JP3785013B2 - タービン動翼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタービン動翼に関し、特に軸流衝動タービンに適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来技術に係る軸流衝動タービンのタービン動翼を、静翼とともに示す模式図である。同図に示すように、タービン動翼1は、その多数枚が羽根車(図示せず。)の周方向に亘り配設してある。静翼2は、その多数枚が当該軸流衝動タービンのケーシング(図示せず。)に固定された固定翼であり、タービン動翼1に高速・高圧の流体(例えば蒸気)を供給するノズルとして機能する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
今回、この種の軸流衝動タービンにおける流速解析を行っている際、重要な現象が発生していることに気がついた。すなわち、この種のタービンにおいては、その静翼2の後縁2aの後方に、静翼ウェーク3(図中の網点部分)と呼称される帯状に伸びる流速が遅い領域が形成されるということは従来より知られていたが、当該タービンの回転に伴い、静翼ウェーク3をタービン動翼1が切る度にタービン動翼1の背面部1aに急峻に立ち上がる流体の高速域(図中の×印のハッチング部分)4が発生していることが判明した。これは、流速が速い主流に対して、静翼ウェーク3が実効的な壁として機能しているからであると考えられる。この結果、タービン動翼1の回転移動(このときの回転移動方向を図中に矢印Aで示す。)に伴いタービン動翼1が静翼ウェーク3に接近すると、静翼ウェーク3と当該タービン動翼1との間に実効的に流路の狭窄部が形成され、当該タービン動翼1の背面部に時間の経過とともに急峻に立ち上がる流体の高速域4ができてしまう。なお、このような静翼ウェーク3は各静翼2の後方にそれぞれ形成され、これに対応して高速域4も形成されるが、図には1個のみを代表して示している。
【0004】
上述の如き、静翼ウェーク3が接近する瞬間に流速が急峻に上昇する、非定常的な高速域4がタービン動翼1の背面部1aに形成されると、この部分でのタービン損失が大となる。流体の流路に壁が臨んでいると、そこに流速の差の分の摩擦ができ、この摩擦で流体の運動エネルギーが熱に変わるからである。すなわち、全圧損失が発生する。この結果、当該タービンの効率が低下するという問題を生起する。
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑み、非定常的に流速が急峻に上昇するのを抑制してタービンの高効率化に資することができるタービン動翼を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の如き目的を達成すべく、顕著な高速域4が形成される条件を考察したところ次の知見を得た。静翼ウェーク3の形状は静翼2の形状で一義的に決まり、またタービン動翼1は、静翼2から流出する流体の流出角度に基づき、タービン動翼1の前縁1bから後縁1dまでの円滑な流速分布を確保するという観点から、大体の流入角と背面部1a及び腹面部1cの形状とが決まる。この結果、従来技術に係るタービン動翼1では、タービン動翼1の前縁1b部分における背面部1aの形状が静翼ウェーク3に平行に形成されてしまうが、このようにタービン動翼1の背面部1aの形状が静翼ウェーク3に平行に形成されてしまうことが非定常的に流速が急峻に上昇する最大の原因であると考えられる。背面部1aの形状が、静翼ウェーク3に平行に形成されている場合に、静翼ウェーク3とタービン動翼1の背面部1aとの間に最も顕著に流路の狭窄部が形成されるからである。
【0007】
かかる知見に基づく本発明の構成は、次の点を特徴とする。
【0009】
1) 羽根車の周方向に亘り多数配設され、固定翼である静翼(2)から出た流体を作用させて羽根車に回転力を伝達するタービン動翼(11)において、
このタービン動翼(11)の前縁付近形状は、円の一部である円弧状の前縁(11b)と、この前縁(11b)の背面側につながる曲線状の背面部(11a)と、前記前縁(11b)の腹面側につながる曲線状の腹面部(11c)とから構成され、
当該動翼(11)の上流側に位置する静翼(2)の後縁から当該静翼(2)に隣接する静翼(2)の背面部迄の距離である喉幅をδ N 、隣接する静翼間の距離である静翼ピッチをC N とし、静翼(2)の幾何学的流出角α N を
α N =sin -1 (δ N /C N )
で定義するとき、
前記前縁(11b)及びこれの近傍部分における背面形状が、静翼ウェークと平行にならないように、前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 1 )と、当該タービンの回転軸と直角な直線(L 2 )がなす角θを、
αN +2°<θ<αN +12°
としたこと。
本発明によれば、タービン動翼の前縁における背面部の形状を静翼ウェークからずらすことができるので、タービン動翼がその回転・移動に伴い静翼ウェークを切る際にその前縁の背面部と静翼ウェークとの間に形成される流路を広げることができ、非定常的な背面流速の増加を抑制することができることに加え、θの上限値を限定したことで、静翼の流出角に対するタービン動翼の流入角等の幾何学的な関係を最適に確保した形状となる。
【0010】
2) 上記1)に記載するタービン動翼において、
タービン動翼(11)の最大翼厚をTmax 、タービン動翼(11)の前縁(11b)と後縁(11d)との間のタービン回転軸方向の距離である翼幅をWとするとき、Tmax /Wが、
0.33<Tmax /W<0.42
となるように構成したこと。
本発明によれば、上記1)に記載する発明に加え、タービン動翼の翼形状が薄肉となるので、隣接するタービン動翼間の流路が広がることでこの部分の平均流速を低減することができる。
【0011】
3) 上記1)に記載するタービン動翼において、
前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 4 )と、前記円弧状の前縁(11b)と前記腹面部(11c)とがつながる位置における接線(L 5 )とがなす角をβinc とするとき、このβinc が、
13°<βinc <27°
となるように構成したこと。
本発明によれば、上記1)に記載する発明に加え、静翼ウェークにより特に流速の上昇が発生する前縁付近におけるタービン動翼の翼肉厚を薄くしているので、隣接するタービン動翼間の流路が広がることでこの部分の平均流速を低減することができる。
【0012】
4) 上記1)に記載するタービン動翼において、
タービン動翼(11)の最大翼厚をTmax 、タービン動翼(11)の前縁(11b)と後縁(11d)との間のタービン回転軸方向の距離である翼幅をWとするとき、Tmax /Wが、
0.33<Tmax /W<0.42
となるように構成すると同時に、
前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 4 )と、前記円弧状の前縁(11b)と前記腹面部(11c)とがつながる位置における接線(L 5 )とがなす角をβincとするとき、このβincが、
13°<βinc <27°
となるように構成したこと。
本発明によれば、上記1)及び2)、3)に記載する発明の重畳的な作用を得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
本形態は静翼ウェークに対するタービン動翼の背面部の形状を工夫したものである。すなわち、静翼ウェークの角度に対して動翼の角度がどのようになるかが問題であるため、静翼の流出角に相当するパラメータとして幾何学的流出角αN を定義し、この幾何学的流出角αN に対する関係において、好ましいタービン動翼の形状を特定した。ここで、静翼2は、図5に示す従来技術のものと同一である。本形態は、かかる静翼2と組み合わせるタービン動翼として説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態に関連する図で、(a)は一枚のタービン動翼を示す模式図、(b)は静翼の幾何学的流出角を概念的に示す説明図、(c)はその前縁部分を抽出して示す部分図である。
【0016】
図1(a)において、11はタービン動翼、11aは背面部、11bは前縁、11cは腹面部、11dは後縁である。かかるタービン動翼11は、図5に示すような位置関係でその多数枚が静翼2に対向して羽根車(図示せず。)の周方向に亘り配設されている。かくして、静翼2から出た流体を作用させ、羽根車に回転力を伝達するようになっている。ここで、タービン動翼11の前縁11bにおけるこのタービン動翼11の背面部11aの接線L1 と、当該タービンの回転軸と直角な直線L2 がなす角をθ、静翼2の幾何学的流出角をαN とするとき、前記θは次式(1)の範囲のものとした。
αN +2°<θ<αN +12° ・・・(1)
【0017】
さらに好ましくは、次式(2)の範囲である。
αN +5°<θ<αN +7° ・・・(2)
【0018】
ここで、静翼2の幾何学的流出角αN は次のようにして定義される角度である。図1(b)に示すように、隣接する静翼2間の距離である静翼ピッチをCN 、隣接する静翼2の1つの後縁2aと他の静翼2の背面部迄の距離である静翼喉幅をδN とするとき、αN は、αN =sin-1 (δN /CN )で与えられる。静翼喉幅δN を与える直線と幾何学的流出角αN を与える静翼2の接線とは近似的に直角であるとして取り扱うことができるからである。
【0019】
なお、角度θの上述の如き数値限定の上限は次のような要素を加味して限定される。すなわち、先ず静翼2の幾何学的流出角αN が決まると、これに対応するタービン動翼11の前縁11b部分の好ましい形状が決まる。かかる好ましい形状は、タービン動翼11の前縁11bにおけるこのタービン動翼11の腹面部11cの接線L3 と当該タービンの回転軸と直角な直線L2 とがなす角をθ’とすると、この角度θ’と、前記角度θとの和として与えられる。そこで、角度θが決まると、角度θ’と角度θとの和の範囲で角度θ’が決まる。すなわち、この和の角度を越えることはできない。
【0020】
上述の如く角度θを限定したことにより、タービン動翼11の前縁11bにおける背面部11aの形状を静翼ウェーク3(図5参照、以下同じ。)からずらすことができる、すなわち両者が平行ではなくなるので、タービン動翼11がその回転・移動に伴い静翼ウェーク3を切る際にその前縁11bの背面部11aと静翼ウェーク3との間に形成される流路を広げることができ、非定常的な背面流速の増加を抑制することができる。
【0021】
図2は、上記実施の形態に係るタービン動翼11の形状(図中の実線)を、図5に示す従来技術に係るタービン動翼1の形状(図中の点線)との比較において示す模式図である。同図を参照すれば明らかな通り、本形態に係るタービン動翼11は、従来技術に係るタービン動翼1(図5参照、以下同じ。)に対し、その前縁1bの近傍部分の背面部1aの形状を面取りしたような形状となっている。この結果、当該背面部11aの形状を静翼ウェークの向きからずらすことができる。ちなみに、従来技術に係るタービン動翼1では角度θは静翼2の幾何学的流出角αN とほぼ同一に形成されており、少なくとも角度θが(αN +2°)を越えることはない。
【0022】
上述の如き角度θの数値限定により、タービン動翼11の背面部11aの形状を静翼ウェーク3からずれた、平行でない形状とすることができるが、本形態では、さらに次のような数値も限定している。
【0023】
図1(a)に示すタービン動翼11の形状に内接する2点鎖線で示す円は、その直径が当該部分におけるタービン動翼11の翼厚を示している。この場合のタービン動翼11の最大翼厚をTmax 、タービン動翼11の前縁11bと後縁11dとの間の直線距離である翼幅をWとするとき、両者の比Tmax /Wが、0.33<Tmax /W<0.42、さらに好ましくは0.34<Tmax /W<0.38、となるように構成した。このことにより、タービン動翼11の翼形状が薄肉となるので、隣接するタービン動翼11間の流路が広がることでこの部分の平均流速を低減することができる。ちなみに、従来技術におけるタービン動翼1における比Tmax /Wは0.42を越えている。
【0024】
さらに、本形態においては次のような数値も限定している。すなわち、図1(c)に示すように、タービン動翼11の前縁11bにおける背面部11aの接線L4 と、腹面部11cの接線L5 とがなす角をβinc とするとき、このβinc が、13°<βinc <27°となるように構成した。このことにより、静翼ウェーク3により特に流速の上昇が発生する前縁11bの近傍部分におけるタービン動翼11の翼肉厚を薄くしているので、隣接するタービン動翼11間の流路が広がることでこの部分の平均流速を低減することができる。ちなみに、従来技術におけるタービン動翼1における角度βinc は27°を越えている。
【0025】
なお、比Tmax /W及び角度βinc の下限値は、タービン動翼11の前縁11bから後縁11dに至る経路に円滑な流速分布を形成するための条件に規制されてタービン動翼11の翼厚が限定される結果、所定の翼厚を得るべく決定したものである。
【0026】
上述の如き本形態に係るタービン動翼11を有するタービンにおいては、タービン動翼11の背面部11aの形状が静翼ウェーク3と平行ではないので、タービン動翼11の回転・移動に伴いタービン動翼11が静翼ウェーク3を切っても両者の間の流路を比較的大きく確保することができるので、当該流路部分に急峻に立ち上がる流速の高速域4(図5参照)が形成されることはない。また、比Tmax /W及び角度βinc の最適化を図り、隣接するタービン動翼11間の平均流速を低減したので、この点でも前記高速域4の発生を防止し得る。
【0027】
図3は、上記実施の形態に係るタービン動翼11の翼面流速分布特性(実線)を、従来技術に係るタービン動翼のそれ(点線)との比較において示す特性図である。また、図4は、上記実施の形態に係るタービン動翼11を有するタービンのタービン温度効率(実線)を、従来技術に係るタービン動翼を有するタービンのそれ(点線)との比較において示す特性図である。図3を参照すれば、タービン動翼11の前縁11b近傍の背面部11aで顕著な流速の低下が見られることが分かる。また、図4を参照すれば、一周期の何れの瞬間でもタービン効率が向上しており、当然一周期の平均的な効率は顕著に向上する。ここで、図4の一周期とは、一枚のタービン動翼11が一個の静翼ウェーク3を切った瞬間から次の静翼ウェーク3を切るまでの間をいう。なお、図3及び図4に示す場合の、諸元は次の通りである。角度θ=21.9°、比Tmax /W=0.38、角度βinc =24.3°。
【0028】
なお、上記実施の形態におけるタービン動翼11は衝動タービンのタービン動翼として説明したが、これに限るものではない。ただ、流入角が小さく、背面部の形状が静翼ウェークと平行になりがちな衝動タービンに適用して特に有用なものとなる。
【0030】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、羽根車の周方向に亘り多数配設され、固定翼である静翼(2)から出た流体を作用させて羽根車に回転力を伝達するタービン動翼(11)において、このタービン動翼(11)の前縁付近形状は、円の一部である円弧状の前縁(11b)と、この前縁(11b)の背面側につながる曲線状の背面部(11a)と、前記前縁(11b)の腹面側につながる曲線状の腹面部(11c)とから構成され、当該動翼(11)の上流側に位置する静翼(2)の後縁から当該静翼(2)に隣接する静翼(2)の背面部迄の距離である喉幅をδ N 、隣接する静翼間の距離である静翼ピッチをC N とし、静翼(2)の幾何学的流出角α N をα N =sin -1 (δ N /C N )で定義するとき、前記前縁(11b)及びこれの近傍部分における背面形状が、静翼ウェークと平行にならないように、前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 1 )と、当該タービンの回転軸と直角な直線(L 2 )がなす角θを、αN +2°<θ<αN +12°としたので、タービン動翼の前縁における背面部の形状を静翼ウェークからずらすことができ、タービン動翼がその回転・移動に伴い静翼ウェークを切る際にその前縁の背面部と静翼ウェークとの間に形成される流路を広げることができ、非定常的な背面流速の増加を抑制することができ、この結果、タービン動翼の移動に伴い、このタービン動翼が静翼ウェークを周期的に切っても、流速の部分的な高速域を除去して、この部分での全圧損失を除去し、タービンの高効率化に資することができることに加え、θの上限値を設定したことで、静翼の流出角に対するタービン動翼の流入角等の幾何学的な関係を最適に確保した形状となる。
この結果、他の特性を犠牲にすることなくタービンの高効率化に資することができる。
【0031】
〔請求項2〕に記載する発明は、〔請求項1〕に記載するタービン動翼において、タービン動翼(11)の最大翼厚をTmax 、タービン動翼(11)の前縁(11b)と後縁(11d)との間のタービン回転軸方向の距離である翼幅をWとするとき、Tmax /Wが、0.33<Tmax /W<0.42となるように構成したので、上記〔請求項1〕に記載する発明に加え、タービン動翼の翼形状が薄肉となるので、隣接するタービン動翼間の流路が広がることでこの部分の平均流速を低減することができる。 この結果、さらに良好に静翼ウェークとタービン動翼の背面部間の流速の高速域を除去して、タービン効率の更なる向上に資することができる。
【0032】
〔請求項3〕に記載する発明は、上記〔請求項1〕に記載するタービン動翼において、前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 4 )と、前記円弧状の前縁(11b)と前記腹面部(11c)とがつながる位置における接線(L 5 )とがなす角をβinc とするとき、このβinc が、13°<βinc <27°となるように構成したので、上記〔請求項1〕に記載する発明に加え、静翼ウェークにより特に流速の上昇が発生する前縁付近におけるタービン動翼の翼肉厚が薄くなり、隣接するタービン動翼間の流路が広がることでこの部分の平均流速を低減することができる。
この結果、さらに良好に静翼ウェークとタービン動翼の背面部間の流速の高速域を除去して、タービンの効率化の更なる向上に資することができる。
【0033】
〔請求項4〕に記載する発明は、〔請求項1〕に記載するタービン動翼において、タービン動翼(11)の最大翼厚をTmax 、タービン動翼(11)の前縁(11b)と後縁(11d)との間のタービン回転軸方向の距離である翼幅をWとするとき、Tmax /Wが、0.33<Tmax /W<0.42となるように構成すると同時に、前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 4 )と、前記円弧状の前縁(11b)と前記腹面部(11c)とがつながる位置における接線(L 5 )とがなす角をβincとするとき、このβincが、13°<βinc <27°となるように構成したので、〔請求項1〕と〔請求項2〕及び〔請求項3〕に記載する発明の重畳的な作用を発揮させることができる。
この結果、最も顕著にタービン効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に関連する図で、(a)は一枚のタービン動翼を示す模式図、(b)は静翼の幾何学的流出角を概念的に示す説明図、(c)はその前縁部分を抽出して示す部分図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る二枚のタービン動翼の形状(実線)を、従来技術に係るその形状(点線)との比較において示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るタービン動翼の翼面流速分布特性(実線)を、従来技術に係るタービン動翼のそれ(点線)との比較において示す特性図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るタービン動翼を有するタービンのタービン温度効率(実線)を、従来技術に係るタービン動翼を有するタービンのそれ(点線)との比較において示す特性図である。
【図5】従来技術に係る軸流衝動タービンのタービン動翼を、静翼とともに示す模式図である。
【符号の説明】
2 静翼
3 静翼ウェーク
11 タービン動翼
11a 背面部
11b 前縁
Claims (4)
- 羽根車の周方向に亘り多数配設され、固定翼である静翼(2)から出た流体を作用させて羽根車に回転力を伝達するタービン動翼(11)において、
このタービン動翼(11)の前縁付近形状は、円の一部である円弧状の前縁(11b)と、この前縁(11b)の背面側につながる曲線状の背面部(11a)と、前記前縁(11b)の腹面側につながる曲線状の腹面部(11c)とから構成され、
当該動翼(11)の上流側に位置する静翼(2)の後縁から当該静翼(2)に隣接する静翼(2)の背面部迄の距離である喉幅をδ N 、隣接する静翼間の距離である静翼ピッチをC N とし、静翼(2)の幾何学的流出角α N を
α N =sin -1 (δ N /C N )
で定義するとき、
前記前縁(11b)及びこれの近傍部分における背面形状が、静翼ウェークと平行にならないように、前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 1 )と、当該タービンの回転軸と直角な直線(L 2 )がなす角θを、
αN +2°<θ<αN +12°
としたことを特徴とするタービン動翼。 - 〔請求項1〕に記載するタービン動翼において、
タービン動翼(11)の最大翼厚をTmax 、タービン動翼(11)の前縁(11b)と後縁(11d)との間のタービン回転軸方向の距離である翼幅をWとするとき、Tmax /Wが、
0.33<Tmax /W<0.42
となるように構成したことを特徴とするタービン動翼。 - 〔請求項1〕に記載するタービン動翼において、
前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 4 )と、前記円弧状の前縁(11b)と前記腹面部(11c)とがつながる位置における接線(L 5 )とがなす角をβinc とするとき、このβinc が、
13°<βinc <27°
となるように構成したことを特徴とするタービン動翼。 - 〔請求項1〕に記載するタービン動翼において、
タービン動翼(11)の最大翼厚をTmax 、タービン動翼(11)の前縁(11b)と後縁(11d)との間のタービン回転軸方向の距離である翼幅をWとするとき、Tmax /Wが、
0.33<Tmax /W<0.42
となるように構成すると同時に、
前記円弧状の前縁(11b)と前記背面部(11a)とがつながる位置における接線(L 4 )と、前記円弧状の前縁(11b)と前記腹面部(11c)とがつながる位置における接線(L 5 )とがなす角をβincとするとき、このβincが、
13°<βinc <27°
となるように構成したことを特徴とするタービン動翼。
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