JP4281525B2 - 車両のブレーキ装置 - Google Patents
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Description
つまり、ブレーキペダルの踏み込みに応動するマスターシリンダからの液圧を車輪のホイールシリンダへ供給するブレーキ液圧回路中に、上記の電子制御に際して閉じる遮断弁を挿置し、マスターシリンダのリザーバ内における作動液を媒体として吐出するポンプ、これを駆動する電動モータ、およびポンプからの作動液を蓄圧するアキュムレータで構成された液圧源を設ける。
これがため、遮断弁を開いてマスターシリンダ液圧によりブレーキユニット液圧を賄う異常時は、ブレーキ液圧回路とストロークシミュレータとの間の連通を絶って遮断状態にする必要がある。
しかし電磁弁は一般的に高価であり、ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置がコスト高になる要因の1つになっていた。
ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置は、車両のイグニッションスイッチがOFFにされている場合、全ての弁を含む制御システムもOFF状態である。
そして遮断弁は、制御システムの異常で制御信号が供給されない時もマスターシリンダ液圧により制動可能となるよう、常開弁で構成してONによる附勢時に閉じるようなものとするのが常識的である。
この遮断状態は、ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置としての機能を妨げるものではないが、ストロークシミュレータの作動を不能にし、ブレーキペダル(マスターシリンダ)のストロークがない状態での制動を余儀なくされ、違和感のあるブレーキ操作フィーリングとなる。
或いは、初動手段としてタンデムマスターシリンダを用いた2系統式のブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置に限られるが、1系統をブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置として作動させ、他系統をマスターシリンダからの液圧により直接作動させれば、少なくとも上記違和感のあるブレーキ操作フィーリングに関した問題を解消し得るとの事実認識に基づき、
これらの着想を具体化したブレーキバイワイヤ式のブレーキ装置を提案することを目的とする。
先ず、本発明の前提となるブレーキ装置を説明するに、これは、
運転者の制動操作により押圧される初動素子を有し、該初動素子の押圧力に応じたブレーキ液圧を出力する初動手段と、
該初動手段から車輪ブレーキユニットへ至るブレーキ液圧出力回路を遮断する遮断弁と、
該遮断弁を閉じた状態で、別の液圧源からの液圧を、上記初動手段および遮断弁間における上記ブレーキ液圧の検出値に基づき調圧して、上記遮断弁および車輪ブレーキユニット間におけるユニット液圧となす液圧制御手段と、
上記初動素子のストロークに機械的に連動して上記初動手段との連通を絶たれた遮断状態になるが、該初動素子の常態位置では初動手段と連通された連通状態になって上記遮断弁の閉によっても前記運転者の制動操作にストロークを付与し得るようになすストロークシミュレータとを具えた、ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置とする。
上記遮断弁を閉じた時にストロークシミュレータが前記遮断状態、連通状態であるのを検知するストロークシミュレータ遮断・連通検知手段を設ける。
そして、この手段がストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、遮断弁を一旦開いて上記別の液圧源からの液圧により初動素子を上記常態位置に押し戻すよう構成すると共に、
該初動素子の押し戻しによりストロークシミュレータが上記連通状態になったのをストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が検知した時遮断弁を閉じるよう構成したものである。
先ず、本発明の前提となるブレーキ装置を説明するに、これは、
運転者の制動操作に連動するプライマリピストン、および、このプライマリピストンを介して運転者の制動操作力を入力されるセカンダリピストンを有するタンデムマスターシリンダと、
このタンデムマスターシリンダから車輪ブレーキユニットへ至る2系統のブレーキ液圧出力回路を個々に遮断する遮断弁と、
これら遮断弁を閉じた状態で、別の液圧源からの液圧を、上記タンデムマスターシリンダおよび両遮断弁間における上記2系統ブレーキ液圧出力回路の液圧検出値に基づき調圧して、両遮断弁および車輪ブレーキユニット間における2系統ブレーキ液圧出力回路内のユニット液圧となす液圧制御手段と、
上記セカンダリピストンのストロークに機械的に連動してタンデムマスターシリンダとの連通を絶たれた遮断状態になるが、該セカンダリピストンの常態位置ではタンデムマスターシリンダと連通された連通状態になって上記両遮断弁の閉によっても運転者の制動操作にストロークを付与し得るようになすストロークシミュレータとを具えた、ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置とする。
上記両遮断弁を閉じた時にストロークシミュレータが上記遮断状態、連通状態であるのを検知するストロークシミュレータ遮断・連通検知手段を設ける。
そして、この手段がストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、上記両遮断弁の一方を開いて対応するブレーキ液圧出力回路の系統をタンデムマスターシリンダからの液圧により作動させ、他方の閉状態の遮断弁に係わるブレーキ液圧出力回路の系統を別の液圧源からの液圧により作動させるよう構成したものである。
ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置として作動するに際し遮断弁を閉じた時にストロークシミュレータが初動手段と連通しない遮断状態であっても、上記別の液圧源からの液圧により初動素子を常態位置に押し戻してストロークシミュレータを初動手段に連通させ得ることとなり、その後に遮断弁を閉じることでストロークシミュレータを所定通りに作動させつつブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置として作動させることができる。
タンデムマスターシリンダを用いた2系統式のブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置に限られるが、上記他系統をマスターシリンダからの液圧により直接作動させることで、少なくとも制動操作ストロークのない違和感のあるブレーキ操作フィーリングとなる事態の発生を解消することができる。
図1は、本発明の一実施例になるブレーキバイワイヤ式のブレーキ装置を、これにより制動される前輪1および後輪2(共に1輪のみを図示した)と共に示し、本実施例ではこのブレーキ装置を2系統式液圧ブレーキ装置とし、一方の系統で左右前輪1を制動するよう、また他系統で左右後輪2を制動するよう構成する。
ブレーキペダル4から制動操作力を入力されてピストン5,6が押し込み方向へストロークすると、ピストン5,6がポート12,13を直ちに閉じて室7,8内にブレーキ液圧を発生するものとする。
ブレーキ液圧出力回路17,19中には、マスターシリンダ3に近い側から順次、遮断弁20,21および増圧弁22,23を挿置し、これら遮断弁20,21および増圧弁22,23はON時に閉じる常開の電磁弁とする。
遮断弁20,21と、増圧弁22,23との間において、ブレーキ液圧出力回路17,19間を相互に連通可能にする連通弁27を設け、この連通弁27も、ON時に開く常閉の電磁弁とする。
遮断弁20と、増圧弁22との間において、ブレーキ液圧出力回路17に、ポンプ28を含む別の液圧源を接続して設ける。
この開閉弁32は、セカンダリピストン6のストロークに連動して開閉するよう設け、セカンダリピストン6が図示の常態位置にあるとき開閉弁32を開いて、ストロークシミュレータ31をプライマリピストン室7と連通した連通状態にし、セカンダリピストン6が図示の常態位置から押し込み方向にストロークするとき開閉弁32を閉じて、ストロークシミュレータ31をプライマリピストン室7との連通が絶たれた遮断状態にするものとする。
車両のイグニッションスイッチを投入すると、遮断弁20,21がONにより閉状態にされ、連通弁27がONにより開状態にされる。
この状態で運転者がブレーキペダル4を踏み込み、制動操作力をプライマリピストン5に入力すると、このピストン5が入口ポート12を閉じた後、プライマリピストン室7内にブレーキ液圧を発生させる。
このブレーキ液圧はセカンダリピストン6を押圧し、これが入口ポート13を閉じた後、セカンダリピストン室8内にもブレーキ液圧を発生させる。
しかし、セカンダリピストン6が入口ポート13を閉じる微少なストロークでは、開閉弁32が閉じることがなく開状態を保ってストロークシミュレータ31をプライマリピストン室7に通じた連通状態に維持する。
この間ストロークシミュレータ31のピストン31aは、バネ31bに抗しストロークすることからバネ反力による負荷を運転者に感じさせることができ、所定のストローク・制動力特性を持ったブレーキペダル操作フィーリングを運転者に与える得る。
増圧弁22,23および減圧弁24,25は、ポンプ28を含む別の液圧源からの液圧Ppを元圧とし、これを、マスターシリンダ3からの液圧Pmに基づき調圧して後輪ブレーキユニット液圧Pwrおよび前輪ブレーキユニット液圧Pwfとなし、これらをそれぞれ、後輪ブレーキユニット16および前輪ブレーキユニット18に供給するものとする。
これがため増圧弁22,23および減圧弁24,25は、本発明における液圧制御手段を構成する。
この場合、全ての電磁弁20〜25および27と、ポンプ28をOFFする。遮断弁20,21はOFFにより開状態となり、増圧弁22,23もOFFにより開状態となり、減圧弁24,25はOFFにより閉状態となり、連通弁27もOFFにより閉状態となる。
イグニッションスイッチのONに先立つブレーキペダル4の踏み込みで、遮断弁20,21の開状態と相まってマスターシリンダ3のピストン5,6が押し込まれ(図6ではセカンダリピストン6のストロークのみを示した)、当該ピストン6のストロークに連動する開閉弁32の閉によりストロークシミュレータ31がマスターシリンダ3(プライマリピストン室7)から遮断され、この状態で遮断弁20,21がイグニッションスイッチのONにより瞬時t1に閉じられることになる。
この遮断状態は、ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置としての前記の機能を妨げるものではないが、ストロークシミュレータ31の作動を不能にし、ブレーキペダル4(マスターシリンダ3)のストロークがない状態での制動操作を余儀なくされ、違和感のあるブレーキ操作フィーリングとなる。
図2は、ストロークシミュレータ31を強制的に連通状態に復帰させる制御が必要かどうかを判定するためのプログラムで、先ずステップS1において、遮断弁20,21が共にONにより閉状態にされているか否かをチェックする。
ステップS1で遮断弁20,21が共に閉状態にされていると判定する時、制御をステップS2に進め、ここでストロークシミュレータ遮断フラグが1か否かをチェックする。
ストロークシミュレータ遮断フラグは、図4および図5に付き後述するようにして、ストロークシミュレータ31がマスターシリンダ3との連通を絶たれた遮断状態であるとの判定時は1にされ、ストロークシミュレータ31がマスターシリンダ3に連通された連通状態であるとの判定時は0にされるものとする。
しかし、ステップS2でストロークシミュレータ遮断フラグが0(ストロークシミュレータ31が連通状態)と判定する時は、前記した違和感のあるブレーキ操作フィーリングに関する問題を生じないことから、ステップS4において、マスターシリンダ増圧制御フラグを0にリセットし、マスターシリンダ増圧制御指令を発しない。
ストロークシミュレータ遮断フラグが0(ストロークシミュレータ31が連通状態)であれば、ステップS4を実行してマスターシリンダ増圧制御フラグを0にリセットし、ピストン6が常態位置であるにもかかわらず無駄にマスターシリンダ増圧制御指令が発せられることのないようにし、
ストロークシミュレータ遮断フラグが0(ストロークシミュレータ31が連通状態)でなければ、制御をそのまま終了してマスターシリンダ増圧制御フラグを現在のままに保持する。
ステップS11においては、上記のマスターシリンダ増圧制御フラグが1か否かによりストロークシミュレータ31を連通状態にするためのマスターシリンダ増圧制御指令が発せられているか否かをチェックする。
つまり、ポンプ28を駆動してこれから液圧Ppが出力されるようにし、遮断弁21をOFFして開き、増圧弁22,23をONして閉じる。
イグニッションスイッチがONされた図6の瞬時t1に、遮断弁20がONにより閉状態であり、連通弁27がONにより開状態であることから、ポンプ28からの液圧Ppが連通弁27および遮断弁21を経て回路19によりセカンダリピストン室8に供給される。
ピストン6の常態位置(ストローク=0)への復帰により、閉状態だった開閉弁32が開状態に切り替わりストロークシミュレータ31を、図6の瞬時t3において図1に示す連通状態にすることができる。
これによりブレーキ装置は、ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置として機能可能な状態になる。
ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置として作動するに際し遮断弁20,21を閉じた時にストロークシミュレータ31が遮断状態であっても、ポンプ28からの液圧Ppによりタンデムマスターシリンダ3のピストン5,6を常態位置に押し戻してストロークシミュレータ31を連通させ得ることとなり、その後に遮断弁21を閉じることでストロークシミュレータを所定通りに作動させつつブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置として作動させることができる。
図4は、ストロークシミュレータ31の遮断状態を判定するためのプログラム、図5は、ストロークシミュレータ31の連通状態を判定するためのプログラムで、これら制御プログラムが本発明におけるストロークシミュレータ遮断・連通検知手段に相当する。
ステップS23でストローク量検出値Stが設定値(例えば5mm)以上であると判定する時は、ストロークシミュレータ31が遮断状態になっていることから、ステップS24においてストロークシミュレータ遮断フラグを1にセットする。
ステップS23でストローク量検出値Stが設定値(例えば5mm)以上でないと判定する時は、ストロークシミュレータ31が遮断状態になっていないことから、ステップS24をスキップして制御を終了させ、ストロークシミュレータ遮断フラグを現在のままに保持する。
遮断弁20,21の一方が開いている場合は、ストロークシミュレータ遮断フラグの決定が不要であるから、制御をそのまま終了してストロークシミュレータ遮断フラグを現在のままに保持する。
次のステップS27では、前回も遮断弁20,21が共に閉じていたかどうかを判定し、そうでなければステップS28で、上記の制動操作ストローク量検出値Stおよびブレーキ液圧検出値Pmをそれぞれ、対応する初期値Sti,Pmiにセットした後、制御をステップS29に進め、そうであればステップS28をスキップして制御をステップS29に進める。
次のステップS30においては、ストローク量偏差偏差ΔStに対するブレーキ液圧偏差ΔPmの圧力変化率(=ΔPm/ΔSt)を演算する。
更にステップS31では、この圧力変化率、つまり、ストローク量変化に対するブレーキ液圧変化の圧力変化率が設定値(例えば20Mpa/mm)以上である時をもってストロークシミュレータ31が遮断状態であると判定し、ステップS24に制御を進めてストロークシミュレータ遮断フラグを1にセットする。
先ずステップS41において、遮断弁20,21がともに閉状態か否かをチェックし、共に閉状態ならステップS42で、ブレーキペダル4やピストン5,6の制動操作ストローク量検出値Stを読み込み、次のステップS43で、このストローク量検出値Stが、ストロークシミュレータの連通状態を判定するための設定値(例えば1mm)未満か否かを判定する。
ステップS43でストローク量検出値Stが設定値(例えば1mm)未満であると判定する時は、ストロークシミュレータ31が連通状態になっていることから、ステップS44において、このことを示すようにストロークシミュレータ遮断フラグを0にリセットする。
先ずステップS45において、ブレーキ液圧検出値Pmを読み込み、次のステップS46において、このブレーキ液圧検出値Pmから所定のマップを基に、ストロークシミュレータ31が連通状態である時のストローク量特性値Strを読み出し、ステップS47において、ストローク量検出値Stとストローク量特性値Strとの間におけるストローク量偏差の絶対値Aを算出する。
次いでステップS48において、ストローク量偏差の絶対値Aが連通状態判定用の設定値(例えば5mm)未満であるか否かを判定し、A<設定値(例えば5mm)である時ストロークシミュレータ31が連通状態になっていることから、ステップS44において、このことを示すようにストロークシミュレータ遮断フラグを0にリセットする。
上昇中であれば、ステップS52において最大値Pmmaxにブレーキ液圧検出値Pmをセットして更新する。
なお、ブレーキ液圧検出値Pmの上昇中は、セカンダリピストン6がストロークシミュレータ31を遮断状態にする押し込み位置からストロークシミュレータ31を連通状態にする常態位置に向け押し戻されている最中であることを意味し、換言すれば、セカンダリピストン6が未だ常態位置に戻っておらず、ストロークシミュレータ31が未だ連通状態になっていないことを意味する。
このPm<Pmmaxは、セカンダリピストン6が常態位置近くまで押し戻されて入口ポート13を開くことによりブレーキ液圧Pmが低下していることを意味する。
ステップS53では、ブレーキ液圧検出値Pmが最大値Pmmaxよりも所定圧(例えば5Mpa)だけ低い設定値未満に低下したか否かを判定し、Pm<Pmmax-5Mpa(所定圧)になった時をもって、セカンダリピストン6が常態位置まで押し戻され、ストロークシミュレータ31が連通状態になったとの判定により、ステップS44で、このことを示すようにストロークシミュレータ遮断フラグを0にリセットする。
図7は、図2のステップS3およびステップS4をそれぞれ、ステップS6およびステップS7に置換したものに相当し、上記の片系統ブレーキバイワイヤ制御が必要かどうかを判定するためのプログラムである。
ステップS1で遮断弁20,21が共に閉状態にされていると判定し、且つ、ステップS2でストロークシミュレータ遮断フラグが1(ストロークシミュレータ31が遮断状態)と判定する時は、前記した違和感のあるブレーキ操作フィーリングに関する問題を生ずることから、ステップS6において、この問題を解消すべく片系統ブレーキバイワイヤ制御指令を、片系統ブレーキバイワイヤ制御フラグの1へのセットにより発する。
ステップS14においては、上記の片系統ブレーキバイワイヤ制御フラグが1か否かにより片系統ブレーキバイワイヤ制御指令が発せられているか否かをチェックする。
つまり、遮断弁21をOFFして開き、連通弁27をOFFして閉じる。
イグニッションスイッチがONされた時に、遮断弁20がONにより閉状態であることから、連通弁27の上記閉操作と相まって、後輪2を通常通りのブレーキバイワイヤ制御により制動させることができる。
つまり、イグニッションスイッチがONされた時に増圧弁23がOFFにより開状態、減圧弁25がOFFにより遮断状態にされているため、マスターシリンダ3から回路19へのブレーキ液圧Pmは、開状態の遮断弁21および増圧弁23を経て前輪ブレーキユニット18に向かい、前輪ブレーキユニット液圧Pwfとして前輪1の制動を行うことができる。
従って、ピストン6は常態位置に戻り得ず、結果として開閉弁32を開き得ず、ストロークシミュレータ31を連通状態に復帰させることができない。
これにより、そして遮断弁21が片系統ブレーキバイワイヤ制御中に開状態にされていることから、また、ポンプ28がブレーキペダル4の釈放に呼応して通常制御により停止されることから、ピストン6の前後で作動液の往来が行われ得るようになり、ピストン5,6はリターンスプリング9,10により片系統ブレーキバイワイヤ制御の開始時における押し込み位置を越えて常態位置に戻される。
ピストン6の常態位置への戻りは開閉弁32をしてこれを開状態にし、ストロークシミュレータ31を連通状態に復帰させることができる。
これによりブレーキ装置は、両系統ブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置として機能可能な状態に完全復帰することができる。
ポンプ28と同様な液圧源が前輪ブレーキ系にも設けられ、前後輪を個々の液圧源からの液圧によりブレーキバイワイヤ制御するようにしたブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置の場合、いずれの系をブレーキバイワイヤ制御し、いずれの系をマスターシリンダ3からの液圧Pmにより作動させるようにするかは任意である。
図9のようなブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置に本発明の着想を適用する場合、図1における連通弁27の制御が不要であり、制御の簡便化を図ることができて大いに好都合である。
2 左右後輪
3 タンデムマスターシリンダ(初動手段)
4 ブレーキペダル
5 プライマリピストン(初動素子)
6 セカンダリピストン(初動素子)
7 プライマリピストン室
8 セカンダリピストン室
9,10 リターンスプリング
11 リザーバ
12,13 入口ポート
14,15 出口ポート
16 後輪ブレーキユニット
17 後輪用ブレーキ液圧出力回路
18 前輪ブレーキユニット
19 前輪用ブレーキ液圧出力回路
19を接続して設ける。
20,21 遮断弁
22,23 増圧弁
24,25 減圧弁
26 リザーバ回路
27 連通弁
28 ポンプ(別の液圧源)
29,30 逆止弁
31 ストロークシミュレータ
32 開閉弁
Claims (13)
- 運転者の制動操作により押圧される初動素子を有し、該初動素子の押圧力に応じたブレーキ液圧を出力する初動手段と、
該初動手段から車輪ブレーキユニットへ至るブレーキ液圧出力回路を遮断する遮断弁と、
該遮断弁を閉じた状態で、別の液圧源からの液圧を、前記初動手段および遮断弁間における前記ブレーキ液圧の検出値に基づき調圧して、前記遮断弁および前記車輪ブレーキユニット間におけるユニット液圧となす液圧制御手段と、
前記初動素子のストロークに機械的に連動して前記初動手段との連通を絶たれた遮断状態になるが、該初動素子の常態位置では初動手段と連通された連通状態になって前記遮断弁の閉によっても前記運転者の制動操作にストロークを付与し得るようになすストロークシミュレータとを具えた車両のブレーキ装置において、
前記遮断弁を閉じた時に前記ストロークシミュレータが前記遮断状態、連通状態であるのを検知するストロークシミュレータ遮断・連通検知手段を設け、
この手段がストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、前記遮断弁を一旦開いて前記別の液圧源からの液圧により前記初動素子を前記常態位置に押し戻すよう構成すると共に、該初動素子の押し戻しにより前記ストロークシミュレータが前記連通状態になったのを前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が検知した時前記遮断弁を閉じるよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 前記初動手段が、運転者の制動操作力を入力される第1初動素子としてのプライマリピストン、および、このプライマリピストンを介して運転者の制動操作力を入力される第2初動素子としてのセカンダリピストンを有し、このセカンダリピストンに前記ストロークシミュレータを連動させて前記遮断状態、連通状態にするようにしたタンデムマスターシリンダであり、
該タンデムマスターシリンダからの2系統ブレーキ液圧出力回路にそれぞれ前記遮断弁を挿入し、
これら遮断弁および対応する車輪ブレーキユニット間において前記2系統ブレーキ液圧出力回路を相互に連通させる連通弁を設け、
前記別の液圧源をこれら2系統に共通な1個の液圧源とし、
前記両遮断弁を閉じ、前記連通弁を開いた状態で、前記液圧制御手段が前記共通な1個の液圧源からの液圧を調圧して2系統の前記ユニット液圧となすようにした、請求項1に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が、前記両遮断弁の閉時にストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、前記セカンダリピストンに係わる系統の遮断弁を一旦開くと共に前記連通弁を開いて前記共通な1個の液圧源からの液圧により前記セカンダリピストンを前記常態位置に押し戻すよう構成すると共に、該セカンダリピストンの押し戻しによりストロークシミュレータが前記連通状態にされたのを前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が検知する時、前記セカンダリピストンに係わる系統の遮断弁を閉じるよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 前記初動手段が、運転者の制動操作力を入力される第1初動素子としてのプライマリピストン、および、このプライマリピストンを介して運転者の制動操作力を入力される第2初動素子としてのセカンダリピストンを有し、このセカンダリピストンに前記ストロークシミュレータを連動させて前記遮断状態、連通状態にするようにしたタンデムマスターシリンダであり、
該タンデムマスターシリンダからの2系統ブレーキ液圧出力回路にそれぞれ前記遮断弁を挿入し、
これら遮断弁および対応する車輪ブレーキユニット間において前記2系統ブレーキ液圧出力回路にそれぞれ、前記別の液圧源からの共通な液圧を逆止弁を介して供給可能とし、
前記両遮断弁を閉じた状態で、前記液圧制御手段が前記別の液圧源からの共通な液圧を調圧して2系統の前記ユニット液圧となすようにした、請求項1に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が、前記両遮断弁の閉時にストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、前記セカンダリピストンに係わる系統の遮断弁を一旦開いて前記別の液圧源からの共通な液圧により前記セカンダリピストンを前記常態位置に押し戻すよう構成すると共に、該セカンダリピストンの押し戻しによりストロークシミュレータが前記連通状態にされたのを前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が検知する時、前記セカンダリピストンに係わる系統の遮断弁を閉じるよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 運転者の制動操作に連動するプライマリピストン、および、このプライマリピストンを介して運転者の制動操作力を入力されるセカンダリピストンを有するタンデムマスターシリンダと、
該タンデムマスターシリンダから車輪ブレーキユニットへ至る2系統のブレーキ液圧出力回路を個々に遮断する遮断弁と、
これら遮断弁を閉じた状態で、別の液圧源からの液圧を、前記タンデムマスターシリンダおよび両遮断弁間における前記2系統ブレーキ液圧出力回路の液圧検出値に基づき調圧して、前記両遮断弁および前記車輪ブレーキユニット間における前記2系統ブレーキ液圧出力回路内のユニット液圧となす液圧制御手段と、
前記セカンダリピストンのストロークに機械的に連動して前記タンデムマスターシリンダとの連通を絶たれた遮断状態になるが、該セカンダリピストンの常態位置ではタンデムマスターシリンダと連通された連通状態になって前記両遮断弁の閉によっても前記運転者の制動操作にストロークを付与し得るようになすストロークシミュレータとを具えた車両のブレーキ装置において、
前記両遮断弁を閉じた時に前記ストロークシミュレータが前記遮断状態、連通状態であるのを検知するストロークシミュレータ遮断・連通検知手段を設け、
この手段がストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、前記両遮断弁の一方を開いて対応するブレーキ液圧出力回路の系統をタンデムマスターシリンダからの液圧により作動させ、他方の閉状態の遮断弁に係わるブレーキ液圧出力回路の系統を別の液圧源からの液圧により作動させるよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 前記両遮断弁および対応する車輪ブレーキユニット間において前記2系統のブレーキ液圧出力回路を相互に連通させる連通弁を設け、
前記別の液圧源を、前記2系統ブレーキ液圧出力回路に共通な1個の液圧源とし、
前記両遮断弁を閉じ、前記連通弁を開いた状態で、前記液圧制御手段がこの共通な1個の液圧源からの液圧に対し前記の調圧を行って両系統のユニット液圧となすようにした、請求項4に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が、前記両遮断弁の閉時にストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、前記連通弁を閉じ、該連通弁の閉状態で前記共通な1個の液圧源からの液圧によりユニット液圧を発生させ得ない系統の遮断弁を開いて、該系統をタンデムマスターシリンダからの液圧により作動させるよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 請求項5に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が、前記両遮断弁の閉時にストロークシミュレータの遮断状態を検知したことで、1系統をタンデムマスターシリンダからの液圧により作動させている間、運転者の制動操作力がなくなった時に、前記連通弁を開くと共に、他系統の遮断弁を一旦開いてタンデムマスターシリンダのピストンを常態位置に復帰させた後に、再度閉じるよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 前記両遮断弁および対応する車輪ブレーキユニット間において前記2系統のブレーキ液圧出力回路にそれぞれ、前記別の液圧源からの共通な液圧を逆止弁を介して供給可能とし、
前記両遮断弁を閉じた状態で、前記液圧制御手段が該別の液圧源からの共通な液圧を調圧して両系統のユニット液圧となすようにした、請求項4に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段が、前記両遮断弁の閉時にストロークシミュレータの遮断状態を検知する場合、前記遮断弁の一方を開いて該当する系統をタンデムマスターシリンダからの液圧により作動させるよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段は、前記遮断弁が開状態の間における運転者の制動操作ストローク量を検出し、このストローク量検出値が設定値以上である時をもってストロークシミュレータが前記遮断状態であると判定するよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段は、前記遮断弁が閉状態の間における運転者の制動操作ストローク量、および前記初動手段またはタンデムマスターシリンダの発生液圧を検出し、これら検出値から、ストローク量検出値の変化に対する発生液圧検出値の変化が設定値以上である時をもってストロークシミュレータが前記遮断状態であると判定するよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段は、運転者が制動操作中である間に前記遮断弁が閉じられた時をもってストロークシミュレータが前記遮断状態であると判定するよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段は、前記遮断弁が閉状態である間に運転者の制動操作量が微少設定値未満になった時をもってストロークシミュレータが前記連通状態であると判定するよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段は、前記遮断弁が閉状態の間における運転者の制動操作ストローク量、および前記初動手段またはタンデムマスターシリンダの発生液圧を検出し、発生液圧検出値から求めた基準ストローク量とストローク量検出値との対比によりストロークシミュレータの前記連通状態を判定するよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記別の液圧源からの液圧により行われる前記初動素子の常態位置への押し戻しが終わり、前記初動手段がリザーバに通じて発生液圧を低下されきった時をもって、前記ストロークシミュレータ遮断・連通検知手段はストロークシミュレータが前記連通状態であると判定するよう構成したことを特徴とする車両のブレーキ装置。
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