JP3713265B2 - 超高強度Co基バルク金属ガラス合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高強度Co基バルク金属ガラス合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多元素合金のある種のものは、組成物を溶融状態から急冷するとき、結晶化せず、一定の温度幅を有する過冷却液体状態を経過してガラス状固体に転移する性質を有していて、この種の非晶質合金は金属ガラス合金(glassy alloy)と呼ばれている。従来から知られている金属ガラス合金としては、1960年代において最初に製造されたFe-P-C系の非晶質合金、1970年代において製造された(Fe,Co,Ni)-P-B系、(Fe,Co,Ni)-Si-B系非晶質合金、1980年代において製造された(Fe,Co,Ni)-M(Zr,Hf,Nb)系非晶質合金、(Fe,Co,Ni)-M(Zr,Hf,Nb)-B系非晶質合金などがある。
【0003】
これらの合金は、いずれも、104K/s以上の冷却速度で急冷する必要があり、得られた材料の厚さは200μm以下の薄帯状であった。また、高ガラス形成能を示す合金系とし、1988年〜2002年にかけて、Ln-Al-TM、Mg-Ln-TM、Zr-Al-TM、Pd-Cu-Ni-P、(Fe,Co,Ni)-(Zr,Hf,Nb)-B、Fe-Ga-P-C-B、Fe-B-Si-Nb、Co-Fe-Si-B-Nb(ただし、Lnは希土類元素、TMは遷移金属を示す)系などの組成のものが発見された。これらの合金系では、直径1mm以上のバルク金属ガラスが作製できる。
【0004】
本発明者らは、先に、Co100-x-y-z-wTxMyLzBw(式中、Tは、Fe及びNiのうちの1種又は2種であり、Mは、Ti,Zr,Nb,Ta,Hf,Mo,Wのうちの1種又は2種以上であり、Lは、Cr,Mn,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Al,Ga,Si,Ge,C,Pのうちの1種又は2種以上であり、かつ0≦x≦30(原子%)、5≦y≦15(原子%)、0≦z≦10(原子%)、15≦w≦22(原子%)である)で表されるCo基軟磁性金属ガラス合金を発明し、特許出願した(特許文献1)。この合金において、Bはアモルファスを生成させるために有効な元素であり15原子%以上22原子%以下が好ましい。
【0005】
また、(Fe1-a-bCoaNib)100-x-yMxBy(式中、Mは、Ti,Zr,NbTa,Hf,Mo,V,Cr,Wのうちの1種又は2種以上であり、かつ0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5≦x≦20(原子%)、10≦y≦22(原子%))で表される軟磁性金属ガラス合金を発明し、特許出願した(特許文献2)。さらに、(Fe1-a-bCoaNib)100-x-yMxBy(式中、Mは、Ti,Zr,Nb,Ta,Hf,Mo,V,Cr,Wのうちの1種又は2種以上であり、かつ0≦a≦0.85、0≦b≦0.45、4≦x≦15(原子%)、22≦y≦33(原子%))で表される高周波用高透磁力金属ガラス合金を発明し、特許出願した(特許文献3)。
【0006】
特許文献4には、10μm以上500μm未満の幅、2μm以上20μm未満の厚さ、及び-50℃以上のキュリー温度を有する軟磁性合金ファイバーとして、式Co1-a-bFeaMb)100-x(Si1-cBc)x(式中、Mは、Ti,Zr,Nb,Ta,Hf,Mo,V,Cr,W,Mn,Ni,Cuのうちの1種又は2種以上であり、かつ0≦a≦0.15、0≦b≦0.20、0≦c≦1.0、10≦x≦40(原子%)、で表されるアモルファス合金が使用されることが開示されているが、厚さが薄く、バルク金属ガラスではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平10-324939号公報
【特許文献2】
特開平11-131199号公報)
【特許文献3】
特開2000-204452号公報
【特許文献4】
特開2001-271229号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
バルク金属ガラスの強度は、Zr合金で1500〜1800MPa、Ti合金で1700〜1900MPa、Cu合金で1900〜2500MPa、Ni合金で2700〜3100MPaである。バルク結晶合金では、高合金特殊鋼で2400MPa、強冷間圧延鋼線で3300MPaである。3500MPaを超える高強度のバルク結晶合金の報告例はない。厚みか直径が20μm程度のリボンやワイヤ形状のものに限れば、報告された最高の引張強度は非晶質Fe-Co-Cr-Mo-Si-B合金ワイヤで3650MPa、非晶質Co-Si-Bワイヤで3580MPa、非晶質Co-Ta-Si-B合金ワイヤで4000MPa、強冷間伸線した結晶質Fe-C-Mn-Si鋼線で4700MPaである。Fe-C-Mn-Si鋼線の径の増大は引張強度を激減させ、径1mmになると3000MPaに低下する。よって、良好な成形性と超高強度を有するバルク金属材料の探索は非常に重要である。
【0009】
本発明者らは、これまでCo基金属ガラス合金を軟磁性材料として開発してきた。たとえば、特許文献1、2に示すものは、Bが22原子%以下のものであり、Bの含有量が十分高くないため、ガラス形成能が低く、現実的には、アモルファス相を100%含むバルク金属ガラスの作製は困難であった。すなわち、作製したバルク材は結晶相が含まれているため、強度と透磁率は低い。
【0010】
また、特許文献2に示すものは、合金の基となり磁性と強度を担うCoが25原子%以下のものであり、十分高くないため、強度と透磁率は低い。特許文献3に示すものは、M元素を4〜15原子%、Bを22〜33原子%含み、1KHzでの透磁率が20,000以上の高周波用高透磁率金属ガラス合金であり、単ロール法により製造した薄帯についての磁気特性が記載されているが機械的強度については何も記載していない。
【0011】
さらに、本発明者らは、(Co1-n-(a+b)FenBaSib)100-xMx(式中、Mは、Ti,Zr,Nb,Ta,Hf,Mo,V,Cr,Pd,Wのうちの1種又は2種以上であり、かつ0,1≦a≦0.17、0.06≦b≦0.15、0.18≦a+b≦0.3、0≦n≦0.08、3≦x≦10(原子%)、で表される低い保持力を有するガラス形成能が高い軟磁性Co基金属ガラス合金を発明し、特許出願した(特願2002-108352)が、FeとBの含有量が低いため、強度と透磁率はまだ十分高くはない。
【0012】
上記のように、これまで、本発明者らは、Co基軟磁性金属ガラス合金系を幾つか見出した。しかし、ガラス形成能が十分高くないため、現実には、直径1.5mm以上のバルク金属ガラスの作製が困難で、実際に得られたバルク金属ガラス合金の強度と軟磁性はまだ不十分であり、実用的に限界がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述の課題を解決することを目的として種々の合金組成について探査した結果、(Co1-nTn)100-y-wMyBw(ただし、Tは、Fe又はNiのうちの1種又は2種、Mは、Ta,Hf,V,又はWのうちの1種又は2種であり、0.25≦n≦0.6、4≦y≦7(原子%)、26≦w≦33(原子%)である)の式で表される合金において、明瞭なガラス遷移と広い過冷却液体域を示し、ガラス形成能がより高い超高強度金属ガラス合金が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0014】
本発明の合金は、室温で、圧縮強度が3800MPa以上、伸びが1.5%以上、ヤング率が160GPa以上、ビッカース硬さが1100Hv以上の機械的性質を有する超高強度Co基金属ガラス合金である
【0015】
図1に、バルク合金の結晶状態及びガラス状態におけるヤング率と強度の関係を示す。これまで、Fe基金属ガラス合金の強度は約3000MPa(特開2002-194514)であり、それでも一般の金属材料よりはるかに高い。例えば、強度の高いピアノ線でも、その強度は2500MPaである。したがって、本発明のCo-Fe-Ta-B金属ガラス合金の3800MPa以上の強度は超高強度といえる。
【0016】
本発明の合金は、温度の上昇にしたがって、金属ガラス特有の粘性流動が現れ、三次元形状の製品の塑性加工性に優れる。ガラス遷移点Tg近傍では、塑性流動現象が現れ、つまり、この温度範囲で超塑性加工ができる。これまで、このようなタイプの変形現象はあらゆる非晶質材と結晶材から得られなかった。
【0017】
本発明のCo基金属ガラス合金は、例えば、超高強度工具材として利用できる。これらの工具材は、鋳造材として得ることができる。例えば、前記のCo基金属ガラス合金を加熱し溶融した後、溶湯を所定の銅鋳型等に注入して冷却することにより、過冷却状態を経由して非晶質状態の成形体として得ることができる。得られた超高強度金属ガラス合金は高硬度であるため、そのまま高硬度が求められる機器部材などとして長期間使用することができる。
【0018】
本発明のCo基金属ガラス合金は、飽和磁化が0.4T以上、最大透磁率が400,000以上の超軟磁気特性を有する。透磁率については、これまで、1KHzでの透磁率が20,000であり(特許文献3)、今回発明した金属ガラス合金における1KHzでの透磁率は35,000以上であり、また、最大透磁率は400,000以上であるため、超軟磁性といえる。超軟磁性であるため、電磁変換効率がさらに高く、省エネ、省資源、温暖化対策にさらなる効果が期待できる。
【0019】
上記の合金組成において、単ロール液体急冷法により作製した厚さ0.2 mm以上の薄帯金属ガラスのΔTx=Tx−Tg(ただし、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxは40K以上である。
【0020】
この組成を持つ合金を用いて、銅鋳型鋳造法により作製した金属ガラスは、熱分析を行う際、顕著なガラス遷移及び結晶化による発熱が観察され、ガラス形成の臨界厚さ又は直径の値は1.0mm以上であり、最大では2.5mmに達するので、銅鋳型鋳造法により厚さ又は直径1.0mm〜2.5mmの範囲でガラス相の体積分率が100%であるバルク金属ガラス合金を容易に製作できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。本発明の上記合金組成において、基本的に下記の4種の元素を構成要素としている。Co:本発明の超高強度、超軟磁性合金の基となる元素、T群元素:Fe,Niのうちの1種又は2種、M群元素:Ta,Hf,V,又はWのうちの1種又は2種、B:ほう素。
【0022】
これらの4種の元素の含有量は、M群元素であるTa,Hf,V,又はWのうちの1種又は2種は4〜7原子%の範囲内であり、Bは26〜33原子%の範囲内である。CoとT群元素の合計は、60〜70原子%の範囲である。T群元素であるFe,Niのうちの1種又は2種は、Co1-nTnの式において原子比n=0.25〜0.6、すなわち約15〜42原子%の範囲である。残部のCoの含有量は18〜55原子%の範囲内である。
【0023】
本発明のCo基金属ガラス合金において、前記の各元素群は一体となって非晶質でかつ超高強度を有する合金を形成しているが、それぞれの元素群は下記の特性に寄与していると考えられる。
Co:合金の基となり強度と磁性を担う。Coの含有量は上記の式に基づき18〜55原子%の範囲内である。
【0024】
T群元素:これも強度と磁性を担う元素であるが、特に、Feが15原子%以上配合されるとガラス形成能を示す過冷却液体の温度幅ΔTxが増大し、ガラス状態が得易くなる。ただし、42原子%を越えると過冷却液体領域の温度幅ΔTxが減少し好ましくない。Coの含有量とT群元素の含有量のバランスにより強度を大きくすることができるで、強度の面ではT群元素は、15原子%〜25原子%、Coは50〜35原子%がより好ましい。
【0025】
M群元素:過冷却液体領域の温度幅ΔTxを拡大する効果があり、非晶質を形成し易くするとともに引張強度、ヤング率、硬度などの機械的性質を向上するために有効な元素であり、配合量が4原子%未満ではガラス転移点Tgが出現しなくなり好ましくない。また、7原子%を越えて含有しても強度向上の効果は少なく、磁気特性が低下し、特に、磁化が低下する。
【0026】
B:高い非晶質形成能を有すると共に、26〜33原子%の配合によって熱安定性を高める効果がある。配合量は、26原子%未満では非晶質形成能が不十分でΔTxが減少又は消滅する。また、33原子%を越えると磁気特性を劣化させるので好ましくない。より好ましくは、30原子%〜33原子%である。
【0027】
本発明のCo基金属ガラス合金はガラス転移点Tgを有し、このガラス転移点Tgと結晶化開始温度Txとの差、すなわちΔTx=Tx−Tg(式中、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス転移点である)の式で表される過冷却液体領域の温度幅ΔTxが、40K以上である。この条件を充たす組成物は、溶融状態から冷却するとき、結晶化開始温度Txの低温側に40K以上の広い過冷却液体領域を有し、結晶化することなく温度の低下に伴ってこの過冷却液体領域の温度幅ΔTxを経過した後に、ガラス転移点Tgに至って非結晶質のいわゆる金属ガラス合金を形成する。過冷却液体領域の温度幅ΔTxが40K以上と広いために、従来知られている非晶質合金のように急冷しなくても非晶質の固体が得られ、したがって、銅鋳型鋳造法などの方法により厚みのあるブロック体を成形することができるようになる。
【0028】
本発明のCo基金属ガラス合金の基本となる組成であるCo-Ta-B三元合金は、Co63Ta5.5B31.5をひとつの共晶点としているのでCo63Ta5.5B31.5合金の融点が低く、Co1-nTn)100-y-wTayBwの組成式の合金も共晶点近傍で、融点が低い。この場合、合金の液相線温度Tlが低下し、これにより非晶質形成能の程度を表す換算ガラス化温度Tg/Tl(Tgはガラス遷移温度、Tlは液相線温度(いずれも絶対温度))が0.60以上に高くなって非晶質形成能が向上し、広い過冷却液体領域との相乗効果によって、急冷速度が比較的に低速でも組織全体を非晶質相とすることができ、アモルファス相が100%のバルク金属ガラス合金が作製され、超強度と超軟磁性の性質が得られたものと推考できる。
【0029】
本発明の上記合金組成において、組成域からのずれにより、ガラス形成能が劣り、溶湯から凝固過程にかけて、結晶核が生成・成長し、ガラス相に結晶相が混在した組織になる。また、この組成範囲から大きく離れると、ガラス相が得られず、結晶相となる。
【0030】
本発明の上記合金組成において、ガラス形成能が高いため、銅鋳型鋳造すると直径最大2.5mmの金属ガラス丸棒が作製できるが、同様な冷却速度で、回転水中紡糸法により、直径0.5mmまでの細線、アトマイズ法により、直径0.6mmまでの粒子の金属ガラス合金を作製できる。
【0031】
【実施例】
実施例1〜11、比較例1〜13
以下、実施例に基づき本発明を具体的に図面を参照して説明する。表1に、実施例1〜11、比較例1〜13の合金組成及び示差走査熱量計を用いて測定したガラス遷移温度(Tg)、結晶化開始温度(Tx)、ΔTx=Tx−Tg(ただし、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度)、Tg/Tl(Tlは液相線温度)を示す。また、試料中に含まれるガラス相の率(Vf−体積分率(Vf−amo.)は、示差走査熱量計を用いて、結晶化による発熱量を完全ガラス化した単ロール型液体急冷法による薄帯との比較により評価した。
【0032】
【表1】
【0033】
さらに、圧縮強度(σf)、ヤング率(E)、硬さ(Hv)をそれぞれ、インストロン(Instron)試験機及びビッカース微小硬度計を用いて測定した結果を示す。また、各実施例及び比較例の鋳造塊のガラス化の確認をX線回折法及び試料断面の光学顕微鏡で行った。
【0034】
本発明の実施例1〜11は、ΔTx=Tx−Tgの式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxは40K以上であり、直径1.0mm〜2.5mmの鋳造塊でガラス相の体積分率(Vf−amo.)は100%である。
【0035】
これに対して、比較例1〜6の合金は、直径1.0mmの鋳造塊でガラス相の体積分率100%のものであるが、比較例1,2はTaに代えてNbを含有するものであり、比較例4〜6は、Co量及び/又はFe量が本発明の合金組成範囲を外れるので強度が小さい。
【0036】
比較例7〜13の合金は、Co-Fe-Ta-B合金であるが、比較例7,10,12はCo,Feの含有量が、本発明の合金の組成範囲外である他に、比較例7〜9ではTa及びBの含有量がそれぞれ1at%、21.5at%と少なく、直径0.5mm鋳造棒で結晶質であった。比較例10、11の合金は、Ta含有量が13.5at%と多く、Bの含有量が7.5at%と少なく、直径0.5mm鋳造棒で結晶質であった。比較例12、13の合金は、Taの有量が13at%、Bの含有量が40at%と多く、直径0.5mm鋳造棒で結晶質であった。
【0037】
図2に、実施例5で作製した直径2mmのバルク試料を種々の温度で圧縮試験を行った結果を示す。図2示すように、室温では、この合金の圧縮破断強度は5,300MPa、伸びは2%、ヤング率は268GPaである。また、温度の上昇にしたがって、金属ガラス特有の塑性流動性が現れ、三次元形状の試料の加工が可能であることがわかる。
【0038】
さらに、図3に、この合金の圧縮破断強度と塑性伸びの温度依存性を示す。図3に示すように、5300MPaの超高強度は広い温度範囲にわたって保持し、698Kの温度ではさらに5600MPaまで上昇した。また、ガラス遷移点Tg近傍では、塑性流動現象が現れている。このことは、この温度範囲で超塑性加工ができることを示している。
【0039】
実施例12
実施例5と同じ組成を有する溶融合金を通常のメルトスピン法で急冷凝固し、厚さ0.03mm、幅2mmのリボン材を作製した。図4に、実施例5により得られた鋳造棒及び実施例12により得られたリボンの熱分析曲線を示す。図4に示すように、リボン材とバルク材との差がないのが分かる。
【0040】
図5に、実施例4,5,6,7,8,9により得られた金属ガラス合金の1KHzでの透磁率及び最大透磁率の測定結果を示す。図5に示すように、1KHzでの透磁率及び最大透磁率はそれぞれ35,000及び400,000以上であることがわかる。
【0041】
図6に、その一例として、実施例5により得られた金属ガラス合金を用いた磁気コアの磁気特性をB-Hループトレーサーを用いて測定したB-Hヒステリシス曲線を示す。図6に示すように、飽和磁束密度は0.42T,最大透磁率は500,000であり、超軟磁気特性を有することがわかる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のCo基金属ガラス合金は、ガラス形成能に優れ、ガラス形成の臨界厚さ又は直径が1.0mm以上であり、最大では直径2.5mmの値を有するので、銅製鋳型鋳造により容易に金属ガラスを得られる高いガラス形成能を持つ合金であるため、超高強度、超軟磁性を有する大型の金属ガラス製品を実用的に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、バルク合金の結晶状態及びガラス状態におけるヤング率と強度の関係を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例5で作製した直径2mmのバルク試料を種々の温度で圧縮試験を行った結果を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例5で作製した直径2mmのバルク試料の圧縮破断強度と塑性伸びの温度依存性を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例5により得られた鋳造棒及び実施例12により得られたリボンの熱分析曲線を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例4,5,6,7,8,9により得られた金属ガラス合金の1KHzでの透磁率及び最大透磁率の測定結果を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例5により得られた金属ガラス合金を用いた磁気コアの磁気特性をB-Hループトレーサーを用いて測定したB-Hヒステリシス曲線を示すグラフである。
Claims (4)
- (Co1-nTn)100-y-wMyBw(ただし、Tは、Fe又はNiのうちの1種又は2種、Mは、Ta,Hf,V,又はWのうちの1種又は2種であり、0.25≦n≦0.6、4≦y≦7(原子%)、26≦w≦33(原子%)である)の式で表され、ΔTx=Tx−Tg(ただし、Txは、結晶化開始温度、Tgは、ガラス遷移温度)の式で表される過冷却液体の温度間隔が40K以上を有し、室温で、圧縮強度が3800MPa以上、ヤング率が160GPa以上であることを特徴とする超高強度Co基バルク金属ガラス合金。
- 厚さ又は直径1.0mm〜2.5mmの範囲でガラス相の体積分率が100%であることを特徴とする請求項1記載のCo基バルク金属ガラス合金。
- 飽和磁化が0.4T以上、1KHzでの透磁率が35,000以上、最大透磁率が400,000以上の超軟磁気特性を有することを特徴とする請求項1又は2記載のCo基バルク金属ガラス合金。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の金属ガラス合金からなる超塑性加工可能な超高強度工具材。
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