JP3806498B2 - トレハロース高含有シラップとその製造方法並びに用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレハロース含量をできるだけ高めた安定なシラップに関し、詳細には、トレハロースを水分当たり溶解度量を越えて溶解含有しているとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を溶解含有している難晶出性乃至非晶出性のトレハロース高含有シラップ及びその用途に関し、また、トレハロース高含有シラップからのトレハロースの晶出抑制方法に関し、更には、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖をを有効成分とするトレハロース晶出抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
トレハロース(α,α−トレハロース)は、グルコースを構成糖とする非還元性糖質として古くから知られており、その存在は、『アドバンシズ・イン・カーボハイドレイト・ケミストリー(Advances in Carbohydrate Chemistry)』、第18巻、第201乃至225頁(1963年)アカデミック・プレス社(米国)及び『アプライド・アンド・エンビロメンタル・マイクロバイオロジー(Applied and Environmental Microbiology)』、第56巻、第3213乃至3215頁(1990年)などにも記載されているように、少量ながら、微生物、きのこ、昆虫など広範囲に及んでいる。トレハロースのような非還元性糖質は、アミノ酸や蛋白質等のアミノ基を有する物質とアミノカルボニル反応を起こさず、含アミノ酸物質を損なわないことから、褐変、劣化を懸念することなく利用、加工できることが期待され、その工業的製造方法の確立が望まれている。
【0003】
トレハロースの製造方法としては、例えば、特開昭50−154485号公報で報告されている微生物菌体を用いる方法や、特開昭58−216695号公報で提案されているマルトース・ホスホリラーゼとトレハロース・ホスホリラーゼとの組合せでマルトースを変換する方法などが知られている。しかしながら、微生物菌体を用いる方法は、該菌体を出発原料とし、これに含まれるトレハロースの含量が、通常、固形物当たり15w/w%(以下、本明細書では、特にことわらない限り、w/w%を単に%と略称する。)未満と低く、その上、これを抽出、精製する工程が煩雑で、工業的製造方法としては不適である。また、マルトース・ホスホリラーゼ及びトレハロース・ホスホリラーゼを用いる方法は、いずれもグルコース−1リン酸を経由しており、その基質濃度を高めることが困難であり、また、両酵素の反応系が可逆反応で目的物の生成率が低く、更には、両酵素の反応系を安定に維持して反応をスムーズに進行させることが困難であって、未だ、工業的製造方法として実現するに至っていない。
【0004】
これに関係して、『月刊フードケミカル』、8月号、第67乃至72頁(1992年)、「澱粉利用開発の現状と課題」の「オリゴ糖」の項において、「トレハロースについては著しく広い応用範囲が考えられるが、本糖の澱粉糖質からの直接糖転移、加水分解反応を用いた酵素的生産は、現在のところ学術的には不可能であるといわれている。」と記載されているように、澱粉を原料とし、酵素反応によってトレハロースを製造することは、従来、学術的にも不可能であると考えられてきた。
【0005】
一方、澱粉を原料として製造させる澱粉部分分解物、例えば、澱粉液化物、各種デキストリン、各種マルトオリゴ糖などは、通常、その分子の末端に還元基を有し還元性を示すことが知られている。このような澱粉部分分解物を、本明細書では、還元性澱粉部分分解物と称する。一般に、還元性澱粉部分分解物は、固形物当たりの還元力の大きさをデキストロース・エクイバレント(Dextrose Equivalent,DE)として表している。この値の大きいものは、通常、分子が小さく低粘度で、甘味が強いものの、反応性が強く、アミノ酸や蛋白質などのアミノ基を持つ物質とアミノカルボニル反応を起こし易く、褐変し、悪臭を発生して、品質を劣化し易い性質のあることが知られている。
【0006】
このような還元性澱粉部分分解物の種々の特性は、DEの大小に依存しており、還元性澱粉部分分解物とDEとの関係はきわめて重要である。従来、当業界では、この関係を断ち切ることは不可能とさえ信じられてきた。
【0007】
還元性澱粉部分分解物とDEとの関係を断ち切る唯一の方法は、還元性澱粉部分分解物を高圧水素添加法などによって、その還元基をアルコールに変換して非還元性糖質にする方法である。しかし、この方法は、高圧オートクレーブを必要とし、多量の水素やエネルギーを消費するのみならず、防災上からも高度な安全施設や管理を必要としている。その上、得られる還元性澱粉部分分解物の糖アルコールは、原料の還元性澱粉部分分解物がグルコースのみからなるのに対し、グルコースとソルビトールとから構成される点で異なり、それを摂取することによって、一過性ではあるが、難消化、緩下の症状を起こす懸念もある。従って、還元性澱粉部分分解物の構成糖であるグルコースを変えることなく、その還元力を低減若しくは消滅させる方法の確立が望まれる。
【0008】
これを解決するために、本出願人は、先に、特開平7−143876号公報で開示したように、グルコース重合度3以上から選ばれる1種又は2種以上の還元性澱粉部分分解物から分子の末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する新規非還元性糖質生成酵素(本酵素を、本明細書を通じて、非還元性糖質生成酵素と称する。)を開示し、本非還元性糖質生成酵素を利用して、還元性澱粉部分分解物から分子の末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度3以上の非還元性糖質並びにこれら糖質からのトレハロース製造方法を確立した。
【0009】
また、本出願人は、特開平7−213283号公報で開示したように、分子の末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度3以上の非還元性糖質のトレハロース部分とそれ以外の部分との間の結合を特異的に加水分解する新規トレハロース遊離酵素(本酵素を、本明細書を通じて、トレハロース遊離酵素と称する。)を開示し、前述の非還元性糖質生成酵素と本トレハロース遊離酵素とを併用して還元性澱粉部分分解物から比較的高収量のトレハロースの製造方法を確立した。更に、本出願人は、特開平7−170977号公報で開示したように、マルトースをトレハロースに直接変換するマルトース・トレハロース変換酵素を開示し、マルトースから又は還元性澱粉部分分解物から調製したマルトースから比較的高収量のトレハロースの製造方法を確立した。
【0010】
その後、トレハロースの用途を種々検討している過程で、トレハロース含水結晶、トレハロース無水結晶などの結晶性粉末製品だけでなく、タンク貯蔵、ポンプ輸送、タンクローリー輸送が可能で、取扱いに便利なトレハロース高含有シラップの必要性の高いことが判明した。しかしながら、トレハロースは、水に対する溶解度が比較的低く、飽和に達しない程度の溶液は濃度も低く、容易に微生物が繁殖して汚染を受けることが判明し、また、逆に、トレハロースの過飽和溶液は室温下できわめて不安定で容易にトレハロース含水結晶の析出を起こし、沈澱を生じてシラップの特長である均質流動性を失い易く、タンク貯蔵、ポンプ輸送などに重大な支障をきたすことが判明した。そこで、トレハロース含量をできるだけ高めた安定なシラップの確立が望まれていた。
【0011】
これを解決するために、本出願人は、先に特願平7−110291号明細書及び特願平8−112159号明細書に記載したように、トレハロースを水分当たり溶解度量を越えて溶解含有させるとともに他の糖質を溶解させたシラップが、望ましくは、トレハロースを溶解度量を越えて溶解含有させるとともに、他の糖質をトレハロース量以上の量を溶解含有させたシラップが、更に望ましくは、シラップ当たりトレハロースを18.5乃至25.0%溶解含有するとともに、他の糖質をトレハロース量以上の量を溶解含有している水分25乃至35%のトレハロース高含有シラップが室温下で安定であり、本目的に合致することを見出した。しかしながら、このトレハロース高含有シラップは、その後の研究で、トレハロース含量がなお不充分であり、加えて製品のDEが高くなり易いなどの欠点のあることが判明した。そこでトレハロース含量をさらに高め、かつ、製品のDEをより低減させた室温下で安定なトレハロース高含有シラップの確立が強く望まれる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トレハロース含量を更に高めるとともに、室温下で難晶出性乃至非晶出性であって、かつ、微生物汚染を受けにくい安定なトレハロース高含有シラップとその用途を提供するものであり、加えて、トレハロース含量を更に高めたトレハロース高含有シラップからのトレハロースの晶出抑制方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するためにトレハロースの晶出抑制方法に着目し、更に高濃度にトレハロースを溶解含有させ、望ましくは、シラップ当たりトレハロースを25%を越える濃度に溶解含有させた、室温下で安定なシラップを確立することを目的に鋭意研究を続けた。その結果、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖がトレハロースの晶出を特異的に著しく抑制することが判明し、本発明を完成した。即ち、本発明によれば、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を共存させることによって、トレハロースを、水分当たり本来の溶解度量を越え、かつ、水分当たり本来の溶解度量の約2.8倍量までの範囲で溶解含有させた、室温下で安定なトレハロース高含有シラップが得られるものである。分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖の量は、トレハロースに対して10%以上であることが望ましく、水分の含有量を35%以下にすると、微生物による汚染の恐れもなく、更に望ましい。
【0014】
本発明でいう、トレハロースを水分当たり本来の溶解度量を越えて溶解含有しているとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を溶解含有しているトレハロース高含有シラップとしては、室温下でトレハロースの過飽和溶液であって、望ましくは、トレハロースを水分当たり本来の溶解度量の約2.8倍量までの範囲で、更に望ましくは、1.3乃至2.8倍量の範囲で溶解含有し、また、望ましくは、水分を約35%以下、更に望ましくは約25乃至35%の範囲で含有し、また、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖をトレハロースに対して10%以上溶解含有する溶液であって、室温下で難晶出性乃至非晶出性のシラップであればよく、その製造方法は問わない。例えば、予め、水にトレハロースを溶解度量を越えて加熱溶解させ、次いで、これに分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を溶解含有させてもよいし、また、トレハロースを加熱溶解して調製した溶解度量を越える溶液と別に調製した分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖の高濃度溶液とを目的に適うように混合して製造してもよい。なお、本発明のトレハロース高含有シラップの水分は、例えば、『澱粉糖関連工業分析法』(澱粉糖技術部会編、株式会社食品化学新聞社、1991年発行)に記載の混砂乾燥法によれば容易に測定できる。
【0015】
また、本発明で用いるトレハロースもその製造方法は問わない。トレハロース含水結晶は有利に利用できる。しかし、一般的には、高純度で高価なトレハロース原料を用いるよりもトレハロースとともに他の糖質を随伴している比較的純度の低い安価な原料が有利に用いられる。他の糖質を随伴しているトレハロース原料としては、例えば、本出願人が特開平7−143876号公報、特開平7−213283号公報などで開示した還元性澱粉部分分解物に非還元性糖質生成酵素やトレハロース遊離酵素を作用させるか、又は、特開平7−170977号公報で開示したマルトース・トレハロース変換酵素を作用させるなどして得られるトレハロース含有シラップや、それを濃縮、晶出させたトレハロース含水結晶含有マスキットを分蜜して得られる母液などがある。このようなトレハロース含有溶液は、通常、トレハロースを固形物当たり40乃至80%程度含有しており、本発明のシラップ原料として有利に用いられる。
【0016】
本発明で用いる分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖としては、例えば、α−グルコシルトレハロース、α−イソマルトシルα−グルコシドなどのモノ−グルコシルトレハロースや、α−マルトシルトレハロース、α−マルトシルα−マルトシド、α−イソマルトシルα−マルトシド、α−イソマルトシルα−イソマルトシドなどのジ−グルコシルトレハロース、α−マルトシルα−マルトトリオシド、α−マルトトリオシルトレハロースなどのトリ−グルコシルトレハロースなどが用いられる。また、これらオリゴ糖は、トレハロースの晶出抑制剤の有効成分として用いることも有利に実施される。
【0017】
トレハロースの晶出抑制効果は、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上のオリゴ糖を共存させることによって得られるが、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖をトレハロースに対して10%以上、望ましくは30%以上共存させるのが効果的である。とりわけ、ジ−グルコシルトレハロースを用いた場合には、トレハロースの晶出抑制効果を著しく高めることができ、特に望ましい。更に、また、必要ならば、本発明のトレハロース晶出抑制方法を実施するに際して、例えば、単糖類、二糖類以上のオリゴ糖など他の糖質の1種又は2種以上を含有させることも随意である。
【0018】
更に、所定量のトレハロースを溶解含有するとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を溶解含有させた本発明のトレハロース高含有シラップを、直接、澱粉から製造することも有利に実施できる。例えば、本出願人が、先に、特開平7−213283号公報で開示した方法に準じて、濃度10%以上の澱粉乳に酸又はα−アミラーゼを作用させてDE5以下の液化溶液とし、これに澱粉枝切酵素、非還元性糖質生成酵素及びトレハロース遊離酵素を作用させて、トレハロースを固形物当たり40乃至60%程度生成させ、次いで、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ及びシクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼなどから選ばれる酵素を1種又は2種以上作用させ、これを常法にしたがって、加熱失活し、活性炭で脱色、イオン交換樹脂(H型、OH型)で脱塩精製し、必要ならば、例えば、特公平4−50319号公報で開示されている強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにより単糖類などの夾雑糖質を除去して目的糖質の含量を高めた後、濃縮して、トレハロースを水分当たり溶解度量を越えて含有せしめるとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を共存含有させた水分約35%以下のトレハロース高含有シラップを採取すればよい。
【0019】
また、マルトテトラオース生成アミラーゼを用いて製造する場合には、例えば、本出願人が、先に、特開平7−143876号公報で開示した方法に準じて、マルトテトラオース高含有糖液に非還元性糖質生成酵素を作用させてマルトシルトレハロースを、固形物当たり30乃至60%程度生成させ、次いで、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、マルトース生成アミラーゼ、シクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼなどから選ばれる酵素を一種又は二種以上作用させ、次いで、前述の方法に従って、精製、濃縮して、トレハロースを水分当たり溶解度量を越えて含有せしめるとともに分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を共存含有させた水分約35%以下のトレハロース高含有シラップを採取すればよい。
【0020】
このようにして得られるトレハロース高含有シラップは、15℃以下の温度においても難晶出性乃至非晶出性で、取扱い容易であり、従来の澱粉糖と比較して、低DE、望ましくは、DE20未満で、還元性が低く安定であり、他の素材、例えば、アミノ酸、オリゴペプチド、蛋白質などのアミノ酸を有する物質やビタミンなどと混合、加工しても、変質、劣化することも、混合した他の素材を損なうことも少なく、低粘度、低甘味シラップとして各種飲食物、化粧品、医薬品など各種用途に有利に利用できる。必要ならば、高圧水素添加法などによって、シラップの還元力を消去することもできる。また、本発明のトレハロース高含有シラップは、生体内で、トレハロースがトレハラーゼにより容易にグルコースに分解されるのみならず、該シラップに含まれるトレハロース構造を有するオリゴ糖も、α−グルコシダーゼや小腸酵素で容易に分解し、グルコース及びトレハロースを生成し、更に、生成したトレハロースはトレハラーゼにより容易にグルコースにまで分解することから、経口摂取により、消化吸収され、カロリー源、エネルギー源として有利に利用される。また、虫歯誘発菌などによって、醗酵されにくく、虫歯を起こしにくい甘味料としても利用できる。本発明のトレハロース高含有シラップは、これを煮詰めれば、トレハロースの晶出も見られず、高品質のハードキャンディーが得られる。また、本発明のトレハロース高含有シラップは、浸透圧調節性、賦形性、照り付与性、保湿性、粘性、他の糖の晶出防止性、難醗酵性、糊化澱粉の老化防止性などの性質も具備している。
【0021】
また、本発明のトレハロース高含有シラップは、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、賦形剤、粉末化基剤などとして、飲食物、飼料、餌料、化粧品、医薬品などの各種組成物に有利に利用できる。
【0022】
本発明のトレハロース高含有シラップは、そのまま甘味付けのための調味料として使用することができる。必要ならば、例えば、粉飴、ブドウ糖、マルトース、蔗糖、異性化糖、蜂蜜、メープルシュガー、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラクトスクロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α−グリコシルステビオシド、レバウディオシド、グリチルリチン、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル、サッカリン、グリシン、アラニンなどのような他の甘味料の1種又は2種以上の適量と混合して使用してもよく、また必要ならば、デキストリン、澱粉、乳糖などのような増量剤と混合して使用することもできる。
【0023】
また、必要ならば、本発明のトレハロース高含有シラップをトレハロース含水結晶と混合して、トレハロース含水結晶含有製品の品質を向上させることも有利に実施できる。例えば、トレハロース含水結晶を含有するアイシング、ソフトキャンディー、ボンボンなどの製品を製造する場合には、トレハロース含水結晶に対して、本発明のトレハロース高含有シラップを、固形物当り、等量未満、望ましくは、50%未満使用して、トレハロース含水結晶含有製品に適度の保湿性、成形性、結着性などを付与し、製造直後の高い品質を長期間維持させることができる。
【0024】
また、本発明のトレハロース高含有シラップは、低粘度、低DE、低甘味であって粉末化基剤として好適であり、得られる粉末品は、実質的に難吸湿性の粉末で、耐熱性、耐酸性が大きく、安定性も良いので、増量剤、賦形剤などとして、そのままで、又は、必要に応じて、他の増量剤、賦形剤、結合剤、などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、錠剤など各種形状に形成して使用することも随意である。また、本粉末品は、小麦粉、コーングリッツ、澱粉などの粉類の一部分又は全量に置き換えて、例えば、製菓材料、製パン材料などに利用することも有利に実施できる。
【0025】
また、本発明のトレハロース高含有シラップの甘味は、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味などの他の呈味を有する各種物質とよく調和し、耐酸性、耐熱性も大きいので、一般の飲食物の甘味付け、呈味改良に、また品質改良などに有利に利用できる。
【0026】
例えば、アミノ酸、ペプチド類、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、核酸系調味料、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシラップ、コーヒーシラップなど各種調味料として有利に使用できる。
【0027】
また、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、あん類、羊羮、水羊羮、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディーなどの洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓、果実のシラップ漬、氷蜜などのシラップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、スプレッドなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シラップ漬、糖果などの果実、野菜の加工食品類、福神漬、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、天ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢こんぶ、さきするめ、ふぐみりん干しなどの各種珍味類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造されるつくだ煮類、煮豆、ポテトサラダ、こんぶ巻などの惣菜食品、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜のビン詰、缶詰類、清酒、合成酒、リキュール、洋酒などの酒類、コーヒー、紅茶、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席しるこ、即席スープなどの即席食品、更には、離乳食、治療食、ドリンク剤、ペプチド食品、冷凍食品、米飯、麺類などの各種飲食物への甘味付けに、呈味改良に、また、品質改良などに有利に利用できる。
【0028】
また、家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のために飼料、餌料などの嗜好性を向上させる目的で使用することもできる。その他、タバコ、練歯磨、口紅、リップクリーム、内服液、錠剤、トローチ、肝油ドロップ、口中清涼剤、口中香剤、うがい剤などの嗜好物、化粧品、医薬品などの各種組成物への甘味剤として、又は呈味改良剤、矯味剤として、さらには品質改良剤、安定剤などとして有利に利用できる。
【0029】
品質改良剤、安定剤としては、有効成分、活性などを失い易い各種生理活性物質またはこれを含む健康食品、医薬品などに有利に適用できる。例えば、インターフェロン−α、−β、−γ、ツモア・ネクロシス・ファクター−α、−β、マクロファージ遊走阻止因子、コロニー刺激因子、トランスファーファクター、インシュリン、成長ホルモン、プロラクチン、エリトロポエチン、卵細胞刺激ホルモンなどのホルモン、BCGワクチン、日本脳炎ワクチン、はしかワクチン、ポリオ生ワクチン、痘苗、破傷風トキソイド、ハブ抗毒素、ヒト免疫グロブリンなどの生物製剤、ペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、硫酸カナマイシン、などの抗生物質、チアミン、リボフラビン、L−アスコルビン酸、肝油、カロチノイド、エルゴステロール、トコフェロール、などのビタミン、リパーゼ、エラスターゼ、ウロキナーゼ、プロテアーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルカナーゼ、ラクターゼなどの酵素、薬用人参エキス、スッポンエキス、クロレラエキス、アロエエキス、プロポリスエキスなどのエキス類、ウイルス、乳酸菌、酵母などの生菌、ローヤルゼリーなどの各種生理活性物質も、その有効成分、活性を失うことなく、安定で高品質の液状、ペースト状または固状の健康食品や医薬品などの各種組成物に容易に製造できることとなる。
【0030】
以上述べたような各種組成物に、本発明のトレハロース高含有シラップを含有せしめる方法は、その製品が完成するまでの工程に含有せしめればよく、例えば、混和、溶解、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入、固化など公知の方法が適宜選ばれる。その量は、通常0.5%以上、望ましくは1%以上含有せしめるのが好適である。
【0031】
次に、実験により本発明をさらに具体的に説明する。
【0032】
【実験1】
〈トレハロースの水に対する溶解度に与える環境温度の影響〉
室温環境下での水に対するトレハロースの溶解度を調べた。即ち、ガラス製ビーカーに水10重量部及びトレハロース含水結晶20重量部を入れ、これを撹拌混合しつつ、温度5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃及び40℃の恒温室に24時間保ち、次いで濾過し、濾液中のトレハロース濃度を測定し、各温度での水100gに対するトレハロース(無水物換算で)溶解度、即ち、水100gに飽和状態で溶解するトレハロースの重量(g)を求めた。結果は表1にまとめた。
【0033】
【表1】
【0034】
表1の結果から、トレハロースの水に対する溶解度は比較的低く、室温下で晶出し易い糖質であることが判明した。
【0035】
【実験2】
〈溶解度量を越えたトレハロース含有シラップのトレハロース晶出抑制効果に与える各種糖質共存の影響〉
トレハロースを、水に対して10℃での溶解度量の1.5倍量に相当する量を加熱溶解し、これに他の各種糖質を溶解含有させて、比較的低温に放置し、トレハロースの晶出抑制効果を調べた。即ち、実験1の結果から、10℃での水100重量部に対するトレハロースの溶解度量の1.5倍量は無水物として83重量部となり、この関係を利用して、試験溶液組成を、表2に示すように、水100重量部、トレハロース83重量部、及び他の糖質として、グルコース、マルトース、イソマルトース、乳糖、マルトトリオース、パノース、マルトテトラオース、ソルビトール、マルチトール、マルトトリイトール、蔗糖、ラフィノース、エルロース、本出願人が、特開平7−143876号公報で開示したα−グルコシルトレハロース(モノ−グルコシルトレハロース)、α−マルトシルトレハロース(ジ−グルコシルトレハロース)及びα−マルトトリオシルトレハロース(トリ−グルコシルトレハロース)、特開平8−217784号公報で開示したα−イソマルトシルα−グルコシド(モノ−グルコシルトレハロース)及び特願平6−167486号明細書で開示したα−マルトシルα−マルトシド(ジ−グルコシルトレハロース)を、それぞれトレハロースに対して10%すなわち、8.3重量部になるようにガラス製ビーカーに加熱溶解させ、これをそれぞれ5℃、10℃、15℃の恒温室に一週間放置し、トレハロースの晶出の有無を肉眼観察し、トレハロースの晶出抑制効果を判定した。結果は表2にまとめた。
【0036】
【表2】
【0037】
表2の結果から明らかなように、トレハロースを溶解度量を越えて溶解含有させた場合のトレハロースの晶出は、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖、すなわち、α−グルコシルトレハロース、α−イソマルトシルα−グルコシドなどのモノ−グルコシルトレハロース、α−マルトシルトレハロース、α−マルトシルα−マルトシドなどのジ−グルコシルトレハロース及びα−マルトトリオシルトレハロースなどのトリ−グルコシルトレハロースを溶解含有させることによって特異的に著しく抑制されることが判明した。なお、α−マルトトリオシルトレハロース(別名、トリ−グルコシルトレハロース)の示すトレハロースの晶出抑制効果は比較的弱いものであった。
【0038】
【実験3】
〈溶解度量を越えたトレハロース含有シラップのトレハロース晶出抑制効果に与えるトレハロース濃度と分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖濃度の影響〉
トレハロースを、水に対して10℃での溶解度量の1.5、2.0、2.5、2.8及び3.3倍量を加熱溶解し、これらに分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を、トレハロースに対して10、30及び60%をそれぞれ溶解含有させて比較的低温に放置し、トレハロースの晶出抑制効果を調べた。
【0039】
即ち、実験1の結果から、10℃での水100重量部に対するトレハロースの溶解度量の1.5、2.0、2.5、2.8及び3.3倍量は、それぞれ無水物として、83、111、138、155及び182重量部となり、この関係を利用して、試験溶液組成を表3に示すように、水100重量部、これに対してトレハロースをそれぞれ所定重量部及びトレハロースに対してモノ−グルコシルトレハロース(α−グルコシルトレハロース)又はジ−グルコシルトレハロース(α−マルトシルトレハロース)を所定割合の重量部になるようにガラス製ビーカーに加熱溶解させ、これらをそれぞれ5℃、10℃及び15℃の恒温室に放置し、トレハロースの晶出抑制効果を判定した。結果は、表3にまとめた。
【0040】
【表3】
【0041】
表3の結果から明らかなように、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖のうち、モノ−及びジ−グルコシルトレハロースのいずれにもトレハロースの晶出抑制効果が認められ、とりわけ、ジ−グルコシルトレハロースは顕著な晶出抑制効果を発揮することが判明した。また、ジ−グルコシルトレハロースを共存させた場合であっても、水分当たり本来の溶解度量の2.8倍量を越え、3.0倍量のトレハロースを含有させた場合には、トレハロースの晶出が観察された。
【0042】
【実験4】
〈溶解度量を越えたトレハロース含有シラップの微生物汚染に与える水分の影響〉
トレハロースと分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖とを含有するトレハロース高含有シラップを用いて、微生物汚染とトレハロースの晶出抑制に与える水分の影響を調べた。即ち、試験溶液の組成は、表4に示すように、水100重量部に対してトレハロースを15℃での溶解度量の1.3乃至4.0倍量になるように加熱溶解させたトレハロース水溶液にモノ−グルコシルトレハロース(α−グルコシルトレハロース)及びジ−グルコシルトレハロース(α−マルトシルトレハロース)を加熱溶解させ、シラップの水分を20乃至40%にしたトレハロース含有シラップとし、これらをそれぞれガラス製ビーカーに入れ、15℃の室内に2ヶ月間放置して、シラップ表面及び内部での微生物繁殖による汚染状態を肉眼観察し、併せてトレハロースの晶出の有無を肉眼観察した。
【0043】
【表4】
【0044】
表4の結果から明らかなように本発明のトレハロース高含有シラップは、トレハロースの晶出が効果的に抑制されており、水分当たり本来の溶解度量の約2.8倍量までの範囲では、トレハロースの晶出が見られず、また、水分35%以下で微生物汚染を受けない、室温で安定なシラップであることが判明した。
【0045】
以下、本発明の若干の実施例を述べる。実施例Aで本発明のトレハロース高含有シラップを、実施例Bで該シラップを用いる組成物を述べる。
【0046】
【実施例A−1】
33%とうもろこし澱粉乳に最終濃度0.1重量%となるように炭酸カルシウムを加えた後pH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボ社製、商品名ターマミル60L)を澱粉グラム当たり0.2重量%になるように加え、95℃で15分間反応させた。その反応液をオートクレーブによって10分間加熱(120℃)した後、45℃に冷却し、これに特公平7−89916号公報で開示されているマルトテトラオース生成アミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉グラム当たり5単位、イソアミラーゼ(同研究所製造)1,000単位及び特開平7−143876号公報で開示した非還元性糖質生成酵素5単位を加え、pH6.0に調整し45℃で48時間反応させた。その反応液を95℃で10分間保ち酵素を加熱失活させた後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って活性炭で脱色しH型及びOH型イオン交換樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮して水分約30%のシラップを固形物当たり収率約90%で得た。本品は、DE約15であって、固形物当たりα−グルコシルトレハロースを約2%、α−マルトシルトレハロースを約60%含んでいた。本シラップは、トレハロースの晶出抑制剤として有利に利用できる。
【0047】
本シラップ50重量部にトレハロース含水結晶(株式会社林原商事販売、商品名「トレハオース」)39重量部と水11重量部を加熱溶解して、水分約30%、DE約8のトレハロース高含有シラップを製造した。本品は、トレハロースを15℃における本来の溶解度量の約1.9倍量含有するとともに分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖をトレハロースに対して約62%含有する、低DE、低粘度、低甘味のシラップである。本品は、トレハロースが高度に過飽和であるにもかかわらず、その晶出が抑制されており、室温で安定、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、粉末化基剤などとして各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
【0048】
【実施例A−2】
実施例A−1の方法で得られたα−グルコシルトレハロースとα−マルトシルトレハロースを含む糖液を原糖液とし、α−マルトシルトレハロースの含量を高めるため、アルカリ金属型強酸性カチオン交換樹脂(XT−1016、Na+型、架橋度4%、東京有機化学工業株式会社製造)を用いたカラムクロマトグラフィーを行った。樹脂を内径5.4cmのジャケット付きステンレス製カラム4本に充填し、直列につなぎ、樹脂層全長約20mとした。カラム内温度を55℃に維持しつつ、糖液を樹脂に対して5v/v%加え、これに55℃の温水をSV0.13で分画し、単糖類及び二糖類高含有画分を除去し、α−マルトシルトレハロース高含有画分を採取し、更に精製、濃縮して、水分約30%のシラップを得た。本品は、DE約9で固形物当たりα−マルトシルトレハロースを約65%含有していた。本シラップは、トレハロースの晶出抑制剤として有利に利用できる。
【0049】
本シラップ40重量部に、トレハロース含水結晶46重量部と水14重量部を加え、加熱溶解して、水分約30%、DE約4のトレハロース高含有シラップを製造した。本品は、トレハロースを15℃における本来の溶解度量の約2.3倍量含有するとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を、トレハロースに対して約45%含有する、低DE、低粘度、低甘味のシラップである。本品は、トレハロースが高度に過飽和であるにも関わらず、その晶出が抑制されており、室温で安定、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、粉末化基剤などとして各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
【0050】
【実施例A−3】
実施例A−1において、95℃で10分間保ち酵素を加熱失活させた液に、更にβ−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製、商品名β−アミラーゼ#1500)2単位を加え、50℃で20時間反応させた。本反応液を加熱して酵素を失活させた後、常法に従って、脱色、脱塩して精製し、更に濃縮して水分約60%のシラップを固形物当たり収率約90%で得た。この液を原糖液とし、ジ−グルコシルトレハロース含量を高めるため、分画樹脂として、塩型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル社販売、商品名ダウエックス50W−X4、Ca++型)を用いた以外は、実施例A−2の方法に従ってカラムクロマトグラフィーを行い、ジ−グルコシルトレハロース高含有画分を採取し、更に精製、濃縮して水分約30%のシラップを得た。本品はDE約1で固形物当たりα−マルトシルトレハロースなどのジ−グルコシルトレハロースを約90%含有していた。本シラップは、トレハロースの晶出抑制剤として有利に利用できる。
【0051】
本シラップ35重量部に、トレハロース含水結晶50重量部と水15重量部を加え、加熱溶解して、水分30%、DE1以下のトレハロース高含有シラップを製造した。本品は、トレハロースを15℃における本来の溶解度量の約2.4倍量含有するとともに、α−マルトシルトレハロースを主成分とする分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を、トレハロースに対して約50%含有する、低DE、低粘度、低甘味のシラップである。本品は、トレハロースが高度に過飽和であるにも関わらず、その晶出が抑制されており、室温で安定、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、粉末化基剤などとして各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
【0052】
【実施例A−4】
30%とうもろこし澱粉乳に最終濃度0.1重量%となるように炭酸カルシウムを加えた後pH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボ社製造、商品名ターマミル60L)を澱粉グラム当たり0.2重量%になるように加え、95℃で15分間反応させた。その反応液をオートクレーブによって10分間加熱(120℃)した後、45℃に冷却し、これにα−アミラーゼ(ナガセ生化学工業製造、商品名ネオスピターゼ)を澱粉グラム当たり1単位、イソアミラーゼ1,000単位及び特開平7−143786号公報で開示した非還元性糖質生成酵素5単位を加え、pH6.0に調整し、45℃で48時間反応させた。本反応液を加熱して酵素を失活させた後、常法に従って、脱色、脱塩して精製し、更に濃縮して、水分約30%のシラップを固形物当たり収率約90%で得た。本品は、DE約11であって、固形物当たりα−グルコシルトレハロースを約5%、α−マルトシルトレハロースを約12%含んでいた。本シラップは、トレハロースの晶出抑制剤として有利に利用できる。
【0053】
本シラップ50重量部にトレハロース含水結晶38重量部と水12重量部を加熱溶解して、水分約30%、DE約6のトレハロース高含有シラップを製造した。本品は、トレハロースを15℃における本来の溶解度量の約1.9倍量含有するとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を、トレハロースに対して約58%含有する、低DE、低粘度、低甘味のシラップである。本品は、トレハロースが高度に過飽和であるにも関わらず、その晶出が抑制されており、室温で安定、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、粉末化基剤などとして各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
【0054】
【実施例A−5】
馬鈴薯澱粉を濃度10%の澱粉乳とし、これにα−アミラーゼを作用させて液化溶液を得、次いで、特開平7−213283号公報で開示した非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり3単位及びトレハロース遊離酵素を澱粉グラム当たり5単位、イソアミラーゼを澱粉グラム当たり1,000単位及びマルトテトラオース生成アミラーゼ1単位を加え、pH6.0、温度40℃で48時間反応させた。本反応液を加熱して酵素を失活させた後、常法に従って、脱色、脱塩して精製し、濃縮して水分約30%、DE約15のシラップを固形物当たり収率約90%で得た。本品は、トレハロースを15℃における本来の溶解度量の約1.9倍量含有するとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を、トレハロースに対して約30%含有する、低粘度、低甘味のシラップである。本品は、トレハロースが高度に過飽和であるにも関わらず、その晶出が良く抑制されており、室温で安定、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、粉末化基剤などとして、各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
【0055】
【実施例A−6】
実施例A−5の方法で得たトレハロース高含有シラップをオートクレーブに入れ、ラネーニッケル10%を添加し、撹拌しながら温度を90乃至120℃に上げ、水素圧を20乃至120kgf/cm2 に上げて水素添加を完了させた後、ラネーニッケルを除去し、次いで、常法にしたがって、脱色、脱塩して精製し、濃縮して、水分約30%のシラップを固形物当たり約90%で得た。本品は、トレハロースを15℃における本来の溶解度量の約1.9倍量含有するとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を、トレハロースに対して約30%含有しているシラップである。本品は、トレハロースが高度に過飽和であるにもかかわらず、その晶出が良く抑制されており、実質的に還元性を示さず、極めて安定、取扱い容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤などとして、更には、低う蝕性甘味料、低カロリー甘味料などとして、各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
【0056】
【実施例A−7】
33%とうもろこし澱粉乳に、最終濃度0.1重量%となるように炭酸カルシウムを加えた後、pH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボ社製造、商品名ターマミル60L)を澱粉グラム当たり0.2重量%になるように加え、95℃で15分間反応させた。その反応液をオートクレーブによって10分間加熱(120℃)した後、45℃に冷却し、これにα−アミラーゼ(ナガセ生化学工業製造、商品名ネオスピターゼ)を澱粉グラム当たり1単位及び特開平7−143786号公報で開示した非還元性糖質生成酵素5単位を加え、pH6.0に調整し、45℃で48時間反応させた。本反応液を加熱して酵素を失活させた後、常法に従って、脱色、脱塩して精製し、更に濃縮して、水分約30%のシラップを固形物当たり収率約90%で得た。本品は、DE約8であって、固形物当たりα−グルコシルトレハロースを約4%、α−マルトシルトレハロースを約7%含んでいた。本シラップは、トレハロースの晶出抑制剤として有利に利用できる。
【0057】
本シラップ55重量部にトレハロース含水結晶35重量部と水10重量部を加熱溶解して、水分約30%、DE約5のトレハロース高含有シラップを製造した。本品は、トレハロースを15℃における本来の溶解度量の約1.7倍量含有するとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖を、トレハロースに対して約50%含有する、低DE、高粘度、低甘味のシラップである。本品は、トレハロースが高度に過飽和であるにも関わらず、その晶出が抑制されており、室温で安定で、取り扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、粉末化基剤などとして各種飲食物、化粧品、医薬品などの各種組成物に有利に利用できる。
【0058】
【実施例B−1】
〈乳酸菌飲料〉
脱脂粉乳175重量部、実施例A−5の方法で得たトレハロース高含有シラップ150重量部を水1,200重量部に溶解し、65℃で30分間殺菌し、40℃に冷却後、これに、常法にしたがって、乳酸菌のスターターを30重量部植菌し、37℃で8時間培養して乳酸菌飲料を得た。本品は、風味良好な乳酸菌飲料である。また、本品は、オリゴ糖を含有し、乳酸菌を安定に保持するだけでなく、ビフィズス菌増殖促進作用をも有する。
【0059】
【実施例B−2】
〈コーヒー〉
焙煎したコーヒー豆約100重量部粉砕し、これを熱水約1,000重量部で抽出し、抽出液約860重量部を得た。本液約450重量部に実施例A−3の方法で得たトレハロース高含有シラップを約150重量部及び適量の重曹を含む水約400重量部を均一に混合してpH約7のコーヒーを調製し、次いで、これを常法にしたがって、缶に充填し、120℃、30分間加熱滅菌して缶入りコーヒーを製造した。本品は、香り、味とも良好な高品質のコーヒーである。また、本品を自動販売機に入れ、60℃で1ヶ月間保持した後も、その良好な風味をよく維持していた。また、本品は、夏場向けに冷却して用いても、香り、味とも良好な高品質のコーヒーである。
【0060】
【実施例B−3】
〈トレハロース高含有飲料〉
実施例A−7の方法で得たトレハロース高含有シラップ695重量部にクエン酸3重量部、ミネラル・ビタミン溶液(乳酸カルシウム0.015%、塩化カリウム0.025%、塩化マグネシウム7水塩0.009%、グルタミン酸モノナトリウム0.122%、L−アスコルビン酸0.3%、チアミン0.002%、リボフラビン0.001%、ピリドキシン0.002%及び水からなる水溶液)100重量部及びグレープフルーツ香料適量及び水を加えて1000重量部とし、次いで、これを常法に従って、缶に充填、加熱殺菌して、エネルギー補給用飲料を製造した。本品は、トレハロースを含む糖質を約50%もの高濃度に含有する低甘味で適度な粘性を有する飲み易い飲料であって、非常食として、また運動時の直前又は運動中に手軽に利用できるエネルギー補給用飲料として好適である。
【0061】
【実施例B−4】
〈ハードキャンディー〉
実施例A−1の方法で得たトレハロース高含有シラップ100重量部を減圧下で水分2%未満になるまで加熱濃縮し、これにクエン酸0.5重量部及び適量のレモン香料と着色料とを混和し、常法にしたがって成型し、製品を得た。本品は、歯切れ、呈味良好で、糖の晶出、変形も起こらない高品質のハードキャンディーである。
【0062】
【実施例B−5】
〈あん〉
原料あずき10重量部に、常法にしたがって、水を加えて煮沸し、渋切り、あく抜きして、水溶性夾雑物を除去して、あずきつぶあん約21重量部を得た。この生あんに、蔗糖14重量部、実施例A−2の方法で得たトレハロース高含有シラップ5重量部及び水4重量部を加えて煮沸し、これに少量のサラダオイルを加えてつぶあんをこわさないように練り上げ、製品のあんを約35重量部得た。本品は、色焼けもなく、舌ざわりもよく、風味良好で、あんパン、まんじゅう、だんご、もなか、氷菓などのあん材料として好適である。
【0063】
【実施例B−6】
〈いちごジャム〉
生いちご15重量部、蔗糖6重量部、マルトース2重量部、実施例A−2の方法で得たトレハロース高含有シラップ4重量部、ペクチン0.05重量部、クエン酸0.01重量部をなべで煮詰めてジャムを製造し、ビン詰めして製品とした。本品は、風味、色調とも良好で、高品質のジャムである。
【0064】
【実施例B−7】
〈パン〉
小麦粉100重量部、イースト2重量部、砂糖5重量部、実施例A−4の方法で得たトレハロース高含有シラップ2重量部及び無機フード0.1重量部を、常法にしたがって、水でこね、中種を26℃で2時間発酵させ、その後30分間熟成し、焼き上げた。本品は、色相、すだちともに良好で適度な弾力、温和な甘味を有する高品質のパンである。
【0065】
【実施例B−8】
〈カスタードクリーム〉
コーンスターチ100重量部、実施例A−1の方法で得たトレハロース高含有シラップ100重量部、マルトース80重量部、蔗糖20重量部及び食塩1重量部を充分に混合し、鶏卵280重量部を加えて撹拌し、これに沸騰した牛乳1,000重量部を徐々に加え、更に、これを火にかけて撹拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。本品は、なめらかな光沢を有し、温和な甘味で美味である。また、本品は糊化澱粉の老化が抑制され、その賞味期間を大幅に延長できる。
【0066】
【実施例B−9】
〈求肥〉
もち粉4重量部を水6重量部で溶いて木枠に濡れ布巾を敷いたものに流し込み、これを100℃で20分間蒸した後、これに実施例A−1の方法で得たトレハロース高含有シラップ6重量部及び砂糖2重量部を加えて充分に捏ねた後に成形し、求肥を得た。本品は、風味良好である。また、本品は糊化澱粉の老化が抑制され、その賞味期間を大幅に延長できる。
【0067】
【実施例B−10】
〈アイシング〉
実施例A−2の方法で得たトレハロース高含有シラップ80重量部に乳化剤(シュガーエステル)1.2重量部を加熱混合し、次いで、トレハロース含水結晶(株式会社林原商事販売、商品名「トレハオース」)107重量部を混合し、更に45℃に保ちながら、油脂7.5重量部を混合してアイシングを製造した。本品は、トレハロース微結晶を含有し、成形性良好でべたつきもなく、経日変化の少ないアイシングである。
【0068】
【実施例B−11】
〈ソフトキャンディー〉
実施例A−4の方法で得たトレハロース高含有シラップ60重量部とトレハロース含水結晶180重量部とを混合して加熱濃縮し、次いで20%プルラン溶液15重量部及び10%寒天溶液60重量部を加えて同様に加熱濃縮し、更に、乳クリーム70重量部、脱脂粉乳120重量部、シュガーエステル1.5重量部及びマーガリン40重量部を加え、Bx85になるまで加熱濃縮した後、常法に従って成型し、ソフトキャンディーを得た。本品は、トレハロースの微結晶を含有し、ミルク風味豊かで、歯つきのないソフトキャンディーである。また、砂糖を利用していないことより、虫歯の懸念のない健康キャンディーである。
【0069】
【実施例B−12】
〈ボンボン〉
実施例A−5の方法で得たトレハロース高含有シラップ5重量部、トレハロース含水結晶300重量部及び水115重量部を混合し、加熱してBx70まで煮詰め、品温を80℃まで冷却し、ブランディー40重量部を混合した後、常法に従って成型してボンボンを得た。本品は、トレハロースの微結晶を含有し、ブランディー風味豊かで、経時変化の少ない高品質のボンボンである。
【0070】
【実施例B−13】
〈ハム〉
豚もも肉1,000重量部に食塩15重量部及び硝酸カリウム3重量部を均一にすり込んで、冷室に一昼夜堆積する。これを水440重量部、食塩100重量部、硝酸カリウム3重量部、実施例A−3の方法で得たトレハロース高含有シラップ60重量部及び香辛料からなる塩漬液に冷室で7日間漬け込み、次いで、常法にしたがい、冷水で洗浄し、ひもで巻き締め、燻煙し、クッキングし、冷却包装して製品を得た。本品は、色合いもよく、風味良好な高品質のハムである。
【0071】
【実施例B−14】
〈佃煮〉
常法にしたがって、砂取り、酸処理して角切りした昆布250重量部に醤油212重量部、アミノ酸液318重量部及び実施例A−1の方法で得たトレハロース高含有シラップ70重量部及び蔗糖20重量部を加えて煮込みつつ、更にグルタミン酸ソーダ12重量部、カラメル8重量部を加えて炊き上げ、昆布の佃煮を得た。本品は低う蝕性の佃煮である。また、味、香りだけでなく、色、艶ともに食欲をそそる佃煮であった。
【0072】
【実施例B−15】
〈化粧用クリーム〉
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2重量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5重量部、実施例A−3の方法で得たトレハロース高含有シラップ2重量部、α−グリコシル ルチン1重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタン酸グリセリル10重量部及び防腐剤の適量を、常法にしたがって加熱溶解し、これにL−乳酸2重量部、1,3−ブチレングリコール5重量部及び精製水66重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混合しクリームを製造した。本品は、抗酸化性を有し、安定性が高く、高品質の日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利に利用できる。
【0073】
【実施例B−16】
〈練歯磨〉
配合
第2リン酸カルシウム 45.0重量部
プルラン 2.95重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5重量部
グリセリン 20.0重量部
ポリオキシエチレンソルビタンラウレート 0.5重量部
防腐剤 0.05重量部
実施例A−6の方法で得たトレハロース高含有シラップ 12.0重量部
マルチトール 5.0重量部
水 13.0重量部
上記の材料を常法にしたがって混合し、練歯磨を得た。本品は、適度の甘味を有しており、特に子供用練歯磨として好適である。
【0074】
【実施例17】
〈外傷治療用膏薬〉
実施例A−3の方法で製造したトレハロース高含有シラップ200重量部及びマルトース360重量部に、ヨウ素3重量部を溶解したメタノール50重量部を加え混合し、更に14w/v%プルラン水溶液140重量部を加えて混合し、適度の延び、付着性を示す外傷治療用膏薬を得た。本品は、ヨウ素による殺菌作用のみならず、トレハロース及びマルトースによる細胞へのエネルギー補給剤としても作用することから、治癒期間が短縮され、創面もきれいに治り好適である。
【0075】
【実施例B−18】
〈経管栄養剤〉
実施例A−2の方法で得たトレハロース高含有シラップを噴霧乾燥して得た、トレハロース高含有粉末20重量部、グリシン1.1重量部、グルタミン酸ナトリウム0.4重量部、乳酸カルシウム0.4重量部、炭酸マグネシウム0.1重量部、チアミン0.01重量部及びリボフラビン0.01重量部からなる配合物を調製する。この配合物を24gずつをラミネートアルミ製小包に充填し、ヒートシールして製品を得た。本品は、1袋分を約33乃至500mlの水に溶解して栄養補給液とし、経管方法により、鼻腔、胃腸などへ投与して使用する。本品は、ヒトのみならず、家畜などへの非経口的栄養補給液としても有利に利用できる。
【0076】
【実施例B−19】
〈インターフェロン液剤〉
ヒト天然型インターフェロン−γ標品(株式会社林原生物化学研究所製造、コスモ・バイオ株式会社販売)を、常法に従って、固定化抗ヒトインターフェロン−γ抗体カラムにかけ、該標品に含まれるヒト天然型インターフェロン−γを吸着させ、安定剤であるウシ血清アルブミンを素通りさせて除去し、次いで、pHを変化させて、ヒト天然型インターフェロン−γを実施例A−3の方法で得たトレハロース高含有シラップを固形物として7%含有する生理食塩水を用いて溶出した。本液を精密濾過し、無菌的にバイアル瓶に充填して、ml当たりヒト天然型インターフェロン−γを105 単位有する液剤を得た。本品は、1日当たり、大人1乃至20ml程度が経口的又は非経口的に投与され、ウイルス性疾患、アレルギー性疾患、リウマチ、糖尿病、悪性腫瘍などの治療に有利に利用できる。本品は、トレハロース、α−マルトシルトレハロースなどのジ−グルコシルトレハロースが安定剤として作用し、4℃又は25℃で20日間放置しても、その活性をよく維持している。
【0077】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明は、室温で難晶出性乃至非晶出性であって、かつ、微生物汚染を受けにくい安定なトレハロース高含有シラップを提供するものであり、本シラップは、従来のトレハロース結晶性粉末製品とは違って、溶解させる操作も不要であり、タンク貯蔵、ポンプ輸送、タンクローリー輸送でき、その取扱いも容易である。また、従来の澱粉糖と比較して、低DE、低粘度、高甘味の全く新しいタイプのシラップであって、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、粉末化基剤などとして各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物の製造に有利に利用できる。したがって、本発明の確立は、従来望むべくして得られなかった室温下で安定なトレハロース高含有シラップを提供するものであり、食品、化粧品、医薬品などの関係産業界に与える影響は大きい。
【表3】
【表3】
Claims (16)
- α−グルコシルトレハロースと、α−マルトシルトレハロースの2種のオリゴ糖を、トレハロースに対して10w/w%以上含有している、トレハロースの晶出が抑制されたトレハロース含有シラップ。
- トレハロースの過飽和水溶液である請求項1記載のトレハロース含有シラップ。
- 水分が35w/w%以下である請求項1又は2記載のトレハロース含有シラップ。
- 15℃の恒温室に一週間放置したとき、トレハロースの晶出が肉眼観察されない請求項1、2又は3記載のトレハロース含有シラップ。
- 請求項1、2、3又は4記載のトレハロース含有シラップを0.5w/w%以上含有せしめることを特徴とする飲食物の製造方法。
- 飲食物が、乳酸菌飲料、コーヒー、ハードキャンディー、あん、ジャム、パン、カスタードクリーム、求肥、アイシング、ソフトキャンディー、ボンボン、ハム又は佃煮である請求項5記載の飲食物の製造方法。
- 請求項1、2、3又は4記載のトレハロース含有シラップを0.5w/w%以上含有せしめることを特徴とする化粧品の製造方法。
- 請求項1、2、3又は4記載のトレハロース含有シラップを0.5w/w%以上含有せしめることを特徴とする医薬品の製造方法。
- 分子内にトレハロース構造を有するオリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上のオリゴ糖をトレハロース含有シラップに共存せしめることを特徴とするトレハロースの晶出抑制方法。
- 分子内にトレハロース構造を有するオリゴ糖を、トレハロースに対して10w/w%以上共存せしめることを特徴とする請求項9記載のトレハロースの晶出抑制方法。
- 分子内にトレハロース構造を有するオリゴ糖が、モノ−グルコシルトレハロース及びジ−グルコシルトレハロースから選ばれる1種又は2種以上のオリゴ糖である請求項9又は10記載のトレハロースの晶出抑制方法。
- 分子内にトレハロース構造を有するオリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上のオリゴ糖を有効成分とするトレハロースの晶出抑制剤。
- 分子内にトレハロース構造を有するオリゴ糖が、モノ−グルコシルトレハロース及びジ−グルコシルトレハロースから選ばれる1種又は2種以上のオリゴ糖である請求項12記載のトレハロースの晶出抑制剤。
- α−グルコシルトレハロースと、α−マルトシルトレハロースの2種のオリゴ糖を、トレハロースに対して10w/w%以上共存させることを特徴とする、トレハロースの晶出が抑制されたトレハロース含有シラップの製造方法。
- 水分を35w/w%以下とすることを特徴とする請求項14記載のトレハロース含有シラップの製造方法。
- 15℃の恒温室に一週間放置したとき、トレハロースの晶出が肉眼観察されない請求項14又は15記載のトレハロース含有シラップの製造方法。
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