JP2879248B2 - 走行式型枠支保工 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ボックスカルバートの内型枠等の支持と移
動を行うための走行式型枠支保工に関するものである。

（従来の技術） 地下道や坑道等の各種カルバートや高架構造物等を構
築するにあたっては、各種の移動式内型枠装置が用いら
れ、施工の効率化が図られてきている。

この種装置としては、従来、例えば特公昭63−51236
号公報に示されているように、脚車を取付けた支持枠体
（支保工）に内型枠を支持し、内型枠の走行移動と型枠
の整形、脱形を行えるようにしたものが用いられてい
る。

（発明が解決しようとする課題） ところで、上記のような従来の支保工では、床面上に
施設されたレール上を客車によって施工位置まで移動
し、型枠のセットをするが、この場合、型枠の長さ方向
の位置決めはレール上の移動位置の調節で簡単にできる
ことになるが、型枠の巾方向の位置はレールの施設位置
によって拘束されるため、レールの施設には正確さが要
求され、施設に多くの時間がかかることになる。そし
て、装置搬入後レールの施設に狂いがあることがわかっ
た場合には、レールの手直しに多くの手間と時間とを要
することになり、作業能率を一層低下させるということ
になる。

本発明は、上記の問題を解決し、レールの施設に狂い
が生じた場合でも、型枠の巾方向への位置の調節を容易
に行えるようにし、施工能率及び経済性の向上を図るこ
とのできる、移動式型枠支保工を提供しようとするもの
である。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するための本発明の構成について、
実施例に対応する図面を参照して説明すると、本発明
は、支柱2,2を横枠材3,3で結合して四角形の枠組体１を
形成し、上記各支柱２の下端部には、施工構造物の長手
方向に走行する車輪８を昇降調節自在に設けた脚車５を
装着するとともに、滑動部材12を基板24に横型ジャッキ
25によって移動調節自在に設けた横移動装置10を、揺動
自在に設けたことを特徴とするものである。

（作用） 本発明の支保工は、施工構造物の長手方向に沿って敷
設されたレール38,38上を脚車装置5,5によって走行移動
され、所定位置で各支柱2,2に設けた横移動装置10の下
に当座37,37を介挿し、各脚車装置５を短縮して横移動
装置10に荷重を受けさせる。その際、支保工に載設した
型枠が、施工する構造物の巾方向に所定の位置よりずれ
ていた場合には、横移動装置10によってその位置を修正
する。

即ち、支柱２の下端に取付けられた滑動部材12と横杆
29により結合された横型ジャッキ25のネジ杆28を回転さ
せれば、横型ジャッキ25はピン29を介して基板24に結合
されているので、横長のボックス26が第３図、第８図の
矢印ａ方向に動くことになり、それによって、滑動部材
12が基板24上を滑って移動することになる。この場合、
基板24と滑動部材12との接触面には滑り板23が介在して
おり、基板24と当座37との接触面より摩擦係数が少ない
ので、荷重下においては、ネジ杆28の回転によって、地
盤に対して滑動部材12が滑動することになり、滑動部材
12と結合している支柱２が施工する構造物の巾方向に対
して移動調節されることになるのである。

（実施例） 以下、本発明支保工の実施例について、図面を参照し
て説明する。

第１図、第２図において、１は支保工の主体をなす枠
組体で、四隅に配した支柱2,2を互いに水平方向の横枠
材3,3により結合して平面及び側面四角形の箱型に形成
されており、縦列の支柱2,2の上端には縦桁4,4が結合さ
れている。

上記枠組体１の構成部材である各支柱２の下端部に
は、枠組体１を施工構造物の長手方向に走行させる脚車
装置５が装着されている。この脚車装置５は従来公知の
もので、第２図に示すように、脚筒６に油圧式やネジ式
等の調節ジャッキによって昇降調節自在に設けた脚柱７
の下端に車輪８を取付けた構造となっており、支柱２に
ブラケット9,9を介して装着されている。

また、上記各支柱２の下端には、横移動装置10が設け
られている。この装置は、第３〜７図にも拡大図で示す
ように、支柱２の下端に設けられる取付部材11に、横長
の枠状に形成された滑動部材12が、その中間部において
揺動自在に枢着されているとともに、この滑動部材を載
設して滑動させる送り装置13が設けられたものとなって
いる。

上記取付部材11は、支柱２の下端に結合する座板11a
の下面に一対の支持板14,14を間隔をおいて垂設し、そ
れら支持板14,14間に四方にピン16,16、17,17を突設し
た自在継手用駒15を、その対向する一対のピン16,16を
介してピン16,16を通る水平軸芯回りに回動自在に設け
た構造となっている。なお、18,19は補強板である。

滑動部材12は、第５〜７図にも示すように、２枚の同
形とした横長のプレート20,20とそれらを結合する継板2
1,21と底板22,22とにより結合して箱型に形成されてお
り、この底板22はプレート20,20より両側に所要の巾だ
け突出されているとともに、底板22の下面にはテフロン
等の滑性板23が固着されている。

滑動部材12を載設する送り装置13は、第８図、第９図
にも示すように、滑動部材12の下部に遊嵌してその長手
方向に移動できるようにした断面溝型の基板24と横型ジ
ャッキ25とよりなっている。横型ジャッキ25は、従来用
いられているネジジャッキで、両側に案内長孔27を設け
た横長ボックス26内にネジ杆28が回動自在に設けられて
おり、このネジ杆28に、案内長孔27,27からボックス26
の外方に突出するピン29,29を有する移動駒30が螺合さ
れ、ネジ杆28の回転によって、案内長孔27に沿って移動
するようになっている。そして、この横型ジャッキ25
は、基板24の一端部に立設した取付板31,31に突出した
ピン29,29を枢着して取付けられている。したがって、
ネジ杆28を回転することにより、横型ジャッキ25は第８
図の矢印ａのように基板24に対しその長手方向に移動調
節されることになる。また、基板24の内底面にはステン
レス製等の滑り板32が敷設されているとともに、基板24
の両側板部には、上記滑動部材12のプレート20,20より
突出した部分の上方に突出自在とした押えボルト33,33
が螺着されている。

それで、滑動部材12は滑性板23を滑り板32に接して基
板24上に載置され、押えボルト33,33を底板22,22上に突
出させることにより浮き上りを防止するとともに、滑動
部材12の端部に設けた係着板34,34のピン孔35,35に通す
軸杆36（第３図、第４図参照）によって横型ジャッキ25
のボックス26の先端部に結合されるのである。したがっ
て、横型ジャッキ25のネジ杆28を回転させることによ
り、滑動部材12は基板24の長手方向に滑動することにな
る。

上記のように構成した横移動装置は、支柱２の下端に
装着され、第１図、第３図に示すように、間隔をおいて
床面に載置した当座37,37の上に、基板24の下面を当て
て載せ、支柱２を介して支保工を支持することになるの
である。

本発明の走行式型枠支保工は上述のように構成されて
おり、施工する構造物内の基礎コンクリートの床面に敷
設された一対のレール38,38に脚車装置5,5の車輪8,8を
介して載置され、施工構造物の長手方向に走行移動され
ることになる。そして、枠組体１の縦桁4,4上にはスラ
ブ型枠39が載設されると共に、スラブ型枠39の両端には
側壁型枠40,40が伸縮装置41,41により傾動調節自在に枢
着42,42されて、カルバート等の移動内型枠装置が構成
されることになるのである。

本発明支保工を移動させる際は、脚車装置５のジャッ
キを伸長し、支柱2,2を介して枠組体１全体を持ち上げ
て各支柱2,2の下端を浮かせ、横滑り装置行10,10の下に
介挿した当座37,37を取除き、型枠を載設した支保工を
脚車装置5,5に支持させてレール38,38上を押進、走行さ
せ、支保工を所定の施行位置に移動させる。そして、各
支柱2,2の下端に設けられた横移動装置10の下に当座37,
37を介挿し、脚車装置５のジャッキを短縮して、支保工
を横移動装置10,10に支持させるとともに、車輪8,8をレ
ール38,38上に引き上げる。

その際、支保工に載設した型枠の施工構造物の巾方向
における位置が、所定の状態よりずれているときには、
各支柱2,2の下端に設けられた横移動装置に支保工を支
持させたまま、横型ジャッキ25を操作して、滑動部材12
を基板24上を滑らせ横移動させる。それによって、支柱
2,2を介して支保工全体が施工構造物の巾方向に移動調
節されることになるのである。

その後は、型枠を整形してコンクリートが打設され
る。そのコンクリートの硬化後は、型枠39,40を剥離し
て、再び脚車装置5,5により次の施工場所へ移動させる
のである。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明の型枠支保工は、支柱を
横枠材で結合して四角形の枠組体を形成し、上記各支柱
の下端部には、施工構造物の長手方向に走行する車輪を
昇降調節自在に設けた脚車を装着するとともに、滑動部
材を基板上に横型ジャッキによって移動調節自在に設け
た横移動装置を、揺動自在に設けた構成のものであるか
ら、横移動装置にある横型ジャッキのネジ杆を回転させ
るという簡単な操作だけで、支保工を施工構造物の巾方
向に対して移動調節することができることになる。した
がって、カルバートの構築において、支保工を移動させ
るためのレールの施設精度が高くなくてもすみ、また、
レールの施設に狂いが生じてもその修正作業をしないで
もすむことになり、レール施設の手間と経費を節減する
ことができる。また、横移動装置は揺動自在に設けられ
ているので、地盤の凹凸や傾斜にもよく適合する等、多
くの優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示したもので、第１図は正面
図、第２図は側面図、第３図は横移動装置の正面図、第
４図は同平断面図、第５図は支持部材と滑動部材とを示
す正断面図、第６図は同平断面図、第７図は同側断面
図、第８図は送り装置の正断面図、第９図は同平面図で
ある。 １……枠組体,2……支柱， ５……脚車装置,8……車輪， 10……横移動装置,11……支持部材， 12……滑動部材,13……送り装置， 15……自在継手用駒,16,17……ピン， 20……プレート,22……底板， 23……滑性板,24……基板， 25……横型ジャッキ,28……ネジ杆， 29……ピン,30……移動駒， 36……軸杆,37……当座， 38……レール

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支柱を横枠材で結合して四角形の枠組体を
   形成し、上記各支柱の下端部には、施工構造物の長手方
   向に走行する車輪を昇降調節自在に設けた脚車を装着す
   るとともに、滑動部材を基板上に横型ジャッキによって
   移動調節自在に設けた横移動装置を、揺動自在に設けた
   ことを特徴とする、走行式型枠支保工。