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JP4096223B2 - サービス検索装置およびその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワークにおいて、いずれのノードがどのようなサービスを提供しているかを示す情報を、サービスを受けようとしているノードに対して提供するサービス検索装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のネットワークが相互に接続された広域ネットワークにおいて、いずれのノードがどのようなサービスを提供しているかの情報を、サービスを受けようとしているノードに対して提供する方法として、例えば、「特開平10−56451号公報」(文献1)は、ARP(Address Resoluti
on Protocol)テーブルを用いて、網羅的に全てのノードを検索する方法を開示する。
また、「特開平11−167585号公報」(文献2)は、サービスに関する情報をマルチキャストにより定期的に集めて管理する方法を開示する。
また、「特開平11−195048号公報」(文献3)は、コスト情報に応じてノードを検索する範囲を決定する方法を開示する。
【0003】
しかしながら、上述した文献1〜3に開示された方法を、複数のネットワークに渡って適用しようとすると、多くの処理時間を要し、また、ネットワーク内のトラヒックを過度に増加させてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ネットワークにおいて、いずれのノードがどのようなサービスを提供しているかを検索し、サービスを受けようとしているノードに対して提供することができるサービス検索装置およびその方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ネットワークにおけるトラヒックを過度に増加させることなく、しかも、短い処理時間でサービスを検索することができるサービス検索装置およびその方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、複数のネットワークに渡って容易にサービスを検索することができるサービス検索装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかるサービス検索装置は、ネットワークが提供するサービスを検索するサービス検索装置であって、前記ネットワークにおけるサービスの検索範囲を設定する検索範囲設定手段と、前記ネットワークにおいて、前記設定された検索範囲に含まれるサービスを検索するサービス検索手段とを有する。
【0006】
好適には、前記ネットワークは複数の領域を含み、前記サービス検索装置は、前記複数の領域それぞれに1つ以上ずつ置かれ、前記検索範囲設定手段は、前記複数の領域の1つ以上それぞれの一部または全部を含む前記検索範囲を設定し、同じ領域において提供されるサービスの第1のサービス情報を収集する第1のサービス情報収集手段と、前記設定された範囲に含まれる他の領域それぞれにおいて収集された第2のサービス情報を収集する第2のサービス情報収集手段とを有し、前記サービス検索手段は、前記収集された第1のサービス情報および第2のサービス情報から、前記設定された範囲において提供されるサービスを検索する。
【0007】
好適には、前記サービスそれぞれは、前記ネットワークに含まれるサービス提供手段により提供され、前記サービス提供手段は、問い合わせに応じて前記サービス情報を送信し、前記第1のサービス情報収集手段は、同じ領域に含まれる前記サービス提供手段それぞれに対して問い合わせ、前記サービス提供手段それぞれから送信される第1のサービス情報を収集する。
【0008】
好適には、前記収集された第1のサービス情報の一部または全部を、問い合わせに応じて、前記第2のサービス情報として送信するサービス情報送信手段を有し、前記第2のサービス情報収集手段は、他の領域に対して問い合わせ、他の領域において収集された前記第2のサービス情報を収集する。
【0009】
好適には、前記第1のサービス情報それぞれは、当該サービスの使用条件を含み、前記収集された第1のサービス情報を、前記第1のサービス情報それぞれの使用条件に基づいてフィルタリングするフィルタリング手段を有し、前記サービス情報送信手段は、前記フィルタリングされた結果として得られたサービス情報を、前記第2のサービス情報として送信する。
【0010】
好適には、前記サービス検索手段は、要求元からの要求に応じて、前記収集された第1のサービス情報および第2のサービス情報から、前記設定された範囲において提供されるサービスを検索し、前記フィルタリング手段は、前記第1のサービス情報それぞれの使用条件および前記要求元に基づいてフィルタリングを行う。
【0011】
好適には、前記第1のサービス情報および第2のサービス情報は、前記サービス提供手段の所在地の地理的情報を含み、前記検索範囲設定手段は、前記第1のサービス情報および前記第2のサービス情報に含まれる地理的情報に基づいて、前記検索範囲を設定する。
【0012】
好適には、前記ネットワークは、前記複数の領域それぞれのサービス検索装置を登録するサービス検索装置登録手段を有し、同じ領域に置かれた他のサービス検索装置を検出するサービス検索装置検出手段と、前記他のサービス検索装置を検出の結果に応じて、自らが属するサービス検索装置を前記サービス検索装置登録手段に登録する登録手段とを有し、前記第2のサービス情報収集手段は、前記サービス検索装置登録手段に登録された他の領域のサービス検索装置により収集された前記第2のサービス情報を収集する。
【0013】
好適には、前記収集された第1のサービス情報に含まれる地理的情報に基づいて、同じ領域に含まれるサービス提供手段の所在地をクラスタリングした結果として得られるクラスタを示すクラスタ情報を生成するクラスタリング手段を有し、前記第2のサービス情報収集手段は、他の領域において生成されたクラスタ情報をさらに収集し、前記検索範囲設定手段は、同じ領域および他の領域において生成されたクラスタ情報に基づいて、前記検索範囲を設定する。
【0014】
好適には、前記ネットワークは、前記複数の領域それぞれのサービス検索装置を登録するサービス検索装置登録手段を有し、同じ領域に置かれた他のサービス検索装置を検出するサービス検索装置検出手段と、前記他のサービス検索装置を検出の結果に応じて、自らが属するサービス検索装置と、前記生成されたクラスタ情報とを前記サービス検索装置登録手段に登録する登録手段とを有し、前記検索範囲設定手段は、同じ領域において生成されたクラスタ情報と、前記登録されたクラスタ情報とに基づいて、前記検索範囲を設定する。
【0015】
好適には、前記同じ領域と他の領域との間の通信の条件を検知する通信条件検知手段を有し、前記検索範囲設定手段は、検知した通信の条件に基づいて、前記検索範囲を設定する。
【0016】
好適には、前記サービス検索手段は、要求元からの要求に応じ、検索条件に従って、前記収集された第1のサービス情報および第2のサービス情報から、前記設定された範囲において提供されるサービスを検索し、前記検索範囲設定手段は、前記要求元および前記検索条件またはこれらのいずれかに基づいて、前記検索範囲を設定する。
【0017】
また、本発明にかかるサービス検索方法は、ネットワークが提供するサービスを検索するサービス検索方法であって、前記ネットワークにおけるサービスの検索範囲を設定し、前記ネットワークにおいて、前記設定された検索範囲に含まれるサービスを検索する。
また、本発明にかかるプログラムは、ネットワークが提供するサービスをコンピュータに検索させる検索プログラムであって、前記ネットワークにおけるサービスの検索範囲を設定するステップと、前記ネットワークにおいて、前記設定された検索範囲に含まれるサービスを検索するステップとを含む。
【0018】
【発明の実施の形態】
[本発明の背景]
まず、本発明の背景を説明する。
ネットワークを介していろいろなサービスを受けることができ、このサービスには、同種であっても、提供するサーバによって品質や、通信プロトコルなどの属性が異なるものが含まれる。
【0019】
[サービス属性]
例えば、ネットワークを介してサーバに接続し、プリントサービスを受けようとした場合、サーバによって、プリントアウト時の解像度などの品質、排紙速度などの性能、ソータの有無などの付加機能、各種プリントプロトコルなどの通信プロトコル、アクセス権の有無などの使用許諾、および、費用など(以下、これらを「サービス属性」とも記載する)が異なる。
【0020】
[サービスロケーション(サービス位置)]
サービスは、サービスを提供するサーバ装置のネットワークアドレス、ドメインネームおよびURLなど(以下、これらを「サービスロケーション(サービス位置)」とも記載する)により識別され、利用者は、スキャナなどのクライアント装置から、このサービスロケーションを用いてサービスを提供するサーバにアクセスすることができる。
なお、以下、サーバ(装置)およびクライアント(装置)などと記載するが、実際の名称にかかわらず、前者は広くサービスを提供する装置を意味し、後者は広くサービスの提供を受ける装置を意味する。
【0021】
ここで、サービスには上述のように属性(サービス属性)があるので、利用者は、いずれのサーバで、どのような属性のサービスが、どのような制約条件(プロトコルおよび課金方法など)および測定基準(費用など)で得られるかを考慮して、サーバを選択する必要がある。
しかしながら、利用者がこのような知識を得ることは難しく、特に、ユーザが初めてネットワークにアクセスした場合、普段アクセスしているネットワークから離れて、一時的に他のネットワークにアクセスした場合などには、利用者に、このような知識が全くないのが普通である。
【0022】
一方、インターネットのような広域ネットワークは、複数のネットワーク(IPサブネット、企業イントラネットおよびインターネット接続業者(Internet Service Provider)など)が論理的に階層化され、相互に接続された集合体として構成されており、これら複数のネットワークそれぞれは、運用主体をはじめとして、ネットワーク設計および運用方法などの多くの点で異なっており、均質ではない。
広域ネットワークに含まれるネットワーク同士の相互接続は、ルータおよびファイヤウォールなどの中継装置を介して、ネットワーク間の相互干渉を防止しつつ行われる。
【0023】
サービス属性を考慮したサービスロケーションの検索のためには、例えば、ネットワークにおいて到達可能な全てのノードが提供するサービスの属性を検出し、検出したサービス属性から、利用者が望むものを抽出する方法がある。
このような検索は、具体的には、事前登録方式、総当り方式、一斉同報方式あるいはWWWロボット検索方式などにより実現される。
【0024】
[事前登録方式]
事前登録方式は、サービスを提供するサーバを設置するときに、サービスロケーションおよびサービス属性などを検索機能を備えたデータベースに登録しておき、予め登録された情報を検索して、その結果を利用者に提供する。
この方式の例として、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol, Version 3; IETF RFC2251)を用いた企業組織ディレクトリ、および、ゼロックス社XNSにおけるClearing House(「ローカルエリアネットワーク−イーサネット概説−」・改訂2版,上谷編著,丸善株式会社刊,1988年3月25日)などを挙げることができる。
この方式は、ネットワークにおける全てのノードのサービス属性およびサービスロケーションなどを一元的に管理するデータベースを必要とする。
【0025】
[総当り方式]
総当り方式は、ネットワークのアドレス空間に含まれる全てのネットワークアドレスにアクセスし、サービス属性を問い合わせる。
この方式の例として、ICMP(Internet Control Message Protocol; IETF RFC792)・エコーを用いたシリアルピニング(Serial Pinging)を挙げることができる。
この方式は、アドレス空間の大きさに応じたトラヒックと処理時間を必要とする。
【0026】
[一斉同報方式]
一斉同報方式は、一斉同報通信(IPマルチキャストなど)によるサーバに対する応答要求、および、サーバの一斉同報通信による自らのサービスの公示(Advertise)またはこれらのいずれかを行う。
この方式の例として、SLP(Service Location Protocol, Version 2; IETF RFC2608)およびSSDP(Simple Service Discovery Protocol)を挙げることができる。
【0027】
一斉同報方式によれば、一斉同報通信が到達可能な範囲でサービス属性を検索可能であり、一斉同報通信の到達範囲は、ルータ・ファイヤウォールおよびパケットの生存時間(ルータのHOP数)などで制限される。
この一斉同報方式によりサービス属性を検索し、収集することができる範囲(以下「サービス収集領域」とも記す)は、ネットワーク空間における位置により制限され、サーバ装置とクライアント装置と間の地理的距離による直接的な制限はない。
一斉同報方式によるサービス収集領域は、運用上、例えば、管理主体が同一なネットワークなどの範囲に限定されると予想され、従って、広域ネットワークには、それぞれ孤立した多数のサービス収集領域が存在していると予想される。
一斉同報方式は、一斉同報通信の到達範囲の大きさに応じた処理時間とトラヒックを必要とする。
【0028】
[WWWロボット検索方式]
WWWロボット検索方式は、検索エンジンあるいは検索ロボットと呼ばれるプログラムを用いて、WWW情報提供サービスに張られたハイパーリンクを自動的にたどって、他のWWW情報提供サービスを発見してデータベースに登録し、例えば、このデータベースに対するテキストによるキーワード検索を利用者の用に供する。
この方式の例として、LycosおよびAlta Vistaなどを挙げることができる。
【0029】
この方式における検索ロボットの動作は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol, Version 1.o; IETF RFC1945)およびW3C HTML(Hyper Text Markup Language)などのWWWシステムに依存し、WWWサーバが提供するサービスだけを検索することができる。
また、この方式によると、検索ロボットがハイパーリンクをたどるためにネットワークに大きなトラヒックが生じ、検索結果をデータベースに反映し、更新するために多くの処理時間を要する。
また、この方式を広域ネットワークに適用することができるのは、実際問題として上述のようなネットワーク検索機能提供者だけである。
【0030】
[地理的位置を考慮した検索]
一般的には、ネットワークを介したサービスの提供には地理的距離・地域的な制約はなく、利用者が利用しうるサービスは、サーバ装置が置かれた場所によって制限を受けることはない。
従って、ネットワークを介したサービスの利用者は、本来、サービス属性、制約条件および測定基準を考慮してサーバ装置を選択することができ、サーバ装置が置かれている場所、および、サーバ装置がいずれのネットワークに接続されているかなどを考慮しなくてもよい。
【0031】
しかしながら、例えば、プリントサービスなど、サービス結果を品物として利用者が受け取る必要がある場合には、サービスを受けるために、サーバ装置の地理的位置を考慮しなければならないものがある。
このような場合、利用者およびクライアント装置から近いサービスロケーション、あるいは、地理的な位置は遠くても、利用者がアクセスしやすい場所に置かれたサービスロケーションを検索する必要がある。
このような場合には、ネットワークにおける距離とともに、地理的な距離を考慮に入れてサービスの検索を行う必要がある。
【0032】
ここで、一般的に、地理的な距離とネットワークにおける距離との間には直接の関連はないので、例えば、利用者の近傍にありながら、クライアント装置とは別のネットワークに接続されているために、1つのネットワークに閉じたサービスの検索では発見できないサーバ装置が存在しうる。
従って、地理的に近い位置にあるサーバ装置を探す場合であっても、複数のネットワークに渡った検索を行う必要がある。
【0033】
[使用許諾に起因する問題]
さらに、複数のネットワークを介してサービスを検索しようとする場合には、使用許諾に起因する問題がある。
一般に、課金するか否かにかかわらず、全ての利用者に対して一律に使用を許諾することにより、あるいは、予め登録された利用者に対してのみ使用を許諾することにより、サービスの使用許諾が行われる。
【0034】
後者、つまり、使用許諾のために予め登録を要する場合には、サービスの使用のために認証が必要とされる。
認証方法がサーバ装置ごとに異なる上、セキュリティ上の問題などから、パスワードの入力なしにはサーバ装置にアクセスできず、サーバ装置のサービス属性を得ることはできない。
従って、後者の方法を採るサーバ装置にアクセスしようとしても、予め認証のためのパスワードなどを取得しておかない限り、アクセスできず、そのサーバ装置のサービス属性などを知ることはできない。
【0035】
[本発明にかかるサービス検索の概要]
本発明にかかるサービス検索においては、広域ネットワークなどに複数、含まれ、それぞれに閉じてサービスの検出が行われ、収集される領域(サービス収集領域)ごとに提供されているサービスが検出され、サービスを提供するサーバ装置の地理情報とともに、サービス情報(図7を参照して後述)として収集される。
また、サービス収集領域は、この領域内で管理主体・運用方法などが同じで、ネットワークが均質な範囲ということもできる。
サービス収集領域の例としては、一斉同報が可能な範囲、ファイヤウォールが遮断しない範囲、および、1つのディレクトリにネットワーク資源が登録されている範囲などを挙げることができる。
【0036】
収集されたサービス情報は、サービス収集領域の内外に公開され、公開されるサービス情報それぞれには、複数の段階を含む公開レベルが設定される。
公開されたサービス情報の提供が要求された場合には、要求元の利用者およびネットワークなどに応じて、要求元にサービス情報を公開するか否かなどを決めるフィルタリング処理が行われ、サービス情報が要求元に提供される。
【0037】
本発明にかかるサービス検索においてサービス情報が検索される際には、まず、検索の対象とする範囲が設定され、設定された検索範囲において公開されたサービス情報が検索され、検索の結果として得られたサービスロケーションおよびサービス属性などの情報が、利用者の用に供される。
【0038】
[検索範囲の設定方法]
以下、上述した検索範囲の設定方法を、さらに詳細に説明する。
図1は、複数のネットワークを含む広域ネットワーク1の構成を模式的に例示する図である。
広域ネットワーク1は、例えば、ネットワーク中継装置14−1を介して相互接続された3つのネットワーク(ネットワークA〜C)12A〜12Cを含む。ネットワーク12Aは、クライアント装置16A、および、図1中に黒丸で示す複数のサーバ装置18Aを含み、ネットワーク12Bは、図1中に白丸で示す複数のサーバ装置18Bを含み、ネットワーク12Cは、サーバ装置18Cを含む。
【0039】
[地理的空間の観点からの検索範囲の設定]
図1を参照してわかるように、広域ネットワーク1の広がりは、地理的空間10の観点と、ネットワーク空間の観点から見ることができる。
図2は、図1に示した広域ネットワーク1におけるクライアント装置16Aおよびサーバ装置18A,18Bの地理的空間10の観点からの地理的位置関係を示す図である。
図1に示すように、クライアント装置16Aから見て、ネットワーク12Bのサーバ装置18Bは、ネットワーク空間の観点から見ると、ネットワーク中継装置14−1を介して接続されているので、ネットワーク12Aのサーバ装置18Aと比べて遠い位置にある。
【0040】
一方、図2に示すように、ネットワーク12Aとネットワーク12Bのサービスエリアの一部または全部が地理的空間10上で重なり合うことがあるので、地理的空間10の観点からすると、サーバ装置18Aよりもサーバ装置18Bの方が、クライアント装置16Aから近い位置に存在することがある。
【0041】
例えば、プリントサービスなど、利用者がサービスの地理的な結果物を受け取る必要があるサービスについては、クライアント装置16Aと同じネットワーク12Aに接続され、ネットワーク空間の観点からは近いサーバ装置18Aよりも、クライアント装置16Aと異なるネットワーク12Bに接続され、ネットワーク中継装置14−1を介する分、ネットワーク空間の観点からは遠いサーバ装置18Bが、地理的空間10の観点からより近いことがありうる。
このような場合には、サーバ装置18Aを用いるよりも、サーバ装置18Bを用いた方が、クライアント装置16Aの利用者にとって有利であり、サーバの地理的位置の観点を優先してサービスの検索範囲を決めるとよい。
【0042】
さらに、ネットワーク12A,12Bのサービスエリア内で、サーバ装置18A,18Bの分布にある程度の偏りがある場合には、複数のサーバ装置18A,18Bそれぞれがサービスを提供しうる地理的な範囲を、複数のサーバ装置18A,18Bが地理的に分布する範囲と考えることができる。
従って、図2に示すように、複数のサーバ装置18A,18Bのうち、地理的位置関係が近いもの同士ごとに複数のグループに分け、これらのグループそれぞれに含まれるサーバ装置18A,18Bが存在する範囲それぞれを1つの領域(クラスタ)として領域分け(クラスタリング)すると、これらの領域の集合をもって、サーバ装置18A,18Bそれぞれの地理的なサービスエリアと考えることができる。
【0043】
サーバ装置18A〜18C(以下、これらのいずれかを特定せずに示す場合には、単に「サーバ装置18」とも記す)それぞれの地理的位置を示す地理情報としては、例えば、緯度・経度、行政区域名、郵便番号および高度などがあり、この地理情報は、複数のサービス検索装置の間で共有される場合には、これらの装置の間で内容および形式を統一されなければならない。
【0044】
[ネットワーク空間の観点からの検索範囲の設定]
図3は、ネットワーク中継装置(R2)14−2を介してネットワーク12Dを追加した広域ネットワーク1(図1,2)において、クライアント装置16Aおよびサーバ装置18A,18Bのネットワーク空間の観点からの位置関係を示す図である。
一方、WWWサーバからデータをダウンロードするなど、地理的空間10の観点からの距離が、第一義的な制約条件とならないサービスについては、クライアント装置16Aと同じネットワーク12Aに接続されているか否か、地理的距離が近いか遠いかにかかわらず、より高速にクライアント装置16Aに対してデータを転送しうるサーバ装置を選んでサービスの提供を受けることが、利用者にとって有利である。
このような場合、ネットワーク12A〜12C(以下、ネットワーク12A〜12Cのいずれかを特定せずに示す場合には、単に「ネットワーク12」とも記す)の伝送速度、伝送容量などのネットワーク空間の観点を優先してサービスの検索範囲を決めるとよい。
【0045】
具体的には、図3に示すように、ネットワーク12それぞれの内部における伝送速度および伝送容量、これらのネットワークを接続する中継リンク(LA〜LD)20A〜20Dの伝送速度および伝送容量、および、これらのネットワークの間で中継処理を行うネットワーク中継装置14−1,14−2におけるオーバーヘッドや処理負荷などが、クライアント装置16Aとサーバ装置18A〜18Cとの間の通信に影響を与える。
これらの要素は、クライアント装置16Aにおいては、サーバ装置18A〜18Cの応答速度、および、ファイル転送の際のスループットとして感知される。
【0046】
従って、ネットワーク空間の観点を優先する場合には、ネットワークの中継段数およびボトルネックの伝送帯域に基づいて通信経路を評価し、高速にデータ転送が可能であると予測される通信経路を介してクライアント装置16Aと接続可能な範囲にあるサーバ装置18A〜18Bに、サービスの検索範囲を限ることができる。
つまり、ネットワーク空間の観点を優先する場合には、例えば、下式1により表される評価関数を用いてネットワーク空間における距離を評価することにより、サービスの検索範囲を求めることができる。
【0047】
【数1】
f(ネットワークの中継段数,ボトルネックの伝送帯域);fは関数 (1)
【0048】
この場合、ネットワークの中継段数が少なければ少ないほどネットワーク空間における距離は短いと評価され、また、中継リンク20A〜20Dおよびネットワーク中継装置14−1,ネットワーク中継装置14−2などのボトルネックの伝送速度が高速であればあるほど、伝送容量が大きければ大きいほど、ネットワーク空間における距離は短いと評価される。
【0049】
この評価関数fにおける中継段数は、例えば、クライアント装置16Aとサーバ装置18A〜18Cそれぞれの間のネットワーク中継装置14−1,14−2の数(例えば、ルータのHOP数)として求めることができる。
また、この評価関数fにおける伝送容量は、データ転送に要する時間とデータのサイズから推定することができ、また、このような情報は、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol; IEFT RFC821)のMIB(Management Information Base)情報といったネットワーク管理情報として、遠隔のネットワークからも取得することが可能である。
さらに、実際にデータ通信を行って、エンド・ツー・エンドで、この評価関数fにおける伝送容量を推定したり、この評価関数fにおける伝送容量を、ルータ装置などからSNMPで取得したりする場合もある。
【0050】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を説明する。
図4は、本発明にかかるサービス検索装置3A−1〜3D(以下、これらのいずれかを特定せずに示す場合には単に「サービス検索装置3A〜3D」あるいは「サービス検索装置3」とも記す)が用いられた第2の広域ネットワーク5の構成を例示する図である。
【0051】
図4に示すように、広域ネットワーク5は、IPネットワークなどのネットワーク12A,12Bがルータ装置22−1を介して接続され、ネットワーク12Bとネットワーク12Dがルータ装置22−2を介して接続され、ネットワーク12Cとネットワーク12Dがファイヤウォール装置24を介して接続されて構成される。
【0052】
ネットワーク12Aは、クライアント装置16A、18Aおよび1つ以上のサービス検索装置3A−1〜3A−lを含み、ネットワーク12Bは、サーバ装置18Bおよび1つ以上のサービス検索装置3B−1〜3B−mを含み、ネットワーク12Cはサーバ装置18Cを含む。
ネットワーク12Cは、1つ以上のサービス検索装置3C−1〜3C−n(l,m,nは整数)をさらに含む。
ネットワーク12Dは、ディレクトリ装置50およびサービス検索装置3Dを含む。
なお、広域ネットワーク5においては、各ノード間の一斉同報以外の通信は、XMLにより記述されたメッセージと、HTTPプロトコルにより行われる。
【0053】
図5は、図4に示したサービス検索装置3のハードウェア構成を示す図である。
図5に示すように、サービス検索装置3は、CPU300およびメモリ302などを含むコンピュータ本体30、キーボード・マウスなどの入力装置32、表示装置34、ネットワークインターフェース(ネットワークIF)36および記録装置38から構成される。
つまり、サービス検索装置3は、他のノード(クライアント装置16A、サーバ装置18A〜18Cおよび他のサービス検索装置3)との通信機能を有するコンピュータとしての構成を採る。
【0054】
図6は、図4に示したサービス検索装置3において、サービス検索を実行するサービス検索プログラム4の構成を示す図である。
図6に示すように、サービス検索プログラム4は、サービス情報収集部40、検索範囲設定部42、サービス公開部44およびサービス検索部46から構成され、例えば、図5に示した記録媒体380によりサービス検索装置3に供給され、メモリ302にロードされて実行される。
サービス検索プログラム4は、これらの構成部分により、上述した本発明にかかるサービス検索を実現する。
【0055】
[サービス情報収集部40]
ここで、サービス収集領域は、上述のように広域ネットワークなどに複数、含まれ、それぞれに閉じてサービスの検出およびサービスの収集が行われる領域を示す。
以下、説明の簡略化のために、サービス検索装置3のサービス収集領域がそれぞれが、ネットワーク12それぞれである場合を具体例とする。
サービス情報収集部40は、例えば、ネットワーク12それぞれを1つのサービス収集領域として、サービス収集領域に含まれるサーバ装置18からサービス情報を収集する。
【0056】
つまり、ネットワーク12Aにおいて、サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス情報収集部40は、ネットワーク12Aに属する複数のサーバ装置18Aそれぞれが提供するサービスの品質および通信プロトコルといったサービス属性などを示すサービス情報を収集する。
また、ネットワーク12Bにおいて、サービス情報収集部40は、ネットワーク12Bに属する複数のサーバ装置18Bそれぞれのサービス情報を収集する。また、ネットワーク12Cにおいて、サービス情報収集部40は、ネットワーク12Cに属するサーバ装置18Cのサービス情報を収集する。
なお、サービス情報収集部40は、収集したサービス情報を、図7に示すような形式で保持し、サービスデータベースとしてサービス情報公開部44の検索の用に供し、図8に示すサーバ装置18の地理情報を検索範囲設定部42に対して出力する。
図7に示す「更新日/日時」の具体例としては、「2001.3.20 11:51」などの日付と時刻を挙げることができ、「サービス情報」の内容は、図8を参照して後述する。
【0057】
図7は、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス情報収集部40(図6)が保持するサービス情報を示す図である。
図7に示すように、サービス情報収集部40は、サービス識別子(サービスID)、更新日/時刻およびサービス情報を対応づけて保持する。
このサービスデータベースは、サービス公開部44の検索の用に供され、その更新は、検索範囲設定部42とサービス公開部44に通知される。
【0058】
図8は、サーバ装置18からプライマリサービス検索装置3に伝送されるサービス情報を示す図である。
図8に示すように、サービス情報は、サービス種別、ネットワーク情報、地理情報、使用許諾情報およびサービス属性の各データを含む。
サービス属性は、一般属性およびサービス依存属性を含む。
一般属性は、課金情報、セキュリティ情報、転送プロトコル情報および運用組織情報の各データを含む。
【0059】
サービス種別は、サーバ装置18が提供するサービスの種別、例えば、プリントサービスあるいはスキャンサービスなどを示す。
【0060】
ネットワーク情報は、広域ネットワーク5においてサーバ装置18を一意に識別するために必要な情報、例えば、IPアドレス、FQDN(Fully Qualified Domain Name)あるいはURI(Universal Resource Identifier)を示す。
【0061】
地理情報は、サーバ装置18の地理的情報を示す情報を含む。
地理的情報は、必須の情報としてサーバ装置18が置かれている場所の緯度・経度情報を含み、その他の任意の情報としてサーバ装置18が置かれている建物の住所、建物の名称、フロア階数、フロア区画および部屋の名称などの情報を含む。
【0062】
使用許諾情報は、サーバ装置18がサービスを提供する範囲を示し、例えば、いずれのネットワーク12のクライアント装置12に対しても無制限にサービスを提供する旨、あるいは、サーバ装置18が属するネットワーク12の中に限定する旨を示す。
【0063】
一般属性の課金情報は、サーバ装置18が提供するサービスの使用料および支払い方法などを示す。
【0064】
セキュリティ情報は、サーバ装置18が提供するサービスに対応するセキュリティプロトコルを示す。
【0065】
転送プロトコル情報は、サーバ装置18が提供するサービスを受けるための通信プロトコルおよびAPI(Application Program Interface)を示す。
【0066】
運営組織情報は、サーバ装置18のサービスを運営する企業、部門、団体あるいは個人などの名称・氏名および連絡方法などを示す。
【0067】
サービス依存属性は、サーバ装置18が提供するサービスのサービス種別ごとに設定され、サービスの品質、性能、付加機能、対応文書のフォーマット、対応言語、対応文字セットおよびドライバの入手先などを示す。
【0068】
[検索範囲設定部42]
図9は、図6に示した検索範囲設定部42の構成を示す図である。
図9に示すように、検索範囲設定部42は、クラスタリング部420、相互発見部422、検索範囲生成部424およびネットワーク解析部426から構成される。
【0069】
検索範囲設定部42は、これらの構成部分により、他のプライマリサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42に対して、図4に示したルータ装置22の段数およびデータ伝送容量など(ネットワーク情報)を問い合わせ、地理的空間の観点から求められるサービス検索範囲、および、ネットワーク空間の観点から求められる検索範囲を設定する。
【0070】
[クラスタリング部420]
検索範囲設定部42において、クラスタリング部420は、さらに、サービス情報収集部40から入力されるサービス情報(図8)の地理情報を処理して、自らが属するネットワーク12におけるサーバ装置18の地理的分布を、図2に示したようにクラスタリングし、クラスタを作成する。
さらに、サービス検索装置3は、上述のように作成したクラスタの緯度・経度座標の平均値(重心)を、そのクラスタの代表点とし、さらに、代表点から各サーバ装置18への距離の内、最長の距離を各クラスタの大きさ(クラスタサイズ)とする。
【0071】
図10は、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4;図6)の検索範囲設定部420(図9)がディレクトリ装置50に登録するクラスタ情報を示す図である。
図11は、図9に示したクラスタリング部420からサービス公開部44(図6)に対して出力されるサーバ分布情報を示す図である。
クラスタリング部420は、生成したこれらの情報の内、図10に示すように、クラスタの代表点およびクラスタサイズを含むクラスタ情報を、相互発見部422に対して出力する。
また、検索範囲設定部420は、図11に示すように、クラスタID、代表点、および、各クラスタに含まれるサーバ装置18それぞれが提供するサービス(サービスID)のリストを含むサーバ分布情報をサービス公開部44に対して出力する。
図10に示すサービス検索装置のネットワークアドレスの内容の例としては、「139.168.0.1」といったIPアドレス、「クラスタ代表点リスト」の内容の例としては、「E139°44’35.66”,N35°39’58.76”」・「E139°44’25.27”,N35°40’08.30”」といった緯度・経度、「クラスタサイズ」の内容の例としては、100mといった数値を挙げることができる。
また、図11に示す「代表点」の例として、クラスタID・C1の代表点「E139°44’35.66”,N35°39’58.76”」、クラスタID・C1の代表点「E139°44’25.27”,N35°40’08.30”」といった緯度・経度、「クラスタに属するサービス(サービスIDのリスト)」の例としてC1について「S3,S4」、C2にすいて「S1,S2」といったIDを挙げることができる。
【0072】
[相互発見部422]
図12は、図9に示した相互発見部422による相互発見処理およびディレクトリ装置への登録を示すフローチャートである。
1つのネットワーク12A〜D(以下、これらのいずれかを特定せずに示す場合には単に「ネットワーク12」とも記す)に複数のサービス検索装置3が存在する場合には、1つのネットワーク12内のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のいずれかがプライマリサービス検索装置3として動作し、他のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)がバックアップサービス検索装置3として動作する。
【0073】
ステップ100(S100)において、いずれかのネットワーク12において起動されたサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42の相互発見部422(図9)は、一斉同報通信により、同じネットワーク12の中の他のサービス検索装置3に対して応答を要求し、一定期間、応答を待つとともに、他のサービス検索装置3に自らの存在を公示する。
【0074】
ステップ102(S102)において、一斉同報通信(S100)を行った相互発見部4223は、プライマリサービス検索装置3からの応答があったか否かを判断し、応答があった場合にはS104の処理に進み、これ以外の場合にはS106の処理に進む。
【0075】
ステップ104(S104)において、一斉同報通信を行った相互発見部4223は、自らをバックアップサービス検索装置3と認識する。
この応答を返したプライマリサービス検索装置3は、一斉同報通信を行ったサービス検索装置3を、バックアップサービス検索装置として登録する。
【0076】
ステップ106(S106)において、一斉同報通信を行った相互発見部422は、自らが属するサーバ装置18をプライマリサービス検索装置3と認識し、あらかじめ設定されたディレクトリ装置50のネットワークアドレスを用いてディレクトリ装置50と通信する。
【0077】
[ディレクトリ装置50へのプライマリサービス検索装置3の登録]
さらに、一斉同報通信を行ったサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)の相互発見部422は、ディレクトリ装置50との通信により、ディレクトリ装置50に自らが属するサービス検索装置3のエントリがあり、アドレスおよびクラスタ情報(図10)が、既にプライマリサービス検索装置3の情報として登録されている場合には、その登録をそのままとする。
【0078】
また、相互発見部422は、他のサービス検索装置3のアドレスがプライマリサービス検索装置3として登録されている場合には、他のサービス検索装置3のエントリを消去し、自らが属するサービス検索装置3のエントリを作成し、作成したエントリに、自らが属するサービス検索装置3のネットワークアドレスおよびクラスタ情報(図10)を、プライマリサービス検索装置3の情報として登録する。
【0079】
また、ディレクトリ装置50にいずれのサービス検索装置3のネットワークアドレスも登録されていない場合には、相互発見部422は、ディレクトリ装置50に自らが属するサービス検索装置3のエントリを作成し、作成したエントリに、自らが属しているサービス検索装置3のアドレスおよびクラスタ情報(図10)を、プライマリサービス検索装置3の情報として登録する。
【0080】
各ネットワーク12のサービス検索装置3は、ネットワーク12Dのディレクトリ装置50にアクセスすることにより、任意のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のネットワークアドレスを得て通信を行うことができる。
【0081】
また、相互発見部422は、ディレクトリ装置50から他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のアドレスおよびクラスタ情報(図10)を受け、これらの情報を検索範囲生成部424に対して通知する。
また、相互発見部422は、他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のアドレスを、ネットワーク解析部426に通知する。
【0082】
[プライマリサービス検索装置とバックアップサービス検索装置]
以上のようにディレクトリ装置50に登録されたプライマリサービス検索装置3だけが、同じネットワーク内のクライアント装置に対してサービス検索機能を提供し、バックアップサービス検索装置3は、通常は、サービス検索機能の提供を行わない。
ただし、バックアップサービス検索装置3は、プライマリサービス検索装置3に登録され、プライマリサービス検索装置3に対して定期的にヘルスチェックを行い、正常に動作しているかをチェックする。
プライマリサービス検索装置3が正常動作していない場合には、バックアップサービス検索装置3同士でネゴシエーションを行い、いずれかのバックアップサービス検索装置3が、それまでのプライマリサービス検索装置3に代わって、サービス検索機能を提供する。
【0083】
[ネットワーク解析部426]
ネットワーク解析部426は、相互発見部422から入力された他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3の全てのアドレスに対して計測パケットを送信し、ネットワーク12A〜12Dの相互接続関係を解析する。
具体的には、例えば、ネットワーク解析部426は、TTL(Time To Live)を1つずつ増やしてICMPエコーパケットを送信し、プライマリサービス検索装置3と他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3との間の経路のルータ装置22(以下、ルータ装置22−1,22−2のいずれかを特定せず示す場合には単に「ルータ装置22」とも記す)の数を検知する。
【0084】
また、例えば、ネットワーク解析部426は、ICMPペアパケットを連続して送信するICMPエコーパケットと呼ばれる方法により、他のプライマリサービス検索装置3との間のデータ伝送容量を推定する。
ネットワーク解析部426は、以上の方法により得られたルータ装置22の数およびデータ伝送容量に基づいて、他のサービス検索装置3それぞれとの間のネットワーク空間における距離を示す情報として、例えば、高速にデータ伝送が可能と推定される順番に並べ、検索範囲生成部424に対して出力する。
【0085】
[検索範囲生成部424]
検索範囲生成部424は、サービス検索部46から入力される検索条件に基づいて、検索範囲とすべき他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のアドレス、および、検索範囲とすべきクラスタのクラスタ情報(図10)を含む検索範囲情報を生成し、サービス検索部46に返す。
入力される検索条件には、例えば、サービス種別、サーバ装置18の地理的位置を指定する検索対象地域、および、ネットワーク空間の観点から検索の対象とすべきネットワーク12を指定する検索対象ネットワークを示す情報が含まれ、サービス種別は必須とされ、他は適宜、省略可能な情報として扱われる。
【0086】
検索範囲生成部424は、検索対象地域が指定された場合には、相互発見部422から入力された他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のクラスタ情報(図10)に含まれるクラスタの代表点およびクラスタサイズに基づいて検索範囲を生成する。
この場合、検索範囲生成部424は、例えば、ネットワーク12A〜12Dのいずれに属するかにかかわらず、クライアント装置16(以下、クライアント装置がネットワーク12A〜12Dのいずれに属するかを特定しない場合には単に「クライアント装置16」とも記す)と地理的に近いクラスタを検索範囲に含める。
【0087】
また、検索範囲生成部424は、検索ネットワークが指定された場合には、相互発見部422から入力された他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のアドレスから、指定されたネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のアドレスを検索する。
【0088】
また、検索範囲生成部424は、検索対象領域および検索ネットワークの両方が省略された場合には、指定されたサービス種別を判断し、指定されたサービスが検索対象地域を考慮すべきときには、上述した検索対象地域が指定された場合の処理を行う。
また、この場合において、検索範囲生成部424は、検索の対象とされたサービスが、検索対象地域を考慮する必要がないときには、クライアント装置16に対して、ネットワーク空間の観点からの距離が近いクラスタ、あるいは、高速にデータ伝送を行えると推定されたクラスタを検索範囲に含める。
【0089】
[サービス公開部44]
図13は、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4;図6)のサービス公開部44の構成を示す図である。
図13に示すように、サービス公開部44は、検索処理部440および公開制御部442から構成される。
サービス公開部44は、これらの構成部分により、サービス検索部46からの検索条件に応じて、サービス情報収集部40のサービスデータベース(図7)を検索し、サービス情報に含まれる使用許諾情報に基づいてフィルタリング処理を行い、検索条件およびフィルタリングの条件を満たすサーバ装置18のサービス情報を、サービス検索部46に検索結果として返す。
【0090】
[サービス公開部440]
サービス公開部440は、サービス検索部46から入力される検索条件に基づいて、サービス情報収集部40のサービスデータベース(図7)を検索し、検索条件に合ったサーバ装置18のサービス情報を、検索結果として公開制御部442に対して出力する。
検索条件には、検索範囲設定部42から入力された検索範囲に含まれる全てのクラスタのクラスタID(図11)、および、サービスの検索を要求したクライアント装置16のネットワークアドレスを含む。
【0091】
なお、これらの情報の内、クラスタIDは省略可能であり、クラスタIDが省略された場合には、サービス公開部440は、サービス情報収集部40のサービスデータベース(図7)で検索可能な全てのクラスタに含まれるサーバ装置18を検索する。
クラスタIDが指定された場合には、サービス公開部440は、検索範囲設定部42から入力されるサーバ分布情報(図11)を参照し、指定されたクラスタに含まれるサーバ装置18のサービス情報を検索する。
【0092】
[公開制御部442]
公開制御部442は、検索条件に含まれるクライアント装置16のネットワークアドレスから、クライアント装置16が属するネットワーク12(要求元ネットワーク12)を判別する。
【0093】
[フィルタリング処理]
公開制御部442は、サービス公開部440から入力されたサービス情報(図8)の使用許諾情報を参照し、要求元ネットワークに対して公開可能なサービス情報をサービス検索部46に対して出力するフィルタリング処理を行う。
つまり、公開制御部442は、サービス公開部440から入力されたサービス情報の内、使用許諾情報が、そのサーバ装置18が属しているネットワーク12内に限り使用が許されることを示している場合、要求元ネットワーク12が、そのサーバ装置18が属しているネットワークであるときにのみ、サービス情報をサービス検索部46に対して出力し、その他の場合には、サービス検索部46に対して出力しない。
【0094】
あるいは、使用許諾情報が、特定のネットワーク12内においてのみ使用が許されることを示している場合、要求元ネットワーク12が、その特定のネットワークに含まれるときにのみ、サービス情報をサービス検索部46に対して出力し、その他の場合には、サービス検索部46に対して出力しない。
【0095】
[サービス検索部46]
サービス検索部46(図6)は、同じネットワーク12に含まれるクライアント装置16および他のネットワーク12のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46から検索要求を受け、この要求に含まれる検索条件および検索範囲設定部42から入力される検索範囲に基づき、サービス公開部44に対して、あるいは、他のネットワーク12のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)に対してサービス情報の検索を要求する。
また、サービス検索部46は、同じサービス検索プログラム4のサービス公開部44および他のネットワーク12のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)に対する問い合わせに応じて返ってきた検索結果を、検索要求を行ったクライアント装置16および他のサービス検索プログラム4のサービス検索部46に返す。
【0096】
以下、図14および図15を参照して、サービス検索部46の処理をさらに説明する。
【0097】
[同じネットワーク12からの検索要求]
図14は、同じネットワーク12(図4)に属するクライアント装置16からサービスの検索要求を受けたサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46(図6)の検索処理(S12)を示すフローチャートである。
ステップ120(S120)において、サービス検索部46は、同じネットワーク12に属するクライアント装置16からサービス検索要求(クエリー)を受信する。
【0098】
ステップ122(S122)において、サービス検索部46は、受信したサービス検索要求を解析する。
【0099】
ステップ124(S124)において、サービス検索部46は、検索条件を検索範囲設定部42に対して出力する。
【0100】
ステップ126(S126)において、サービス検索部46は、検索範囲設定部42から、検索範囲とすべき他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3のアドレス、および、検索範囲とすべきクラスタのクラスタ情報(図10)を含む検索範囲情報を受ける。
【0101】
サービス検索部46は、S140に含まれるS142〜S150の処理を、検索範囲内の全てのクラスタについて繰り返す。
ステップ142(S142)において、サービス検索部46は、検索範囲内のクラスタの1つについて、自らが属するネットワーク12に含まれているか否かを判断する。
そのクラスタが、自らが属するネットワーク12に含まれている場合にはS144の処理に進み、これ以外の場合にはS148の処理に進む。
【0102】
ステップ144(S144)において、サービス検索部46は、検索条件を生成し、サービス公開部44に対して検索を要求する。
【0103】
ステップ146(S146)において、サービス検索部46は、サービス公開部44から検索結果を受け取る。
【0104】
ステップ148(S148)において、サービス検索部46は、検索範囲のクラスタが属する他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3に対して、サービスの検索を依頼する。
【0105】
ステップ150(S150)において、サービス検索部46は、検索範囲のクラスタが属する他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3からサービス検索の結果を受け取る。
【0106】
ステップ160(S160)において、サービス検索部46は、サービス検索を依頼したクライアント装置16に対して、検索結果を返す。
【0107】
[他のネットワーク12からの検索要求]
図15は、他のネットワーク12(図4)に属するクライアント装置16からサービスの検索要求を受けたプライマリサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46(図6)の検索処理(S18)を示すフローチャートである。
ステップ180(S180)において、サービス検索部46は、自らが属さない他のネットワーク12のプライマリサービス検索装置3からサービス検索の要求を受信する。
【0108】
ステップ182(S182)において、サービス検索部46は、サービス検索要求を解析する。
【0109】
ステップ184(S184)において、サービス検索部46は、検索条件を生成し、サービス公開部44に対して検索を要求する。
【0110】
ステップ186(S186)において、サービス検索部46は、サービス公開部44から検索結果を受け取る。
【0111】
ステップ188(S188)において、サービス検索部46は、サービス検索の要求元のプライマリサービス検索装置3に対して送信する。
【0112】
[広域ネットワーク5の動作]
以下、広域ネットワーク5(図4)の全体的な動作を説明する。
【0113】
[サービス検索装置3の初期段階におけるサービス情報の収集]
まず、図12を参照して説明したようにディレクトリ装置50に登録されたプライマリサービス検索装置3が、ディレクトリ装置50への登録された直後(初期段階)において行うサービス情報の収集を説明する。
図16は、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4;図6)がディレクトリ装置50に登録された直後(初期段階)において行うサービス情報収集処理(S20)を示すフローチャートである。
図17は、図16に示したサービス検索装置3(サービス検索プログラム4;図6)の初期段階におけるサービス情報収集処理を示す図である。
【0114】
各ネットワーク12において、ディレクトリ装置50に対する登録(図12)を行ったプライマリサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス情報収集部40は、この登録に続いて、図16のステップ200(S200)において、一斉同報通信により、同じネットワーク12に属するサーバ装置18に対してサービス情報を要求するとともに、その存在を公示する(図17(1))。
【0115】
サーバ装置18は、プライマリサービス検索装置3からのサービス情報の要求を待ち受けており、サービス情報要求を受けると、サービス検索装置3に対してサービス情報を返す(図17(2))。
【0116】
ステップ202(S202)において、サービス情報収集部40は、サーバ装置18からサービス情報を受信する。
【0117】
ステップ204(S204)において、サービス情報収集部40は、S200の処理から一定期間内に受信したサービス情報を、サービスデータベース(図7)に登録する。
【0118】
ステップ206(S206)において、サービス情報収集部40は、サービス公開部44および検索範囲設定部42に、サービスデータベースの更新を通知する。
【0119】
[新たに接続されたサーバ装置18のサービス情報の収集]
以下、サーバ装置18がネットワーク12に追加されたときに行われるサービス情報の収集を説明する。
図18は、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4;図6)のサービス情報収集処理を示す図である。
図19は、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4;図6)のサービス情報収集処理(S22)を示すフローチャートである。
図18に示すように、それぞれのネットワーク12においてサーバ装置18が接続され、起動されると、サーバ装置18は、接続されたネットワーク12内に対して、自らの存在と提供するサービスに関する情報を、一斉同報通信により公示する(図18(1))。
【0120】
図19のステップ220(S220)に示すように、プライマリサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス情報収集部40(図6)は、サーバ装置18からの公示を待ち受けており、サーバ装置18からの公示を受信する。
【0121】
ステップ222(S222)において、プライマリサービス検索装置3は、一斉同報通信を行ったサーバ装置18に対してサービス情報を要求する(図18(2))。
サービス情報を要求されたサーバ装置18は、プライマリサービス検索装置3に対してサービス情報を返す(図18(3))。
【0122】
ステップ224(S224)において、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス情報収集部40は、サーバ装置18から返されたサービス情報を受信する。
【0123】
ステップ226(S226)において、サービス情報収集部40は、受信したサーバ装置18からのサービス情報が、既にサービスデータベース(図7)のエントリとして登録されているか否かを判断する。
登録されている場合にはS228の処理に進み、これ以外の場合にはS230の処理に進む。
【0124】
ステップ228(S228)において、サービス情報収集部40は、サービスデータベースを更新し、その旨を検索範囲設定部42およびサービス公開部44に通知する。
【0125】
ステップ230(S230)において、サービス情報収集部40は、受信したサーバ装置18のサービス情報をサービスデータベースに新規に登録する。
【0126】
ステップ232(S232)において、サービス情報収集部40は、データベースの更新を検索範囲設定部42およびサービス公開部44に通知する。
【0127】
[サービス情報の保持・消去]
以上説明したように各サーバ装置18からサービス情報を受けたプライマリサービス検索装置3は、各サーバ装置18からのサービス情報を、新たなサービス情報を受けることなく一定期間が経過するまで保持する。
図20は、サービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス情報収集部40がサービス情報を消去する処理(S24)を示すフローチャートである。
プライマリサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)のサービス情報収集部40は、図20に示すステップ240(S240)サービスデータベース(図7)の各エントリについて、最後に更新した後、一定時間が経過しているか否かを判断する。
一定期間が経過していない場合には、サービス情報収集部40は処理を終了する。
【0128】
ステップ222(S222)において、サービス情報収集部40は、サービスデータベースのエントリの内、一定期間が経過したエントリを消去する。
ステップ224(S224)において、サービス情報収集部40は、サービスデータベースの更新を検索範囲設定部42およびサービス公開部44に通知する。
【0129】
なお、サービス公開部44は、サーバ装置18から新たなサービス情報を受けた場合に、それまで保持していたサービス情報に代えて、新たに受けたサービス情報を記憶・保持し、検索範囲設定部42およびサービス公開部44にその旨を通知する。
サービスデータベースのエントリを保持する上記一定期間は、通常、プライマリサービス検索装置3の管理者により例えば2日程度に設定される。
この期間を2日程度にすると、プライマリサービス検索装置3が頻繁に終了・起動されたとしても、そのたびにサービス情報が消去されることはない。
【0130】
図21は、サービス検索装置3がディレクトリ装置50にクラスタ情報を登録する処理を示す図である。
サービス検索装置3(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42は、図21に示すように、上述のように作成した各クラスタと、それらの代表点およびクラスタサイズとを、クラスタ情報(図10)として、ディレクトリ装置50に登録する(図21(1))。
【0131】
[広域ネットワーク5の動作]
図22は、ネットワーク12Aのプライマリサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)の全体動作を示す第1の図である。
図23は、ネットワーク12Aのプライマリサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)の全体動作を示す第2の図である。
以下、図22,図23を参照して、ネットワーク12Aのプライマリサービス検索装置3Aを例として、ここまで説明した広域ネットワーク5の動作を全体を通して説明する。
【0132】
クライアント装置16A(図4)は、ネットワーク12A内に一斉同報通信を行い、ネットワーク12A内のプライマリサービス検索装置3Aに応答を要求する(図22(1))。
図23に示すように、ネットワーク12Aのプライマリサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46(図6)は、クライアント装置16Aからの一斉同報通信を待ち受けており、クライアント装置16Aからの一斉同報通信(図22(1))を受けると、応答を返す(図22(2))。
【0133】
クライアント装置16Aは、応答を返したプライマリサービス検索装置3Aに対して、クライアント装置16Aの地理情報(緯度・経度など)および検索条件を付して検索要求(クエリー)を出す(図22(3))。
クエリーに付される検索条件は、例えば、検索対象領域、検索対象ネットワークおよび検索使用とするサービスの条件(検索サービス条件)を含む。
サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46は、クライアント装置16Aからのクエリーを受けると、プライマリサービス検索装置3Aは検索を開始する。
【0134】
図23に示すように、サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46は、検索条件を検索範囲設定部42(図6)に通知する。
例えば、クエリーに検索対象領域および検索対象ネットワークが指定されていない場合には、プライマリサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42は、ネットワーク12Aの全領域を検索範囲とし、サービス検索部46に通知する。
【0135】
サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46は、サービス公開部44(図6)に対して検索条件を通知し、ネットワーク12Aに含まれるサーバ装置18Aのサービス情報の検索を依頼する。
サービス公開部44は、この依頼に応じて検索を実行し、検索結果をサービス検索部46に返す。
【0136】
また、例えば、クライアント装置16Aのクエリーに検索対象領域としてクライアント装置16Aの近傍が指定された場合、サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42は、クライアント装置16Aの所在地を含むネットワーク12A〜12Dのクラスタの全てを検索範囲に設定する。
サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46は、サービス公開部44に対して、ネットワーク12Aに設定された検索範囲内の全てのクラスタに含まれるサーバ装置18Aのサービス情報の検索を依頼し、サービス公開部44は、その依頼に応えてサービス情報を検索し、検索結果をサービス検索部46に返す。
【0137】
さらに、サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42は、ディレクトリ装置50に対して、他のネットワーク12B〜12Dのプライマリサービス検索装置3B〜3Dのアドレスを要求し(図22(4))、ディレクトリ装置50は、この要求に応えてサービス検索装置3B〜3Dのアドレスを検索し、検索の結果をサービス検索装置3Aの検索範囲設定部42に返す(図4(5))。
ディレクトリ装置50からのサービス検索装置3B〜3Dのアドレスは、サービス検索部46に通知される。
【0138】
サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42は、ネットワーク12B〜12Dサービス検索装置3B〜3D(サービス検索プログラム4)の検索範囲設定部42に対して、クライアント装置16Aの地理情報を付して、ネットワーク12B〜12Dにおいて、クライアント装置16Aの所在地を含むクラスタの中のサーバ装置18の検索を依頼する。
ネットワーク12B〜12Dのサービス検索装置3B〜3Dは、サービス検索装置3Aからの依頼に応じて、クライアント装置16Aの所在地を含むクラスタ内のサーバ装置18のサービス情報を検索し、検索結果をネットワーク12Aのサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46に返す(図22(7))
サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46は、サービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス公開部44、および、他のネットワーク12B〜12Dのサービス検索装置3B〜3Dから得られた検索結果をクライアント装置16Aに返す(図22(8))。
【0139】
[クラスタリング処理]
検索範囲設定部42は、サービス情報収集部40が収集したサービス情報(図8)に含まれる地理情報を処理して、ネットワーク12Aにおけるサーバ装置18Aを、図2に示したようにクラスタリングし、さらに、クラスタリングの結果として得られたクラスタそれぞれの重心およびクラスタサイズを求め、クラスタ情報(図10)を作成する。
検索範囲設定部42は、クラスタ分布情報(図11)を作成し、サービス公開部44に対して出力する。
【0140】
[検索処理]
同じネットワーク12A(図4)に属するクライアント装置16からサービスの検索要求を受けたサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4;図6)のサービス検索部46は、図14に示したように、検索範囲設定部42から検索範囲の設定を受け、同じサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス公開部44、および、他のネットワーク12B〜12Dのプライマリサービス検索装置3B〜3Dに対して出力して検索を依頼する。
【0141】
サービス公開部44は、使用許諾条件などに基づいてフィルタリング処理を行い、フィルタリングされた検索結果をサービス検索部46に返す。
サービス検索部46は、同じサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス公開部44から返された検索結果、および、他のネットワーク12B〜12Dのサービス検索装置3B〜3Dから返された検索結果を、クライアント装置16Aに対して送信する。
【0142】
他のネットワーク12B〜12D(図4)のいずれか(例えばネットワーク12B)に属するクライアント装置16B(図4に図示せず)からサービスの検索要求を受けたプライマリサービス検索装置3A(サービス検索プログラム4)のサービス検索部46(図6)は、図15に示したように、サービス公開部44に対して検索を要求し、フィルタリングされた検索結果を受け取る。
サービス検索部46は、サービス公開部44から受けた検索結果を、要求元のネットワーク12Bのサービス検索装置3Bに対して送信する。
要求元のサービス検索装置3Bは、同じネットワーク12Bに属する要求元のクライアント装置16Bに、他のネットワーク12A,12C,12Dから受けたサービス情報および同じサービス検索装置3B(サービス検索プログラム4)内部のサービス公開部44から受けたサービス情報をマージして返す。
【0143】
[変形例]
なお、以上、サービス検索装置3が、各サーバ装置18から、図18などに示した独自の通信シーケンスによってサービス情報を収集する場合を例にしたが、例えば、サービス検索装置3を、SNMPなどの既存のネットワーク管理プロトコルにより、サービス情報を集めるように変形することも可能である。
また、サービス検索装置3が、クライアント装置16に対してWebページを用いてサービス情報を提供してもよい。
【0144】
また、近辺のサービス検索装置同士があらかじめ通信を行い、それぞれが保持しているサービス情報を複製しあうことにより、検索を高速化することが可能である。
また、サービス検索装置3が、他のサービス検索装置3から得たサービス情報などをキャッシュに保持してもよい。
また、各サービス検索装置3に他の全てのサービス検索装置3のサービス情報を記憶しておき、地理的に近い検索範囲が設定された場合には、サービス検索装置3は、記憶しておいたサービス情報から検索処理を行うようにしてもよい。
また、サービス検索装置3は、クライアント装置16に送ったサービス情報から、実際にクライアント装置16により使用されたサーバ装置18を集計し、人気サービスとして検索処理に反映させてもよい。
【0145】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。
図24は、本発明にかかる第2のサービス検索プログラム7の構成を示す図である。
図24に示すように、サービス検索プログラム7は、サービス検索装置3(図6,図9)において、サービス検索プログラム4の代わりに用いられ、サービス検索プログラム4に、地理情報変換部48を加えた構成をとる。
サービス検索プログラム7は、上記構成により、サービス情報(図8)の地理情報として、サーバ装置18(図)の緯度・経度の代わりに行政区域名あるいは郵便番号などを用いて、サービス検索装置3と同様な機能を実現する。
【0146】
[地理情報変換部48]
サービス検索プログラム7において、地理情報変換部48は、サービス情報収集部40が収集したサービス情報に含まれるサーバ装置18それぞれの所在地の行政区域あるいは郵便番号を、緯度・経度情報に変換し、サービス情報収集部40に対して出力する。
【0147】
サービス検索プログラム7において、サービス情報収集部40は、地理情報変換部48から入力されたサーバ装置18それぞれの緯度・経度情報を用いて、サービス検索プログラム4においてと同様の処理を行う。
【0148】
[変形例]
なお、地理情報変換部48を、ディレクトリ装置50に備えて、多くのネットワーク12で地理情報変換部48を共用できるように広域ネットワーク5を構成してもよい。
また、地理情報変換部48を、サービス検索装置3(サービス検索プログラム7)の中に備えるのではなく、独立した装置として広域ネットワーク5に接続してもよい。
【0149】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態を説明する。
図25は、サービス検索プログラム4(図6,図8)において、検索範囲設定部42に置換される第2の検索範囲設定部52の構成を示す図である。
図25に示すように、検索範囲設定部52は、検索範囲設定部42の相互発見部422を、相互発見部520に変更した構成をとる。
サービス検索プログラム4において、検索範囲設定部42を検索範囲設定部50に置換することにより、ディレクトリ装置50を用いずに広域ネットワーク5を構成することができる。
【0150】
[相互発見部520]
検索範囲設定部52が用いられる広域ネットワーク5においては、サービス検索装置3は、ツリー構造の階層ネットワークを構成する。
サービス検索装置3それぞれには、管理者によって、設置時に1つ上位のサービス検索装置3のネットワークアドレスが設定され、相互発見部520は、1つ上位のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)の相互発見部520と通信を行い、1つ上位のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)に自らのネットワークアドレスを登録し、1つ下位のサービス検索装置3のネットワークアドレスの通知を受け取る。
【0151】
さらに、相互発見部520は、上位および下位のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)との間で順次、通信を行い、さらに上位およびさらに下位のサービス検索装置3のクラスタ情報(図10)を順次、受信する。
以上の処理により、各ネットワーク12のサービス検索装置3(サービス検索プログラム4)の相互発見部520は、広域ネットワーク5全体のサービス検索装置3およびクラスタ情報を受信することができる。
相互発見部520は、受信した各ネットワーク12のサービス検索装置3のネットワークアドレスおよびクラスタ情報を、検索範囲生成部424およびネットワーク解析部426に対して出力する。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるサービス検索装置およびその方法によれば、ネットワークにおいて、いずれのノードがどのようなサービスを提供しているかを検索し、サービスを受けようとしているノードに対して提供することができる。
また、本発明にかかるサービス検索装置およびその方法によれば、ネットワークにおけるトラヒックを過度に増加させることなく、しかも、短い処理時間でサービスを検索することができる。
また、本発明にかかるサービス検索装置およびその方法によれば、複数のネットワークに渡って容易にサービスを検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数のネットワークを含む広域ネットワークの構成を模式的に例示する図である。
【図2】図1に示した広域ネットワークにおけるクライアント装置およびサーバ装置の地理的空間の観点からの位置関係を示す図である。
【図3】ネットワーク中継装置(R2)を介してネットワークを追加した広域ネットワーク(図1,2)において、クライアント装置およびサーバ装置のネットワーク空間の観点からの地理的位置関係を示す図である。
【図4】本発明にかかるサービス検索装置が用いられた第2の広域ネットワークの構成を例示する図である。
【図5】図4に示したサービス検索装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】図4に示したサービス検索装置において、サービス検索を実行するサービス検索プログラムの構成を示す図である。
【図7】サービス検索装置(サービス検索プログラム)のサービス情報収集部(図6)が保持するサービス情報を示す図である。
【図8】サーバ装置からプライマリサービス検索装置に伝送されるサービス情報を示す図である。
【図9】図6に示した検索範囲設定部の構成を示す図である。
【図10】サービス検索装置(サービス検索プログラム;図6)の検索範囲設定部(図9)がディレクトリ装置に登録するクラスタ情報を示す図である。
【図11】図9に示したクラスタリング部からサービス公開部(図6)に対して出力されるサーバ分布情報を示す図である。
【図12】図9に示した相互発見部による相互発見処理およびディレクトリ装置への登録を示すフローチャートである。
【図13】サービス検索装置(サービス検索プログラム;図6)のサービス公開部の構成を示す図である。
【図14】同じネットワーク(図4)に属するクライアント装置からサービスの検索要求を受けたサービス検索装置(サービス検索プログラム)のサービス検索部46(図6)の検索処理(S12)を示すフローチャートである。
【図15】他のネットワーク(図4)に属するクライアント装置からサービスの検索要求を受けたプライマリサービス検索装置(サービス検索プログラム)のサービス検索部(図6)の検索処理(S18)を示すフローチャートである。
【図16】サービス検索装置(サービス検索プログラム;図6)がディレクトリ装置に登録された直後(初期段階)において行うサービス情報収集処理(S20)を示すフローチャートである。
【図17】図16に示したサービス検索装置(サービス検索プログラム;図6)の初期段階におけるサービス情報収集処理を示す図である。
【図18】サービス検索装置(サービス検索プログラム;図6)のサービス情報収集処理を示す図である。
【図19】サービス検索装置(サービス検索プログラム;図6)のサービス情報収集処理(S22)を示すフローチャートである。
【図20】サービス検索装置(サービス検索プログラム)のサービス情報収集部40がサービス情報を消去する処理(S24)を示すフローチャートである。
【図21】サービス検索装置がディレクトリ装置にクラスタ情報を登録する処理を示す図である。
【図22】ネットワーク12Aのプライマリサービス検索装置(サービス検索プログラム)の全体動作を示す第1の図である。
【図23】ネットワークのプライマリサービス検索装置(サービス検索プログラム)の全体動作を示す第2の図である。
【図24】本発明にかかる第2のサービス検索プログラムの構成を示す図である。
【図25】本発明にかかる第2の検索範囲設定部の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,5・・・広域ネットワーク
10・・・地理空間
12・・・ネットワーク
16・・・クライアント装置
18・・・サーバ装置
22・・・ルータ装置
24・・・ファイヤウォール装置
3・・・サービス検索装置
4,7・・・サービス検索プログラム
40・・・サービス情報収集部
42,52・・・検索範囲設定部
420・・・クラスタリング部
422,520・・・相互発見部
424・・・検索範囲生成部
426・・・ネットワーク解析部
44・・・サービス公開部
440・・・検索処理部
442・・・公開制御部
46・・・サービス検索部
48・・・地理情報変換部
52・・・検索範囲設定部
50・・・ディレクトリ装置

Claims (2)

  1. ネットワークに含まれるクライアント装置から、クライアント装置の地理的情報が付された検索条件を受けて、前記ネットワークに含まれるサービス提供装置が提供するサービスを検索するサービス検索装置であって、前記ネットワークは複数の領域を含み、前記サービス検索装置は、前記複数の領域それぞれに1つ以上ずつ置かれ、
    前記サービス検索装置が置かれた領域内において提供されるサービスの情報であって、このサービスを提供する前記サービス提供装置の地理的情報を含むサービス情報を収集するサービス情報収集処理と、
    前記ネットワークにおける前記サービス提供装置の地理的情報に基づいて、前記サービスの前記ネットワークにおけるサービスの検索範囲であって、前記複数の領域の1つ以上それぞれの一部または全部を含む前記検索範囲を設定する検索範囲設定手段であって、
    前記収集されたサービス情報に含まれる前記サービス提供装置の地理的情報に基づいて、前記サービス検索装置が置かれた領域に含まれるサービス提供手段の所在地をクラスタリングした結果として得られるクラスタの代表点およびサイズを示すクラスタ情報を生成するクラスタリング処理と、
    他の領域において生成されたクラスタ情報を収集するクラスタ情報収集処理と、
    前記検索条件に付されたクライアント装置の地理的情報と、同じ領域および他の領域において生成されたクラスタ情報とに基づいて、前記クライアント装置からのネットワークの距離が近いクラスタを含む検索範囲を設定する検索範囲設定処理と
    を行う検索範囲設定手段と、
    前記収集されたサービス情報から、前記設定された範囲において提供されるサービスを検索するサービス情報検索処理手段と
    を有するサービス検索装置。
  2. 前記ネットワークは、
    前記ネットワークに含まれるサービス検索装置を登録する登録装置
    を有し、
    前記サービス検索装置は、
    一斉同報処理により、同じネットワーク内の他の前記サービス検索装置に対して応答を求める一斉同報処理と、
    前記一斉同報処理に応じて、他の前記サービス検索装置から応答がなかったときには、このサービス検索処理装置を、前記ネットワークにおけるサービス検索処理を行うプライマリサービス検索処理装置として、前記登録装置に登録し、他の前記サービス検索装置から応答があったときには、このサービス検索処理装置を、前記プライマリサービス検索処理装置をバックアップするバックアップサービス検索処理装置として、前記登録装置に登録する登録処理と
    を行う登録手段
    を有し、
    前記登録装置に登録されたサービス検索装置のみが、このサービス検索装置を含むネットワークにおけるサービスの検索を行う
    請求項1に記載のサービス検索装置。
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