JP3999911B2 - A heavy oil composition - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、A重油組成物に関する。更に詳しくは、近年の高性能エンジンへ十分な性能を持ち、かつ、優れた低温流動性を有するA重油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
A重油はボイラー燃料やディーゼルエンジン燃料として用いられているが、近年A重油に使用されるエンジンの高出力化及び低燃費化等に伴い、A重油としては、より高性能化の要望が年々高まっている。これら高性能エンジンの燃料としてA重油を用いた場合、着火性の悪化や、煤の発生が増大してバーナー及び炉内の清掃頻度が増えるといった燃焼性に関する問題が生じることがある。
一方、A重油としては、ガソリンや灯油に比べ重質分をより多く含んでいるため、低温時のワックス析出が問題となることがある。低温時におけるワックス析出は、燃料系統中の夾雑物防止用のフィルターを閉塞させ、最悪の場合燃料供給が不可能となる恐れがある。
低温時のワックス析出を抑える方法としては、流動性向上剤を添加する方法が一般的であるが、実際の厳しい冬期の使用条件下では充分な効果が発揮できないのが現状である。また、従来は低温時のフィルター目詰まり性の判断に、目詰まり点による試験が用いられてきた。この試験方法では流動性向上剤を添加することにより、低温流動性が改善されるが、この試験方法は試料油の冷却速度が早く急冷(約40℃/時間)であるため、実際の使用条件下とは大きく異なる。冷却速度が遅ければ遅いほど、析出するワックスが大きくなりフィルターの目詰まりを起こすことが知られており、目詰まり点による評価では不十分であることが分かっている。
一般に、低温性能に優れたA重油は、燃焼性が悪くなる場合が多く、これら全ての性能を同時に満たすA重油が望まれている。
本発明の目的は、近年の高性能エンジンへの使用に耐え得り、かつ冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさないA重油組成物を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ナフテン分を特定の範囲とした場合に、燃焼性が高く、かつ、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさないことを見出し本発明を完成させるに至った。
つまり、本発明のA重油組成物は、ナフテン分が40質量%以上であることを特徴とする。
また、本発明のA重油組成物は、水素化分解軽油及びエキストラクトを用いて得られたものであることが好ましい。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のA重油組成物は、ナフテン分が40質量%以上であることが必要である。
ナフテン分は、燃焼性、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりの防止などの点を、全て同時に満たすことができ、かつこれらの効果により優れることから、A重油組成物全量基準でナフテン分が40質量%以上であることが必要であり、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが最も好ましい。
ナフテン分には、一環ナフテン分、二環ナフテン分、三環以上の多環ナフテン分が含まれ、これらここの成分の含有量については特に制限はない。しかしながら、燃焼性、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりの防止などの点を、全て同時に満たすことができ、かつこれらの効果にさらにより優れることから、このうち一環ナフテン分がA重油組成物全量基準で25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることが最も好ましい。
本発明において、ナフテン分および一環ナフテン分とは、ASTM D2786「質量分析法」に準拠して得られたA重油全量を基準とした値を表すものを意味している。
【0005】
また、本発明のA重油の飽和分、芳香族分については特に制限はない。しかしながら、燃焼性、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりの防止等の点から、飽和分が55容量%以上であることが好ましく、60%容量以上であることがより好ましく、65容量%以上であることがさらにより好ましく、70%容量以上であることが特に好ましく、75容量%以上であることが最も好ましい。また、燃焼性の低減等の点から、芳香族分が45容量%以下であることが好ましく、35容量%以下であることがより好ましく、30容量%以下であることがさらにより好ましく、25容量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、飽和分及び芳香族分とは、JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準拠して測定された値を表すものを意味している。
また、飽和分にはノルマルパラフィンが含まれるが、この量についても特に制限はない。しかしながら、低温時のワックス析出を減少させる点から、ノルマルパラフィンは20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、ノルマルパラフィン分は、以下に示すガスクロマトグラフィー法により定量されるA重油組成物全量を基準としたノルマルパラフィン分の含有量を表すものを意味している。
1)カラム:ステンレス製 内径0.25mm、長さ25m
2)インジェクション温度:360℃
3)キャリアーガス:ヘリウム
4)検出器:水素炎イオン化方式(FID)
5)カラム温度速度:8℃/min(140−355℃)
また、本発明において、A重油組成物のセタン指数、セタン価については特に制限はないが、燃焼性により優れる点から、セタン指数が58以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、セタン価が58以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、62以上であることが最も好ましい。
本発明において、セタン指数はJIS K 2204−1992「軽油」に準拠して得られた値を表すものを意味している。つまり次の式によって算出する。
セタン指数(C)=0.49083+1.06577(X)−0.0010522(X)2
X=97.833(logA)2+2.2088BlogA+0.01247B2−423.51logA
−4.7808B+419.59
A:(9/5)[101.3kPa(760mmHg)における50%留出温度(℃)]+32
B:API度
(101.3kPa(760mmHg)における50%留出温度(℃)は、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定し、API度は、JISK 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」によって15℃の密度から換算して求める。)
また、セタン価とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
また、本発明において、A重油組成物の曇り点については、燃料系統中の夾雑物阻止用のフィルターを閉塞させる低温時のワックス析出を減少させる点から、−8℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−12℃以下であることがさらにより好ましく、−15℃以下であることが最も好ましい。
本発明のA重油組成物は、流動点については特に制限はないが、低温時のワックス析出を減少させる点から、−15℃以下であることが好ましい。
本発明において、曇り点及び流動点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0006】
また、本発明のA重油組成物のCFPP(目詰まり点)については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止の点により優れることから、−10℃以下であることが好ましく、−12℃以下であることがより好ましく、−15℃以下であることが最も好ましい。
本発明において、CFPPとは、JIS K 2288「軽油−目詰まり点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物の−10℃におけるワックス含有量については特に制限はないが、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりの防止の点により優れることから、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、−10℃におけるワックス含有量とは、メンブランフィルター、メチルエチルケトン−アセトン混合溶剤及び試料を−10℃まで冷却し、試料17gを、目開き5.0μmのメンブランフィルターで吸引ろ過し、フィルター上のワックスをメチルエチルケトン−アセトン混合溶剤30mlで洗浄した後、フィルターに捕集したワックス量を測り、試料全量に対するワックス量を表すものを意味している。
また、本発明のA重油組成物の硫黄分、窒素分については特に制限はないが、排ガス中の有害物質を低減するには、硫黄分は0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以下であることが最も好ましい。窒素分は0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、硫黄分、窒素分とは、それぞれ、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」、JIS K 2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の10%残留炭素分は0.2重量%以上であり、好ましくは0.2〜1.0重量%である。この範囲より小さい場合、10%残留炭素分が0.2重量%以上というA重油の免税条件を満たさなくなる。また、10%残留炭素分が好ましい範囲より多くなった場合、色相が悪くなり商品のイメージが悪くなる、ドライスラッジが増え、常温でフィルターに目詰まりを起こしやすくなる、低温流動性に悪影響を及ぼす等の恐れがある。
本発明において、10%残留炭素分とは、JIS K 2270「原油及び石油製品−残留炭素分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油の色相については特に制限はないが、商品のイメージ及び常温及び低温時のフィルター目詰まりの点から、7.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることが最も好ましい。
本発明において、色相とは、JIS K 2580「石油製品−色試験方法」に準拠して得られる「ASTM色」を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物のアスファルテン分は特に制限はないが、色相やドライスラッジによる常温でのフィルター目詰まり、低温流動性等の点から、0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましく、0.002質量%以下であることが最も好ましい。
本発明において、アスファルテン分とは、IP143「アスファルテン分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物のドライスラッジ量については特に制限はないが、常温でのフィルター目詰まりが起こり難くなる点から、2.0mg/100ml以下であることが好ましく、1.5mg/100ml以下であることがより好ましく、1.0mg/100ml以下であることが最も好ましい。
本発明において、ドライスラッジ量とは、常温において、試料を目開き1.2μmのフィルターで吸引ろ過し、ろ過後のフィルター及びフィルター上の残留物をn−ヘプタンで洗浄し乾燥後残留物の質量から、試料100ml当りの残留物の質量で表される値を意味している。
また、本発明のA重油組成物の蒸留性状については何ら制限はないが、通常は下記性状を満たすものが用いられる。
蒸留初留点: 130〜210℃
T10: 180〜260℃
T50: 250〜330℃
T90: 300〜380℃
本発明において、上記蒸留性状は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に準拠して得られる値を意味している。
本発明のA重油組成物の動粘度については特に制限はないが、通常30℃で3〜5mm2/s、50℃で2〜3.5mm2/sのものが用いられる。
本発明において、動粘度とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の引火点については特に制限はないが、通常50〜120℃のものが用いられる。
本発明において、引火点とは、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の総発熱量については特に制限はないが、通常35000〜50000J/gのものが用いられる。
本発明において、総発熱量とは、JIS K 2279「原油及び石油製品−発熱量試験方法及び計算による推定方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の水分含有量については特に制限はないが、通常0.05容量%以下のものが用いられる。
本発明において、水分含有量とは、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
本発明のA重油組成物の密度については特に制限はないが、通常0.8〜0.92g/cm3のものが用いられる。
本発明において、密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に準拠して得られた値を表すものを意味している。
【0007】
本発明のA重油組成物の製造方法は特に限定されず従来周知の任意の方法を用いることができ、通常A重油基材に残留炭素付与用基材を混合し、必要に応じて添加剤を配合して製造される。
A重油基材としては、常圧蒸留装置より得られる直留灯油(又は脱硫処理した灯油)、直留軽質軽油(又は脱硫処理した軽質軽油)、直留重質軽油(又は脱硫処理した重質軽油)、流動接触分解装置及び/又は残渣流動接触分解装置より得られる軽質サイクル油、減圧蒸留装置より得られる減圧軽油を水素化脱硫した水素化脱硫減圧軽油、水素化分解装置より得られる水素化分解軽油、直接A重油脱硫装置より得られる直脱軽油等が挙げられる。これらの中の1種のみを使用しても良く、2種以上を混合しても良い。
これらの中でも、燃焼性、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりの防止等の点を、全て同時に満たすことができ、かつこれらの効果により優れることから、水素化分解軽油を使用することが好ましい。
ここでいう、水素化分解軽油とは、水素化分解装置から得られる、軽油留分である。具体的には、その蒸留性状として、50%留出点が250〜350℃であり、15℃の密度が0.810〜0.880g/cm3の範囲である。水素化分解装置は、重質軽油等をアモルファス系Ni−Mo触媒等の触媒条件下で、8〜15MPaの運転水素圧力下、330〜450℃の運転反応温度で、液空間速度0.1〜1.0/hの条件で水素化分解と同時に脱硫及び脱窒素を行う。
また、残留炭素分付与用基材としては、常圧残油、直脱残油、減圧残油、エキストラクト、スラリー油等が挙げられる。これらの中の1種のみを使用しても良く、2種以上を混合しても良い。
これらの中でも、エキストラクトを使用することが好ましい。特に、A重油基材として水素化分解軽油を使用した場合には、色相やドライスラッジ生成によるフィルター目詰まりの点から、エキストラクトを使用することが好ましい。
ここでいうエキストラクトとは、フルフラール等の溶剤を用いて潤滑油中の芳香族分を除く工程で副生する高芳香族分の油であり、具体的には、その性状として、15℃の密度が0.95〜1.05g/cm3、100℃における動粘度が5〜100mm2/s、硫黄分が0.5〜5.0質量%である。
本発明のA重油組成物は上記した通り、水素化分解軽油及びエキストラクトを使用することが好ましいが、両者の配合量については特に制限はない。
しかしながら、その効果を十分に発揮させるためには、水素化分解軽油をA重油組成物全量基準で50%以上使用することが好ましく、75%以上使用することがより好ましく、85%以上使用することがさらにより好ましく、90%以上使用することが最も好ましい。また、残留炭素分についての免税条件を満たすために、通常は99.5容量%以下、好ましくは99容量%以下で使用される。
また、残留炭素分についての免税条件を満たすために、エキストラクトは通常A重油組成物全量基準で0.5容量%以上、好ましくは1容量%以上で使用される。また、ドライスラッジによる常温でのフィルター目詰まり、低温流動性等を考慮すると、5容量%以下で使用されることが好ましく、3容量%以下で使用されることがより好ましい。
また、添加剤としては、セタン価向上剤、酸化防止剤、安定化剤、分散剤、金属不活性化剤、微生物殺菌剤、助燃剤、帯電防止剤、識別剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられ、これら添加剤を適宜加えることができる。
これらの中でも、冬期においてワックスによるフィルター目詰まりを防止する効果により優れることから、流動性向上剤を添加することが好ましい。流動性向上剤としては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリマー型添加剤、油溶性分散剤型添加剤及びアルケルコハク酸等を用いることが出来る。
また、流動性向上剤の添加量については何ら制限はないが、A重油組成物全量基準で0.001〜0.1容量%であることが好ましく、0.01〜0.03質量%であることがより好ましい。
【0008】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1
表1に示す性状を有する各基材(水素化分解軽油、直留軽油、分解軽油、エキストラクト)を表2の各例に示すような容量比で混合し、実施例1〜3及び比較例1のA重油組成物を調製し、これら調整した各組成物の性状を表2に記載した。
各試料油(各組成物)について、低温流動性性能評価及び燃焼性性能評価を下記の方法により行った。その結果を表2に併記した。
低温流動性性能評価
以下の方法により、低温時における燃料フィルター前後での負圧の大きさを測定し低温流動性の性能評価を行った。
試験器としては、ビニールハウス栽培の加温用に使用されている暖房機のバーナー部分と、それに付帯する燃料フィルター(100メッシュ)からなる低温流動性試験器を用いて行った。
試験条件は冬期の厳しい外気温度変化をもとに、冷却速度0.5℃/h、冷却開始温度5℃、ソーキングは試験温度で5時間とした。
判定は燃料フィルター前後で負圧を1時間測定し、測定時間中負圧が700mmHg以下である場合を合格とし、測定時間中に負圧が700mmHgより大きくなることがあった場合を不合格とした。負圧測定が合格となる最低温度を表2に示した。
燃焼性性能評価
以下の方法により、着火遅れを測定することにより燃焼性の性能評価を行った。着火遅れは、エンジン性能、排ガスに悪影響を与え、特に近年の高性能エンジンにおけるトラブルの主要原因となる。
燃焼室の容積が1リットルである燃料着火性試験機を用い、圧力45バーレル、温度450℃の空気中に燃料を噴射して、噴射から着火するまでの時間を測定した。その結果を表2に示した。
【0009】
【表1】
【表2】
【0011】
表2の結果から明らかなように、本発明にかかる実施例1〜3のA重油組成物は、いずれも着火性がよく燃焼性に優れ、近年の高性能エンジンへ十分な性能を持ち、かつ優れた低温流動性を有することが分かる。
これに対して、ナフテン分が規定値未満の比較例1は低温流動性及び燃焼性が悪い。
【0012】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、燃焼性が高く、近年の高性能エンジンへの使用に耐え得り、かつ、冬期においてワックスによるフィルターの目詰まりを起こさないA重油組成物が得られる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an A heavy oil composition. More specifically, the present invention relates to an A heavy oil composition that has sufficient performance for recent high-performance engines and has excellent low-temperature fluidity.
[0002]
[Prior art and problems to be solved by the invention]
Fuel oil A is used as boiler fuel and diesel engine fuel, but with the recent increase in output and fuel efficiency of engines used in fuel oil A, demand for higher performance is increasing year by year. ing. When heavy fuel oil A is used as the fuel for these high-performance engines, there may be a problem related to combustibility such as deterioration of ignitability and increased occurrence of soot and increased frequency of cleaning in the burner and the furnace.
On the other hand, since A heavy oil contains more heavy components than gasoline and kerosene, wax precipitation at low temperatures may be a problem. Wax precipitation at low temperatures may clog a filter for preventing contaminants in the fuel system, and in the worst case, fuel supply may not be possible.
As a method for suppressing wax precipitation at low temperatures, a method of adding a fluidity improver is common, but under the actual severe winter conditions, a sufficient effect cannot be exhibited. Conventionally, a test based on a clogging point has been used to judge the filter clogging property at low temperatures. In this test method, the low temperature fluidity is improved by adding a fluidity improver. However, since this sample method has a rapid cooling rate (about 40 ° C./hour) of the sample oil, the actual use conditions Very different from below. It is known that the slower the cooling rate, the larger the precipitated wax and the clogging of the filter, and the evaluation based on the clogging point is insufficient.
In general, A heavy oil excellent in low-temperature performance often has poor flammability, and A heavy oil satisfying all these performances is desired.
An object of the present invention is to provide an A heavy oil composition that can withstand use in recent high-performance engines and that does not cause clogging of the filter by wax in winter.
[0003]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above problems, the present inventors have found that when the naphthene content is in a specific range, the flammability is high and the filter is not clogged with wax in winter. The inventor has completed the present invention.
That is, the A heavy oil composition of the present invention is characterized in that the naphthene content is 40% by mass or more.
Moreover, it is preferable that the A heavy oil composition of this invention was obtained using hydrocracked light oil and an extract.
[0004]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention is described in further detail below.
The A heavy oil composition of the present invention is required to have a naphthene content of 40% by mass or more.
The naphthene content can satisfy all of the points such as flammability and prevention of clogging of the filter by wax in winter, and is excellent in these effects. Therefore, the naphthene content is 40 mass on the basis of the total amount of the A heavy oil composition. % Or more, preferably 45% by mass or more, more preferably 50% by mass or more, and most preferably 55% by mass or more.
The naphthene content includes a partial naphthene content, a bicyclic naphthene content, and a tricyclic or higher polycyclic naphthene content, and the content of these components is not particularly limited. However, it is possible to satisfy all of the points such as flammability and prevention of filter clogging by wax in winter, and even more excellent in these effects. It is preferably 25% by mass or more, more preferably 30% by mass or more, and most preferably 35% by mass or more.
In the present invention, the naphthene content and the partial naphthene content mean values representing a value based on the total amount of heavy oil A obtained in accordance with ASTM D2786 “mass spectrometry”.
[0005]
Moreover, there is no restriction | limiting in particular about the saturated part and aromatic part of A heavy oil of this invention. However, from the viewpoints of flammability and prevention of filter clogging with wax in winter, the saturation content is preferably 55% by volume or more, more preferably 60% capacity or more, and 65% by volume or more. Is more preferably 70% or more, and most preferably 75% or more. In view of reducing combustibility, the aromatic content is preferably 45% by volume or less, more preferably 35% by volume or less, still more preferably 30% by volume or less, and 25% by volume. % Is most preferred.
In the present invention, the term “saturated component” and “aromatic component” mean values representing values measured according to JPI-5S-49-97 “Hydrocarbon Type Test Method—High Performance Liquid Chromatograph Method”.
Further, the saturated component contains normal paraffin, but there is no particular limitation on this amount. However, the normal paraffin content is preferably 20% by mass or less, and more preferably 15% by mass or less from the viewpoint of reducing wax precipitation at low temperatures.
In the present invention, the normal paraffin content means what represents the content of the normal paraffin content based on the total amount of the A heavy oil composition determined by the gas chromatography method shown below.
1) Column: stainless steel, inner diameter 0.25mm, length 25m
2) Injection temperature: 360 ° C
3) Carrier gas: Helium 4) Detector: Hydrogen flame ionization method (FID)
5) Column temperature rate: 8 ° C / min (140-355 ° C)
In the present invention, the cetane index and cetane number of the A heavy oil composition are not particularly limited, but the cetane index is preferably 58 or more and more preferably 60 or more from the viewpoint of superior flammability. The cetane number is preferably 58 or more, more preferably 60 or more, and most preferably 62 or more.
In the present invention, the cetane index means a value obtained in accordance with JIS K 2204-1992 “light oil”. That is, it is calculated by the following formula.
Cetane index (C) = 0.49083 + 1.06577 (X)-0.0010522 (X) 2
X = 97.833 (log A) 2 +2.2088 B log A + 0.01247 B 2 −423.51 log A
-4.7808B + 419.59
A: (9/5) [50% distillation temperature at 101.3 kPa (760 mmHg) (° C.)] + 32
B: API degree (50% distillation temperature (° C.) at 101.3 kPa (760 mmHg) is measured according to JIS K2254 “Petroleum product-distillation test method”, and API degree is determined according to JISK 2249 “Crude oil and petroleum product—density test method”. And the density / mass / capacity conversion table ”.
The cetane number means a value obtained in accordance with JIS K 2280 “Petroleum products—fuel oil—octane number and cetane number test method and cetane index calculation method”.
Further, in the present invention, the cloud point of the heavy fuel oil composition A is preferably −8 ° C. or less from the viewpoint of reducing wax precipitation at a low temperature that clogs the filter for preventing impurities in the fuel system, It is more preferably −10 ° C. or lower, even more preferably −12 ° C. or lower, and most preferably −15 ° C. or lower.
The A heavy oil composition of the present invention is not particularly limited with respect to the pour point, but is preferably −15 ° C. or lower from the viewpoint of reducing wax precipitation at low temperatures.
In the present invention, the cloud point and pour point mean values obtained in accordance with JIS K 2269 “Pour point of crude oil and petroleum products and petroleum product cloud point test method”.
[0006]
The CFPP (clogging point) of the A heavy oil composition of the present invention is not particularly limited, but it is preferably −10 ° C. or lower because it is superior in terms of preventing filter clogging due to wax in winter. It is more preferably −12 ° C. or lower, and most preferably −15 ° C. or lower.
In the present invention, CFPP means a value obtained in accordance with JIS K 2288 “Diesel Oil—Clogging Point Test Method”.
The wax content at −10 ° C. of the heavy oil composition A of the present invention is not particularly limited, but is 1.0% by mass or less because it is more excellent in preventing filter clogging due to wax in winter. Is preferable, 0.5 mass% or less is more preferable, and 0.3 mass% or less is most preferable.
In the present invention, the wax content at −10 ° C. means that the membrane filter, methyl ethyl ketone-acetone mixed solvent and the sample are cooled to −10 ° C., and 17 g of the sample is suction filtered through a membrane filter having an opening of 5.0 μm. The above wax is washed with 30 ml of a methyl ethyl ketone-acetone mixed solvent, and the amount of wax collected on the filter is measured to represent the amount of wax relative to the total amount of the sample.
The sulfur content and nitrogen content of the A heavy oil composition of the present invention are not particularly limited. However, in order to reduce harmful substances in the exhaust gas, the sulfur content is preferably 0.5% by mass or less. It is more preferably 3% by mass or less, and most preferably 0.2% by mass or less. The nitrogen content is preferably 0.02% by mass or less, more preferably 0.015% by mass or less, and most preferably 0.01% by mass or less.
In the present invention, the sulfur content and the nitrogen content were obtained in accordance with JIS K 2541 “Crude oil and petroleum products—sulfur content test method” and JIS K 2609 “Crude oil and petroleum products—nitrogen content test method”, respectively. Means something that represents a value.
The 10% residual carbon content of the A heavy oil composition of the present invention is 0.2% by weight or more, preferably 0.2 to 1.0% by weight. If it is smaller than this range, the 10% residual carbon content does not satisfy the tax exemption condition of heavy oil A, which is 0.2% by weight or more. In addition, if the 10% residual carbon content exceeds the preferable range, the hue becomes worse and the image of the product becomes worse, the dry sludge increases, the filter tends to be clogged at room temperature, and the low temperature fluidity is adversely affected. There is a fear.
In the present invention, 10% carbon residue means a value obtained in accordance with JIS K 2270 “Crude oil and petroleum products—residual carbon content test method”.
Although there is no restriction | limiting in particular about the hue of A heavy oil of this invention, From the point of the image of goods and the filter clogging at the time of normal temperature and low temperature, it is preferable that it is 7.0 or less, and it is more preferable that it is 6.0 or less. Preferably, it is most preferably 5.0 or less.
In the present invention, “hue” means “ASTM color” obtained in accordance with JIS K 2580 “Petroleum products—color test method”.
The asphaltene content of the A heavy oil composition of the present invention is not particularly limited, but is preferably 0.01% by mass or less from the viewpoints of filter clogging at room temperature due to hue and dry sludge, low temperature fluidity, and the like. It is more preferably 0.005% by mass or less, and most preferably 0.002% by mass or less.
In the present invention, the asphaltene content means a value representing a value obtained in accordance with IP143 “Asphaltene content test method”.
Although there is no restriction | limiting in particular about the amount of dry sludge of A heavy oil composition of this invention, From the point that filter clogging does not occur easily at normal temperature, it is preferable that it is 2.0 mg / 100 ml or less, and 1.5 mg / 100 ml or less More preferably, it is 1.0 mg / 100 ml or less.
In the present invention, the amount of dry sludge means that the sample is suction filtered with a filter having a mesh size of 1.2 μm at room temperature, the filter and the residue on the filter are washed with n-heptane, and the mass of the residue after drying. Therefore, it means a value represented by the mass of the residue per 100 ml of the sample.
Moreover, although there is no restriction | limiting about the distillation property of A heavy oil composition of this invention, Usually, what satisfy | fills the following property is used.
First distillation point: 130-210 ° C
T10: 180-260 ° C
T50: 250-330 ° C
T90: 300-380 ° C
In the present invention, the distillation property means a value obtained according to JIS K 2254 “Petroleum products—Distillation test method”.
No particular limitation is imposed on the kinematic viscosity of the heavy oil A composition of the present invention, those of 2~3.5mm 2 / s is used in the normal 30 ° C. in 3~5mm 2 / s, 50 ℃.
In this invention, kinematic viscosity means what represents the value obtained based on JISK2283 "crude oil and petroleum products-kinematic viscosity test method and viscosity index calculation method".
Although there is no restriction | limiting in particular about the flash point of A heavy oil composition of this invention, A 50-120 degreeC thing is used normally.
In the present invention, the flash point means a value obtained in accordance with JIS K 2265 “Crude oil and petroleum products—flash point test method”.
Although there is no restriction | limiting in particular about the total calorific value of the A heavy oil composition of this invention, The thing of 35000-50000J / g is used normally.
In the present invention, the total calorific value means a value obtained in accordance with JIS K 2279 "Crude oil and petroleum products-calorific value test method and calculation estimation method".
Although there is no restriction | limiting in particular about the water content of A heavy oil composition of this invention, The thing of 0.05 volume% or less is used normally.
In the present invention, the water content means a value obtained in accordance with JIS K 2275 “Crude oil and petroleum products—moisture test method”.
Although there is no restriction | limiting in particular about the density of A heavy oil composition of this invention, The thing of 0.8-0.92 g / cm < 3 > is used normally.
In the present invention, the density means a value obtained based on JIS K 2249 “Crude oil and petroleum products—density test method and density / mass / capacity conversion table”.
[0007]
The production method of the A heavy oil composition of the present invention is not particularly limited, and any conventionally known method can be used. Usually, the residual carbon imparting base material is mixed with the A heavy oil base material, and additives are added as necessary. Manufactured by blending.
As A heavy oil base material, straight-run kerosene (or desulfurized kerosene) obtained from atmospheric distillation equipment, straight-run light diesel oil (or desulfurized light diesel oil), straight-run heavy diesel oil (or desulfurized heavy) Gas oil), light cycle oil obtained from fluid catalytic cracker and / or residue fluid catalytic cracker, hydrodesulfurized vacuum gas oil obtained by hydrodesulfurization of vacuum gas oil obtained from vacuum distillation unit, hydrogenation obtained from hydrocracker Examples include cracked light oil, direct degasified light oil obtained directly from A heavy oil desulfurization equipment, and the like. Only one of these may be used, or two or more may be mixed.
Among these, it is preferable to use hydrocracked light oil because it can satisfy all of the points such as combustibility and prevention of filter clogging by wax in winter, and is excellent in these effects.
The hydrocracked gas oil here is a gas oil fraction obtained from a hydrocracker. Specifically, as the distillation properties, the 50% distillation point is 250 to 350 ° C., and the density at 15 ° C. is in the range of 0.810 to 0.880 g / cm 3 . The hydrocracking apparatus is a heavy gas oil or the like under a catalytic condition such as an amorphous Ni—Mo catalyst, under an operating hydrogen pressure of 8 to 15 MPa, an operating reaction temperature of 330 to 450 ° C., and a liquid space velocity of 0.1 to Desulfurization and denitrogenation are performed simultaneously with hydrocracking under the condition of 1.0 / h.
Further, examples of the residual carbon content-imparting base material include atmospheric residual oil, direct residual oil, vacuum residual oil, extract, and slurry oil. Only one of these may be used, or two or more may be mixed.
Among these, it is preferable to use an extract. In particular, when hydrocracked light oil is used as the A heavy oil base material, it is preferable to use an extract from the viewpoint of hue and filter clogging due to dry sludge generation.
The extract here is a highly aromatic oil produced as a by-product in the process of removing the aromatic content in the lubricating oil using a solvent such as furfural. Specifically, the extract has a temperature of 15 ° C. The density is 0.95 to 1.05 g / cm 3 , the kinematic viscosity at 100 ° C. is 5 to 100 mm 2 / s, and the sulfur content is 0.5 to 5.0 mass%.
As described above, the heavy oil composition A of the present invention preferably uses hydrocracked light oil and extract, but there is no particular limitation on the amount of both.
However, in order to fully exhibit the effect, it is preferable to use hydrocracked diesel oil at 50% or more, more preferably 75% or more, more preferably 85% or more based on the total amount of heavy oil A composition. Is more preferable, and it is most preferable to use 90% or more. Further, in order to satisfy the tax exemption condition for the residual carbon content, it is usually used at 99.5% by volume or less, preferably 99% by volume or less.
Further, in order to satisfy the tax exemption condition for the residual carbon content, the extract is usually used in an amount of 0.5% by volume or more, preferably 1% by volume or more based on the total amount of A heavy oil composition. In consideration of filter clogging at room temperature due to dry sludge, low temperature fluidity, etc., it is preferably used at 5% by volume or less, more preferably at 3% by volume or less.
Additives such as cetane number improvers, antioxidants, stabilizers, dispersants, metal deactivators, microbial disinfectants, auxiliary agents, antistatic agents, discriminating agents, colorants, etc. These additives can be added as appropriate.
Among these, it is preferable to add a fluidity improver because it is excellent in the effect of preventing filter clogging by wax in winter. As the fluidity improver, for example, polymer-type additives such as ethylene-vinyl acetate copolymer and ethylene-α-olefin copolymer, oil-soluble dispersant-type additives, and alkersuccinic acid can be used.
Moreover, although there is no restriction | limiting about the addition amount of a fluid improvement agent, it is preferable that it is 0.001-0.1 volume% on the basis of A heavy oil composition whole quantity, and is 0.01-0.03 mass%. It is more preferable.
[0008]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention further in detail, this invention is not limited at all by these.
Examples 1 to 3 and Comparative Example 1
Each base material (hydrocracked light oil, straight-run gas oil, cracked light oil, extract) having the properties shown in Table 1 is mixed at a volume ratio as shown in each example of Table 2, and Examples 1-3 and Comparative Examples 1 A heavy oil composition was prepared, and the properties of each of these prepared compositions are shown in Table 2.
About each sample oil (each composition), low temperature fluidity performance evaluation and flammability performance evaluation were performed by the following method. The results are also shown in Table 2.
Low temperature fluidity performance evaluation The low pressure fluidity performance evaluation was performed by measuring the magnitude of the negative pressure before and after the fuel filter at low temperatures by the following method.
As a tester, a low temperature fluidity tester composed of a burner part of a heater used for heating greenhouse cultivation and a fuel filter (100 mesh) attached thereto was used.
The test conditions were a severe change in the outside air temperature in winter, a cooling rate of 0.5 ° C./h, a cooling start temperature of 5 ° C., and soaking at a test temperature of 5 hours.
Judgment was made by measuring the negative pressure before and after the fuel filter for 1 hour, passing the case where the negative pressure was 700 mmHg or less during the measurement time, and rejecting the case where the negative pressure was sometimes higher than 700 mmHg during the measurement time. . Table 2 shows the minimum temperature at which the negative pressure measurement is acceptable.
Evaluation of flammability performance Flammability performance was evaluated by measuring the ignition delay by the following method. Ignition delay adversely affects engine performance and exhaust gas, and is a major cause of trouble in recent high-performance engines.
Using a fuel ignitability tester with a combustion chamber volume of 1 liter, fuel was injected into air at a pressure of 45 barrels and a temperature of 450 ° C., and the time from injection to ignition was measured. The results are shown in Table 2.
[0009]
[Table 1]
[0010]
[Table 2]
[0011]
As is apparent from the results in Table 2, the A heavy oil compositions of Examples 1 to 3 according to the present invention all have good ignitability and excellent combustibility, and have sufficient performance for recent high performance engines, and It can be seen that it has excellent low temperature fluidity.
On the other hand, Comparative Example 1 having a naphthene content less than the specified value has poor low temperature fluidity and combustibility.
[0012]
【The invention's effect】
In short, according to the present invention, it is possible to obtain an A heavy oil composition that is highly combustible, can withstand use in recent high-performance engines, and does not cause clogging of the filter by wax in winter.
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