JP2877840B2 - 生体硬組織用セメント材料 - Google Patents
生体硬組織用セメント材料Info
- Publication number
- JP2877840B2 JP2877840B2 JP1146249A JP14624989A JP2877840B2 JP 2877840 B2 JP2877840 B2 JP 2877840B2 JP 1146249 A JP1146249 A JP 1146249A JP 14624989 A JP14624989 A JP 14624989A JP 2877840 B2 JP2877840 B2 JP 2877840B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hard tissue
- cement material
- living hard
- hap
- kneading
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Materials For Medical Uses (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は硬化性及び生体親和性に優れると共に操作性
においても満足することのできる粉−液タイプの生体硬
組織用セメント材料に関するものである。
においても満足することのできる粉−液タイプの生体硬
組織用セメント材料に関するものである。
[従来の技術] 生体硬組織用セメントとしてはまず歯科用セメントが
実用化され、古くから燐酸亜鉛セメント、酸化亜鉛−ポ
リカルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメ
ント等が用いられ、その後メタクリレート系ポリマーを
用いたレジンセメントも開発された。しかしながらこれ
らのセメント材料は化学的に見たとき歯や骨の成分と相
違するものである為、生体親和性が不十分であり、生体
との接合力が不足するという問題があった。
実用化され、古くから燐酸亜鉛セメント、酸化亜鉛−ポ
リカルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメ
ント等が用いられ、その後メタクリレート系ポリマーを
用いたレジンセメントも開発された。しかしながらこれ
らのセメント材料は化学的に見たとき歯や骨の成分と相
違するものである為、生体親和性が不十分であり、生体
との接合力が不足するという問題があった。
そこで歯や骨などの生体硬組織に対して良好な親和性
を示す新しい材料を求めて研究がなされ、生体硬組織の
主成分に近い組成を有するα−燐酸三カルシウム(以下
α−TCPと略記する)やヒドロキシアパタイト(以下HAP
と略記する)が着目され多数の発明が提案されている。
しかしながらこれらはいずれも粉末状であり化学活性が
低く、また通常の方法、たとえば多官能メタクリレート
等の反応硬化性樹脂材料と併用する方法で人体に適用し
ても、併用材料の生体親和性が不十分であるため所期の
目的が達成されているとは言えず、また強度及び硬化時
収縮等の面で問題を残している為、施術前に成形加工し
てインプラント材とする様な利用方法が中心的である。
を示す新しい材料を求めて研究がなされ、生体硬組織の
主成分に近い組成を有するα−燐酸三カルシウム(以下
α−TCPと略記する)やヒドロキシアパタイト(以下HAP
と略記する)が着目され多数の発明が提案されている。
しかしながらこれらはいずれも粉末状であり化学活性が
低く、また通常の方法、たとえば多官能メタクリレート
等の反応硬化性樹脂材料と併用する方法で人体に適用し
ても、併用材料の生体親和性が不十分であるため所期の
目的が達成されているとは言えず、また強度及び硬化時
収縮等の面で問題を残している為、施術前に成形加工し
てインプラント材とする様な利用方法が中心的である。
これらに対し、α−TCPは水和反応によって、より生
体親和性に優れたHAPに転化するという点に着目し、少
量の有機酸水溶液又は無機酸水溶液と練和して生体硬組
織用修復材料とする発明が提案されている。しかしこれ
らの方法においても硬化時間が長い、圧縮強度が低い、
練和時の作業性が悪いといった諸々の欠点があり、これ
らの欠点を伴なわない生体硬組織用セメント材料の提供
が望まれている。
体親和性に優れたHAPに転化するという点に着目し、少
量の有機酸水溶液又は無機酸水溶液と練和して生体硬組
織用修復材料とする発明が提案されている。しかしこれ
らの方法においても硬化時間が長い、圧縮強度が低い、
練和時の作業性が悪いといった諸々の欠点があり、これ
らの欠点を伴なわない生体硬組織用セメント材料の提供
が望まれている。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は上記従来技術の欠点に鑑みてなされたもので
あって、これらの諸欠点を伴なうことがなく、骨欠損部
や骨空隙部(歯科領域を含む)等への適用性が優れた生
体硬組織用セメント材料の提供を目的とするものであ
る。
あって、これらの諸欠点を伴なうことがなく、骨欠損部
や骨空隙部(歯科領域を含む)等への適用性が優れた生
体硬組織用セメント材料の提供を目的とするものであ
る。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成することのできた本発明の生体硬組織
用セメント材料とは、実質的にα−TCPからなる粉末成
分、或は必要によりこれにHAP及び/又は第一燐酸カル
シウムを配合してなる粉末成分と、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム(以下CMCと略記する)を必須成分
として含有する練和液よりなることを要旨とするもので
ある。
用セメント材料とは、実質的にα−TCPからなる粉末成
分、或は必要によりこれにHAP及び/又は第一燐酸カル
シウムを配合してなる粉末成分と、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム(以下CMCと略記する)を必須成分
として含有する練和液よりなることを要旨とするもので
ある。
[作用] 本発明におけるもっとも代表的な点は練和液としてCM
Cを使用する点にあり、これによって練和操作性が向上
し、また練和液使用量の減少(粉液比の増大)という効
果が得られ、臨床術式が改善されると共に収縮率の低減
及び機械的強度の増大を招来する為の礎を築くことが可
能となった。
Cを使用する点にあり、これによって練和操作性が向上
し、また練和液使用量の減少(粉液比の増大)という効
果が得られ、臨床術式が改善されると共に収縮率の低減
及び機械的強度の増大を招来する為の礎を築くことが可
能となった。
また本発明の第2の特徴点はα−TCPを主成分とし、
これにHAP及び/又は第一燐酸カルシウムを配合してな
る粉末成分を使用する点にあり、これによって硬化所要
時間の短縮(硬化性の向上)及び圧縮強度の増大という
効果が達成され、特にHAPとの併用がなされる場合は生
体親和性が一層改善されることとなった。
これにHAP及び/又は第一燐酸カルシウムを配合してな
る粉末成分を使用する点にあり、これによって硬化所要
時間の短縮(硬化性の向上)及び圧縮強度の増大という
効果が達成され、特にHAPとの併用がなされる場合は生
体親和性が一層改善されることとなった。
本発明に用いられるα−TCPは一般に乾式法で製造さ
れるが、製造手段の如何を問うものではない。本発明に
おける粉末成分はα−TCP単独で構成することもできる
が、HAP及び/又は第一燐酸カルシウムとの併用である
場合、或は更に必要に応じて水酸化カルシウムを併用す
る場合も本発明に含まれる。この様な併用を行なう場合
におけるα−TCPの配合量は60重量%(以下単に%と略
記する)以上とすることが望まれる。
れるが、製造手段の如何を問うものではない。本発明に
おける粉末成分はα−TCP単独で構成することもできる
が、HAP及び/又は第一燐酸カルシウムとの併用である
場合、或は更に必要に応じて水酸化カルシウムを併用す
る場合も本発明に含まれる。この様な併用を行なう場合
におけるα−TCPの配合量は60重量%(以下単に%と略
記する)以上とすることが望まれる。
次にHAPや第一燐酸カルシウムを併用する場合におけ
るこれら併用剤の配合量であるが、本発明の主旨から理
解できる様に特に下限を設けなければならない訳ではな
い。但しこれらの併用効果をより明瞭に発揮させたいと
きは、HAPで2%以上、好ましくは5%以上、第一燐酸
カルシウムで0.1%以上、好ましくは0.5%以上と定める
ことができる。尚これら併用剤の配合上限は前記α−TC
Pの下限量(60%)を確保するという観点から40%以下
とすることが望まれ、特にHAPの場合はHAPの嵩密度が高
く粉液比を下げる方向に作用するという点から30%以下
とし、第一燐酸カルシウムの場合は、多過ぎると硬化時
間が短くなり過ぎて臨床作業性が悪くなるという点から
10%以下とすることが夫々推奨される。
るこれら併用剤の配合量であるが、本発明の主旨から理
解できる様に特に下限を設けなければならない訳ではな
い。但しこれらの併用効果をより明瞭に発揮させたいと
きは、HAPで2%以上、好ましくは5%以上、第一燐酸
カルシウムで0.1%以上、好ましくは0.5%以上と定める
ことができる。尚これら併用剤の配合上限は前記α−TC
Pの下限量(60%)を確保するという観点から40%以下
とすることが望まれ、特にHAPの場合はHAPの嵩密度が高
く粉液比を下げる方向に作用するという点から30%以下
とし、第一燐酸カルシウムの場合は、多過ぎると硬化時
間が短くなり過ぎて臨床作業性が悪くなるという点から
10%以下とすることが夫々推奨される。
練和液の主成分となるCMCは水溶液として調製するが
該水溶液中のCMC濃度は0.05〜10%、好ましくは0.1〜5
%程度が良い。0.05%未満であると練和時の粘稠性が不
十分であり、逆に10%を超えると粘度が高過ぎて練りむ
らを生じることがある。尚CMCのエーテル化度は特に限
定される訳ではないが、一般的には0.6〜1.2の範囲のも
のを使用する。
該水溶液中のCMC濃度は0.05〜10%、好ましくは0.1〜5
%程度が良い。0.05%未満であると練和時の粘稠性が不
十分であり、逆に10%を超えると粘度が高過ぎて練りむ
らを生じることがある。尚CMCのエーテル化度は特に限
定される訳ではないが、一般的には0.6〜1.2の範囲のも
のを使用する。
[実施例] 第1表に示す組成の粉末成分及び練和液を調製し、JI
S T 6602に準じてテストを行ない、第1表に併記する結
果を得た。
S T 6602に準じてテストを行ない、第1表に併記する結
果を得た。
第1表の結果から明らかな様に本発明の要件を満足す
る実施例では操作可能時間が適切長さであると共に練和
操作性も良好であり、また24時間後の硬化状態が良好で
あって、強度的にも満足し得る成績を示した。
る実施例では操作可能時間が適切長さであると共に練和
操作性も良好であり、また24時間後の硬化状態が良好で
あって、強度的にも満足し得る成績を示した。
第1図は上記実験で用いたNo.5(実施例)およびNo.9
(比較例)の夫々について、練和後のα−TCPがHAPに転
化する率を測定したものであり、0分時のα−TCP量を1
00、HAP量を0としたときのα−TCP量及びHAP量の経時
変化量を示すものである。第1図に見られる如く、CMC
を用いた実施例ではα−TCPからHAPへの転化がかなり早
く進んでおり、生体親和性の発現において良好な効果を
期待することができる。
(比較例)の夫々について、練和後のα−TCPがHAPに転
化する率を測定したものであり、0分時のα−TCP量を1
00、HAP量を0としたときのα−TCP量及びHAP量の経時
変化量を示すものである。第1図に見られる如く、CMC
を用いた実施例ではα−TCPからHAPへの転化がかなり早
く進んでおり、生体親和性の発現において良好な効果を
期待することができる。
[発明の効果] 本発明は上記の様に構成されているので、練和操作性
が向上すると共に、練和液の使用量を減少することによ
って粉液比が増大し機械的強度の向上に資することが可
能になった。また粉末成分の改良によって硬化性の向上
及び圧縮強度の増大といった諸硬化が得られる様になっ
た。
が向上すると共に、練和液の使用量を減少することによ
って粉液比が増大し機械的強度の向上に資することが可
能になった。また粉末成分の改良によって硬化性の向上
及び圧縮強度の増大といった諸硬化が得られる様になっ
た。
第1図はα−TCPのHAPへの転化率を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】実質的にα−燐酸三カルシウムからなる粉
末成分と、カルボキシメチルセルロースナトリウムを必
須成分として含有する練和液よりなることを特徴とする
生体硬組織用セメント材料。 - 【請求項2】α−燐酸三カルシウムを主成分とし、これ
にヒドロキシアパタイト及び/又は第一燐酸カルシウム
を配合してなる粉末成分と、カルボキシメチルセルロー
スナトリウムを必須成分として含有する練和液よりなる
ことを特徴とする生体硬組織用セメント材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1146249A JP2877840B2 (ja) | 1989-06-08 | 1989-06-08 | 生体硬組織用セメント材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1146249A JP2877840B2 (ja) | 1989-06-08 | 1989-06-08 | 生体硬組織用セメント材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0311006A JPH0311006A (ja) | 1991-01-18 |
JP2877840B2 true JP2877840B2 (ja) | 1999-04-05 |
Family
ID=15403467
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1146249A Expired - Fee Related JP2877840B2 (ja) | 1989-06-08 | 1989-06-08 | 生体硬組織用セメント材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2877840B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0360451A (ja) * | 1989-07-25 | 1991-03-15 | Natl Inst For Res In Inorg Mater | リン酸カルシウム水硬性セメント組成物 |
US5460593A (en) * | 1993-08-25 | 1995-10-24 | Audiodontics, Inc. | Method and apparatus for imparting low amplitude vibrations to bone and similar hard tissue |
FR2715853B1 (fr) * | 1994-02-08 | 1996-04-26 | Centre Nat Rech Scient | Composition pour bio-matériau; procédé de préparation. |
FR2737663B1 (fr) * | 1995-08-07 | 1997-10-03 | Centre Nat Rech Scient | Composition pour bio-materiau, procede de preparation |
US20010016646A1 (en) | 1998-03-20 | 2001-08-23 | David C. Rueger | Osteogenic devices and methods of use thereof for repair of endochondral bone, osteochondral and chondral defects |
US7041641B2 (en) | 1997-03-20 | 2006-05-09 | Stryker Corporation | Osteogenic devices and methods of use thereof for repair of endochondral bone and osteochondral defects |
DE19816858A1 (de) * | 1998-04-16 | 1999-10-21 | Merck Patent Gmbh | Tricalciumphosphathaltige Biozementpasten mit Kohäsionspromotoren |
FR2913199B1 (fr) * | 2007-03-01 | 2009-05-08 | Biomatlante Sarl | Composition granulaire deshydratee et ses applications biomedicales. |
CN109821058B (zh) * | 2019-03-14 | 2021-10-26 | 广西大学 | 一种抗菌骨科医用粘合材料及其制备方法 |
-
1989
- 1989-06-08 JP JP1146249A patent/JP2877840B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0311006A (ja) | 1991-01-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5824518B2 (ja) | 歯内治療用シーリング組成物 | |
JPS60253454A (ja) | 骨・歯牙充填用組成物 | |
JP2877840B2 (ja) | 生体硬組織用セメント材料 | |
JPS6272363A (ja) | 医科用または歯科用セメント組成物 | |
JP2824528B2 (ja) | 根管充填材組成物 | |
JPH01139516A (ja) | ワンペーストタイプ修復材 | |
JPH0585914A (ja) | 硬化型糊材 | |
JP2780120B2 (ja) | 硬化型リン酸カルシウム系歯科用組成物 | |
JP2956249B2 (ja) | 生体用リン酸カルシウムセメント | |
JPS63153069A (ja) | 医科用または歯科用セメント組成物 | |
JP2807819B2 (ja) | 根管充填用硬化型糊材 | |
JPH07114804B2 (ja) | 医療用硬化性組成物 | |
JP2956251B2 (ja) | 生体用リン酸カルシウムセメント | |
JP2626811B2 (ja) | 硬化性糊剤根管充填材 | |
WO1990008530A1 (en) | Root canal filling material comprising hardenable paste | |
JP4319280B2 (ja) | リン酸カルシウムセメント粉体及びリン酸カルシウムセメント組成物 | |
JPS60225568A (ja) | 生体硬組織修復材料 | |
JP2644082B2 (ja) | 医科用および歯科用硬化性材料 | |
JPS6368173A (ja) | 骨、歯牙等の充填用組成物 | |
JPH04114655A (ja) | 医療用硬化組成物 | |
JP2670676B2 (ja) | 生体親和性セメント組成物 | |
JPH0331470B2 (ja) | ||
JPH0717430B2 (ja) | 水硬性リン酸カルシウムセメント組成物 | |
JP2956250B2 (ja) | 生体用リン酸カルシウムセメント | |
JPH0335944B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080122 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090122 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |