JP3591945B2 - ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物に関するものであり、特に透明性、強度、摩耗特性等の実用物性バランスに優れたゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体は、線状ブロック構造のものや放射状枝分れブロック構造のもの等種々のものが知られている。これらスチレン−ブタジエンブロック共重合体は、その特性として透明性に著しく優れており、一般にスチレン含有率が多くなるに従い、ゴム質状から樹脂状に変化する。しかしながら、このような樹脂状のスチレン−ブタジエンブロック共重合体は剛性,強度が劣りさらに物性に異方性が存在するために実用物性において劣るという欠点がある。
【0003】
従来においては、かかる欠点を解消するためにスチレン−ブタジエンブロック共重合体の屈折率に合わせたスチレン−メタクリル酸メチル共重合体を配合することが行われている。しかし、スチレン−ブタジエンブロック共重合体にスチレン−メタクリル酸メチル共重合体を配合することは、剛性、強度においては改善される方向であるが満足のいくレベルに達しておらず、又、異方性も解消しない等の問題点が残されている。そこでゴム補強により発現する落錘衝撃強度を高める試み等としてスチレン、メタクリル酸メチル及びブタジエン系ゴム質重合体からなる混合溶液を重合させる方法が提案されている。例えば特開平6−25507号公報には、スチレン系単量体、アクリル酸(メタクリル酸)エステル単量体及びブタジエン系ゴム状弾性体からなる混合溶液を重合させ、有機ポリシロキサンを含有させることによる外観特性、特に耐傷性の優れたゴム変性スチレン系樹脂が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる方法で重合されたゴム変性スチレン系樹脂は剛性、強度ともに向上し物性の異方性も解消したが、しかし、透明性(半透明)については、連続相を形成するスチレン系共重合体と屈折率が同等又は近似したゴム状弾性体を用いることが好ましいとの記述は有るがその具体的な実施例もなく、実際には有機ポリシロキサン化合物の屈折率は樹脂組成物の屈折率と異なる為、記述されている添加量では透明性は悪化する。従って優れた透明性を有し、物性バランス、特に剛性と衝撃性のバランスの優れた材料については、問題は残されたままであった。
従って本発明は、かかる現状に鑑み透明性を有し、且つ剛性と強度バランス、特に剛性と衝撃性のバランスに優れ、磨耗特性をも改善したゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、モノマーとしてスチレンとメタクリル酸メチルを使用する本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の請求項1は、連続マトリクス樹脂中にゴム状成分を分散粒子として含有するゴム変性芳香族ビニル系樹脂において、
(イ)連続マトリクス樹脂の構成単位が芳香族ビニル系単量体80〜10重量%とアルキル基の炭素数が1〜2からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の単独単量体20〜90重量%とを共重合して得られたものであり、
(ロ)該マトリクス樹脂100重量部に対して25℃での5重量%スチレン溶液粘度(SV)が10〜50cpsで一般式SBまたはSBS(但しSはスチレンを主体とする重合体ブロック、Bはブタジエンを主体とする重合体ブロックを示す)で表されるスチレン含有率が10〜40重量%からなるスチレン−ブタジエンブロック型共重合体であるゴム状成分の含有量が3〜30重量部の割合でかつ平均粒子径Dは0.2〜2μmの粒子状に分散しており、
(ハ)該ゴム変性芳香族ビニル系樹脂には25℃の粘度が10〜2000cstの範囲にある有機ポリシロキサン化合物が0.001〜0.01重量%未満の範囲内で含有されていることを特徴とするゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物である。
【0006】
又本発明の請求項2は、連続マトリクス樹脂中のゴム状成分の平均粒子径D(μm)と使用する有機ポリシロキサン化合物の粘度C(cst)との関係式A=Log(C0.5×D)+1.03で得られる数値が、1≦A≦2.6を満足することを特徴とする請求項1に記載のゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物である。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における連続マトリクス樹脂を構成する芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の側鎖アルキル置換スチレン、ビニルトルエン等の核アルキル置換スチレン、クロルスチレン等のハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。これらの単独単量体を使用するものである。
【0008】
連続相を構成する連続マトリクス樹脂の構成単位は、芳香族ビニル単量体80〜10重量%、好ましくは80〜20重量%である。10重量%未満の場合は、透明性、流動性が低下し、また80重量%を越えると透明性が悪くなる。またアルキル基の炭素数1〜2からなる(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル単量体は20〜90重量%、好ましくは20〜80重量%である。20重量%未満では強度が悪くなり90重量%を越えると流動性が悪く、いずれも物性のバランスを満足させることができない。これら連続マトリクス樹脂を構成する芳香族ビニル単量体と、アルキル基の炭素数1〜2からなる低級アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、連続マトリクス樹脂の屈折率が、用いるゴム状成分の屈折率にできるだけ近似させるように設定される。連続マトリクス樹脂とゴム状成分の屈折率の差は好ましくは0.01以内に制御することが望ましい。透明性をそれほど必要としない用途に対しては、屈折率を合わせる必要がない。
【0009】
本発明では、連続マトリクス樹脂中にはマトリクス樹脂100重量部に対してゴム状成分の含有量が3〜30重量部の割合でかつ平均粒子径Dは0.2〜2μm、好ましくは0.3〜1μmとして粒子状に分散している。
ここで分散するゴム状成分としては、25℃での5重量%スチレン溶液粘度(SV)が10〜50cps(センチポイズ)であり、かつ一般式SBまたはSBS(但しSはスチレンを主体とする重合体ブロック、Bはブタジエンを主体とする重合体ブロックを示す)で示されるスチレン含有率が10〜40重量%のスチレンブタジエンブロック型共重合体が最も好ましい。ゴム状成分中のスチレン含有量が10重量%以下のものは透明性が悪く、40重量%以上のものは耐衝撃性が悪くなる。これらのゴムのブロック率は特に制約はないが、好ましくはブロックスチレン含量が結合スチレン含量の80重量%以上である。これら2種類のゴムはそれぞれ単独で使用してもよいし混合して使用してもよい。
【0010】
ゴム状成分はマトリクス樹脂中に粒子状に分散しており、ゴム分散粒子の平均粒径は、0.2〜2μm、好ましくは0.3〜1μmである。平均粒径が0.2μm未満のものは耐衝撃性が悪く、2μmを越えるものは透明性が悪い。そして、共重合体樹脂分のゴム分散粒子に対するグラフト率は特に限定するものではないが0.2〜3.0のものが良い。さらに好ましくは0.5〜2.0のものが良い。グラフト率が0.2未満のものは、透明性、耐衝撃性のいずれの物性とも劣り、3.0を越えるものは特に流動性と耐衝撃性が悪くなる。膨潤比は5〜15のものが良く、さらに好ましくは6〜9のものが良い。膨潤比が5未満のものは耐衝撃性が悪く、15を越えるものは透明性が悪くなる。
【0011】
本発明のゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物には添加剤として有機ポリシロキサン化合物を用いる。ゴム変性芳香族ビニル系樹脂に対して、有機ポリシロキサン化合物を0.001〜0.01重量%未満含有させる。ここで本発明に使用できる有機ポリシロキサン化合物としては下記一般式で示される構造単位の繰り返しを骨格に含むポリマーである。
【化1】
(式中、R1,R2は有機基を示し、例えばメチル、フェニル、エポキシ基、フッ素等があげられ、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等があげられる。かかる構造単位が一種のみからなるホモポリマー型有機ポリシロキサンであっても、二種以上の組合せからなる例えばランダム、ブロック、グラフト型共重合体の有機ポリシロキサンであってもよい。
【0012】
有機ポリシロキサン化合物の粘度は、25℃で10〜2000cst(センチストークス)と比較的分子量の低いものが必要である。好ましくは10〜1000cstが良い。さらに好ましくは20〜500cstが良い。
本発明で特に好ましくは、連続マトリクス樹脂中のゴム状成分の平均粒子径D(μm)と、使用する有機ポリシロキサン化合物の粘度C(cst)との関係式A=Log(C0.5×D)+1.03で得られる数値が、1≦A≦2.6を満足するように調整することである。この関係式が成立する範囲は、ゴム粒子径Dの好ましい範囲である0.3〜1μm,有機ポリシロキサン化合物の粘度の好ましい範囲である10〜1000cstの範囲内に近い場合である。粘度が10cstより低いものは衝撃性が劣り、又、2000cstを越えると衝撃性,伸び性が劣り、さらに、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂と有機ポリシロキサンを押出し機で混合する方法やゴム変性芳香族ビニル系樹脂と有機ポシロキサンをブレンドし、射出成形機、シート押出し機等で成形品を成形する時に混合する方法等を用いる場合の操作性が劣る。
【0013】
さらに、有機ポリシロキサンのゴム変性芳香族ビニル系樹脂に対する添加量も0.001〜0.01重量%未満と少量である事が必要である。添加量が0.001重量%より少ないと衝撃性、伸び性が劣り、0.01重量%を越えると透明性が悪化するばかりでなく衝撃性、伸び性改善の効果も変わらない。これら重合体の末端あるいは分子鎖中にエポキシ基、ビニル基、アミノ基、アルコキシ基、フッ素等を導入したものも特に限定されるものではない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
本発明のゴム変性芳香族ビニル系樹脂の製造方法としては、塊状重合、溶液重合のいずれの重合法でもよく、また回分重合、連続重合いずれの方法でも製造される。例えば、溶液重合について説明すると各モノマー種からなる混合物を重合開始剤及び連鎖移動剤により、ゴム状成分及び溶媒の存在下にグラフト共重合させる。使用できる溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の他、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン系化合物や、プロピルアルコール、フェノール等のアルコール系化合物を挙げることができるが、芳香族炭化水素、ケトン化合物、アルコール系化合物を単独で使用してもよいし併用してもよい。溶媒の使用量は単量体混合物100重合部に対して2〜100重量部である。
【0015】
重合開始剤としては、有機過酸化化合物等のラジカル開始剤を配合することが好ましい。用いられるラジカル開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ラウロイルパーキサイド等があげられ、開始剤を1種もしくは2種以上を併用することもできる。その使用量については、特に制限はないが、モノマー混合物100重量部に対して0.005〜0.5重量部がよい。また、連鎖移動剤としてはメルカプタン類、αーメチルスチレンダイマー、モノテルペノイド系分子量調節剤(ターピノーレン)等がある。そして、重合反応は例えば完全混合槽又はプラグフロー型反応器あるいはこれらを組み合せた重合プロセスにより適宜撹拌下で行なうのが良い。さらに反応器間にミキサー等の撹拌機を用いてもかまわない。最終反応槽から取り出された反応液は、従来知られている脱揮発分装置で未反応単量体や、溶剤を除去した後、ポリマーを回収し、樹脂製品とすることができる。
【0016】
本発明においては、連鎖移動剤の種類や使用量及び添加位置を変えることにより、マトリクス樹脂の分子量を制御することができる。また、連鎖移動剤の種類や使用量の他、撹拌条件を変えることにより、ゴム分散粒子の粒子径を制御することができる。また、透明性を維持させるために、重合過程で生成するポリマー組成を変化させないような方法が用いられる。例えば、重合途中に必要に応じて単量体を添加する方法や、連続的に追添加する等の方法が用いられる。
【0017】
有機ポリシロキサンの添加方法は、原料溶液に添加して重合系へ供給する方法、重合途中で重合系へ供給する方法、回収系の前又は後で添加する方法、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂と有機ポリシロキサンを押出し機で混合する方法、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂と有機ポリシロキサンをマスターバッチ化した物を押出し機で混合する方法、あるいは、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂と有機ポシロキサンをブレンドし、射出成形機、シート押出し機等で成形品を成形する時に混合する方法、さらにはゴム変性芳香族ビニル系樹脂と有機ポリシロキサンをマスターバッチ化した物を射出成形機、シート押出し機等で成形品を成形する時に混合する方法等を用いる事が出来、特に制約はない。
【0018】
本発明のゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物には、有機ポリシロキサン化合物の他に例えばフォスファイト等の有機安定剤、カルシウム、錫等の無機安定剤、フェノール系スルファイド系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニル等の紫外線吸収剤、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、金属石鹸等の滑剤、その他目的に合わせて繊維補強材、無機充填材、顔料、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、着色剤、難燃剤等を適宜配合することもできるが、これらにかぎられるものではない。さらに、これら添加剤を樹脂に配合する際に添加剤を単独で配合してもよいし複数種類の添加剤を配合してもよい。さらに幾つかの樹脂とブレンドして成形に供することもできる。又、これら添加剤は、重合プロセスで添加してもよいし、押出し機,成形機を用いて添加してもよい。又、成形品,シート,フィルム等の製品表面の特性を改質するためにスチレン系樹脂で用いられている改質剤を塗布することができる。
【0019】
得られた樹脂組成物は、射出成形や押出し成形によって各種成形品を成形することができる。さらに、Tダイシート押出し機、キャスト加工装置、二軸延伸加工装置、インフレーション加工装置等を用いて、シートやフィルムに成形することができる。得られた成形品は、その優れた透明性、耐衝撃性を利用して、カバー類、ケース類、日用雑貨等に使用される。
【0020】
【実施例】
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例等における物性測定の試験方法は次の通りである。
(1)シート成形品
(イ)落錘衝撃試験(FI);厚み0.6mmの試験片を、JIS−K7124に準じて測定した。錘は1/4インチのものを使用した。
(ロ)引張り強度; 厚み0.6mmの試験片を、JIS−K7124に準じて測定した。
(ハ)磨耗特性;厚み0.6mmの試験片を、JIS−K7204に準じて測定した。
【0021】
(2) 射出成形品
(イ)アイゾット衝撃強度(IZ);寸法63.5×12.7×6.35mmのノッチ付き試験片をASTM−D256に準じて測定した。
(ロ)曇価の差;厚み3.0mmの試験片を、JISーK6714に準じて曇価を測定し、有機ポリシロキサン化合物を添加する前の曇価との差を表示した。
【0022】
次に本発明の樹脂の分析方法について説明する。
(イ)ゴム分散粒子の平均粒子径(D50);樹脂を四酸化オスミウム染色し超薄切片法による透過型電子顕微鏡写真より200〜1000個のゴム粒子径を測定し、重量平均粒子径を求める。楕円形をしている場合は、長径aと短径bとの平均即ち(a+b)/2をもって粒子径とする。
(ロ)グラフト率(g);試料A(約1gを精秤)をアセトン/メチルエチルケトンの1/1の混合溶剤30ccに投入し、不溶分を遠心分離法にて分離して乾燥し不溶分の重量(B)を精秤し次の式で求める。但しC0は試料A中のゴム状重合体の含有率を示す。
グラフト率(g)=[(B/A)−C0]/C0
【0023】
(ハ)膨潤比;試料D(約1gを精秤)をトルエン30mlに投入し、1時間撹拌して溶解させた後、遠心分離して上澄みを除去し、残存した膨潤物の重量(E)を精秤した結果より、下記式により決定される特性値とする。
膨潤比=E/D
【0024】
実施例で使用した樹脂について説明する。
試料1〜3
重合モノマーとしてスチレン(SM)、メタクリル酸メチル(MMA)を使用し、ゴム状成分としてスチレン分含有量が25重量%でスチレン溶液が25cpsであるブロック型スチレンーブタジエンゴム(bーSBR)を使用した。マトリクス樹脂組成(重量%)とマトリクス樹脂100重量部に対するゴム含有率(重量部)及び分散粒子径の異なる3種類のゴム変性芳香族ビニル系樹脂試料1〜3を得てその分析値を表−1にまとめて記載する。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例1
試料1に粘度20cstの有機ポリシロキサン化合物を0.005重量%加え、30mm単軸押出し機を用いて厚さ0.6mmのシートを成形した。所定の試験片をダンベルカッターで切り抜いて作成した。又、型締力15Tonの射出成形機を用い所定のアイゾット衝撃強度用試験片を成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0027】
実施例2
試料1に粘度20cstの有機ポリシロキサン化合物を0.007重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0028】
実施例3
試料1に粘度20cstの有機ポリシロキサン化合物を0.009重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0029】
実施例4
試料1に粘度10cstの有機ポリシロキサン化合物を0.009重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0030】
実施例5
試料1に粘度50cstの有機ポリシロキサン化合物を0.009重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0031】
実施例6
試料1に粘度100cstの有機ポリシロキサン化合物を0.009重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0032】
実施例7
試料1に粘度1000cstの有機ポリシロキサン化合物を0.009重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0033】
実施例8
試料2に粘度20cstの有機ポリシロキサン化合物を0.009重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−2に記載する。
【0034】
【表2】
【0035】
比較例1
試料1を、有機ポリシロキサン化合物を添加せずに実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−3に記載する。
【0036】
比較例2
試料1に粘度20cstの有機ポリシロキサン化合物を0.01重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−3に記載する。
【0037】
比較例3
試料1に粘度20cstの有機ポリシロキサン化合物を0.02重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−3に記載する。
【0038】
比較例4
試料1に粘度3000cstの有機ポリシロキサン化合物を0.01重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−3に記載する。
【0039】
比較例5
試料3に粘度1000cstの有機ポリシロキサン化合物を0.009重量%加え、実施例1と同様に成形した。得られた測定結果を表−3に記載する。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物は、芳香族ビニル単量体とアルキル基の炭素数が1〜2からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を共重合した連続マトリクス樹脂中にゴム状成分を分散粒子として含有し、特定の粘度(分子量)を有する有機ポリシロキサン化合物を混合したものであり、透明性を有し、強度,磨耗特性等の実用物性バランスに優れていることから容器,ブリスターパック,一般,工業用容器ケース等の成形加工、及びフィルム等からの包装フィルム、シート加工、発泡成形用等に好適に適用しうるものである。
Claims (2)
- 連続マトリクス樹脂中にゴム状成分を分散粒子として含有するゴム変性芳香族ビニル系樹脂において、
(イ)連続マトリクス樹脂の構成単位が芳香族ビニル系単量体80〜10重量%とアルキル基の炭素数が1〜2からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の単独単量体20〜90重量%とを共重合して得られたものであり、
(ロ)該マトリクス樹脂100重量部に対して25℃での5重量%スチレン溶液粘度(SV)が10〜50cpsで一般式SBまたはSBS(但しSはスチレンを主体とする重合体ブロック、Bはブタジエンを主体とする重合体ブロックを示す)で表されるスチレン含有率が10〜40重量%からなるスチレン−ブタジエンブロック型共重合体であるゴム状成分の含有量が3〜30重量部の割合でかつ平均粒子径Dは0.2〜2μmの粒子状に分散しており、
(ハ)該ゴム変性芳香族ビニル系樹脂には25℃の粘度が10〜2000cstの範囲にある有機ポリシロキサン化合物が0.001〜0.01重量%未満の範囲内で含有されていることを特徴とするゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物。 - 連続マトリクス樹脂中のゴム状成分の平均粒子径D(μm)と使用する有機ポリシロキサン化合物の粘度C(cst)との関係式A=Log(C0.5×D)+1.03で得られる数値が、1≦A≦2.6を満足することを特徴とする請求項1に記載のゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物。
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