものであり、特に高輝度で発光効率の高く、耐久性に優れる有機電界発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、種々の発光素子に関する研究開発が活発であり、中でも有機電界発光(EL)素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な発光素子として注目されている。例えば、有機化合物の蒸着により有機薄膜を形成する発光素子が知られている(アプライド フィジックス レターズ,51巻,913頁,1987年)。この文献に記載された発光素子はトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq)を電子輸送材料として用い、正孔輸送材料(アミン化合物)と積層させることにより、従来の単層型素子に比べて発光特性を大幅に向上させている。
【0003】
近年、有機EL素子をカラーディスプレイへと適用することが活発に検討されているが、高性能カラーディスプレイを開発する為には青・緑・赤、それぞれの発光素子の特性を向上させる必要が有る。
発光素子特性向上の手段として、イリジウム錯体(Ir(ppy)3)からの発光を利用した緑色発光素子が報告されている(Applied Physics Letters 75,4(1999).)。本素子は外部量子収率8%を達しており、従来素子の限界といわれていた外部量子収率5%を凌駕しているが、耐久性に問題があり、その改良が望まれていた。
【0004】
一方、有機発光素子において高輝度発光を実現しているものは有機物質を真空蒸着によって積層している素子であるが、製造工程の簡略化、加工性、大面積化等の観点から塗布方式による素子作製が望ましい。しかしながら、従来の塗布方式で作製した素子では発光輝度、発光効率の点で蒸着方式で作製した素子に劣っており、高輝度、高効率発光化が大きな課題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、高輝度、高効率発光可能で耐久性に優れた有機電界発光素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題は下記に記載の発光素子によって達成された。
(1)基板上に設けた一対の電極間に有機発光層もしくは有機発光層を含む有機化合物層を形成した発光素子において、該有機発光層に、窒素原子を縮合部に有する縮合ヘテロ環骨格を有し、さらにヘテロ芳香族環内の縮合部ではない位置に少なくとも一つの窒素原子を有する芳香族ヘテロ環がイミダゾピリジン環である下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(7)で表されるオルトイリジウム錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(1)
【0007】
【化2−1】
【0008】
式中、Xは炭素原子もしくは窒素原子を表す。Z1ならびにZ2は、それぞれ独立に含窒素ヘテロ環を形成可能な原子群を表す。
【化2−2】
(式中、R 31 、R 32 は置換基を表す。q 31 、q 32 は0〜4の整数を表し、q 31 +q 32 は1以上である。q 31 、q 32 が2以上の場合、複数個のR 31 、R 32 はそれぞれ同一または互いに異なってもよい。n 3 は0〜5の整数を、m 3 は1、2または3を表す。L 3 は配位子を表す。)
(2)前記一般式(1)で表される化合物が下記の化合物から選ばれる(1)に記載の有機電界発光素子。
【化2−3】
【化2−4】
【化2−5】
(3)前記一般式(1)で表される化合物が前記式HT−6、HT−7、HT−9、HT−12、及びHT−17から選ばれる(2)記載の有機電界発光素子。
【0009】
【発明の実施の形態】
【0010】
ヘテロ環の骨格は、イミダゾピリジンである。
【0011】
一般式(1)中Z1ならびにZ2は環状構造となって、上記に示したような縮合ヘテロ環を形成するが、この縮合ヘテロ環には水素原子以外にさまざまな置換基が置換可能である。その例を挙げると、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ホルミル基、もしくは置換あるいは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えば、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテン-2-イル基、シクロヘキセン-1-イル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えばエチニル基、1-プロピニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ピレニル基などが挙げられる。)、
【0012】
ヘテロ環基(好ましくは5または6員環であり、他の環と縮合しても良い。ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜15である。例えば、ピリジル基、ピペリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラヒドロフリル基、カルバゾリル基、チエニル基などが挙げられる。)、1〜3級アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ビスヘテロ環アミノ基など。好ましくは3級アミノ基であり、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16である。例えばジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基などが挙げられる。)、イミノ基(-CR11=NR12または-N=CR13R14で表される基。ここでR11〜R14は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、1〜3級アミノ基から選ばれる基である。好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。)、
【0013】
アリールオキシ基(ヘテロアリールオキシ基も含む。好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェノキシ基、1-ナフトキシ基、4-フェニルフェノキシ基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、シクロヘキシルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(ヘテロアリールチオ基も含む。好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基などが挙げられる。)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基、N-メチルベンゾイルアミド基などが挙げられる。)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ジフェニルカルバモイル基、ジオクチルカルバモイル基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、無置換のスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、ジフェニルスルファモイル基、ジオクチルスルファモイル基などが挙げられる。)、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。
【0014】
例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、ラウロイル基などが挙げられる。)、アリールカルボニル基(ヘテロアリールカルボニル基も含む。好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基などが挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基などが挙げられる。)、アリールスルホニル基(ヘテロアリールスルホニル基も含む。好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えば、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、1-ナフタレンスルホニル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(ヘテロアリールオキシカルボニル基も含む。好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えばフェノキシカルボニル基、1-ナフトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基などが挙げられる。)、アリールカルボニルオキシ基(ヘテロアリールカルボニルオキシ基も含む。好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15である。例えばベンゾイルオキシ基、1-ナフトイルオキシ基などが挙げられる。)、ウレタン基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシカルボンアミド基、フェノキシカルボンアミド基、メチルアミノカルボンアミド基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メチルアミノカルボンアミド基、ジメチルアミノカルボンアミド基、ジフェニルアミノカルボンアミド基などが挙げられる。)、炭酸エステル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15である。例えば、メトキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基などが挙げられる。)などである。
【0015】
さらに、一般式(1)で表されるヘテロ環化合物は、その構造を繰り返し単位の1部に有する、高分子化合物を形成してもよい。この場合、Z1、Z2の置換基中にエチレン性不飽和結合などの重合性基、もしくは縮重合を起こすようなカルボキシル基やアミノ基、エステル基といった重合性基を含有し、その基が重合することによりポリマーを形成してもよいし、一般式(1)で表されるヘテロ環化合物の前駆体が一般式(1)のヘテロ環骨格を形成しつつポリマーを形成してもよい。
一般式(1)で表されるヘテロ環化合物は、低分子・高分子いずれの場合であっても、最終的に機能を発現する構造となる化合物をそのまま使用することも可能であるし、その前駆体を有機電界発光素子に使用し、素子を構成した後、あるいはその途中で、物理的あるいは化学的な後処理によって最終的な構造に誘導してもよい。低分子化合物として使用する場合、その分子量として好ましくは200〜5000、好ましくは300〜2000の範囲である。高分子化合物として使用する場合、分子量(Mw)として好ましくは2000〜1000000、好ましくは5000〜100000の範囲である。
【0016】
一般式(1)で表されるヘテロ環化合物は、公知の方法で合成可能である。以下に具体的化合物とその一部について合成方法を開示する。この具体例によって、本発明はもちろん限定されるものではない。下記の化合物HT−1〜HT−4、HT−10、HT−11〜16、HT−19〜HT−22、HT−24、HT−25は参考化合物である。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
【0026】
(化合物HT-1の合成)
容積300mlの三ツ口フラスコにα-ピコリン10.8g(115mmol)、ベンゼン20mlを仕込み、撹拌下還流させる。ここにフェナシルブロマイド23.8g(117mmol)をベンゼン50mlに溶解した溶液を滴下する。滴下終了後、溶液が白濁し結晶の析出が始まる。そのままさらに4時間加熱還流を続ける。冷却後、析出した結晶を濾別、乾燥する。この結晶を容積2リットルの三ツ口フラスコに仕込み、ここに水300mlを加えて激しく撹拌しながら、内温を80℃まで上昇させる。ここに炭酸水素ナトリウム84g (1.0mol)を徐々に加えると、激しく発泡しながら溶液の色が黄変する。しばらくすると結晶が析出し始めるので、そのまま30分間撹拌を続ける。冷却後、結晶を濾別し、水洗した後、この粗結晶をアセトニトリル/水の混合溶媒から再結晶して、化合物HT-1の結晶14gを得た。
【0027】
(化合物HT-5の合成)
容積2リットルのナス型フラスコに2-アミノピリジン58g(0.6mol)、フェナシルブロマイド100g(0.5mol)、炭酸水素ナトリウム84g(1.0mol)、エタノール600mlを仕込み、室温で2時間撹拌する。ついで2時間加熱還流させる。放冷後、冷水3リットルに注ぎ、析出した結晶を濾別する。この粗結晶を冷水で洗浄後、60mol%のエタノールから再結晶して化合物HT-5の結晶80gを得た。
【0028】
次に、本発明で用いるオルトメタル化金属錯体について説明する。オルトメタル化金属錯体とは、例えば「有機金属化学−基礎と応用−」p150,232 裳華房社 山本明夫著 1982年発行、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」p71-p77,p135-p146 Springer-Verlag社 H.Yersin著1987年発行等に記載されている化合物群の総称である。金属錯体の中心金属としては、遷移金属であればいずれのものも使用可能であるが、本発明では、中でも特にロジウム、白金、金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム等を好ましく用いることができる。この中で特に好ましいものはイリジウムである。
【0029】
オルトメタル化金属錯体の金属の価数は特に限定しないが、イリジウムを用いる場合には3価が好ましい。オルトメタル化金属錯体の配位子は、オルトメタル化金属錯体を形成し得る物であれば特に問わないが、例えば、アリール基置換含窒素ヘテロ環誘導体(アリール基の置換位置は含窒素ヘテロ環窒素原子の隣接炭素上であり、アリール基としては例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基などが挙げられ、含窒素ヘテロ環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フタラジン、キナゾリン、ナフトリジン、シンノリン、ペリミジン、フェナントロリン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、フェナントリジンなどが挙げられる)、ヘテロアリール基置換含窒素ヘテロ環誘導体(ヘテロアリール基の置換位置は含窒素ヘテロ環窒素原子の隣接炭素上であり、ヘテロアリール基としては例えば前記の含窒素ヘテロ環誘導体を含有する基、チオフェニル基、フリル基などが挙げられる)、7,8−ベンゾキノリン誘導体、ホスフィノアリール誘導体、ホスフィノヘテロアリール誘導体、ホスフィノキシアリール誘導体、ホスフィノキシヘテロアリール誘導体、アミノメチルアリール誘導体、アミノメチルヘテロアリール誘導体等が挙げられる。アリール基置換含窒素芳香族ヘテロ環誘導体、ヘテロアリール基置換含窒素芳香族ヘテロ環誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体が好ましく、フェニルピリジン誘導体、チオフェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体がさらに好ましく、チオフェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体が特に好ましい。
【0030】
本発明の化合物は、オルトメタル化金属錯体を形成するに必要な配位子以外に、他の配位子を有していても良い。他の配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer-Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社 山本明夫著 1982年発行等に記載の配位子が挙げられ、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えばビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子であり、より好ましくは塩素配位子、ビピリジル配位子である。
【0031】
本発明のオルトメタル化金属錯体が有する配位子の種類は1種類でも良いし、複数の種類があっても良い。錯体中の配位子の数は、好ましくは1〜3種類であり、特に好ましくは1,2種類であり、さらに好ましくは1種類である。
【0032】
本発明のオルトメタル化金属錯体の炭素数は、好ましくは5〜100、より好ましくは10〜80、さらに好ましくは14〜50である。
【0033】
本発明のオルトメタル化金属錯体の好ましい形態は、下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体、一般式(3)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体、一般式(4)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体である。その中でも特に、一般式(2)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体、もしくは一般式(3)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体が好ましい。
【0034】
【化12】
【0035】
一般式(2)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体は、化合物中にイリジウム原子を一つ有しても良いし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であっても良い。他の金属原子を同時に含有していても良い。一般式(3)、一般式(4)で表される部分構造を有する化合物またはその互変異性体も同様である。
【0036】
一般式(4)のR1,R2は置換基を表す。q1,q2は0〜4の整数を表し、かつ、q1+q2は1以上である。q1,q2が2以上の場合、複数個のR1,R2はそれぞれ同一または互いに異なっても良い。
【0037】
R1,R2としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、
【0038】
ヘテロアリールオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、
【0039】
スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、
【0040】
ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、R1基同士、R2基同士、もしくは、R1基とR2基が結合して縮環構造を形成しても良い。
【0041】
R1,R2はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、結合して縮環構造を形成する基が好ましく、アルキル基、結合して芳香族縮環構造を形成する基がより好ましい。q1,q2は0,1,2が好ましく、より好ましくはq1+q2=1 or 2である。
【0042】
オルトメタル化金属錯体のさらに好ましい形態は、一般式(5)で表される化合物、一般式(6)で表される化合物、一般式(7)で表される化合物である。
【0043】
【化13】
【0044】
一般式(5)について説明する。R11,R12は置換基を表し、置換基としては前記R1で説明した置換基が挙げられる。
R11,R12はアルキル基、アリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
q11は0〜2の整数を表し、0,1が好ましく、0がより好ましい。q12は0〜4の整数を表し、0,1が好ましく、0がより好ましい。q11,q12が2以上の場合、複数個のR11,R12はそれぞれ同一または互いに異なっても良く、また、連結して縮環を形成しても良い。
【0045】
L1は配位子を表す。配位子としては前記オルトメタル化イリジウム錯体を形成するに必要な配位子、及び、その他の配位子で説明した配位子が挙げられる。L1はオルトメタル化イリジウム錯体を形成するに必要な配位子及び含窒素ヘテロ環配位子、ジケトン配位子、ハロゲン配位子が好ましく、より好ましくはオルトメタル化イリジウム錯体を形成するに必要な配位子、ビピリジル配位子である。
n1は0〜5の整数を表し、0が好ましい。m1は1,2または3を表し、好ましくは3である。n1,m1の数の組み合わせは、一般式(5)で表される金属錯体が中性錯体となる数の組み合わせが好ましい。
【0046】
一般式(6)について説明する。R21,n2,m2,L2はそれぞれ前記R11,n1,m1,L1とそれぞれ同義である。q21は0〜8の整数を表し、0が好ましい。q21が2以上の場合は、複数個のR21は同一または互いに異なっても良く、また、連結して縮環を形成しても良い。
一般式(7)について説明する。R31,R32,q31,q32,n3,m3,L3はそれぞれ前記R1,R2,q1,q2,n1,m1,L1とそれぞれ同義である。
【0047】
本発明のオルトメタル化金属錯体は一般式(2)等の繰り返し単位をひとつ有する、いわゆる低分子化合物であっても良く、また、一般式(2)等の繰り返し単位を複数個有するいわゆる、オリゴマー化合物、ポリマー化合物(平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であっても良い。本発明の化合物は低分子化合物が好ましい。
【0048】
次に本発明に用いる化合物例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0049】
【化14】
【0050】
【化15】
【0051】
本発明の化合物はInorg.Chem. 1991年,30号,1685頁. ,同 1988年,27号,3464頁. ,同 1994年,33号,545頁. Inorg.Chim.Acta 1991年,181号,245頁. J.Organomet.Chem. 1987年,335号,293頁.J.Am.Chem.Soc. 1985年,107号,1431頁.等、種々の公知の手法で合成することができる。
有機発光層中における「縮合ヘテロ環骨格を有する化合物」と「オルトメタル化錯体」との使用割合は、質量比で、好ましくは10000:1〜1:10000、より好ましくは1000:1〜1:10である。また、有機発光層中の「縮合へテロ環骨格を有する化合物」及び「オルトメチル化錯体」それぞれの使用量は、好ましくは1〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%である。
有機発光層の厚みは、好ましくは0.001〜10000nm、より好ましくは0.01〜1000nmである。その層数は好ましくは1〜100、より好ましくは1〜10である。
次に、本発明の化合物を含有する発光素子に関して説明する。本発明の化合物を含有する発光素子の有機層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、印刷法、LB法、インクジェット法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法が好ましい。
【0052】
本発明の発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した素子であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
発光素子の構成層やそこに用いる材料などについては、「従来の技術」で引用した各文献が代表的なものであり、本発明で規定した点以外は、これらの記載を参照して通常、実施することができる。
【0053】
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
【0054】
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
【0055】
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)及びそのフッ化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記化合物及び混合物を含む積層構造を取ることもできる。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0056】
発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよい。好ましくは発光層に本発明のアミン化合物を含有するものであるが、他の発光材料を用いることもできる。例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物等が挙げられる。発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、印刷法、LB法、インクジェット法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
【0057】
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー等が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法やインクジェット法、前記正孔注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0058】
電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルビジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法やインクジェット法、前記電子注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
【0059】
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2 、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、インクジェット法を適用できる。
【0060】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(実施例1)
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上にITOを150nmの厚さで製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板をエッチング、洗浄後、 銅フタロシアニンを約10nm蒸着した。次にTPD(N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン)約40nm、および第3層としてAlq(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)約60nmを順に10-3〜10-4Paの真空中で、基板温度室温の条件下蒸着した。有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内でマグネシウム:銀=10:1を250nm共蒸着した後、銀300nmを蒸着し、素子101を作製した。
素子101のTPD層を約20nmに変更し、TPD層とAlq層の間に表1に示す構成の中間層を新たに設けた以外は、101と全く同じ組成のEL素子102〜112を作製した。表1に示すそれぞれのホスト材料:発光材料=10:1の質量比で共蒸着し、その膜厚を20nmとした。
東陽テクニカ社製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社の輝度計BM-8、また発光波長については浜松ホトニクス社製スペクトルアナライザーPMA-11を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【化16】
【0063】
【表2】
【0064】
また、これらの素子をアルゴンガスで置換したオートクレーブ中に封入し、85℃の加熱条件下3日間保存した後に、同様の輝度測定・および発光面状観察を行った結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
表2の結果から、オルトメタル化イリジウム錯体を、文献で公知の化合物であるCBPや、本発明の化合物と用いた素子では、オルトメチル化イリジウム錯体を用いない素子に比べて発光輝度も著しく上昇し、外部量子効率も5%以上に向上している(2%台に比べて7%以上)ことがわかる。これに対して、表3の保存後の結果を見てみると、本発明の化合物を用いた素子では、比較試料101〜104に比べて輝度の低下も少なく、素子の発光面状も良好で、素子の保存耐久性が大幅に向上していることがわかる。
【0067】
(実施例2)
実施例1と同様にエッチング、洗浄したITOガラス基板上に、ポリ(N-ビニルカルバゾール(PVK))40mg、2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール(DNPB)12mg、クマリン-6 10mgを1,2-ジクロロエタン3mlに溶解した溶液をスピンコートした。このときの有機層の膜厚は約120nmであった。次いで実施例1と同様に陰極を蒸着し、EL素子201を作製した。
素子201に対して、クマリン-6の代わりに表4に示した化合物を添加して用いた以外は、201と全く同じ組成のEL素子202〜210を作製した。
東陽テクニカ社製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社の輝度計BM-8、また発光波長については浜松ホトニクス社製スペクトルアナライザーPMA-11を用いて測定した。その結果を表5に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
【化17】
【0070】
【表5】
【0071】
表5の結果から明らかな様に、実施例1と同様に、オルトメタル化イリジウム錯体を、文献で公知の化合物であるCBPや、本発明の化合物と用いた素子では、オルトメタル化錯体を用いない錯体に比べて発光輝度もかなり上昇し、外部量子効率も1%未満台に比べて3%以上に向上していることがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明の有機電界発光素子は、高輝度、高効率発光可能で耐久性に優れる。
Claims (3)
- 基板上に設けた一対の電極間に有機発光層もしくは有機発光層を含む有機化合物層を形成した発光素子において、該有機発光層に、窒素原子を縮合部に有する縮合ヘテロ環骨格を有し、さらにヘテロ芳香族環内の縮合部ではない位置に少なくとも一つの窒素原子を有する芳香族ヘテロ環がイミダゾピリジン環である下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(7)で表されるオルトイリジウム錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(1)
- 前記一般式(1)で表される化合物が前記式HT−6、HT−7、HT−9、HT−12、及びHT−17から選ばれる請求項2記載の有機電界発光素子。
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