本発明の一態様の発光デバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1の層と、を有する。第1の層は、第1の電極および第2の電極の間に挟まれる領域を備え、第1の層は、発光性の材料、第1の材料および第2の材料を含む。第1の材料は、第1のアントラセン骨格およびヘテロ芳香族骨格を備え、第2の材料は、第2のアントラセン骨格および置換基を備える。
これにより、信頼性を向上することができる。または、駆動電圧の上昇を抑制しながら、信頼性を向上することができる。その結果、利便性、有用性または信頼性に優れた新規な発光デバイスを提供することができる。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイスの構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は本発明の一態様の発光デバイスの構成を説明する図である。
<発光デバイスの構成例1>
本実施の形態で説明する発光デバイス150は、電極101と、電極102と、層111と、を有する(図1参照)。なお、発光デバイス150は、光EL1を射出する。
層111は電極101および電極102の間に挟まれる領域を備え、層111は発光性の材料D、第1の材料H1および第2の材料H2を含む。
《第1の材料H1》
第1の材料H1は第1のアントラセン骨格および置換基R11を備え、置換基R11は第1のアントラセン骨格と結合し、置換基R11は複素芳香環を含む。
例えば、第1のアントラセン骨格およびカルバゾール骨格を備える化合物を、第1の材料H1に用いることができる。具体的には、第1のアントラセン骨格の9位または10位に、カルバゾール骨格を備える置換基を有する化合物を、第1の材料H1に用いることができる。
これにより、信頼性を向上することができる。または、正孔輸送性を高めることができる。または、駆動電圧の上昇を抑制することができる。その結果、利便性、有用性または信頼性に優れた新規な発光デバイスを提供することができる。
また、例えば、置換基R11は、ジベンゾ[c,g]カルバゾール骨格を含み、下記一般式(R11)で示すことができる。
ただし、上記一般式(R11)において、R111乃至R122は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基および置換または無置換の炭素数6乃至60の芳香族炭化水素基のいずれかを表す。
これにより、HOMO準位を浅くすることができる。または、正孔を入りやすくすることができる。または、正孔輸送性を高めることができる。または、駆動電圧の上昇を抑制することができる。または、耐熱性を高めることができる。その結果、利便性、有用性または信頼性に優れた新規な発光デバイスを提供することができる。
また、例えば、下記一般式(H11)で示すことができる材料を、第1の材料H1に用いることができる。
ただし、上記一般式(H11)において、R101乃至R129は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基および置換または無置換の炭素数6乃至60の芳香族炭化水素基のいずれかを表す。
例えば、構造式を以下で示す、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、9−〔4−(3−フェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル〕−10−フェニルアントラセン(略称:CzPAP)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]ベンゾ[c]−7H−カルバゾール(略称:cBCzPA)、5−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−5H−ナフト[2,3−c]カルバゾール(略称:cNCzPA)、9−〔3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル〕−9H−カルバゾール(略称:mCzPA)、9−[4−(2,9−ジフェニル−10−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:2Ph−CzPA)、7−[4−(2,9−ジフェニル−10−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:2Ph−cgDBCzPA)、5−フェニル−12−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−5,12−ジヒドロ−インドロ[3,2−a]カルバゾール(略称:ICzPA)、9−フェニル−9’−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,3’−ビ(9H−カルバゾール)(略称:PCCPA)、9−フェニル−9’−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,2’−ビ−9H−カルバゾール(略称:PCCPA−02)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−3,9’−ビ−9H−カルバゾール(略称:CzCzPA)、9−[4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−フェニル]4−フェニル−9H−カルバゾール(略称:CzPAP−03)、9−[4−(3,10−ジフェニルアントラセン−9−イル)−フェニル]4−フェニル−9H−カルバゾール(略称:2ph−CzPAP−03)、9−[4−(6−フェニル−13,13−ジメチル−13H−インデノ[1,2−b]アントラセン−11−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzIda)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−トリベンゾ[a,c]カルバゾール(略称:acDBCzPA)、7,10−ジヒドロ−10,10−ジメチル−7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]ベンゾ[c]インデノ[1,2−g]カルバゾール(略称:BINCzPA)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9−(9−フェニル−9H−カルバゾール−2−イル)−7H−ベンゾ[c]カルバゾール(略称:PCcBCzPA−02)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−7H−ベンゾ[c]カルバゾール(略称:PCcBCzPA)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−トリベンゾ[a,c,g]カルバゾール(略称:acgTBCzPA)、3−〔4−(1−ナフチル)フェニル〕−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPAαNP)、2−フェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPAPII)、9−[4−(2,10−ジフェニルアントラセン−9−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:3Ph−CzPA)、7−[4−(2,10−ジフェニルアントラセン−9−イル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:3Ph−cgDBCzPA)、11−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−11H−ベンゾ[a]カルバゾール(略称:aBCzPA)などを第1の材料H1に用いることができる。
また、例えば、第1のアントラセン骨格の1位または5位に、カルバゾール骨格を備える置換基を有する化合物を、第1の材料H1に用いることができる。
具体的には、構造式を以下で示す、1,5−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−9,10−ジフェニルアントラセン(略称:1,5CzP2PA)、などを第1の材料H1に用いることができる。
なお、特に、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)を、第1の材料H1に好適に用いることができる。
また、例えば、第1のアントラセン骨格およびフラン骨格を備える化合物を、第1の材料H1に用いることができる。具体的には、第1のアントラセン骨格の9位または10位に、フラン骨格を備える置換基を有する化合物を、第1の材料H1に用いることができる。
例えば、構造式を以下で示す、6−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:BnfPA)、6−[3−(10−ジフェニル−9−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:mBnfPA)、8−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:BnfPA−02)、10−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]フェナントロ[9,10−d]フラン(略称:mBpfPA)などを第1の材料H1に用いることができる。
また、例えば、第1のアントラセン骨格の2位に、フラン骨格を備える置換基を有する化合物を、第1の材料H1に用いることができる。
具体的には、構造式を以下で示す、4−{3−[9,10−ジ(1−ナフチル)−2−アントリル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:2mDBfPαDNA)、2−{3−[9,10−ジ(1−ナフチル)−2−アントリル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:2mDBfPαDNA−02)、4−{3−[9,10−ジ(2−ナフチル)−2−アントリル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:2mDBfPβDNA)、4−{3−[9,10−ビス(3−ビフェニルイル)−2−アントリル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:2mDBfP−mBP2A)、10−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]フェナントロ[9,10−d]フラン(略称:2mBpfPPA)、6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2mBnfPPA)、2−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA)、4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA−III)、4−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2DBFPPA−II)、4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA−II)、6−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2BnfPA)などを第1の材料H1に用いることができる。
また、例えば、第1のアントラセン骨格およびチオフェン骨格を備える化合物を、第1の材料H1に用いることができる。具体的には、第1のアントラセン骨格の9位または10位に、チオフェン骨格を備える置換基を有する化合物を、第1の材料H1に用いることができる。
例えば、構造式を以下で示す、4−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPA−II)などを第1の材料H1に用いることができる。
また、例えば、第1のアントラセン骨格の2位に、チオフェン骨格を備える置換基を有する化合物を、第1の材料H1に用いることができる。
具体的には、構造式を以下で示す、4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:2mDBTPPA−II)、4−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:2DBTPPA−II)などを第1の材料H1に用いることができる。
《第2の材料H2》
第2の材料H2は、第2のアントラセン骨格、置換基R21および置換基R22を備える。置換基R21は第2のアントラセン骨格と結合し、置換基R21は環構造が炭素のみで構成された芳香環を含み、置換基R22は第2のアントラセン骨格と結合し、置換基R22は環構造が炭素のみで構成された芳香環を含み、置換基R22は、置換基R21とは異なる構造を備える。
なお、第2の材料H2は、第2のアントラセン骨格の長軸を回転軸にして、非対称な構造を備え、また、置換基R21および置換基R22は、第2のアントラセン骨格と結合し、炭素原子および水素原子のみを含む。また、本明細書において、第2の材料H2の構造式を、第2のアントラセン骨格の長軸を回転軸にして360°回転させたときに、はじめて自らと重なることができる構造を、「アントラセン骨格の長軸を回転軸にして、非対称な構造」という。
また、置換基R21または置換基R22の少なくともいずれかが、ナフタレン環を含む材料、または、置換基R21および置換基R22の両方が、ナフタレン環を含む材料を第2の材料H2に用いることができる。
また、好ましくは、第2の材料H2は、第1の材料H1より電子輸送性が低い。
これにより、信頼性を向上することができる。または、駆動電圧の上昇を抑制しながら、信頼性を向上することができる。その結果、利便性、有用性または信頼性に優れた新規な発光デバイスを提供することができる。
例えば、第2のアントラセン骨格の9位に置換基R21を備え、10位に置換基R21とは異なる構造の置換基R22を備える化合物を、第2の材料H2に用いることができる。
例えば、下記一般式(H21)で示すことができる材料を第2の材料H2に用いることができる。
ただし、上記一般式(H21)において、R202は、水素または環構造が炭素で構成された芳香環を含む置換基であり、R210は、環構造が炭素で構成された芳香環を含む置換基であり、R202またはR210の少なくとも一方はナフタレン環を含み、R202およびR210を除くR201乃至R218は、はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基および置換または無置換の炭素数6乃至60の芳香族炭化水素基のいずれかを表す。
具体的には、構造式を以下で示す、9−(1−ナフチル)−10−[4−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN−βNPAnth)、9−(1−ナフチル)−10−(2−ナフチル)アントラセン(略称:α,β−ADN)、9−(3,5−ジフェニルフェニル)−10−ナフタレン−2−イルアントラセン(略称:H2−14)、9−(3,5−ジフェニルフェニル)−10−ナフタレン−1−イルアントラセン(略称:H2−15)、9−(3,5−ジフェニルフェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:H2−16)、9−[3,5−ビス(3−メチルフェニル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:H2−17)、9−(2−ナフチル)−10−フェニルアントラセン(略称:H2−18)、9−(1−ナフチル)−10−フェニルアントラセン(略称:H2−19)、9−(3,5−ジナフタレン−1−イルフェニル)−10−(6−フェニルナフタレン−2−イル)アントラセン(略称:H2−20)、9−[3,5−bis(3−メチルフェニル)フェニル]−10−(6−フェニルナフタレン−2−イル)アントラセン(略称:H2−21)、9−ナフタレン−1−イル−10−(6−フェニルナフタレン−2−イル)アントラセン(略称:H2−22)、9−(3,5−ジナフタレン−1−イルフェニル)−10−ナフタレン−1−イルアントラセン(略称:H2−23)、9−(3,5−ジナフタレン−1−イルフェニル)−10−ナフタレン−2−イルアントラセン(略称:H2−24)などを第2の材料H2に用いることができる。
また、例えば、第2のアントラセン骨格の9位に第1の置換基を備え、10位に第1の置換基とは異なる構造の第2の置換基を備えるだけでなく、第2のアントラセン骨格の2位に、第3の置換基を備える化合物を、第2の材料H2に用いることができる。
例えば、構造式を以下で示す、9−(1−ナフチル)−2−(2−ナフチル)−10−フェニルアントラセン(略称:2βN−αNPhA)、2,9−ジ(1−ナフチル)−10−フェニルアントラセン(略称:2αN−αNPhA)、2,10−(1−ナフチル)−9−フェニルアントラセン(略称:3αN−αNPhA)、9−(1−ナフチル)−10−フェニル−2−(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:2MeαN−αNPhA)、9−(1−ナフチル)−10−フェニル−2−(5−フェニル−1−ナフチル)アントラセン(略称:2PαN−αNPhA)、2,9−(1−ナフチル)−10−(4−ビフェニリル)アントラセン(略称:2αN−αNBPhA)、2−(1−ナフチル)−9−(5−フェニル−1−ナフチル)−10−フェニルアントラセン(略称:2αN−PαNPhA)、4−[10−(2−ナフチル)−9−フェニル−2−アントリル]ベンゾ[a]アントラセン(略称:3aBA−βNPhA)、4−[9−(2−ナフチル)−10−フェニル−2−アントリル]ベンゾ[a]アントラセン(略称:2aBA−βNPhA)、4−[10−(1−ナフチル)−9−フェニル−2−アントリル]ベンゾ[a]アントラセン(略称:3aBA−αNPhA)、4−[9−(1−ナフチル)−10−フェニル−2−アントリル]ベンゾ[a]アントラセン(略称:2aBA−αNPhA)などを、第2の材料H2に用いることができる。
なお、特に、9−(1−ナフチル)−10−[4−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN−βNPAnth)および2,9−ジ(1−ナフチル)−10−フェニルアントラセン(略称:2αN−αNPhA)から選ばれる一を、第2の材料H2に好適に用いることができる。
《発光性の材料D》
発光性の材料Dは、青色の蛍光を発する。例えば、発光スペクトルの極大を、波長435nm以上500nm以下の範囲、好ましくは波長435nm以上490nm以下の範囲、より好ましくは波長435nm以上480nm以下の範囲に備える材料を、発光性の材料Dに用いることができる。具体的には、芳香族ジアミンまたは複素芳香族ジアミンを、発光性の材料Dに用いることができる。
例えば、3,10−ビス[N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−2−イル)−N−フェニルアミノ]ナフト[2,3−b;6,7−b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)−02)を発光性の材料Dに用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイス150の構成について、図1を参照しながら説明する。
<発光デバイス150の構成例>
本実施の形態で説明する発光デバイス150は、電極101と、電極102と、ユニット103と、を有する。
<ユニット103の構成例>
ユニット103は、層111、層112および層113を備える(図1参照)。なお、層111は、層112および層113の間に挟まれる領域を備える。例えば、実施の形態1において説明する構成を、層111に用いることができる。
《層112の構成例》
層112は、電極101および層111の間に挟まれる領域を備える。なお、層111に含まれる発光性の材料が備えるバンドギャップより大きいバンドギャップを備える物質を、層112に用いる構成が好ましい。これにより、層111において生じる励起子から層112へのエネルギー移動を、抑制することができる。また、例えば、正孔輸送性を有する材料を、層112に用いることができる。層112を正孔輸送層ということができる。
[正孔輸送性を有する材料]
正孔輸送性を有する材料としては、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有していることが好ましい。例えば、芳香族アミン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物、チオフェン骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物等を用いることができる。
例えば、層111に用いることができる正孔輸送性を有する材料を、層112に用いることができる。具体的には、ホスト材料に用いることができる正孔輸送性を有する材料を、層112に用いることができる。
また、正孔輸送性を有する材料としては、アミン化合物またはπ電子過剰型複素芳香環骨格を有する有機化合物が好ましい。例えば、芳香族アミン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物、チオフェン骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物等を用いることができる。
芳香族アミン骨格を有する化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)、等を用いることができる。
カルバゾール骨格を有する化合物としては、例えば、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCCP)、等を用いることができる。
チオフェン骨格を有する化合物としては、例えば、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)、等を用いることができる。
フラン骨格を有する化合物としては、例えば、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)、等を用いることができる。
上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物またはカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。
《層113の構成例》
層113は、層111および電極102の間に挟まれる領域を備える。なお、層111に含まれる発光性の材料が有するバンドギャップより大きいバンドギャップを有する物質を、層113に用いる構成が好ましい。これにより、層111において生じる励起子から層113へのエネルギー移動を、抑制することができる。また、例えば、電子輸送性を有する材料を、層113に用いることができる。層113を電子輸送層ということができる。
[電子輸送性を有する材料]
電子輸送性を有する材料としては、電界強度[V/cm]の平方根が600における電子移動度が1×10−7cm2/Vs以上、5×10−5cm2/Vs以下であることが好ましい。電子輸送層における電子の輸送性を抑制することにより、発光層への電子の注入量を制御することができる。または、発光層が電子過多の状態になることを防ぐことができる。
例えば、層111に用いることができる電子輸送性を有する材料を、層113に用いることができる。具体的には、ホスト材料に用いることができる電子輸送性を有する材料を、層113に用いることができる。
また、アントラセン骨格を有する有機化合物を、電子輸送性を有する材料に用いることができる。特に、アントラセン骨格と複素環骨格の両方を含む有機化合物を好適に用いることができる。
例えば、アントラセン骨格と含窒素5員環骨格の両方を含む有機化合物またはアントラセン骨格と含窒素6員環骨格の両方を含む有機化合物を用いることができる。または、2つの複素原子を環に含む含窒素5員環骨格とアントラセン骨格の両方を含む有機化合物または2つの複素原子を環に含む含窒素6員環骨格を有する有機化合物を用いることができる。具体的には、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環等を当該複素環骨格に好適に用いることができる。
アルカリ金属、アルカリ金属化合物またはアルカリ金属錯体と、電子輸送性を有する物質を含む材料を、電子輸送性を有する材料に用いることができる。特に、正孔注入層の複合材料にHOMO準位が−5.7eV以上−5.4eV以下の比較的深いHOMO準位を有する物質を用いる場合に、発光デバイスの信頼性を向上することができる。なお、電子輸送性を有する材料のHOMO準位が−6.0eV以上であるとより好ましい。
例えば、8−ヒドロキシキノリナト構造を含むことが好ましい。具体的には、8−ヒドロキシキノリナト−リチウム(略称:Liq)、8−ヒドロキシキノリナト−ナトリウム(略称:Naq)等を用いることができる。
特に、一価の金属イオンの錯体、中でもリチウムの錯体が好ましく、Liqがより好ましい。なお、8−ヒドロキシキノリナト構造を含む場合、そのメチル置換体(例えば2−メチル置換体または5−メチル置換体)等を用いることもできる。また、電子輸送層中においてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の単体、化合物もしくは錯体は、その厚さ方向において濃度差(0である場合も含む)が存在することが好ましい。
また、電子輸送性を有する材料としては、金属錯体またはπ電子不足型複素芳香環骨格を有する有機化合物が好ましい。π電子不足型複素芳香環骨格を有する有機化合物としては、例えば、ポリアゾール骨格を有する複素環化合物、ジアジン骨格を有する複素環化合物、ピリジン骨格を有する複素環化合物が好ましい。特に、ジアジン骨格を有する複素環化合物またはピリジン骨格を有する複素環化合物は、信頼性が良好であり好ましい。また、ジアジン(ピリミジンまたはピラジン)骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧を低減することができる。
金属錯体としては、例えば、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)、等を用いることができる。
ポリアゾール骨格を有する複素環化合物としては、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)、等を用いることができる。
ジアジン骨格を有する複素環化合物としては、例えば、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6−ビス[3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm−II)、4,8−ビス[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ベンゾ[h]キナゾリン(略称:4,8mDBtP2Bqn)、等を用いることができる。
ピリジン骨格を有する複素環化合物としては、例えば、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、等を用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイス150の構成について、図1を参照しながら説明する。
<発光デバイス150の構成例>
本実施の形態で説明する発光デバイス150は、電極101と、電極102と、ユニット103と、層104と、層105と、を有する。例えば、実施の形態2において説明する構成を、ユニット103に用いることができる。
《電極101の構成例》
金属、合金、導電性化合物およびこれらの混合物などを、電極101に用いることができる。例えば、4.0eV以上の仕事関数を備える材料を好適に用いることができる。
例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ(ITSO)、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等を用いることができる。
また、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いることができる。または、グラフェンを用いることができる。
《電極102の構成例》
電極102は電極101と重なる領域を備える。例えば、導電性材料を電極102に用いることができる。具体的には、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを電極102に用いることができる。例えば、電極101より仕事関数が小さい材料を電極102に用いることができる。具体的には、3.8eV以下の仕事関数を備える材料を好適に用いることができる。
例えば、元素周期表の第1族に属する元素、元素周期表の第2族に属する元素、希土類金属およびこれらを含む合金を、電極102に用いることができる。
具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)等、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)を、電極102に用いることができる。
《層104の構成例》
層104は電極101およびユニット103の間に挟まれる領域を備える。なお、層104を正孔注入層ということができる。例えば、正孔注入性を有する材料を、層104に用いることができる。
具体的には、アクセプタ性を有する物質および複合材料を層104に用いることができる。なお、有機化合物および無機化合物を、アクセプタ性を有する物質に用いることができる。電界の印加により、アクセプタ性を有する物質は、隣接する正孔輸送層(あるいは正孔輸送材料)から電子を引き抜くことができる。
[正孔注入性を有する材料の例1]
アクセプタ性を有する物質を、正孔注入性を有する材料に用いることができる。これにより、例えば、電極101から正孔を注入しやすくすることができる。または、発光デバイスの駆動電圧を小さくすることができる。
例えば、電子吸引基(ハロゲン基またはシアノ基)を有する化合物を、アクセプタ性を有する物質に用いることができる。なお、アクセプタ性を有する有機化合物は蒸着が容易で成膜がしやすい。これにより、発光デバイスの生産性を高めることができる。
具体的には、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT−CN)、1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロテトラシアノ−ナフトキノジメタン(略称:F6−TCNNQ)、2−(7−ジシアノメチレン−1,3,4,5,6,8,9,10−オクタフルオロ−7H−ピレン−2−イリデン)マロノニトリル等を、正孔注入性を有する材料に用いることができる。
特に、HAT−CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。
また、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基またはシアノ基)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましい。
具体的にはα,α’,α’’−1,2,3−シクロプロパントリイリデントリス[4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’−1,2,3−シクロプロパントリイリデントリス[2,6−ジクロロ−3,5−ジフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’−1,2,3−シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]等を用いることができる。
また、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を、アクセプタ性を有する物質に用いることができる。
また、フタロシアニン(略称:H2Pc)および銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の錯体化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン骨格を有する化合物を用いることができる。
また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等を用いることができる。
[正孔注入性を有する材料の例2]
複合材料を、正孔注入性を有する材料に用いることができる。例えば、正孔輸送性を有する材料にアクセプタ性を有する物質を含有させた複合材料を用いることができる。これにより、電極を形成する材料を、仕事関数に依らず広い範囲で選ぶことができる。または、仕事関数が大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を電極101に用いることができる。
種々の有機化合物を、複合材料の正孔輸送性を有する材料に用いることができる。例えば、芳香族アミン骨格を有する化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)などを、複合材料の正孔輸送性を有する材料に用いることができる。なお、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質を好適に用いることができる。
また、例えば、HOMO準位が−5.7eV以上−5.4eV以下の比較的深いHOMO準位を有する物質を、複合材料の正孔輸送性を有する材料に好適に用いることができる。これにより、正孔輸送層への正孔の注入を容易にすることができる。または、発光デバイスの信頼性を向上することができる。
芳香族アミン骨格を有する化合物としては、例えば、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、等を用いることができる。
カルバゾール誘導体としては、例えば、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン、等を用いることができる。
芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、等を用いることができる。
ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)、等を用いることができる。
例えば、ペンタセン、コロネン、等も用いることができる。
高分子化合物としては、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)、等を用いることができる。
また、例えば、カルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格およびアントラセン骨格のいずれかを備える物質を、複合材料の正孔輸送性を有する材料に好適に用いることができる。また、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環を含む置換基を有する芳香族アミン、ナフタレン環を有する芳香族モノアミン、または9−フルオレニル基がアリーレン基を介してアミンの窒素に結合する芳香族モノアミンを備える物質を用いることができる。なお、N,N−ビス(4−ビフェニル)アミノ基を有する物質を用いると、発光デバイスの信頼性を向上することができる。
これらの複合材料の正孔輸送性を有する材料としては、例えば、N−(4−ビフェニル)−6,N−ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BnfABP)、N,N−ビス(4−ビフェニル)−6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BBABnf)、4,4’−ビス(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−アミン(略称:BBABnf(6))、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BBABnf(8))、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3−d]フラン−4−アミン(略称:BBABnf(II)(4))、N,N−ビス[4−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−4−アミノ−p−ターフェニル(略称:DBfBB1TP)、N−[4−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−N−フェニル−4−ビフェニルアミン(略称:ThBA1BP)、4−(2−ナフチル)−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNB)、4−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNBi)、4,4’−ジフェニル−4’’−(6;1’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7;1’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7−フェニル)ナフチル−2−イルトリフェニルアミン(略称:BBAPβNB−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(6;2’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7;2’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(4;2’−ビナフチル−1−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB)、4,4’−ジフェニル−4’’−(5;2’−ビナフチル−1−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB−02)、4−(4−ビフェニリル)−4’−(2−ナフチル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNB)、4−(3−ビフェニリル)−4’−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mTPBiAβNBi)、4−(4−ビフェニリル)−4’−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNBi)、4−フェニル−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBA1BP)、4,4’−ビス(1−ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBB1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−[4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェニル−4−イル]トリフェニルアミン(略称:YGTBi1BP)、4’−[4−(3−フェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]トリス(1,1’−ビフェニル−4−イル)アミン(略称:YGTBi1BP−02)、4−ジフェニル−4’−(2−ナフチル)−4’’−{9−(4−ビフェニリル)カルバゾール}トリフェニルアミン(略称:YGTBiβNB)、N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9,9’−スピロビ(9H−フルオレン)−2−アミン(略称:PCBNBSF)、N,N−ビス(4−ビフェニリル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:BBASF)、N,N−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−4−アミン(略称:BBASF(4))、N−(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ(9H−フルオレン)−4−アミン(略称:oFBiSF)、N−(4−ビフェニル)−N−(ジベンゾフラン−4−イル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:FrBiF)、N−[4−(1−ナフチル)フェニル]−N−[3−(6−フェニルジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−1−ナフチルアミン(略称:mPDBfBNBN)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−[4−(9−フェニルフルオレン−9−イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−4−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−3−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−2−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−1−アミン、等を用いることができる。
[正孔注入性を有する材料の例3]
正孔輸送性を有する材料と、アクセプタ性を有する物質と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物とを、含む複合材料を、正孔注入性を有する材料に用いることができる。特に、原子比率において、フッ素原子が20%以上である複合材料を好適に用いることができる。これにより、層111の屈折率を低下することができる。または、発光デバイスの内部に屈折率の低い層を形成することができる。または、発光デバイスの外部量子効率を向上することができる。
《層105の構成例》
層105はユニット103および電極102の間に挟まれる領域を備える。例えば、電子注入性を有する材料を、層105に用いることができる。具体的には、ドナー性を有する物質を、層105に用いることができる。または、電子輸送性を有する材料にドナー性を有する物質を含有させた複合材料を、層105に用いることができる。これにより、例えば、電極102から電子を注入しやすくすることができる。または、発光デバイスの駆動電圧を小さくすることができる。または、仕事関数の大小に関わらず、様々な導電性材料を電極102に用いることができる。具体的には、Al、Ag、ITO、ケイ素または酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズなどを、電極102に用いることができる。
[電子注入性を有する材料1]
例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属またはそれらの化合物を、ドナー性を有する物質に用いることができる。または、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を、ドナー性を有する物質に用いることもできる。
具体的には、アルカリ金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)等を、電子注入性を有する材料に用いることができる。
具体的には、酸化リチウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、炭酸リチウム、炭酸セシウム、8−ヒドロキシキノリナト−リチウム(略称:Liq)等を、電子注入性を有する材料に用いることができる。
[電子注入性を有する材料2]
例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物と、電子輸送性を有する物質とを含む複合材料を、電子注入性を有する材料に用いることができる。
例えば、ユニット103に用いることができる電子輸送性を有する材料を、電子注入性を有する材料に用いることができる。
また、微結晶状態のアルカリ金属のフッ化物と、電子輸送性を有する物質を含む材料または微結晶状態のアルカリ土類金属のフッ化物と、電子輸送性を有する物質を含む材料を、電子注入性を有する材料に用いることができる。
特に、アルカリ金属のフッ化物またはアルカリ土類金属のフッ化物を50wt%以上含む材料を好適に用いることができる。または、ビピリジン骨格を有する有機化合物を好適に用いることができる。これにより、層104の屈折率を低下することができる。または、発光デバイスの外部量子効率を向上することができる。
[電子注入性を有する材料3]
また、エレクトライドを、電子注入性を有する材料に用いることができる。例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等を、電子注入性を有する材料に用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイス150の構成について、図2(A)を参照しながら説明する。
図2(A)は図1に図示する構成とは異なる構成を備える本発明の一態様の発光デバイスの構成を説明する断面図である。
<発光デバイス150の構成例>
また、本実施の形態で説明する発光デバイス150は、電極101と、電極102と、ユニット103と、中間層106を有する(図2(A)参照)。なお、例えば、実施の形態1乃至実施の形態3において説明する構成の一部を、発光デバイス150に用いることができる。
《中間層106の構成例》
中間層106はユニット103および電極102の間に挟まれる領域を備え、中間層106は層106Aおよび層106Bを備える。
《層106Aの構成例》
層106Aはユニット103および層106Bの間に挟まれる領域を備える。なお、層106Aを、例えば、電子リレー層ということができる。
例えば、電子輸送性を有する物質を電子リレー層に用いることができる。これにより、電子リレー層の陽極側に接する層を、電子リレー層の陰極側に接する層から遠ざけることができる。または、電子リレー層の陽極側に接する層と、電子リレー層の陰極側に接する層の間の相互作用を軽減することができる。または、電子リレー層の陽極側に接する層に電子をスムーズに供給することができる。
例えば、電子輸送性を有する物質を電子リレー層に好適に用いることができる。具体的には、正孔注入性を有する材料に例示する複合材料のアクセプタ性を有する物質のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位と、電子リレー層の陰極側と接する層に含まれる物質のLUMO準位の間に、LUMO準位を備える物質を、電子リレー層に好適に用いることができる。
例えば、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を備える、電子輸送性を有する物質を、電子リレー層に用いることができる。
具体的には、フタロシアニン系の材料を電子リレー層に用いることができる。または、金属−酸素結合および芳香族配位子を有する金属錯体を電子リレー層に用いることができる。
《層106Bの構成例》
層106Bを、例えば、電荷発生層ということができる。電荷発生層は、電圧を加えることにより、陽極側に電子を供給し、陰極側に正孔を供給する機能を備える。具体的には、陽極側に配置されるユニット103に電子を供給することができる。
また、例えば、正孔注入性を有する材料に例示する複合材料を、電荷発生層に用いることができる。また、例えば、当該複合材料を含む膜と、正孔輸送性を有する材料を含む膜を積層した積層膜を、電荷発生層に用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイス150の構成について、図2(B)を参照しながら説明する。
図2(B)は図1および図2(A)に図示する構成とは異なる構成を備える本発明の一態様の発光デバイスの構成を説明する断面図である。
<発光デバイス150の構成例>
本実施の形態で説明する発光デバイス150は、電極101と、電極102と、ユニット103と、中間層106と、ユニット103(12)を有する(図2(B)参照)。なお、発光デバイス150は、光EL1および光EL1(2)を射出する。また、中間層106および複数のユニットを備える構成を、積層型の発光デバイスまたはタンデム型の発光デバイスという場合がある。これにより、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能にすることができる。または、信頼性を向上することができる。または、同一の輝度で比較して駆動電圧を低減することができる。または、消費電力を抑制することができる。
《ユニット103(12)の構成例》
ユニット103(12)は、中間層106および電極102の間に挟まれる領域を備える。
ユニット103に用いることができる構成を、ユニット103(12)に用いることができる。言い換えると、発光デバイス150は、積層された複数のユニットを有する。なお、積層された複数のユニットの数は2に限られず、3以上のユニットを積層することができる。
ユニット103と同一の構成をユニット103(12)に用いることができる。または、ユニット103とは異なる構成をユニット103(12)に用いることができる。
例えば、ユニット103の発光色とは異なる発光色の構成を、ユニット103(12)に用いることができる。具体的には、赤色の光および緑色の光を射出するユニット103と、青色の光を射出するユニット103(12)を用いることができる。これにより、所望の色の光を射出する発光デバイスを提供することができる。または、例えば、白色の光を射出する発光デバイスを提供することができる。
《中間層106の構成例》
中間層106は、ユニット103またはユニット103(12)の一方に電子を供給し、他方に正孔を供給する機能を備える。例えば、実施の形態4で説明する中間層106を用いることができる。
<発光デバイス150の作製方法>
例えば、乾式法、湿式法、蒸着法、液滴吐出法、塗布法または印刷法等を用いて、電極101、電極102、ユニット103、中間層106、およびユニット103(12)の各層を形成することができる。また、異なる方法を各構成の形成に用いることができる。
具体的には、真空蒸着装置、インクジェット装置、スピンコーターなどのコーティング装置、グラビア印刷装置、オフセット印刷装置、スクリーン印刷装置などを用いて発光デバイス150を作製することができる。
例えば、金属材料のペーストを用いる湿式法またはゾル−ゲル法を用いて、電極を形成することができる。具体的には、酸化インジウムに対し1wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いて、スパッタリング法により、酸化インジウム−酸化亜鉛膜を形成することができる。また、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5wt%以上5wt%以下、酸化亜鉛を0.1wt%以上1wt%以下含有したターゲットを用いて、スパッタリング法により酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)膜を形成することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光パネル700の構成について、図3を参照しながら説明する。
<発光パネル700の構成例>
本実施の形態で説明する発光パネル700は、発光デバイス150と、発光デバイス150(2)とを有する(図3)。なお、発光デバイス150は光EL1を射出し、発光デバイス150(2)は、光EL2を射出する。
例えば、実施の形態1乃至実施の形態5のいずれか一において説明する発光デバイスを、発光デバイス150に用いることができる。
<発光デバイス150(2)の構成例>
本実施の形態で説明する発光デバイス150(2)は、電極101(2)と、電極102と、ユニット103(2)と、を有する(図3参照)。
《ユニット103(2)の構成例》
ユニット103(2)は電極101(2)および電極102の間に挟まれる領域を備える。また、ユニット103(2)は層111(2)を備える。
ユニット103(2)は単層構造または積層構造を備える。例えば、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、キャリアブロック層、励起子ブロック層および電荷発生層などの機能層から選択した層を、ユニット103(2)に用いることができる。
ユニット103(2)は、一方の電極から注入された電子が他方の電極から注入された正孔と再結合する領域を備える。例えば、電極101(2)から注入された正孔が電極102から注入された電子と再結合する領域を備える。
《層111(2)の構成例1》
層111(2)は、発光性の材料およびホスト材料を含む。なお、層111(2)を発光層ということができる。正孔と電子が再結合する領域に層111(2)を配置する構成が好ましい。これにより、キャリアの再結合により生じるエネルギーを、効率よく光にして射出することができる。また、電極等に用いる金属から遠ざけて層111(2)を配置する構成が好ましい。これにより、電極等に用いる金属による消光現象を抑制することができる。
例えば、蛍光発光物質、りん光発光物質または熱活性化遅延蛍光(TADF)を示す物質を、発光性の材料に用いることができる。これにより、キャリアの再結合により生じたエネルギーを、発光性の材料から光として放出することができる。
[蛍光発光物質]
蛍光発光物質を層111(2)に用いることができる。例えば、以下に例示する蛍光発光物質を層111(2)に用いることができる。なお、これに限定されず、さまざまな公知の蛍光性発光物質を層111(2)に用いることができる。
具体的には、5,6−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6−ビス[4’−(10−フェニル−9−アントリル)ビフェニル−4−イル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、N,N’−(ピレン−1,6−ジイル)ビス[(6,N−ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン)−8−アミン](略称:1,6BnfAPrn−03)、3,10−ビス[N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−2−イル)−N−フェニルアミノ]ナフト[2,3−b;6,7−b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)−02)、3,10−ビス[N−(ジベンゾフラン−3−イル)−N−フェニルアミノ]ナフト[2,3−b;6,7−b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10FrA2Nbf(IV)−02)、等を用いることができる。
なお、特に、1,6FLPAPrn、1,6mMemFLPAPrn、1,6BnfAPrn−03のようなピレンジアミン化合物に代表される縮合芳香族ジアミン化合物は、ホールトラップ性が高く、発光効率または信頼性に優れているため好ましい。
[りん光発光物質1]
また、りん光発光物質を層111(2)に用いることができる。例えば、以下に例示するりん光発光物質を層111(2)に用いることができる。なお、これに限定されず、さまざまな公知のりん光性発光物質を層111(2)に用いることができる。
具体的には、4H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を層111(2)に用いることができる。具体的には、トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz−dmp)3])、トリス(5−メチル−3,4−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)3])、トリス[4−(3−ビフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz−3b)3])、等を用いることができる。
また、例えば、1H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を用いることができる。具体的には、トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1−mp)3])、トリス(1−メチル−5−フェニル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1−Me)3])、等を用いることができる。
また、例えば、イミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を用いることができる。具体的には、fac−トリス[1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)3])、トリス[3−(2,6−ジメチルフェニル)−7−メチルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt−Me)3])、等を用いることができる。
また、例えば、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体等を用いることができる。具体的には、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CF3ppy)2(pic)])、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、等を用いることができる。
なお、これらは青色のりん光発光を示す化合物であり、440nmから520nmに発光波長のピークを有する化合物である。
[りん光発光物質2]
また、例えば、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を層111(2)に用いることができる。具体的には、トリス(4−メチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)3])、トリス(4−t−ブチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)3])、(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6−(2−ノルボルニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5−メチル−6−(2−メチルフェニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])、等を用いることができる。
また、例えば、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を用いることができる。具体的には、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−Me)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−iPr)2(acac)])、等を用いることができる。
また、例えば、ピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を用いることができる。具体的には、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)2(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)2(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)3])、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)3])、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)2(acac)])、[2−d3−メチル−(2−ピリジニル−κN)ベンゾフロ[2,3−b]ピリジン−κC]ビス[2−(5−d3−メチル−2−ピリジル−κN2)フェニル−κ]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mppy−d3)2(mbfpypy−d3)])、[2−d3−メチル−(2−ピリジニル−κN)ベンゾフロ[2,3−b]ピリジン−κC]ビス[2−(2−ピリジニル−κN)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)2(mbfpypy−d3)])、等を用いることができる。
また、例えば、希土類金属錯体等を用いることができる。具体的には、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])、などが挙げられる。
なお、これらは主に緑色のりん光発光を示す化合物であり、500nmから600nmに発光波長のピークを有する。また、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性または発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
[りん光発光物質3]
また、例えば、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を層111(2)に用いることができる。具体的には、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dibm)])、ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dpm)])、ビス[4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)2(dpm)])、等を用いることができる。
また、例えば、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を用いることができる。具体的には、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)2(acac)])、等を用いることができる。
また、例えば、ピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体等を用いることができる。具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)3])、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)2(acac)])、等を用いることができる。
また、例えば、白金錯体等を用いることができる。具体的には、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、等を用いることができる。
また、例えば、希土類金属錯体等を用いることができる。具体的には、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)3(Phen)])、等を用いることができる。
なお、これらは、赤色のりん光発光を示す化合物であり、600nmから700nmに発光のピークを有する。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、表示装置に良好に用いることができる色度の赤色発光が得られる。
[熱活性化遅延蛍光(TADF)を示す物質]
熱活性化遅延蛍光(TADF)を示す物質(TADF材料ともいう)を層111(2)に用いることができる。例えば、以下に例示するTADF材料を層111(2)に用いることができる。なお、これに限定されず、さまざまな公知のTADF材料を層111(2)に用いることができる。
例えば、フラーレン及びその誘導体、アクリジン及びその誘導体、エオシン誘導体等をTADF材料に用いることができる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンをTADF材料に用いることができる。
具体的には、構造式を以下に示す、プロトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル−フッ化スズ錯体(SnF2(Copro III−4Me))、オクタエチルポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(OEP))、エチオポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン−塩化白金錯体(PtCl2OEP)、等を用いることができる。
また、例えば、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環の一方または両方を有する複素環化合物をTADF材料に用いることができる。
具体的には、構造式を以下に示す、2−(ビフェニル−4−イル)−4,6−ビス(12−フェニルインドロ[2,3−a]カルバゾール−11−イル)−1,3,5−トリアジン(略称:PIC−TRZ)、9−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール(略称:PCCzTzn)、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2−[4−(10H−フェノキサジン−10−イル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PXZ−TRZ)、3−[4−(5−フェニル−5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル)フェニル]−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール(略称:PPZ−3TPT)、3−(9,9−ジメチル−9H−アクリジン−10−イル)−9H−キサンテン−9−オン(略称:ACRXTN)、ビス[4−(9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC−DPS)、10−フェニル−10H,10’H−スピロ[アクリジン−9,9’−アントラセン]−10’−オン(略称:ACRSA)、等を用いることができる。
該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が共に高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格のうち、ピリジン骨格、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、およびトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため好ましい。特に、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格はアクセプタ性が高く、信頼性が良好なため好ましい。
また、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の少なくとも一を有することが好ましい。なお、フラン骨格としてはジベンゾフラン骨格が、チオフェン骨格としてはジベンゾチオフェン骨格が、それぞれ好ましい。また、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾール骨格、インドロカルバゾール骨格、ビカルバゾール骨格、3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール骨格が特に好ましい。
なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環の電子供与性とπ電子不足型複素芳香環の電子受容性が共に強くなり、S1準位とT1準位のエネルギー差が小さくなるため、熱活性化遅延蛍光を効率よく得られることから特に好ましい。なお、π電子不足型複素芳香環の代わりに、シアノ基のような電子吸引基が結合した芳香環を用いても良い。また、π電子過剰型骨格として、芳香族アミン骨格、フェナジン骨格等を用いることができる。
また、π電子不足型骨格として、キサンテン骨格、チオキサンテンジオキサイド骨格、オキサジアゾール骨格、トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、アントラキノン骨格、フェニルボランおよびボラントレン等の含ホウ素骨格、ベンゾニトリルまたはシアノベンゼン等のニトリル基またはシアノ基を有する芳香環または複素芳香環、ベンゾフェノン等のカルボニル骨格、ホスフィンオキシド骨格、スルホン骨格等を用いることができる。
このように、π電子不足型複素芳香環およびπ電子過剰型複素芳香環の少なくとも一方の代わりにπ電子不足型骨格およびπ電子過剰型骨格を用いることができる。
なお、TADF材料とは、S1準位とT1準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起エネルギーから一重項励起エネルギーへエネルギーを変換することができる機能を有する材料である。そのため、三重項励起エネルギーをわずかな熱エネルギーによって一重項励起エネルギーにアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態を効率よく生成することができる。また、三重項励起エネルギーを発光に変換することができる。
また、2種類の物質で励起状態を形成する励起錯体(エキサイプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)は、S1準位とT1準位との差が極めて小さく、三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換することが可能なTADF材料としての機能を有する。
なお、T1準位の指標としては、低温(例えば77Kから10K)で観測されるりん光スペクトルを用いればよい。TADF材料としては、その蛍光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをS1準位とし、りん光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをT1準位とした際に、そのS1とT1の差が0.3eV以下であることが好ましく、0.2eV以下であることがさらに好ましい。
また、TADF材料を発光物質として用いる場合、ホスト材料のS1準位はTADF材料のS1準位より高い方が好ましい。また、ホスト材料のT1準位はTADF材料のT1準位より高いことが好ましい。
《層111(2)の構成例2》
キャリア輸送性を備える材料をホスト材料に用いることができる。例えば、正孔輸送性を有する材料、電子輸送性を有する材料、TADF材料、アントラセン骨格を有する材料および混合材料等をホスト材料に用いることができる。
[正孔輸送性を有する材料]
例えば、層112に用いることができる正孔輸送性を有する材料を、層111に用いることができる。具体的には、実施の形態2で説明する正孔輸送性を有する材料を、ホスト材料に用いることができる。
[電子輸送性を有する材料]
例えば、層113に用いることができる電子輸送性を有する材料を、層111に用いることができる。具体的には、実施の形態2で説明する電子輸送性を有する材料を、ホスト材料に用いることができる。
[TADF材料]
先に例示したTADF材料を、ホスト材料に用いることができる。TADF材料をホスト材料に用いると、TADF材料で生成した三重項励起エネルギーが、逆項間交差によって一重項励起エネルギーに変換され、さらに発光物質へエネルギー移動することで、発光デバイスの発光効率を高めることができる。このとき、TADF材料がエネルギードナーとして機能し、発光物質がエネルギーアクセプターとして機能する。
これは、上記発光物質が蛍光発光物質である場合に、非常に有効である。また、このとき、高い発光効率を得るためには、TADF材料のS1準位は、蛍光発光物質のS1準位より高いことが好ましい。また、TADF材料のT1準位は、蛍光発光物質のS1準位より高いことが好ましい。したがって、TADF材料のT1準位は、蛍光発光物質のT1準位より高いことが好ましい。
また、蛍光発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような波長の発光を呈するTADF材料を用いることが好ましい。そうすることで、TADF材料から蛍光発光物質への励起エネルギーの移動がスムーズとなり、効率よく発光が得られるため、好ましい。
また、効率よく三重項励起エネルギーから逆項間交差によって一重項励起エネルギーが生成されるためには、TADF材料でキャリア再結合が生じることが好ましい。また、TADF材料で生成した三重項励起エネルギーが蛍光発光物質の三重項励起エネルギーに移動しないことが好ましい。そのためには、蛍光発光物質は、蛍光発光物質が有する発光団(発光の原因となる骨格)の周囲に保護基を有すると好ましい。該保護基としては、π結合を有さない置換基が好ましく、飽和炭化水素が好ましく、具体的には炭素数3以上10以下のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素数3以上10以下のトリアルキルシリル基が挙げられ、保護基が複数あるとさらに好ましい。π結合を有さない置換基は、キャリアを輸送する機能に乏しいため、キャリア輸送またはキャリア再結合に影響をほとんど与えずに、TADF材料と蛍光発光物質の発光団との距離を遠ざけることができる。
ここで、発光団とは、蛍光発光物質において発光の原因となる原子団(骨格)を指す。発光団は、π結合を有する骨格が好ましく、芳香環を含むことが好ましく、縮合芳香環または縮合複素芳香環を有すると好ましい。
縮合芳香環または縮合複素芳香環としては、フェナントレン骨格、スチルベン骨格、アクリドン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格等が挙げられる。特にナフタレン骨格、アントラセン骨格、フルオレン骨格、クリセン骨格、トリフェニレン骨格、テトラセン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、クマリン骨格、キナクリドン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格を有する蛍光発光物質は蛍光量子収率が高いため好ましい。
[アントラセン骨格を有する材料]
蛍光発光物質を発光物質として用いる場合、ホスト材料としては、アントラセン骨格を有する材料が好適である。アントラセン骨格を有する物質を蛍光発光物質のホスト材料として用いると、発光効率、耐久性共に良好な発光層を実現することが可能である。
ホスト材料として用いるアントラセン骨格を有する物質としては、ジフェニルアントラセン骨格、特に9,10−ジフェニルアントラセン骨格を有する物質が化学的に安定であるため好ましい。また、ホスト材料がカルバゾール骨格を有する場合、正孔の注入・輸送性が高まるため好ましいが、カルバゾールにベンゼン環がさらに縮合したベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾールよりもHOMOが0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなるためより好ましい。
特に、ホスト材料がジベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾールよりもHOMOが0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなる上に、正孔輸送性にも優れ、耐熱性も高くなるため好適である。したがって、さらにホスト材料として好ましいのは、9,10−ジフェニルアントラセン骨格およびカルバゾール骨格(あるいはベンゾカルバゾール骨格またはジベンゾカルバゾール骨格)を同時に有する物質である。なお、上記の正孔注入・輸送性の観点から、カルバゾール骨格に換えて、ベンゾフルオレン骨格またはジベンゾフルオレン骨格を用いてもよい。
アントラセン骨格を有する物質としては、例えば、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、3−[4−(1−ナフチル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPN)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9−フェニル−10−{4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ビフェニル−4’−イル}アントラセン(略称:FLPPA)、9−(1−ナフチル)−10−[4−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN−βNPAnth)、等を用いることができる。
特に、CzPA、cgDBCzPA、2mBnfPPA、PCzPAは非常に良好な特性を示す。
[混合材料の構成例1]
また、複数種の物質を混合した材料を、ホスト材料に用いることができる。例えば、電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料とを混合した材料を、ホスト材料に好適に用いることができる。電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料を混合することによって、層111(2)のキャリア輸送性を容易に調整することができる。また、再結合領域の制御も簡便に行うことができる。混合した材料に含まれる正孔輸送性を有する材料と電子輸送性を有する材料の重量比は、正孔輸送性を有する材料:電子輸送性を有する材料=1:19以上19:1以下とすればよい。
[混合材料の構成例2]
また、りん光発光物質を混合した材料を、ホスト材料に用いることができる。りん光発光物質は、発光物質として蛍光発光物質を用いる際に蛍光発光物質へ励起エネルギーを供与するエネルギードナーとして用いることができる。
また、励起錯体を形成する材料を含む混合材料を、ホスト材料に用いることができる。例えば、形成される励起錯体の発光スペクトルが、発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なる材料を、ホスト材料に用いることができる。これにより、エネルギー移動がスムーズとなり、発光効率を向上することができる。または、駆動電圧を抑制できることができる。
なお、励起錯体を形成する材料の少なくとも一方は、りん光発光物質であってもよい。そうすることで、三重項励起エネルギーを逆項間交差によって効率よく一重項励起エネルギーへ変換することができる。
効率よく励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性を有する材料のHOMO準位が電子輸送性を有する材料のHOMO準位以上であると好ましい。また、正孔輸送性を有する材料のLUMO準位が電子輸送性を有する材料のLUMO準位以上であると好ましい。なお、材料のLUMO準位およびHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位および酸化電位)から導出することができる。
なお、励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性を有する材料の発光スペクトル、電子輸送性を有する材料の発光スペクトル、およびこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長シフトする(あるいは長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。あるいは、正孔輸送性を有する材料の過渡フォトルミネッセンス(PL)、電子輸送性を有する材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、あるいは遅延成分の割合が大きくなるなどの過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性を有する材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いた発光装置について説明する。
本実施の形態では、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いて作製された発光装置について図4を用いて説明する。なお、図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA−BおよびC−Dで切断した断面図である。この発光装置は、発光デバイスの発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース線駆動回路601)、画素部602、駆動回路部(ゲート線駆動回路603)を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース線駆動回路601及びゲート線駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース線駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
素子基板610はガラス、石英、有機樹脂、金属、合金、半導体などからなる基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル樹脂等からなるプラスチック基板を用いて作製すればよい。
画素または駆動回路に用いられるトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、逆スタガ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型のトランジスタでもボトムゲート型トランジスタでもよい。トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、窒化ガリウム等を用いることができる。または、In−Ga−Zn系金属酸化物などの、インジウム、ガリウム、亜鉛のうち少なくとも一つを含む酸化物半導体を用いてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
ここで、上記画素または駆動回路に設けられるトランジスタの他、後述するタッチセンサ等に用いられるトランジスタなどの半導体装置には、酸化物半導体を適用することが好ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの広い酸化物半導体を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ状態における電流を低減できる。
上記酸化物半導体は、少なくともインジウム(In)又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、In−M−Zn系酸化物(MはAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記される酸化物を含む酸化物半導体であることがより好ましい。
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面、または半導体層の上面に対し垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界を有さない酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
半導体層としてこのような材料を用いることで、電気特性の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
また、上述の半導体層を有するトランジスタはその低いオフ電流により、トランジスタを介して容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各表示領域に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消費電力の低減された電子機器を実現できる。
トランジスタの特性安定化等のため、下地膜を設けることが好ましい。下地膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を用い、単層で又は積層して作製することができる。下地膜はスパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(プラズマCVD法、熱CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法など)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、塗布法、印刷法等を用いて形成できる。なお、下地膜は、必要で無ければ設けなくてもよい。
なお、FET623はソース線駆動回路601に形成されるトランジスタの一つを示すものである。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成すれば良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用FET611と、電流制御用FET612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成されているが、これに限定されず、3つ以上のFETと、容量素子とを組み合わせた画素部としてもよい。
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成することができる。
また、後に形成するEL層等の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm以上3μm以下)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、ネガ型の感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したインジウム錫酸化物膜、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、実施の形態1乃至6のいずれか一で説明したような構成を含んでいる。また、EL層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、EL層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金または化合物(MgAg、MgIn、AlLi等)等)を用いることが好ましい。なお、EL層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617でもって、発光デバイスが形成されている。当該発光デバイスは実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスである。なお、画素部は複数の発光デバイスが形成されてなっているが、本実施の形態における発光装置では、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスと、それ以外の構成を有する発光デバイスの両方が混在していても良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光デバイス618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素またはアルゴン等)が充填される場合の他、シール材で充填される場合もある。封止基板には凹部を形成し、そこに乾燥材を設けることで水分の影響による劣化を抑制することができ、好ましい構成である。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂またはガラスフリットを用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分または酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板または石英基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル樹脂等からなるプラスチック基板を用いることができる。
図4には示されていないが、第2の電極上に保護膜を設けても良い。保護膜は有機樹脂膜または無機絶縁膜で形成すればよい。また、シール材605の露出した部分を覆うように、保護膜が形成されていても良い。また、保護膜は、一対の基板の表面及び側面、封止層、絶縁層、等の露出した側面を覆って設けることができる。
保護膜には、水などの不純物を透過しにくい材料を用いることができる。したがって、水などの不純物が外部から内部に拡散することを効果的に抑制することができる。
保護膜を構成する材料としては、酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物、三元化合物、金属またはポリマー等を用いることができ、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムシリケート、酸化ランタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化エルビウム、酸化バナジウムまたは酸化インジウム等を含む材料、窒化アルミニウム、窒化ハフニウム、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化モリブデン、窒化ジルコニウムまたは窒化ガリウム等を含む材料、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む酸化物、アルミニウムおよび亜鉛を含む酸化物、マンガンおよび亜鉛を含む硫化物、セリウムおよびストロンチウムを含む硫化物、エルビウムおよびアルミニウムを含む酸化物、イットリウムおよびジルコニウムを含む酸化物等を含む材料を用いることができる。
保護膜は、段差被覆性(ステップカバレッジ)の良好な成膜方法を用いて形成することが好ましい。このような手法の一つに、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法がある。ALD法を用いて形成することができる材料を、保護膜に用いることが好ましい。ALD法を用いることで緻密な、クラックまたはピンホールなどの欠陥が低減された、または均一な厚さを備える保護膜を形成することができる。また、保護膜を形成する際に加工部材に与える損傷を、低減することができる。
例えばALD法を用いて保護膜を形成することで、複雑な凹凸形状を有する表面、タッチパネルの上面、側面及び裏面にまで均一で欠陥の少ない保護膜を形成することができる。
以上のようにして、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いて作製された発光装置を得ることができる。
本実施の形態における発光装置は、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは発光効率が良好なため、消費電力の小さい発光装置とすることが可能である。
図5には白色発光を呈する発光デバイスを形成し、着色層(カラーフィルタ)等を設けることによってフルカラー化した発光装置の例を示す。図5(A)には基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光デバイスの第1の電極1024W、1024R、1024G、1024B、隔壁1025、EL層1028、発光デバイスの第2の電極1029、封止基板1031、シール材1032などが図示されている。
また、図5(A)では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)は透明な基材1033に設けている。また、ブラックマトリクス1035をさらに設けても良い。着色層及びブラックマトリクスが設けられた透明な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及びブラックマトリクス1035は、オーバーコート層1036で覆われている。また、図5(A)においては、光が着色層を透過せずに外部へと出る発光層と、各色の着色層を透過して外部に光が出る発光層とがあり、着色層を透過しない光は白、着色層を透過する光は赤、緑、青となることから、4色の画素で映像を表現することができる。
図5(B)では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)をゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例を示した。このように、着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられていても良い。
また、以上に説明した発光装置では、FETが形成されている基板1001側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としたが、封止基板1031側に発光を取り出す構造(トップエミッション型)の発光装置としても良い。トップエミッション型の発光装置の断面図を図6に示す。この場合、基板1001は光を通さない基板を用いることができる。FETと発光デバイスの陽極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトムエミッション型の発光装置と同様に形成する。その後、第3の層間絶縁膜1037を、電極1022を覆って形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜と同様の材料の他、他の公知の材料を用いて形成することができる。
発光デバイスの第1の電極1024W、1024R、1024G、1024Bはここでは陽極とするが、陰極であっても構わない。また、図6のようなトップエミッション型の発光装置である場合、第1の電極を反射電極とすることが好ましい。EL層1028の構成は、実施の形態1乃至6のいずれか一においてユニット103として説明したような構成とし、且つ、白色の発光が得られるような素子構造とする。
図6のようなトップエミッションの構造では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うことができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するようにブラックマトリクス1035を設けても良い。着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)またはブラックマトリックスはオーバーコート層1036によって覆われていても良い。なお封止基板1031は透光性を有する基板を用いることとする。また、ここでは赤、緑、青、白の4色でフルカラー表示を行う例を示したが特に限定されず、赤、黄、緑、青の4色または赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行ってもよい。
トップエミッション型の発光装置では、マイクロキャビティ構造の適用が好適に行える。マイクロキャビティ構造を有する発光デバイスは、第1の電極を反射電極、第2の電極を半透過・半反射電極とすることにより得られる。反射電極と半透過・半反射電極との間には少なくともEL層を有し、少なくとも発光領域となる発光層を有している。
なお、反射電極は、可視光の反射率が40%乃至100%、好ましくは70%乃至100%であり、かつその抵抗率が1×10−2Ωcm以下の膜であるとする。また、半透過・半反射電極は、可視光の反射率が20%乃至80%、好ましくは40%乃至70%であり、かつその抵抗率が1×10−2Ωcm以下の膜であるとする。
EL層に含まれる発光層から射出される発光は、反射電極と半透過・半反射電極とによって反射され、共振する。
当該発光デバイスは、透明導電膜または上述の複合材料、キャリア輸送材料などの厚みを変えることで反射電極と半透過・半反射電極の間の光学的距離を変えることができる。これにより、反射電極と半透過・半反射電極との間において、共振する波長の光を強め、共振しない波長の光を減衰させることができる。
なお、反射電極によって反射されて戻ってきた光(第1の反射光)は、発光層から半透過・半反射電極に直接入射する光(第1の入射光)と大きな干渉を起こすため、反射電極と発光層の光学的距離を(2n−1)λ/4(ただし、nは1以上の自然数、λは増幅したい発光の波長)に調節することが好ましい。当該光学的距離を調節することにより、第1の反射光と第1の入射光との位相を合わせ発光層からの発光をより増幅させることができる。
なお、上記構成においてEL層は、複数の発光層を有する構造であっても、単一の発光層を有する構造であっても良く、例えば、上述のタンデム型発光デバイスの構成と組み合わせて、一つの発光デバイスに電荷発生層を挟んで複数のEL層を設け、それぞれのEL層に単数もしくは複数の発光層を形成する構成に適用してもよい。
マイクロキャビティ構造を有することで、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。なお、赤、黄、緑、青の4色の副画素で映像を表示する発光装置の場合、黄色発光による輝度向上効果のうえ、全副画素において各色の波長に合わせたマイクロキャビティ構造を適用できるため良好な特性の発光装置とすることができる。
本実施の形態における発光装置は、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは発光効率が良好なため、消費電力の小さい発光装置とすることが可能である。
ここまでは、アクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、以下からはパッシブマトリクス型の発光装置について説明する。図7には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置を示す。なお、図7(A)は、発光装置を示す斜視図、図7(B)は図7(A)をX−Yで切断した断面図である。図7において、基板951上には、電極952と電極956との間にはEL層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光デバイスの不良を防ぐことが出来る。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いており、信頼性の良好な発光装置、又は消費電力の小さい発光装置とすることができる。
以上、説明した発光装置は、マトリクス状に配置された多数の微小な発光デバイスをそれぞれ制御することが可能であるため、画像の表現を行う表示装置として好適に利用できる発光装置である。
また、本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを照明装置として用いる例を、図8を参照しながら説明する。図8(B)は照明装置の上面図、図8(A)は図8(B)におけるe−f断面図である。
本実施の形態における照明装置は、支持体である透光性を有する基板400上に、第1の電極401が形成されている。第1の電極401は実施の形態1乃至6のいずれか一における電極101に相当する。第1の電極401側から発光を取り出す場合、第1の電極401は透光性を有する材料により形成する。
第2の電極404に電圧を供給するためのパッド412が基板400上に形成される。
第1の電極401上にはEL層403が形成されている。EL層403は実施の形態1乃至6のいずれか一におけるユニット103の構成、又はユニット103(2)、層104、層105および中間層106を合わせた構成などに相当する。なお、これらの構成については当該記載を参照されたい。
EL層403を覆って第2の電極404を形成する。第2の電極404は実施の形態1乃至6のいずれか一における電極102に相当する。発光を第1の電極401側から取り出す場合、第2の電極404は反射率の高い材料によって形成される。第2の電極404はパッド412と接続することによって、電圧が供給される。
以上、第1の電極401、EL層403、及び第2の電極404を有する発光デバイスを本実施の形態で示す照明装置は有している。当該発光デバイスは発光効率の高い発光デバイスであるため、本実施の形態における照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
以上の構成を有する発光デバイスが形成された基板400と、封止基板407とをシール材405、406を用いて固着し、封止することによって照明装置が完成する。シール材405、406はどちらか一方でもかまわない。また、内側のシール材406(図8(B)では図示せず)には乾燥剤を混ぜることもでき、これにより、水分を吸着することができ、信頼性の向上につながる。
また、パッド412と第1の電極401の一部をシール材405、406の外に伸張して設けることによって、外部入力端子とすることができる。また、その上にコンバーターなどを搭載したICチップ420などを設けても良い。
以上、本実施の形態に記載の照明装置は、EL素子に実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いており、消費電力の小さい照明装置とすることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスをその一部に含む電子機器の例について説明する。実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは発光効率が良好であり、消費電力の小さい発光デバイスである。その結果、本実施の形態に記載の電子機器は、消費電力が小さい発光部を有する電子機器とすることが可能である。
上記発光デバイスを適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を以下に示す。
図9(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、表示部7103は、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスをマトリクス状に配列して構成されている。
テレビジョン装置の操作は、筐体7101が備える操作スイッチまたは、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルまたは音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置は、受信機またはモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図9(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、このコンピュータは、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスをマトリクス状に配列して表示部7203に用いることにより作製される。図9(B)のコンピュータは、図9(C)のような形態であっても良い。図9(C)のコンピュータは、キーボード7204、ポインティングデバイス7206の代わりに第2の表示部7210が設けられている。第2の表示部7210はタッチパネル式となっており、第2の表示部7210に表示された入力用の表示を指または専用のペンで操作することによって入力を行うことができる。また、第2の表示部7210は入力用表示だけでなく、その他の画像を表示することも可能である。また表示部7203もタッチパネルであっても良い。二つの画面がヒンジで接続されていることによって、収納または運搬をする際に画面を傷つける、破損するなどのトラブルの発生も防止することができる。
図9(D)は、携帯端末の一例を示している。携帯電話機は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機は、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスをマトリクス状に配列して作製された表示部7402を有している。
図9(D)に示す携帯端末は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる構成とすることもできる。この場合、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯端末内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯端末の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌または指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図10(A)は、掃除ロボットの一例を示す模式図である。
掃除ロボット5100は、上面に配置されたディスプレイ5101、側面に配置された複数のカメラ5102、ブラシ5103、操作ボタン5104を有する。また図示されていないが、掃除ロボット5100の下面には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット5100は、その他に赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなどの各種センサを備えている。また、掃除ロボット5100は、無線による通信手段を備えている。
掃除ロボット5100は自走し、ゴミ5120を検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
また、掃除ロボット5100はカメラ5102が撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシ5103に絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシ5103の回転を止めることができる。
ディスプレイ5101には、バッテリーの残量、吸引したゴミの量などを表示することができる。掃除ロボット5100が走行した経路をディスプレイ5101に表示させてもよい。また、ディスプレイ5101をタッチパネルとし、操作ボタン5104をディスプレイ5101に設けてもよい。
掃除ロボット5100は、スマートフォンなどの携帯電子機器5140と通信することができる。カメラ5102が撮影した画像は、携帯電子機器5140に表示させることができる。そのため、掃除ロボット5100の持ち主は、外出先からでも、部屋の様子を知ることができる。また、ディスプレイ5101の表示をスマートフォンなどの携帯電子機器5140で確認することもできる。
本発明の一態様の発光装置はディスプレイ5101に用いることができる。
図10(B)に示すロボット2100は、演算装置2110、照度センサ2101、マイクロフォン2102、上部カメラ2103、スピーカ2104、ディスプレイ2105、下部カメラ2106および障害物センサ2107、移動機構2108を備える。
マイクロフォン2102は、使用者の話し声及び環境音等を検知する機能を有する。また、スピーカ2104は、音声を発する機能を有する。ロボット2100は、マイクロフォン2102およびスピーカ2104を用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
ディスプレイ2105は、種々の情報の表示を行う機能を有する。ロボット2100は、使用者の望みの情報をディスプレイ2105に表示することが可能である。ディスプレイ2105は、タッチパネルを搭載していてもよい。また、ディスプレイ2105は取り外しのできる情報端末であっても良く、ロボット2100の定位置に設置することで、充電およびデータの受け渡しを可能とする。
上部カメラ2103および下部カメラ2106は、ロボット2100の周囲を撮像する機能を有する。また、障害物センサ2107は、移動機構2108を用いてロボット2100が前進する際の進行方向における障害物の有無を察知することができる。ロボット2100は、上部カメラ2103、下部カメラ2106および障害物センサ2107を用いて、周囲の環境を認識し、安全に移動することが可能である。本発明の一態様の発光装置はディスプレイ2105に用いることができる。
図10(C)はゴーグル型ディスプレイの一例を表す図である。ゴーグル型ディスプレイは、例えば、筐体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、接続端子5006、センサ5007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、表示部5002、支持部5012、イヤホン5013等を有する。
本発明の一態様の発光装置は表示部5001および表示部5002に用いることができる。
図11は、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを、照明装置である電気スタンドに用いた例である。図11に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002としては、実施の形態8に記載の照明装置を用いても良い。
図12は、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを、室内の照明装置3001として用いた例である。実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは発光効率の高い発光デバイスであるため、消費電力の小さい照明装置とすることができる。また、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは、薄型であるため、薄型化した照明装置として用いることが可能となる。
実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは、自動車のフロントガラスまたはダッシュボードにも搭載することができる。図13に実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを自動車のフロントガラスまたはダッシュボードに用いる一態様を示す。表示領域5200乃至表示領域5203は実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いて設けられた表示領域である。
表示領域5200と表示領域5201は自動車のフロントガラスに設けられた実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを搭載した表示装置である。実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスは、第1の電極と第2の電極を透光性を有する電極で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる。シースルー状態の表示であれば、自動車のフロントガラスに設置したとしても、視界の妨げになることなく設置することができる。なお、駆動のためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料による有機トランジスタまたは酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いると良い。
表示領域5202はピラー部分に設けられた実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを搭載した表示装置である。表示領域5202には、車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。また、同様に、ダッシュボード部分に設けられた表示領域5203は車体によって遮られた視界を、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。見えない部分を補完するように映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
表示領域5203はまたナビゲーション情報、速度計、回転計、走行距離、燃料計、ギア状態、空調の設定などを表示することで、その他様々な情報を提供することができる。表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目またはレイアウトを変更することができる。なお、これら情報は表示領域5200乃至表示領域5202にも設けることができる。また、表示領域5200乃至表示領域5203は照明装置として用いることも可能である。
また、図14(A)乃至図14(C)に、折りたたみ可能な携帯情報端末9310を示す。図14(A)に展開した状態の携帯情報端末9310を示す。図14(B)に展開した状態又は折りたたんだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の携帯情報端末9310を示す。図14(C)に折りたたんだ状態の携帯情報端末9310を示す。携帯情報端末9310は、折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。
表示パネル9311はヒンジ9313によって連結された3つの筐体9315に支持されている。なお、表示パネル9311は、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。また、表示パネル9311は、ヒンジ9313を介して2つの筐体9315間を屈曲させることにより、携帯情報端末9310を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。本発明の一態様の発光装置を表示パネル9311に用いることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態6に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
以上の様に実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを備えた発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。実施の形態1乃至6のいずれか一に記載の発光デバイスを用いることにより消費電力の小さい電子機器を得ることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイス1および発光デバイス2の構造、作製方法および特性について、図15乃至図29を用いて説明する。
図15は、作製した発光デバイスの構成を説明する断面図である。
図16は、発光デバイス1の電流密度−輝度特性を説明する図である。
図17は、発光デバイス1の輝度−電流効率特性を説明する図である。
図18は、発光デバイス1の電圧−輝度特性を説明する図である。
図19は、発光デバイス1の電圧−電流特性を説明する図である。
図20は、発光デバイス1の輝度−外部量子効率特性を説明する図である。なお、発光デバイスの配光特性がランバーシアン型と仮定して、正面で観測した輝度と発光スペクトルから外部量子効率を算出した。
図21は、発光デバイス1を1000cd/m2の輝度で発光させた際の発光スペクトルを説明する図である。
図22は、発光デバイス2の電流密度−輝度特性を説明する図である。
図23は、発光デバイス2の輝度−電流効率特性を説明する図である。
図24は、発光デバイス2の電圧−輝度特性を説明する図である。
図25は、発光デバイス2の電圧−電流特性を説明する図である。
図26は、発光デバイス2の輝度−外部量子効率特性を説明する図である。なお、発光デバイスの配光特性がランバーシアン型と仮定して、正面で観測した輝度と発光スペクトルから外部量子効率を算出した。
図27は、発光デバイス2を1000cd/m2の輝度で発光させた際の発光スペクトルを説明する図である。
図28は、50mA/cm2の一定の電流密度で発光デバイス1を発光させた場合の規格化輝度−時間変化特性を説明する図である。なお、50mA/cm2の一定の電流密度で比較発光デバイスを発光させた場合の規格化輝度−時間変化特性も示す。
図29は、50mA/cm2の一定の電流密度で発光デバイス2を発光させた場合の規格化輝度−時間変化特性を説明する図である。なお、50mA/cm2の一定の電流密度で比較発光デバイスを発光させた場合の規格化輝度−時間変化特性も示す。
<発光デバイス1>
本実施例で説明する作製した発光デバイス1は、第1の電極101と、第2の電極102と、層111と、を有し、層111は第1の電極101および第2の電極102の間に挟まれる領域を備える(図15参照)。なお、層111は、発光性の材料D、第1の材料H1および第2の材料H2を含む。また、発光デバイス1は、光EL1を射出する。
第1の材料H1はアントラセン骨格および置換基R11を備え、置換基R11はアントラセン骨格と結合し、置換基R11は複素芳香環を含む。また、第2の材料H2は、アントラセン骨格、置換基R21および置換基R22を備える。置換基R21はアントラセン骨格と結合し、置換基R21は環構造が炭素のみで構成された芳香環を含む。また、置換基R22はアントラセン骨格と結合し、置換基R22は環構造が炭素のみで構成された芳香環を含み、置換基R22は、前記置換基R21とは異なる構造を備える。
《発光デバイス1の構成》
発光デバイス1の構成を表1に示す。また、本実施例で説明する発光デバイスに用いた材料の構造式を以下に示す。
《発光デバイス1の作製方法》
下記のステップを有する方法を用いて、本実施例で説明する発光デバイス1を作製した。
[第1のステップ]
第1のステップにおいて、電極101を基材の上に形成した。具体的には、ターゲットにケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ(ITSO)を用い、スパッタリング法を用いて形成した。
なお、電極101は、110nmの厚さと、4mm2(2mm×2mm)の面積を備える。
次いで、電極101が形成された基材を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基材を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った。その後、基材を30分程度放冷した。
[第2のステップ]
第2のステップにおいて、層104を電極101の上に形成した。具体的には、真空蒸着装置内を10−4Paに減圧した後、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、層104は、oFBiSF(2)および電子アクセプタ材料(略称:OCHD−001)を、oFBiSF(2):OCHD−001=1:0.03(重量比)で含み、10nmの厚さを備える。なお、OCHD−001はアクセプタ性を有する。
[第3のステップ]
第3のステップにおいて、層112aを層104の上に形成し、層112bを層112aの上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、それぞれの材料を蒸着した。
なお、層112aはoFBiSF(2)を含み、90nmの厚さを備える。また、層112bはN,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BBABnf(8))を含み、10nmの厚さを備える。
[第4のステップ]
第4のステップにおいて、層111を層112bの上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、層111は、cgDBCzPA、αN−βNPAnthおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を、cgDBCzPA:αN−βNPAnth:3,10PCA2Nbf(IV)−02=0.5:0.5:0.015(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
[第5のステップ]
第5のステップにおいて、層113aを層111の上に形成し、層113bを層113aの上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、それぞれ材料を蒸着した。
なお、層113aは、4−[3,5−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−2−フェニル−6−(1,1’−ビフェニル−4−イル)ピリミジン(略称:6BP−4Cz2PPm)を含み、10nmの厚さを備える。また、層113bは、2−[3−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−5−(9−フェナントレニル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mPn−mDMePyPTzn)およびLiqを、mPn−mDMePyPTzn:Liq=1:1(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
[第6のステップ]
第6のステップにおいて、層105を層113bの上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を蒸着した。
なお、層105は、Liqを含み1nmの厚さを備える。
[第7のステップ]
第7のステップにおいて、電極102を層105の上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を蒸着した。
なお、電極102は、アルミニウムAlを含み、200nmの厚さを備える。
《発光デバイス1の動作特性》
発光デバイス1の動作特性を測定した(図16乃至図21参照)。なお、測定は室温で行った。
発光デバイス1を輝度1000cd/m2程度で発光させた場合の、主な初期特性を表2に示す。
発光デバイス1は、良好な特性を示すことがわかった。例えば、1000cd/m2の輝度で発光するのに要する電圧は比較発光デバイスとほぼ同等であったが、外部量子効率は比較発光デバイスより向上していた。また、50mA/cm2の一定の電流密度で発光デバイス1を発光させた場合、比較発光デバイスに比べて、輝度の低下が少なかった(図28参照)。
<発光デバイス2>
発光デバイス2の構成を表3に示す。本実施例で説明する作製した発光デバイス2は、層111がαN−βNPAnthに換えて2αN−αNPhAを含む点が、発光デバイス1とは異なる。ここでは、異なる部分について詳細に説明し、同様の構成を用いた部分については、上記の説明を援用する。
《発光デバイス2の作製方法》
下記のステップを有する方法を用いて、発光デバイス2を作製した。
なお、発光デバイス2の作製方法は、層111を形成するステップでαN−βNPAnthに換えて2αN−αNPhAを用いる点が、発光デバイス1の作製方法とは異なる。ここでは、異なる部分について詳細に説明し、同様の方法を用いた部分については、上記の説明を援用する。
[第4のステップ]
第4のステップにおいて、層111を層112bの上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、層111は、cgDBCzPA、2αN−αNPhAおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を、cgDBCzPA:2αN−αNPhA:3,10PCA2Nbf(IV)−02=0.5:0.5:0.015(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
《発光デバイス2の動作特性》
発光デバイス2の動作特性を測定した(図22乃至図27参照)。なお、測定は室温で行った。
発光デバイス2の主な初期特性を表2に示す。
発光デバイス2は、良好な特性を示すことがわかった。例えば、1000cd/m2の輝度で発光するのに要する電圧は比較発光デバイスとほぼ同等であったが、外部量子効率は比較発光デバイスより向上していた。また、50mA/cm2の一定の電流密度で発光デバイス2を発光させた場合、比較発光デバイスに比べて、輝度の低下が少なかった(図29参照)。
(参考例1)
比較発光デバイスの構成を表4に示す。
本実施例で説明する作製した比較発光デバイスは、層111がcgDBCzPAおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を含み、第2の材料H2を用いていない点が、発光デバイス1および発光デバイス2とは異なる。ここでは、異なる部分について詳細に説明し、同様の構成を用いた部分については、上記の説明を援用する。
《比較発光デバイスの作製方法》
下記のステップを有する方法を用いて、比較発光デバイスを作製した。
なお、比較発光デバイスの作製方法は、層111を形成するステップでcgDBCzPAおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02のみを用いる点が、発光デバイス1または発光デバイス2の作製方法とは異なる。ここでは、異なる部分について詳細に説明し、同様の方法を用いた部分については、上記の説明を援用する。
[第4のステップ]
第4のステップにおいて、層111を層112bの上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、層111は、cgDBCzPAおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を、cgDBCzPA:3,10PCA2Nbf(IV)−02=1:0.015(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
《比較発光デバイスの動作特性》
比較発光デバイスの動作特性を測定した。なお、測定は室温で行った。
比較発光デバイスの主な初期特性を表2に示す。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイス3および発光デバイス4の構造、作製方法および特性について、図15、図30乃至図41を用いて説明する。
図30は、発光デバイス3および発光デバイス4の電流密度−輝度特性を説明する図である。
図31は、発光デバイス3および発光デバイス4の輝度−電流効率特性を説明する図である。
図32は、発光デバイス3および発光デバイス4の電圧−輝度特性を説明する図である。
図33は、発光デバイス3および発光デバイス4の電圧−電流特性を説明する図である。
図34は、発光デバイス3および発光デバイス4の輝度−外部量子効率特性を説明する図である。なお、発光デバイスの配光特性がランバーシアン型と仮定して、正面で観測した輝度と発光スペクトルから外部量子効率を算出した。
図35は、発光デバイス3および発光デバイス4を1000cd/m2の輝度で発光させた際の発光スペクトルを説明する図である。
図36は、50mA/cm2の一定の電流密度で発光デバイス3および発光デバイス4を発光させた場合の規格化輝度−時間変化特性を説明する図である。なお、50mA/cm2の一定の電流密度で比較発光デバイスを発光させた場合の規格化輝度−時間変化特性も示す。
図37は、最大の外部量子効率を示す条件で発光させた発光デバイスの配光特性を説明する図である。
図38は、電流密度が50mA/m2になる条件で発光させた発光デバイスの配光特性を説明する図である。
図39は、最大の外部量子効率を示す条件に相当する電圧でパルス駆動した発光デバイスの発光強度の変化を説明する図である。
図40は、電流密度が50mA/m2になる条件に相当する電圧でパルス駆動した発光デバイスの発光強度の変化を説明する図である。
図41は、層111に用いるホスト材料の組成と補正後外部量子効率の関係およびホスト材料の組成とキャリアバランス因子γの関係を説明する図である。
<発光デバイス3および発光デバイス4>
本実施例で説明する作製した発光デバイス3および発光デバイス4は、第1の電極101と、第2の電極102と、層111と、を有し、層111は第1の電極101および第2の電極102の間に挟まれる領域を備える(図15参照)。なお、層111は、発光性の材料D、第1の材料H1および第2の材料H2を含む。また、発光デバイス3および発光デバイス4は、いずれも光EL1を射出する。
第1の材料H1はアントラセン骨格および置換基R11を備え、置換基R11はアントラセン骨格と結合し、置換基R11は複素芳香環を含む。また、第2の材料H2は、アントラセン骨格、置換基R21および置換基R22を備える。置換基R21はアントラセン骨格と結合し、置換基R21は環構造が炭素のみで構成された芳香環を含む。また、置換基R22はアントラセン骨格と結合し、置換基R22は環構造が炭素のみで構成された芳香環を含み、置換基R22は、前記置換基R21とは異なる構造を備える。
《発光デバイス3および発光デバイス4の構成》
発光デバイス3および発光デバイス4の構成を表5に示す。また、本実施例で説明する発光デバイスに用いた材料の構造式を以下に示す。
《発光デバイス3および発光デバイス4の作製方法》
下記のステップを有する方法を用いて、本実施例で説明する発光デバイス3および発光デバイス4を作製した。
[第1のステップ]
第1のステップにおいて、電極101を形成した。具体的には、ターゲットにケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ(ITSO)を用いて、スパッタリング法により、形成した。
なお、電極101は、ITSOを含み、70nmの厚さと、4mm2(2mm×2mm)の面積を備える。
次いで、電極101が形成された基材を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基材を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った。その後、基材を30分程度放冷した。
[第2のステップ]
第2のステップにおいて、電極101上に層104を形成した。具体的には、真空蒸着装置内を10−4Paに減圧した後、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、層104は、PCBBiFおよびOCHD−001をPCBBiF:OCHD−001=1:0.03(重量比)で含み、10nmの厚さを備える。
[第3のステップ]
第3のステップにおいて、層104上に層112aを形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を蒸着した。
なお、層112aは、PCBBiFを含み、90nmの厚さを備える。
[第4のステップ]
第4のステップにおいて、層112a上に層112bを形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を蒸着した。
なお、層112bは、DBfBB1TPを含み、10nmの厚さを備える。
[第5のステップ]
第5のステップにおいて、層112b上に層111を形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、層111は、H1、H2およびDをH1:H2:D=x:y:0.015(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
具体的には、発光デバイス3の層111は、cgDBCzPA、αN−βNPAnthおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を、cgDBCzPA:αN−βNPAnth:3,10PCA2Nbf(IV)−02=0.5:0.5:0.015(重量比)で含む。
また、発光デバイス4の層111は、cgDBCzPA、αN−βNPAnthおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を、cgDBCzPA:αN−βNPAnth:3,10PCA2Nbf(IV)−02=0.3:0.7:0.015(重量比)で含む。
[第6のステップ]
第6のステップにおいて、層111上に層113aを形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を蒸着した。
なお、層113aは、6−(1,1’−ビフェニル−3−イル)−4−[3,5−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−2−フェニルピリミジン(略称:6mBP−4Cz2PPm)を含み、10nmの厚さを備える。
[第7のステップ]
第7のステップにおいて、層113a上に層113bを形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、層113bは、mPn−mDMePyPTznおよびLiqをmPn−mDMePyPTzn:Liq=1:1(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
[第8のステップ]
第8のステップにおいて、層113b上に層105を形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を蒸着した。
なお、層105は、Liqを含み、1nmの厚さを備える。
[第9のステップ]
第9のステップにおいて、層105上に電極102を形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を蒸着した。
なお、電極102は、Alを含み、150nmの厚さを備える。
《発光デバイス3および発光デバイス4の動作特性》
発光デバイス3および発光デバイス4の動作特性を測定した(図30乃至図36参照)。なお、測定は室温で行った。
発光デバイス3および発光デバイス4を輝度1000cd/m2程度で発光させた場合の、主な初期特性を表6に示す。
発光デバイス3および発光デバイス4は、良好な特性を示すことがわかった。特に、駆動条件1(低い輝度)よりも低い輝度領域で観測される外部量子効率の変動に着目すると、発光デバイス3は、外部量子効率が高いだけでなく、変動も小さい(図34参照)。第1の材料H1および第2の材料H2を適宜混合して層111に用いることにより、外部量子効率の輝度に対する依存性を抑制することができた。
《発光デバイス3および発光デバイス4の外部量子効率》
発光デバイス3および発光デバイス4の外部量子効率を詳細に検討した。従来の方法は、理想的なランバーシアン配光を想定し、発光デバイスの正面において観測した輝度およびスペクトルから、外部量子効率を算出する。ここでは、発光デバイスの配光特性を実測し、理想的なランバーシアン配光との差異(ランバーシアン比)を求め、ランバーシアン比を加味して正確な外部量子効率を算出した。なお、ランバーシアン比は、理想的なランバーシアン配光が描く曲線に囲まれた領域の面積に対する、実測した配光特性が描く曲線に囲まれた領域の面積の比の値である。
なお、外部量子効率を詳細に検討するにあたり、分光放射計に対して所定の角度で発光デバイスを傾けて、それぞれの角度において発光強度を測定する方法を用いて、配光特性を調べた。具体的には、分光放射計と発光デバイスが正対する位置を0°とし、−80°から+80°まで10°刻みで輝度を測定し、正対する位置において観測した発光強度を用いて、それぞれを規格化して、配光特性を求めた。なお、それぞれの発光デバイスが最大の外部量子効率を示す条件(駆動条件1)で駆動した発光デバイスの配光特性を図37に示し、電流密度が50mA/m2になる条件(駆動条件2)で駆動した発光デバイスの配光特性を図38に示す。また、測定は室温で行った。
発光デバイス3、発光デバイス4、比較発光デバイス2および比較発光デバイス3は、いずれも理想的なランバーシアン配光に比べて正面方向に強い光を放射する配光特性を備え、ランバーシアン比は1より小さい値であった。
また、外部量子効率は発光デバイスの駆動条件に依存して変化する。ここでは、駆動条件1と、駆動条件2の二つの駆動条件において、外部量子効率を比較した。駆動条件1における結果を表7に示し、駆動条件2における結果を表8に示す。
例えば、駆動条件1において、比較発光デバイス2の補正後外部量子効率に対する比の値は、発光デバイス3が1.12、発光デバイス4が1.13であった。また、駆動条件2において、発光デバイス3が1.08、発光デバイス4が1.07であった。これにより、発光デバイス3および発光デバイス4は、比較発光デバイス2および比較発光デバイス3以上の良好な特性を示すことがわかった。
《発光デバイス3および発光デバイス4のキャリアバランス因子γ》
発光デバイス3および発光デバイス4のキャリアバランス因子γを検討した。
外部量子効率EQEは、一重項励起子の生成割合αと、発光材料の量子収率φと、光の取り出し効率χと、キャリアバランス因子γの積である。
発光材料の量子収率φは、実測により0.9程度であることがわかっている。また、発光材料の分子配向を実測した結果から、光の取り出し効率χはランダム配向している場合より1.23倍程度高くなることがわかっている。一般的に光の取り出し効率は25%から30%程度とされていることを踏まえ、φとχの積を0.3と仮定した。
一重項励起子の生成割合αは次式から知ることができる。なお、次式においてxは三重項−三重項消滅収率(TTA割合)である。
ELデバイス内における正孔と電子の再結合により、一重項励起子が25%の確率で、三重項励起子が75%の確率で一般的には生成する。また、三重項励起子の一部は他の三重項励起子と相互作用し、三重項−三重項消滅(TTA:Triplet−Triplet−Annihilation)を経て、一重項励起子にアップコンバージョンすることが知られている。
寿命の長い三重項励起子を経由して生じる一重項励起子の存在は、遅延蛍光の観測により確認することができる。また、次式を観測した遅延蛍光の減衰曲線にフィッティングし、フィッティングした曲線を時間0に外挿することにより、発光デバイスから得られる全発光に占める、遅延蛍光成分の割合を知ることができる。なお、次式において、Lは規格化した発光強度を、tは駆動を停止したときからの経過時間を、表す。
なお、ピコ秒蛍光寿命システム(浜松ホトニクス社製)を用いて、遅延蛍光を測定した。具体的には、駆動条件1に相当する所定の電圧または駆動条件2に相当する所定の電圧を発光デバイスに印加した。また、矩形パルス状に電圧を印加し、100μsecの期間、所定の電圧を保持し、50μsecの期間、遅延蛍光の減衰を観測した。また、遅延蛍光の減衰を観測する期間においては、−5Vの負バイアスを印加した。測定を10Hzのサイクルで繰り返し、データを積算した。駆動条件1に相当する所定の電圧でパルス駆動した発光デバイスの発光強度を図39に示し、駆動条件2に相当する所定の電圧でパルス駆動した発光デバイスの発光強度を図40に示す。
キャリアバランス因子γは発光デバイスの駆動条件に依存して変化する。ここでは、それぞれの発光デバイスが最大の外部量子効率を示す条件(駆動条件1)と、電流密度が50mA/m2になる条件(駆動条件2)の二つの駆動条件において、キャリアバランス因子γを比較した(図41参照)。
駆動条件2において、発光デバイス3および発光デバイス4は、比較発光デバイス2に比べて、一重項励起子の生成割合αが高かった。すなわち、第1の材料H1のみを用いる場合に比べ、TTAの効率を高めることができる。また、発光デバイス3および発光デバイス4は、比較発光デバイス3に比べて良好なキャリアバランス因子γを備えていた。また、層111に第1の材料H1および第2の材料H2を混合して用いることにより、キャリアを効率よく再結合できることが確認できた。以上のことから、層111に第1の材料H1および第2の材料H2を混合して用いることにより、一重項励起子の生成率αを高めるのみならず、電流密度が高い領域でのキャリアバランス因子γも高めることができた。
(参考例2)
比較発光デバイス2および比較発光デバイス3の構成を、表5を用いて説明する。
本実施例で説明する作製した比較発光デバイス2および比較発光デバイス3は、第2の材料H2を用いていない点が、発光デバイス3および発光デバイス4とは異なる。ここでは、異なる部分について詳細に説明し、同様の構成を用いた部分については、上記の説明を援用する。
《比較発光デバイス2および比較発光デバイス3の作製方法》
下記のステップを有する方法を用いて、比較発光デバイス2および比較発光デバイス3を作製した。
なお、比較発光デバイス2の作製方法は、層111を形成するステップでcgDBCzPAおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02のみを用いる点が、発光デバイス3および発光デバイス4の作製方法とは異なる。また、比較発光デバイス3の作製方法は、層111を形成するステップでαN−βNPAnthおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02のみを用いる点が、発光デバイス3および発光デバイス4の作製方法とは異なる。ここでは、異なる部分について詳細に説明し、同様の方法を用いた部分については、上記の説明を援用する。
[第4のステップ]
第4のステップにおいて、層111を層112bの上に形成した。具体的には、抵抗加熱法を用いて、材料を共蒸着した。
なお、比較発光デバイス2の層111は、cgDBCzPAおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を、cgDBCzPA:3,10PCA2Nbf(IV)−02=1:0.015(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
また、比較発光デバイス3の層111は、αN−βNPAnthおよび3,10PCA2Nbf(IV)−02を、αN−βNPAnth:3,10PCA2Nbf(IV)−02=1:0.015(重量比)で含み、20nmの厚さを備える。
《比較発光デバイス2および比較発光デバイス3の動作特性》
比較発光デバイス2および比較発光デバイス3の動作特性を測定した。なお、測定は室温で行った。
比較発光デバイス2および比較発光デバイス3の主な初期特性を表6乃至表8に示す。