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JP4287532B2 - 車両用後側方監視装置 - Google Patents

車両用後側方監視装置 Download PDF

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JP4287532B2
JP4287532B2 JP05243799A JP5243799A JP4287532B2 JP 4287532 B2 JP4287532 B2 JP 4287532B2 JP 05243799 A JP05243799 A JP 05243799A JP 5243799 A JP5243799 A JP 5243799A JP 4287532 B2 JP4287532 B2 JP 4287532B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用後側方監視装置に係り、より詳細には、自動車などの車両等に設置されたビデオカメラ等の撮像手段によって車両の後側方の道路を撮像し、撮像された道路画像を用いて走行している自車両の後側方より接近してくる他車両を検知して運転者に警報を与えるため車両の後側方を監視する車両用後側方監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自車両が走行している自車線に隣接する左右の隣接車線上の後続車を正確に認識し、車両が進路変更を行おうとする際に、その方向の隣接車線を後続車が走行中であれば衝突の危険性があるとしてドライバーに警報を与えることにより、進路変更時における後続車との衝突を未然に防ぐため車両の後側方の道路を監視する後側方監視警報装置が、例えば特許第2641562号、特開平6−107096号公報及び特開平7−50769号公報などにおいて提案されている。
【0003】
これらの提案の装置では、隣接車線内の後続車両を余計な画像処理を行うことなく、より早くかつ確実に検出することができるように、ビデオカメラによって撮像された道路画像を用いて車線区画ラインである白線を認識して道路上の車線を識別し、この識別によって隣接車線に監視領域を設定し、ビデオカメラによって撮像された道路画像に設定された監視領域内、すなわち隣接車線内に存在する接近中の後続車両の検出のための画像処理量を低減するようにしている。
【0004】
上記特開平6−107096号公報及び特開平7−50769号公報にはオプティカルフローの検出を応用したものが開示されており、その主要点を図7及び図8を参照して説明する。
【0005】
図7は、従来装置の構成を示すブロック図である。同図において、10は撮像手段としての撮像部で、例えばビデオカメラ11を有している。また、30は演算処理装置としてのデータ処理部であり、42は警報手段としてのスピーカである。
【0006】
撮像部10は、車両後方の所定位置例えばトランクの上部位置に車両後側方の道路を撮像するように正面に向けて配設されている。データ処理部30は、動作プログラムに従って動作する中央制御装置としてのCPU31、このCPU31の動作プログラム及び予め与えられる設定値などを保持するROM32、CPU31の演算実行時に必要なデータを一時的に保持するRAM33を有している。スピーカ42は、車両内部に配設され、データ処理部30のCPU31からの駆動信号に必要に応じて音声や警報音を発生することにより運転者などに危険を知らせる。
【0007】
図8は、上述したように、自車両の後方部に搭載された撮像部10による撮像画像の変化を説明する図であり、図8(a)は時刻tにおける撮像画像、図8(b)は時刻t+△tにおける撮像画像を示している。
そして、これらの各図において、200は自車両の後側方を走行する後続車両、300は道路500に隣接して配設された道路標識、400は同じく道路500に隣接して配設された建物である。
【0008】
今、自車両が平坦な道を直進しているとすると、時刻の経過すなわち自車両の走行に伴い、道路標識300や建物400は自車両との相対距離が離れ小さく撮像される。図においては、図8(a)すなわち時刻tの撮像画像における道路標識300及び建物400と、図8(b)すなわち時刻t+△tの撮像画像における道路標識300及び建物400に関し、図8(b)の道路標識300及び建物400の方が小さく撮像されている。
以下、これらの図を参照して、オプティカルフローについて説明する。
【0009】
これらの図において、撮像画像内に設定された複数の対応点、例えば他車両200における着目点、道路標識300における着目点、建物400における着目点に関し、各時間毎の着目点すなわち時刻t〔図8(a)〕における各着目点201a、202a、301a、302a、303a、401a及び402aと、時刻t+△t〔図8(b)〕における各着目点201b、202b、301b、302b、303b、401b及び402bについて、互いに対応する着目点同士を結合することにより、図8(c)に示す速度ベクトルすなわち201F、202F、301F、302F、303F、401F及び402Fが得られる。この得られた速度ベクトルがオプティカルフローである。
【0010】
ここで、このオプティカルフローは、画面内の無限遠点あるいは消失点として定義されるFOE(Focus of Expansion)から放射状に現れていることが判る。このFOEは、車両が直進している場合の画像上において、自車両の進行方向の正反対方向を示す1点に対応する。
そして、自車両の走行状態において、自車両から遠ざかる物体のオプティカルフローは上記FOEに向かう収束方向のベクトルとなり、自車両に近づいてくる物体のオプティカルフローは上記FOEから離れる発散方向のベクトルとなる。従って、同図に201F及び202Fで示す後続の他車両200のオプティカルフローは発散方向のベクトルであるので、この他車両は自車両に近づいてきていること、換言すれば自車両よりも高速で走行している車両であることが分かる。
【0011】
また、このオプティカルフローの大きさに関し、このオプティカルフローの大きさは、単位時間における自車両と対象物体との距離の差すなわち速度差が大きい程大きくなり、自車両と対象物体との相対距離が近い程大きくなる。このことを図面を参照して説明する。
【0012】
図9は、撮像部10の光学的配置を示した図である。同図において、11aは撮像部10のビデオカメラが有するレンズ、11bは同じくビデオカメラが有するイメージプレーン、fはレンズ11aからイメージプレーン11bまでの距離、P(Xa ,Ya ,Za )は後続する他車両上の任意の1点、p(xa ,ya)はイメージプレーン11b上における上記点Pに対応する点である。
【0013】
この場合、3角形の相似の比から、次式(1)の関係が得られる。
a =f・Xa /Za ・・・ (1)
この式(1)を変形して時間微分すると、次式(2)が得られる。
a ’=(Δxa /Δt・Za +xa ・Za ’)/f ・・・ (2)
また、オプティカルフローのx方向成分uは、次式(3)で表せる。
u=Δxa /Δt ・・・ (3)
従って、この式(3)により次式(4)を得ることができる。
a =(f・Xa ’−xa ・Za ’)/u ・・・ (4)
【0014】
ここで、上式(4)のZa ’は、同一車線あるいは隣接車線を走行する他車両(図8に符号200で示す)と撮像部10が搭載された自車両との速度差すなわち相対速度を示している。この相対速度を−αとすると上式(4)は次式(5)となる。
a =(f・Xa ’+xa α)/u ・・・ (5)
よって、オプティカルフローのx方向成分uは、次式(6)のように表すことができる。
u=(f・Xa ’+xa α)/Za ・・・ (6)
なお、点PのY座標Ya についても同様にして求めることができる。
【0015】
よって上式(6)より、Zが小すなわち後続車両又は隣接車線を走行中の他車両200までの距離が小である程、あるいは、αが大すなわち他車両200との速度差が大である程、オプティカルフローのx成分は大きくなる。これはY方向についても同様である。
従って、オプティカルフローは後続する他車両200との距離が小な程、更に互いの速度差が大な程長くなり、これよりオプティカルフローの方向がFOEに対して発散し、その長さが短いときより長いときの方が相対的に後続車両又は隣接車両に対する危険度が大きいことが判る。
【0016】
従って、データ処理部30は、このオプティカルフローが上述した発散方向のベクトルであり且つその大きさが大きい場合には、対象物体は自車両に対し、接近した位置に存在するか、自車両よりも高速で接近しているかの少なくとも一方の状態にあると考えられ、危険度が高いと判断する。
そして、危険度が高いと判断した場合には、スピーカ42により運転者にその旨を知らせる。
【0017】
以上のような処理を、時間tの画像の全ての点において繰り返し行うことにより、画像全体のオプティカルフローを求めることができ、各対象物における危険度が求められる。そして、求められた危険度の大きさに従って警報を鳴らすこと等によって運転者に対し注意を促し、これにより、人間の有する有限な認識力を補完することができ、上述の大事故に発展しかねない危険な状態や、実際の大事故の発生を未然に防止している。
【0018】
また、従来の技術では、図10に示す如くに、片側3車線の直線高速道路にて自車両が走行している車線の白線を検出することで、自車両の走行車線とその横の隣接車線領域とを識別し、監視領域を決定することで監視不要なものについての処理時間を省いて処理の高速化を図っている。そして、検出された白線の延長からFOE点を求め、自車線領域及び隣接車線領域についてそれぞれ前記FOE点から放射状にオプティカルフローを求めることで自車両に対する接近車両200の検出を行っており、このオプティカルフローの大きさに基づき認識を行うよう構成されているので、後方や隣接車線を走行している他車両200に関し、その危険度を自動的に判断でき、且つ、特別な距離計を必要としない利点があり有効である。
【0019】
現在提案されているオプティカルフロー検出方法の中で、実用化に近いレベルまで達しているものは、相関法である。相関法は、設定した窓の対応点を周辺の領域全方向に関して探索し、相関値の計算を行う必要があるため、計算量が膨大になってしまうという問題点があるが、本発明が対象としているような複雑な画像に関しても、比較的正確にオプティカルフローを求めることが可能であるという利点もある。
【0020】
上述したように、一般的な相関法においては、ある時刻tの画像に関してオプティカルフローを求める際には、時刻tの画像の全画素について、それぞれの画素が、時刻t−Δtの画像において、どの画素に対応しているかを全方向にわたって探索する必要があるため、計算量が膨大になると同時に誤対応が生じるという問題点がある。即ち、対応点探索の際に、全画素に関して全方向に探索していることにより、計算量が膨大となり誤対応が多くなる原因になっているといえる。
そこで、監視領域を設定することにより、処理時間および検出精度の面で問題を解消することが考えられている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の後側方監視装置では、ビデオカメラによって撮像した画像からは、自車両の近傍は遠方に比べて大きな他車両の像が得られるが、遠方は小さな他車両の像しか得られない。このため、近傍は低解像度の画像でもよいが、遠方の場合には、低解像度の像では、画像処理によって他車両の挙動を精度良く捕らえることが難しく、できるだけ解像度のよい画像が得られることが好ましい。
【0022】
また、車線変更する際のことを考慮すると、隣接車線をできるだけ自車両に近いところまで監視できる広角のビデオカメラを使用することが好ましいが、広角のビデオカメラを使用すると、監視範囲が広くなり、それだけ解像度が低下するとともに、処理すべき画像情報が多くなって、処理時間および検出精度の面で問題となる。
【0023】
このように、遠方から近傍までを監視する必要のあるこの種の装置では、相矛盾する状況が存在し、何らかの対策を施すことが求められている。
【0024】
よって本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、近傍から遠方までの広い範囲を好ましい状態で監視できるようにした車両用後側方監視装置を提供することを課題としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためなされた請求項1記載の発明は、図1(a)の基本構成図から明らかなように、車両に装着され車両の後側方の道路を撮像して一定時間毎に道路画像を得る撮像手段10と、該撮像手段によって得た道路画像を処理して後続の他車両を検出する検出手段31−1とを備え、該検出手段によって検出した後続の他車両と自車両との相対関係を監視する車両用後側方監視装置において、前記撮像手段が広角で高解像度のカメラで構成され、前記検出手段が、前記撮像手段によって得た道路画像の全体を画像情報を間引きして処理する第1の画像処理手段31−11と、前記撮像手段によって得た道路画像の一部領域を画像情報を間引きせずに処理する第2の画像処理手段31−12と、状況に応じて前記第1の画像処理手段及び前記第2の画像処理手段の一方を選択する選択手段31−13とを有し、前記選択手段が、自車両の近傍に他車両を検出したとき、前記第1の画像処理手段を選択し、前記検出手段が自車両の近傍に他車両を検出していないとき、前記第2の画像処理手段を選択し、前記第2の画像処理手段を選択しているとき、低い頻度で前記第1の画像処理手段を選択することを特徴とする車両用後側方監視装置に存する。
【0026】
上記請求項1に記載の発明である車両用後側方監視装置においては、車両に装着された撮像手段10が車両の後側方の道路を撮像して得た一定時間毎に道路画像を検出手段31−1が処理して後続の他車両を検出し、検出した後続の他車両と自車両との相対関係を監視する。撮像手段が広角で高解像度のカメラで構成され、検出手段の有する第1の画像処理手段31−11が撮像手段によって得た道路画像の全体を画像情報を間引きして処理し、第2の画像処理手段31−12が撮像手段によって得た道路画像の一部領域を画像情報を間引きせずに処理し、かつ選択手段31−13が状況に応じて第1の画像処理手段及び第2の画像処理手段の一方を選択するようになっている。
従って、選択手段が第1の画像処理手段を選択したときには、撮像手段によって得た道路画像の全体が画像情報を間引きして処理され、広範囲の画像が低解像度で処理されるので、処理時間が長くなることなく、自車両に近い他車両を広範囲で監視することができる。一方、選択手段が第2の画像処理手段を選択したときには、撮像手段によって得た道路画像の一部領域が画像情報を間引きせずに処理され、狭い範囲の画像が高解像度で処理されるようになるので、処理時間が長くなることなく、自車両から遠い他車両を高解像度で監視することができる。
【0028】
そして、選択手段は、検出手段が自車両の近傍に他車両を検出したとき、第1の画像処理手段を選択し、低解像度ではあるが自車両近傍の他車両を監視することができ、検出手段が自車両の近傍に他車両を検出していないとき、第2の画像処理手段を選択し、狭い範囲ではあるが高解像度で遠方の他車両を監視できる。しかも、第2の画像処理手段を選択しているとき、低い頻度で第1の画像処理手段を選択するので、低解像度であるが時々自車両の近傍の他車両も監視できるようになっている。
【0031】
請求項2記載の発明は、図1(b)の基本構成図から明らかなように、車両に装着され車両の後側方の道路を撮像して一定時間毎に道路画像を得る撮像手段10と、該撮像手段によって一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像に基づいて他車両から発生するオプティカルフローを検出するオプティカルフロー検出手段31−3とを備え、該オプティカルフロー検出手段によって検出したオプティカルフローを用いて自車両と後続の他車両との相対関係を監視する車両用後側方監視装置において、前記撮像手段を広角で高解像度のカメラで構成するとともに、前記オプティカルフロー検出手段が、前記撮像手段によって得た一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像の全体を画像情報を間引きして処理する第1の画像処理手段31−31と、前記撮像手段によって得た道路画像の一部領域を画像情報を間引きせずに処理する第2の画像処理手段31−32と、状況に応じて前記第1の画像処理手段及び前記第2の画像処理手段の一方を選択する選択手段31−33とを有し、前記選択手段が、前記検出手段が自車両の近傍に他車両を検出したとき、前記第1の画像処理手段を選択し、前記検出手段が自車両の近傍に他車両を検出していないとき、前記第2の画像処理手段を選択し、前記第2の画像処理手段を選択しているとき、低い頻度で前記第1の画像処理手段を選択することを特徴とする車両用後側方監視装置に存する。
【0032】
請求項2に記載の発明である車両用後側方監視装置においては、車両に装着された撮像手段10が車両の後側方の道路を撮像して一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像に基づいてオプティカルフロー検出手段31−3が他車両から発生するオプティカルフローを検出し、検出したオプティカルフローを用いて自車両と後続の他車両との相対関係を監視する。検出手段の有する第1の画像処理手段31−31が撮像手段によって得た一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像の全体を画像情報を間引きして処理し、第2の画像処理手段31−32が撮像手段によって得た道路画像の一部領域を画像情報を間引きせずに処理し、かつ選択手段31−33が状況に応じて画像処理の一方を選択するようになっているので、撮像手段が広角で高解像度のカメラで構成されていても、処理時間が長くなることなく、他車両の発生するオプティカルフローにより、自車両に近い他車両を広範囲に、自車両から遠い他車両を高解像度で監視することができる。
そして、選択手段は、検出手段が自車両の近傍に他車両を検出したとき、第1の画像処理手段を選択し、低解像度ではあるが自車両近傍の他車両を監視することができ、検出手段が自車両の近傍に他車両を検出していないとき、第2の画像処理手段を選択し、狭い範囲ではあるが高解像度で遠方の他車両を監視できる。しかも、第2の画像処理手段を選択しているとき、低い頻度で第1の画像処理手段を選択するので、低解像度であるが時々自車両の近傍の他車両も監視できるようになっている。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の具体例を図面を参照して説明する。図2は、本発明が適用されるオプティカルフロー方式の車両用後側方監視装置の構成を示すブロック図で、同図において、10は撮像手段としての撮像部、20は撮像部10からの画像データなどを保持する記憶部、30は撮像部10からの画像情報に基づき画像処理及び他車両との相対関係を監視する処理などを実行するデータ処理部、40は警報を発生する警報手段としての警報部、50は自車両の走行方向を変更する際の操作情報を示す信号の入力を行う信号入力部である。
【0034】
撮像部10は、ビデオカメラ11から構成されている。そして、このビデオカメラ11は、120度の画角となる広角レンズ11aと、図3に示すようにピクセル数が例えば1024×1024と多く解像度の高いイメージプレーン11bとを有し、イメージプレーン11bの任意のピクセルをランダムにアクセスして読み込み可能なCMOSカメラと称されるもので構成されている。CMOSカメラはX−Yアドレス型に構成されているので、入射光に応じた量の電荷を蓄積している画素の電荷を順次転送して取り出す電荷転送型と異なり、電荷を蓄積している画素を水平(X)ラインと垂直(Y)ラインにて選択でき、このラインを選択する各々の走査回路をマルチプレクサを使用してランダムアクセスできる回路構成とすることによって、任意の画素を選択して電荷を取り出すことができる。そして、撮像部10のビデオカメラ11は、車両の後部のトランク部の上部或いは後端部に、車両の後方に向けて取り付けられる。そして、このビデオカメラ11は、車両の後側方の道路画像を撮像するように構成されている。そして、このビデオカメラ11は、データ処理部30のCPU31(後述)に対し、車両後側方の道路画像情報を出力する。
【0035】
記憶部20は、前記撮像部10からの道路画像情報を保持する第1フレームメモリ21及び第2フレームメモリ22と、発散方向のオプティカルフローを保持する発散オプティカルフローメモリ23とを有している。
【0036】
そして、この記憶部20を構成する第1フレームメモリ22及び第2フレームメモリ23は、例えば512画素×512画素といったm行n列からなるマトリクス状のメモリとして構成されている。そして、図3に示すように、広角時にはイメージプレーン11bから1つ置きのピクセルから読み込むことにより画像情報を間引かれた画素データが書き込まれ、ズーム時にはイメージプレーン11bのFOE周辺の512画素×512画素分のピクセルから読み込むことによって全画像の一部領域の画素データが書き込まれる。また、各メモリ21〜23は、データ処理部30のCPU31に対し、読み書き可能に接続されている。
【0037】
データ処理部30は、動作プログラムに従って動作する中央制御装置としてのCPU31、このCPU31の動作プログラム及び予め与えられる設定値などを保持するROM32及びCPU31の演算実行時に必要なデータを一時的に保持するRAM33を有している。
【0038】
警報部40は、表示器41とスピーカ42とを有している。表示器41は、LCDなどで構成され、ビデオカメラ11が撮像した撮像画像を表示したり、あるいは、データ処理部30(CPU31)が他車両との接触危険性有りと判定した際に、メッセージなどを表示して運転者に対して危険を映像で知らせる。スピーカ42は、データ処理部30からの音声信号に基づき、音声ガイダンスあるいは警報音といった音声を発生する。そして、データ処理部30が他車両との接触危険性有りと判定した場合には、この音声により運転者に対して危険を音声で知らせる。
【0039】
信号入力部50は、ハンドル舵角あるいは車両の操舵輪(一般には前輪)の操舵角を検出する舵角検知手段としての舵角センサ51と、運転者によるウインカ機構の操作状態とその操作方向を検出するウインカ検出手段としてのウインカ(ターンシグナル)検出スイッチ52とを有しており、舵角センサ51により車両の転回情報を検出し、ウインカ検出スイッチ52により運転者が車両を左右側に転回させる際に操作するウインカ機構からの転回指示情報を検出する。
【0040】
以上の構成を有する具体例の動作、すなわちデータ処理部30による制御動作について、フローチャートを参照して説明する。
この具体例においては、まず図4のフローチャートすなわち具体例における主フローチャートのステップS110にて、画像取得処理を行う。このステップS110における画像取得処理により、例えば図5に示す後側方の道路画像が得られる。なお、初期状態では、ビデオカメラ11は広角に設定されており、このときには、1つ置きのピクセル情報が読み出されるようになっている。
【0041】
この道路画像は、高速道路といった自動車専用道路上を走行中の自車両からの画像を例示しており、ビデオカメラ11が車両の後部に後側方に向けて取り付けられているので、車両の後側方を直視した画像となっている。同図に示すように、道路500、道路500上に描かれ自車線と隣接車線を区画する破線からなり車線変更を可能とする白線510及び520と側路を区画する連続直線からなり車線変更を禁止する白線530及び540、並びに道路500の両脇に立設された壁600が、画像上における水平方向中心位置でかつ垂直方向1/3位置にて消失する画像となってり、この消失点がFOEとなっている。
そして、この取得した道路画像の情報については、記憶部20の第1フレームメモリ21に格納される。
【0042】
また、この道路画像は、上述したように、車両の後側方に向けて取り付けられているので、道路画像における右側が進行方向を基準とした場合の左側に相当し、道路画像における左側が進行方向を基準とした場合の右側に相当する。以後、この道路画像を基準とした左右方向で説明を行うことにする。
【0043】
その後は、図4のフローチャートにおけるステップS120に進んでオプティカルフロー検出処理を行う。よって、CPU31は、予め定めたプログラムによって動作してビデオカメラ10によって一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像に基づいて設定された監視領域内にある他車両から発生するオプティカルフローを検出するオプティカルフロー検出手段31−1として機能する。このオプティカルフロー検出処理は、第1フレームメモリ21に格納された時刻tにおける道路画像中の画像構成点と、道路画像より所定時間△tだけ遅延して撮像され、第2フレームメモリ22に格納された時刻t+△tの撮像画像中の画像構成点との互いに対応する各点間の移動方向並びに移動量をオプティカルフローとして検出する。検出したオプティカルフローのうち発散方向のもの、すなわち自車両に接近中の他車両からの発散オプティカルフローは発散オプティカルフローメモリ23に記憶される。
【0044】
その後のステップS130では、広角−ズーム切替処理を行う。この切替処理は図6のフローチャートに示すように行われ、先ず最初ステップS210aにおいて、発散オプティカルフローメモリ23に自車両近傍のオプティカルフローが記憶されるかどうかを判断する。自車両近傍のオプティカルフローが記憶されているときにはステップS220aで広角モードを設定し、次のステップS220a′においてカウンタCをクリアしてから元のフローチャートに戻る。一方、ステップS210aの判断の結果、自車両近傍のオプティカルフローが記憶されていないときにはステップ230aでズームモードを設定する。その後ステップS240aでカウンタCをインクリメントする。そしてステップS250aでカウンタ値が10になったかどうかを判断し、10になっていればステップS260aで広角モードを設定するとともにステップS270aでカウンタをクリアしてから元のフローチャートに戻る。
【0045】
以上の処理によって、データ処理部30のCPU31は、撮像部10のビデオカメラ11によって一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像に基づいて他車両から発生するオプティカルフローを検出するオプティカルフロー検出手段31−3、撮像部10のビデオカメラ11によって得た一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像の全体を画像情報を間引きして処理する第1の画像処理手段31−31、撮像部10のビデオカメラ11によって得た道路画像の一部領域を画像情報を間引きせずに処理する第2の画像処理手段31−32、状況に応じて第1の画像処理手段及び第2の画像処理手段の一方を選択する選択手段31−33としてそれぞれ機能する。
【0046】
以上により、ズームモードが設定されているときには、自車両近傍のオプティカルフローが記憶されていなくても10回に1回広角モードが設定され、ズームモードではカバーしきれない、自車両近傍への他車両の突然の割り込みの有無をチェックできるようになっている。この場合、1回の広角モードで、オプティカルフローの検出の都合上、時間的に前後する2つの道路画像が得られるようにする。
【0047】
そして、ステップS140では、危険度の算出処理を行う。すなわち、このステップS140では、上記ステップS130にて取得したオプティカルフローの内、上述したオプティカルフロー201F及び202Fのように発散方向のオプティカルフローに対し、その大きさ(長さ)に重み付けをし数値化する。
なお、この算出処理において、しきい値を数レベル設定しておき、危険度のレベルを算出するようにしてもよい。
【0048】
引き続くステップS150では、上記ステップS140で算出された危険度に基づき、この危険度が或るしきい値を越えたら危険と判断する。また、危険度のレベルが与えられた場合には、このレベルが規定値以上となった場合に危険と判断する。
そして、この判定処理で危険と判断された場合には、ステップS160にて警報処理を実行し、一方、危険でないと判断された場合には、一連の処理を終了して再度上述したステップS110からの処理を実行する。
【0049】
このステップS160の警報処理では、警報部40のスピーカ42に対し音声信号を送出し、このスピーカ42から音声ガイダンスあるいは警報音を発生させることにより運転者に対して注意を促し、表示器41によりメッセージなどを表示して運転者に対して危険を映像で知らせる。
そして、このステップS160の警報処理が終了すると、一連の処理を終了して再度上述したステップS110からの処理を実行する。
【0050】
上述の実施の形態では、自車両の近傍にオプティカルフローがあるかどうかによって広角とズームを切り替えるようにしているが、自車両の近傍にオプティカルフローがあるかどうかに関係なく、広角とズームを常時交互に切り替えて近傍と遠方を常時監視するようにし、オプティカルフローの検出は1つ置きの1組の相前後する広角画像、ズーム画像を利用して行うようにする。
【0051】
また、常時ズームにて左右エリアを交互に監視し、ウインカ検出スイッチ52の動作によって方向変更側のエリアに固定して監視を行うようにしたり、或いは、常時広角にて監視し、ウインカ検出スイッチ52の動作に応じて方向変更側のエリアをズームにて監視するようにしてもよい。
この場合、データ処理部30のCPU31は、撮像部10のビデオカメラ11によって得た道路画像を処理して後続の他車両を検出する検出手段31−2、撮像部10のビデオカメラ11によって得た道路画像の左領域を処理する第1の画像処理手段31−21、撮像部10のビデオカメラ11によって得た道路画像の右領域を処理する第2の画像処理手段31−22、第1の画像処理手段及び前記第2の画像処理手段の一方を交互に選択し、ウインカ検出スイッチ52がウインカ動作を検出したとき、ウインカ動作の方向に対応する画像処理手段の一方を選択し続ける選択手段31−23としてそれぞれ機能する。
【0052】
また、上述の実施の形態では、メモリ容量を増やすことなく対処できるように、イメージプレーン11b自体がランダムにアクセス可能なビデオカメラを使用した例を示したが、第1フレームメモリ21及び第2フレームメモリ22の他に、大きな容量の第3のフレームメモリを用意できる場合には、電荷転送型の高解像度のビデオカメラ11によって撮像した画像を一度第3のフレームメモリに読み込んだ後に、第3のフレームメモリから画素単位のデータをランダムにアクセスして上述したと同様のことを行うようにすることもできる。
【0053】
何れにしても、広角、ズームの何れの場合にも、処理すべき画素数が大きくならないので、画像処理に要する時間が長くならず、高速のデータ処理部を用意しなくても、相前後する画像を取得する間にオプティカルフローの検出処理ができるようになっている。
【0054】
また、上述の実施の形態では、オプティカルフローを検出して他車両を監視しているが、本発明はオプティカルフローを利用しない他の任意の画像処理を使用して他車両を監視する装置に適用することができる。この場合、画像処理を行うデータ処理部30のCPU31は、撮像部10のビデオカメラ11によって得た道路画像を処理して後続の他車両を検出する検出手段31−1、撮像部10のビデオカメラ11によって得た道路画像の全体を画像情報を間引きして処理する第1の画像処理手段31−11、撮像部10のビデオカメラ11によって得た道路画像の一部領域を画像情報を間引きせずに処理する第2の画像処理手段31−12、状況に応じて第1の画像処理手段及び第2の画像処理手段の一方を選択する選択手段31−13としてそれぞれ機能する。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、上記請求項1記載の発明によれば、広角で高解像度のカメラで構成された撮像手段によって得た道路画像の全体が間引きして処理され、広範囲の画像が低解像度で処理されたり、撮像手段によって得た道路画像の一部領域が間引きせずに処理され、狭い範囲の画像が高解像度で処理されるようになるので、広角で高解像度のカメラを使用しても、監視範囲が広くなり、それだけ解像度が低下したり、処理すべき画像情報が多くなって、処理時間および検出精度の面で問題を起こすことなく、近傍及び遠方の両方をそれぞれに好ましい状態で監視でき
【0056】
そして、自車両の近傍に他車両を検出したとき、低解像度ではあるが自車両近傍の他車両を監視することができ、自車両の近傍に他車両を検出していないとき、狭い範囲ではあるが高解像度で遠方の他車両を監視でき、しかも、低い頻度で低解像度であるが時々自車両の近傍の他車両も監視できるようになっているので、近傍及び遠方の両方をそれぞれに好ましい状態で他車両を監視できる車両用後側方監視装置が得られる。
【0058】
請求項2記載の発明によれば、車両の後側方の道路を広記角で高解像度のカメラで撮像して一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像に基づいて他車両から発生するオプティカルフローを検出し、検出したオプティカルフローを用いて自車両と後続の他車両との相対関係を監視するため、広角で高解像度のカメラを使用しても、一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像の全体を間引きして処理したり、道路画像の一部領域を間引きせずに処理することを状況に応じて選択できるようになっているので、広角で高解像度のカメラを使用することの不都合を招くことなく、好ましい状態で他車両を監視できる。そして、自車両の近傍に他車両を検出したとき、低解像度ではあるが自車両近傍の他車両を監視することができ、自車両の近傍に他車両を検出していないとき、狭い範囲ではあるが高解像度で遠方の他車両を監視でき、しかも、低い頻度で低解像度であるが時々自車両の近傍の他車両も監視できるようになっているので、近傍及び遠方の両方をそれぞれに好ましい状態で他車両を監視できる車両用後側方監視装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両用後側方監視装置の基本構成図である。
【図2】 本発明を適用した車両用後側方監視警報装置の構成を示したブロック図である。
【図3】 ビデオカメラ内のイメージプレーンの一例を示す図である。
【図4】 本発明の車両用後側方監視警報装置における動作の概要を示したフローチャートである。
【図5】 本発明の車両用後側方監視警報装置におけるビデオカメラによって撮像した道路画像の一例を示した図である。
【図6】 広角−ズーム切替処理の一例のフローチャートを示した図である。
【図7】 従来の車両用後側方監視警報装置の構成を示したブロック図である。
【図8】 ビデオカメラによって得られる後側方の道路画像の変化を説明するための図である。
【図9】 光学配置を示す図である。
【図10】 片側3車線の高速専用道路の道路画像を示した概念図である。
【符号の説明】
10 撮像手段(撮像部)
31−1 検出手段(CPU)
31−11 第1の画像処理手段(CPU)
31−12 第2の画像処理手段(CPU)
31−13 選択手段(CPU
31−3 オプティカルフロー検出手段(CPU)
31−31 第1の画像処理手段(CPU)
31−32 第2の画像処理手段(CPU)
31−33 選択手段(CPU

Claims (2)

  1. 車両に装着され車両の後側方の道路を撮像して一定時間毎に道路画像を得る撮像手段と、該撮像手段によって得た道路画像を処理して後続の他車両を検出する検出手段とを備え、該検出手段によって検出した後続の他車両と自車両との相対関係を監視する車両用後側方監視装置において、
    前記撮像手段が広角で高解像度のカメラで構成され、
    前記検出手段が、
    前記撮像手段によって得た道路画像の全体を画像情報を間引きして処理する第1の画像処理手段と、
    前記撮像手段によって得た道路画像の一部領域を画像情報を間引きせずに処理する第2の画像処理手段と、
    状況に応じて前記第1の画像処理手段及び前記第2の画像処理手段の一方を選択する選択手段とを有し、
    前記選択手段は、前記検出手段が自車両の近傍に他車両を検出したとき、前記第1の画像処理手段を選択し、前記検出手段が自車両の近傍に他車両を検出していないとき、前記第2の画像処理手段を選択し、前記第2の画像処理手段を選択しているとき、低い頻度で前記第1の画像処理手段を選択する
    ことを特徴とする車両用後側方監視装置。
  2. 車両に装着され車両の後側方の道路を撮像して一定時間毎に道路画像を得る撮像手段と、該撮像手段によって一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像に基づいて他車両から発生するオプティカルフローを検出するオプティカルフロー検出手段とを備え、該オプティカルフロー検出手段によって検出したオプティカルフローを用いて自車両と後続の他車両との相対関係を監視する車両用後側方監視装置において、
    前記撮像手段を広角で高解像度のカメラで構成するとともに、
    前記オプティカルフロー検出手段が、
    前記撮像手段によって得た一定時間毎に得た相前後する2つの道路画像の全体を間引きして処理する第1の画像処理手段と、
    前記撮像手段によって得た道路画像の一部領域を間引きせずに処理する第2の画像処理手段と、
    状況に応じて前記第1の画像処理手段及び前記第2の画像処理手段の一方を選択する選択手段とを有し、
    前記選択手段は、前記検出手段が自車両の近傍に他車両を検出したとき、前記第1の画像処理手段を選択し、前記検出手段が自車両の近傍に他車両を検出していないとき、前記第2の画像処理手段を選択し、前記第2の画像処理手段を選択しているとき、低い頻度で前記第1の画像処理手段を選択する
    ことを特徴とする車両用後側方監視装置。
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