JP4129136B2 - 自動二輪車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体フレームの後部に設けられたシート上の操縦者を前方から拘束可能なエアバッグの膨張展開範囲に、膨張展開したエアバッグに接触する車両構成部品が配置される自動二輪車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、たとえば特開2001−219884号公報で開示される自動二輪車では、膨張展開するエアバッグに前方から接触するようにしてウインドスクリーンが配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のものでは、エアバッグの膨張展開がウインドスクリーンで阻害されてしまい、エアバッグをその前方側に充分に膨張展開するスペースを確保できなくなる可能性がある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、膨張展開状態のエアバッグに接触する車両構成部品があったとしても、エアバッグをその前方側に充分に膨張展開させ得るスペースを確保し、しかも膨張展開したエアバッグを確実に支持し得るようにした自動二輪車を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車体フレームの後部に設けられたシート上の操縦者を前方から拘束可能なエアバッグと、前記シート上の操縦者の前方に配置されるウインドスクリーンとを備え、そのウインドスクリーンが前記エアバッグの膨張展開範囲に位置していて、該エアバッグの膨張展開時には膨脹展開したエアバッグに接触する自動二輪車であって、前記ウインドスクリーンが、前記エアバッグの折り畳み状態での非作動位置と、膨張展開した前記エアバッグの一部を接触支持しつつ前記非作動位置から車両前方側に所定量変位した作動位置との間で回動作動することを可能として、固定の支持手段に支持されることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、エアバッグの膨張展開時には、膨張展開したエアバッグに接触したウインドスクリーンが、非作動位置から、その前側へ所定量変位した作動位置へとエアバッグの膨張展開方向に回動作動することになるので、エアバッグの前方側への膨張展開スペースを充分に確保することができ、しかも作動位置でもウインドスクリーンはエアバッグに接触して支持しているので操縦者からエアバッグに作用する荷重を受けるようにしてエアバッグを確実に支持することができる。
【0007】
また請求項2記載の発明は、車体フレームの後部に設けられたシート上の操縦者を前方から拘束可能なエアバッグと、前記シート上の操縦者の前方に配置される操向ハンドルとを備え、その操向ハンドルが前記エアバッグの膨張展開範囲に位置していて、該エアバッグの膨張展開時には膨脹展開したエアバッグに接触する自動二輪車であって、前記操向ハンドルが、前記エアバッグの折り畳み状態での非作動位置と、膨張展開した前記エアバッグの一部を接触支持しつつ前記非作動位置から車両前方側に所定量変位した作動位置との間で回動作動することを可能として、固定の支持手段に支持されることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、エアバッグの膨張展開時には、膨張展開したエアバッグに接触した操向ハンドルが、非作動位置から、その前側へ所定量変位した作動位置へとエアバッグの膨張展開方向に回動作動することになるので、エアバッグの前方側への膨張展開スペースを充分に確保することができ、しかも作動位置でも操向ハンドルはエアバッグに接触して支持しているので操縦者からエアバッグに作用する荷重を受けるようにしてエアバッグを確実に支持することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図4は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は自動二輪車の側面図、図2は図1の2矢示部拡大縦断面図、図3はエアバッグが膨張展開した状態での図1に対応した側面図、図4は図3の4矢示部拡大縦断面図である。
【0011】
先ず図1において、この自動二輪車の車体フレーム5が前端に備えるヘッドパイプ6には前輪WFを軸支するフロントフォーク7が操向可能に支承され、フロントフォーク7の上部が連結されるトップブリジ7aに操向ハンドル8が取付けられる。また車体フレーム5の後部にはスイングアーム9が上下揺動可能に軸支されており、このスイングアーム9の後端に後輪WRが軸支される。
【0012】
車体フレーム5の前半部には燃料タンク10が搭載され、車体フレーム5がその後部に備えるシートレール11上には、前記燃料タンク10の後方に配置されるタンデム型のシート12が設けられる。
【0013】
また車体フレーム5の大部分は、フロントカウル13およびリヤカウル14から成る合成樹脂製の車体カバー15で覆われており、フロントカウル13の中央上部には、シート12上の操縦者の前方に位置するようにして車両構成部品としてのウインドスクリーン16が取付けられる。
【0014】
図2において、たとえばヘッドパイプ6および燃料タンク10間の車体フレーム5上にはエアバッグモジュール17が設けられ、このエアバッグモジュール17は、エアバッグハウジング18と、該エアバッグハウジング18内に収納されるエアバッグ19と、該エアバッグ19を膨張展開させるためのガスを発生するインフレータ20とを備える。
【0015】
エアバッグハウジング18は、エアバッグ19を折り畳んだ状態で収納し得る収納筒部18aと、該収納筒部18aの上端開口部を閉じる蓋部18bとを有して合成樹脂等の軽量材料により帽状に形成され、収納筒部18aの下部が車体フレーム5に固定される取付け片21によって車体フレーム5に取付けられる。
【0016】
蓋部18bは、該蓋部18bの周囲の1箇所たとえば燃料タンク10とは反対側の1箇所に配置される蝶番部18cと、蓋部18bの周囲のうち前記蝶番部18cを除く部分に配置される脆弱部18dとを介して収納筒部18aに連結されており、脆弱部18dは容易に破裂し得るように形成される。
【0017】
エアバッグ19の開口部22は取付け片21に固着された口金23で気密に閉じられており、この口金23の内面側にインフレータ20が取付けられる。
【0018】
車体フレーム5には加速度センサー等の衝撃検知センサ(図示せず)が取付けられており、前記インフレータ20は、衝撃検知センサが所定値以上の衝撃を検知するのに応じて作動して、高圧ガスをエアバッグ19内に供給する。
【0019】
而してインフレータ20からの高圧ガスの供給に応じて、エアバッグ19は、図3および図4で示すように、エアバッグハウジング18の脆弱部18dを破裂させて蓋部18bを開きつつ瞬間的に上方に膨張展開し、シート12に座っている操縦者が、膨張展開したエアバッグ19で前方から拘束されることになる。
【0020】
ところで、エアバッグ19の膨張展開時に該エアバッグ19は前方のウインドスクリーン16に接触する。そのためウインドスクリーン16が固定位置にあると、エアバッグ19の膨張展開スペースが狭められることになる。
【0021】
そこでウインドスクリーン16は、エアバッグ19の折り畳み状態での非作動位置(図1で示す位置)と、膨張展開したエアバッグ19の一部を接触支持しつつエアバッグ19の膨張展開方向に前記非作動位置から変位した作動位置(図3で示す位置)との間で回動作動し得るようにして、フロントカウル13の中央上部に取付けられる。
【0022】
ウインドスクリーン16を回動可能とするために、フロントカウル13のうちウインドスクリーン16寄りの一部13aと、前記一部13aを除くフロントカウル13の残部13bとの間には、ウインドスクリーン16およびフロントカウル13の一部を前方に回動させるための蝶番部13cと、膨張展開したエアバッグ19がウインドスクリーン16に後方から衝撃的に接触するのに応じて破裂する破裂部13dとが形成される。すなわちウインドスクリーン16は、固定の支持手段としての前記フロントカウル13の残部13bで、非作動位置および作動位置間での回動作動を可能として支持されることになる。
【0023】
またフロントカウル13の一部13aおよび残部13b間には、エアバッグ19の膨張展開に応じてウインドスクリーン16が図3で示す作動位置へと回動したときに、その作動位置を維持するようにした規制リンク24が設けられ、この規制リンク24は、ウインドスクリーン16が非作動位置にあるときには折り畳まれている。
【0024】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、ウインドスクリーン16が、エアバッグ19の折り畳み状態での非作動位置と、膨張展開したエアバッグ19の一部を接触支持しつつエアバッグ19の膨張展開方向に前記非作動位置から変位した作動位置との間で作動することを可能として、フロントカウル13の残部13bに支持されるので、エアバッグ19の膨張展開時には、膨張展開したエアバッグ19に接触したウインドスクリーン16が、非作動位置から作動位置へとエアバッグ19の膨張展開方向に作動することになる。これによりエアバッグ19の前方側への膨張展開スペースを充分に確保することができる。
【0025】
しかもウインドスクリーン16の作動位置は、規制リンク24によりエアバッグ19に接触したままで維持されるので、操縦者からエアバッグ19に作用する荷重を受けるようにしてエアバッグ19を確実に支持することができる。
【0026】
上記第1実施例では、ウインドスクリーン16およびフロントカウル13の一部13aを回動させるようにしたが、ウインドスクリーン16だけを回動させるようにしてもよい。
【0027】
図5は本発明の第2実施例を示すものであり、フロントフォーク7の上部が連結されるトップブリッジ7aに固定される固定の支持手段としての支軸25には、操向ハンドル8Aが、後方側の非作動位置(図5の実線で示す位置)と、前方側の作動位置(図5の鎖線で示す位置)との間での回動作動を可能として支持されており、非作動位置にある操向ハンドル8Aおよびトップブリジ7a間には、衝突時の衝撃、エアバッグ19を膨張展開するためのインフレータ20(第1実施例参照)からの高圧ガスの供給、もしくは他のインフレータからの高圧ガスの供給によってロック解除がなされるロック機構26が設けられる。
【0028】
そして操向ハンドル8Aが非作動位置から作動位置に回動するのは、後方からのエアバッグ19(第1実施例参照)の衝撃的な接触によるものであってもよく、また操向ハンドル8Aが作動位置側にばね付勢されたり、エアバッグ19を膨張展開するためのインフレータ20からの高圧ガスの供給によって作動位置側に回動するものであってもよい。
【0029】
この第2実施例によれば、エアバッグ19の膨張展開時には、操向ハンドル8Aが、非作動位置から作動位置へとエアバッグ19の膨張展開方向に作動することになり、エアバッグ19の前方側への膨張展開スペースを充分に確保することができ、操縦者からエアバッグ19に作用する荷重を操向ハンドル8Aで受けるようにしてエアバッグ19を確実に支持することができる。
【0030】
図6は第1参考例を示すものであり、操向ハンドル8Bの下部には、フロントフォーク7の上部が連結されるトップブリッジ7aに固定された支持手段としての支持筒27が相対摺動可能に嵌合されており、操向ハンドル8Bは、上方側の非作動位置(図6の位置)と、下方側の作動位置との間での摺動作動を可能として支持筒27に支持される。しかも非作動位置にある操向ハンドル8Bおよび支持筒27間には、衝突時の衝撃、エアバッグ19を膨張展開するためのインフレータ20からの高圧ガスの供給、もしくは他のインフレータからの高圧ガスの供給によってロック解除がなされるロック機構28が設けられる。
【0031】
この第1参考例によれば、エアバッグ19の膨張展開時には、操向ハンドル8Bが、非作動位置から作動位置へとエアバッグ19の膨張展開方向に作動することになり、エアバッグ19の前方下方側への膨張展開スペースを充分に確保することができ、操縦者からエアバッグ19に作用する荷重を操向ハンドル8Bで受けるようにしてエアバッグ19を確実に支持することができる。
【0032】
図7は上記第2参考例を示すものであり、操向ハンドル8Cの基部は、フロントフォーク7の上部が連結されるトップブリッジ7aに固定された支持手段としての支持筒29の端部に上下に回動可能に連結されており、操向ハンドル8Cは、上方側の非作動位置(図7の位置)と、下方側の作動位置との間での回動作動を可能として軸30を介して支持筒29に支持される。しかも非作動位置にある操向ハンドル8Cおよび支持筒29間には、衝突時の衝撃、エアバッグ19を膨張展開するためのインフレータ20からの高圧ガスの供給、もしくは他のインフレータからの高圧ガスの供給によってロック解除がなされるようにしたロック機構(図示せず)が設けられる。
【0033】
この第2参考例によれば、エアバッグ19の膨張展開時には、操向ハンドル8Cが、非作動位置から作動位置へとエアバッグ19の膨張展開方向に作動することになり、エアバッグ19の側方への膨張展開スペースを充分に確保することができ、操縦者からエアバッグ19に作用する荷重を操向ハンドル8Cで受けるようにしてエアバッグ19を確実に支持することができる。
【0034】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、エアバッグの膨張展開時には、膨張展開したエアバッグに接触したウインドスクリーンが、非作動位置から、その前側へ所定量変位した作動位置へとエアバッグの膨張展開方向に回動作動することになるので、エアバッグの前方側への膨張展開スペースを充分に確保することができ、しかもウインドスクリーンは作動位置でもエアバッグに接触して支持しているので、操縦者からエアバッグに作用する荷重を受けるようにしてエアバッグを確実に支持することができる。
【0036】
また請求項2記載の発明によれば、エアバッグの膨張展開時には、膨張展開したエアバッグに接触した操向ハンドルが、非作動位置から、その前側へ所定量変位した作動位置へとエアバッグの膨張展開方向に回動作動することになるので、エアバッグの前方側への膨張展開スペースを充分に確保することができ、しかも操向ハンドルは作動位置でもエアバッグに接触して支持しているので、操縦者からエアバッグに作用する荷重を受けるようにしてエアバッグを確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の自動二輪車の側面図である。
【図2】 図1の2矢示部拡大縦断面図である。
【図3】 エアバッグが膨張展開した状態での図1に対応した側面図である。
【図4】 エアバッグが膨張展開した状態での図2に対応した縦断側面図である。
【図5】 第2実施例の要部側面図である。
【図6】 第1参考例の要部縦断側面図である。
【図7】 第2参考例の要部正面図である。
【符号の説明】
5・・・・車体フレーム
8A・・・操向ハンドル
12・・・シート
13b・・固定の支持手段としてにフロントカウルの残部
16・・・ウインドスクリーン
19・・・エアバッグ
25・・・支持手段としての支軸
Claims (2)
- 車体フレーム(5)の後部に設けられたシート(12)上の操縦者を前方から拘束可能なエアバッグ(19)と、前記シート(12)上の操縦者の前方に配置されるウインドスクリーン(16)とを備え、
そのウインドスクリーン(16)が前記エアバッグ(19)の膨張展開範囲に位置していて、該エアバッグ(19)の膨張展開時には膨脹展開したエアバッグ(19)に接触する自動二輪車であって、
前記ウインドスクリーン(16)が、前記エアバッグ(19)の折り畳み状態での非作動位置と、膨張展開した前記エアバッグ(19)の一部を接触支持しつつ前記非作動位置から車両前方側に所定量変位した作動位置との間で回動作動することを可能として、固定の支持手段(13b)に支持されることを特徴とする自動二輪車。 - 車体フレーム(5)の後部に設けられたシート(12)上の操縦者を前方から拘束可能なエアバッグ(19)と、前記シート(12)上の操縦者の前方に配置される操向ハンドル(8A)とを備え、
その操向ハンドル(8A)が前記エアバッグ(19)の膨張展開範囲に位置していて、該エアバッグ(19)の膨張展開時には膨脹展開したエアバッグ(19)に接触する自動二輪車であって、
前記操向ハンドル(8A)が、前記エアバッグ(19)の折り畳み状態での非作動位置と、膨張展開した前記エアバッグ(19)の一部を接触支持しつつ前記非作動位置から車両前方側に所定量変位した作動位置との間で回動作動することを可能として、固定の支持手段(13b,25)に支持されることを特徴とする自動二輪車。
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