JP3975036B2 - 反射防止膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けられている。眼鏡やカメラのレンズにも反射防止膜が設けられている。
反射防止膜としては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層膜が従来から普通に用いられている。複数の透明薄膜を用いるのは、様々な波長の光の反射を防止するためである。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法により形成されている。金属酸化物の透明薄膜は、反射防止膜として優れた光学的性質を有しているが、蒸着による形成方法は、生産性が低く大量生産に適していない。
PVD法による反射防止膜は、用途に応じて表面凹凸による防眩性を有する支持体上に形成される場合がある。平滑な支持体上に形成されたものより平行光線透過率は減少するが、背景の映り込みが表面凹凸によって散乱されて低下するため防眩性を発現し、反射防止効果とあいまって、画像形成装置に適用するとその表示品位は著しく改善される。
【0003】
蒸着法に代えて、無機微粒子の塗布により反射防止膜を形成する方法が提案されている。
特公昭60−59250号公報は、微細空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止層を開示している。反射防止層は、塗布により形成される。微細空孔は、層の塗布後に活性化ガス処理を行ない、ガスが層から離脱することによって形成される。
特開昭59−50401号公報は、支持体、高屈折率層および低屈折率層の順に積層した反射防止膜を開示している。同公報は、支持体と高屈折率層の間に中屈折率層を設けた反射防止膜も開示している。低屈折率層は、ポリマーまたは無機微粒子の塗布により形成されている。
【0004】
特開平2−245702号公報は、二種類以上の超微粒子(例えば、MgF2 とSiO2 )を混在させて、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止膜を開示している。混合比を変化させることにより屈折率を変化させ、上記特開昭59−50401号公報に記載されている高屈折率層と低屈折率層を設けた反射防止膜と同様の光学的性質を得ている。超微粒子は、エチルシリケートの熱分解で生じたSiO2 により接着している。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼によって、二酸化炭素と水蒸気も発生する。特開平2−245702号公報の第1図に示されているように、二酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒子の間に間隙が生じている。
特開平5−13021号公報は、上記特開平2−245702号公報記載の反射防止膜に存在する超微粒子間隙をバインダーで充填することを開示している。
特開平7−48527号公報は、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有する反射防止膜を開示している。
【0005】
上述したような塗布による反射防止膜に防眩性を付与する手段として、表面凹凸を有する支持体上に反射防止層を塗布する方法や、表面凹凸を形成するためのマット粒子を反射防止層を形成する塗布液に添加する方法等が検討されてきた。しかし、前者の方法では、反射防止層の塗布液が凸の部分から凹の部分へ流動することにより面内での膜厚ムラが生じ、平滑面への塗布膜と比較して著しく反射防止性能が悪化してしまう問題がある。また、後者の方法では、十分な防眩性を発現するために必要な1ミクロン前後からそれ以上の粒径を有するマット粒子を0.1から0.3ミクロン程度の膜厚の薄膜中に埋め込むことになるため、マット粒子の粉落ちの問題が生じる。以上の理由により、防眩性と反射防止性と膜強度を同時に満足する塗布型反射防止膜は存在しなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、まず無機微粒子の塗布により形成する低屈折率層について、研究を進めた。本発明者の研究により、無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより微粒子間にミクロボイドを形成すると、層の屈折率が低下することが判明した。微粒子間にミクロボイドを形成することで、屈折率が非常に低い低屈折率層が得られる。特開平2−245702号公報に記載の反射防止膜では、積み重なった超微粒子の間に間隙が生じている。ただし、同公報は、間隙を第1図に示唆しているだけであって、間隙の光学的機能については全く記載していない。また、空隙を有する低屈折率層は、強度が弱いとの問題がある。低屈折率層は、画像表示装置の表示面やレンズの外側表面に配置される。そのため、低屈折率層には一定の強度が要求されている。特開平2−245702号公報に記載の反射防止膜は、実質的に無機化合物のみで構成されており、硬いが非常に脆い膜になっている。
特開平5−13021号公報に記載されているように、微粒子間の空隙をバインダーで充填すれば、強度の問題は解消できる。しかし、本発明者の研究によれば、微粒子間の空隙をバインダーで充填すると、層の屈折率を低下させる間隙の光学的機能が失われる。
続いて、背景の映り込みをさらに有効に低減するための防眩性の付与法について検討した。前述のような従来法を含め鋭意検討した結果、塗布型で防眩性、低反射率と膜強度を同時に満足するには反射防止膜を形成した後に防眩性を付与する方法が最も適当であることが分かった。中でも最も好ましい方法として、塗布により反射防止膜を形成した後に、外部からの圧力により該透明支持体の少なくとも片面に表面凹凸を形成する工程をこの順序に実施することにより、防眩性を有する反射防止膜を製造する方法を見出すに至った。
本発明の目的は、塗布層である低屈折率層を有していても、蒸着層からなる反射防止膜に匹敵する反射防止機能と防眩機能とを有する反射防止膜を提供することである。
また、本発明の目的は、反射防止膜の塗布層表面に、反射防止機能を低下させることなく、蒸着層と同様の表面凹凸を形成することができる製造方法を提供することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(7)の反射防止膜の製造方法により達成された。
(1)透明支持体の上に、無機微粒子、分子内に二重結合を有するシランカップリング剤、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび重合開始剤を含み、無機微粒子がシランカップリング剤により表面処理されている低屈折率層を塗布により形成する工程、モノマーを重合させて架橋しているバインダーポリマーを形成すると共に、シランカップリング剤の二重結合を反応させてシランカップリング剤とバインダーポリマーとを結合させる工程、そして低屈折率層側の表面をエンボス加工して低屈折率層側の表面に凹凸を形成する工程からなる透明支持体および低屈折率層が積層されており、透明支持体の屈折率よりも低屈折率層の屈折率が低い反射防止膜の製造方法。
(2)無機微粒子が10乃至100nmの平均粒径を有する(1)に記載の製造方法。
(3)無機微粒子がアルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物または二酸化ケイ素からなる(1)に記載の製造方法。
(4)分子内に二重結合を有するシランカップリング剤が前記式( VIIa )または( VIIb )で表される(1)に記載の製造方法。
(5)透明支持体と低屈折率層との間に、さらにハードコート層を積層する(1)に記載の製造方法。
(6)透明支持体と低屈折率層との間に、さらに透明支持体の屈折率よりも屈折率が高い高屈折率層を積層する(1)に記載の製造方法。
(7)透明支持体と高屈折率層との間に、さらに透明支持体の屈折率よりも屈折率が高く、高屈折率層の屈折率よりも屈折率が低い中屈折率層を積層する(6)に記載の製造方法。
【0008】
【発明の効果】
本発明者は、微粒子をマット材として使用せずに塗布層表面を上記の表面粗さの状態とする手段を検討し、エンボス加工との簡単な手段によって、塗布層の厚さを均一に保った状態で、上記の表面粗さを達成することに成功した。よって、本発明の反射防止膜は、低屈折率層が塗布層であるにもかかわらず、蒸着層からなる反射防止膜に匹敵する反射防止機能と防眩機能を有している。
本発明の反射防止膜は、塗布とエンボス加工との簡単な工程により製造することができる。従って、蒸着層からなる反射防止膜とは異なり、大量生産に適している。
以上のような反射防止膜を用いることで、画像表示装置の画像表示面における外光の反射を有効に防止すると同時に、背景の映り込みを有効に減少することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の防眩性を有する反射防止膜の基本的な構成を図面を引用しながら説明する。
[防眩性の付与]
図1に、塗布型反射防止膜への防眩性の付与法の一例を示す。図中、反射防止フィルム(1)の反射防止層(3)側の表面をエンボスロール(4)とバックアップロール(5)によりプレスして少なくとも一方の表面に凹凸を形成することによって、反射防止性を損なうことなく防眩性を発現する。
反射防止性を損なわないために必要な実質的な膜の均一性は、光干渉層の層数や設計によって異なる。例えば、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層が空気界面側より、この順序に各層ともλ/4nの厚みで積層された3層型設計の場合、各層の膜厚の均一性は±3%が上限であって、それ以上になると著しく反射防止性能が低下してしまう。
防眩性の程度は、エンボス加工における膜面温度、プレス圧力、処理速度等の工程条件および反射防止膜を有する透明支持体の力学物性によって制御することができるが、より温和な条件での実施が、フィルムの平面性、工程の安定性、コスト等の観点から好ましい。
【0010】
[表面粗さ]
反射防止膜の表面粗さは、防眩性を付与したサンプルの凹凸表面を走査型顕微鏡で観察して得られたデータを解析することにより評価できる。
算術平均粗さ(Ra)の評価方法は、JIS−B−0601に従う。
本発明によれば、反射防止膜表面の算術平均粗さ(Ra)を、0.05乃至2μmの範囲とすることができる。Raは、0.07乃至1.5μmの範囲であることが好ましく、0.09乃至1.2μmの範囲であることがさらに好ましく、0.1乃至1μmの範囲であることが最も好ましい。
Raが0.05μm未満であると、充分な防眩機能を得ることができない。Raが2μmを越えると、解像度が低下したり、外光が当たった際に像が白く光ったりする。
【0011】
また、本発明では、全表面凹凸強度のうち周期が1乃至10μmである凹凸強度の割合を15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、25%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることが最も好ましい。この割合が高い程、キメの細かな質感の高い防眩性が得られる。
周期が1乃至10μmである凹凸強度の割合は、パワー・スペクトラル密度(Power Spectral Density)解析により求める。パワー・スペクトラル密度(PSD)は、下記式(1)で定義される。
【0012】
【数1】
【0013】
式中、Aは、スキャン領域であり、p、qは、それぞれ、水平方向の頻度であり、そして、z(x,y)は、イメージデータである。
周期が1乃至10μmである凹凸強度および全表面凹凸強度のそれぞれについて、二乗平均粗さ(RMS)を求める。二乗平均粗さ(RMS)は、下記式(2)で定義される。
【0014】
【数2】
【0015】
周期が1乃至10μmである凹凸強度の割合は、周期が1乃至10μmである凹凸強度の二乗平均粗さ(RMS1-10)と、全表面凹凸強度の二乗平均粗さ(RMStotal )との比(RMS1-10/RMStotal )に相当する。
【0016】
表面の凸部から隣接する凸部までの平均ピッチは、10乃至60μmであることが好ましく、15乃至40μmであることがさらに好ましい。
凸部の先端から凹部の底までの平均深さは、0.05乃至2μmであることが好ましく、0.1乃至1μmであることがさらに好ましい。
反射防止膜全体のヘイズ値は、10%以下であることが好ましい。また、反射防止膜全体の反射率は、2.5%以下であることが好ましい。
【0017】
[反射防止膜の形成]
図2は、本発明に用いられる防眩性反射防止膜の低屈折率層の断面模式図の1例である。図2の反射防止膜の上側が表面であり、下側に画像表示装置がある。図2に示す例では、低屈折率層(11)は多孔質層である。低屈折率層(11)内では、平均粒径が0.5乃至200nmの無機微粒子(21)が少なくとも2個以上(図1では3個)積み重なっている。そして、無機微粒子(21)の間に、ミクロボイド(22)が形成されている。低屈折率層(11)は、さらにポリマー(23)を5乃至50重量%の量で含む。ポリマー(23)は、無機微粒子(21)を接着しているが、ミクロボイド(22)を充填していない。
低屈折率層(11)は例のような多孔質層以外に含フッ素ポリマーからなる層であってもよい。含フッ素ポリマーとしては、低屈折率という観点からフッ素含有率が高いもの、あるいは自由体積が大きいものが好ましく、密着性の観点から架橋性を有するものが好ましい。架橋の様式は、熱硬化型、電離放射線硬化型のものが市販品として入手できる。
【0018】
図3は、反射防止膜の様々な層構成を示す断面模式図である。
図3の(a)に示す態様は、透明支持体(13)、ハードコート層(12)、そして低屈折率層(11)の順序の層構成を有する。
透明支持体(13)と低屈折率層(11)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率
【0019】
図3の(b)に示す態様は、透明支持体(13)、ハードコート層(12)、高屈折率層(14)、そして低屈折率層(11)の順序の層構成を有する。
透明支持体(13)、低屈折率層(11)および高屈折率層(14)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<高屈折率層の屈折率
【0020】
図3の(c)に示す態様は、透明支持体(13)、ハードコート層(12)、中屈折率層(15)、高屈折率層(14)、そして低屈折率層(11)の順序の層構成を有する。
透明支持体(13)、低屈折率層(11)、高屈折率層(14)および中屈折率層(15)は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
低屈折率層の屈折率<透明支持体の屈折率<中屈折率層の屈折率<高屈折率層の屈折率
【0021】
透明支持体としては、プラスチックフイルムを用いることが好ましい。プラスチックフイルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートが好ましい。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。
【0022】
[低屈折率層]
低屈折率層の屈折率は、1.20乃至1.55であることが好ましく、1.30乃至1.55であることがさらに好ましい。
低屈折率層の層厚は、50乃至400nmであることが好ましく、50乃至200nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層は、屈折率が低い(1.38乃至1.49の)フッ素化合物から形成することができる。防汚性および耐傷性の観点では、フッ素化合物の動摩擦係数は、0.03乃至0.15であることが好ましい。また、水に対する接触角が90乃至120°の熱または電離放射線により架橋する含フッ素化合物がより好ましい。塗布性や膜硬度等を調節するために、他の化合物と併用してもよい。架橋性含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーや架橋性含フッ素ポリマーを用いることができる。架橋性含フッ素ポリマーは、塗布が容易であるため特に好ましい。
【0023】
架橋性含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)を用いることができる。含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーとを構成単位とする含フッ素共重合体を用いてもよい。
含フッ素モノマーの例には、フルオロオレフィン類(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類および完全または部分フッ素化ビニルエーテル類が含まれる。(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類としては、市販品(例えば、ビスコート6FM、大阪有機化学(株)製;M−2020、ダイキン(株)製)を用いてもよい。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(例、グリシジルメタクリレート)を用いることができる。また、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基あるいはスルホン酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(例、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート)を用いてもよい。モノマーの重合後、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基あるいはスルホン酸基に架橋構造を導入できる(特開平10−25388号および同10−147739号の各公報記載)。
【0024】
含フッ素モノマーとフッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いてもよい。フッ素原子を含有しないモノマーの例には、オレフィン類(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレン、スチレン誘導体(例、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類およびアクリロニトリル誘導体が含まれる。
【0025】
低屈折率層は、微粒子およびポリマーを含み、ミクロボイド構造を有する層として設けることもできる。
微粒子の平均粒径は、10乃至200mmであることが好ましい。粒子径が増大すると前方散乱が増加し、200nmを越えると散乱光に色付きが生じる。平均粒径は、10乃至100nmであることが好ましく、3乃至70nmであることがさらに好ましく、10乃至40nmの範囲であることが最も好ましい。微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ましい。
微粒子としては、無機微粒子を用いることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさらに好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。
特に好ましいい無機化合物は、アルカリ金属フッ化物(例、NaF、KF)、アルカリ土類金属フッ化物(例、CaF2 、MgF2 )および二酸化ケイ素(SiO2 )である。
【0026】
無機微粒子は、非晶質であることが好ましい。
無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号の各公報記載)または析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することができる。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることもできる。市販の無機微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。
無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
無機微粒子の量は、低屈折率層全量の50乃至95重量%であることが好ましく、50乃至90重量%であることがより好ましく、60乃至90重量%であることがさらに好ましく、70乃至90重量%であることが最も好ましい。
【0027】
ミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより微粒子間に形成できる。低屈折率層の空隙率は、3乃至50体積%であることが好ましく、5乃至35体積%であることがさらに好ましい。
なお、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填すると、微粒子間に26体積%の空隙率のボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、微粒子間に48体積%の空隙率のボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の粒径にある程度の分布が存在するため、空隙率は上記よりも低めの値となる。
空隙率(ミクロボイドの大きさ)を増加させると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み重ねてミクロボイドを形成すると、微粒子の粒径を調整することで、ミクロボイドの大きさも適度の(光を散乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易に調節できる。さらに、微粒子の粒径を均一にすることで、ミクロボイドの大きさも均一である光学的に均一な低屈折率層を得ることができる。これにより、低屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜であるが、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることができる。
【0028】
ミクロボイドを形成することにより、低屈折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する微粒子とポリマーとの総屈折率和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構成要素の体積当りの屈折率の和になる。微粒子とポリマーの屈折率は1よりも大きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00である。そのため、ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることができる。
ミクロボイドは、微粒子およびポリマーによって低屈折率層内で閉じていることが好ましい。閉じている空隙は、低屈折率層表面に開かれた開口と比較して、低屈折率層表面での光の散乱が少ないとの利点がある。
ミクロボイドを含む低屈折率層は、5乃至50重量%の量のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着し、ミクロボイドを含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、ミクロボイドを充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10乃至30重量%であることが好ましい。
ポリマーで微粒子を接着するためには、微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、微粒子間のバインダーとしてポリマーを使用することが好ましい。
【0029】
表面処理剤に結合させるポリマーは、バインダーポリマーであることが好ましい。バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーおよび重合開始剤を添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。表面処理とバインダーポリマーとを組み合わせて実施することが特に好ましい。
表面処理およびバインダーポリマーについて、順次説明する。
【0030】
微粒子には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善する。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類できる。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子が二酸化ケイ素からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施されている。
一般に用いられているシランカップリング剤を、下記式(VIa)および(VIb)で示す。
【0031】
【化2】
【0032】
式中、R1 、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至10のアルキル基、炭素原子数が6乃至10のアリール基、炭素原子数が2乃至10のアルケニル基、炭素原子数が2乃至10のアルキニル基または炭素原子数が7乃至10のアラルキル基であり、R2 、R3 、R4 、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至6のアルキル基または炭素原子数が2乃至6のアシル基である。
式(VIa)および式(VIb)において、R1 、R5 およびR6 は、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基であることが好ましく、アルキル基、アリール基またはアルケニル基であることがさらに好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることが最も好ましい。アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基およびアラルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、グリシジル基、グリシジルオキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)、メルカプト、アミノ、カルボキシル、シアノ、イソシアナトおよびアルケニルスルホニル基(例、ビニルスルホニル)が含まれる。
【0033】
式(VIa)および式(VIb)において、R2、R3、R4、R7およびR8は、アルキル基であることが好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルコキシ基が含まれる。
シランカップリング剤は、分子内に二重結合を有し、その二重結合の反応によりポリマーと結合させる。二重結合は、式(VIa)と式(VIb)のR1、R5またはR6の置換基中に存在していることが好ましい。
特に好ましいシランカップリング剤を、下記式(VIIa)および(VIIb)で示す。
【0034】
【化3】
【0035】
式中、R11およびR15は、それぞれ独立に、水素原子またはメチルであり、R16は、炭素原子数が1乃至10のアルキル基、炭素原子数が6乃至10のアリール基、炭素原子数が2乃至10のアルケニル基、炭素原子数が2乃至10のアルキニル基または炭素原子数が7乃至10のアラルキル基であり、R12、R13、R14、R17およびR18は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至6のアルキル基または炭素原子数が2乃至6のアシル基であり、L1 およびL2 は二価の連結基である。
式(VIIb)において、R16は、式(VIa)および式(VIb)のR1 、R5 およびR6 と同様の定義を有する。
式(VIIa)式(VIIb)において、R12、R13、R14、R17およびR18は、式(VIa)および式(VIb)のR2 、R3 、R4 、R7 およびR8 と同様の定義を有する。
式(VIIa)式(VIIb)において、L1 およびL2 は、アルキレン基であることが好ましく、炭素原子数が1乃至10のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基であることが最も好ましい。
【0036】
式(VIa)で示されるシランカップリング剤の例には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ−シアノエチルトリエトキシシランが含まれる。
【0037】
分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましく、式(VIIa)で示されるγ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0038】
式(VIb)で示されるシランカップリング剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが含まれる。
【0039】
分子内に二重結合を有するγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが好ましく、式(VIIb)で示されるγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0040】
二種類以上のカップリング剤を併用してもよい。
式(VIa)および式(VIb)で示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリングを用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec-ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が含まれる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
【0041】
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。
飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0042】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
【0043】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。重合開始剤としては、水素引き抜き型開始剤(例、ベンゾフェノン系開始剤)またはラジカル開裂型開始剤(例、アセトフェノン系開始剤、トリアジン系開始剤)を用いることができる。
低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
【0044】
図3の(b)に示すように、低屈折率層と透明支持体との間に高屈折率層を設けてもよい。また、図3の(c)に示すように、高屈折率層と透明支持体との間に中屈折率層を設けてもよい。
高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する、中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
【0045】
中屈折率層および高屈折率層は、比較的屈折率が高いポリマーを用いて形成することが好ましい。屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。
屈折率の高い微粒子を前述の低屈折率層中に添加するモノマーと開始剤、または上記ポリマー中に分散するのがより好ましい。無機微粒子子としては、金属(例、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン)の酸化物が好ましい。モノマーと開始剤を用いる場合は、塗布後に電離放射線または熱による重合反応によりモノマーを硬化させることで、耐傷性や密着性に優れる中屈折率層や高屈折率層が形成できる。
【0046】
有機置換されたケイ素化合物を、高屈折率層または中屈折率層に添加してもよい。ケイ素化合物としては、低屈折率層の無機微粒子の表面処理に使用するシランカップリング剤またはその加水分解物が好ましく用いられる。
無機微粒子としては、金属(例、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン)の酸化物が好ましい。無機微粒子の粉末またはコロイド状分散物を上記のポリマーまたは有機ケイ素化合物中と混合して、使用する。
無機微粒子の平均粒径は、10乃至100nmであることが好ましい。被膜形成能を有する有機金属化合物から、高屈折率層または中屈折率層を形成してもよい。有機金属化合物は、適当な媒体に分散できるか、あるいは液状であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
【0047】
反射防止膜には、さらに、ハードコート層、防湿層、帯電防止層、下塗り層や保護層を設けてもよい。
ハードコート層は、透明支持体に耐傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、透明支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。ハードコート層は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマーやシリカ系化合物を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してもよい。
ハードコートに用いる素材としては、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましく、架橋構造を有していることが好ましい。 飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0048】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
【0049】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造を導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジンアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
ハードコート層は、溶剤中にモノマーおよび重合開始剤を溶解し、塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。重合開始剤については、ベンゾフェノン系等の水素引き抜き型、アセトフェノン系、トリアジン系等のラジカル開列型を単独あるいは併用してモノマーと共に塗布液に添加するのが好ましい。
ハードコート層の塗布液に、少量のポリマー(例:ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
【0050】
低屈折率層の上に、保護層を設けてもよい。保護層は、滑り層または汚れ防止層として機能する。
滑り層に用いる滑り剤の例には、ポリオルガノシロキサン(例、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン)、天然ワックス(例、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油、ライスワックス、木ろう、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス)、石油ワックス(例、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス)、合成ワックス(例、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス)、高級脂肪脂肪酸アミド(例、ステアラミド、オレインアミド、N,N’−メチレンビスステアラミド)、高級脂肪酸エステル(例、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート)、高級脂肪酸金属塩(例、ステアリン酸亜鉛)およびフッ素含有ポリマー(例、パーフルオロ主鎖型パーフルオロポリエーテル、パーフルオロ側鎖型パーフルオロポリエーテル、アルコール変性パーフルオロポリエーテル、イソシアネート変性パーフルオロポリエーテル)が含まれる。
汚れ防止層には、含フッ素疎水性化合物(例、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素オイル)を添加する。
保護層の厚さは、反射防止機能に影響しないようにするため、20nm以下であることが好ましい。
【0051】
反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0052】
反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用する。反射防止膜が透明支持体を有する場合は、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
【0053】
【実施例】
[実施例1]
(ハードコート層の形成)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)250gを、439gの工業用変性エタノールに溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。混合物を撹拌した後、1μmメッシュのフィルターで濾過してハードコート層の塗布液を調製した。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)に、ゼラチン下塗り層を設け、ゼラチン下塗り層の上に、上記のハードコート層の塗布液を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、厚さ6μmのハードコート層を形成した。
【0054】
(低屈折率層塗布液の調製)
シリカ微粒子のメタノール分散液(メタノールシリカゾル、日産化学(株)製)200gにシランカップリング剤(KBM−503、信越シリコーン(株)製)10gおよび0.1N塩酸2gを加え、室温で5時間撹拌した後、4日間室温で放置して、シランカップリング処理したシリカ微粒子の分散物を調製した。
分散物149gに、イソプロピルアルコール789gおよびメタノール450gを加えた。光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)3.21gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.605gを31.62gのイソプロピルアルコールに溶解した溶液を加え、さらに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.17gを78.13gのイソプロピルアルコールに溶解した溶液を加えた。混合物を20分間室温で撹拌し、1μmのメッシュのフィルターで濾過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0055】
(反射防止膜の作成)
ハードコート層の上に、低屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(厚さ:0.1μm)を形成した。このようにして、反射防止膜を作成した。
【0056】
(防眩性の付与)
得られた反射防止膜に、片面エンボシングカレンダー機(由利ロール(株)製)を用いて、プレス圧力1000Kg/cm、プレヒートロール温度100℃、エンボスロール温度140℃、処理速度2m/分の条件下で、スチール製エンボスロールとポリアミド素材で表面を覆ったバックアップロールをセットし、算術平均粗さ(Ra)が4μmのエンボスロールを用いてエンボス処理を行った。
得られた防眩性反射防止膜について、450〜650nmの波長における平均反射率、ヘイズ値および表面の鉛筆硬度を測定した結果、平均反射率1.0%、ヘイズ1.5%、鉛筆硬度Hであり、質感の高いものであった。
また、走査型プローブ顕微鏡により表面粗さRaおよび1〜10μmの凹凸強度の割合を測定した結果、それぞれ0.10μm、23%であった。
【0057】
[実施例2]
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン(一次粒子重量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30重量部、下記のアニオン性モノマー(1)3重量部、下記のアニオン性モノマー(2)3重量部、下記のカチオン性モノマー1重量部およびメチルエチルケトン63重量部を、サンドグラインダーにより分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
【0058】
【化4】
【0059】
【化5】
【0060】
【化6】
【0061】
(中屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン172gおよびメチルエチルケトン43gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.18gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.059gを溶解した。さらに、二酸化チタン分散物15.8gおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)3.1gを加え、室温で30分間撹拌した後、1μmのメッシュのフィルターで濾過して、中屈折率層用塗布液を調製した。
【0062】
(高屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン183gおよびメチルエチルケトン46gに、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)0.085gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.028gを溶解した。さらに、二酸化チタン分散物17.9gおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)1.0gを加え、室温で30分間撹拌した後、1μmのメッシュのフィルターで濾過して、高屈折率層用塗布液を調製した。
【0063】
(反射防止膜の作製)
実施例1で形成したハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(厚さ:0.081μm)を設けた。
中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(厚さ:0.053μm)を設けた。
高屈折率層の上に、実施例1で用いた低屈折率層用塗布液をバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(厚さ:0.092μm)を設けた。
上記反射防止膜に、実施例1と同様のエンボス処理により防眩性を付与した。
得られた反射防止膜について、450〜650nmの波長における平均反射率、ヘイズ値および表面の鉛筆硬度を測定した結果、平均反射率0.24%、ヘイズ値2.0%、鉛筆硬度2Hであり、背景の映り込みは大幅に低減され、質感の高いものであった。
また、走査型プローブ顕微鏡により表面粗さRaおよび1〜10μmの凹凸強度の割合を測定した結果、それぞれ0.09μm、25%であった。
【0064】
[参考例]
低屈折率層用の塗布液に熱架橋性含フッ素ポリマー(オプスターJN−7214、日本合成ゴム(株)製)100gをメチルイソブチルケトン18g液で希釈して得た塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして反射防止膜を作製した。
得られた反射防止膜について、450〜650nmの波長における平均反射率、ヘイズ値および表面の鉛筆硬度を測定した結果、平均反射率1.0%、ヘイズ1.5%、鉛筆硬度Hであった。
また、走査型プローブ顕微鏡により表面粗さRaおよび1〜10μmの凹凸強度の割合を測定した結果、それぞれ0.10μm、23%であった。
【0065】
[実施例3]
実施例2で作製した反射防止膜をパーソナルコンピューター(PC9821NS/340W、日本電気(株)製)の液晶表示装置表面に貼付けたところ、外光の反射が極めて少なく、背景の映り込みも低減された表示品位の高いディスプレイを得ることができた。
【0066】
[比較例1]
ハードコート塗布液中に粒径3μmの架橋PMMA粒子であるMX−500(綜研化学(株)製を5.0g添加した以外は実施例1と同様にして、マット粒子を有するハードコート層、低屈折率層を順次塗布することにより、反射防止フィルムを作製した。その結果、Raは0.20μm、1〜10μmピッチの凹凸の割合は12%であり、低屈折率層の膜厚に著しい分布が生じ、450〜650nmの波長における平均反射率が2.0%となり、充分な反射防止効果は得られなかった。
【0067】
[比較例2]
ハードコート塗布液中に粒径3μmの架橋PMMA粒子であるMX−500(綜研化学(株)製を5.0g添加した以外は実施例1と同様にして、マット粒子を有するハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を順次塗布することにより、反射防止フィルムを作製した。その結果、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層の膜厚に著しい分布が生じ、450〜650nmの波長における平均反射率が1.5%となり、充分な反射防止効果は得られなかった。
【0068】
[実施例4]
実施例1で作製した反射防止膜(エンボス加工前)に、片面エンボシングカレンダー機(由利ロール(株)製)を用いて、プレス圧力600Kg/cm、プレヒートロール温度120℃、エンボスロール温度120℃、処理速度2m/分の条件下で、スチール製エンボスロールとポリアミド素材で表面を覆ったバックアップロールをセットし、算術平均粗さ(Ra)が4μmのエンボスロールを用いてエンボス処理を行った。
得られた防眩性反射防止膜について、450〜650nmの波長における平均反射率、ヘイズ値および表面の鉛筆硬度を測定した結果、平均反射率1.0%、ヘイズ1.5%、鉛筆硬度Hであり、質感の高いものであった。
走査型プローブ顕微鏡により表面粗さRaを測定したところ、0.12μmであった。また、凸部から隣接する凸部までの平均ピッチは25μmであり、凸部の先端から凹部の底までの平均深さは0.6μmであった。
【0069】
[実施例5]
実施例2で作製した反射防止膜(エンボス加工前)に、実施例4と同様のエンボス処理を行い防眩性を付与した。
得られた反射防止膜について、450〜650nmの波長における平均反射率、ヘイズ値および表面の鉛筆硬度を測定した結果、平均反射率0.35%、ヘイズ値1.5%、鉛筆硬度2Hであり、背景の映り込みは大幅に低減され、質感の高いものであった。
走査型プローブ顕微鏡により表面粗さRaを測定したところ、0.10μmであった。また、凸部から隣接する凸部までの平均ピッチは20μmであり、凸部の先端から凹部の底までの平均深さは0.5μmであった。さらに、指紋付着性を評価するため、水の表面に対する接触角を測定したところ、35゜であった。
【0070】
[実施例6]
低屈折率層の厚さを0.072μmに変更した以外は、実施例2と同様にして、ハードコート層の上に、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を設けた。低屈折率層の上に、架橋性願フッ素ポリマーの溶液を塗布し、120℃に加熱して含フッ素ポリマーを架橋させ、厚さ0.02μmの保護層を設けた。
反射防止膜に、実施例4と同様のエンボス処理を行い防眩性を付与した。
得られた反射防止膜について、450〜650nmの波長における平均反射率および表面の鉛筆硬度を測定した結果、平均反射率0.35%、鉛筆硬度2Hであり、背景の映り込みは大幅に低減され、質感の高いものであった。
走査型プローブ顕微鏡により表面粗さRaを測定したところ、0.15μmであった。また、凸部から隣接する凸部までの平均ピッチは30μmであり、凸部の先端から凹部の底までの平均深さは0.75μmであった。さらに、指紋付着性を評価するため、水の表面に対する接触角を測定したところ、106゜であった。
【0071】
[実施例7]
実施例6で作製した反射防止膜をパーソナルコンピューター(PC9821NS/340W、日本電気(株)製)の液晶表示装置表面に貼付けたところ、外光の反射が極めて少なく、背景の映り込みも低減された表示品位の高いディスプレイを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射防止膜への防眩性の付与法を示す模式図である。
【図2】反射防止膜の低屈折率層の一例の断面模式図である。
【図3】反射防止膜の様々な層構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 反射防止フィルム
2 透明支持体
3 反射防止層
4 エンボスロール
5 バックアップロール
11 低屈折率層
12 ハードコート層
13 透明支持体
14 高屈折率層
15 中屈折率層
21 無機微粒子
22 ミクロボイド
23 ポリマー
Claims (7)
- 透明支持体の上に、無機微粒子、分子内に二重結合を有するシランカップリング剤、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび重合開始剤を含み、無機微粒子がシランカップリング剤により表面処理されている低屈折率層を塗布により形成する工程、モノマーを重合させて架橋しているバインダーポリマーを形成すると共に、シランカップリング剤の二重結合を反応させてシランカップリング剤とバインダーポリマーとを結合させる工程、そして低屈折率層側の表面をエンボス加工して低屈折率層側の表面に凹凸を形成する工程からなる透明支持体および低屈折率層が積層されており、透明支持体の屈折率よりも低屈折率層の屈折率が低い反射防止膜の製造方法。
- 無機微粒子が10乃至100nmの平均粒径を有する請求項1に記載の製造方法。
- 無機微粒子がアルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物または二酸化ケイ素からなる請求項1に記載の製造方法。
- 分子内に二重結合を有するシランカップリング剤が下記式( VIIa )または( VIIb )で表される請求項1に記載の製造方法:
- 透明支持体と低屈折率層との間に、さらにハードコート層を積層する請求項1に記載の製造方法。
- 透明支持体と低屈折率層との間に、さらに透明支持体の屈折率よりも屈折率が高い高屈折率層を積層する請求項1に記載の製造方法。
- 透明支持体と高屈折率層との間に、さらに透明支持体の屈折率よりも屈折率が高く、高屈折率層の屈折率よりも屈折率が低い中屈折率層を積層する請求項6に記載の製造方法。
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