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JP4256941B2 - 眼球の疾患の治療において硝子体液を液化するために使用されるヒアルロニダーゼ含有製剤 - Google Patents

眼球の疾患の治療において硝子体液を液化するために使用されるヒアルロニダーゼ含有製剤 Download PDF

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Description

発明の技術分野
この発明は、概しては、治療のためヒトまたは他の哺乳類の眼球に投与する酵素製剤に関し、さらに詳しくは、哺乳類の眼球の網膜および/または硝子体を冒す眼球の疾患を治療するために一種以上の酵素を利用する方法に関する。
発明の背景
ヒトの眼の解剖
人間の眼球の解剖学的構造は、水晶体の背後において眼球の空洞のほぼ4/5を占める「硝子体」を有する。その硝子体は、硝子体液として知られているゼラチン状物質で形成されている。典型的には、正常な人の眼球の硝子体液は、ほぼ99%の水と、コラーゲン、ヒアルロン酸、可溶性糖タンパク質類、糖類および他の低分子量の代謝産物を含む1%の巨大分子とを含有している。
網膜は、本質的には、眼球の後部内面に形成されている神経組織の層である。網膜は、脈絡膜層として知られている細胞の層で囲まれている。網膜は、視覚メカニズムに関与している視覚部分と、視覚メカニズムに関与していない非視覚部分とに分けることができる。網膜の視覚部分は、杆状体と錐状体を含有し、これらが視覚の有効な器官である。いくつもの動脈と静脈が網膜の中心に入り、外側に広がって網膜に血液を循環させている。
硝子体の後部は、網膜に直接接触している。原線維ストランドのネットワークが網膜から延びて硝子体中に入り込むかまたは差し込まれて、硝子体を網膜に結合させている。
硝子体出血の原因、治療および臨床後遺症
糖尿病網膜症、外傷および他の眼科疾患によって、網膜血管が破裂しまたは漏洩して、眼球の硝子体内に出血(すなわち、「硝子体出血」)を起こすことがある。このような硝子体出血は、典型的には、硝子体液の曇りまたは不透明化として現れる。
硝子体出血には、常にではないが、時として、網膜の裂断と剥離が伴うことがある。硝子体出血に付随して網膜の裂断または剥離が起こっている場合、そのような網膜の裂断や剥離は迅速に診断して外科的に修復することが大切である。迅速に診断して修復しないと、網膜の断裂または剥離が、その断裂または剥離の領域の網膜の光受容体細胞を壊死させることがある。網膜の光受容体細胞がこのように壊死すると、視覚が失われる。さらに、網膜剥離を長期間修復しないままにしておくと、さらに硝子体出血が起こり、および/または、その出血部位に線維組織が生成する。このような線維組織が形成されると、硝子体と網膜の間に望ましくない永久的な線維質付着が形成される。
網膜の断裂または剥離の修復に用いられる典型的な外科的方法は、外科医が、硝子体液を透過して見て網膜の損傷領域を目視できること(すなわち、「硝子体越しに網膜を目視する」こと)が必要である。硝子体出血が起こると、硝子体内の出血血液の存在により、硝子体が曇って、外科医が硝子体を通して網膜を目視することが妨害される。硝子体のそのような出血による曇りは、網膜を硝子体を通して、目視できるよう十分に透明になるのに、6〜12か月以上かかる。しかし、網膜の断裂または剥離の診断または治療が遅れたため後から合併症を起こす可能性があることから見て、出血血液が自然に消失するのを待つことは、概して望ましくない。
さらに、硝子体出血に網膜の断裂または剥離が付随していないときでも、網膜の断裂または剥離起こっていないことを立証することが難しいことが多い。というのは、曇った硝子体は、医師が網膜の日常的な眼底検査を行うのを妨害するからである。さらに、硝子体内に、出血血液が存在すると、冒された眼球による患者の視覚を重大に損うかまたは完全になくしてしまうことがあり、そしてその状態は、出血血液が実質的にまたは完全に消失するまで続く。
したがって、硝子体内に出血血液が存在すると、(a)硝子体の出血および/または付随する網膜の断裂または剥離の部位と原因を視覚で検査および診断できないこと、(b)冒された眼球の視覚の完全なまたは部分的な損傷、および(c)出血部位の修復および/または付随する網膜の断裂または剥離の修復に典型的に利用されるタイプの治療の硝子体越しの外科的方法を実施することが損われまたは妨害されることを含む、多数の臨床上の問題を起こす。
硝子体出血によって、硝子体が実質的に曇るかまたは不透明になった場合、治療する医師にとって、硝子体切除法として知られている方法を実施することが選択肢となる。この切除法では、すべての(または一部の)硝子体を、眼球内から取り出して透明な液体で置き換える。この硝子体切除法を実施するのは、外科医が、必要な網膜検査および/または硝子体出血および付随する網膜の断裂または剥離の外科的修復を行うことができるようにすることを目的としている。そのような硝子体切除術は、高度に技倆集約的であり、いくつかの重大な欠点、危険および合併症に係わる。これらの欠点、危険および合併症には、硝子体を除く行為がさらに網膜の断裂または剥離を起こす可能性および/または硝子体のそのような除去が既に弱っている網膜の血管からさらに出血を起こす可能性がある。
ヒアルロニダーゼなどの酵素の従来の眼科での用途
硝子体切除術の実施中に、網膜のさらなる断裂または剥離を起こす可能性を最小限にするため、硝子体に、プロテアーゼを含有しないある種のグリコサミノグリカナーゼ酵素類を注射して、硝子体を除去する前に、硝子体を網膜からアンカップル(uncouple)または「ディスインサート(disinsert)」させることが、米国特許第5,292,509号(Hageman)にすでに提案されている。硝子体のこのようなディスインサーションまたはアンカップリングは、硝子体を除去する際に網膜のさらなる断裂または剥離が起こる可能性を最小限にすることを目的としている。この硝子体ディスインサーションを意図的に達成するため使用できる、プロテアーゼを含有しない具体的なグリコサミノグリカナーゼ酵素類の例としては、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、コンドロイチン4−スルファターゼ、コンドロイチン6−スルファターゼ、ヒアルロニダーゼおよびβ−グルクロニダーゼがある。
ヒアルロニダーゼ酵素は、米国特許第5,292,509号(Hageman)に記載されている硝子体切除法に付随する用途を含む各種の眼科の用途に使用できることは知られているが、以前に発表された研究結果は、ヒアルロニダーゼが1IUを超える投与量すなわち15、30、50および150IUで硝子体内に投与すると眼球の網膜および/または他の解剖学的構造体に対して毒性であることを示している。「The Safety of Intravitreal Hyaluronidase」;Gottlieb, J.L., Antoszyk,K.N., Hatchell,D.L.およびSoloupis,P., Invest Ophthalmol Vis Sci 31:11巻2345〜2352頁(1990年)を参照。
いくつかのヒアルロニダーゼ製剤が眼に対し毒性であることは、他の研究者らが確認しており、彼らは、そのようなヒアルロニダーゼ製剤を、動物の毒性モデルの眼球に血管新生を実験的に誘発する毒性刺激薬として使用することを提案している。「An Experimental Model of Preretinal Neovascularization in the Rabbit」,Antoszyk,A.N., Gottlieb,J.L., Casey,R.C., Hatchell,D.L.およびMachemer,R., Invest Ophthalmol Vis Sci,32:1巻46〜51頁(1991年)を参照。
ヒアルロニダーゼの報告された活性と毒性が全てのヒアルロニダーゼ製剤に、普く当てはまるのかどうか、またはかような効能および/または毒性は、特定の医薬品添加物を含有するヒアルロニダーゼ製剤にだけもしくは特定の起源由来のヒアルロニダーゼ酵素だけに当てはまるのかどうかは、あいにくまだ知られていない。このことは、従来技術に用いられている各種ヒアルロニダーゼ製剤の純度と特性評価(例えば、分子量分布)が、そのヒアルロニダーゼの起源およびそのヒアルロニダーゼと組み合わされている溶剤および/または他の配合成分によって変化するという事実から見て重要な事柄である。
眼に投与するのに従来使用されているヒアルロニダーゼ製剤の純度と特性評価
用語「ヒアルロニダーゼ」は、特定のムコ多糖類、例えば、ヒアルロン酸を解重合する一群のエンド−β−グルクロニダーゼ酵素類を述べるのに通常、用いられている。Meyer,K.他、「The Enzymes」、4巻第2版447頁、Academic Press, Inc.、米国ニューヨーク(1960年)。
ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸のエンド−N−アセチルヘキソサミン結合の加水分解を起こし、およびコンドロイチン硫酸AおよびCを加水分解して、主として四糖の残基とする。
有意な証拠が、異なる起源由来のヒアルロニダーゼ酵素は、酵素の分子量分布と固有の酵素活性(specific enzymatic activity)が異なっていることを示している。分子量分布と固有の酵素活性がこのように変動しうることは、ヒアルロニダーゼ酵素類が、ウシの精巣、ヒツジの精巣、ストレプトマイセス属などの特定の細菌およびヒルなどの特定の無脊髄動物を含む各種の起源から単離できるという事実からみて注目すべきことである。
Wydase(登録商標)ヒアルロニダーゼ製剤が、緑内障の治療および硝子体を眼球から取り出す硝子体切除法を実施中の硝子体の液化の促進を含む各種の臨床および実験の用途のため、哺乳類の眼球に以前から投与されてきていると報告されている。
いくつかのヒアルロニダーゼ製剤が、眼球に注射されるかまたは局所投与されると望ましい治療作用を示すと報告されているが、ヒアルロニダーゼおよび/または保存剤のチメロサールの毒性の可能性が、そのような製剤を眼内注射によって日常的に臨床投与することの安全性に関する懸念の原因になっている。
したがって、最適の治療作用をもたらすのに十分であるが、眼に対する毒性を生じない投与レベルで眼球に投与できる新しいヒアルロニダーゼ製剤の配合と開発に対する要望が当該技術分野にある。
そのうえ、硝子体から出血血液が自然に消失することの遅いことに関連する上記問題点から見て、硝子体を除去する(すなわち、全硝子体切除法または部分的硝子体切除法)必要なしに、網膜を含む眼球の後方側面を硝子体越しに目視できるようにするため、眼球の硝子体からの出血血液の消失を加速する新しい方法と手順を解明し開発する要望が、当該技術分野にある。
そのうえ、網膜の損傷または異常が原因で血管が新生する、または血液−網膜関門が損傷する、哺乳類の眼球の各種疾患の予防と治療に対する要望がある。
発明の概要
哺乳類の眼球の眼科疾患を治療する酵素による方法を提供する。血管新生の予防および網膜に対して毒性の物質が硝子体から消失する速度の増大は、眼球の毒による損傷を起こすことなく、治療される眼球の硝子体液を液化するのに有効な量のヒアルロニダーゼを投与することによって達成される。硝子体液の液化によって硝子体腔からの液体の交換速度が増大する。交換速度がこのように増大すると、存在することにより眼科のおよび網膜の損傷を起こす物質と状態を取り除く。
硝子体液の液化を誘発して哺乳類の眼球の疾患を予防する方法であって、哺乳類の眼球の硝子体液を、硝子体液を液化するのに有効な量のヒアルロニダーゼと接触させるステップを含んでなり、哺乳類の眼球に毒性による損傷を起こすことなく、該疾患を予防する方法を提供する。
上記方法は、増殖性糖尿病網膜症、加齢が関連する黄斑変性、弱視、色素性網膜炎、黄斑孔もしくは黄斑滲出または嚢胞黄斑水腫を治療することを目的として実施することが好ましい。ヒアルロニダーゼ酵素は、液体液剤の形態であってもよく、そして、該酵素を硝子体液中に接触させるステップは、前記液体液剤を硝子体液中に注射することからなる方法である。該ヒアルロニダーゼは、チメロサールなしで、硝子体に接触させる。
一実施態様では、ヒアルロニダーゼは、5〜200国際単位の投与量で、硝子体液と接触させる。別の実施態様では、1国際単位の投与量で、硝子体液と接触させる。前記ヒアルロニダーゼは複数回投与で投与してもよく、そして単回の硝子体内注射剤は、100:1より小さい注射剤容積(injectate volume)であってもよい。
別の実施態様で、前記ヒアルロニダーゼは、10%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき分子量が約100,000より大きいヒアルロン酸を溶解する活性を欠いている。また、前記ヒアルロニダーゼは、10%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき、分子量が約60,000〜100,000のゼラチンを分解する活性を欠いている。さらに、前記ヒアルロニダーゼは、10%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき分子量が約45,000より大きいカゼインを分解する活性を欠いている。さらに、前記ヒアルロニダーゼは、4〜20%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき分子量が約100,000より大きいヒアルロニダーゼ体(hyaluronidase matter)を欠いている。そのうえ、前記ヒアルロニダーゼは、4〜20%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき、分子量が約50,000〜60,000のヒアルロニダーゼ体を欠いている。さらに、前記ヒアルロニダーゼは、4〜20%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき、分子量が約20,000より小さいヒアルロニダーゼ体を欠いている。
他の実施態様で、ヒアルロニダーゼは、チメロサールを含有せず、かつ8000IUまでのヒアルロニダーゼを含有し、ラクトースが5.0〜130.0mgで、リン酸塩を0.01〜100.0mmol含有する配合の注射用液剤として調製される。さらに他の実施態様でヒアルロニダーゼは、チメロサールを含有せず、かつ6500IUまでのヒアルロニダーゼ、5.0mgのラクトースおよび0.02mmolのリン酸塩を含有する配合の注射用液剤として調製される。さらに、他の実施態様で、ヒアルロニダーゼは、チメロサールを含有せず、かつヒアルロニダーゼを500〜1000IU、ラクトースを5.0〜10.0mg、そしてリン酸塩を0.01〜10.0mmol含有する配合の注射用液剤として調製される。
この発明の他の実施態様では、哺乳類の眼球の疾患を治療する方法は、前記哺乳類の眼球の硝子体液を、前記哺乳類の眼球に毒性による損傷を起こすことなく前記疾患を治療するのに有効な量のヒアルロニダーゼに接触させるステップを含んでいる。その結果、硝子体液は出血血液を含有せず、前記哺乳類の眼球の網膜を目視できる。その上に、前記接触ステップは、硝子体切除法を行わずに実施できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、1)分子量31,000〜200,000の分子量標準、2)ヒツジのヒアルロニダーゼACS、3)ウシのヒアルロニダーゼVI−S型、4)ヒツジのヒアルロニダーゼV型、5)ウシのヒアルロニダーゼIV−S型、および6)ウシのヒアルロニダーゼI−S型を示すレーン1〜6を有する電気泳動法ゲルを示す。
図2は、この発明のヒアルロニダーゼACSのヒアルロン酸分解活性、ゼラチン分解活性およびカゼイン分解活性を、ウシヒアルロニダーゼのVI−S型、IV−S型およびI−S型ならびにヒツジヒアルロニダーゼV型と比較して、ザイモグラフィーで測定した結果をまとめた表である。
図3は、BSS、BSS+チメロサール、ヒアルロニダーゼACSおよびヒアルロニダーゼWydaseを、下記実施例1にしたがって、ウサギの硝子体内に単回注射投与したときの毒性作用をまとめた表である。
図4は、下記実施例2にしたがって、ウサギの硝子体内にヒアルロニダーゼACSを単回投与したときの効力をまとめた表である。
図5は、下記実施例2にしたがって、ウサギの硝子体内にヒアルロニダーゼACSを複数回投与したときの安全性と効力をまとめた表である。
図6は、下記実施例9にしたがって、糖尿病網膜症のヒト患者にヒアルロニダーゼACSを単回投与したときの出血消失の効力をまとめた表である。
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明と添付した実施例は、この発明の特定の好ましい実施態様を記載し説明することだけを目的とするものであり、いかなるようにも、この発明の範囲を限定する意図のものではない。
眼球の硝子体からの出血血液の消失を加速する酵素的方法
この発明に従って、出願人は、特定のタイプの酵素類を内部に出血がある硝子体液に接触させたとき、出血血液が硝子体液から消失する速度が加速されることを確認した。
このことについて、出願人は、出血血液の眼球の硝子体からの消失を加速する方法を案出した。そして、その方法は、概して、眼球の網膜または他の組織に損傷を起こすことなく、出血血液の硝子体からの消失を加速するのに十分な投与量のヒアルロニダーゼを硝子体液と接触させるステップを含んでいる。眼球の網膜または他の組織に毒性による損傷を起こすことなく、チメロサールなしで、1IUより多く、好ましくは15IUより多く、そして有利には75IUより多い投与量で硝子体内に投与できるように、ヒアルロニダーゼの分子量分布を選択することが好ましい。この発明のこのような出血消失方法は、硝子体切除術などの外科操作または硝子体液の除去を行わずに実施できるので、そのような硝子体切除術に関連して起こりうる危険と合併症が回避される。
出血を消失させるこれらの酵素類の好ましい投与経路は、硝子体中に直接眼内注射することによる経路である。しかし、代わりに、この発明の出血消失酵素は、それら酵素を所望の出血消失作用を起こさせるのに十分に硝子体に分布させる他の適切な投与経路(例えば局所経路)で投与できる。
好ましい注射用液剤は、1IUより多く、好ましくは15IUより多く、そして有利には75IUより多い投与量で硝子体中に投与できる分子量分布を有するヒアルロニダーゼを含有するものであり、それは眼球に対して毒性による損傷を起こさず、その液剤を実質的に等張にする不活性成分を一緒に含んでおり、そして眼球に注射するのに適したpHのものである。この好ましいヒアルロニダーゼ製剤は、好ましくはチメロサールを含有していない。そのような注射用液剤は、最初凍結乾燥させて乾燥状態にし、使用する前に再構成されてもよい。
眼に投与する好ましいヒアルロニダーゼ製剤
この発明のチメロサールなしの注射用ヒアルロニダーゼ製剤の一般的な配合を下記表に示す。
Figure 0004256941
これらの配合成分は、最初、滅菌水に溶解し、滅菌濾過を行い、続いて凍結乾燥して乾燥組成物にする。その凍結乾燥された組成物を容器に入れ、次に、使用する前に滅菌等張食塩水または緩衝塩類溶液などの適切な溶媒で再構成する。そのような緩衝塩類溶液は、典型的には、0.64%の塩化ナトリウム、0.075%の塩化カリウム、0.048%の塩化カルシウム脱水物、0.03%の塩化マグネシウム六水和物、0.39%の酢酸ナトリウム三水和物、0.17%のクエン酸ナトリウム二水和物、pHを調節するための水素化ナトリウム/塩酸、および液剤を注射用の最終容積にするのに必要な多量の水(q.s.)を含有している。
この明細書で用いる用語「ヒアルロニダーゼACS」は、チメロサールを含有せず、かつヒアルロニダーゼの分子量が100,000より大きい画分、50,000〜60,000の画分および20,000より小さい画分を欠いている硝子体内注射用の好ましいヒアルロニダーゼ溶液を意味する。そのようなヒアルロニダーゼの一つは、米国 92039−2087 カリフォルニア州 ラホーヤ私書箱12087のCalbiochem Biochemicalsから市販されている(米国カリフォルニア州サンディエゴ所在のBiozymeが製造)。出願人らは、この特定の分子量分布を有するヒアルロニダーゼACSが、他のヒアルロニダーゼ製剤より眼に対する毒性が小さく、しかもいくつもの眼科の用途で望ましい治療効力を示すことを確認した。
図1は、好ましいヒアルロニダーゼACSの分子量分布を、米国63178 ミズーリ州 セントルイス 私書箱14508のSIGMA Chemical Companyから入手したウシのVI−S型、IV−S型およびI−S型のヒアルロニダーゼとヒツジのV型ヒアルロニダーゼの分子量分布と比較して、電気泳動法ゲル(4〜20%勾配SDS−PAGE)を示す。各酵素の標定量(すなわち、ヒアルロニダーゼ活性の当量単位)を、図1に示す電気泳動法ゲルの各レーン(レーン2〜6)に負荷した。図1に示す電気泳動法ゲルのレーン1は、200,000、116,000、97,400、66,000、45,000および31,000それぞれの分子量マーカーを含有している。図1に示す電気泳動法ゲルのレーン2〜6には、それぞれ下記の被検ヒアルロニダーゼ製剤が入っている。
Figure 0004256941
レーン2は、ヒアルロニダーゼACSの分子量分布が97,400、50,000(約)および45,000(約)の分子量画分を含有しているが、100,000より大きい分子量画分、50,000〜60,000の分子量画分および20,000より小さい分子量画分を明らかに欠いていることを示している。
図1の電気泳動法ゲルのレーン3、4、5および6は、試験されたウシ精巣ヒアルロニダーゼのVI−S型、IV−S型およびI−S型とヒツジ精巣ヒアルロニダーゼのV型がすべて50,000〜60,000のおよび20,000より小さい分子量画分を含有している点で、この発明のヒアルロニダーゼACSと異なっていることを示している。また、試験された4種の精巣ヒアルロニダーゼのうち3種(すなわち、VI−S型、IV−S型およびI−S型)が、100,000より大きいヒアルロニダーゼの分子量画分を含有している。
さらに、ザイモグラムを実施して、ヒアルロン酸、ゼラチンおよびカゼインに対する、上記ヒアルロニダーゼACSとVI−S型、V型、IV−S型およびI−S型のヒアルロニダーゼの標定量(すなわち、ヒアルロニダーゼの活性の当量単位)の相対分解活性を比較した。図2について、これらの各ザイモグラムを実施した具体的方法は、次のとおりである。
ゼラチン分解活性のザイモグラム
ゼラチン−1mg/mlゼラチン、10%ポリアクリルアミド、一夜緩衝=50mMトリスHCl、5mM CaCl2、0.05%Triton X−100 pH7.5、クーマシーブルーで染色、10%酢/150%メタノールで脱色。
カゼイン分解活性のザイモグラム
カゼイン−4mg/ml、15%ポリアクリルアミド、一夜緩衝=50mMトリスHCl、5mM CaCl2、0.05%Triton X−100 pH7.5、クーマシーブルーで染色、10%酢酸/50%メタノールで脱色。
ヒアルロン酸溶解活性のザイモグラム
ヒアルロン酸−2mg/ml、10%ポリアクリルアミド、一夜緩衝=リン酸塩緩衝食塩水、pH7.4、0.5%アルシアンブルー含有3%酢酸で染色、10%酢酸/50%メタノールで脱色。
ヒアルロン酸、ゼラチンおよびカゼインのこれらザイモグラムの試験結果を、図2の表にまとめてある。特に、この発明の好ましいヒアルロニダーゼACSは、10%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき、ヒアルロン酸を溶解する約100,000より大きい分子量画分を欠いているが、一方、試験された各精巣ヒアルロニダーゼ類(すなわち、VI−S型、V型、IV−S型およびI−S型)は、各々ヒアルロン酸を溶解する100,000より大きい分子量画分を有していた。
同様に、この発明のヒアルロニダーゼACSは、ゼラチンを分解する約60,000〜100,000の分子量画分を欠いているが、試験された精巣ヒアルロニダーゼ類は、10%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき、各々ゼラチンを分解する約60,000〜100,000の分子量画分を有していた。
また、この発明のヒアルロニダーゼACSは、カゼインを分解する約45,000より大きい分子量画分を含有していないが、試験された各精巣ヒアルロニダーゼ(すなわち、VI−S型、V型、IV−S型およびI−S型)は、10%SDS PAGE電気泳動法で測定したとき、各々カゼインを分解する約45,000より大きい分子量画分を有していた。
この発明の好ましいヒアルロニダーゼACSが有する特定の分子量分布と固有の酵素活性および/またはその配合からチメロサールを除いたことによって、他のヒアルロニダーゼ類の製剤が毒性作用を生じる投与レベルで投与したとき、眼球に対し非毒性であるヒアルロニダーゼ製剤が提供される。
下記諸実施例で使用する場合、好ましいヒアルロニダーゼACSは、下記のおよび表1に示す方法および一般配合によってチメロサールなしの配合で調製される。さらに、具体的に述べると、以下の諸実施例で使用されるヒアルロニダーゼACSは、下記表2に示す特定の配合で調製される。
Figure 0004256941
これに替わる、単位投与の用途に利用できる他の特定の配合を下記の表3に示す。
Figure 0004256941
さらに、別の特定の配合で、ヒナルロニダーゼACSが凍結乾燥された形態で供給され、そしてその成分を下記の表4に示す。
Figure 0004256941
75IU投与量の場合の希釈剤の量と注射容積を上表に例挙してある。希釈剤の量を変えて投与量を変えることができる。
さらに別の特定の配合では、液体形態のヒアルロニダーゼACSが供給され、下記表5に示してある。
Figure 0004256941
すべての成分は、同じ注射容積でより低い投与量を達成するために、比例して減らすことができる。また、ラクトースの量は1/2または1/4に減らすことができる。
Figure 0004256941
以下の諸実施例で説明するように、表2(上記)に記載のヒアルロニダーゼACSの特定の配合Aは、眼球または関連する解剖学的構造体に対し有意な毒性を生じることなく、必ずしも限定されないが、この発明の硝子体の出血消失作用を含む望ましい治療作用を生じる投与レベルで、後眼房に直接注射することができる。替わりに、ヒアルロニダーゼACSの特定の配合BまたはCも上記のように注射できる。さらに替わりとして、この発明の方法に、表6に記載のヒアルロニダーゼACSの特定の配合Dを使用することができる。
チメロサール、ヒアルロニダーゼACSおよびヒアルロニダーゼ(Wydase(登録商標))のウサギの眼に対する毒性
実施例1
体重が1.5kg〜2.5kgのニュージーランド交雑変種の52頭の健康なウサギ(雄26頭、雌26頭)を、識別するため個々に印を付けて、吊り下げたかごの中に個々に収容した。これらの動物には、任意に利用可能な水道水とともに毎日ペースで市販のウサギ用ペレット飼料を与えた。
これらの動物を、各々4頭ずつ(雄2頭、雌2頭)の13のグループに分割した。各グループの2頭の動物(雄1頭、雌1頭)を選択して、前処置眼底撮影(pretreatment fundus photography)とフルオレセイン血管造影撮影を行った。
眼底撮影は、動物を拘束し次に視神経、網膜と眼底とのアーケード(retinal arcades with fundus)を目視可能にしてKodak Gold 200ASAフィルムを装填したKOWA(登録商標)RC−3眼底カメラで実施した。
フルオレセイン血管造影撮影は、周縁の耳静脈を通じて2%の滅菌フルオレセイン溶液1.5mlを注射して行った。注射してから約30秒後、フルオレセインが目視可能になり、視神経、網膜血管および眼底の位置が明らかになった。
翌日、各動物に、34mg/kgの塩酸ケタミンと5mg/kgのキシラジンの混合物を静脈投与することによって麻酔をかけた。眼瞼検鏡を用いて眼瞼を後退させて、眼球をヨウ素−プロビドン洗浄液で消毒した。
緩衝塩類溶液(BSS)、BSS+チメロサール、ヒアルロニダーゼ(Wydase(登録商標))またはヒアルロニダーゼACSのいずれかの試験治療薬を、30ゲージ0.5インチ長の針を取り付けた1ccのツベルクリン注射器を用いて注射で投与した。この実施例で利用されたヒアルロニダーゼACS液剤は、チメロサールを含有せず、上記表2に記載の特定のヒアルロニダーゼACSの配合で構成されている。
各動物のグループに投与された試験治療薬は、次のとおりであった。
Figure 0004256941
注射を行った日の翌日(第一日)、眼底撮影およびフルオレセイン血管造影撮影を行った26頭の動物を、投与前の検査と同じ方法を用いて観察した。
注射を行った後の第二日に、投与される前と第一日に眼底撮影とフルオレセイン血管造影撮影をなされた13頭の雄のウサギ、およびこれら撮影のために選ばれなかった13頭の雌のウサギを、ペントバルビタールナトリウム主体の薬剤で安楽死しさせた。それらウサギの眼球を外科操作で取り出し、0.1Mリン酸塩緩衝食塩水(Ph7.37)に2.5%のグルタルアルデヒドを溶解して得た固定溶液中に入れた。
別に、一頭の無作為に選んだウサギにペントバルビタールを注射して安楽死させたが、次に左心室にグルタルアルデヒドの溶液を心臓注射することによって固定させて摘出された眼球内の組織学上の知見で固定方法の効果を確認した。
第7日に、すでに眼底撮影とフルオレセイン血管造影撮影がなされた13頭の雌のウサギに対し、さきに述べた方法に従って同じ観察を行った。
残りの26頭の動物は、投与後第7日に上記のようにして安楽死させた。それらの眼球を第2日に固定化を行った際と同じ方式で固定した。また、一頭の無作為に選んだウサギに先に無作為に選択した動物に対し上記のようにして行ったのと同じグルタルアルデヒドの心臓注射による固定法を行った。
この実施例で処置した動物の眼球を処置に関連する毒性の証拠として、肉眼と顕微鏡で検査した。各処置グループの毒性または非毒性の組織学的証拠をまとめた表を図3に示す。
概要すると、BSSで処置した対照グループの眼球は、投与後の第2日と第7日に毒性は認められなかった。
BSS+チメロサール(0.0075mg)で処置された第2グループの動物の眼球は、第2日には毒性が認められなかったが、第7日に血液−網膜関門が破壊された証拠を示した。
BSS+チメロサール(0.025mg)で処置された第3グループの動物は、投与後の第2日と第7日に、強い処置関連毒性作用を示した。
1IUの投与量のWydase(登録商標)で処置した第4グループの動物は、第2日と第7日には毒性を示さなかったが、15IU〜150IUの範囲内の投与量のWydase(登録商標)で処置した第5〜8グループの動物の眼球は、投与後の第2日と第7日に全般的に投与関連毒性作用を示した。
1IU〜150IUの範囲内の投与量のヒアルロニダーゼACSで処置した第9から13の処置グループの動物の眼球は、投与後の第2日と第7日には全般的に毒性作用を示さなかった。しかし、150IUの投与量で処置した動物にいくらかフルオレセインが漏洩しているのが観察された。
したがって、チメロサールおよびチメロサール含有Wydase(登録商標)の配合は、試験された投与量でウサギの眼球に毒性作用を起こすが、ヒアルロニダーゼACSは、試験された投与量でこれら動物に毒性作用を全く起こさなかったと結論された。
第7日に実施した検査の結果を図3にまとめてある。図3に示すように、BSS+チメロサール(0.0075mg)およびヒアルロニダーゼ(Wydase)(1IU〜150IUの全投与量)で処置されたウサギの眼球に有意な毒性作用が第7日に観察された。対照的に、1IU〜150IUの投与量のヒアルロニダーゼACSで処置された動物の眼球には毒性作用が全く観察されなかった。
ウサギの眼球の硝子体内に注射されたヒアルロニダーゼACSの安全性と効力
実施例2
この実施例では、ニュージーランド交雑変種の12頭の健康なウサギに識別のためにマークを付けて、個々に、吊り下げたかごの中に収容した。これらの動物には、任意に利用可能な水道水とともに毎日ペースで市販のウサギ用ペレット飼料を与えた。
これらの動物を、各々3頭ずつの四つの処置グループに無作為に分割した。
最初、各動物の眼球を10%トロピカミド溶液1〜2滴で拡張させて肉眼で検査し、20ジオプトリーのレンズを使用して間接的な検眼鏡検査を行い、次に眼球の前部解剖組織の細隙ランプ検査を行った。
動物の眼球の上記最初の検査に続いて、100:1または10:1の血液を各動物の各眼球の硝子体内に注射した。
第2日に、各処置グループの動物は、下記の処置スケジュールに従って右眼球の硝子体にBSSまたはヒアルロニダーゼACSを一回注射された。
Figure 0004256941
この実験に使用したヒアルロニダーゼACS製剤は、先に述べた表2に示した配合物である。
第3、5、7、14および21日に、各動物の眼球を再び細隙ランプで検査して、角膜、前眼房および虹彩を評価した。さらに、各動物の眼球を10%トロピカミド溶液で拡張させて、その網膜を20ジオプトリーのレンズを用いて間接的検眼鏡検査で検査した。
ヒアルロニダーゼACSの観察された出血消失効力は図4にまとめてある。全般的に、各処置グループの各動物の左眼球(未処置)には、注射された量の血液のために、曇った硝子体といくつかの凝血塊が入っていた。BSSで処置したAグループ(対照)の動物の右眼球にも曇った硝子体といくつかの凝血塊が入っていたが、ヒアルロニダーゼで処置したグループB−Dのすべての動物の右眼球は、透明で、かつ硝子体越しに網膜を目視できる硝子体を有していた。さらに、処置グループB−Dの全ての動物の右眼球の網膜は、正常で、かつ処置に関連した毒性がないようであった。
この実験の結果は、処置された動物の眼球の血液が消失する速度を加速するのに、25、50および75IUの単回投与で硝子体内に投与されたヒアルロニダーゼACSが有効であったこと、ならびに、この試験で投与されたヒアルロニダーゼACSのそのような単回投与によって、この試験で処置したウサギの眼球に観察可能な毒性作用が起こらなかったことを示している。
一変形として、単回投与の代わりに、2週間間隔でヒアルロニダーゼACSを4回連続投与する複数回投与を行ったことを除いて、先に述べたのと同じ実施例を実施した。各投与を行った後の観察結果は同じで、図5にまとめてある。全般的に、各処置グループの各動物の左眼球(未処置)には、注射された量の血液のため、曇った硝子体液といくつかの凝血塊が入っていた。AグループのBSSで処置された(対照)動物の右眼球にも曇った硝子体液といくつかの凝血塊が入っていたが、処置グループB−Dの全ての動物(すなわち、ヒアルロニダーゼACSで処置された動物)の右眼球は、網膜を硝子体越しに目視できる透明な硝子体を有していた。さらに、処置グループB−Dの全ての動物の右眼球の網膜は、ヒアルロニダーゼACSを複数回投与した後でも、正常でありかつ処置関連する毒性がないようであった。
この実験の結果は、ウサギの眼球から血液が消失する速度を加速するのに、25、50および75IU×4の単回投与量を硝子体内に投与されたヒアルロニダーゼACSが有効であったこと、ならびに、ヒアルロニダーゼACSのそのような投与によって、2週間間隔でヒアルロニダーゼACSを4回連続投与した後でさえも、処置されたウサギの眼球に観察可能な毒性作用を起こさなかったことを示している。
ヒトの眼球の硝子体内に注射されたヒアルロニダーゼACSの安全性と効力
実施例3
この試験の主な目的は、ヒツジの精巣組織由来の高純度のヒアルロニダーゼエキスを含有する緩衝塩類溶液を、重篤な眼に対する副作用なしで、視覚が損われている眼球の硝子体内に注射できるかどうかを確認することである。
材料と方法
緩衝塩類溶液(BSS)をプラセボ対照として採用したが、これはAllergan Pharmaceuticals(米国カリフォルニア州アービン)から入手した。このBSSは、0.64%の塩化ナトリウム、0.075%の塩化カリウム、0.048%の塩化カルシウム二水和物、0.03%の塩化マグネシウム六水和物、0.39%の酢酸ナトリウム三水和物、0.17%のクエン酸ナトリウム二水和物、pHを7.1〜7.2に調節するのに十分な量の水酸化ナトリウム/塩酸、および注射用水(合計100%とする)を含有している。BSSまたはヒアルロニダーゼの特定配合物D(表6)の30μlずつを、長さが0.5インチの29ゲージ注射針を取り付けた300μlの微量注射器に充填した。次に、その充填された微量注射器を用いて、前記物質を患者の眼球の硝子体内に注射した。
最初、視覚を損った眼を少なくとも一つもっている8名のヒトの患者を、50IUのヒアルロニダーゼACSを含有するBSSまたはBSSのみ50μl(3:1比)を硝子体内に注射するため無作為に割り当てた。1ヶ月間追跡して50IUの投与量に十分耐えられることを保証した後、第2グループの6名の視覚が損われた患者を試験に登録して、高投与量ヒアルロニダーゼACSのグループ(100IU)またはBSSのみの対照(2:1比)に無作為に割り当てた。
試験製品の安全性を評価するために利用した方法は、試験全体を通じて種々の間隔をおいて実施した。その方法としては、間接的な検眼鏡検査法、眼底撮影法、フルオレセイン血管造影撮影法、網膜電図検査法、眼の外診、細隙ランプ生体顕微鏡検査法、圧平眼圧測定法、厚度測定法およびオートレフラクション法(autorefraction)がある。
ヒアルロニダーゼACSに特に関連する副作用を、賦形剤(BSS)/注射法が原因の副作用と区別するため、上記試験にはプラセボ対照群を共存させた。しかも、視覚が損われら眼球のみを処置した。なぜならば、試験製品は網膜のすぐ近くに注射されるので、危険性がある不都合な応答が視覚をおびやかすことがあるからである。患者を、試験の第一相については番号601で始まり第二相については番号701で始まる、コンピュータによる無作為化法(computer generated randomization scheme)を用いて処置に割り当てた。患者も研究員も、硝子体内に注射されたのがBSSの賦形剤なのかまたはヒアルロニダーゼACS/BSS溶液であるのか、知らなかった。
各患者のベースラインを確認した後、患者に該酵素またはプラセボ対照を注射した。患者は、座り心地のよい椅子に座った姿勢にさせた。一、二滴の局所麻酔薬を処置すべき眼球に局所点滴し、その後、患者に下を見させて、塩酸プロパラカイン眼科溶液剤に漬した滅菌綿棒を角膜の約4〜5mm上方の強膜の領域に10秒間当てがった(上方位置/12:00子午線)。次に、200μlの微量注射器に取り付けた29ゲージの注射針の全長を二番目の麻酔薬を投与した部位に挿入して、試験製品を硝子体中に注射した。
試験結果
まれにしか統計的な有意性は見られなかったが、細隙ランプ生体顕微鏡検査法のデータは、BSSだけの場合と対照的にヒアルロニダーゼACS/BSS製剤で処置された患者のうちのかなり高い割合の患者が前方セグメントに病的変化を示し、そしてその最も特徴的なのは、前眼房内に細胞やフレアが存在していることであることを示唆した。しかし、第6回目(処置してから1ヶ月後)の診察のための訪問以後は、細隙ランプで評価されたどの変数にも、グループ間の差は観察されなかった。
BSSで処置された患者1名と50IUのヒアルロニダーゼACS/BSSを与えられた患者2名の網膜電図検査法/視覚誘発電位で測定した網膜/皮質の応答は、時間が経過するにつれて低下した。しかし、網膜電図検査法のパターンの変化は、常に左右両側性でありかつ高投与量(100IU)のヒアルロニダーゼACS/BSSに割り当てられた患者の処置された眼球または未処置の眼球に起こらなかったし、また、フルオレセイン血管造影撮影試験結果は、処置に関係なくいずれの眼球にも網膜虚血が存在しないことを示した。
間接的な検眼鏡検査法によって、被検患者の眼球内の液化と後部硝子体の剥離(PVD)の発生が明らかになった。その硝子体は、試験製品を注射した後、すぐに高度の運動性および/または液化を示す特徴があった。このことは、ヒアルロニダーゼACSを含有する製剤に対して予想されていた。対照BSSを注射された特定の試験眼球は、液化とPVDを呈したが、それは恐らく処置する前に存在していたのであろう。なぜならば、BSSは酵素活性を全くもっておらずしかもごく小容積(30μl)しか与えられなかったからである。
PVDについて、第1グループの患者の中の、ヒアルロニダーゼACSで処置される6名の患者のうち4名が、細隙ランプ生体顕微鏡検査法によって、PVDがないことが示された(すなわち601、602、604および606)(下記の表6参照)。処置の後、これらの患者は各々PVDの存在を示した。第2グループの患者から得た試験結果は、細隙ランプ生体顕微鏡検査法を用いて硝子体の画像を形成させることが困難であるため、あまり明瞭でなかった。
Figure 0004256941
150IUまでの各種の投与量でウサギの硝子体中にヒアルロニダーゼACSを注射した実施例2の結果が早期の前臨床生物学的試験において有意な組織病理学的な変化をもたらさなかったならば、150IUより低い投与量にヒトが十分に耐えられると予想した。この予想と一致して、この試験で、視覚が損われた眼球内の硝子体中にヒアルロニダーゼACSを投与したとき、症状をほとんど起こさなかった。これらの症状は全て、各試験グループに匹敵する頻度で起こったとき、注射法自体が原因であると考えられ、そして処置に関連する有害な後遺症は比較的軽症でかつ短期間であった。
さらに、ヒアルロニダーゼACSでヒトの眼球を処置すると、後部硝子体の剥離の観察される頻度が増大することが認められた。ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に注射された患者に見られたPVDの増大は、本発明の方法が、硝子体液の液化と剥離を誘発するのに有効であることを示している。したがって、この試験の結果は、ヒアルロニダーゼACSが、重篤なまたは長期間の眼科の合併症を起こすことなくヒトの硝子体中に注射できることを示している。
眼球の硝子体からの出血血液の消失を加速するためのヒアルロニダーゼの使用
以下に記載の実施例4は、ヒアルロニダーゼを硝子体中に使用して、眼球の硝子体からの出血血液の消失を加速する場合を説明する。実施例4において、使用したヒアルロニダーゼは、先に述べて表2に示したチメロサールを含有しないヒアルロニダーゼACSの配合物であった。
実施例4
硝子体内のヒアルロニダーゼによって加速される出血の消失
この実験では、硝子体に出血が見られる6名のヒトの患者(女性5名、男性1名)に50〜200IUの投与量でヒアルロニダーゼACSを硝子体内に単回注射して治療した。
この実験で投与したヒアルロニダーゼACSは、先に述べて表2に示した配合で調製した。
この実験で治療した患者は全て糖尿病網膜症の病歴を有し、継続期間が異なる硝子体出血があることが分かっていた。各患者の硝子体内に存在する血液の量は、標準の眼底検査手段で網膜を目視するのを妨げるのに十分な量であった。
各患者はヒアルロニダーゼACSを硝子体内に単回注射された。投与量は、4名の患者が50IUであり、1名の患者が70IUであり、そして1名の患者が200IUであった。
この実験の観察結果を図6にまとめてある。
この実施例で治療した6名の患者において、出血硝子体は、ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に注射してから6〜16日間以内に、網膜を硝子体越しに目視できるほど十分に透明になった。硝子体のこのような透明化は、ヒアルロニダーゼによる治療なしのこれらの患者に予想されるより有意に速く起こったことが自覚によって確認された。
ウサギに高い投与量のヒアルロニダーゼACSを投与したときに観察されたフルオレセインの漏洩と異なり、このヒトペースの試験では毒性が全く観察されなかったことは注目すべきである。
他の眼科疾患を治療するためのヒアルロニダーゼの使用
出願人らは、特定の眼科疾患を治療する際に、実験投与量で、ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に単回投与する場合の効力を観察した。増殖性糖尿病網膜症、加齢が関連する黄斑変性弱視、色素性網膜炎、黄斑孔、黄斑滲出物および嚢胞黄斑水腫を含む眼球の疾患に冒されていることがすでに診断されていた患者は、ヒアルロニダーゼACSで治療されると、これら疾患の臨床症状の改善を示した。
また、出願人らは、この発明のヒアルロニダーゼACSの配合物が、眼球に対し毒性による損傷を起こすことなく、1IUの投与量でまたは1IUを越える投与量で硝子体に投与できるので、硝子体の液化と、同時に硝子体の網膜および他の組織(例えば、エピレチナルメンブラン(epiretinal membrane)、斑紋)からの脱離または剥離を促進するのに利用できることを確認した。このように硝子体が液化し剥離すると、硝子体の網膜および他の組織に対する物理的な引張り力(pulling force)が減少して、硝子体内の流体が自然の代謝回転速度が加速される。したがって、出願人らのヒアルロニダーゼACSの配合物は、多くの疾患を治療するのに特に適しており(その疾患としては、例えば、増殖性糖尿病網膜症、加齢が関連する黄斑変性弱視、色素性網膜炎、黄斑孔、黄斑滲出物および嚢胞黄斑水腫がある)、そしてこれらの疾患に対して、硝子体の液化/脱離、および毒性または他の有害物質(例えば、脈管形成因子、水腫液など)の後眼房からおよび/または後眼房に隣接する組織(例えば、網膜または黄斑)からの消失の加速は有利に働く。さらに、硝子体が液化すると、血管新生を維持するのに必要なマトリックスが、重合した硝子体の形態で除かれると考えられる。したがって、この発明は、網膜の血管新生の発生を防止または減少させるのに有用である。
さらに、多くの眼科疾患には、原因要素として、血液−網膜の不安定化がある。この不安定化が起こると、脈絡膜毛細血管の各種成分(例えば、血清成分、脂質、タンパク質)が硝子体腔に入って、網膜表面を損傷する。また、この不安定化は、血管新生として知られている硝子体腔への血管の浸潤の前兆である。
したがって、この発明の実施態様は、眼球の血管新生に至る損傷または異常が原因であるかまたは血液−網膜関門に対する損傷に至る哺乳類の眼球の各種疾患の予防と治療に関する。そのような疾患の例としては、限定されないが、増殖性糖尿病網膜症、加齢が関連する黄斑変性弱視、色素性網膜炎、黄斑孔、黄斑滲出物および嚢胞黄斑水腫その他の疾患が挙げられ、それらの臨床症状がこの発明のヒアルロニダーゼACSによる治療に応答するものである。
以下に、前記眼科疾患を改善する前記ヒアルロニダーゼACS製剤を使用する利用例を示す。しかし、この発明は、硝子体の液化を誘発するヒアルロニダーゼACS以外の酵素類も使用するものである。この発明に使用可能な他の酵素類の例としては、他のヒアルロニダーゼACS製剤などの他のグリコサミノグリカナーゼ酵素類の、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、コンドロイチン4−スルファターゼ、コンドロイチン6−スルファターゼおよびβ−グルクロニダーゼがある。コラゲナーゼ類も考えられる。さらに、プロテアーゼ類も考えられる。
ヒアルロニダーゼACS以外の酵素を使用してこの発明の方法を実施したい当業技術者は、この明細書の教示を利用して、適当な酵素とその投与量を選択するであろう。具体的に述べると、酵素−基質の特異性を考察する実施例および非毒性の試験を、別の候補の酵素について実施して、その酵素をこの発明に使用したときのその有効性を確認する。したがって、この明細書に含まれている教示は、硝子体の液化を促進し、しかも網膜などの眼の構造体に損傷を起こさない実質的に非毒性の酵素を確認するのに利用できる。
増殖性糖尿病網膜症(PDR)のヒアルロニダーゼによる治療
糖尿病網膜症は、就業年齢のアメリカ人が失明する主要原因である。網膜症の発生は、疾患状態にある期間とともに増大し、7年間糖尿病にかかっている患者には約50%のレベルで発生し、20年以上糖尿病にかかっている患者では約90%も発生する。約700,000人のアメリカ人がPDRに冒されていると推定されている。
糖尿病にかかっている場合の網膜血管の状態は、特に、慢性高血糖症が原因の微小血管の漏洩と毛細血管の非潅流(nonperfusion)に一部至っている。微小血管の漏洩は、次いで、網膜水腫、脂質の滲出および網膜内出血をもたらす。毛細血管の非潅流は、網膜内の微小血管の異常(IRMA)を起こす。これらの異常は、糖尿病による細動脈変性による血管新生を拒絶された網膜領域を潅流するために形成された動静脈シャントである。
毛細血管非潅流の領域の低酵素網膜から血管内皮成長因子が発現すると、網膜外で血管新生が起こると考えられる。このような血管新生とこれに関連する線維成分は、硝子体の出血または牽引網膜の剥離によって自然には入り組んで複雑になる。血管新生は、フルオレセイン血管造影撮影図で、これらの新しい血管から色素が大量に漏洩することによって容易に見ることができる。というのは、これら新しい血管は、網膜血管系に対して内皮がしっかり接合しないからである。網膜の低酸素領域の軸索形質流動が損われると綿花状白斑が生じる。
増殖性糖尿病網膜症(PDR)は、早い段階では殆ど無症候性であるから、糖尿病患者を慎重に検査して、早期に確認し治療する必要がある。増殖性糖尿病網膜症は、以下の三つのサブグループ、(1)非増殖性網膜症、(2)前増殖性(preproliferative)網膜症、および(3)増殖性網膜症に分類することができる。各分類は、特定の形態上の特徴を有している。非増殖性網膜症の特徴としては、毛細血管の微小血管障害(微小血管の閉塞と透過性の変化、毛細血管の非潅流、網膜毛細血管瘤、基底膜の肥厚および内部微小血管の異常(IRMA));網膜内出血;滲出;および黄斑の変化がある。前増殖性網膜症は、非増殖性網膜症について述べたいずれかの変化または全ての変化で示され、および有意な静脈ビーディング(venous beading)、綿花状滲出、広汎なIRMAおよび広汎な網膜虚血を示す。増殖性網膜症は、網膜外血管新生と線維組織の増殖、硝子体の変化と出血、黄斑の疾患および網膜剥離で示される。
線維血管組織(fibrovascular tissue)の生成は、PDRの特に重大合併症である。というのは、線維血管組織は、硝子体が仲介する網膜損傷をもたらすことが多いからである。その線維血管組織は、後部硝子体膜と密接に接着する網膜前の膜を生成する。これらの接着は、網膜に対し硝子体の牽引力を伝達する動きを有し、網膜剥離を起こす。
硝子体の底部は、通常、隣接する網膜およびマルテギアニ(Martegiani)のリングとして知られている視神経乳頭の外周部にしっかり結合している。マルテギアニのリングと硝子体基底の間の他のすべての部位における硝子体と網膜の結合は、なおさらしっかりした結合ではない。網膜から血管が新生すると、眼底の視神経乳頭または他の場所から硝子体中に広がる血管ストランドが生成するに至る。これらのストランドが収縮すると、部分的なまたは完全な網膜剥離が起こる。
黄斑における網膜剥離は、PDRの重大合併症である。PDRに由来する殆どの網膜剥離は、円孔なしの牽引剥離(tractional detachment)として始まるが、この疾患の後期のある時点で網膜円孔が生成して破裂性になる。この牽引剥離は、硝子体と網膜の異常な接着または線維バンドのその後の収縮と網膜の上昇による硝子体の牽引で起こる。
この発明は、ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に注射することによって前増殖状態および増殖状態のPDRを治療することを目的としている。特別のメカニズムに限定されることなく、硝子体内に注射したヒアルロニダーゼACSの作用は、硝子体の液相のクリアランス(透明性)を高める作用であると考えられる。硝子体内に注射された三重水素水の中央硝子体から脈絡膜への移動速度は、注射されたヒアルロニダーゼACSによって硝子体のヒアルロン酸が解重合した後、有意に増大した。この発明は、例えば、PDRが存在するため硝子体内に漏洩する各種の成長誘発因子などの血清産物のクリアランスを高めるため、硝子体を液化するこの観察結果を利用するものである。この発明のヒアルロニダーゼACSによる治療法は、単独でまたはPDRの他の治療法と組み合わせて実施できると考えられる。
実施例5
増殖性糖尿病網膜症の治療
実施例5では、増殖性糖尿病網膜症を示す糖尿病患者に、ヒアルロニダーゼACSの硝子体内注射を行って、真性糖尿病のこの合併症を治療する。この治療の目的は、網膜外血管新生と線維組織の増殖、硝子体の変化と出血、黄斑の疾患および網膜剥離で示される増殖性糖尿病網膜症の発生を減らすかまたは予防することである。
患者が糖尿病と一旦診断されると、この疾患が見られる個体が、後に高い比率で増殖性糖尿病網膜症(PDR)を発生することを考慮して、眼の監視が増大される。この増大された監視には、静脈ビーディング、IRMAおよび網膜虚血の程度を監視するため、定期的な網膜検査とフルオレセイン血管造影撮影図を含めておかねばならない。
増殖性糖尿病網膜症が増殖段階に到達し始めたときに、ヒアルロニダーゼACSによる治療を始める。この段階は、静脈ビーディングが、二つ以上の四分円に存在し、IRMAが一つ以上の四分円に存在し、および/または毛細血管瘤とドット出血が全四分円に存在している段階であると定義する。一旦これらの指標が認められれば、この発明のヒアルロニダーゼACSによる治療法が開始される。
患者は、眼の健康状態のベースラインを確認するため十分な眼科検査を受けねばならない。その眼科検査には、間接的検眼鏡検査、細隙ランプ生体顕微鏡検査法、周辺網膜検査、眼圧検査、視力(裸眼および最良矯正後の視力)の徴候の検査、眼底の撮影、フルオレセイン血管造影撮影、網膜電図検査およびA−scan測定がある。
予備検査に続いて、ヒアルロニダーゼACSの硝子体内注射を患者の冒されている眼球に行う。両方の眼球が冒されている場合は、別々に治療してもよい。治療される眼球は、上記のヒアルロニダーゼACSの眼科液剤50IUを50:1で硝子体内に注射され、硝子体のヒアルロン酸の解重合を促進して、硝子体を液化させる。
治療の後、患者の眼球を、第1日、第2日、第7日、第15日、第30日及び第60日に検査していく。各検査日に、患者は、硝子体の液化について監視される。さらに患者は、間接的検眼鏡検査を用い、強膜のデプレッション(scleral depression)で、後部硝子体の剥離について監視される。最後に、患者が示すPDRの程度は、定期的な網膜検査とフルオレセイン血管造影撮影によって連続して監視されて、静脈ビーディング、IRMAおよび網膜虚血の程度が監視される。
実施例6
増殖性網膜症の治療
この実施例では、増殖性糖尿病網膜症を示す糖尿病患者を、ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に注射することによって治療する。この治療の目的は、増殖性糖尿病網膜症の程度を低下させ、網膜外血管新生組織を除いた後に該疾患がさらに発現するのを防止し、そして網膜剥離の可能性を小さくすることである。
増殖性糖尿病網膜症を示す患者には、血管新生組織の外科治療とともに、この発明のヒアルロニダーゼACSによる治療を行うことになる。その増殖は、通常、線維組織の成分をごく少量含有する新血管の生成で始まる。その新血管は血管内皮細胞に分化する原始間葉エレメントから生じる。その新しく形成された血管チャネルは、次いで線維形成異常症になり、すなわち、血管芽細胞の芽が線維組織に形質転換される。
その新しい血管は、フルオレセインを漏洩するので、増殖の存在は、血管造影撮影中特に目立つ。その新しい血管と線維組織は、内部制限膜(internal limiting membrane)を突き抜けて、内部制限膜と後部硝子体膜との間の界面で樹枝状になる。その線維血管組織は、後部硝子体膜と密接に接着する前網膜膜を形成する。これらの接着は、硝子体が収縮する後期段階中に、硝子体の牽引力の網膜への伝達に関与しているので、極めて重要である。
PDRの増殖段階は、以下の特徴を三つ以上示す段階と定義する。その特徴とは、新血管、視神経の一円板の直径上または該直径内の新血管、重篤な新血管(severe new vessel)(視神経の円板の1/3の面積の血管新生または視神経の円板の1/2の面積の血管新生または他の場所の円板の1/2の面積の血管新生と定義する)および網膜前もしくは硝子体の出血である。
増殖段階に入っていると一旦診断されたならば、その患者は十分な眼科の検査を受けて眼の健康状態のベースラインを確認することになる。その眼科検査には、間接的検眼鏡検査、細隙ランプ生体顕微鏡検査法、周辺網膜検査、眼圧検査、視力(裸眼および最良矯正後の視力)の徴候の検査、眼底の撮影、フルオレセイン血管造影撮影、網膜電図検査およびA−scan測定がある。
上記予備検査に続いて、患者の冒されている眼球の硝子体内にヒアルロニダーゼACSの注射を行う。両方の眼球が冒されている場合は、別々に治療してもよい。ヒアルロニダーゼACS50IUの液剤を50:1で冒された眼球の硝子体内に注射して、硝子体のヒアルロン酸の解重合を促進し、硝子体を液化させる。硝子体の解重合に加えて、血管が新生した組織も、網膜が続いて損傷を受けるのを最少限にするため、全網膜の光凝固術(panretinal photocoagulation)を用いて直接治療する。
全網膜光凝固術(PRP)は、この発明のヒアルロニダーゼACSによる治療に加えて、PDRの症状が現れている患者を治療するのに利用できる。全網膜光凝固術はレーザーによる光凝固術の一形態である。アルゴングリーン(614nm)、アルゴンブルーグリーン(488nmと514nm)、クリプトンレッド(647nm)、チューナブル色素(tunable dye)、ダイオードおよびキセノンアークのレーザーなどのレーザーが、網膜の手術に現在利用されている。レーザーのエネルギーは大部分が、色素(メラミン、キサントフィルまたはヘモグロビン)を含有する組織に吸引されて隣接する構造体に対し熱作用を起こす。クリプトンレッドレーザーは好ましい治療法である。というのは、クリプトンレッドレーザーは、同じレベルの透過性を生じさせるのにより多くのエネルギーを必要とするアルゴンレーザーより核性硬化白内障と硝子体出血を良好に透過できるからである。
レーザーによる網膜手術中に使用されるパラメーターは、光凝固法の目的によって変えることができる。低い電力設定で、治療時間を長くして、スポットサイズを大きくすると、レーザーは小血管に対して凝固作用を有している。焦点レーザーによる光凝固法は、微小血管瘤の漏洩を停止させるため糖尿病に使用される。レーザースポットを微小血管瘤上に直接配置して、微小血管瘤をわずかに白色化させて閉鎖させる。レーザーは、網膜の水腫状領域上にグリッドとして加えると、微小血管の漏洩を減らすことができる。もっと高いエネルギーレベルにすると、レーザーで組織を切除することができる。網膜組織を破壊して眼球の虚血組織の大きさを小さくする全網膜光凝固術が有効であると考えられる。合流レーザーポット(confluent laser spot)を、新生血管膜に使用して異常血管を除去することができる。
この発明は、特定の治療順序を必要としないと解すべきである。一実施態様では、患者は最初にヒアルロニダーゼACSで治療され次いでレーザーで治療される。他の実施態様では、患者は最初レーザーによる治療を受け、続いてこの発明のヒアルロニダーゼACSによる治療を受ける。
治療を受けた後、患者の眼球を、第1日、第2日、第7日、第15日、第30日及び第60日に検査していく。各検査日に、患者は、硝子体の液化について検査される。さらに、患者は、間接的検眼鏡検査を用い、強膜デプレッションによって、後部硝子体の剥離について検査される。最後に、患者が示すPDRの程度を、定期的な網膜検査とフルオレセイン血管造影撮影で連続的に監視して、静脈ビーディング、IRMA、網膜虚血、血管新生および硝子体出血を監視する。硝子体に新しい重合(neopolymerization)または不完全な解重合の徴候があれば、患者に上記の治療を再度行うことになろう。
加齢が関連する黄斑変性のヒアルロニダーゼによる治療
この発明は、加齢が関連する黄斑変性(AMD)を治療するのにも利用できる。加齢が関連する黄斑変性は、視覚が徐々にそしてしばしば両側的に低下する疾患である。これは、成人の法的盲の最も普通の原因である。この疾患は、恐らく脈絡膜毛細血管または輸入網膜血管の老化および血管疾患が原因であろう。AMDには、基本的に二つの形態学的タイプ:「乾燥」と「湿潤」のタイプがある。
AMDの基本的な異常は、ブルーフ膜と網膜色素上皮(RPE)のレベルの退行的変化の発生である。そのような変化の特徴的な病変は、ドルーゼ(druse)である。臨床では、ドルーゼン(drusen)(ドルーゼの複数形)が、RPEのレベルに小さい黄白色の沈積物として出現する。ドルーゼンは、硬、軟または基底板ドルーゼンに分類される。
この発明は、湿潤型および乾燥型のAMDの治療と予防の両方を目的としている。湿潤型の疾患の場合、症状は脈絡毛細血管に現れると考えられる。この脈絡毛細血管は、眼球(globe)に血管を新生させる働きをする脈絡膜の要素である。脈絡膜毛細血管は、網膜の色素上皮と外層に大部分の栄養を供給する豊富な毛細血管のネットワークで構成されている。脈絡毛細血管が損傷すると、結局黄斑変性の原因である、血管新生の合併症になると考えられる。
乾燥型では、非円板状の黄斑変性が、基礎脈絡毛細血管の部分的または全体的閉塞から起こる。検眼鏡検査によって、網膜の色素上皮の変性と孔の形成が観察されるかも知れない。また、カルシウムキレート類またはプロチネサス(protinaesous)などの物質の色素上皮への沈積が観察されるかも知れない。乾燥型AMDでは、一般に、網膜の二次変化が徐々に起こり、視力が徐々に失われる。しかし、いくらかの割合の患者は、視覚が著しく失われる。
この発明は、硝子体を液化することによって、乾燥型のAMDを治療し、かつ黄斑変性を予防するのに利用するものである。硝子体の液化によって、後に黄斑変性を起こす沈積物質が、網膜から消失する速度が増大すると考えられる。
湿潤型AMDは、脈絡毛細血管の不全から起こることが最も多く、その後色素上皮下に血管が新生するに至る。その血管新生も、網膜の血管新生が、眼胞損傷の結果、不適当な酸素化に適応することによって起こることと考えられる。また、その血管新生は、色素上皮および感覚網膜の剥離などのいくつもの他の疾患も起こしうる。この疾患は、典型的に、60歳以降に通常発症し、両性に等しく現れ、そして疾患を呈する患者に両側的に現れる。
加齢関連黄斑変性の最も重要な合併症は、恐らく新しい血管が成長する、眼球のブルーフ膜に欠陥が発生することであろう。このように上皮に欠陥が新生すると、網膜の中と下側に滲出性沈積物が生成する可能性がある。また、この血管新生によって、硝子体中に出血をもたらして、網膜の杆体と錐体が変性するに至り、および嚢胞黄斑水腫が生成することがある(以下に考察する)。黄斑孔が生成して、回復不能の視覚損失に至ることがある。
AMDの患者の10%だけが冒されるが、AMDの合併症の血管新生は、重篤な視覚損失の圧倒的多数の症例の原因になっている。危険因子としては、加齢、ソフトドルーゼン(soft drusen)、非地図状萎縮症(nongeographic atrophy)、家族歴、遠視および網膜色素上皮の剥離がある。AMDにおける脈絡膜血管新生の症状としては、変形視症、傍中心暗点または低下した中心視覚がある。検眼鏡検査による所見としては、網膜下液、血液、滲出物、RPE剥離、嚢胞網膜(cystic retinal)の変化、または灰緑色の血管新生網膜下膜の存在がある。フルオレセイン血管造影撮影法は、有効な診断法であることが多い。この診断法を実施している間、病巣の境界のぶれとして見える網膜下腔中の色素の漸増プーリング、または未確認起源からの漏洩は、この疾患の指標である。フルオレセイン血管造影撮影法で明確に示される血管新生脈絡膜の他の要素としては、エレベイテッドブロックトフルオレッセンス(elevated blocked fluorescence)、フラットブロックトフルオレッセンス(flat blocked fluorescence)、血液および円板状瘢痕がある。
血管新生AMDについての今日の理解は、古典的な脈絡膜の血管新生が、急速な視覚劣化と最も強く関連している病変の要素であることを示唆している。したがって、AMDの治療には、その病変の全ての血管新生と線維血管の要素を含めなければならない。現在、古典的な血管新生が明確に境界を定めている境界線を有している場合しか治療法が提示されておらず、光凝固法が有益であることが分かっている。
窩外(extrafoveal)脈絡膜血管新生(窩中心から200マイクロメートル以上)がある眼球に、アルゴンレーザー光凝固法を行ったところ、重篤な視覚損失($6ライン)の5年後の時点の発生が64%から46%まで減少した。通常、治療後の第1年以内に、レーザーで治療した眼球の1/2に血管新生が再発した。再発した血管新生には、常に重篤な視覚損失が付随して発生した。窩の近くの(窩の中心から1〜199マイクロメートル)脈絡膜に新生血管を有する眼球に、クリプトンレーザーによって光凝固法を行ったところ、重篤な視覚損失の1年後の時点の発生が45%から31%に減少したが、5年後の時点では、未治療グループと治療グループとの差は余り目立たなかった。
レーザーによる治療は、依然として、AMDに対する不可欠の治療法であるが、この発明は、血管新生の再発を減少させることによってその方法の利用を増大させるであろう。
実施例7
加齢関連黄斑変性の治療
この実施例では、加齢関連黄斑変性が見られる患者を、ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に注射することによって治療する。この治療の目的は、血管新生、黄斑の疾患および網膜の損傷を減少させまたは予防することである。
患者が60歳に到達したならば、AMDの存在を検出するために眼科の監視を増加させる。この増やした監視には、定期的な網膜検査とフルオレセイン血管造影検査を含めて、網膜下液、血液、滲出物、RPEの剥離、嚢胞網膜の変化、または灰緑色の網膜下血管新生膜の存在を監視しなければならない。
AMDが診断された場合、ヒアルロニダーゼACSによる治療方式が、光凝固法法などの他の治療法と組み合わせるかまたは組み合わせることなしに開始される。治療の第一ステップとして、患者は十分な眼科検査を受けて、眼の健康状態のベースラインを確認することになる。その眼科検査としては、間接的検眼鏡検査,細隙ランプ生体顕微鏡検査法、周辺の網膜の検査、眼圧測定、視力(裸眼および最良矯正)の徴候の検査、眼底の撮影、フルオレセイン血管造影撮影、網膜電図検査およびA−scan測定がある。
前記予備検査に続いて、患者のAMDを示す冒された眼球の硝子体内にヒアルロニダーゼACSを注射する。両方の眼球が冒されている場合は、別々に治療してもよい。治療すべき眼球の硝子体内に、50IUのヒアルロニダーゼACSの眼科液剤を50:1で注射して(前記のように)、硝子体のヒアルロン酸の解重合を促進して硝子体を液化させる。
ヒアルロニダーゼACSを注射した眼球は、レーザーによる光凝固法の治療を必要とすることがある。AMDを治療する場合、実施例5と6に記載のレーザー治療のプロトコルに従って実施しなければならない。別の実施態様では、光凝固法の治療を、この発明の酵素による治療の前に行う。
治療後、患者の眼球は、第1日、第2日、第7日、第15日、第30日及び第60日に検査していく。再発を起こす可能性があるので、その後、患者は、1ヶ月ごとに戻って定期検査を受けなければならない。各検査日に、患者は、硝子体の液化について検査される。そのうえに、患者は、間接的検眼鏡検査を利用し、強膜デプレッションによっで、後部硝子体の剥離について監視される。最後に、患者にみられるAMDの程度を、網膜の定期的検査とフルオレセイン血管造影撮影で連続的に監視して、網膜下液、血液、滲出物、RPEの剥離、嚢胞網膜の変化、または灰緑色の網膜下血管新生膜の存在を監視する。血管新生が再発する徴候が観察されたならば、ヒアルロニダーゼACSおよび/またはレーザーによる治療を追加する必要がある。
以下の実施例は、光凝固法を使用しない場合でも、この発明が有する効力を示す。
実施例8
硝子体内にヒアルロニダーゼを注射することによる黄斑変性の症状の改善
加齢関連黄斑変性の病歴を有し、右眼の未矯正視力が20:400である79歳を越える男性の人が提供された。この患者の右眼の硝子体内に100IUのヒアルロニダーゼACSを単回注射して投与した。右眼は、未処置のままであった。
その患者は、投与後、繰り返し検査され、その左眼(未治療)の視力は変化しないままであったが、右眼(治療後)の視力は下記のように改善されるのが観察された。
Figure 0004256941
この実験では、ヒアルロニダーゼACSの副作用が全く観察されなかった。
弱視のヒアルロニダーゼによる治療
用語「弱視(amblyopia)」は、ギリシャ語が語源の用語であって、曇った視力を意味する(amblys=dull、ops=eye)。劣った視力は、脳の視覚野の異常な発育が原因であり、その異常発育は、早期の視覚発育中の異常な視覚刺激が原因である。弱視に関連する病状は、眼球において固有なものではなくて、むしろ、外側膝状核(lateral geniculate nucleus)と線状皮質を含む脳の視覚野内に位置している。この発育異常は、以下の三つのメカニズム:(1)パターンひずみと呼称される不鮮明な網膜画像、(2)皮質の抑圧、または(3)皮質の抑圧+パターンのひずみによって起こる。この発明は、媒体の混濁によって起こるパターンのひずみに関する。さらに具体的に述べると、この発明は、硝子体の混濁の問題を解決する。
弱視は、通常、視力の少なくとも二つのスネレンライン(snellen line)の差と定義される。弱視を治療するのに重要なことは、早期発見と早期介入である。硝子体の混濁によって起こる弱視の治療戦略は、硝子体の混濁度を明確な視力が得られるように変化させることによって、明確な網膜画像を得ることである。
この実施例では、硝子体の混濁によって起こる弱視を示す患者を、その硝子体内にヒアルロニダーゼACSを注射することによって治療した。この治療の目的は、硝子体内の液体の変換速度を増大することによって、硝子体の混濁度を低下させることである。
実施例9
ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に投与する治療による弱視の症状の改善
40歳の女性のヒトであって、弱視の病歴を有し、右眼の未矯正視力が20:400でかつ右眼の矯正後の視力が20:200である患者が提供された。この患者の右眼球の硝子体内に100IUのヒアルロニゼーダACSを単回注射して投与した。左眼は、未治療のままであった。
患者は、投与後、繰返し検査され、そして左眼(未治療)の視力は変らなかったが、右眼(治療後)の視力は下記のように改善された。
Figure 0004256941
この患者に、ヒアルロニダーゼACSの副作用は全く認められなかった。
色素性網膜炎のヒアルロニダーゼによる治療
色素性網膜炎(RP)は、両側性夜盲症の視野狭窄および網膜電図の異常を特徴とする進行性の網膜変性の一群の遺伝性障害に与えられた名称である。初期の症状には、暗順応が困難であることおよび中央周辺の視野の損失が含まれる。この疾患が進行するにつれて、視野の損失が、典型的に小さい中心視野を残して、結局、中心視覚さえも冒されるまで、進行する。中心視力も、疾患の早期過程で、嚢胞黄斑水腫、黄斑萎縮または後部嚢下白内障の発生に冒される。RPは、各種の群の疾患を示し、それらの共通の特徴は、光を変換するのに重要な光受容体の外節中に少なくとも一種のタンパク質が異常に産生されることである。
RPの臨床上の結果の一つは、窩の周囲の毛細血管および視神経乳頭の血液−網膜関門の不安定化である。この不安定化によって、フルオレセイン色素が漏洩するようになり、これはフルオレセイン血管造影法で観察される。この漏洩に加えて、外網状層中にミクロシスト(microcysts)として液体が蓄積するのが観察されることがある。この液体が充満したシスト(嚢胞)は、結局、破裂して網膜層を損傷することがある。この発明は、ミクロシスト中に蓄積される組織液の消失を加速して促進することによって、網膜のRPに関連する損傷を治療するものである。
実施例 10
硝子体内ヒアルロニダーゼによる色素性網膜炎の症状の改善
色素性網膜炎の病歴を有する59歳の男性のヒトが提供された。そのヒトの左眼の未矯正視力は、20:400で、矯正視力も20:400であった。その患者の左眼球の硝子体内に、100IUのヒアルロニダーゼACSを単回注射して投与した。右眼は、処置しないままであった。
患者は、ヒアルロニダーゼACSの投与後、繰返し検査され、その患者の右眼(未治療)の視力は、変化しないままであったが、患者の左眼(治療後)の視力は、以下のように改善されたことが観察された。
Figure 0004256941
この試験結果は、患者の目視能力すなわち裸眼視力(20:400から20:80まで改善)と最良に矯正された視力(20:400から20:40まで改善)の両者に有意な改善があったことを示している。また、治療期間中、患者の眼圧に変化が認められたが、眼圧は、注射の時点から約2週間後にベースラインに戻ったようであった。これらの試験結果は、一名の患者から得たものであるが、さらなる試験を保証するように、十分有望に見受けられる。
黄斑孔のヒアルロニダーゼによる治療
黄斑の破裂または裂断の開口は、黄斑孔として知られている。興味深いことには、この症状は、通常、女性において、60歳代〜80歳代に、または閃光損傷、日光損傷、強膜締め付けなどの外傷の後に、またはブドウ膜腫の眼に発生する。症状としては、変形視症と視力低下がある。
黄斑孔の生成は、後部硝子体の栓状沈殿腔(posterior vitreous syneresis cavity)内の流体の移動が関与して、後部皮質硝子体により起こされて、網膜表面を跨いで接線牽引力が掛かることが原因と考えられる。後部硝子体の栓状沈殿腔は、黄斑腔が見られる患者の大多数に存在している。後部硝子体のゲルが網膜表面から後退すると、二つの表面の間に間隙が生成し、その間隙は、硝子体液が移動すると網膜の表面と負の相互作用を行う領域を生成すると考えられる。後部硝子体の栓状沈殿腔の空間内を硝子体液が接線移動すると、網膜メンブランの引裂きを促進して、黄斑孔が生成すると考えられる。
この発明は、ヒアルロニダーゼACSを使用して、硝子体を解重合して、黄斑孔を生成する症状を除こうとするものである。硝子体を解重合させると、硝子体がヒアルロニダーゼACSによつて再編成されて、後部硝子体の栓状沈殿腔が消失する。この空腔が消失すると、硝子体と網膜の間の液体は硝子体室のまわりを自由に移動して、さもないと網膜表面に対して加わる有害な力を分散させる。
以下の実施例で、黄斑孔生成の早期症状を示す患者の治療を考案する。
実施例11
黄斑孔の治療
黄斑孔生成の早期徴候を示す患者を、ヒアルロニダーゼACSの硝子体内注射によって治療する。治療される患者は、前黄斑孔生成の各種の徴候を示している。これらの徴候としては、黄色の窩のスポットまたはリングに付随する窩のデブレションの損失がある。窩は、黄斑孔を生成する領域が薄くなり始め、その病巣は赤味がかった外観を呈する。この段階でフルオレセイン血管造影撮影を行うと正常に見えるか、またはかすかなハイパーフルオレッセンス(hyperfluorescence)を示す。異常な厚み方向全体の裂開が出現した場合は、この疾患の進行した早期段階を示している。このような症状が認められたならば、ヒアルロニダーゼACSによる治療を開始する。
この発明のヒアルロニダーゼACSによる治療は、黄斑孔の生成が診断されたときに開始される。患者は、眼の健康状態のベースラインを確認するため、全眼科検査を受けることになる。その眼科検査としては、間接的検眼鏡検査、細隙ランプ生体顕微鏡検査、周辺網膜の検査、眼圧測定、視力(裸眼および最良の矯正視力)の徴候の検査、眼底撮影、フルオレセイン血管造影撮影、網膜電図検査およびA−scan測定がある。
上記予備検査に続いて、患者の冒された眼球の硝子体内にヒアルロニダーゼACSを注射する。両方の眼球が冒されている場合、別々に治療してよい。治療すべき眼球には、上記の50IUのヒアルロニダーゼACS眼科液剤を50:1で硝子体内に注射して治療し、硝子体のヒアルロン酸の解重合を促進し、硝子体を液化させる。
治療を行った後、患者の眼球は、第1日、第2日、第7日、第15日、第30日および第60日に検査されることになる。各検査日に、患者は硝子体の液化を監視される。治療の経過を監視するのに特に有効な方法とみなされているフルオレセイン血管造影撮影法が実施される。さらに、患者は、間接検眼鏡検査法を利用し、強膜のデプレッションによって、後部硝子体の剥離を監視される。
黄斑滲出物のヒアルロニダーゼによる治療
黄斑滲出物は、血液−網膜関門を貫通し、黄斑を通って硝子体室に滲出する物質である。滲出物には、軟質滲出物と硬質滲出物の2種類がある。軟質滲出物は、実際は滲出物ではなく、虚血損傷または梗塞の部位の眼球に拡張した神経線維層中の神経節細胞の軸索のクラスターである。硬質滲出物は、バックグランド網膜症で微小血管が変化した結果、通常滲出する。硬質滲出物は、黄色でワックス状であり、黄斑のまわりに円形で沈積することが多い。硬質滲出物は、網膜内の漏洩血管からの血清成分の滲出または網膜内の変性神経要素(degenerating neural element)の脂質産物由来の脂質およびタンパク質性物質で構成されている。硬質滲出物の吸着は、主として、マクロファージの吸収によって仲介されるが、このプロセスの速度は低い。というのは、滲出は、網膜の無血管領域内の外網状層内で起こることが多いからである。この発明は、網膜メンブランの不安定化が原因で生じる滲出物の蓄積度を減らすのに特に有用である。というのは、硝子体のヒアルロニダーゼACSによる解重合によって、硝子体の水性成分の代謝回転速度が加速されるからである。
実施例12
黄斑滲出物の治療
黄斑滲出物がみられる患者を、この発明のヒアルロニダーゼ注射法で治療する。患者は、眼の健康状態のベースラインを確認するため各種の眼科検査を受けることになる。その眼科検査としては、間接的検眼鏡検査、細隙ランプ生体顕微鏡検査、眼圧測定、視力(裸眼および最良矯正後の視力)の徴候の検査、眼底撮影、フルオレセイン血管造影撮影、網膜電図検査およびA−scan測定がある。
上記予備検査に続いて、患者の冒された眼球の硝子体内にヒアルロニダーゼACSを注射する。両方の眼球が冒されている場合、別々に治療してもよい。治療すべき眼球には、上記の50IUのヒアルロニダーゼACS眼科液剤を50:1で硝子体内に注射して、硝子体のヒアルロン酸の解重合を促進し、硝子体を液化させる。
治療した後、患者の眼球は、第1日、第2日、第7日、第15日、第30日および第60日に検査して行く。各検査日に、患者は硝子体の液化を監視される。治療の経過を監視するのに特に有効な方法とみなされているフルオレセイン血管造影撮影法が実施される。さらに、患者は、間接検眼鏡検査法を利用し、強膜のデプレッションによって、後部硝子体の剥離を監視される。
嚢胞黄斑水腫の治療
嚢胞黄斑水腫は、多様なグループの病因が原因の普通の眼科異常である。この症状の大部分の原因は、外網状層のミクロシスト中に蓄積する液体の漏洩をもたらす窩の近くの毛細血管と視神経乳頭の血液−網膜関門の障害である。この領域は、比較的薄く、網膜の血管新生領域の下側にある。臨床上、嚢胞黄斑水腫は、フルオレセイン血管造影撮影法で検査すると、蜂巣状の外観をしている。この水腫が進行するにつれて、外網状層が破裂してラメラ孔(lamellar hole)を生成する。その孔は、網膜の内層に限定されるかも知れないし、または、結局、完全な黄斑孔まで進行するかも知れない。
この発明は、ヒアルロニダーゼACSによる硝子体の解重合によって、嚢胞黄斑水腫を治療し、黄斑孔の生成を予防するものである。
実施例13
黄斑滲出物の治療
嚢胞黄斑水腫の徴候がみられる患者を、実施例11と12に記載したように、ヒアルロニダーゼACSを硝子体内に注射して治療する。
この発明を、目下のところ好ましい特定の実施態様と実施例のみを参照して上記に説明してきたが、この発明が物理的形態を取りまたは実施される全ての実施形態を網羅していないことは、当業技術者には理解されるであろう。事実、この発明の意図している精神と範囲を逸脱することなく、上述した具体的な実施形態と実施例を種々変形することができる。したがって、前記実施態様と実施例のそのような妥当な変形は、全て下記の請求の範囲内に含まれる。

Claims (19)

  1. ヒアルロニダーゼを哺乳類の眼球の硝子体液と接触させて当該硝子体液の液化を誘発し、当該哺乳類の眼球に対して毒性による損傷を起こすことなく当該哺乳類の眼球の疾患を予防しまたは治療するために使用されるヒアルロニダーゼ含有医薬製剤であって、
    前記ヒアルロニダーゼが、チメロサールを含有せず、4〜20%SDS−PAGE電気泳動法による測定で100,000を超えるヒアルロニダーゼの分子量画分、50,000〜60,000の分子量画分、および20,000未満の分子量画分を欠いていることを特徴とする、
    ヒアルロニダーゼ含有医薬製剤
  2. 前記硝子体液を液化して、増殖性糖尿病網膜症を治療するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  3. 前記硝子体液を液化して、加齢黄斑変性を治療するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  4. 前記硝子体液を液化して、弱視を治療するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  5. 前記硝子体液を液化して、色素性網膜炎を治療するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  6. 前記硝子体液を液化して、黄斑孔を治療するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  7. 前記硝子体液を液化して、黄斑滲出物を治療するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  8. 前記硝子体液を液化して、嚢胞黄斑水腫を治療するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  9. 前記ヒアルロニダーゼが、前記硝子体液内への注射用として溶液製剤の形態である請求の範囲に記載の医薬製剤
  10. 前記ヒアルロニダーゼの一回分投与量が、5〜200国際単位である請求の範囲に記載の医薬製剤
  11. 前記ヒアルロニダーゼの一回分投与量が、1国際単位である請求の範囲に記載の医薬製剤
  12. 前記ヒアルロニダーゼが、複数回投与分の形態である請求の範囲に記載の医薬製剤
  13. 前記ヒアルロニダーゼが、注射液容量の100:1より小さい請求の範囲12に記載の医薬製剤
  14. 前記ヒアルロニダーゼが、以下の配合:
    8,000国際単位までのヒアルロニダーゼ、
    5.0〜130.0mgのラクトース、および
    0.01〜100.0mmolのリン酸塩
    を有する注射用剤の形態である請求の範囲に記載の医薬製剤
  15. 前記ヒアルロニダーゼが、以下の配合:
    6,500国際単位のヒアルロニダーゼ、
    5.0mgのラクトース、および
    0.02mmolのリン酸塩
    を有する注射用剤の形態である請求の範囲に記載の医薬製剤
  16. 前記ヒアルロニダーゼが、以下の配合:
    500〜1,000国際単位のヒアルロニダーゼ、
    5.0〜10.0mgのラクトース、および
    0.01〜10.0mmolのリン酸塩
    を有する注射用剤の形態である請求の範囲に記載の医薬製剤
  17. 前記硝子体液を液化して、後部硝子体の剥離(PVD)を誘発するために使用される請求の範囲1に記載の医薬製剤
  18. 使用することにより、前記硝子体液内に出血血液が存在せず、前記哺乳類の眼球の網膜が目視できる請求項1〜17のいずれかに記載の医薬製剤。
  19. 硝子体切除をせずに前記硝子体液と接触させて使用される請求項1〜18のいずれかに記載の医薬製剤。
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