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JP3968058B2 - 玉葱収穫機 - Google Patents

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JP3968058B2
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重人 衣川
真嗣 石井
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  • Harvesting Machines For Root Crops (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体を進行させながら玉葱を収穫する自走式の玉葱収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、玉葱収穫機として、畝から引き抜かれて畝上に置かれた玉葱を収穫するものが知られており(例えば、特許文献1参照)、いわゆる「オニオンピッカー」と呼ばれている。このオニオンピッカーは、トラクタによる牽引式の玉葱収穫機として構成されており、トラクタ後部に連結されて用いられていた。つまり、トラクタで玉葱収穫機を牽引することにより、玉葱収穫機を畝に沿って走行させながら、畝上の玉葱を収穫していた。具体的には、掻込装置、搬送装置、コンテナ等を備える構成となっており、掻込装置によって畝上の玉葱を掻き込んで回収し、搬送装置によって回収した玉葱を機体に備えられるコンテナに搬送し、搬送装置の下方に配置されるコンテナに玉葱を落下させることによって、コンテナに玉葱を収納するようにしていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−29号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の牽引式の玉葱収穫機は、大型に構成されており、大規模な圃場において、短時間に大量の玉葱を収穫するために用いられるものであった。この場合、掻込装置による回収、搬送装置による搬送、コンテナへの収納等が、大量の玉葱に対して同時に行うようになっていた。このため、玉葱を傷つけてしまうという問題点が生じていた。そこで、本発明では、玉葱収穫機において、できる限り玉葱を傷つけずに、かつ、確実に搬送して収穫することを課題とする。
【0005】
また、腐った玉葱等の品質が悪い玉葱が、品質に問題のない玉葱と同時に収穫されていたため、コンテナへの収納後、改めて選別作業を行う必要があった。さらに、玉葱を拾い上げてコンテナに収納するが、数メートル毎にコンテナは満載となるため、空のコンテナと取り替える作業を頻繁に行う必要があり、スムースに行わないと、コンテナから溢れてこぼしてしまうことがあった。そこで、本発明では、玉葱収穫機に、選別部、コンテナ搬送部等を設けることにより、収穫時の作業効率の向上を図るとともに、玉葱収穫機の省スペース化を図ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
請求項1においては、エンジン(12)と、該エンジン(12)により駆動され、機体下部に配設されるクローラ走行装置(2)とを備え、該クローラ走行装置(2)を駆動して機体を進行させながら玉葱を収穫する自走式の玉葱収穫機(1)であって、機体最前部に配設されるピックアップ部(3)と、該ピックアップ部(3)の後方に連設される玉葱搬送部と、前記クローラ走行装置の上方に配設されるコンテナ搬送部(7)と、クローラ走行装置(2)の後部上方に配設される操作部(8)とを備え前記コンテナ搬送部(7)は、右側のクローラ走行装置(2)の右上方に前後方向に配置される右搬送部(7R)と、該右搬送部(7R)の前端から左側方へ延設して、左右のクローラ走行装置2の上方に左右方向にわたって配置される中搬送部(7M)と、該中搬送部(7M)の左端から後方へ延設して、左側のクローラ走行装置(2)の略上方に前後方向に配置される左搬送部(7L)とにより、平面視で、略「コ」字状に構成したものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1記載の玉葱収穫機において、前記コンテナ搬送部(7)の平面視略「コ」字状に囲まれる部分に、操作部(8)を配置したものである。
【0009】
請求項3においては、請求項1記載の玉葱収穫機において、前記「コ」字状に形成されたコンテナ搬送部の機体左右略中央に位置する中搬送部(7M)では、機体の進行方向に対して直交する方向にコンテナ(30)を搬送するものである。
【0010】
請求項4においては、請求項1記載の玉葱収穫機において、前記「コ」字状に形成されたコンテナ搬送部(7)の機体右側部に位置する右搬送部(7R)を、機体側に折り畳み可能に構成したものである。
【0011】
請求項5においては、請求項1記載の玉葱収穫機において、前記玉葱搬送部の玉葱搬送経路の終端側に選別部(6)を構成する選別滑り台(90)を連設し、該選別滑り台(90)を介して、コンテナ搬送部(7)のコンテナ(30)へ玉葱を収納するものである。
【0012】
請求項6においては、請求項5記載の玉葱収穫機において、前記玉葱搬送部の玉葱搬送経路の終端と、選別部(6)を構成する選別滑り台(90)との間に、玉葱が鉛直下方に自由落下する区間を設けたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明を適用する玉葱収穫機の一実施例を示す側面図、図2は玉葱収穫機における動力の伝達、およびコンテナの搬送を示す平面図、図3は玉葱収穫機におけるコンテナの搬送、および選別部を示す後面図、図4はピックアップ部および第1搬送部を示す図、図5は第1搬送部を示す図、図6は第2搬送部を示す図、図7は受継部を示す図である。
【0015】
まず、玉葱収穫機1の全体的な構成について、図1、図2、図3を用いて説明する。本実施例の玉葱収穫機1は、自走式の歩行型に構成されており、クローラ走行装置2を駆動して機体を畝に沿って前進させながら、畝から引き抜かれて畝上に置かれている玉葱を拾い上げてコンテナ30に収穫する。玉葱は、ピックアップ部3により掻き込むように取り入れられ、第1搬送部4に受け渡されて後方へ搬送される。次いで、第1搬送部4から第2搬送部5に受け継がれ、第2搬送部5によりさらに後方へ搬送される。第2搬送部5の終端まで搬送された玉葱は、選別部6に移送され、該選別部6での選別後、コンテナ搬送部7上のコンテナ30中へ収納される。
【0016】
図1に示すように、玉葱収穫機1において、ピックアップ部3が機体最前部に配設され、該ピックアップ部3の下方に、第1搬送部4の前部が配置され、該第1搬送部4が後上がりに傾けて連設され、該第1搬送部4の後部の下方に第2搬送部5の前端部が配置され、該第2搬送部5が前記第1搬送部4よりも傾斜角度を大きくして後上がりに傾けて連設されている。さらに、第2搬送部5の終端側の後下方に選別部6が連設されている。つまり、玉葱の搬送経路に沿って前から順に、ピックアップ部3、第1搬送部4、第2搬送部5、選別部6が配置されて、機体前部において作業機を構成している。なお、第1搬送部4と第2搬送部5とにより玉葱搬送部が構成され、また、第1搬送部4と第2搬送部5との間を受継部9としている。
【0017】
機体下部には、左右一対のクローラ走行装置2が配置されて畝間を走行するようにしており、該クローラ走行装置2はフレームに取り付けられて支持されている。フレームは、前後方向に配置される前後フレーム11と、左右方向に配置され、前後フレーム11を連結するための連結フレーム10とにより形成されている。前後フレーム11は、クローラ走行装置2を支持する左右の前後フレーム11L・11Rと、該左右の前後フレーム11L・11Rの左右略中央に配置される前後フレーム11Mとからなり、中央の前後フレーム11Mの後部が右寄りに折り曲げられて、右側の前後フレーム11Rの後端に接続されて構成されている。
【0018】
フレーム上には、コンテナ搬送部7が支持されている。つまり、コンテナ搬送部7はクローラ走行装置2の上方に配置される。また、フレーム後部には、エンジン12、ミッションケース13等が配設され、支持されている。ミッションケース13の上方には、操作部8が配設されており、該操作部8より後方に向けてハンドル14が突設されている。また、エンジン12の後方には油圧ポンプ15、エンジン12の上方には燃料タンク16がそれぞれ配設されている。そして、エンジン12、ミッションケース13、油圧ポンプ15および操作部8は、右側の前後フレーム11Rと中央の前後フレーム11Mとの間に配置されている。
【0019】
フレームの前部上には、左右の支柱17・17が立設され、また、右側の支柱17の外側にチェーンケース37が立設されている。チェーンケース37により後述するスプロケット123a・125aやチェーン125等を覆っている。左右の支柱17・17の上端部間には支持軸20が回転可能に横架されており、該支持軸20によって第2搬送部5の終端側が支持されている。また、左右の支柱17・17の下部前方位置の第2搬送部5の下後側には、支持軸21が横架されており、該支持軸21の両端にアーム22・22の後端部が回動可能に固定されている。左右のアーム22・22は前下がりに傾斜して支持され、該アーム22・22の先端部にゲージ輪23・23が回転自在に支持されている。ゲージ輪23はクローラ走行装置2の前方に配置される。
【0020】
また、前記支持軸21の両側から前方にステー28・28を突設し、アーム24・24の後端に固定したブラケット25・25を固定可能としている。該アーム24の後部は第2搬送部5の下部に横架した従動軸67に枢支され、その後部にブラケット25を突設している。よって、ステー28とブラケット25の間でアーム24を任意の角度に回動して固定できるようにしている。前記左右のアーム24・24は前上がりに傾斜して支持され、該アーム24・24の前端部にピックアップ部3が支持され、また、左右のアーム24・24の前後中途部にブラケット27・27を介して第1搬送部4が支持されている。なお、アーム24・24の後端部間には連結棒26が横架されている。
【0021】
ゲージ輪23は支持軸21を中心に回動可能となっており、前記支持軸21の両端部にはブラケット19・19が取り付けられ、該ブラケット19と支持軸21との間でアーム22の角度を調整して固定可能として、ゲージ輪23を回動することによって、作業機の高さを調節できる。具体的には、ブラケット19と連結部材との固定、およびブラケット25とステー28との固定にはボルト・ナットが用いられ、各ボルトがブラケット19およびブラケット25に形成された長孔に挿入されている。そして、これらの各ボルト・ナットを弛めることで、各ボルトがブラケット19およびブラケット25長孔中を移動可能となり、この結果、アーム22が支持軸21を中心に回動可能となり、アーム24が従動軸67を中心に回動可能となる。これにより、アーム22とアーム24はそれぞれ第2搬送部5に対して角度が変更されて、作業機の接地高さおよびピックアップする高さが調節される。但し、この角度調節する構成は上記構成に限定されるものではなく、伸縮可能とするネジロッドを回転させることにより両者間の角度を調節したり、油圧シリンダやモータ等のアクチュエータを利用して両者間の角度を調節したりするように構成することもできる。
【0022】
前記左右中央の前後フレーム11M上に、昇降シリンダ18の基部が枢支されるとともに、該昇降シリンダ18のシリンダロッドの先端が支持軸21の左右略中央に枢結されている。また、昇降シリンダ18は油圧シリンダにより構成され、図示しない切換バルブを介して油圧ポンプ15と接続されており、該油圧ポンプ15からの圧油を切換バルブを操作する作業機昇降レバー36の操作により昇降シリンダ18を伸縮させることによって、作業機を昇降する。この場合、作業機およびゲージ輪23が一体として、支持軸20を中心に回動する。そして、昇降シリンダ18を収縮させて作業機を作業位置まで降下させて収穫作業を行い、また一方では、昇降シリンダ18を伸長させて作業機を上昇させて機体旋回や非収穫時の走行を行う。
【0023】
次に、玉葱収穫機1の各部について説明する。図1、図3に示すように、操作部8には、エンジン12からミッションケース13への動力の伝達を断接するための主クラッチレバー31、ミッションケース13での変速比を切り換えるための変速レバー32、左右のクローラ走行装置2の駆動状態を変更するための操向レバー33・33、機体前部の作業機の駆動を入切操作するための作業機クラッチレバー34がそれぞれ配設されている。操作部8より後方にハンドル14が取り付けられており、該ハンドル14には、エンジン12の回転数を調節するためのスロットルレバー(図示せず)が取り付けられている。また、油圧ポンプ15には、作業機を昇降するための作業機昇降レバー36が取り付けられており、該作業機昇降レバー36を操作することによって、昇降シリンダ18を伸縮させ、作業機を昇降する。
【0024】
図1に示すように、左右一対のクローラ走行装置2は、クローラ40、駆動輪41、前後の従動輪42F・42R、前後の従動輪の間に配設される転動輪43・43・・・、転動輪44等により構成される。機体左右に配置される前後の従動輪42F・42R、転動輪43・43・・・、および転動輪44は、それぞれ左右の前後フレーム11L・11Rに回転自在に軸支されている。駆動輪41は、前後の従動輪42F・42Rよりも上方に配置され、ミッションケース13の両側部より突出される駆動軸45に取り付けられている。クローラ40は、駆動輪41、前後の従動輪42F・42R、転動輪43・43・・・の間に巻回される。転動輪44は、駆動輪41の近傍であって、該駆動輪41の前方かつやや下方に配置されている。転動輪44はクローラ40の外側(側面視)に配置されており、クローラ40が張る方向に押し付けることによって、クローラ40が弛まないようにしている。
【0025】
このように構成されるクローラ走行装置2は、エンジン12の駆動力がミッションケース13を介して駆動軸45に伝達され、駆動輪41が回転することによって駆動され、この結果、玉葱収穫機1が走行する。この場合、操作部8の操向レバー33を操作して、左右のクローラ走行装置2の駆動速度を異ならせることにより、機体の操向や旋回等を行うようにしている。また、変速レバー32を操作することにより、機体の走行速度を調節するようにしている。
【0026】
図1、図4に示すように、ピックアップ部3は、複数枚(本実施例では4枚)の掻込体47・47・・・、駆動軸48、ブラケット49、取付軸50、ガイド部材52等により構成され、畝上の玉葱を掻き込んで取り入れるために備えられられている。前述したように、左右のアーム24・24が従動軸67に支持されており、該左右のアーム24・24の前端部間に駆動軸48が回転自在に軸受支持されている。そして、駆動軸48の両端部に左右一対のブラケット49・49が取り付けられ、左右のブラケット49・49は左右のアーム24・24の間に配置されている。
【0027】
ブラケット49は、基部49aと、掻込体47を支持するための複数(掻込体47の枚数と同数)の支持部49bとからなり、該支持部49bが基部49aの周方向に等間隔で星型状に取り付けられて構成されている。つまり、支持部49bは、ブラケット49の略中心(側面視)に位置する駆動軸48に対して放射状に配置されている。また、支持部49bは、左右のブラケット49において同じ位置、つまり、側面視で重複する位置に取り付けられている。そして、対向する左右の支持部49b・49bの間に、掻込体47を取り付けるための取付軸50・50・・・が回動可能に枢支されている。取付軸50には、軸方向にわたって、畝上の玉葱を掻き込むための掻込体47が取り付けられている。
【0028】
このように、掻込体47、取付軸50、ブラケット49等により、駆動軸48を中心に回転する掻込回転体51が構成されている。掻込回転体51の回転に伴って、掻込体47がブラケット49に対して回動する。この掻込体47の回動可能な範囲は、ブラケット49の支持部49bの内側面に取り付けられたボルト49cによって規制されている。具体的には、掻込体47を枢支する取付軸50の両端部にアーム50a・50aが固定され、該アーム50a・50aが左右の支持部49b・49bの内側に配置されている。また、左右の支持部49b・49bのうち少なくとも一方には、ボルト(またはピン等)49cが内側に向けて突設され、該ボルト49cは取付軸50を枢支するための枢支孔の近傍に配置されている。そして、アーム50aとボルト49cが接触することによって掻込体47の回動が規制され、これにより、掻込体47が前下方から後方へ回動して玉葱を掻き込む際に、掻込体47に加わる反力に抗するようにし、掻込体47が第1搬送部4の上部搬送面に対して略直角方向で、掻込体47先端が搬送面に接触した状態で後方へ移動して玉葱を掻き込む(拾い上げる)。そして、掻込体47が上方へ回動したときには規制されずに前方へ倒れる。
【0029】
掻込体47は樹脂(例えば、ゴムやビニール)等の弾性部材で形成されており、玉葱を掻きこむ際に、玉葱を傷つけないようにしている。また、掻込体47を肉厚に形成して、一枚の掻込体47で複数の玉葱を同時に掻き込むことを容易としている。掻込体47には、反取付軸50側(先端側)から取付軸50側(基部側)へ向かって、切目(溝)47aが形成されている。切目47aは、掻込体47の取付軸50に対して垂直方向で左右平行に複数箇所(本実施例では3箇所)形成される細長い凹部であって、左右方向に略均等(左右略対称)に設けられている。
【0030】
掻込体47の基部側に、横長の補強板47bが貼設されている。補強板47bは、掻込体47の切目47a末端よりも基部側に設けられ、また、掻込体47の左右方向の幅より若干短く設けられている。そして、補強板47bは、掻込体47の駆動軸48まわりの回転方向(図4でいえば反時計まわり)の後側に取り付けられている。なお、補強板47bは掻込体47に必ずしも貼設して固着する必要はなく、取付軸50に固定するだけでもよい。また、補強板47bを肉厚の掻込体47中に埋め込むようにしてもよい。また、掻込体47において、切目47aと補強板47bとを重複して設けていないが、重複させて設けるようにしてもよい。また、取付軸50に掻込体47を取り付けるための支持板と補強板47bを一体的に構成することもできる。補強板47bを設けない場合には、玉葱を掻き込む際、掻込体47に作用する反力によって掻込体47が回転方向後方へ折れ曲がって、拾い上げられない玉葱が出てくる場合があった。しかし、本実施例では、補強板47bを設けて、掻込体47の剛性を向上させることにより、掻込体47に作用する反力に抗して、玉葱の掻き込みを確実に行うことができる。
【0031】
また、第1搬送部4の左右のブラケット27・27前下部の内側面にガイド部材52・52が掻込体47側に向かって突設されており、該左右のガイド部材52・52はプレート状に構成して、その内側面であるガイド面が掻込体47の左右両端と略平行に所定の間隔をあけて配置されている。つまり、掻込体47の左右両端とブラケット27・27との隙間に配置されている。そして、左右のガイド部材52・52は、ちょうど第1搬送部4の左右の搬送チェーン53・53(後述)の前方、言い換えれば、第1搬送部4の玉葱の搬送経路の始端部の前方に配置されている。このように、ガイド部材52・52は、掻込体47および搬送チェーン53・53と干渉しない位置に配置されている。そして、掻込体47が前下方から後方へ回動して玉葱を掻き込んで、ピックアップ部3から第1搬送部4へ玉葱を供給する際に、掻込体47の左右側方から後述する搬送ガイド61の先端までの間で玉葱がそれる(漏れる)ことを防止している。
【0032】
以上のように構成されるピックアップ部3に、エンジン12の動力が伝達されると、掻込回転体51が駆動軸48を中心に回転する。つまり、駆動軸48を中心に掻込体47が回転する。これにより、畝の玉葱がピックアップ部3に掻き込まれ、掻き込んだ玉葱を第1搬送部4の始端側に供給するようにしている。なお、エンジン12からピックアップ部3への動力伝達については、後述する。
【0033】
図1、図4、図5に示すように、第1搬送部4は、左右一対の搬送チェーン53・53、複数本の第1搬送棒54・54・・・、複数本(第1搬送棒54と同数)の第2搬送棒55・55・・・、駆動スプロケット56、従動スプロケット57、駆動軸58、従動軸59、ブラケット27、搬送ガイド61等により構成され、ピックアップ部3で取り込まれた玉葱を後方へ搬送するために備えられている。前述したピックアップ部3を支持する左右のアーム24・24のそれぞれの前部にブラケット27・27が取り付けられている。そして、左右のブラケット27・27の間に搬送チェーン53・53が後上がりに傾けて配置されている。搬送チェーン53は、駆動スプロケット56と従動スプロケット57との間に巻回されている。駆動スプロケット56は駆動軸58に固設され、該駆動軸58は左右のブラケット27・27に回転自在に軸受支持されている。また、従動スプロケット57は従動軸59に固設され、該従動軸59は左右のブラケット27・27に回転自在に軸受支持されている。
【0034】
左右の搬送チェーン53・53の間には、複数本の第1搬送棒54・54・・・および第2搬送棒55・55・・・が交互に取り付けられて支持されている。このうち、第1搬送棒54は、軸部材54aと中空のカラー54bとからなり、該カラー54bの中空部分に軸部材54aが挿入される構成となっている。そして、軸部材54aが搬送チェーン53・53に取り付けられており、該軸部材54aに対してカラー54bが回転自在となっている。このように、カラー54bを軸部材54aに対して回転自在としているため、拾い上げられて第1搬送棒54上に玉葱が落ちてもカラー54bが回転して当接ショックを和らげ、玉葱を傷つけることなく搬送できる。これに対して、第2搬送棒55は、平面視(正面視)で長手方向に凹凸を有する形状となっており、搬送チェーン53・53に取り付けられる両端部を凸部55a・55aとし、該凸部55a・55a以外の部分を玉葱の搬送面に対して略垂直に窪ませた凹部55bとして形成している。つまり、第2搬送棒55は、搬送チェーン53・53との連結部分以外を、搬送面に対して窪ませて形成している。そして、第2搬送棒55において、長手方向の殆どの部分を凹部55bが占めるようにしている。
【0035】
この場合、第2搬送棒55の凹部55bと、その前後の第1搬送棒54・54とによって、玉葱の載置部60が形成されており、該載置部60に玉葱を載置して搬送するようにしている。この載置部60の前後方向の長さは、前後の第1搬送棒54・54によって定まり、また、載置部60搬送面に対する深さは、第2搬送棒55の凹部55bによって定まる。したがって、収穫される玉葱のサイズに合わせて、載置部60のサイズを調節すればよい。このように、第1搬送部4において、第1搬送棒54と第2搬送棒55によって載置部60を形成し、玉葱の搬送面に凹凸を設けることにより、載置部60に嵌まり込むように玉葱が載置されて、後方へ搬送される。これにより、搬送中の玉葱を安定させることができ、確実に玉葱を搬送することができる。この場合、一つの載置部60に左右方向に複数の玉葱を載せて搬送することができる。また、凸部55aにより玉葱の左右方向への移動を規制して、玉葱が搬送チェーン53・53と接触することを防止し、玉葱の損傷の防止を図っている。
【0036】
また、左右のブラケット27・27のそれぞれの内側面には、搬送ガイド61・61が取り付けられている。この搬送ガイド61・61は、第2搬送部5の搬送チェーン62・62(後述)の左右方向の幅よりも第1搬送部4の搬送チェーン53・53の左右方向の幅の方が広いため、第1搬送部4から第2搬送部5へ確実に玉葱を搬送するために設けられている。したがって、搬送ガイド61・61の左右方向の間隔は、後方にいくにつれて徐々に狭まっていくようにしている。そして、搬送ガイド61・61により、玉葱が搬送チェーン53・53と接触することを防止し、玉葱の損傷の防止を図っている。第1搬送部4は、隙間の多い構成となっている。このため、玉葱の表面に付着している泥土が搬送中に振り落とされた場合であっても、第1搬送部4の搬送棒54・55等の部材に泥土を付着させずに、地面まで落下させるようにしている。
【0037】
このように構成される第1搬送部4に、エンジン12の動力が伝達されると、搬送チェーン53・53が駆動し、該搬送チェーン53・53に取り付けられる玉葱の載置部60・60・・・(第1搬送棒54・54・・・および第2搬送棒55・55・・・)が移動する。これにより、第1搬送部4において、玉葱を始端側から終端側まで搬送するようにしている。終端側まで搬送された玉葱は載置部60から開放され、第2搬送部5または受継部9に受け継がれる。なお、エンジン12から第1搬送部4への動力伝達については、後述する。
【0038】
図1、図2、図6に示すように、第2搬送部5は、左右一対の搬送チェーン62・62、複数の搬送体63・63・・・、駆動スプロケット64、従動スプロケット65、駆動軸としての支持軸20、従動軸67、左右一対の側板68・68、天板69、ビニールガイド70等により構成され、玉葱を後上方へ搬送するために備えられている。第2搬送部5の左右両側部には側板68・68が取り付けられており、該左右の側板68・68によって搬送チェーン62・62、搬送体63・63・・・等を側方から覆っている。搬送チェーン62・62は、駆動スプロケット64と従動スプロケット65との間に巻回され、後上がりに傾けて配置されている。この場合、搬送チェーン62・62の傾斜角度は、搬送チェーン53・53の傾斜角度よりも大きくなっている。つまり、玉葱は、第2搬送部5において、第1搬送部4よりも急角度で後上方へ搬送される。駆動スプロケット64は支持軸20に固設され、該支持軸20は左右の支柱17・17に回転自在に軸受支持されている。また、従動スプロケット65は従動軸67に固設され、該従動軸67は前記左右のブラケット27・27に回転自在に軸受支持されている。第2搬送部5の上部には天板69が配置されており、該天板69の前端部が左右の側板68・68に固定されている。天板69の後端部から後方の選別部6に向けてビニールガイド70が垂れ下がっている。
【0039】
搬送チェーン62・62の間には、複数の搬送体63・63・・・が取り付けられて支持されている。搬送体63は、左右両端に対向配置される一対の枠部材63a・63aと、該枠部材63a・63a間に架設される複数本(本実施例では2本)の第1搬送棒63b・63b、および複数本(本実施例では3本)の第2搬送棒63c・63c・・・とにより形成される。枠部材63aは側面視略「コ」字状に形成され、対向して設けられる一対の側部部材と、該側部部材の一方の端部間を接続する底部部材よりなっている。なお、枠部材63aを、「U」字状、円弧状等、その他の形状としてもよい。そして、「コ」字状の開放された部分が玉葱の搬送方向(前側で略上方)を向くように、一方の側部部材を搬送チェーン62に取り付けている。また、両側部部材の中途部の間には、連結部材63dが底部部材と略平行に取り付けられている。連結部材63dにより、枠部材63a(搬送体63)を補強するとともに、玉葱の左右方向への移動を規制し、玉葱が搬送チェーン62・62と接触することを防止して、玉葱の損傷の防止を図っている。なお、搬送体63のサイズは枠部材63aによって定まり、収穫される玉葱のサイズに合わせて、枠部材63aのサイズを調節すればよい。
【0040】
第1搬送棒63b・63bおよび第2搬送棒63c・63c・・・は、左右の枠部材63a・63a間に平行に配置される。第1搬送棒63b・63bは、左右の枠部材63a・63aの両端部(つまり、枠部材63aの両側部部材の端部のうち、底部部材と接続されていない端部)の間に取り付けられている。第1搬送棒63bの表面には、樹脂コーティングが施されている。これにより、玉葱が第1搬送部4から第2搬送部5に受け継がれる際に、下方から叩き上げられるように玉葱に衝撃が加わる場合があるが、この衝撃を緩和して、玉葱が傷つくことを防止できる。なお、第1搬送棒63bを、前述した第1搬送部4の第1搬送棒54と同様に、軸部材と中空のカラー(樹脂製)とにより構成してもよい。この場合には、軸部材に対してカラーが回転自在となっているため、ショックを一層緩和することができ、玉葱を傷つけることなく搬送できる。
【0041】
第2搬送棒63c・63c・・・は、左右の枠部材63a・63aの両側部部材の中途部間、底部部材の略中央間に取り付けられている。なお、第2搬送棒63cの本数および取付位置は、搬送体63に玉葱を安定して載置できるものであれば、特に限定されない。また、第2搬送棒63cを、第1搬送棒63bと同様の構成として、表面に樹脂コーティングを施して形成してもよく、あるいは、軸部材と、中空のカラー(樹脂製)とにより構成してもよい。
【0042】
このように、第2搬送部5において、搬送チェーン62・62に玉葱を載置する搬送体63・63・・・を設けることより、搬送体63に嵌まり込むように玉葱が載置されて、後上方へ搬送される。これにより、搬送中の玉葱を安定させることができ、確実に玉葱を搬送することができる。この場合、一つの搬送体63に左右方向に複数の玉葱を載せて搬送することができる。第2搬送部5は、隙間の多い構成となっている。このため、玉葱の表面に付着している泥土が搬送中に振り落とされた場合であっても、第2搬送部5の搬送体63等の部材に泥土を付着させずに、地面まで落下させるようにしている。
【0043】
このように構成される第2搬送部5に、エンジン12の動力が伝達されると、搬送チェーン62・62が駆動し、該搬送チェーン62・62に取り付けられる搬送体63・63・・・が移動する。これにより、第2搬送部5において、玉葱を始端側から終端側まで搬送するようにしている。終端側まで搬送された玉葱は搬送体63から開放された後、鉛直下方に落下することにより選別部6へ移送される。なお、エンジン12から第2搬送部5への動力伝達については、後述する。
【0044】
第1搬送部4の終端側(後端側)まで搬送された玉葱は、第2搬送部5の搬送体63に直接、受け継がれる場合もあり、また、受継部9を経て第2搬送部に受け継がれる場合もある。受継部9は、第1搬送部4の終端側と第2搬送部5の始端側(前端側)との間に配設され、第1搬送部4から第2搬送部5へ確実に玉葱を受け渡すために備えられている。
【0045】
図1、図7に示すように、受継部9はガイドプレート71、固定ガイド72、可動ガイド73、左右の側板74・74等により構成される。固定ガイド72は、第1搬送部4の左右のブラケット27・27の後端部の左右にわたって固定されている。可動ガイド73はゴム等の弾性部材で構成して固定ガイド72の後部に固定され、該可動ガイド73の後部は側板74・74の間の下部に横設されたガイドプレート71上に載置される。該側板74は第2搬送部5の側板68の下部に固定されている。そして、ピックアップ部3と第1搬送部4の高さ調整等のために従動軸67を中心に回動すると、固定ガイド72が一体的に回動して、可動ガイド73はガイドプレート71上を前後に摺動し、第1搬送部4の後部と第2搬送部5の前下部との間に隙間が生じないように受継部9を構成しているのである。
【0046】
前記可動ガイド73は、樹脂(例えば、ゴム)等の弾性部材で形成されて、第1搬送部4より落下する玉葱を傷つけないようにしている。また、側板74・74により、受継部9の側方からの玉葱の落下を防止している。第1搬送部4から受継部9に移送された玉葱が、固定ガイド72、可動ガイド73を転がり落ち、可動ガイド73の終端(後端)部分に達するまでに、第2搬送部5の搬送体63に掬われることによって、玉葱が第2搬送部5に確実に受け継がれる。
【0047】
図1、図3に示すように、選別部6は、第2搬送部5の後下方に配置され、該第2搬送部5の後端からコンテナ30に移送するときに腐った玉葱等を選別するとともに、コンテナ搬送部7のコンテナ30に収納するために設けられている。選別部6には選別滑り台90が備えられており、作業者は、左側方に位置して選別滑り台90に移送されてくる玉葱の状態を確かめ、不良の玉葱があれば、選別滑り台90から取り出すことによって、選別作業を行う。
【0048】
選別滑り台90は上面および左側面が開放されて形成されており、この開放されている左側面にはシャッター92が開閉(回動)可能に設けられている。シャッター92は、該シャッター92の左側面に付設されているレバー92aを操作することによって、回動軸91を中心に回動する。そして、シャッター92が回動することにより、選別滑り台90の左側面の下端部分が閉じたり(図1に示す状態)、開いたりする。また、選別滑り台90の底面90aは右側が持ち上げられ、左下がりに傾斜している。このため、選別滑り台90に移送された玉葱は左側に転がる。この選別滑り台90の底面90aは、第2搬送部5から玉葱が開放される部分(終端)よりも下方に設けられており、第2搬送部5の終端で開放された玉葱は、底面90aに達するまでの間、自由落下する。このように、第2搬送部5の終端と、選別滑り台90の底面90aとの間に、玉葱が自由落下する区間を設けているので、第2搬送部5の搬送体63と底面90aとの間に、玉葱が挟まれることがなくなり、これにより、玉葱が損傷することを防止できる。底面90aにはゴム等の弾性部材が貼設されており、第2搬送部5から落下する玉葱への衝撃を緩和して玉葱を傷つけないようにしている。選別滑り台90の左側面の下端部から、左下方に配置されるコンテナ搬送部7のコンテナ30に向けて、収納ガイド93が垂れ下がっている。収納ガイド93の終端には錘用の棒94が取り付けられており、該棒94はコンテナ搬送部7のコンテナ30の底面まで達している。または、コンテナ30の側板上に引っ掛けられるようにしている。
【0049】
収穫作業時は、シャッター92を前方側に回動して、選別滑り台90の左側面の下端部分を開放する。これにより、選別滑り台90内の玉葱は収納ガイド93に沿って左下方に転がり落ち、コンテナ搬送部7のコンテナ30に収納される。しかし、収穫作業時に、例えば、収納しているコンテナ30に玉葱が満載されて、空のコンテナ30と取り替える場合には、シャッター92を後方側に回動して、選別滑り台90の左側面の下端部分が閉じる。これにより、コンテナ30への収納が一旦中断され、選別滑り台90内に玉葱が蓄えられていく。コンテナ30の取り替え作業が終了すれば、シャッター92を前方側に回動して、コンテナ30への収納を再開する。
【0050】
図1、図2、図3に示すように、コンテナ搬送部7は、平面視で、略「コ」字状に構成されており、右側のクローラ走行装置2の右上方に前後方向に配置される右搬送部7Rと、右搬送部7Rの前端から左側方へ延設して、左右のクローラ走行装置2の上方に左右方向にわたって配置される中搬送部7Mと、中搬送部7Mの左端から後方へ延設して、左側のクローラ走行装置2の略上方に前後方向に配置される左搬送部7Lとにより構成される。コンテナ搬送部7の「コ」字状に囲まれた空間には、エンジン12、ミッションケース13、油圧ポンプ15、操作部8等が配置されている。これにより、コンテナ搬送部7により形成された空きスペースを有効に活用して、省スペース化を図っている。
【0051】
右搬送部7Rは、空の状態のコンテナ30を載置し、コンテナ30を中搬送部7M(前方)へ搬送するために設けられている。右搬送部7Rは、その左側(機体側)を若干下方に傾けて取り付けられており、右搬送部7R上のコンテナ30が右方から落下しないようにしている。また、右搬送部7Rは、回動軸78を中心に上方に回動可能に支持されており、機体側に折り畳み可能に構成されている。そして、右搬送部7Rを機体側へ折り畳んで、ストッパー77により係止した状態(図3の2点鎖線で示す状態)とすることにより、玉葱収穫機1を使用しない場合や格納時等で左右方向の省スペース化を図ることができる。なお、右搬送部7Rは、ローラコンベアで構成してもよい。こうして、作業者は、空のコンテナ30を右搬送部7R上で前方に移動させて、中搬送部7Mまで搬送する。
【0052】
中搬送部7Mは、前記選別部6の下方に配置され、落下供給される玉葱をコンテナ30に収納するために設けられている。中搬送部7Mはローラコンベアとして構成され、中搬送部7Mではコンテナ30は右から左へ搬送される。図3に示すように、本実施例では、玉葱が選別滑り台90から収納ガイド93に沿って中搬送部7Mの左寄りに位置するコンテナ30に落下するようにしているため、収納ガイド93の下端側が配置される位置にコンテナ30を搬送しておく。この場合、収納ガイド93の下端部に付設される錘用の棒94がコンテナ30の底面まで達している。また、中搬送部7Mのローラコンベアの前後両側には、搬送ガイド79が取り付けられており、該搬送ガイド79によってコンテナ30がローラコンベアから落下しないようにしている。
【0053】
次に、コンテナ30を搬送する方向を90度変更して、中搬送部7Mから左搬送部7Lに搬送する。左搬送部7Lでは、コンテナ30を後方へ搬送する。左搬送部7Lは、玉葱を収納した状態のコンテナ30を搬送するため、ローラコンベアとして構成して、大きな力を必要とせず容易に後方へ搬送できるようにしている。収穫作業中には、中搬送部7Mの左端のコンテナ30が一杯になると、左搬送部7L上に移動する。そして、玉葱を収納したコンテナ30を後で運搬車等により回収する場合には、左搬送部7L後端から圃場面上に降ろす。また、まとめて回収する場合には、左搬送部7L上に順に後方へ押しながら載置しておき、左搬送部7L上に一杯コンテナ30が載せられると、作業を中断して圃場にコンテナ30を降ろす。該左搬送部7Lは右搬送部7Rとは違って、左側のクローラ走行装置2を支持する左側の前後フレーム11L上に取り付けられているため、玉葱を収納した状態のコンテナ30を複数個、前後に並べて載置可能となっている。なお、左搬送部7Lのローラコンベアの左右両側には、搬送ガイド80が取り付けられており、該搬送ガイド80によってコンテナ30がローラコンベアから落下しないようにしている。なお、玉葱をコンテナ30に収納する位置は、本実施例では左端側であるが、右側に設けることも可能である。
【0054】
次に、玉葱収穫機1における動力の伝達経路について、図2を用いて説明する。エンジン12の出力軸111上には、油圧ポンプ15を駆動するための出力プーリ111aと、クローラ走行装置2および作業機を駆動するための出力プーリ111bとが固設されている。一方の出力プーリ111aと、油圧ポンプ15の入力軸112上に固設される入力プーリ112aとの間にベルト113が巻回され、これらのベルト・プーリを介してエンジン12の動力が油圧ポンプ15に伝達される。これにより、油圧ポンプ15を駆動して、昇降シリンダ18を伸縮させる。この場合、作業機昇降レバー36を操作することによって、昇降シリンダ18を伸縮させて、作業機を昇降するようにする。
【0055】
他方の出力プーリ111bと、ミッションケース13の入力軸114上に固設される入力プーリ114aとの間にベルト115が巻回され、これらのベルト・プーリを介してエンジン12の動力がミッションケース13に入力される。ミッションケース13で変速( 本実施例ではHSTにより変速) された動力により、ミッションケース13両側部より突出する駆動軸45を駆動し、該駆動軸45上に固設される駆動輪41を回転させる。これにより、クローラ走行装置2が駆動する。この場合、操作部8の変速レバー32を操作することによりミッションケース13内で変速を行って、機体の走行速度を調節するようにしている。また、操向レバー33を操作することにより左右のクローラ走行装置2それぞれの駆動速度を調節して、機体の操向や旋回を行うようにしている。
【0056】
また、ミッションケース13からは第1伝動軸121、第2伝動軸122、第3伝動軸123、および第4伝動軸124を介して、作業機に動力が伝達される。ミッションケース13から出力軸116が突出しており、該出力軸116上には出力ギア116aが固設され、該出力ギア116aと、第1伝動軸121の一端部上の入力ギア121aとが噛合している。第1伝動軸121の他端部にはベベルギア(図示せず)が刻設されており、該ベベルギアと第2伝動軸122の一端部に刻設されるベベルギア(図示せず)とが第1ベベルギアケース131内で噛合している。第2伝動軸122の他端部にはベベルギア(図示せず)が刻設されており、該ベベルギアと第3伝動軸123の一端部に刻設されるベベルギア(図示せず)とが第2ベベルギアケース132内で噛合している。第3伝動軸123の他端部上にはスプロケット123aが固設されており、第4伝動軸124上に固設されるスプロケット124aとの間に、チェーン125が巻回されている。第4伝動軸124上には、小径ギア124bが固設されており、該小径ギア124bと支持軸20上に固設される大径ギア20aとが噛合している(図2では、両者124b・20aが噛み合っていないが、実際には噛み合っている)。このように、エンジン12の動力が支持軸20に伝達され、該支持軸20上に固設される駆動スプロケット64が駆動される。これにより、駆動スプロケット64と、従動軸67上に固設される従動スプロケット65との間に巻回される左右一対の搬送チェーン62・62が駆動され、この結果、第2搬送部5が駆動する。
【0057】
第2搬送部5の従動軸67には、ピックアップ部3を駆動するためのスプロケット67aと、第1搬送部4を駆動するためのスプロケット67bとが固設されている。一方のスプロケット67aと、ピックアップ部3の駆動軸48上に固設される駆動スプロケット48aとの間にチェーン126が巻回され、これらのチェーン・スプロケットを介してピックアップ部3に動力が伝達される。これにより、ピックアップ部3が駆動する。
【0058】
従動軸67上の他方のスプロケット67bと、第1搬送部4の駆動軸58上に固設されるスプロケット58aとの間にチェーン127が巻回されており、これらのチェーン・スプロケットを介して、エンジン12の動力が駆動軸58に伝達され、該駆動軸58上に固設される駆動スプロケット56が駆動される。これにより、駆動スプロケット56と、従動軸59上に固設される従動スプロケット57との間に巻回される左右一対の搬送チェーン53・53が駆動され、この結果、第1搬送部4が駆動する。
【0059】
以上のような動力伝達により、 クローラ走行装置2の駆動と同期して、ピックアップ部3、第1搬送部4、第2搬送部5が駆動する。つまり、玉葱収穫機1は、機体を進行させながら作業機を駆動して、玉葱の収穫作業を行うようにした自走式に構成されている。なお、この場合、操作部8の作業機クラッチレバー34を操作することによって、ミッションケース13内で作業機への動力の伝達を断接できるようにしている。
【0060】
そして、第2搬送部5での玉葱の搬送速度を、第1搬送部4での玉葱の搬送速度よりも大きくしている。言い換えれば、搬送チェーン62・62の駆動速度を、搬送チェーン53・53の駆動速度よりも大きくしている。つまり、第2搬送部5の従動スプロケット65から第1搬送部4の駆動スプロケット56へ動力を伝達する間に、減速を行っている。仮に、第2搬送部5での搬送速度が遅ければ、受継部9において玉葱が滞留し、受継部9で玉葱同士が接触して、玉葱が傷ついてしまうという問題点がある。そこで、本実施例では、第2搬送部5での搬送速度を第1搬送部4での搬送速度よりも速くすることによって、玉葱の遅滞を防止して円滑に玉葱を搬送し、これにより、玉葱の損傷の防止を図っている。
【0061】
以上のように構成される自走式歩行型の玉葱収穫機によれば、従来の構成の牽引式の玉葱収穫機と比べて、次のような利点がある。玉葱収穫機1を、前述したような複数のコンテナ30を載置・搬送できるコンテナ搬送部7を備える構成とすることができる。これにより、玉葱が満載されたコンテナ30を、コンテナ搬送部7に載置しておくことができ、収穫作業中にコンテナ30を圃場に放置しなくてもよくなる。また、コンテナ30の取替作業をスムースに行うことができる。この結果、作業効率の向上が図れる。そして、コンテナ搬送部7において、機体の進行方向に対して略直角方向にコンテナ30を搬送する中搬送部7Mを設ける構成としている。これにより、機体の左右を作業スペースとして確保することができる。この作業スペースに、例えば、本実施例の場合のように、中搬送部7Mに接続する左右の搬送部7L・7Rを設けている。
【0062】
また、機体左右側部(左右両側、または左右一方側)に非常停止スイッチ(図示せず)を備える構成とすることもできる。非常停止スイッチはエンジン12の停止回路( 点火回路等よりなる) と接続され、機体側部に位置する主作業者または補助作業者により操作される操作具であり、例えば、側板68の上部外側面に配置され、この操作によってエンジン12が停止するようにしている。非常停止スイッチは、機体側部に設けられているため、作業者が作業機等の異常を発見した非常時には、素早く対応してエンジンを停止させることができる。これにより、玉葱収穫機1における安全性の向上を図ることができる。また、非常停止スイッチに加えて主クラッチレバーを配置してもよく、この場合、コンテナ30が一杯になったときや、玉葱を収納したコンテナ30を圃場面に降ろすときや、空のコンテナ30を補充するとき等において、主クラッチを切断することで、操向および作業を停止できるようにするのである。
【0063】
さらに、第2搬送部5の終端部とコンテナ搬送部7との間に、選別部6を設ける構成とすることができる。つまり、第2搬送部5から開放された玉葱を落下させて直接コンテナ30に収納せずに、第2搬送部5から一旦、選別部6に移送し、該選別部6にて選別作業を行った後、コンテナ30に収納することとしている。これにより、直接収納する場合に比べて、コンテナ30への収納後、改めて選別作業を行う必要がなくなり、作業効率の向上を図れるとともに、搬送中に玉葱への衝撃を緩和でき、玉葱が傷つきにくくなる。特に、選別滑り台90からコンテナ30までは、玉葱は収納ガイド93に沿って転がり落ちるため、玉葱への衝撃を一層緩和できる。
【0064】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に示す如く、エンジン(12)と、該エンジン(12)により駆動され、機体下部に配設されるクローラ走行装置(2)とを備え、該クローラ走行装置(2)を駆動して機体を進行させながら玉葱を収穫する自走式の玉葱収穫機(1)であって、機体最前部に配設されるピックアップ部(3)と、該ピックアップ部(3)の後方に連設される玉葱搬送部と、前記クローラ走行装置の上方に配設されるコンテナ搬送部(7)と、クローラ走行装置(2)の後部上方に配設される操作部(8)とを備え前記コンテナ搬送部(7)は、右側のクローラ走行装置(2)の右上方に前後方向に配置される右搬送部(7R)と、該右搬送部(7R)の前端から左側方へ延設して、左右のクローラ走行装置2の上方に左右方向にわたって配置される中搬送部(7M)と、該中搬送部(7M)の左端から後方へ延設して、左側のクローラ走行装置(2)の略上方に前後方向に配置される左搬送部(7L)とにより、平面視で、略「コ」字状に構成したので、複数のコンテナをコンテナ搬送部に載置でき、玉葱が満載されたコンテナをもコンテナ搬送部に載置しておくことができるため、収穫作業中にコンテナを圃場に放置しなくてもよくなる。また、コンテナの取替作業をスムースに行うことができる。これにより、収穫時の作業効率の向上を図ることができる。
即ち、右搬送部7Rは、空の状態のコンテナ30を載置し、コンテナ30を中搬送部7M(前方)へ搬送するために設けられている。中搬送部7Mは、前記選別部6の下方に配置され、落下供給される玉葱をコンテナ30に収納するために設けられている。左搬送部7Lでは、コンテナ30を後方へ搬送する。左搬送部7Lは、玉葱を収納した状態のコンテナ30を搬送するため、ローラコンベアとして構成し、大きな力を必要とせず容易に後方へ搬送できるようにすることができる。
【0065】
また、コンテナ搬送部7の「コ」字状に囲まれた空間には、エンジン12、ミッションケース13、油圧ポンプ15、操作部8等が配置されている。これにより、コンテナ搬送部7により形成された空きスペースを有効に活用して、省スペース化を図っている。
また、前記コンテナ搬送部には、機体の進行方向に対して直交する方向にコンテナを搬送する部分を有するので、機体の左右を作業スペースとして確保することができる。
【0066】
請求項2に示す如く、前記コンテナ搬送部(7)の平面視略「コ」字状に囲まれる部分に、操作部(8)を配置したので、コンテナ搬送部により形成された空きスペースを有効に活用して、省スペース化を図ることができる。
【0067】
請求項3に示す如く、前記「コ」字状に形成されたコンテナ搬送部の機体左右略中央に位置する中搬送部(7M)では、機体の進行方向に対して略直交する方向にコンテナ(30)を搬送するので、機体の左右を作業スペースとして確保することができる。
【0068】
請求項4に示す如く、請求項1記載の玉葱収穫機において、前記「コ」字状に形成されたコンテナ搬送部(7)の機体右側部に位置する右搬送部(7R)を、機体側に折り畳み可能に構成したので、収穫作業を行わない場合や格納時等の左右方向の省スペース化を図ることができる。
【0069】
請求項5に示す如く、前記玉葱搬送部の玉葱搬送経路の終端側に選別部(6)を構成する選別滑り台(90)を連設し、該選別滑り台(90)を介して、コンテナ搬送部(7)のコンテナ(30)へ玉葱を収納するので、玉葱搬送部からコンテナに玉葱を直接収納する場合に比べて、コンテナへの収納後、改めて選別作業を行う必要がなくなり、作業効率の向上を図ることができる。また、搬送中に玉葱への衝撃を緩和でき、玉葱の損傷を防止できる。
【0070】
請求項6に示す如く、前記玉葱搬送部の玉葱搬送経路の終端と、選別部(6)を構成する選別滑り台(90)との間に、玉葱が鉛直下方に自由落下する区間を設けたので、玉葱搬送部と選別部との間で、玉葱が挟まれることがなくなり、玉葱が損傷することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用する玉葱収穫機の一実施例を示す側面図。
【図2】 玉葱収穫機における動力の伝達、およびコンテナの搬送を示す平面図。
【図3】 玉葱収穫機におけるコンテナの搬送、および選別部を示す後面図。
【図4】 ピックアップ部および第1搬送部を示す図。
【図5】 第1搬送部を示す図。
【図6】 第2搬送部を示す図。
【図7】 受継部を示す図。
【符号の説明】
1 玉葱収穫機
2 クローラ走行装置
3 ピックアップ部
4 第1搬送部
5 第2搬送部
7 コンテナ搬送部
8 操作部
12 エンジン

Claims (6)

  1. エンジン(12)と、該エンジン(12)により駆動され、機体下部に配設されるクローラ走行装置(2)とを備え、該クローラ走行装置(2)を駆動して機体を進行させながら玉葱を収穫する自走式の玉葱収穫機(1)であって、機体最前部に配設されるピックアップ部(3)と、該ピックアップ部(3)の後方に連設される玉葱搬送部と、前記クローラ走行装置の上方に配設されるコンテナ搬送部(7)と、クローラ走行装置(2)の後部上方に配設される操作部(8)とを備え、前記コンテナ搬送部(7)は、右側のクローラ走行装置(2)の右上方に前後方向に配置される右搬送部(7R)と、該右搬送部(7R)の前端から左側方へ延設して、左右のクローラ走行装置2の上方に左右方向にわたって配置される中搬送部(7M)と、該中搬送部(7M)の左端から後方へ延設して、左側のクローラ走行装置(2)の略上方に前後方向に配置される左搬送部(7L)とにより、平面視で、略「コ」字状に構成したことを特徴とする玉葱収穫機
  2. 請求項1記載の玉葱収穫機において、前記コンテナ搬送部(7)の平面視略「コ」字状に囲まれる部分に、操作部(8)を配置したことを特徴とする玉葱収穫機。
  3. 請求項1記載の玉葱収穫機において、前記「コ」字状に形成されたコンテナ搬送部の機体左右略中央に位置する中搬送部(7M)では、機体の進行方向に対して直交する方向にコンテナ(30)を搬送することを特徴とする玉葱収穫機。
  4. 請求項1記載の玉葱収穫機において、前記「コ」字状に形成されたコンテナ搬送部(7)の機体右側部に位置する右搬送部(7R)を、機体側に折り畳み可能に構成したことを特徴とする玉葱収穫機。
  5. 請求項1記載の玉葱収穫機において、前記玉葱搬送部の玉葱搬送経路の終端側に選別部(6)を構成する選別滑り台(90)を連設し、該選別滑り台(90)を介して、コンテナ搬送部(7)のコンテナ(30)へ玉葱を収納することを特徴とする玉葱収穫機。
  6. 請求項5記載の玉葱収穫機において、前記玉葱搬送部の玉葱搬送経路の終端と、選別部(6)を構成する選別滑り台(90)との間に、玉葱が鉛直下方に自由落下する区間を設けたことを特徴とする玉葱収穫機。
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