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JP3550601B2 - 焦点検出装置 - Google Patents

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JP3550601B2
JP3550601B2 JP26561894A JP26561894A JP3550601B2 JP 3550601 B2 JP3550601 B2 JP 3550601B2 JP 26561894 A JP26561894 A JP 26561894A JP 26561894 A JP26561894 A JP 26561894A JP 3550601 B2 JP3550601 B2 JP 3550601B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は撮影レンズの焦点調節状態を検出する焦点検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被写体の視差を有する一対の像を1対のイメージセンサー上に導き、これらのイメージセンサーの画像出力に基づいて一対の像の相対的なずれ量を算出し、撮影レンズの焦点調節状態を検出する位相差検出方式の焦点検出装置が知られている。
図4により、この種の焦点検出装置の概要を説明する。
撮影レンズ1の領域21を介して入射した被写体からの光束は、フィルム等価面6上で焦点を結んだ後、バンドパスフィルター7、視野マスク2、フィールドレンズ3、絞り開口部41および再結像レンズ51から構成される焦点検出光学系8を通り、イメージセンサー9のセンサー列9A上に結像する。同様に、撮影レンズ1の領域31を介して入射した被写体からの光束は、フィルム等価面6上で焦点を結んだ後、バンドパスフィルター7、視野マスク2、フィールドレンズ3、絞り開口部42および再結像レンズ52から構成される焦点検出光学系8を通り、イメージセンサー9のセンサー列9B上に結像する。
ここで、撮影レンズ1の領域21の大きさは絞り開口部41のフィールドレンズ3による逆投影像に等しく、同様に、領域31の大きさは絞り開口部42のフィールドレンズ3による逆投影像に等しい。
【0003】
焦点検出光学系8によりイメージセンサー9のセンサー列9A、9B上に結像した一対の被写体像の2次像は、撮影レンズ1により結像される被写体の鮮鋭像が予定焦点面よりも前に像を結ぶいわゆる前ピン状態では互いに近づき、逆に予定焦点面よりも後に像を結ぶいわゆる後ピン状態では互いに遠ざかる。また、撮影レンズ1により結像される被写体の鮮鋭像が予定焦点面に像を結ぶいわゆる合焦時には、イメージセンサー9のセンサー列9A、9B上の被写体像は相対的に一致する。
したがって、焦点検出光学系8により結像される一対の被写体像の2次像をイメージセンサー9のセンサー列9A、9Bで光電変換して電気信号に換え、これらの一対の被写体像信号を相関演算処理して一対の被写体像の2次像の相対位置を求めることにより、撮影レンズ1の焦点調節状態、ここでは合焦状態から離れている量とその方向(以下、デフォーカス量と呼ぶ)を検出する。
なお、焦点検出領域は、イメージセンサー9のセンサー列9A,9Bが焦点検出光学系8により逆投影されて予定焦点面近傍で重なった部分となる。
【0004】
次に、デフォーカス量を求める演算処理方法について述べる。
イメージセンサー9のセンサー列9A、9Bはそれぞれ複数の光電変換素子から成り、図5(a)、(b)に示すように複数の光電変換出力a1...an、b1...bnを出力する。そして、それぞれのデータ列を相対的に所定のデータ分Lずつシフトしながら相関演算を行う。具体的には相関量C(L)を次式により算出する。
【数1】
C(L)=Σ|ai−bj|
ここで、Σはi=k〜rの総和演算を表わす。また、Lはデータ列のシフト量に当たる整数であり、j−i=L、L=−lmax,...,−2,−1,0,1,2,...,lmax。
なお、数式1において、初項kと最終項rはシフト量Lに依存して変化させてもよい。
【0005】
こうして得られた相関量C(L)の中で、極小値となる相関量を与えるシフト量に図4に示す光学系およびイメージセンサーの光電変換素子のピッチ幅によって定まる定数を掛けたものがデフォーカス量となる。しかしながら、相関量C(L)は図5(c)に示すように離散的な値であり、検出可能なデフォーカス量の最小単位はイメージセンサー9のセンサー列9A、9Bの光電変換素子のピッチ幅によって制限されてしまう。
そこで、離散的な相関量C(L)に基づいて補間演算を行うことにより新たに極小値Cexを算出し、正確な焦点検出を行う方法が特開昭60−37513号公報に提案されている。これは、図6に示すように、極小値である相関量C(0)とその両側のシフト量での相関量C(1)、C(−1)によって算出する方法で、極小値Cexを与えるシフト量Fmとデフォーカス量DFは次式により求まる。
【数2】
DF=Kf*Fm,
Fm=L+DL/E,
DL={C(−1)−C(1)}/2,
Cex=C(0)−|DL|,
E=MAX[{C(1)−C(0)},{C(−1)−C(0)}]
ここで、MAX{Ca,Cb}はCaとCbの内の大きい方を選択することを意味し、Kfは図6に示す光学系およびイメージセンサー9の光電変換素子のピッチ幅によって定まる定数である。
【0006】
こうして得られたデフォーカス量が真にデフォーカス量を示しているのか、それともノイズなどによる相関量の揺らぎによるものなのかを判定する必要があり、次の条件を満たした時にデフォーカス量は信頼ありとする。
【数3】
E>E1 且つ Cex/E<G1
ここで、E1,G1は所定値である。
数式3において、Eは被写体のコントラストに依存する値であり、値が大きいほどコントラストが高く信頼性が高いことになり、Cex/Eは像の一致度に主に依存し、0に近いほど信頼性が高いことになる。そして、信頼性ありと判定されるとデフォーカス量DFに基づいて撮影レンズ1が駆動される。
【0007】
イメージセンサー9のセンサー列9A、9Bにより光電変換された被写体像信号は、被写体の輝度に応じて出力レベルが異なる。そのため、被写体の輝度に関わらず、被写体像信号が焦点検出演算に適するレベルになるように、被写体像信号を増幅する必要がある。また、電荷蓄積時間を制御することにより、被写体像信号を焦点検出演算に適したレベルにすることも可能である。
上述した位相差検出方式による焦点検出動作を繰り返し行うことにより、撮影レンズのデフォーカス量を繰り返し検出する。そして、検出されたデフォーカス量が信頼性有りと判定されると、検出されたデフォーカス量に基づいて撮影レンズの駆動を行い、撮影レンズの焦点調節状態が合焦または合焦状態と見なせるデフォーカス量となるまで駆動を行う。
また、撮影レンズの焦点調節状態が合焦または合焦状態と見なせるデフォーカス量にあると判定された後も、繰り返し焦点検出動作を行うことによって、撮影レンズの焦点調節状態が合焦状態であると見なせるデフォーカス量を越えたと判定されたときには、ただちに合焦または合焦状態と見なせるデフォーカス量になるまで撮影レンズを駆動することができる。
このように、繰り返し焦点検出動作を行うことにより撮影レンズは常に合焦状態を維持する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イメージセンサー9のセンサー列9A、9Bから出力される被写体像信号には、種々の電気回路からのノイズ成分や、光電変換素子の暗電流によるノイズ成分などが光電変換素子ごとにランダムに重畳している。また、光電変換素子の暗電流は動作温度が高くなるほど増加することが知られている。
そこで、例えば、信号増幅回路により、イメージセンサー9のセンサー列9A、9Bから出力される被写体像信号を焦点検出演算に適するレベルとなるように増幅すると、被写体像信号だけでなく被写体像信号に重畳するノイズ成分も増幅される。
【0009】
この問題を図3により詳細に説明する。
図3に示すグラフは、被写体像信号にノイズ成分が重畳している様子を示す図である。図において、縦軸は信号出力の大きさを示し、vを付した破線は焦点検出演算に適した出力レベルを示す。また、横軸はイメージセンサー9のセンサー列9Aの光電変換素子a1...anの並びを示す。なお以下では、被写体像信号には被写体像の信号成分とノイズ成分とが含まれているものとし、これらをそれぞれ被写体像成分およびノイズ成分と呼ぶ。
図3(a)、(b)−1、(c)−1は被写体像信号の増幅前の信号出力を示し、図3(b)−2、(c)−2は被写体像信号の増幅後の信号出力を示す。図3に示すグラフ中のAn1、Bn1、Bn2、Cn1、Cn2はノイズ成分の大きさを表し、As1、Bs1、Bs2、Cs1、Cs2は被写体像成分の大きさを表す。
図3(a)に示すイメージセンサー9からの出力信号は焦点検出演算に適切なレベルであるから、この被写体像信号を増幅する必要はない(増幅率1倍)。一方、図3(b)−1に示す被写体像信号の出力は、図3(a)の被写体像信号の出力の約半分であるから、焦点検出演算に適する出力レベルにするためには、約2倍の増幅率で増幅する必要がある。2倍の増幅率で増幅した結果を図3(b)−2に示す。図3(b)−1に示す被写体像成分の大きさBs1を2倍に増幅したたので、Bs2はBs1の約2倍の大きさになる。ところが、被写体像信号と同様にノイズ成分も増幅されるので、Bn1も約2倍のBn2の大きさになる。つまり、図3(a)における被写体像成分As1に対するノイズ成分An1の割合よりも、図3(b)−2における被写体像成分Bs2に対するノイズ成分Bn2の割合の方が大きくなる。
【0010】
同様に、図3(c)−1に示す被写体増信号の出力は図3(a)に示す被写体増信号の出力の約1/4であるから、焦点検出演算に適する出力レベルにするためには、約4倍の増幅率で増幅する必要がある。4倍の増幅率で増幅した結果を図3(c)−2に示す。図3(c)−1に示す被写体像成分の大きさCs1を4倍に増幅したので、Cs2はCS1の約4倍の大きさになる。ところが、被写体像成分と同様にノイズ成分も増幅されるから、Cn1も約4倍のCn2の大きさになる。
つまり、図3(b)−2における被写体像信号Bs2に対するノイズ成分Bn2の割合よりも、図3(c)−2における被写体像信号Cs2に対するノイズ成分Cn2の割合の方が大きくなる。
以上のことから、被写体像信号に対する増幅率が高くなるほど、被写体像成分に対するノイズ成分の割合が大きくなることが分かる。
上述したノイズはイメージセンサー9の一対のセンサー列9A、9Bの複数の光電変換素子にランダムに現れるので、上述した相関演算を行うと対の2次像の一致度に大きな影響を与えることになり、焦点検出演算結果は大きくばらついてしまう。
【0011】
また、蓄積時間を長くした場合にもノイズ成分が増える。これを図3を用いて詳細に説明する。ここで、図3(a)、(b)−1、(c)−1は同じ蓄積時間で電荷の蓄積を行ったものとし、図3(b)−2、(c)−2は、図3(b)−1、(c)−1に示す被写体像信号が焦点検出演算に適する出力レベルとなる蓄積時間を設定して、電荷の蓄積を行なったものとする。また、An1、Bn1、Bn2、Cn1、Cn2は暗電流の大きさを表し、他の符号は上述したとおりとする。
図3(a)は、イメージセンサー9の出力が焦点検出演算に適したレベルとなる蓄積時間で電荷蓄積を行なったものとする。図3(b)−1に示す被写体像信号の出力は、図3(a)の場合と同じ蓄積時間で蓄積を行ったにもかかわらず、図3(a)の被写体像信号の出力の約半分である。したがって、図3(b)−1の場合は、焦点検出演算に適した出力レベルにするために、図3(a)に比べ約2倍の蓄積時間で蓄積を行う必要がある。2倍の蓄積時間で蓄積を行った結果を図3(b)−2に示す。図3(b)−2に示す被写体像成分の大きさBs2は、2倍の蓄積時間で蓄積を行ったのでBs1の約2倍のBs2の大きさになる。ところが、暗電流も2倍の蓄積時間で蓄積されるので、Bn1も約2倍のBn2の大きさになる。
つまり、図3(a)における被写体像成分As1に対する暗電流An1の割合よりも、図3(b)−2における被写体像成分Bs2に対する暗電流Bn2の割合の方が大きくなることが分かる。
【0012】
同様に、図3(c)−1に示す被写体像信号の出力は、図3(a)に示す被写体像信号の出力の約1/4であるから、焦点検出演算に適する出力レベルにするためには約4倍の蓄積時間で蓄積を行う必要がある。4倍の蓄積時間で電荷の蓄積を行なった結果を図3(c)−2に示す。図3(c)−2に示す被写体像成分の大きさCs2は、4倍の蓄積時間で蓄積を行ったのでCs1の約4倍のCs2の大きさになる。ところが、暗電流も4倍の蓄積時間で蓄積されるので、Cn1も約4倍のCn2の大きさになる。
つまり、図3(b)−2に示す被写体像信号Bs2に対する暗電流Bn2の割合よりも、図3(c)−2に示す被写体像信号Cs2に対する暗電流Cn2の割合の方が大きくなる。
以上のことから、蓄積時間が長くなるほど、被写体像成分に対する暗電流の割合が大きくなることが分かる。
つまり、蓄積時間を長くした場合にも被写体像信号に占める暗電流のノイズ成分が増えるので、上述した相関演算を行うと対の2次像の一致度に大きく影響を与え、焦点検出演算結果は大きくばらついてしまう。
【0013】
このように、被写体像信号に重畳するノイズ成分によって焦点検出演算結果がばらつき、撮影レンズがいったん合焦した後も合焦近傍で細かく駆動される上に、撮影レンズの焦点調節状態を示すファインダー内の表示も不安定になるので、撮影者に煩わしさを与える。また、撮影レンズが合焦した時だけシャッターレリーズが許可される、いわゆる合焦優先の撮影時には、ノイズ成分の重畳によって焦点検出演算結果がばらつき、撮影レンズが合焦近傍にあってもシャッターレリーズが禁止されることになり、シャッターチャンスを逃すこともある。
【0014】
本発明の目的は、被写体像信号に重畳するノイズ成分の影響を排除して正確な焦点検出を行うようにした焦点検出装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、前記光電変換素子列から出力される被写体像信号を増幅する信号増幅手段と、この信号増幅手段により増幅された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、前記信号増幅手段の増幅率が高くなるほど前記合焦判定手段の合焦許容範囲が広くなるように変更する合焦許容範囲変更手段を備える。
請求項2の発明は、被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、前記光電変換素子列の電荷蓄積時間を制御する蓄積制御手段と、前記光電変換素子列から出力された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間が長くなるほど前記合焦判定手段の合焦許容範囲が広くなるように変更する合焦許容範囲変更手段を備える。
請求項3の発明は、被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、前記光電変換素子列から出力される被写体像信号を増幅する信号増幅手段と、前記光電変換素子列の電荷蓄積時間を制御する蓄積制御手段と、前記信号増幅手段により増幅された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、前記信号増幅手段の増幅率と前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間とに応じて前記合焦判定手段の合焦許容範囲を変更し、増幅率が高くなるほど、電荷蓄積時間が長くなるほど合焦許容範囲を広くする合焦許容範囲変更手段を備える。
請求項4の発明は、被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、前記光電変換素子列から出力された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、前記光電変換素子列の周囲温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段により検出された周囲温度が高くなるほど前記合焦判定手段の合焦許容範囲が広くなるように変更する合焦許容範囲変更手段とを備える。
請求項5の焦点検出装置は前記光電変換素子列の周囲温度を検出する温度検出手段を備え、前記合焦許容範囲変更手段によって、前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間に応じて変更した合焦許容範囲を、前記温度検出手段により検出された周囲温度に基づいて補正するようにしたものである。
請求項6の焦点検出装置は、前記光電変換素子列の周囲温度を検出する温度検出手段を備え、前記合焦許容範囲変更手段によって、前記信号増幅手段の増幅率と前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間とに応じて変更した合焦許容範囲を、前記温度検出手段により検出された周囲温度に基づいて補正するようにしたものである。
【0016】
【作用】
請求項1の焦点検出装置では、被写体像信号の増幅率が高くなるほど撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定する。これにより、被写体像信号の増幅率が高くなって被写体像信号のノイズ成分が増加し、焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されるので、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項2の焦点検出装置では、光電変換素子列の電荷蓄積時間が長くなるほど撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定する。これにより、電荷蓄積時間が長くなって被写体像信号のノイズ成分が増加し、焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されるので、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項3の焦点検出装置では、被写体像信号の増幅率が高くなるほど、光電変換素子列の電荷蓄積時間が長くなるほど、撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定する。これにより、増幅率が高くなり、且つ電荷蓄積時間が長くなって光電変換素子列から出力される被写体像信号のノイズ成分が増加し、焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されるので、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項4の焦点検出装置では、光電変換素子列の周囲温度が高くなるほど撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定する。これにより、周囲温度が高くなって光電変換素子列から出力される被写体像信号の暗電流のノイズ成分が増加し、焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されるので、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項5の焦点検出装置では、電荷蓄積時間に応じて変更した合焦許容範囲を、光電変換素子列の周囲温度に基づいて補正する。これにより、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項6の焦点検出装置では、被写体像信号の増幅率と光電変換素子列の電荷蓄積時間とに応じて変更した合焦許容範囲を、光電変換素子列の周囲温度に基づいて補正する。これにより、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
【0017】
【実施例】
本発明の焦点検出装置を一眼レフレックスカメラに適用した一実施例を説明する。
図1は焦点検出装置を備えた一眼レフレックスカメラの断面図である。なお、図4に示す機器と同様な機器に対しては同一の符号を付して説明を省略する。
図において、10は信号増幅回路、11は焦点検出演算回路、12は蓄積制御回路、13はモータ駆動制御回路、14はモータ、15はメインミラー、16はサブミラー、17はフィルム面、18はファインダースクリーン、19はペンタダハプリズム、20は接眼レンズ、22は温度検出装置である。
撮影レンズ1を通過した被写体からの光束はメインミラー15により上方に偏向され、ファインダースクリーン18、ペンタダハプリズム19、接眼レンズ20からなるファインダー光学系に導かれる。
メインミラー15の後方に配置されたフィルム面17には、感光フィルムが配置される。撮影時にはメインミラー15とサブミラー16が撮影レンズ1とフィルム面17の光路から退避され、撮影レンズ1を通過した被写体からの光束によりフィルム面17に配置された感光フィルムが露光される。
【0018】
また、メインミラー15の一部分は半透過になっており、この半透過部の後方にはサブミラー16が取り付けてある。メインミラー15の半透過部を透過した被写体からの光束は、サブミラー16によりカメラボディの底方向に偏向され、撮影レンズ1のフィルム等価面6の近傍に配置された焦点検出光学系8へ導かれる。さらに、焦点検出光学系8を通過した被写体からの光束は電荷蓄積型イメージセンサー9へ導かれる。
なお、焦点検出光学系8とイメージセンサー9は、撮影画面上に設定された焦点検出領域において焦点検出が可能なように構成されている。
イメージセンサー9は、センサー列9A、9B上に形成された被写体像の2次像を光電変換し、被写体像の光強度分布に対応する電気的な被写体像信号を発生して信号増幅回路10へ送る。
【0019】
信号増幅回路10は、イメージセンサー9から出力される被写体像信号を増幅し、焦点検出演算回路11へ送る。蓄積制御回路12は、この信号増幅回路10の増幅率を制御する。
焦点検出演算回路11は、被写体像信号を上述した焦点検出演算により処理し、撮影レンズ1の結像面とフィルム等価面6との間のデフォーカス量を算出する。また、焦点検出演算回路11は増幅された被写体像信号の情報を蓄積制御回路12へ送る。蓄積制御回路12は次回の電荷蓄積時間と増幅率を決定し、イメージセンサー9のセンサー列A、Bの電荷蓄積動作を制御する。
モータ駆動制御回路13は、焦点検出演算回路11により算出されたデフォーカス量に基づいてモータ14の駆動方向および駆動量を制御する。モータ14は撮影レンズ1と機械的に結合しており、モータ駆動制御回路13により駆動量と駆動速度が制御され、撮影レンズ1を合焦状態にする。
【0020】
以上の実施例の構成において、イメージセンサー9が光電変換素子列を、焦点検出演算回路11が焦点検出演算手段、合焦判定手段および合焦許容範囲変更手段を、蓄積制御回路12が蓄積制御手段を、温度検出装置22が温度検出手段をそれぞれ構成する。なお、これらの各手段は上記実施例に限定されない。
【0021】
図2は焦点検出動作を示すフローチャートである。図2により、実施例の焦点検出動作を説明する。
ステップ(以下、図面では単にSと記述する)100において、不図示のカメラのメインスイッチが投入されるか、あるいは不図示のレリーズボタンが半押しされると、焦点検出動作を開始する。ステップ101で、蓄積制御回路12に設定された蓄積時間でイメージセンサー9の蓄積制御を行い、蓄積制御回路12に設定された増幅率で信号増幅回路10により被写体像信号の増幅を行う。なお、焦点検出動作を開始した直後には蓄積制御を行うための情報がないので、初期設定に従って蓄積制御を行う。
ステップ102で、焦点検出演算回路11により、被写体像信号の増幅率に応じて合焦許容範囲の設定を行う。例えば、基準合焦許容範囲をDo、増幅率の倍率をGn、所定値をαとすると、合焦許容範囲Dは次式により求められる。
【数4】
D=±{Do+α*(Gn−1)}
【0022】
ステップ103で、焦点検出演算回路11により、信号増幅回路10から被写体像信号を読み込んで撮影レンズ1のデフォーカス量を算出する。続くステップ104で、焦点検出演算回路11により算出されたデフォーカス量がステップ102で設定された合焦許容範囲内にあるか否かを判定する。合焦許容範囲内にあればステップ106へ進み、許容範囲外であればステップ105へ進む。合焦許容範囲外の時はステップ105で、焦点検出演算回路11により算出されたデフォーカス量にしたがって、モータ駆動制御回路13によりモータ14を駆動制御し、撮影レンズ1を合焦位置へ駆動する。一方、合焦許容範囲内の時は、ステップ106でシャッターレリーズを許可する。
このように、被写体像信号の増幅率が高い場合に被写体像信号のノイズ成分による焦点検出演算結果のばらつきが発生しても、安定した撮影動作が可能になる。
【0023】
上述した実施例ではいわゆる合焦優先とし、ステップ106でレリーズ許可を与えたが、いわゆるレリーズ優先とする場合は、ステップ106で表示器に合焦表示を行うようにしてもよい。
【0024】
また、上述した実施例では被写体像信号の増幅率に基づいて合焦許容範囲を設定したが、電荷蓄積時間に基づいて合焦許容範囲を設定してもよい。この場合は、基準合焦許容範囲をDo、基準蓄積時間をTo、蓄積時間をTn、所定値をβとすると、合焦許容範囲Dは次式により求められる。
【数5】
D=±{Do+β*(Tn−To)},
ただし、Tn<Toの時、Tn=To
【0025】
さらに、被写体像信号の増幅率と蓄積時間とに基づいて合焦許容範囲を設定するようにしてもよい。この場合は、基準合焦許容範囲をDo、増幅率の倍率をGn、所定値をα、基準蓄積時間をTo、蓄積時間をTn、所定値をβとすると、合焦許容範囲Dは次式により求められる。
【数6】
D=±{Do+α*(Gn−1)+β*(Tn−To)},
ただし、Tn<Toの時、Tn=To
【0026】
さらにまた、暗電流はイメージセンサー9の動作温度が高いほど大きくなるので、温度検出装置22による検出温度に基づいて合焦許容範囲Dを設定するようにしてもよい。この場合は、数式5または数式6の所定値βを、温度が高いほど大きな値になる、温度kに依存する変数β(k)としてそれぞれ数式7または数式8により合焦許容範囲Dを求める。
【数7】
D=±{Do+β(k)*(Tn−To)},
ただし、Tn<Toの時、Tn=To
【数8】
D=±{Do+α*(Gn−1)+β(k)*(Tn−To)},
ただし、Tn<Toの時、Tn=To
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、被写体像信号の増幅率が高くなるほど撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定するようにしたので、被写体像信号の増幅率が高くなって被写体像信号のノイズ成分が増加し、それにより焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されて正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項2の発明によれば、光電変換素子列の電荷蓄積時間が長くなるほど撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定するようにしたので、電荷蓄積時間が長くなって被写体像信号のノイズ成分が増加し、それにより焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されて正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項3の発明によれば、被写体像信号の増幅率が高くなるほど、光電変換素子列の電荷蓄積時間が長くなるほど、撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定するようにしたので、増幅率が高くなり、且つ電荷蓄積時間が長くなって光電変換素子列から出力される被写体像信号のノイズ成分が増加し、それにより焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されて正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項4の発明によれば、光電変換素子列の周囲温度が高くなるほど撮影レンズの合焦許容範囲が広くなるように変更し、焦点検出演算結果の焦点調節状態を変更後の合焦許容範囲と比較して撮影レンズの合焦/非合焦を判定するようにしたので、周囲温度が高くなって光電変換素子列から出力される被写体像信号の暗電流のノイズ成分が増加し、それにより焦点検出演算結果が大きくばらついても、そのばらつきをキャンセルするように合焦許容範囲が広く変更されて正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項5の発明によれば、電荷蓄積時間に応じて変更した合焦許容範囲を、光電変換素子列の周囲温度に基づいて補正するようにしたので、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
請求項6の発明によれば、被写体像信号の増幅率と光電変換素子列の電荷蓄積時間とに応じて変更した合焦許容範囲を、光電変換素子列の周囲温度に基づいて補正するようにしたので、正確な合焦/非合焦の判定がなされ、合焦近傍での撮影レンズの動きと表示器による合焦表示が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】一実施例の焦点検出動作を示すフローチャート。
【図3】被写体像信号の説明図。
【図4】位相差検出方式の焦点検出装置の光学系およびイメージセンサーを示す図。
【図5】相関演算の説明図。
【図6】相関演算の説明図。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
2 視野マスク
3 フィールドレンズ
6 フィルム等価面
7 バンドパスフィルター
8 焦点検出光学系
9 イメージセンサー
15 メインミラー
16 サブミラー
17 フィルム面
18 ファインダースクリーン
19 ペンタダハプリズム
20 接眼レンズ
21,31 絞り開口部の逆投影像
22 温度検出装置
41,42 絞り開口部
51,52 再結像レンズ

Claims (6)

  1. 被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、
    撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、
    前記光電変換素子列から出力される被写体像信号を増幅する信号増幅手段と、この信号増幅手段により増幅された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、
    この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、
    前記信号増幅手段の増幅率が高くなるほど前記合焦判定手段の合焦許容範囲が広くなるように変更する合焦許容範囲変更手段を備えることを特徴とする焦点検出装置。
  2. 被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、
    撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、
    前記光電変換素子列の電荷蓄積時間を制御する蓄積制御手段と、
    前記光電変換素子列から出力された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、
    この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、
    前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間が長くなるほど前記合焦判定手段の合焦許容範囲が広くなるように変更する合焦許容範囲変更手段を備えることを特徴とする焦点検出装置。
  3. 被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、
    撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、
    前記光電変換素子列から出力される被写体像信号を増幅する信号増幅手段と、
    前記光電変換素子列の電荷蓄積時間を制御する蓄積制御手段と、
    前記信号増幅手段により増幅された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、
    この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、
    前記信号増幅手段の増幅率と前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間とに応じて前記合焦判定手段の合焦許容範囲を変更し、増幅率が高くなるほど、電荷蓄積時間が長くなるほど合焦許容範囲を広くする合焦許容範囲変更手段を備えることを特徴とする焦点検出装置。
  4. 被写体像の光強度分布に応じた被写体像信号を出力する光電変換素子列と、
    撮影レンズを通過した被写体からの光束を前記光電変換素子列へ導き、前記被写体像を結像する焦点検出光学系と、
    前記光電変換素子列から出力された被写体像信号に基づいて前記撮影レンズの焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、
    この焦点検出演算手段により演算された焦点調節状態を所定の合焦許容範囲と比較して前記撮影レンズの合焦/非合焦を判定する合焦判定手段とを備えた焦点検出装置であって、
    前記光電変換素子列の周囲温度を検出する温度検出手段と、
    この温度検出手段により検出された周囲温度が高くなるほど前記合焦判定手段の合焦許容範囲が広くなるように変更する合焦許容範囲変更手段とを備えることを特徴とする焦点検出装置。
  5. 請求項2に記載の焦点検出装置において、
    前記光電変換素子列の周囲温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記合焦許容範囲変更手段は、前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間に応じて変更した合焦許容範囲を、前記温度検出手段により検出された周囲温度に基づいて補正することを特徴とする焦点検出装置。
  6. 請求項3に記載の焦点検出装置において、
    前記光電変換素子列の周囲温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記合焦許容範囲変更手段は、前記信号増幅手段の増幅率と前記蓄積制御手段の電荷蓄積時間とに応じて変更した合焦許容範囲を、前記温度検出手段により検出された周囲温度に基づいて補正することを特徴とする焦点検出装置。
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