JP3524235B2 - 熱可塑性樹脂の製造方法及びこれを含む組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂の製造方法及びこれを含む組成物Info
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Description
造方法及びこれを含む樹脂組成物に関する。さらに詳し
くは、複合アクリルゴム粒子がマトリックス中に分散し
た着色性及び成形外観に優れた耐衝撃性材料であって、
同時に耐候性及び耐薬品性をも有する熱可塑性樹脂の製
造方法及びその組成物に関する。
として用いられている。例えば、共役ジエン系重合体ラ
テックスのようなゴム質重合体の存在下、樹脂質重合体
を与えるべき例えばスチレン、アクリロニトリルなどの
単量体を重合させることによって得られるABS樹脂など
の樹脂組成物は、耐衝撃樹脂として、電気機器のハウジ
ングを始め、種々の用途に使用されている。しかしなが
ら、ABS樹脂組成物よりなる成形品はゴム質重合体に二
重結合が存在しているので、日光に対する暴露、空気中
の酸素による酸化によって、ゴム弾性が失われ、グラフ
ト共重合体の物性も劣化する等の問題があった。従っ
て、共役ジエン系重合体を用いたグラフト共重合体は屋
外で使用することが出来なかった。また、応力を付加し
た状態で薬品と接触すると、成型品表面に亀裂が発生
し、著しい場合は破断することがあるため、用途が制約
されていた。
リアクリル酸エステル系ゴム弾性体、エチレン・プロピ
レン・非共役ジエン三元共重合体等を用いると上記の問
題は解決できるが、グラフト率が低く十分な耐衝撃性を
得るには多量のゴム弾性体を用いる必要があるばかりか
成型品の外観や、着色性に劣るといった問題があった。
成型品の外観や着色性の改良には、ゴム弾性体粒子を多
層構造(コアシェル構造)にしたり(特公昭57−39253
号)小さくする等の方法、ゴム弾性体とマトリックスの
屈折率を近づける方法が知られているが、耐衝撃性や低
温特性を犠牲にすることは避けられない。また本発明と
類似の方法で、多数の硬質樹脂粒子を内包するゴム弾性
体を使用することにより、耐衝撃性の改良が試みられて
いる(特公平5−22722号)がグラフトが十分でないと考
えられ、改良の効果も小さい。また更に、共役ジエン系
ゴム粒子をシードとしてアクリル酸エステル等を重合し
たいわゆるコアシェルゴム粒子に、芳香族系単量体等を
グラフト重合する方法も知られている(特公昭47-47863
号)が、十分な効果が得られない。
ルゴム粒子がマトリックス中に分散した着色性及び成形
外観に優れた耐衝撃性材料であって、同時に耐候性及び
耐薬品性をも有する熱可塑性樹脂の製造方法及びこれを
含む樹脂組成物を提供することにある。
決するために請求項1において、共役ジエン系単量体20
〜100重量%及びこれらと共重合可能な他のビニル単量
体0〜80重量%よりなる単量体または単量体混合物(I)を
乳化重合して得られる平均粒径0.01〜0.3ミクロンの共
役ジエン系ゴムラテックス粒子の存在下に、アルキル基
の炭素数が2〜12個の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル単量体70〜100重量%、多官能性ビニル単量体0〜3重
量%及びこれらと共重合可能な他のビニル単量体0〜30
重量%よりなる単量体または単量体混合物(II)を、単量
体混合物(I)100重量部に対し単量体混合物(II)を20〜30
0重量部用い、重合して得られるグラフト共重合体ラテ
ックス(A)と、さらにアルキル基の炭素数が2〜12個の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体70〜100重
量%、クロロメチル基を有するビニル単量体0〜10重量
%、多官能性ビニル単量体0〜3重量%及びこれらと共重
合可能な他のビニル単量体0〜30重量%よりなる単量体
または単量体混合物(III)を乳化重合して得られる平均
粒径0.01〜0.3ミクロンのゴム質重合体ラテックス(B)と
を、A/(A+B)の値が固形分重量で0.1〜0.8となるように
混合した後、粒径肥大して得られる平均粒径0.05〜1.5
ミクロンのゴム質重合体(C)の存在下に、芳香族ビニル
単量体20〜100重量%、アルキル基の炭素数が1〜4個の
メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜70重量%及び
これらと共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%よ
りなり、ゴム質重合体(C)の固形分100重量部に対し20〜
200重量部の単量体または単量体混合物(IV)をグラフト
重合することを特徴とする熱可塑性樹脂(D)の製造方法
を提供するものである。
方法で得られたグラフト共重合熱可塑性樹脂(D)と、芳
香族ビニル単量体20〜100重量%、アルキル基の炭素数
が1〜4個のメタクリル酸アルキルエステル単量体0〜70
重量%及びこれらと共重合可能な他のビニル単量体0〜5
0重量%よりなる単量体または単量体混合物の重合によ
り得られる熱可塑性樹脂(E)とからなることを特徴とす
る熱可塑性樹脂組成物(F)を提供するものである。ま
た、本発明は、請求項1に記載の製造方法で得られたグ
ラフト共重合熱可塑性樹脂(D)または請求項2で得られ
た熱可塑性樹脂組成物(F)と、樹脂(D)、樹脂(E)及び樹
脂組成物(F)とは異なるスチレン系樹脂(G)とからなるこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものであ
る。
本発明は共役ジエン系ゴムを一定量内含するアクリル系
ゴム質重合体より成るスチレン系グラフト共重合樹脂
(D)の製造方法と、その組成物に関するものである。
体とアクリル共重合体よりなる複合ゴム質重合体粒子
(C)に硬質樹脂成分をグラフト重合したものであり、共
役ジエン系共重合体は、共役ジエン系単量体と、それと
共重合可能なビニル単量体とを含む単量体または単量体
混合物(以下、単量体混合物という。(II)、(III)、(I
V)等も同様。)(I)の乳化重合によって得られる平均粒
径0.01〜0.3ミクロンのゴムラテックス粒子であって、
さらにこの粒子の存在下にアルキル基の炭素数が2〜12
個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む
単量体混合物(II)を重合して得られるグラフト共重合体
ラテックス(A)の形で使用される。このとき、グラフト
共重合体ラテックス(A)である共役ジエン系共重合体の
粒子の大きさは0.01〜0.3ミクロンとするのが好まし
い。0.3ミクロンより大きいと複合ゴム質重合体(C)中で
の分散性が悪くなり、着色性の改良が見られなくなる。
また、0.01ミクロンより小さい粒子の製造は通常の乳化
重合の条件では困難となり、例えば多量の乳化剤を必要
とするなど次のステップでの障害となり好ましくない。
0.03〜0.2ミクロンの範囲がもっとも好ましい。単量体
混合物(I)は、 共役ジエン系単量体を必須成分とし他に
アルキル基の炭素数が1〜4個のメタクリル酸アルキルエ
ステル単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル単
量体使用することが出来る。共役ジエン系単量体は20〜
100重量%の範囲で使用される。使用量が20重量%より
少ないと最終成形品の着色性や外観が悪くなったり衝撃
強度の低下を招く結果となる。特に40重量%以上で使用
するのが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜4個のメタ
クリル酸アルキルエステル単量体は0〜70重量%の範囲
で用いることが出来る。70重量%を越えると着色性や外
観が悪くなるので好ましくない。特に0〜50重量%の範
囲で用いるのが好ましい。共重合可能な他のビニル単量
体は0〜50重量%の範囲で使用出来る。50重量%を越え
ると同様に着色性や外観が悪くなり0〜40重量%の範囲
で使用するのが好ましい。
の具体例を示す。共役ジエン系単量体の具体例として
は、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、フェ
ニルブタジエン等が挙げられ、これらの一種または二種
以上の混合物であってもよい。また、本発明は、これら
例示したものに限定されるものではない。
基の炭素数が1〜4個のメタクリル酸アルキルエステル単
量体の具体例としては、メチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチル
メタクリレート、i−ブチルメタクリレート等が挙げら
れ、特に好ましいのは炭素数1〜2個のメタクリル酸アル
キルエステル化合物である。これらメタクリル酸エステ
ル化合物は、一種または二種以上の混合物であっても良
い。共重合可能なビニル単量体の具体例としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル
単量体、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチ
レン等の芳香族ビニル単量体の他ビニルエーテル、ビニ
ルエステルなど が挙げられ、これらの混合物であって
も良い。また、少量の多官能性ビニル単量体を含むこと
も出来る。
る。単量体混合物(I)の一部または全部、必要に応じ乳
化剤、重合開始剤、分子量調節剤を仕込み、通常は100
℃以下で重合が行われ、進行状況に応じて単量体残部や
上記重合助剤類が追加される。重合開始剤は、ラジカル
重合開始剤として知られている有機、無機の過酸化物の
他、これらと還元剤を組み合わせたいわゆるレドックス
系の開始剤が用いられる。乳化剤としては従来から使用
されている、アニオン系、カチオン系、及び非イオン系
の乳化剤を使用することが可能であり、必要に応じてそ
れらの組み合わせも出来る。連鎖移動剤には、良く知ら
れたメルカプタンやテルペン化合物を用いればよい。
り得られる共役ジエン系ゴムと単量体混合物(III)の重
合により得られるアクリル系ゴムの相溶性を良くする目
的で共役ジエン系ゴムへのグラフト重合に使用される。
単量体混合物(II)はアルキル基の炭素数が2〜12個の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を主成分と
し、他に多官能性ビニル単量体及びこれらと共重合可能
な他のビニル単量体を使用することができる。アルキル
基の炭素数が2〜12個の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル単量体は70〜100重量%の範囲で使用するのが好ま
しい。70重量%未満では、単量体混合物(I)より得られ
るゴムと単量体混合物(III)より得られるアクリル系ゴ
ムの相溶性が悪くなる。通常は80重量%以上で用いられ
る。
で使用される。3重量%を越えて使用すると同様に相溶
性に影響し良くない。通常は1重量%以下で使用され
る。共重合可能な他のビニル単量体は0〜30重量%の範
囲で用いられる。30重量%を越えて使用すると同様に相
溶性に悪影響を及ぼすので良くない。特に20重量%以下
で用いるのが好ましい。
の具体例を示す。アルキル基の炭素数が2〜12個の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例として
は、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−
ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、2−エチ
ルへキシルアクリレート、エチルメタアクリレート、プ
ロピルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレー
ト、i−ブチルメタアクリレート、2−エチルへキシルメ
タアクリレート、等が挙げられ、これらエステル化合物
は一種または二種以上の混合物であってもよく、通常
は、ラテックス(B)を構成するゴム質重合体と容易に
相溶するように組み合わせたり選択される。
ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、等の芳香族多官
能性ビニル単量体、エチレングリコールジメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価
アルコールのメタクリレート及びアクリレート、ジアリ
ルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルイソシア
ヌレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート
等が挙げられる。これら多官能性ビニル単量体は、一種
または二種以上の混合物であってもよい。共重合可能な
ビニル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合
物、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられ、
これらの一種または二種以上の混合物であってもよい。
体混合物(I)の100重量部に対し同(II)を20〜300重量部
の範囲で用いる。20重量部より少ないと、十分なグラフ
トが得られずのゴム質粒子間の相溶が不良となり、成形
外観及び着色性が良くない。また、300重量部を越えた
場合にも相溶性におけるさらなる改良効果が見られな
い。50〜200の範囲が最も好ましい。
(I)より得られる共役ジエン系ゴムラテックスの存在下
に乳化重合で行われる。単量体混合物(II)の一部または
全部を反応の進行に合わせて分割、連続、または一括仕
込みでよく、同時に重合助剤(開始剤、分子量調節剤、
乳化剤など)も同様の方法で添加することが出来る。こ
こに、重合助剤には先に単量体混合物(I)の重合で用い
られたもの又は同種のものを用いればよい。
れ複合ゴム質重合体ラテックスを構成するラテックス
(B)となるゴム質重合体は、アルキル基の炭素数が2〜12
個の(メタ)アクリル酸アルキエステル単量体を主成分
とする単量体混合物(III)を乳化重合して得られる。こ
の時、平均粒径は0.01〜0.3ミクロンの範囲に制御され
る。0.01ミクロンより小さい粒子の製造は、通常の乳化
重合では多量の乳化剤が必要となり続くプロセスに悪影
響を及ぼすなど好ましくない。0.3ミクロンを越えると
共役ジエン系ゴムの複合ゴム中での分散性が悪くなるの
で好ましくない。0.03〜0.2ミクロンの範囲が最も好ま
しい。単量体混合物(III)は、アルキル基の炭素数が2〜
12個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体70〜
100重量%、クロロメチル基を有するビニル単量体0〜10
重量%、多官能性ビニル単量体0〜3重量%、及びこれら
と共重合可能な他のビニル単量体0〜30重量%よりな
る。
アクリル酸アルキルエステル単量体、多官能性ビニル単
量体、及び共重合可能な他のビニル単量体の具体例とし
ては、単量体混合物(II)で挙げたものと同種のものが挙
げられ、それぞれ単一または複数個の組み合わせで用い
られる。クロロメチル基を有するビニル単量体として
は、ビニルエーテル、アリルエーテル、(メタ)アクリ
ロイルオキシ、ビニルエステル、アリルエステル、スチ
リル等のビニル基を有し、かつ、例えばクロロメチルア
ルキル、クロロアセチル、クロロベンジル等のクロロメ
チル基を有する単量体であれば良い。これらの単量体
は、更に、ヒドロキシル基やアルコキシル基等の官能基
を有していても良い。これらの具体例としては、クロロ
メチルスチレン、クロロエチルビニルエーテル、クロロ
メチルアリルエーテル、クロロ酢酸ビニル、クロロ酢酸
アリル、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレー
トが挙げられる。
共重合体ラテックス(A)とA/(A+B)の値が樹脂固形分重量
で0.1〜0.8の範囲となるように混合した後、粒径肥大操
作により共役ジエン系ゴムを一定の割合で内含する平均
粒径0.05〜1.5ミクロンの複合ゴム質重合体ラテックス
(C)とし、にさらに芳香族ビニル単量体を含む単量体混
合物(IV)をラテックス(C)の存在化に重合してグラフト
共重合熱可塑性樹脂(D)が製造される。ラテックス(A)と
ラテックス(B)の混合割合は、A/(A+B)の値が0.1より小
さいと内在する共役ジエン系ゴムの量が十分でなく、よ
って着色性や耐衝撃性が悪く、また0.8より大きいと耐
候性や耐薬品性が十分でない。ここで粒径肥大操作は良
く知られた方法でよい。例えば、ラテックスに燐酸、酢
酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの酸性物質
を添加することにより不安定にして部分的に凝集させる
方法が挙げられる。粒径肥大操作によって得られる複合
ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は0.05〜1.5ミク
ロンにするのが好ましい。0.1ミクロンより小さいと十
分な耐衝撃性が得られない。 また、1.5ミクロンより大
きいと着色性や成形外観が悪くなるので好ましくない。
0.1〜1.0ミクロンの範囲が最も好ましい。
20〜100重量%、アルキル基の炭素数が1〜4個のメタク
リル酸アルキルエステル単量体0〜70重量%、及びこれ
らと共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%よりな
る。これら単量体の具体例は、単量体混合物(I)で挙げ
たものと同様のものを挙げることが出来る。
単量体混合物(IV)の一部または全部を、必要に応じて乳
化剤、重合開始剤、分子量調節剤等の重合助剤と共に仕
込み、また、反応に応じて追加するなどして行うことが
でき、通常の乳化シード重合法で行えば良い。重合助剤
にはラテックス(A)、及び(B)の調製において使用された
ものと同じか、または同種のものから選べばよい。重合
終了後、乳化剤の中和などによる塩析により、ラテック
スを凝固させポリマーを回収、水洗、乾燥してグラフト
共重合熱可塑性樹脂(D)を得ることができる。本発明に
おけるグラフト共重合熱可塑性樹脂(D)の製造はゴム粒
子の形態を的確に制御する為、一貫して乳化重合法で行
うことが好ましい。
として使用可能であるので、用途によってはそのまま成
形材料に使用することが出来るが、芳香族ビニル単量体
20〜100重量%、アルキル基の炭素数が1〜4個のメタク
リル酸アルキルエステル単量体0〜70重量%、及びこれ
らと共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%よりな
る単量体混合物の重合により得られる熱可塑性樹脂(E)
とのブレンドにより着色性、成形外観及び耐衝撃性に優
れ、同時に耐候性、耐薬品性をも有する熱可塑性樹脂組
成物(F)を与える。
体混合物の具体例は、単量体混合物(IV)で挙げたものと
同種のものが挙げられるが、その使用割合、量を同一と
する必要はない。重合方法は特に限定はなく、乳化重
合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、の他にこれらの組
み合わせによる方法が可能である。樹脂(D)と樹脂(E)
は、その材料の使用目的によって異なるが、最終組成物
中のゴム質重合体[単量体混合物(I)ないし(III)に由来
する] の含有量が4〜40重量%となるように配合され
る。4重量%に満たない場合は耐衝撃性や耐薬品性が十
分に発揮されない。また、40重量%を越えて使用した場
合は、着色性及び成形外観が悪くなり、一方、耐衝撃性
が飽和するのでメリットは少ない。
求項3で得られた熱可塑性樹脂組成物(F)は、また樹脂
(D)、(E)及び(F)とは異なるスチレン系樹脂とのブレン
ドとブレンドして着色性、成形外観、及び耐薬品性に優
れた材料として用いることが出来る。この場合のスチレ
ン系樹脂の具体例としてはポリスチレン、耐衝撃性ポリ
スチレン、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合
体)、SMA樹脂(スチレン無水マレイン酸共重合体)、A
BS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−EPDM−スチレン
共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリル酸
エステル−スチレン共重合体)、耐熱性ABS樹脂(アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチ
レン共重合体)、超耐熱性ABS樹脂(アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン−フェニルマレイミド共重合
体)、MABS樹脂(メチルメタクリレート−アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体)、等が挙げられ
る。これらは、一種または二種以上の混合物であっても
よい。
ドするスチレン系樹脂との混合割合は、樹脂(D)または
樹脂(F)に含まれるゴム弾性体が組成物に占める割合が2
〜30重量%の範囲となるようにするのが好ましい。2重
量%より少ないと耐薬品性等の特性が得られない。ま
た、30重量%を越えても耐薬品性や耐衝撃性等の特性が
飽和するのみで、一方、剛性や表面硬度が低下し、また
外観が悪くなる等好ましくない。
脂組成物には、樹脂の性質を阻害しない種類及び量の潤
滑剤、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、耐光性安定剤、
熱安定剤、充填剤や難燃剤などの各種添加剤を、適宜組
み合わせて添加することが出来る。本発明に係わる熱可
塑性樹脂組成物は、複合アクリルゴム粒子がマトリック
ス中に分散した着色性及び成形外観に優れた耐衝撃性材
料であって、同時に耐候性及び耐薬品性をも有している
ので、屋内外で使用される電機部品及び各種工業部品と
して使用することが出来る。適用できる成形法は、射出
成形法、押出成形法、圧縮成形法、中空成形法、差圧成
形法、等の公知の各種成形法である。
さらに詳細に説明するが、、本発明はその要旨を越えな
い限り、以下の記載例に限定されるものではない。な
お、以下の例において、「部」とは重量部を意味するも
のであり、熱可塑性樹脂組成物の物性は、次の方法によ
って測定した。
量平均粒子径を意味し、単位はμm(ミクロン)。 (2)引張り強度 JIS K7113 に準拠して測定した。単位:Kg/cm2 (3)アイゾット衝撃強度 JIS K7110 に準拠して測定した。単位:Kg・cm/cm (4)耐薬品性 圧縮成形法によって製造した試験片(厚さ2mm、幅35m
m、長さ230mm)をベンディングフォーム法によって、23
℃ の温度で、HCFC-141b雰囲気下に17時間放置した時の
亀裂が発生した臨界歪値を測定し、耐薬品性を判定し
た。判定結果は次のように表示した。 ◎:臨界歪値が0.8%を越え、耐薬品性が極めて良好で
ある。 ○:臨界歪値が0.8〜0.6%で、耐薬品性が良好である。 △:臨界歪値が0.6〜0.4%で、耐薬品性がやや良好であ
る。 ×:臨界歪値が0.4%未満で、耐薬品性が不良である。
ペレットを用いて、射出成形した試験片を、肉眼により
次の基準で判定した。 ◎:着色性が良好である。深い黒色(漆黒)となる。真
珠様光沢が無く、 ウェルドライン(樹脂溶
融接合線)は、ほとんど認められない。 ○:着色性は普通である。黒色の深みに欠け、漆黒の色
合わせには着色剤の増量が必要である。真珠様光沢はな
い。ウェルドラインが、若干認められる。 △:着色性はやや不良である。黒色の深みに欠け、漆黒
の色合わせには着色剤のかなりの増量が必要である。真
珠様光沢を示し、ウェルドラインが明確に認められる。 ×:着色性が不良である。鈍い灰色様の黒色となる。着
色剤の増量によっても、漆黒の色合わせは困難である。
真珠様光沢を示し、層状剥離が若干認められる。ウェル
ドラインが、明確に認められる。
23℃で測定、落錘が試験片を貫通し終わるまでに要する
エネルギー(J:ジュール)を測定した。 (7)光沢 上記(5)と同様の方法で得られる無着色(自然色)の
試験片につき、日本色工業株式会社製の変角光沢計(VG
S-300A型)を用い、入射角60度として各10点で反射光強
度を測定、平均した。
(WE-DCH型)を用い、63℃(ブラックパネル温度)、18
分(雨降り)/120分サイクルでの600時間目の光沢を測
定し、初期光沢に対する保持率(%)で表した。
原料・助剤仕込装置を備えた容量5リッターのSUS製オー
トクレーブに、水150部、高級脂肪酸石けん4.0部、水酸
化ナトリウム0.075部を仕込み窒素置換した後、撹拌し
ながら内温を68℃に昇温した。同オートクレーブに、別
途調製した1,3-ブタジエン(BD)90部、スチレン(ST)10
部、及び t-ドデシルメルカプタン(TDM)0.3部よりなる
単量体混合物のうち20%を仕込み、過硫酸カリウム(KPS)
0.135部を添加した。数分後に発熱が起こり、重合開始
が確認された。過硫酸カリウムを添加後1時間経過して
から、残りの単量体混合物を5時間かけて連続的に仕込
んだ。連続仕込終了後、内温を80℃に昇温、この温度で
更に1時間重合反応を行った。得られた共役ジエン系ゴ
ム質(SBR)ラテックスは、固形分濃度39.5重量%、平均粒
子径は0.08μm、ゲル含有率は95.0%であった。撹拌装
置、加熱冷却装置、コンデンサー、及び原料、助剤仕込
み装置を備えた3リッターのガラス製フラスコ(以下、
断りのない限り同一装置使用)に、上記ゴムラテックス
2025g(ゴム固形分800g)を秤取り、200mlの水で希釈し
た後、窒素気流下で75℃に昇温、KPS 0.6gを含む水溶液
20mlを添加した。その後5分してからアクリル酸ブチル
エステル(BA)200gの連続添加を開始し、1時間で全量の
添加を終了した(約37ml/分)。BA添加終了後更に1時間
反応を継続して終了した。ここで得られたラテックス
を、A-1と呼ぶことにする。
A 180gおよびAN 2Ogを用いた他は製造例A-1と全く同じ
方法で、グラフトラテックスA-2を調製した。
A 199.4g及びメタクリル酸アリル(AMA)0.6gを用いた他
は製造例A-1と全く同じ方法で、グラフトラテックスA-3
を調製した。
に置き換えた他は製造例A-2と全く同じ方法でグラフト
ラテックスA-4を調製した。
共役ジエン系ゴムラテックス約1266g(固形分 500g)をフ
ラスコに秤取り、500mlの水で希釈した後、窒素気流下
で75℃に昇温、KPS0.5gを含む水溶液20mlを添加した。
その後5分してからBA 500gの仕込みを開始した。BAは3
時間に渡って連続添加(約31ml/分)し、この間、1時間
目、2時間目に脂肪酸石けん10g及び5gの水溶液100ml及
び50mlを仕込み、また2時間目には重炭酸ソーダ5gの水
溶液50mlとKPS 0.25gを溶かした水溶液10mlを追加し
た。BA添加終了後更に1時間反応を継続し、冷却、終了
した。得られたグラフトラテックスを、A-5とする。
共役ジエン系ゴムラテックス約843g(固形分 333g)をフ
ラスコに秤取り、800ml の水で希釈した後、窒素気流下
で75℃に昇温、KPS0.7gを含む水溶液25mlを添加した。
その後5分してからBA 667gの仕込みを開始した。BAは3
時間に渡って連続添加(約41ml/分)し、この間、1時間
目、2時間目に脂肪酸石けん13g及び7gの水溶液130ml及
び70mlを仕込み、また2時間目には10%重炭酸ソーダ水溶
液67mlとKPS 0.3gを溶かした水溶液10mlを追加した。BA
添加終了後更に1時間反応を継続し冷却、終了した。得
られたグラフトラテックスを、A-6とする。
合物(II)として、BA 100g及びAN 100gを用いた他は同例
と全く同じ方法でグラフトラテックスA-7を調製した。
合物(II)として、BA 160g及びAN 40gを用いた他は同例
と全く同じ方法でグラフトラテックスA-8を調製した。
エン系ゴムラテックスを、製造例C-1と類似の方法で粒
径肥大して0.20μmとした。グラフト共重合体ラテック
ス(A)の製造例を、表ー1に示す。
ー、及び原料、助剤仕込み装置を備えた3リッターのガ
ラス製フラスコ(以下、断りのない限り同一装置使用)
に水1.4 l、高級脂肪酸石けん20g、炭酸水素ナトリウム
10gを仕込み、窒素気流下75℃に昇温した。過硫酸カリ
ウム(KPS)1.35gを溶かした水溶液45mlを加え5分間放
置した後、BA 990gとクロロメチルスチレンCMS 10gから
なる単量体混合物(III)のうち、40gを添加した。約数分
で反応が開始され発熱が認められた。そのまま20分保持
した後、残りの単量体混合物(960g)の連続添加を開始
し3時間かけて全量を添加した(約59ml/10分)が、この
間1時間40分で同じ脂肪酸石けん10gを溶解した水溶液10
0mlを、更に2時間10分の時点でKPS 0.15gを溶かした水
溶液5mlを追加した。単量体の添加が終了してから1時
間、更に同一温度で重合を続けた後、冷却してゴム質重
合体ラテックスB-1を得た。ラテックスの固形分は38.5%
(転化率約97.1%)、平均粒径が0.08μmであった。重合
中に生じた凝固物は約2gであった。
85g、CMS 10g、及びAMA 5gとした他は製造例B-1と全く
同じ方法で、平均粒径0.08μmのゴム質重合体ラテック
スB-2を得た。
45g、CMS 50g、及びAMA 5gとした他は製造例B-1と全く
同じ方法で、平均粒径0.09μmのゴム質重合体ラテック
スB-3を得た。
85g、AN 100g、CMS 10g、及びAMA 5gとした他は製造例B
-1と全く同じ方法で、平均粒径0.07μmのゴム質重合体
ラテックスB-4を得た。
85g、MMA 100g、CMS 10g、及びAMA 5gとした他は製造例
B-1と全く同じ方法で、平均粒径0.07μmのゴム質重合体
ラテックスB-5を得た。
85g、クロロ酢酸ビニル(CAV) 10g、及びAMA 5gとした
他は製造例B-1と全く同じ方法で、平均粒径0.09μmのゴ
ム質重合体ラテックスB-6を得た。
BA 1000gのみとした他は製造例B-1と全く同じ方法で、
平均粒径 0.09μmのゴム質重合体ラテックスB-7を得
た。ゴム質重合体ラテックス(B)の製造例を、表ー2
にまとめて示す。
例 [製造例C-1]撹拌装置、加熱冷却装置、及び原料、助
剤仕込み装置を備えた3リッターのガラス製フラスコ
に、グラフトラテックスA-1約260g(重合体固形分100
g)及びゴム質重合体ラテックスB-2約1460g(同566.7
g)を秤取り40℃に昇温した。次いで無水酢酸6.7gと水1
40mlをビーカーに秤取り、ホモミキサーにより短時間で
混合分散した後、昇温した上記混合ラテックス中へ撹拌
下に添加した。均一に混ざった時点で撹拌を停止し、数
分間放置後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(DBS)10%水溶液33gと水酸化カリウム(KOH)10%水溶
液42gを加え、同時に撹拌を再開した。得られたラテッ
クスの平均粒径は0.31μmであった。この複合ゴムラテ
ックスをC-1とする。
5g(重合体固形分200g)及びゴム質重合体ラテックスB-
2約1200g(同466.7g)を用いた他は製造例C-1と全く同
じ方法で複合ゴムラテックスC-2を得た。平均粒径は0.3
0μmであった。
00g(重合体固形分466.7g)及びゴム質重合体ラテック
スB-2約514g(同200g)を用いた他は製造例C-1と全く同
じ方法で複合ゴムラテックスC-3を得た。平均粒径は0.2
6μmであった。
約514g(重合体固形分200g)及びゴム質重合体ラテック
スB-1約1200g(同466.7g)を用いた他は製造例C-1と全
く同じ方法で複合ゴムラテックスC-4を得た。平均粒径
は0.34μmであった。ゴム質重合体ラテックスとしてB-1
の代わりにB-3,4,5,6,及び7を用いて(A-1はそのまま)
全く同じ方法で、それぞれ複合ゴムラテックスC-5,6,7,
8,及び9を得た。グラフトラテックスA-1の代わりにA-2,
3,4,5,6,7,及び8をゴム質重合体ラテックスB-1の代わり
にB-2を用いて全く同じ方法で、それぞれ複合ゴムラテ
ックスC-10,11,12,13,14,15,及び16を得た。これらC-5
〜C-16の平均粒径は表ー3に、内含される共役ジエン系
ゴム成分の割合とともに示す。
約138g(重合体固形分53.3g)及びゴム質重合体ラテッ
クスB-2約1577g(同613.3g)を、また、A-1約1457g(同
566.7g)及びB-2約258g(同100g)を用いた他は製造例C
-1と全く同じ方法で、複合ゴムラテックスC-17及びC-18
を得た。平均粒径はそれぞれ0.28及び0.26μmであっ
た。
ジエン系ゴムラテックスを、粒径肥大して0.20μmとし
た後、これをシードとしてBA 273部、及びAMA 0.8部の
重合を行って平均粒径0.30μmの複合ゴムラテックスC-1
9を得た。
(重合体固形分666.7g)を、撹拌装置、加熱冷却装置、
コンデンサー、及び原料、助剤仕込み装置を備えた3リ
ッターのガラス製フラスコ(以下、断りのない限り同一
装置使用)に10%炭酸水素ナトリウム水溶液20gと共に仕
込み、窒素気流下75℃に昇温した。KPS 0.7gを溶かした
水溶液25mlを加え5分間放置した後、ST 233.3g、AN 100
gからなる単量体混合物(IV)の添加を開始、2時間に渡っ
て連続添加(約32ml/分)した。この間1時間目に10%の
脂肪酸石けん水溶液を50gと、KPS 0.3gを溶かした水溶
液10mlを、更に2時間目に10%脂肪酸石けん水溶液を50g
追加した。単量体の添加が終了してから引き続き1時
間、同一温度で重合を続けた後、冷却して反応を終了、
グラフト共重合体D-1を得た。複合ゴムラテックスをC-1
の代わりにC-2〜C-14を用いて、全く同様の方法でグラ
フト共重合体ラテックスD-2〜D-14を得た。
ゴムラテックスC-2約2136g(重合体固形分666.7g)を用
い、単量体混合物(IV)をST 233.3g、MMA 100gとした他
は全く同様にしてグラフト共重合体ラテックスD-15を得
た。
285g(重合体固形分500g)を、10%炭酸水素ナトリウム
水溶液50gと共に仕込み、窒素気流下75℃に昇温した。K
PS 1.0gを溶かした水溶液35mlを加え5分間放置した後、
ST 350g、AN 150gからなる単量体混合物(IV)の添加を開
始、3時間に渡って連続添加(約32ml/分)した。この間
1時間30分の時点で10%の脂肪酸石けん水溶液100gを、更
に2時間30分の時点で10%の脂肪酸石けん水溶液50gと、K
PS 0.5gを溶かした水溶液10mlを追加した。単量体の添
加が終了してから引き続き1時間、同一温度で重合を続
けた後、冷却して反応を終了、グラフト共重合体ラテッ
クスD-18を得た。
57g(重合体固形分333.3g)を、10%炭酸水素ナトリウム
水溶液67gと共に仕込み、窒素気流下75℃に昇温した。K
PS 1.2gを溶かした水溶液40mlを加え5分間放置した後、
ST 466.7g、AN 200gからなる単量体混合物(〓)の添加
を開始、3時間30分に渡って連続添加(約36.6ml/分)し
た。この間1時間30分の時点で10%の脂肪酸石けん水溶液
100gを、更に2時間30分の時点で10%の脂肪酸石けん水溶
液50gと、KPS 0.8gを溶かした水溶液30mlを追加した。
単量体の添加が終了してから引き続き1時間、同一温度
で重合を続けた後、冷却して反応を終了、グラフト共重
合体ラテックスD-17を得た。
して、C-15〜19を用いた他は製造例D-1と全くおなじ方
法によりグラフト共重合体D-18〜22をそれぞれ得た。製
造例D-1〜D-22で得られたグラフト共重合体ラテックスD
-1〜D-22に、フェノール系及びリン系の老化防止剤を合
計で5部(対ゴム成分100部)添加した後、これらのラテ
ックスを95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に、
撹拌しながら加え凝固させた。凝固物を、水洗、乾燥し
て、白色粉末状のグラフト共重合体D-1〜D-22を得た。
熱可塑性樹脂(D)の製造例を、表ー4にまとめて示す。
ー、及び原料、助剤仕込み装置を備えた3リッターのガ
ラス製フラスコに水1.4 l、高級脂肪酸石けん(炭素数1
8を主成分とするNa塩)20g、炭酸水素ナトリウム10gを
仕込み、窒素気流下75℃に昇温した。KPS 1.35gを溶か
した水溶液45mlを加え5分間放置した後、ST 700g、及び
AN 300gからなる単量体混合物のうち、40gを添加した。
約数分で反応が開始され発熱が認められた。そのまま20
分保持した後、残りの単量体混合物(960g)の連続添加
を開始し3時間かけて全量を添加した(約59ml/10分)
が、この間1時間40分で同じ脂肪酸石けん10gを溶解した
水溶液100mlを、更に2時間10分の時点でKPS 0.15gを溶
かした水溶液5mlを追加した。単量体の添加が終了して
から更に1時間、同一温度で重合を続けた後、冷却して
共重合体ラテックスを得た。ラテックスの固形分は37.1
%(転化率約96.3%)であった。重合中に生じた凝固物は
約0.5gであった。共重合体は、硫酸マグネシウム水溶液
による塩析によりラテックスより回収し、水洗、乾燥
し、熱可塑性樹脂E-1を得た。
コンデンサー、及び原料、助剤仕込み装置を備えた5リ
ッターのオートクレーブに水1200g、AN 377g、ST 910
g、連鎖移動剤(ターピノレン)5g、懸濁剤(アクリル
酸/アクリル酸エステル共重合体、1%水溶液)13g、及び
硫酸ナトリウム2.5g(水35mlに溶解)を仕込み、500rpm
の回転速度で撹拌しながら窒素置換をした。同撹拌下で
昇温を開始、100℃になった時点で ST 15gに溶解した重
合開始剤(ジ-tert-ブチルパーオキサイド)0.45gを添
加、重合を開始した。引き続き昇温を続け125℃に達し
た後、一定温度に保持した。重合開始剤を添加してから
約1時間で、最初に仕込んだのと同じ懸濁剤水溶液を40g
追加、更に20分した後に昇温を開始、1時間30分かけて1
45℃とした。以後、この温度で未反応単量体を回収しつ
つ重合を継続、2時間で反応を終了した。スラリーを水
洗後乾燥して約1170gの共重合体E-2を得ることが出来
た。転化率はおよそ90%であった。
じ方法によりSBRラテックスを調製した。 (2)グラフト共重合体の製造 上記のSBRラテックスを、無水酢酸によって粒子径を肥
大化し、平均粒径が0.25μmのものと0.65μmのものにし
た。撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、及び原料・助剤
仕込装置を備えた容量5リッターのガラス製反応器に、
上記のSBRラテックスを固形分として100部(0.25μmの
もの80部、0.65μmのもの20部の混合物)及び水347部
(ラテックス中の水分をも含む)を仕込み、窒素気流
下、撹拌しながら内温を70℃に昇温した。昇温の途中、
内温が60℃に達したとき、ピロリン酸ナトリウム1.0
部、デキストロース0.8部、硫酸第一鉄0.01部を水20部
に溶解した水溶液を反応器に仕込んだ。内温が70℃に達
した時点で、ST 70部、AN 30部、及び TDM 1.1部を含む
単量体混合物と、水35部に不均化ロジン酸カリウム石け
ん1.8部、水酸化カリウム0,37部、及びクメンハイドロ
パーオキサイド 0.5部を溶解した水溶液を、それぞれ2
時間30分かけて、連続的に仕込んだ。連続仕込終了後、
同温度で更に30分反応を続け、冷却して反応を終了し
た。得られたグラフト重合体ラテックスに、フェノール
系及びリン系の老化防止剤を合計量で5部添加した後、
このラテックスを95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶
液中に、撹拌しながら加え凝固させた。凝固物を水洗、
乾燥して白色粉末状の熱可塑性樹脂G-1を得た。
置、温度計、及び原料・助剤仕込装置を備えた容量2リ
ッターのオートクレーブに、ST 552g、EPDM(ムーニー
粘度ML1+4(100)45、ヨウ素価25、ジエン成分はエチ
リデンノルボルネン)140g、及び n-ヘプタン100gを仕
込み、窒素置換した後内温を50℃にし、2時間、150rpm
で撹拌してEPDMをSTに完全に溶解した。次いで撹拌下、
ANを40g/10分の速度で合計258g仕込んだ後、ジ-ter-ブ
チルパーオキサイド0.5g、t-ブチルパーアセテート0.13
g及びターピノレンO.25gを仕込み、97℃に昇温、この温
度で7時間20分、塊状重合を行った。塊状重合の終了30
分前に、ST 50gにジ-ter-ブチルパーオキサイド1.5g、
及びターピノレン1.5gを溶解した溶液を仕込んだ。塊状
重合終了時のEPDMの平均粒子径は、0.8μmであった。後
退型撹拌翼、加熱冷却装置、温度計、及び原料・助剤仕
込装置を備えた容量3リッターのオートクレーブに、懸
濁剤(アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体)2.5g
を溶解した水1100gを仕込み、窒素置換した後、内温を1
00℃にし500rpmで撹拌しつつ待機した。このオートクレ
ーブに、上記塊状重合工程で得られたシロップを仕込
み、窒素置換した後、内温を130℃に昇温し、撹拌しつ
つ2時間懸濁重合を行い、更に30分かけて150℃に昇温、
この温度に保持しつつ、1時間ストリッピングを行っ
た。得られた重合体を水洗した後、100℃で乾燥し、950
gのビーズ状のグラフト共重合体G-2を得た。
約1715g(同666.7g)を製造例C-1と全く同じ方法で粒径
肥大して0.30μmのゴムラテックスを得た。このゴムラ
テックス(固形分で500g)を、製造例D-18の複合ゴムラ
テックスの代わりに用いてグラフト共重合体G-3を得
た。
ト共重合体(D)及び熱可塑性樹脂(E)を、表ー5に記載し
た割合で、これに樹脂100重量部当たりステアリン酸マ
グネシウム0.4重量部、Irganox 1076(チバガイギー社
製酸化防止剤)0.1重量部、サノール LS770(三共社製
光安定剤)0.2重量部、及びTinuvin P(チバガイギー社
製紫外線吸収剤)0.3重量部を添加し、ブレンダーで均
一に混合した後バンバリーミキサーで混練りペレット化
した。本組成物(ペレット)中のゴム含有量は複合ゴム
として15%となるようにした。得られたペレットについ
て、射出成形法により物性測定用、外観、光沢評価用の
試験片を、またプレス成形により耐薬品性評価用の試験
片を作成した。着色性評価用試験片は、上記ペレット作
成時にカラー用カーボンブラックのマスターバッチを添
加し、同様に射出成形法によった。評価結果は同表ー5
に示す。
ト共重合体(D)、スチレン系樹脂(G)及び熱可塑性樹脂
(E)を、表ー5に記載した割合で、これに樹脂100重量部
当たりステアリン酸マグネシウム0.4重量部、及びIrgan
ox 1076(チバガイギー社製酸化防止剤)0.1重量部を添
加し、実施例1〜18と同じ方法で試験片を作成した。組
成物中のゴム含有量はグラフト共重合体(D)のそれが複
合ゴムとして7.5%、スチレン系樹脂(G)のそれが7.5%の
合計15%とした。評価結果を表ー5に示す。
り、表ー6に従って配合し、ペレット及び試験片を作成
した。評価結果を同表ー6に示す。
ー6)より次のことが明らかである。 (1)特定量の共役ジエン系ゴムを均一に内包するゴム
粒子(複合アクリルゴム)より成る材料は、アクリルゴ
ムを含む耐衝撃材料(AAS樹脂)に特有の外観不良、着
色性不良が改良され、耐薬品性及び耐候性は損なわれな
い。 (2)特定量の共役ジエン系ゴムが均一に分散、内在す
ることにより、AAS系材料の欠点である耐衝撃性が向上
しバランスのよい物性を示す(アイゾット、落錘衝
撃)。これはジエン系ゴムがゴム粒子全体の架橋及びグ
ラフト反応に寄与するためと考えられる。 (3)特定量のジエン系ゴムを内包する複合ゴム粒子
が、本発明の方法により計画的に製造でき、その結果モ
ルホロジーの制御が容易になるので、品質の設計及び安
定化が期待できる。
を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。 1. 本発明に係わる熱可塑性樹脂組成物は成形品とす
る場合、着色性、外観などが良く、また成形品は耐薬品
性に優れており、雑貨、家電製品を始めとし、また不飽
和ゴムの使用にもかかわらず耐候性が損なわれないので
耐候性材料として、例えば自動車内外装部品への応用等
が可能である。 2. 本発明に係わる熱可塑性樹脂組成物から得られる
成形品は物性バランスが良く、また製造に関し特に安定
した品質が確保できるので工業的価値が大きい。
Claims (3)
- 【請求項1】共役ジエン系単量体20〜100重量%及びこ
れらと共重合可能な他のビニル単量体0〜80重量%より
なる単量体または単量体混合物(I)を乳化重合して得ら
れる平均粒径0.01〜0.3ミクロンの共役ジエン系ゴムラ
テックス粒子の存在下に、アルキル基の炭素数が2〜12
個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体70〜100
重量%、多官能性ビニル単量体0〜3重量%及びこれらと
共重合可能な他のビニル単量体0〜30重量%よりなる単
量体または単量体混合物(II)を、単量体混合物(I)100重
量部に対し単量体混合物(II)を20〜300重量部用い、重
合して得られるグラフト共重合体ラテックス(A)と、さ
らにアルキル基の炭素数が2〜12個の(メタ)アクリル
酸アルキルエステル単量体70〜100重量%、クロロメチ
ル基を有するビニル単量体0〜10重量%、多官能性ビニ
ル単量体0〜3重量%及びこれらと共重合可能な他のビニ
ル単量体0〜30重量%よりなる単量体または単量体混合
物(III)を乳化重合して得られる平均粒径0.01〜0.3ミク
ロンのゴム質重合体ラテックス(B)とを、A/(A+B)の値が
固形分重量で0.1〜0.8となるように混合した後、粒径肥
大して得られる平均粒径0.05〜1.5ミクロンのゴム質重
合体(C)の存在下に、芳香族ビニル単量体20〜100重量
%、アルキル基の炭素数が1〜4個のメタクリル酸アルキ
ルエステル単量体0〜70重量%及びこれらと共重合可能
な他のビニル単量体0〜50重量%よりなり、ゴム質重合
体(C)の固形分100重量部に対し20〜200重量部の単量体
または単量体混合物(IV)をグラフト重合することを特徴
とする熱可塑性樹脂(D)の製造方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の製造方法で得られたグラ
フト共重合熱可塑性樹脂(D)と、芳香族ビニル単量体20
〜100重量%、アルキル基の炭素数が1〜4個のメタクリ
ル酸アルキルエステル単量体0〜70重量%及びこれらと
共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%よりなる単
量体または単量体混合物の重合により得られる熱可塑性
樹脂(E)とからなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
物(F)。 - 【請求項3】請求項1に記載の製造方法で得られたグラ
フト共重合熱可塑性樹脂(D)または請求項2で得られた
熱可塑性樹脂組成物(F)と、樹脂(D)、樹脂(E)及び樹脂
組成物(F)とは異なるスチレン系樹脂(G)とからなること
を特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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