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JP2947813B2 - イオン流生成装置 - Google Patents

イオン流生成装置

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Publication number
JP2947813B2
JP2947813B2 JP1103177A JP10317789A JP2947813B2 JP 2947813 B2 JP2947813 B2 JP 2947813B2 JP 1103177 A JP1103177 A JP 1103177A JP 10317789 A JP10317789 A JP 10317789A JP 2947813 B2 JP2947813 B2 JP 2947813B2
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Mitsubishi Electric Corp
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    • H01J49/02Details
    • H01J49/10Ion sources; Ion guns
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/02Details
    • H01J37/04Arrangements of electrodes and associated parts for generating or controlling the discharge, e.g. electron-optical arrangement or ion-optical arrangement
    • H01J37/08Ion sources; Ion guns
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J27/00Ion beam tubes
    • H01J27/02Ion sources; Ion guns
    • H01J27/24Ion sources; Ion guns using photo-ionisation, e.g. using laser beam

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  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、薄膜形成,イオン注入,エッチング,ス
パッタリング等を行なう際に使用されるイオン流生成装
置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、この種の装置として第13図に示すものがあっ
た。第13図は例えば特開昭50−22999号公報に示された
従来のレーザ光を利用したイオン源(イオン流生成装
置)を示す図であり、図において、1はイオン化する物
質を原子又は分子流の形で発生するための粒子流発生
器、2は上記粒子流発生器1の噴出孔、3は上記噴出孔
2からビーム状に引き出された原子ビーム、4a,4b,4cは
3台の色素レーザ装置、5は上記色素レーザ装置4から
のレーザ光を上記原子ビーム3進路上のP点で集光する
ためのレンズ、6はレーザ光照射により原子ビーム3の
一部がイオン化したイオンを含む原子ビーム、7は上記
イオンを含む原子ビームからイオンのみを選択するため
の電極である。
従来のレーザ光を利用したイオン源は以上のように構
成されており、以下、Na(ナトリウム)を粒子流発生器
1に入れ、Naの原子ビーム3を発生させて、レーザ光に
よりイオン化を行なう場合を例にとってその動作を説明
する。
まず、粒子流発生器1の噴出孔2からNaの原子ビーム
3がある速度を持ってP点を通過している時に色素レー
ザ装置4a,4b,4cからのレーザ孔をレンズ5a,5b,5cを用い
てP点に同時に集光する。
Na原子のエネルギー図は第14図のようになるので、第
1の色素レーザ装置4aの波長λaを589nmにし、第2の
色素レーザ装置4bの波長λbを568.8nmにするとP点のN
a原子はレーザ光により光学的に励起され、3s2S1/2の基
底状態から3p2P3/2の状態を経て4d状態へ励起される。N
a原子の4d状態はNa原子の電離限界から約7000cm-1のと
ころであるので、第3の色素レーザ装置4cの波長λcを
1.4μmより短くすると、Na原子は光により直接的にイ
オン化が起こり、P点を通過した原子ビームにはイオン
が一部含まれることになる。このイオンを含む原子ビー
ム6に電極7により電場を印加してイオンのみを偏向し
て所定の領域へイオンビームとして入射する。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のような従来のレーザ光を利用したイオン源で
は、P点でレーザ光に照射されたNa原子を効率良くイオ
ン化するのに必要なレーザ光出力密度は、レーザ光の波
長幅と各遷移の吸収波長幅が等しいとすると、Naの3s2S
1/2−3p2P3/2遷移(遷移波長589nm)のアインシュタイ
ンのA係数が約6.3×107(1/s)であるので、第1の色
素レーザ光は約10W/cm2以上の出力密度が必要であり、
またNaの3p2P−4d遷移(遷移波長568.8nm)のアインシ
ュタインのA係数が約1.3×107(1/s)であるので第2
の色素レーザ光は約40W/cm2以上の出力密度が必要であ
り、更にNaの4d状態を直接光イオン化する場合の光の吸
収断面積は10-18cm2以下であるので、第3の色素レーザ
光は107W/cm2以上の出力密度が必要になる。
このように従来のレーザ光を利用したイオン源では、
直接光イオン化の光の吸収断面積が10-18cm2以下である
ので、レーザ光出力密度としては107W/cm2以上の大出力
の色素レーザ光が必要になる。しかし一般に入手可能な
高出力の大型色素レーザの出力は、パルスレーザの場合
106W程度であり、連続発振レーザの場合1W程度であるの
で、パルスレーザの場合10-1cm2以下、連続発振レーザ
の場合10-7cm2以下の微小領域に集光してレーザ光出力
密度を上げる必要がある。
従って、イオン化できる領域が小さくてイオン量が大
きくとれないという問題点があった。
又、原子ビーム3の原子密度を大きくしてイオン量を
増加しようとしても、イオン密度が1010個/cm3以上にな
ると、イオン自身による空間電場が3kV/cm以上になるた
め、P点以後のイオンを含む原子ビーム6の領域でイオ
ンが広がってしまい、有効に電極7に到達して所定の領
域に入射できるイオン量は増加せず、原子ビーム3の原
子密度を大きくしても得られるイオン量は大きくとれな
いという問題点もあった。
更に、Na等のアルカリ金属、Ca(カルシウム)等のア
ルカリ土類金属以外の原子や分子をイオン化する際に
は、第1の色素レーザ装置4aの波長λaを400nm程度以
下の紫外域から100nm程度の真空紫外域の波長にする必
要が生じ、一般に入手可能な色素レーザの発振波長の下
限は200nmであるので、イオン化できる物質が限られて
しまうという問題点があった。
この発明は、上記のような従来のものの問題点を解消
するためになされたもので、入手容易な低出力の色素レ
ーザ装置を用いて、広い領域にわたって高効率で原子又
は分子をイオン化でき、特定の物質の大口径・大電流の
イオン流を発生できるレーザ光を利用したイオン流生成
装置を得ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本願の請求項1の発明に係るイオン流生成装置は、イ
オン流生成装置において、1種類もしくは2種類以上の
原子,分子,もしくは励起状態の粒子を含む単一の粒子
流あるいは原子,分子,もしくは励起状態の粒子からな
り相互に交差する領域を有する複数の粒子流を発生する
粒子流発生手段と、上記粒子流上の少なくとも一部の領
域に、上記粒子流中の特定の原子,分子,もしくは励起
状態の粒子を基底あるいは励起状態から価電子の主量子
数が大きい高励起状態であるリドベルグ状態へ励起する
1種類もしくは複数の励起波長を有するレーザ光を照射
するレーザ光発生器と、上記粒子流の交差領域の近傍も
しくは上記レーザ光の照射領域の近傍に電場を印加し、
リドベルグ状態に励起された上記原子,分子,もしくは
励起状態の粒子の衝突によって生じる特定のイオンを引
出す電場印加手段とを備えるようにしたものである。
また、本願の請求項2の発明に係るイオン流生成装置
は、イオン流生成装置において、1種類もしくは2種類
以上の原子,分子,もしくは励起状態の粒子を含む単一
の粒子流あるいは原子,分子,もしくは励起状態の粒子
からなり相互に交差する領域を有する複数の粒子流を発
生する粒子流発生手段と、上記粒子流上の少なくとも一
部の領域に、上記粒子流中の特定の原子,分子,もしく
は励起状態の粒子を基底あるいは励起状態から価電子の
主量子数が大きい高励起状態であるリドベルグ状態へ励
起する1種類もしくは複数の励起波長を有するレーザ光
を照射するレーザ光発生器と、上記粒子流上の少なくと
も一部の領域に電子,イオン,もしくはプラズマの荷電
粒子を照射する荷電粒子流発生器と、上記粒子流の交差
領域の近傍もしくは上記レーザ光の照射領域の近傍に電
場を印加し、リドベルグ状態に励起された上記原子,分
子,もしくは励起状態の粒子の衝突によって生じる特定
のイオンを引出す電場印加手段とを備えるようにしたも
のである。
〔作用〕
本願の請求項1の発明においては、上述のように構成
したことにより、粒子流内のレーザ光の励起波長に対応
した特定の原子もしくは分子が基底状態もしくは励起状
態からリドベルグ状態へ選択的に効率良く励起され、リ
ドベルグ状態の原子もしくは分子を含むリドベルグ粒子
流として粒子流中の原子もしくは分子と衝突する。リド
ベルグ状態の原子や分子は放射寿命が数10μs以上と長
く、価電子の結合エネルギーが数10meV以下と小さく、
他の原子や分子、特に多原子分子と容易に電子交換して
イオン化する特徴があるので、リドベルグ状態の原子も
しくは分子の正イオンと、原子もしくは分子の負イオン
が効率良く、広い領域にわたって生成される。
従って、粒子流の交差領域またはレーザ光の照射領域
に電場を印加することにより、大電流の正イオンビーム
又は負イオンビームが発生できる。又、粒子流をイオン
化したい原子もしくは分子のみの粒子流あるいはリドベ
ルグ状態にする原子もしくは分子とイオン化したい原子
もしくは分子のみの粒子流とすることにより、多様な種
類のイオンビームを容易に発生できる。
また、本願の請求項2の発明においては、上述のよう
に構成したことにより、粒子流内のレーザ光の励起波長
に対応した特定の原子もしくは分子が基底状態もしくは
励起状態からリドベルグ状態へ選択的に効率良く励起さ
れるとともに、荷電粒子流によってもリドベルグ状態へ
の励起が行われ、リドベルグ状態の原子もしくは分子を
含むリドベルグ粒子流として粒子流中の原子もしくは分
子と衝突する。リドベルグ状態の原子や分子は放射寿命
が数10μs以上と長く、価電子の結合エネルギーが数10
meV以下と小さく、他の原子や分子、特に多原子分子と
容易に電子交換してイオン化する特徴があるので、リド
ベルグ状態の原子もしくは分子の正イオンと、原子もし
くは分子の負イオンが効率良く、広い領域にわたって生
成される。
従って、粒子流の交差領域またはレーザ光の照射領域
に電場を印加することにより、大電流の正イオンビーム
又は負イオンビームが発生できる。又、粒子流をイオン
化したい原子もしくは分子のみの粒子流あるいはリドベ
ルグ状態にする原子もしくは分子とイオン化したい原子
もしくは分子のみの粒子流とすることにより、多様な種
類のイオンビームを容易に生成できる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図について説明する。
第1図はこの発明の第1の実施例によるイオン流生成
装置を示し、図において、8は原子流又は分子流の形で
物質の粒子流を発生するための第1の粒子流発生器、9
は上記第1の粒子流発生器8の噴出孔、10は上記噴出孔
9からビーム状に引き出された粒子流であって、この実
施例ではSF6の分子流が引き出されている。11はリドベ
ルグ状態へ励起したい原子又は分子を粒子流として発生
するための第2の粒子流発生器、12は上記第2の粒子流
発生器11の噴出孔、13は上記第2の粒子流発生器の噴出
孔12からビーム状に引き出された粒子流であって、この
実施例ではGaの原子流が引き出されている。
なお上記第1,第2の粒子流発生器8,11に代えて、リド
ベルグ状態へ励起したい原子または分子および他の原子
または分子、即ちこの実施例ではGaおよびSF6を含む分
子流を発生する、第30図の粒子流発生器11aを用いるこ
ともできる。
14は上記第1の粒子流発生器8からの第1の粒子流10
と第2の粒子流発生器11からの第2の粒子流13との交差
領域、15は単一又は複数の波長を有するレーザ光を照射
するレーザ光発生器、16は上記レーザ光発生器からのレ
ーザ光を第1,第2の粒子流の交差領域14内の第2の粒子
流13、もしくは第1,第2の粒子流の交差領域14より上流
の第2の粒子流13に照射するための光路調整器であっ
て、この実施例では凹面鏡が使われている。
17は上記第2の粒子流13上でレーザ光に照射されて基
底状態からリドベルグ状態へ励起された原子であって、
この実施例ではGa原子である。また、18は上記第1,第2
の粒子流の交差領域14でイオン代した原子であって、こ
の実施例ではGa+である。19は上記第1,第2の粒子流の
交差領域の交差領域14でイオン化した分子であって、こ
の実施例ではSF6 -イオンである。20a,20bは上記第1,第
2の粒子流の交差領域14を間に含むように配置された一
組の電極であって、この実施例では平行平板型の電極が
配置されている。
21は上記電極20b上の引き出し孔、22は上記電極20aに
接続された電源であって、この実施例では負電圧を発生
する電源が使用されている。23は上記電源22から電極20
a,20bに印加された電圧によって電極間に生じた電場、2
4は上記電場23により第1,第2の粒子流の交差領域14で
イオン化したSF6 -イオン17を加速して電極20b上の引き
出し孔21から引き出されたイオン流であり、この実施例
ではSF6 -イオン流が引き出されている。
第2図は上記実施例において使用されているレーザ光
発生器15の一構成例を示す図であり、2種類の異なる波
長を有するレーザ光を同一光軸上で発生する場合を示
す。
25aは波長λを中心波長にして発振する色素レー
ザ、25bは波長λを中心波長にして発振する色素レー
ザ、26は上記色素レーザ25aからのレーザ光の光路を調
整するための光学素子であって、この実施例では平面鏡
が使用されている。27は上記色素レーザ25aの発振波長
λの光は透過し、色素レーザ25bの発振波長λの光
は反射する光学素子であって、この実施例では誘電体反
射ミラーが使用されている。28は波長λ1を有する
レーザ光である。
第3図は上記第1の実施例において使用されている第
1の粒子流発生器8の一構成例を示す図であり、室温で
気体状態である物質の原子もしくは分子の粒子流を発生
する場合を示す。29は材料物質を封入した容器であっ
て、この例ではガスボンベが使用されている。30は上記
容器29内に封入された物質の圧力を調整するための減圧
弁である。31は上記減圧弁30を通過した物質の流量を調
整するための流量調整器である。32は上記流量調整器の
出力側に取付けられた導入管の一端にある開孔である。
33は上記開孔を通して噴出される粒子流であって、この
例ではSF6分子流を発生した場合を示している。
第4図は上記実施例において使用されている第2の粒
子流発生器の一構成例を示す図であり、室温で固体状態
である物質の原子もしくは分子の粒子流を発生する場合
を示す。図中、34はルツボ、35は上記ルツボ34の周囲に
巻かれたヒータ、36は上記ヒータ35の熱が外側へ逃げだ
されないようにするための熱遮蔽板、37は上記ルツボに
入れられた粒子流発生用の材料物質であって、この例で
はGaを用いている。38は上記ルツボ下部に接するように
配置された温度計、37は上記ルツボにある開孔、40は上
記開孔39から噴出された粒子流であって、この例ではGa
原子流が噴出されている。
上記のように構成された本発明の第1の実施例のイオ
ン流生成装置において、例えばSF6 -の負イオン流を発生
する場合は第1の粒子流発生器8内の容器29としてSF6
を封入したガスボンベを用い、減圧弁30,流量調整器31
を調整して所定の圧力,流量のSF6を開孔32を通してSF6
分子流として噴出される。このSF6分子流は噴出孔9を
通って周囲に広がりながら交差領域14へ流入していく。
又、第2の粒子流発生器11内のルツボ34にGaを入れ、ル
ツボ周囲のヒータ35に外部から電流を流してルツボの温
度を上昇させ、温度計38の指示を利用してルツボを一定
温度にする。ルツボ内のGa37はルツボを高温にするにつ
れて気化し、Ga原子流として開孔34から噴出され、噴出
孔12を通して周りに広がりながら交差領域14へ流入され
る。
又、レーザ光発生器15内の平面鏡26と誘電体反射ミラ
ー27とにより波長403.3nm(=λ)と波長426.2nm(=
λ)のパルス色素レーザ光を同一光軸上のレーザ光と
して光路調整器16により交差領域14もしくは交差領域14
により上流の第2の粒子流13に照射する。
第5図はGa原子のエネルギー図であって、Ga原子のリ
ドベルグ状態の一つの例が示されている。レーザ光に照
射された第2の粒子流13中のGa原子は4p2P1/2の基底状
態から403.3nmのレーザ光λにより5s2S1/2の状態に励
起され、426.2nmのレーザ光λにより30pの価電子の主
量子数が30であるリドベルグ状態(Rydberg States)に
励起される。
Gaの42P1/2−5s2S1/2遷移(遷移波長403.3nm)のアイ
ンシュタインのA係数が約108(1/s)であるので、波長
403.3nmのレーザ光λの出力密度が約10W/cm2以上であ
ればGa原子の基底状態から5s2S1/2状態への励起は飽和
される。又、Ga原子の5s2S1/2状態からnp状態のリドベ
ルグ状態への励起光の吸収断面積はリドベルグ状態の主
量子数nの値に応じて変化し、ほぼnの3乗に逆比例す
る。n=30の5s2S1/2−30p遷移(遷移波長426.2nm)の
時は吸収断面積が約10-16cm2であるので、波長426.2nm
のレーザ光λの出力密度が約105W/cm2以上あれば、Ga
原子の5s2S1/2状態から30p状態への励起は飽和される。
以上より、レーザ光発生器15からの2波長のパルス色
素レーザ光の出力密度が105W/cm2以上あればGa原子は基
底状態から30pのリドベルグ状態へ飽和され、効率良
く、リドベルグ状態のGa原子が生成される。
一般に価電子の主量子数nが大きいリドベルグ状態
(Rydberg States)の原子,分子の性質はアール・エフ
・ステビングス(R.F.Stebbings)他等の文献「原子お
よび分子のリドベルグ状態」(Rydberg States of Atom
s and Molecules)(ケンブリッジ大学出版,ロンドン
(Cambridge University Press,London)1983)によれ
ば原子・分子によらず主量子数でほぼ表現でき、nの値
が同じリドベルグ状態の原子は同じような性質を有して
いる。従って、第2の粒子流発生器からの粒子流中の特
定の原子・分子をn=30のリドベルグ状態へ励起するの
に必要なレーザ出力密度は105W/cm程度となる。
又、上に述べたこと以外のリドベルグ状態の原子・分
子の特徴として、長寿命性と価電子の結合エネルギーが
小さいことがある。リドベルグ状態の寿命はほぼnの3
乗に比例して長くなり、n=30の場合、約40μs程度と
なる。価電子の結合エネルギーはほぼnの2乗に逆比例
して小さくなり、n=30の場合は約20meV程度となる。
従って、レーザ光により一度リドベルグ状態に励起さ
れた原子もしくは分子はその状態を維持しながら、流れ
に沿って下流に流れていく。故に交差領域より上流でリ
ドベルグ状態に励起された原子・分子も交差領域内にリ
ドベルグ状態の原子・分子として流入する。
又、リドベルグ状態の原子・分子は価電子の結合エネ
ルギーが小さいので、他の原子や分子との衝突により容
易に価電子が離脱して衝突した原子や分子に付着する電
子交換を行いやすい。特に多原子分子と衝突する時は、
価電子の結合エネルギーが多原子分子の回転や振動の励
起エネルギーとほぼ等しくなるので、この電子交換が共
鳴的に起こり、非常に大きな衝突断面積となる。
第6図に主量子数がnのリドベルグ状態のXe(キセノ
ン)Xe**をSF6,CCl4,CCl3Fの多原子分子と衝突した場
合の電子交換断面積を示す。この時の反応式を以下に示
す。
Xe**+SF6→Xe++SF6 - Xe**+CCl4→Xe++CCl3+Cl- Xe**+CCl3F→Xe++CCl2F+Cl- CCl4,Ca3Fとリドベルグ状態のXeが衝突する時は過渡
的にCCl4 -,CCl3F-が生成するが、すぐに分解してCCl3
Cl-,CCl2F1とCl-とClの負イオンを生成する。第6図に
示されるように、リドベルグ状態の原子もしくは分子の
電子交換断面積は10-11cm2程度であり、この値は通常の
衝突電離断面積が10-14から10-19cm2の範囲であること
と比べると、非常に大きいことがわかる。例えば10-5To
rr程度の密度のSF6中をリドベルグ状態の原子が通過す
る時の電子交換の平均自由行程は数mm程度となり、容易
にリドベルグ状態の原子の正イオンとSF6 -の負イオンが
生成されることがわかる。従って、レーザ光に照射され
た第2の粒子液中のGa原子は効率良くリドベルグ状態に
励起され、リドベルグ状態のGa原子流として周りに広が
りながら交差領域に流入もしくは交差領域内を移動して
第1の粒子流中のSF6分子と衝突する。そしてこの衝突
により、 Ga**+SF6→Ga++SF6 - と示される電子交換を行い、交差領域内にGa+とSF6 -
オンが効率良く生成される。
交差領域14には電源22より印加された負電圧により電
場23が生じているので、Ga+とSF6 -は互いに反対方向に
加速される。又、リドベルグ状態の原子との衝突により
SF6 -イオンを発生する時には、電子が生成しないので電
源22から交差領域に印加された電場はイオンの加速のみ
に利用され、有効にイオンの加速ができる。このように
して交差領域で生成したSF6 -は加速され、負イオン流と
して電極20bの引き出し孔21から引き出される。
以上述べた動作により本実施例では従来例より小さい
レーザ出力密度を用いて広い範囲にわたって特定の原子
・分子をイオン化でき、従来例に比べて大電流のイオン
流が得られる。
なお、上記実施例で第1の粒子流発生器8からの第1
の粒子流9をCCl4又はCCl3Fとすることにより、レーザ
光発生器15からのレーザ波長を変化することなく、Cl-
イオン流を発生できる。同様に、第1の粒子流をSiH4
すればSiH4 -イオン流が生成できる。従って、第1の粒
子流をイオン化したい原子もしくは分子の粒子流とする
ことにより、特定の波長のレーザ光を用いて色々な原子
・分子のイオンが効率良く生成でき、容易に高純度のイ
オン流が発生できる。
第7図および第32図はGa+イオン流を発生するために
正電圧を発生する電源22が電極20aに接続された本発明
の第2の実施例を示す。
本実施例ではリドベルグ状態のGa原子とSF6分子が交
差領域内で衝突して効率良くGa+とSF6 -イオンが生成さ
れ、電源22より印加され正電圧によりGa+イオンが電極2
0bから引き出される。
なお、上記実施例ではGaのイオン流を発生する場合を
示したが、リドベルグ状態は原子・分子によらず、励起
状態の主量子数nがその性質が示されるので、どのよう
な原子・分子も同様にイオン流とし発生できる。In(イ
ンジウム)のイオン流を発生する場合は第2の粒子流発
生器11内のルツボ34にInを入れ、Inの粒子流13を噴出さ
せ、レーザ光発生器15内の色素レーザ25aの波長λをI
nの基底状態から6sの励起状態への遷移波長410.3nmに
し、色素レーザ25bの波長λを454nmより短い6s−np遷
移の遷移波長にすれば同様にイオンビームが発生でき
る。
又、上記実施例では原子又は分子のイオン流を発生す
る場合について述べたが、リドベルグ状態へ励起するレ
ーザ光の少なくとも1つのレーザ光の波長幅を狭くして
U(ウラニウム)からその同位体の235U(ウラニウム23
5)を選択的にイオン化するようにして、特定の同位体
を多く含んだイオン流の発生器としても利用できること
はいうまでもない。
なお、上記第1図の実施例ではレーザ光発生器15から
のレーザ光をパルス光としてGaを基底状態から中間状態
を経てリドベルグ状態へ励起させる例を示したが、連続
発振のレーザ光を用いて原子・分子をリドベルグ状態へ
励起する場合はリドベルグ状態の寿命が長く数10μs程
度もあるので、パルスレーザ光の場合と比べて十分弱い
レーザ出力密度でも徐々にリドベルグ状態への励起と蓄
積が起こる。一例としてGa原子を5s2S1/2状態から30p状
態へ励起する場合は数10W/cm2程度あれば遷移の飽和は
起こる。
従って、連続発振のレーザ光を用いてリドベルグ状態
へ励起するのに必要なレーザ光力は数10W/cm2程度であ
り、パルスレーザ光を用いる場合に比べて低出力のレー
ザを用いて効率良くイオン流が生成できる。
又、上記実施例では二波長のレーザ光28を用いている
が、より短波長のレーザ光を用いて一つのレーザ光を用
いて基底状態からリドベルグ状態へ直接励起させてもよ
く、あるいは多数の異なるレーザ光を用いて基底状態か
ら複数の中間状態を経由してリドベルグ状態まで励起さ
せてもよい。
第8図および第33図は電極20aと電極20bに 23に平行に を印加して、交差領域14中のイオン又は引き出し孔へ加
速されたイオンの広がりを抑えるようにした本発明の第
3の実施例である。
この実施例の の印加方法としては電極20A,20bを取り囲むようにコイ
ルを配置してそのコイルへの通電量を調整したり、ある
いは永久磁石を別途配置する等の方法が考えられる。
なお、電極20aと電極20b間に印加される と平行に設定するのが最も望ましいが、必ずしも と平行にする必要はない。
第9図および第34図は2種類の異なる波長を有するレ
ーザ光を同一光軸上で発生するレーザ光発生器に代え
て、2種類のレーザ光を粒子流の交差領域14に同時に照
射する、本発明の第4の実施例を示すものである。色素
レーザ25からの波長λのレーザ光を光路調整器42aを
用いて交差領域14に照射し、同様に色素レーザ25bから
の波長λのレーザ光を光路調整器42bを用いて交差領
域14に照射するようにしている。
第10図および第35図はレーザ光発生器15からのレーザ
光を第2の粒子流発生器11からの粒子流13の流れの軸上
に流れの反対方向から照射する、本発明の第5の実施例
を示す。
この実施例においては粒子流のレーザ光に照射された
領域全域にわたって特定の原子又は分子がリドベルグ状
態へ効率よく励起される。又、リドベルグ状態の寿命が
数10μs以上あるので、一度レーザ光によりリドベルグ
状態へ励起された原子又は分子は数10μs以上存在し、
数10μs以上の間、リドベルグ状態の粒子流として流れ
る。
従って粒子流の交差領域14にてレーザ光入射がなくと
も数10μsの間衝突により正イオンと負イオンの生成を
行い、第1図の実施例に比べてより効率良くイオン生成
ができる。
第11図および第36図は電極20aとして孔を有している
電極に代え、その孔を通して第1の粒子流発生器から粒
子流10をほぼ電場23に平行に流入するようにした、本発
明の第6の実施例である。
この実施例においては交差領域14がイオン流引き出し
の軸にほぼ対象にできるので、均一なイオン流の引き出
しが期待される。
第12図は上記各実施例において使用されている粒子流
発生器の一例としての超音速ノズルビーム発生器の一構
成例である。図中、43はガスボンベやルツボなどにより
供給された材料物質であってこの例ではSF6が使用され
ている。材料物質43はノズル44を通して自由噴流45とし
て真空室46内へ噴出される。真空室46は真空排気系47に
よりある一定の圧力に保たれている。真空室46内の自由
噴流の一部の領域をスキマー48により取り出し、超音速
ノズルビーム49とする。超音速ノズルビームは粒子流の
速度が揃った一様な粒子流であるので、均一なレーザ光
励起やイオン化が起こると期待される。
また、第15図は本発明の第7の実施例によるイオン流
生成装置を示し、この実施例は第1図の粒子流発生器11
に代えて放電室110を設けることにより、レーザ発振器
として入手容易な可視領域のもののみで、多種・多様な
イオン流を発生できるようにしたものである。
図において、110はリドベルグ状態へ励起したい原子
又は分子の励起状態の粒子流として発生するための放電
室、12は上記放電室110の噴出孔、130は上記放電室の噴
出孔12からビーム状に引き出された励起状態の第2の粒
子流であって、この実施例ではGaの励起状態の原子流が
引き出されている。
なお、この第15図の粒子流発生器8および放電室110
に代えて、第37図に示すようにリドベルグ状態に励起し
たい原子又は分子であるGaとイオン化しない他の原子ま
たは分子であるSF6の励起状態を一部含んだ粒子流を発
生する放電室110aを用いてもよい。
14は粒子流発生器8からの第1の粒子流10と放電室11
0からの励起状態の第2の粒子流130との交差領域、15は
1種又は複数の波長を有するレーザ光を照射するレーザ
光発生器、16は上記レーザ光発生器からのレーザ光を第
1,第2の粒子流の交差領域14内の励起状態の第2の粒子
流130,もしくは第1,第2の粒子流の交差領域14より上流
の励起状態の第2の粒子流130に照射するための光路調
整器であって、この実施例では凹面鏡が使われている。
また、17は上記励起状態の第2の粒子流130上でレー
ザ光に照射されて励起状態からリドベルグ状態へ励起さ
れた原子であって、この例ではGa原子である。18は上記
第1,第2の粒子流の交差領域の交差領域14でイオン化し
た原子であって、この例ではGa+イオンである。19は上
記第1,第2の粒子流の交差領域14でイオン化した分子で
あって、この例ではSF6 -イオンである。20a,20bは上記
第1,第2の粒子流の交差領域14を間に含むように配置さ
れた一組の電極であって、この実施例では平行平板型の
電極が配置されている。
21は上記電極20b上の引き出し孔、22は上記電極20aに
接続された電源であって、この実施例では負電圧を発生
する電源が使用されている。23は上記電源22から電極20
a,20bに印加された電圧によって電極間に生じた電場、2
4は上記電場23により第1,第2の粒子流の交差領域14で
イオン化したSF6 -イオン17を加速して電極20b上の引き
出し孔21から引き出されたイオン流であり、この実施例
ではSF6 -イオン流が引き出されている。
なお、上記実施例において使用されている粒子流発生
器の構成は第2図に示すものと同様である。
第16図は上記第7の実施例において使用されている放
電室の一構成例を示す図であり、室温で固体状態である
物質の原子もしくは分子の粒子流を発生する場合を示
す。図中、34はルツボ、35は上記ルツボ34の周囲に巻か
れたヒータ、36は上記ヒータ35の熱が外側へ逃げださな
いようにするための熱遮蔽板、37は上記ルツボに入れら
れた粒子流発生用の材料物質であって、この例ではGaを
用いている。38は上記ルツボ34の下部に接するように配
置された温度計、39は上記ルツボにある開孔、40は上記
開孔39から噴出された粒子流であって、この例ではGa原
子流が噴出されている。
50は上記粒子流40が流入される容器、51は容器50に流
入される室温で気体状態である材料物質であって、この
例ではイオン化効率を上げるために準安定状態を有する
原子であるHe(ヘリウム)を用いている。なおこの目的
のためなら準安定状態を有する他の原子、例えばXe(キ
セノン)を導入してもよい。52はマイクロ波発生器であ
って、この例では2.45GHzの中心周波数で発振するマイ
クロ波発生器を用いている。53はマイクロ波発生器52か
らのマイクロ波を容器50へ導入するための導波管、54a,
54b,54cは容器の周囲に配置されたコイル、55はコイル
により発生された磁場を示す。56は容器内でマイクロ波
により生成されたプラズマ中の励起状態の粒子を示し、
この例では励起状態のGa(Ga),励起状態のHe(H
e)を示す。57は容器にある開孔、58は上記開孔57か
ら噴出された励起状態の粒子流であって、この例ではG
a,Heの励起状態の原子流が噴出されている。
また第38図は第37図で用いられた放電室の一構成例を
示し、図において、第16図と同一符号は同一のものを示
す。この第38図の放電室では第16図では放電室に導入さ
れる材料物質51がHeであるのに対しSF6を導入するよう
にしており、開孔57からは励起状態のGa粒子流58aとSF6
粒子流58bとが噴出する。
上記のように構成された本発明の第7の実施例のイオ
ン流生成装置において、例えばSF6 -の負イオン流を発生
する場合は第1の粒子流発生器8内の容器29としてSF6
を封入したガスボンベを用い、減圧弁30,流量調整器31
を調整して所定の圧力,流量のSF6を開孔32を通してSF6
分子流として噴出させる。このSF6分子流は噴出孔9を
通って周囲に広がりながら交差領域14へ流入していく。
又、放電室110内のルツボ34にGaを入れ、ルツボ周囲の
ヒータ35に外部から電流を流してルツボの温度を上昇さ
せ、温度計38の指示を利用してルツボを一定温度にす
る。ルツボ内のGa37はルツボを高温にするにつれて気化
し、Ga原子流として開孔39から容器50内に流入する。容
器50内には放電を安定させるためのHe51が流入され、あ
る一定圧力に維持されている。
マイクロ波発生器52からのマイクロ波を導波管53を導
じて容器内のGaとHe原子に印加し、Ga原子,He原子を電
離する。このマイクロ波放電の効率は容器50の周囲にコ
イル54a,54b,54cを配置して磁場55を合わせて印加する
と向上し、特に磁場強度を875Gaussにすると、マイクロ
波の発振周波数2.45GHzとのECR(Electron Cycrotron R
esonance)条件を満足するので、より効率良く放電が起
こり、Ga原子,He原子は励起状態に励起されたりイオン
化したりする。このようにして容器内に発生された励起
状態の粒子は開孔57から噴出され、噴出孔12を通して周
りに広がりながら交差領域14へ流入される。
又、レーザ孔発生器15として波長426.2nmのパルス色
素レーザ装置を用いて波長426.2nmのパルスレーザ光を
光路調整器16により交差領域14もしくは交差領域より上
流の励起状態の粒子流130に照射する。
なお、第38図の放電室では上述のようにHeを流入せ
ず、SF6を容器50内に流入してECR条件を満足するように
磁場強度を調節すると、効率良く放電が起こり、数%程
度のGa原子,SF6分子は励起状態に励起されたりイオン化
したりする。
このようにして容器内に発生した励起状態と基底状態
の粒子58a,58bは開孔57から噴出され、噴出孔12を通し
て周りに広がりながら流れてゆく。
第17図はGa原子のエネルギー図であって、Ga原子のリ
ドベルグ状態の一つの例が示されている。放電室11から
噴出された励起状態の粒子流130中のGa原子の一部は5s2
S1/2の状態に励起されているので、426.2nmのレーザ孔
により30pの価電子の主量子数が30であるリドベルグ状
態(Rydberg States)に励起される。この場合には、励
起状態からリドベルグ状態へレーザ光で励起されるの
で、レーザ発振器として入手容易な可視光領域のものの
みでリドベルグ状態へ励起できる。
Ga原子の5s2S1/2状態からnp状態のリドベルグ状態へ
の励起光の吸収断面積はリドベルグ状態の主量子数nの
値に応じて変化し、ほぼnの3乗に逆比例する。n=30
の5s2S1/2−30p遷移(遷移波長426.2nm)の時は吸収断
面積が約10-16cm2であるので、波長426.2nmのレーザ光
λの出力密度が約105W/cm2以上あれば、Ga原子の5s2S
1/2状態から30p状態への励起は飽和される。
以上より、レーザ光発生器15からのレーザ光の出力密
度が105W/cm2以上あれば、Ga原子は励起状態から30pの
リドベルグ状態へ飽和され、リドベルグ状態のGa原子が
効率良く生成される。
主量子数がnのリドベルグ状態のXe(キセノン)Xe
をSF6,CCl4,CCl3Fの多原子分子と衝突した場合の反応式
を以下に示す。
Xe+SF6→Xe++SF6 - Xe+CCl4→Xe++CCl3+Cl- Xe+CCl3F→Xe++CCl2F+Cl- CCl4,Cl3Fとリドベルグ状態のXeが衝突する時は過渡
的にCCl4 -,CCl3F-が生成するが、すぐに分解してCCl3
Cl-,CCl2FとCl-とClの負イオンを生成する。
この場合のリドベルグ状態の原子もしくは分子の電子
交換断面積は第6図に示されるように、10-11cm2程度で
あり、この値は通常の衝突電離断面積が10-14から10-19
cm2の範囲であることと比べると、非常に大きいことが
わかる。例えば10-5Torr程度の密度のSF6中をリドベル
グ状態の原子が通過する時の電子交換の平均自由行程は
数mm程度となり、容易にリドベルグ状態の原子の正イオ
ンとSF6 -の負イオンが生成されることがわかる。従っ
て、レーザ光に照射された励起状態の粒子液中のGa原子
は効率良くリドベルグ状態に励起され、リドベルグ状態
のGa原子流として周りに広がりながら交差領域に流入も
しくは交差領域内を移動して第1の粒子流中のSF6分子
と衝突する。そしてこの衝突により、 Ga+SF6→Ga++SF6 - と示される電子交換を行い、交差領域内にGa+とSF6 -
オンが効率良く生成される。
交差領域14には電源22より印加された負電圧により電
場23が生じているので、Ga+とSF6 -は互いに反対方向に
加速される。又、リドベルグ状態の原子との衝突により
SF6 -イオンを発生する時には、電子が生成しないので電
源22から交差領域に印加された電場はイオンの加速のみ
に利用され、有効にイオンの加速ができる。
このようにして交差領域で生成したSF6 -は加速され、
負イオン流として電極20bの引き出し孔21から引き出さ
れる。
以上述べた動作により本実施例では従来例より小さい
レーザ出力密度の可視領域のレーザ光を用いて広い範囲
にわたって特定の原子・分子をイオン化でき、従来例に
比べて大電流のイオン流が得られる。
なお、上記実施例で粒子流発生器8からの第1の粒子
流9をCCl4又はCCl3Fとすることにより、レーザ光発生
器15からのレーザ波長を変化することなく、Cl-イオン
流を発生できる。同様に、第1の粒子流をSiH4とすれば
SiH4 -イオン流が生成できる。従って、第1の粒子流を
イオン化したい原子もしくは分子の粒子流とすることに
より、可視領域の特定の波長のレーザ光を用いて色々な
原子・分子のイオンが効率良く生成でき、容易に高純度
のイオン流が発生できる。
また、第18図および第39図に示す本発明の第8の実施
例のように、Ga+イオン流を発生するために正電圧を発
生する電源22が電極20aに接続してもよい。
本実施例ではリドベルグ状態のGa原子とSF6分子が交
差領域内で衝突して効率良くGa+とSF6 -イオンが生成さ
れ、電源22より印加され正電圧によりGa+イオンが電極2
0bから引き出される。
なお、上記実施例ではGaのイオン流を発生する場合を
示したが、リドベルグ状態は原子・分子によらず、励起
状態の主量子数nで性質が示されるので、どのような原
子・分子も同様にイオン流とし発生できる。In(インジ
ウム)のイオン流を発生する場合は放電室11内のルツボ
34にInを入れ、放電室内の容器50へInの粒子流13を噴出
させることにより噴出孔からInの6sの励起状態の粒子流
130を噴出させる。又、レーザ光発生器15からのレーザ
波長を454nmより短い6s−np遷移の遷移波長にすれば同
様にイオンビームが発生できる。
また上記実施例では室温で固体状態である物質をリド
ベルグ状態の粒子流としてイオン流を発生する場合を示
したが、室温で気体状態である物質をリドベルグ状態に
励起してイオン流を発生する場合は、容器50内に直接そ
の気体状態である物質を流入して放電を行い、励起状態
の粒子流として利用できることはいうまでもない。
又、上記実施例では原子又は分子のイオン流を発生す
る場合について述べたが、リドベルグ状態へ励起するレ
ーザ光の少なくとも1つのレーザ光の波長幅を狭くして
U(ウラニウム)からその同位体の235U(ウラニウム23
5)を選択的にイオン化するようにして、特定の同位体
を多く含んだイオン流の発生器としても利用できること
はいうまでもない。
なお、上記第7の実施例ではレーザ光発生器15からの
レーザ光をパルス光としてGaを励起状態からリドベルグ
状態へ励起させる例を示したが、連続発振のレーザ光を
用いて原子・分子をリドベルグ状態へ励起する場合はリ
ドベルグ状態の寿命が長く数10μs程度もあるので、パ
ルスレーザ光の場合と比べて十分弱いレーザ出力密度で
も徐々にリドベルグ状態への励起と蓄積が起こる。一例
としてGa原子を5s2S1/2状態から30p状態へ励起する場合
は数10W/cm2程度あれば遷移の飽和は起こる。
従って、連続発振のレーザ光を用いてリドベルグ状態
へ励起するのに必要なレーザ光力は数10W/cm2程度であ
り、パルスレーザ光を用いる場合に比べて低出力のレー
ザを用いて効率良くイオン流が生成できる。
又、上記実施例では一波長のレーザ光を用いている
が、より長波長の複数のレーザ光を用いて励起状態から
複数の中間状態を経由してリドベルグ状態まで励起させ
てもよく、この目的のためには例えば第2図に示す2種
類の異なる波長を有するレーザ光を同一軸上で発生する
場合のレーザ光発生器15等を用いることができる。
また第19図および第40図に示す本発明の第9の実施例
のように、電極20aと電極20bに 23に平行に を印加して、交差領域14中のイオン又は引き出し孔へ加
速されたイオンの広がりを抑えるようにしてもよい。
第20図および第41図は2種類の異なる波長を有するレ
ーザ光を同一光軸上で発生するレーザ光発生器に代え
て、2種類のレーザ光を粒子流の交差領域14に同時に照
射するようにした、本発明の第10の実施例を示すもので
ある。
この実施例では、色素レーザ25aからの波長λのレ
ーザ光を光路調整器42aを用いて交差領域14に照射し、
同様に色素レーザ25bからの波長λのレーザ光を光路
調整器42bを用いて交差領域14に照射するようにしてい
る。
第21図および第42図はレーザ光発生器15からのレーザ
光を放電室110からの励起状態の粒子流130の流れの軸上
に流れの反対方向から照射する場合の本発明の第11の実
施例を示す。
この実施例においては励起状態の粒子流上のレーザ光
に照射された領域全域にわたって特定の原子又は分子が
リドベルグ状態へ効率よく励起される。又、リドベルグ
状態の寿命が数10μs以上あるので、一度レーザ光によ
りリドベルグ状態へ励起された原子又は分子は数10μs
以上存在し、数10μs以上の間、リドベルグ状態の粒子
流として流れる。従って粒子流の交差領域14にてレーザ
光入射がなくとも数10μsの間衝突により正イオンと負
イオンの生成を行い、第15図の実施例に比べてより効率
良くイオン生成ができる。
第22図および第43図は電極20aとして孔を有している
電極に代え、その孔を通して粒子流発生器から粒子流10
をほぼ電場23に平行に流入するようにした本発明の第12
の実施例である。
この実施例においては交差領域14がイオン流引き出し
の軸にほぼ対称にできるので、均一なイオン流の引き出
しが期待される。
また、以上の各実施例においても第12図に示される超
音波ノズルビーム発生器を用いることができる。
また、第23図は本発明の第13の実施例を示し、この実
施例は第1の実施例に荷電粒子流発生器を追加して、レ
ーザ発振器として入手容易な可視光領域のもののみで多
種・多様なイオン流を発生できるようにしたものであ
り、図において、第1図と同一符号は同一のものを示
す。
50は電子流又はイオン流又はプラズマ流の形で荷電粒
子流を発生するための荷電粒子流発生器、51は上記荷電
粒子流発生器50からビーム状に引き出された荷電粒子流
であって、この実施例では電子流が引き出されている。
又、この荷電粒子流51は第1,第2の粒子流の交差領域14
内の第2の粒子流13,もしくは第1,第2の粒子流の交差
領域14より上流の第2の粒子流13に照射されている。
なお、この実施例で使用される第1,第2の粒子流発生
器の一構成例は第3図,第4図に示す通りである。
また第23図の第1,第2の粒子流発生器に代えて第44図
のように単一の粒子流発生器11aを用いることもでき、
その構成は第31図に示す通りである。
第24図は上記第13の実施例において使用されている荷
電粒子流発生器の一構成例を示す図であり、ここでは電
子流を発生する場合を示す。
52は熱電子を発生するためのフィラメント、53はフィ
ラメント52を保持する台であって絶縁性の材料からでき
ている。54はフィラメントに接続された電源、55はフィ
ラメント52から発生した熱電子を加速するための電場を
発生するための電源、56はフィラメント52の前部にある
電極、57は電極56から引き出された電子流である。
上記のように構成された本発明の第13の実施例のイオ
ン流生成装置における粒子流の発生は第1の実施例の通
りに行なわれ、SF6分子流は噴出孔9を通って周囲に広
がりながら交差領域14へ流入していく。又、ルツボ内の
Ga37はルツボを高温にするにつれて気化し、Ga原子流と
して開孔39から噴出され、噴出穴12を通して周りに広が
りながら交差領域14へ流入される。
また、荷電粒子流発生器50内のフィラメント52に電源
54から電流を流して加熱し、フィラメントから熱電子を
発生させる。フィラメント52に接続されている電源55の
電圧Vaを調整してフィラメント52と電極56との間に電場
を発生させ、上記熱電子を加速し、電子流57として噴出
し、交差領域14もしくは交差領域より上流の第2の粒子
流13に照射する。
又、レーザ光発生器として波長426.2nmのパルス色素
レーザ装置を用いて波長426.2nmのパルスレーザ光を光
路調整器16により交差領域もしくは交差領域より上流の
第2の粒子流13に照射する。第17図にGa原子のエネルギ
ー図とGa原子のリドベルグ状態の一つの例が示されてい
る。第2の粒子流13中のGa原子は荷電粒子発生器50より
照射された電子51と衝突して励起され、一部の原子は5s
2S1/2の状態に励起される。この5s2S1/2の状態に励起さ
れたGa原子は426.2nmのレーザ光により30pのリドベルグ
状態へ励起される。
レーザ光発生器15からのレーザ光の出力密度が105W/c
m2以上あればGa原子は基底状態から30pのリドベルグ状
態へ飽和され、効率良くリドベルグ状態のGa原子が生成
される。
このようにレーザ光により一度リドベルグ状態に励起
された原子もしくは分子はその状態を維持しながら、流
れに沿って下流に流れていく。故に交差領域より上流で
リドベルグ状態に励起された原子・分子も交差両域内に
リドベルグ状態の原子・分子として流入する。
又、リドベルグ状態の原子・分子は価電子の結合エネ
ルギーが小さいので、他の原子や分子との衝突により容
易に価電子が離脱して衝突した原子や分子に付着する電
子交換を行いやすい。特に多原子分子と衝突する時は、
価電子の結合エネルギーが多原子分子の回転や振動の励
起エネルギーとほぼ等しくなるので、この電子交換が共
鳴的に起こり、非常に大きな衝突断面積となる。
主量子数がnのリドベルグ状態のXe(キセノン)Xe
をSF6,CCl4,CCl3Fの多原子分子と衝突した場合の反応式
を以下に示す。
Xe+SF6→Xe++SF6 - Xe+CCl4→Xe++CCl3+Cl- Xe+CCl3F→Xe++CCl2F+Cl- CCl4,Cl3Fとリドベルグ状態のXeが衝突する時は過渡
的にCCl4 -,CCl3F-が生成するが、すぐに分解してCCl3
Cl-,CCl2FとCl-とClの負イオンを生成する。リドベルグ
状態の原子もしくは分子の電子交換断面積は10-11cm2
度であり、この値は通常の衝突電離断面積が10-14から1
0-19cm2の範囲であることと比べると、非常に大きいこ
とがわかる。例えば10-5Torr程度の密度のSF6中をリド
ベルグ状態の原子が通過する時の電子交換の平均自由行
程は数mm程度となり、容易にリドベルグ状態の原子の正
イオンとSF6 -の負イオンが生成されることがわかる。従
って、レーザ光照射に加え荷電粒子流発生器50からの荷
電粒子流を照射することにより、第2の粒子流中のGa原
子は効率良くリドベルグ状態に励起され、リドベルグ状
態のGa原子流として周りに広がりながら交差領域に流入
もしくは交差領域内を移動して第1の粒子流中のSF6
子と衝突する。そしてこの衝突により、 Ga+SF6→Ga++SF6 - と示される電子交換を行い、交差領域内にGa+とSF6 -
オンが効率良く生成される。
以上述べた動作により、本実施例では従来例より小さ
いレーザ出力密度の可視領域のレーザ光を用いて広い範
囲にわたって特定の原子・分子をイオン化でき、従来例
に比べて大電流のイオン流が得られる。
なお、上記実施例では第1の粒子流発生器8からの第
1の粒子流9をCCl4又はCCl3Fとすることにより、レー
ザ光発生器15からのレーザ波長を変化することなく、Cl
-イオン流を発生できる。同様に、第1の粒子流をSiH4
とすれば、SiH4 -イオン流が生成できる。従って、第1
の粒子流をイオン化したい原子もしくは分子の粒子流と
することにより、可視領域の特定の波長のレーザ光を用
いて色々な原子・分子のイオンが効率良く生成でき、容
易に高純度のイオン流が発生できる。
第25図および第45図はGa+イオン流を発生するために
正電圧を発生する電源22が電極20aに接続された本発明
の第14の実施例を示す。
本実施例ではリドベルグ状態のGa原子とSF6分子が交
差領域内で衝突して効率良くGa+とSF6 -イオンが生成さ
れ、電源22より印加され正電圧によりGa+イオンが電極2
0bから引き出される。
なお、上記実施例ではGaのイオン流を発生する場合を
示したが、リドベルグ状態は原子・分子によらず、励起
状態の主量子数nで性質が示されるので、どのような原
子・分子も同様にイオン流として発生できる。In(イン
ジウム)のイオン流を発生する場合は第2の粒子流発生
器11内のルツボ34にInを入れ、Inの粒子流13を噴出さ
せ、レーザ光発生器15内の色素レーザの波長を454nmよ
り短い6s−np遷移の遷移波長にすれば同様にイオンビー
ムが発生できる。
又、上記実施例では原子又は分子のイオン流を発生す
る場合について述べたが、リドベルグ状態へ励起するレ
ーザ光の少なくとも1つのレーザ光の波長幅を狭くして
U(ウラニウム)から同位体の235U(ウラニウム235)
を選択的にイオン化するようにして、特定の同位体を多
く含んだイオン流の発生器としても利用できることはい
うまでもない。
なお、上記第23図の実施例ではレーザ光発生器15から
のレーザ光をパルス光としてGaを励起状態からリドベル
グ状態へ励起させる例を示したが、連続発振のレーザ光
を用いて原子・分子をリドベルグ状態へ励起する場合は
リドベルグ状態の寿命が長く数10μs程度もあるので、
パルスレーザ光の場合と比べて十分弱いレーザ出力密度
でも徐々にリドベルグ状態への励起と蓄積が起こる。一
例としてGa原子を5s2S1/2状態から30p状態へ励起する場
合は数10W/cm2程度あれば遷移の飽和は起こる。
従って、連続発振のレーザ光を用いてリドベルグ状態
へ励起するのに必要なレーザ光力は数10W/cm2程度であ
り、パルスレーザ光を用いる場合に比べて低出力のレー
ザを用いて効率良くイオン流を生成できる。
又、上記実施例では一波長のレーザ光を用いている
が、より長波長の複数のレーザ光を用いて励起状態から
複数の中間状態を経由してリドベルグ状態まで励起させ
てもよく、この目的のためには例えば第2図に示す2種
類の異なる波長を有するレーザ光を同一軸上で発生する
場合のレーザ光発生器15等を用いることができる。
なお、上記第23図の実施例では荷電粒子流発生器50と
して電子流発生器を用いているが、イオン源を用いてイ
オン流を発生させてもプラズマ発生器から噴出されるプ
ラズマ流を用いても同様の効果が得られることは言うま
でもない。
第26図および第46図は電極20aと電極20bに電場E23に
平行に を印加して、交差領域14中のイオン又は引き出し孔へ加
速されたイオンの広がりを抑えるようにした本発明の第
15図の実施例である。
本実施例における の印加方法としては電極20a,20bを取り囲むようにコイ
ルを配置してそのコイルへの導電量を調整したり、ある
いは永久磁石を別途配置する等の方法が考えられる。な
お、電極20aと電極20b間に印加される と平行に設定するのが最も望ましいが、必ずしも と平行にする必要はない。
第27図および第47図は2種類の異なる波長を有するレ
ーザ光を同一光軸上で発生するレーザ光発生器に代え
て、2種類のレーザ光を粒子流の交差領域14に同時に照
射する、本発明の第16の実施例を示すものである。色素
レーザ25aからの波長λのレーザ光を光路調整器42aを
用いて交差領域14に照射し、同様に色素レーザ25bから
の波長λのレーザ光を光路調整器42bを用いて交差領
域14に照射するようにしている。
第28図および第48図はレーザ光発生器15からのレーザ
光を第2粒子流発生器11からの粒子流13の流れの軸上に
流れの反対方向から照射する、本発明の第17の実施例を
示す。
この実施例においては粒子流上のレーザ光に照射され
た領域全域にわたって特定の原子又は分子がリドベルグ
状態へ効率よく励起される。又、リドベルグ状態の寿命
が数10μs以上あるので、一度レーザ光によりリドベル
グ状態へ励起された原子又は分子は数10μs以上存在
し、数10μs以上の間、リドベルグ状態の粒子流として
流れる。従って粒子流の交差領域14にてレーザ光入射が
なくとも数10μsの間衝突により正イオンと負イオンの
生成を行い、第23図の実施例に比べてより効率良くイオ
ン生成ができる。
第29図および第49図は電極20aとして孔を有している
電極に代え、その孔を通して粒子流発生器から粒子流10
をほぼ電場23に平行に流入するようにした、本発明の第
18の実施例である。
この実施例においては交差領域14がイオン流引き出し
の軸にほぼ対象にできるので、均一なイオン流の引き出
しが期待される。
また上記各実施例において第13図に示すような超音速
ノズルビーム発生器を使用されている粒子流発生器とし
て用いるようにしてもよい。
〔発明の効果〕
以上のように、本願の請求項1の発明に係るイオン流
生成装置によれば、イオン流生成装置において、1種類
もしくは2種類以上の原子,分子,もしくは励起状態の
粒子を含む単一の粒子流あるいは原子,分子,もしくは
励起状態の粒子からなり相互に交差する領域を有する複
数の粒子流を発生する粒子流発生手段と、上記粒子流上
の少なくとも一部の領域に、上記粒子流中の特定の原
子,分子,もしくは励起状態の粒子を基底あるいは励起
状態から価電子の主量子数が大きい高励起状態であるリ
ドベルグ状態へ励起する1種類もしくは複数の励起波長
を有するレーザ光を照射するレーザ光発生器と、上記粒
子流の交差領域の近傍もしくは上記レーザ光の照射領域
の近傍に電場を印加し、リドベルグ状態に励起された上
記原子,分子,もしくは励起状態の粒子の衝突によって
生じる特定のイオンを引出す電場印加手段とを備えるこ
とにより、特定の物質を高励起状態であるリドベルグ状
態に励起し、上記粒子流の交差領域または照射領域に電
場を印加するように構成したので、簡単な構成で効率良
く、高純度,大電流のイオン流を低出力のレーザ光を用
いて容易に発生できる効果がある。
また、本願の請求項2の発明に係るイオン流生成装置
によれば、イオン流生成装置において、1種類もしくは
2種類以上の原子,分子,もしくは励起状態の粒子を含
む単一の粒子流あるいは原子,分子,もしくは励起状態
の粒子からなり相互に交差する領域を有する複数の粒子
流を発生する粒子流発生手段と、上記粒子流上の少なく
とも一部の領域に、上記粒子流中の特定の原子,分子,
もしくは励起状態の粒子を基底あるいは励起状態から価
電子の主量子数が大きい高励起状態であるリドベルグ状
態へ励起する1種類もしくは複数の励起波長を有するレ
ーザ光を照射するレーザ光発生器と、上記粒子流上の少
なくとも一部の領域に電子,イオン,もしくはプラズマ
の荷電粒子を照射する荷電粒子流発生器と、上記粒子流
の交差領域の近傍もしくは上記レーザ光の照射領域の近
傍に電場を印加し、リドベルグ状態に励起された上記原
子,分子,もしくは励起状態の粒子の衝突によって生じ
る特定のイオンを引出す電場印加手段とを備えることに
より、特定の物質を高励起状態であるリドベルグ状態に
効率良く励起し、上記粒子流の交差領域または照射領域
に電場を印加するように構成したので、簡単な構成で効
率良く、高純度,大電流のイオン流を低出力のレーザ
光、および荷電粒子流を用いて容易に発生できる効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図および第30図はこの発明の第1の実施例によるイ
オン流生成装置を示す図、第2図は第1図の実施例にお
いて使用されるレーザ光発生器の一構成例を示す図、第
3図は第1図の実施例において使用される第1の粒子流
発生器の一構成例を示す図、第4図は第1図の実施例に
おいて使用される第2の粒子流発生器の一構成例を示す
図、第5図はGa原子のリドベルグ状態の一つの例を示す
Ga原子のエネルギー図、第6図はリドベルグ状態のXeと
SF6,CCl4,CCl3Fと衝突した場合の電子交換断面積を示す
図、第7図および第32図はこの発明の第2の実施例であ
る正イオンのイオン流生成装置を示す図、第8図および
第33図はこの発明の第3の実施例である電場にほぼ平行
に磁場を印加する場合のイオン流生成装置を示す図、第
9図および第34図はこの発明の第4の実施例であるレー
ザ光を粒子流の交差領域に同時に照射する場合のイオン
流生成装置を示す図、第10図および第35図はこの発明の
第5の実施例であるレーザ光を粒子流発生器からの粒子
流の流れの軸上に流れの反対方向から照射する場合のイ
オン流生成装置を示す図、第11図および第36図はこの発
明の第6の実施例である粒子流を電極上の孔を通して電
極間に流入する場合のイオン流生成装置を示す図、第12
図は粒子流発生器としての超音速ノズルビーム発生器を
示す図、第13図は従来のレーザ光を利用したイオン流生
成装置を示す図、第14図はNa原子のエネルギー図、第15
図および第37図はこの発明の第7の実施例によるイオン
流生成装置を示す図、第16図および第38図は第15図およ
び第37図の実施例において使用される放電室の一構成列
を示す図、第17図はGa原子のリドベルグ状態の一つの例
を示すGa原子のエネルギー図、第18図および第39図はこ
の発明の第8の実施例である正イオンのイオン流生成装
置を示す図、第19図および第40図はこの発明の第9の実
施例である電場にほぼ平行に磁場を印加する場合のイオ
ン流生成装置を示す図、第20図および第41図はこの発明
の第10の実施例であるレーザ光を粒子流の交差領域に同
時に照射する場合のイオン流生成装置を示す図、第21図
および第42図はこの発明の第11の実施例であるレーザ光
を粒子流発生器からの粒子流の流れの軸上に流れの反対
方向から照射する場合のイオン流生成装置を示す図、第
22図および第43図はこの発明の第12の実施例である粒子
流を電極上の孔を通して電極間に流入する場合のイオン
流生成装置を示す図、第23図および第44図はこの発明の
第13の実施例によるイオン流生成装置を示す図、第24図
は第23図および第44図の実施例において使用される荷電
粒子流発生器の一構成例を示す図、第25図および第45図
はこの発明の第14の実施例である正イオンのイオン流生
成装置を示す図、第26図および第46図はこの発明の第15
の実施例である電場にほぼ平行に磁場を印加する場合の
イオン流生成装置を示す図、第27図および第47図はこの
発明の第16の実施例であるレーザ光を粒子流の交差領域
に同時に照射する場合のイオン流生成装置を示す図、第
28図および第48図はこの発明の第17の実施例であるレー
ザ光を粒子流発生器からの粒子流の流れの軸上に流れの
反対方向から照射する場合のイオン流生成装置を示す
図、第29図および第49図はこの発明の第18の実施例であ
る粒子流を電極上の孔を通して電極間に流入する場合の
イオン流生成装置を示す図、第31図は第30図の粒子流発
生器の一構成例を示す図である。 図において、1は粒子流発生器、2は噴出孔、3は原子
ビーム、4a,4b,4cは色素レーザ、5a,5b,5cはレンズ、6
はイオンを含む原子ビーム、7は電極、8は粒子流発生
器、9は噴出孔、10は粒子流、11,11aは粒子流発生器、
110,110aは放電室、12は噴出孔、13は粒子流、130,130a
は励起状態の粒子流、14は交差領域、15はレーザ光発生
器、16は光路調整器、17はリドベルグ状態に励起された
原子、18はイオン化した原子、19はイオン化した分子、
20a,20bは電極、21は引き出し孔、22は電源、23は電
場、24はイオン流、25a,25bは色素レーザ、26,27は光学
素子、28はレーザ光、29は容器、30は減圧弁、31は流量
調整器、32は開孔、33は粒子流、34はるつぼ、35はヒー
タ、36は熱遮蔽板、37は材料物質、38は温度計、39は開
孔、40は粒子流、41は磁場、42a,42b光路調整器、43は
材料物質、44はノズル、45は自由噴流、46は真空室、47
は真空排気系、48はスキマー、49は超音速ノズルビー
ム、50は荷電粒子流発生器である。 なお図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 27/00 - 27/26 H01J 37/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン流生成装置において、 1種類もしくは2種類以上の原子,分子,もしくは励起
    状態の粒子を含む単一の粒子流あるいは原子,分子,も
    しくは励起状態の粒子からなり相互に交差する領域を有
    する複数の粒子流を発生する粒子流発生手段と、 上記粒子流上の少なくとも一部の領域に、上記粒子流中
    の特定の原子,分子,もしくは励起状態の粒子を基底あ
    るいは励起状態から価電子の主量子数が大きい高励起状
    態であるリドベルグ状態へ励起する1種類もしくは複数
    の励起波長を有するレーザ光を照射するレーザ光発生器
    と、 上記粒子流の交差領域の近傍もしくは上記レーザ光の照
    射領域の近傍に電場を印加し、リドベルグ状態に励起さ
    れた上記原子,分子,もしくは励起状態の粒子の衝突に
    よって生じる特定のイオンを引出す電場印加手段とを備
    えたことを特徴とするイオン流生成装置。
  2. 【請求項2】イオン流生成装置において、 1種類もしくは2種類以上の原子,分子,もしくは励起
    状態の粒子を含む単一の粒子流あるいは原子,分子,も
    しくは励起状態の粒子からなり相互に交差する領域を有
    する複数の粒子流を発生する粒子流発生手段と、 上記粒子流上の少なくとも一部の領域に、上記粒子流中
    の特定の原子,分子,もしくは励起状態の粒子を基底あ
    るいは励起状態から価電子の主量子数が大きい高励起状
    態であるリドベルグ状態へ励起する1種類もしくは複数
    の励起波長を有するレーザ光を照射するレーザ光発生器
    と、 上記粒子流上の少なくとも一部の領域に電子,イオン,
    もしくはプラズマの荷電粒子を照射する荷電粒子流発生
    器と、 上記粒子流の交差領域の近傍もしくは上記レーザ光の照
    射領域の近傍に電場を印加し、リドベルグ状態に励起さ
    れた上記原子,分子,もしくは励起状態の粒子の衝突に
    よって生じる特定のイオンを引出す電場印加手段とを備
    えたことを特徴とするイオン流生成装置。
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