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JP2021172604A - 皮膚状態改善剤 - Google Patents

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JP2021172604A JP2020076151A JP2020076151A JP2021172604A JP 2021172604 A JP2021172604 A JP 2021172604A JP 2020076151 A JP2020076151 A JP 2020076151A JP 2020076151 A JP2020076151 A JP 2020076151A JP 2021172604 A JP2021172604 A JP 2021172604A
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秀仁 津川
Hidehito Tsugawa
直幹 加藤
Naomiki Kato
智代 平山
Tomoyo Hirayama
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Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center
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Abstract

【課題】乾燥や炎症などの皮膚状態の改善について優れたかつ持続性の高い活性成分を開発し、これを有効成分とする皮膚状態改善剤を提供すること。【解決手段】アワコガネギク生花の温水抽出物を有効成分として含有する皮膚状態改善剤、該皮膚状態改善剤を含有する医薬品、医薬部外品、化粧品。【選択図】なし

Description

本発明は、アワコガネギク生花の温水抽出物を有効成分として含有する皮膚状態改善剤、及び該皮膚状態改善剤を含む皮膚外用組成物に関する。
従来より、皮膚の乾燥状態の改善、炎症状態の改善、ツヤ・ハリの低下やシワなどの皮膚状態の改善を目的とする皮膚外用剤においては植物抽出物などの天然由来成分が用いられている。植物抽出物を皮膚外用剤に使用するにあたっては、皮膚状態の改善について優れた効果を有することはもとより、使用感が良いこと、持続性があること、製品の保存安定性や安全性に優れていることなどが必要である。
アワコガネギク(学名:Chrysanthemum boreale Makino、別名:キクタニギク)はキク科キク属に属する多年草で、国内に自生する野生ギクである。アワコガネギクは、民間療法として、乾燥花を油に付けて火傷、切り傷、打撲傷として用いられていた。アワコガネギクの精油の機能性については、抗菌活性(非特許文献1)、ケラチノサイト増殖及び皮膚再生活性(非特許文献2)、抗酸化及び抗メラニン生成活性(非特許文献3)等が報告されている。また、これまで、アワコガネギクの抽出物を有効成分とする組成物として、抗炎症活性を有する組成物(特許文献1)、老化防止用皮膚外用剤(特許文献2)等が報告されている。一般的に、植物抽出物を機能性成分として用いる場合は、植物体の全部又は一部を乾燥させた後、抽出するのが通例である。上記のアワコガネギクの抽出物の報告例においても、その乾燥物を粉砕してから水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒で抽出している。
特表2013−512235号公報 特許第4880233号公報
Kim KJ et al., Antibacterial activity and chemical composition of essential oil of Chrysanthemum boreale. Planta Med. 2003 Mar;69(3):274-7. Kim DYet al., Chrysanthemum boreale Makino essential oil induces keratinocyte proliferation and skin regeneration. Nat Prod Res. 2015; 29(6):562-4 Kim DYet al., Chemical Composition, Antioxidant and Anti-melanogenic Activities of Essential Oils from Chrysanthemum boreale Makino at Different Harvesting Stages, Chem Biodivers. 2018 Feb;15(2).
前述のように、皮膚外用剤においてアワコガネギクの利用が検討されているが、抽出材料や抽出方法について十分な生理活性成分を活用するには至っていない。
よって、本発明の課題は、アワコガネギクの機能を有効に利用するために、皮膚状態の改善についてより優れたかつ持続性の高い活性成分を開発し、これを有効成分とする皮膚状態改善剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アワコガネギク生花の温水抽出物に、特有の皮脂膜様物質が存在し、皮膚の水分及び油分保持作用、皮膚バリア機能向上作用、抗炎症作用、創傷修復作用、及び抗老化作用を有すること、また使用感や香りも良いことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)アワコガネギク生花の温水抽出物を有効成分として含有する、皮膚状態改善剤。
(2)前記温水が40〜45℃の温水である、(1)に記載の皮膚状態改善剤。
(3)皮膚の水分及び油分保持作用、皮膚バリア機能向上作用、抗炎症作用、創傷修復作用、又は抗老化作用のいずれか1以上の作用を有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚状態改善剤。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚状態改善剤を含む、皮膚外用組成物。
(5)皮膚外用組成物が医薬品、医薬部外品、又は化粧品である、(4)に記載の皮膚外用組成物。
本発明によれば、天然由来成分であるアワコガネギク生花の温水抽出物を有効成分とする皮膚状態改善剤が提供される。本発明の皮膚状態改善剤は、優れた水分及び油分保持作用、皮膚バリア機能向上作用、抗炎症作用、創傷修復作用、又は抗老化作用を有するので、上記作用の低下に伴う、または関連する皮膚状態の治療、改善、及び予防に有効である。
図1は、アワコガネギクエキス添加/無添加のぬるま湯(40℃)に所定時間入れた後の手の水分量の推移(A)及び油分量の推移(B)を示す。 図2は、アワコガネギクエキス(濃度0.5%/0.005%)添加のぬる湯(40℃)に所定時間入れた後の手の水分量の推移(A)及び油分量の推移(B)を示す。 図3は、アワコガネギク生花エキス/乾燥花エキス添加のぬるま湯(40℃)に所定時間入れた後の手の水分量の推移(A)及び油分量の推移(B)に示す。 図4は、アワコガネギク温水抽出エキス/加圧熱水抽出エキス添加のぬるま湯(40℃)に所定時間入れた後の手の水分量の推移(A)及び油分量の推移(B)を示す。 図5は、アワコガネギク花エキス/茎エキス添加のぬるま湯(40℃)に所定時間入れた後の手の水分量の推移(A)及び油分量の推移(B)を示す。 図6は、アワコガネギク生花エキスによる皮膚状態改善の症例を示す(A:やけど、B:化膿、C:かかとの角化症、D:手荒れ)。
以下に、本発明について詳細に述べる。
本発明の皮膚状態改善剤は、アワコガネギク生花の温水抽出物(本明細書において、当該抽出物を「アワコガネギク生花エキス」、「アワコガネギクエキス」と記載する場合がある)を有効成分として含有する。本発明に用いるアワコガネギク(学名:Chrysanthemum boreale Makino、別名:キクタニギク)はキク科キク属に属する多年草植物である。本発明において用いるアワコガネギクの産地は問わない。
本発明においては、抽出部位としてアワコガネギクの花部分を用いること、なかでも採取した花部分を乾燥せずに生花を用いることを特徴とする。アワコガネギクは10月下旬から11月上旬に開花し、開花始めから満開までは2週間程度であるので、本発明に用いるアワコガネギクの生花の採取は、上記期間に行うことができる。採取した生花は、冷蔵庫では約2〜3週間保存が可能である、また、長期には冷凍保存も可能であり、効果も低減しない。アワコガネギク生花をそのまま使用してもよく、粉砕、細切等の処理を行ってもよい。
抽出は、温水、具体的には、温度が40〜45℃の水を抽出溶媒として用い、当該抽出溶媒に生花を所定時間浸漬させて抽出する方法により行うことができる。ここで、水は、滅菌水であることが好ましい。また抽出効率を高めるために、撹拌したり、ホモジナイズしたりしてもよい。溶媒の使用量については、特に限定はなく、例えばアワコガネギク生花(湿重量)に対し、10倍以上、好ましくは20倍以上であればよいが、抽出後に濃縮を行ったり、単離したりする場合の操作の便宜上100倍以下であることが好ましい。また、抽出時間は、例えば、30分〜15時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜5時間を例示することができる。また、抽出物は、抽出した溶液のまま用いてもよいが、必要に応じて、その効果に影響のない範囲で、濃縮(有機溶媒、減圧濃縮、膜濃縮などによる濃縮)、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭等の処理を行ってから用いてもよい。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いてもよい。
また、抽出物は、オートクレーブ滅菌(例えば120℃で15〜20分)することにより、常温での保存期間を長くできるので好ましい。この抽出物に対するオートクレーブ滅菌処理物は、抽出時にオートクレーブによる高温抽出(加圧高温抽出)したものとは異なり、有効成分の効果の低下はなく、また刺激的な臭いもない。このオートクレーブ滅菌により、常温で約2か月、冷蔵で5か月以上保存することが可能である。
本発明の皮膚状態改善剤は、そのまま使用することできるが、本発明の効果を損なわない範囲で適当な添加物とともに皮膚外用組成物に配合して提供することが好ましい。本発明の皮膚外用組成物には、医薬品、医薬部外品、化粧品などが含まれる。
本発明の皮膚状態改善剤は、皮膚の水分及び油分保持作用、皮膚バリア機能向上作用、抗炎症作用、創傷修復作用、及び抗老化作用を有するので、当該剤を含む皮膚外用組成物は、上記各作用の低下が原因とされる皮膚状態の治療、改善、又は予防に有効である。本発明の皮膚状態改善剤の適用対象となる皮膚状態としては、限定はされないが、例えば、乾燥肌、ひび、あかぎれ、肌荒れ、皮脂欠乏症(乾皮症)、皮脂欠乏性湿疹、皮膚掻痒症、手湿疹、アトピー性皮膚炎、火傷、創傷、炎症、シワ、ツヤ・ハリの低下、角化などが挙げられる。また、髪のぱさつきやツヤ不足、乾性フケ、抜け毛や薄毛などの頭皮や毛髪の障害や損傷も含まれる。
本発明の皮膚状態改善剤を医薬品に配合する場合は、薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物と混合し、患部に適用するのに適した製剤形態の各種製剤に製剤化することができる。薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、その剤形、用途に応じて賦形剤、増粘剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、保存剤、分散剤、乳化剤、ゲル化剤、色素、香料等を用いることができる。本発明の医薬品に適した形態は外用製剤であり、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、貼付剤などが挙げられる。軟膏剤は、均質な半固形状の外用製剤をいい、油脂性軟膏、乳剤性軟膏、水溶性軟膏を含む。ゲル剤は、水不溶性成分の抱水化合物を水性液に懸濁した外用製剤をいう。液剤は、液状の外用製剤をいい、ローション剤、懸濁剤、乳剤、リニメント剤等を含む。
本発明の皮膚状態改善剤を医薬部外品や化粧品に配合する場合は、その剤形は、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、粉末分散系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水−油二層系、又は水−油−粉末三層系等のいずれでもよい。また、当該医薬部外品や化粧品は、皮膚状態改善剤とともに、皮膚外用組成物において通常使用されている各種成分、添加剤、基剤等をその種類に応じて選択し、適宜配合し、当分野で公知の手法に従って製造することができる。その形態は、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、スプレー状等のいずれであってもよい。配合成分としては、例えば、油脂類(オリーブ油、ヤシ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油等)、ロウ類(ラノリン、ミツロウ、カルナウバロウ等)、炭化水素類(流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、ワセリン等)、脂肪酸類(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等)、高級アルコール類(ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)、エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル等)、有機酸類(クエン酸、乳酸等)、糖類(マルチトール、ソルビトール、キシロビオース等)、蛋白質及び蛋白質の加水分解物、アミノ酸類及びその塩、ビタミン類、種々の界面活性剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、安定化剤、防腐剤、殺菌剤、香料等が挙げられる。
医薬部外品や化粧品の種類としては、例えば、化粧水、乳液、ジェル、美容液、一般クリーム、日焼け止めクリーム、パック、マスク、洗顔料、化粧石鹸、ファンデーション、おしろい、浴用剤、ボディローション、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、頭皮用ローション、頭皮用クリーム、ヘアトニック、育毛剤等が挙げられる。
本発明の皮膚外用組成物における皮膚状態改善剤の含有量は、上記の各作用を発揮できる量である限り特に限定はされないが、例えばアワコガネギク生花の温水抽出物の乾燥固形物重量として0.00001〜10重量%が好ましく、0.001〜1重量%がより好ましい。上記の量はあくまで例示であって、組成物の種類や形態、一般的な使用量、効能・効果、及びコストなどを考慮して適宜設定・調整すればよい。
以下、実施例及び試験例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)アワコガネギク生花の温水抽出物の調製
開花から満開までの期間(約2週間)のアワコガネギクから花部分を採取し、生花30gに対して水500mLを加え、40℃のウォーターバスで3時間振盪することにより抽出を行い、アワコガネギク生花の温水抽出物を得た。得られたアワコガネギク生花の温水抽出物は、ほんのり甘い香りがした。常温保存を可能とするために、オートクレーブ滅菌(120℃、15分)処理を行った。
(比較例1)アワコガネギク乾燥花の温水抽出物の調製
実施例1と同様にして採取したアワコガネギクの生花を乾燥させた後、乾燥花30gに対して水500mLを加え、40℃のウォーターバスで3時間振盪することにより抽出を行い、アワコガネギク乾燥花の温水抽出物を得た。
(比較例2)アワコガネギク生花の加圧熱水抽出物の調製
実施例1と同様にして採取したアワコガネギクの生花30gに水500mLを加え、オートクレーブ処理(120℃、0.15MPa、15分間)により抽出を行い、アワコガネギク生花の加圧熱水抽出物を得た。
(比較例3)アワコガネギク生花の水蒸気蒸留抽出物の調製
実施例1と同様にして採取したアワコガネギクの生花30gに水500mLを加え、水蒸気蒸留(100℃、常圧、20分間)により抽出を行い、アワコガネギク生花の水蒸気蒸留抽出物を得た。
(比較例4)アワコガネギク茎の加圧熱水抽出物の調製
実施例1で花部分を採取した同アワコガネギクの茎部分(花柄と小葉を含む)を乾燥させ、乾燥茎30gに対して水500mLを加え、オートクレーブ処理(120℃、0.15MPa、15分間)により抽出を行い、アワコガネギク茎(乾燥)の加圧熱水抽出物を得た。
(比較例5)アワコガネギク生花の冷水抽出物
ウォーターバスの温度を5℃にし、3日間振盪する以外は、実施例1と同様にしてアワコガネギク生花の抽出を行い、アワコガネギク生花の冷水抽出物を得た。
(比較例6)アワコガネギク生花の常温水抽出物
ウォーターバスの温度を20℃にし、3日間振盪する以外は、実施例1と同様にしてアワコガネギク生花の抽出を行い、アワコガネギク生花の常温水抽出物を得た。
[試験例1]アワコガネギク抽出物の使用感試験
アワコガネギク生花の温水抽出物(実施例1)を手の平や前腕に一滴たらして延ばしたときの手の感触を3名の被験者により評価した。3名の被験者のいずれもが、最初は一瞬摩擦が生じ、手にまとわりつく感じがあった後、乾燥するとツルツルとしてなめらかに滑るような感覚があると評価した。従って、アワコガネギク生花の温水抽出物には、上記のような独特のなめらか感を生じさせる皮脂膜様物質が存在すると考えられた。そこで、アワコガネギク乾燥花の温水抽出物(比較例1)、アワコガネギク生花の加圧熱水抽出物(比較例2)、アワコガネギク生花の水蒸気蒸留抽出物(比較例3)、アワコガネギク茎の加圧熱水抽出物(比較例4)、アワコガネギク生花の冷水抽出物(比較例5)、アワコガネギク生花の常温水抽出物(比較例6)を用いて上記の皮脂膜様物質が存在するか否かを確認した。結果を下記表1に示す。
Figure 2021172604
表1に示されるように、皮脂膜様物質に関し、生花の温水抽出物(実施例1)にはすべての被験者が多いと感じたのに対し、同じ生花であっても、加圧熱水抽出物(比較例2)や水蒸気蒸留物(比較例3)では生花の温水抽出物も比べてやや少ないと感じた。また、加圧熱水抽出物や水蒸気蒸留物のような高温抽出物では、キクの生臭さが強く、不快感が残った。特に、熱水抽出物の場合は刺激的な臭いも含まれていた。また、冷水抽出物(比較例5)及び常温水抽出物(比較例6)では、皮脂膜様物質の存在が感じられず、量的には極めて少ないと考えられ、また、常温水抽出物にはカビが発生した。また、乾燥花抽出物(比較例5)には、すべての被験者が、皮脂膜様物質の存在がごく僅かであると感じ、茎抽出物(比較例4)は皮脂膜様物質がほとんどないと感じた。
[試験例2]アワコガネギク抽出物による肌の水分量・油分量の保持効果試験
(1)アワコガネギク抽出物添加の有無の違いによる水分量・油分量の推移
(ア)試験方法
アワコガネギク生花の温水抽出物(実施例1)を滅菌水で希釈し、0.5%アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を得た。2Lのぬるま湯(40℃)を入れた洗面器を2つ用意し、一方は、上記アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を1mL添加し(エキス添加区)、もう一方には添加しなかった(エキス無添加区)。被験者(60代、男性、普通肌)が、左手をエキス添加区、右手をエキス無添加区に10分間浸した後、水をふき取り、5分間隔で80分後まで、市販の肌チェッカー(ANLAN社の多機能スキンチェッカー)を用いて、手の甲、手の平、親指、人差し指の4点の水分量及び油分量を5分おきに測定した。80分以降は1時間おきに5時間後まで測定した。測定値は4点の平均値を用いた。
(イ)結果
水分量の推移を図1Aに、油分量の推移を図1Bにそれぞれ示す。水分量は、エキス無添加区は15分後から基準値33%(33%以上が良好とされる)を下回った。一方、エキス添加区は、変動はあるものの、80分後まで基準値をおおむね保っていた。その後は、両区とも同じような値で推移し、エキス添加区はエキス無添加区より5時間経過しても、高い数値を保っていた。油分量は全般に高い値で推移しており、1時間までは上下動があり、また、両区の差は判然としなかったが、1時間経過後から5時間に至るまで、エキス添加区はエキス無添加区より高い数値を維持していた。
以上の結果から、アワコガネギク生花の温水抽出物は、皮膚の水分及び油分保持効果が高く、持続性があることがわかった。特に、水分量は、従来の報告(早坂信哉ら、入浴後皮膚乾燥と入浴中塗布化粧品の保湿効果、日本健康開発雑誌、2017年)より明らかに長時間保持できることも確認できた。
(2)アワコガネギク抽出物の濃度の違いによる水分量・油分量の推移
(ア)試験方法
2Lのぬるま湯(40℃)を入れた洗面器を2つ用意し、一方は、0.5%アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を1mL添加し(0.5%エキス添加区)、もう一方には0.01mL添加した(0.005%エキス添加区)。試験例1と同様に、被験者(40代、女性、乾燥肌)が、左手を0.5%エキス添加区、右手を0.005%エキス添加区に浸し、60分後まで5分間隔で水分量及び油分量の測定を行った。
(イ)結果
水分量の推移を図2Aに、油分量の推移を図2Bにそれぞれ示す。水分量は、0.5%エキス区よりむしろ低濃度の0.005%エキス区のほうが高く、また、水分量の推移のパターンは同じであったが、40分〜60分にかけていったん減少した水分量が、増加する傾向が認められたことは注目すべきところであった。これは、エキスが徐々に浸透していき、かつ水分の蒸発が抑えられているものと考えられた。また、油分量の推移は、ほとんどエキス濃度による差がなく、同じパターンを示し、60分内ではほぼ横ばいで、減少はしなかった。
以上の結果から、全体として、水分量の推移及び油分量の推移について、エキス濃度による大きな差はなく、0.005%の低濃度でも十分な効果が得られることが確認できた。
(3)抽出材料の乾燥の有無の違いによる水分量・油分量の推移
(ア)試験方法
アワコガネギク乾燥花の温水抽出物(比較例1)を滅菌水で希釈し、0.5%アワコガネギク乾燥花の温水抽出物溶液を得た。2Lのぬるま湯(40℃)を入れた洗面器を2つ用意し、一方は、前記アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を1mL添加し(生花エキス添加区)、もう一方にはアワコガネギク乾燥花の温水抽出物溶液を1mL添加した(乾燥花エキス添加区)。試験例1と同様に、被験者(60代、男性、普通肌)が、左手を生花エキス添加区、右手を乾燥花エキス添加区に浸した後、水をふき取り、5分間隔で60分後まで水分量及び油分量の測定を行った。
(イ)結果
水分量の推移を図3Aに、油分量の推移を図3Bにそれぞれ示す。水分量は、常に生花エキス区のほうが、乾燥花エキス区より高かった。両区とも使用10分後から低下したが、その後はほぼ横ばいであった。油分量は、使用10分後から、生花エキス区のほうが、乾燥花エキス区を常に上回って推移した。
以上の結果より、水分及び油分の保持効果には、試験例1の生花特有の皮脂膜様物質と関連することが示唆された。
(4)抽出方法の違いにおける水分量・油分量の推移
(ア)試験方法
アワコガネギク生花の加圧熱水抽出物(比較例2)を滅菌水で希釈し、0.5%アワコガネギク生花の加圧熱水抽出物溶液を得た。2Lのぬるま湯(40℃)を入れた洗面器を2つ用意し、一方は、前記アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を1mL添加し(温水エキス添加区)、もう一方にはアワコガネギク生花の加圧熱水抽出物溶液を1mL添加した(加圧熱水エキス添加区)。試験例1と同様に、被験者(60代、男性、普通肌)が、左手を温水エキス添加区、右手を加圧熱水エキス添加区に浸した後、水をふき取り、5分間隔で60分後まで水分量及び油分量の測定を行った。
(イ)結果
水分量の推移を図4Aに、油分量の推移を図4Bにそれぞれ示す。水分量は、両区とも浸漬後数値は上がるが、その後緩やかに減少するものの、常に温水エキス添加区が高く推移した。加圧熱水エキス添加区は、60分後は使用前と同じ数値に戻ったが、温水エキス添加区は若干高いまま維持されていた。油分量は、加圧熱水エキス添加区はほぼ同じ数字で横ばいであった。一方、温水エキス添加区は5分頃まで、低かったが、その後、多少の上下動はあるものの、常に加圧熱水エキス添加区より高い状態を維持していた。
以上の結果より、抽出方法は、温水抽出のほうが加圧熱水抽出よりも水分及び油分の保持効果が優れていることが確認された。
(5)抽出部位の違いにおける水分量・油分量の推移
(ア)試験方法
アワコガネギク茎の加圧熱水抽出物(比較例4)を滅菌水で希釈し、0.5%アワコガネギク茎の加圧熱水抽出物溶液を得た。2Lのぬるま湯(40℃)を入れた洗面器を2つ用意し、一方は、前記アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を1mL添加し(花エキス添加区)、もう一方にはアワコガネギク茎の加圧熱水抽出物溶液を1mL添加した(茎エキス添加区)。試験例1と同様に、被験者(40代、女性、普通肌)が、左手を花(生花)エキス添加区、右手を茎エキス添加区に浸した後、水をふき取り、5分間隔で60分後まで水分量及び油分量の測定を行った。
(イ)結果
水分量の推移を図5Aに、油分量の推移を図5Bにそれぞれ示す。水分量は花エキス区のほうが、茎エキス区より高く、開始から60分までほぼ横ばいであったが、高い水分量を保持していた。油分量は水分量とは逆に、茎エキス区のほうが高い値を維持していた。これは、茎エキスはやや脂っぽい成分を含んでいるものか、あるいは油分量に影響する成分を含んでいるものと思われた。
以上の結果より、抽出部位は花(生花)のほうが茎よりも水分の保持効果が優れていることが確認された。
[試験例3]アワコガネギク生花温水抽出物に関するアンケート
(1)入浴料による肌状態改善効果
アワコガネギク生花温水抽出物を入浴料として用いた際の肌状態改善効果をモニターにより評価した。モニターは、特に目立った皮膚疾患がなく通常に入浴できる20〜60代の男女合計18名とした。家庭の浴槽にアワコガネギク生花を10個程度浮かべてモニターに10〜15分入浴させた。浴槽内の湯の温度は41℃に設定した。同様の入浴を毎日行い、2週間経過後の肌状態(しっとり感、ツヤ、ハリ、シミ、肌荒れ)ついてアンケートをとった。また、湯のテクスチャー及び香りについてもアンケートをとった。結果を下記表2に示す。
Figure 2021172604
表2に示すように、肌状態については半数以上のモニターがいずれの項目においても効果があると回答し、特に、しっとり感、ハリ、ツヤ、肌荒れ改善の評価が良好であった。また、香りについては回答が分かれたが、普通と感じる人が最も多く、入浴料として使用するに際して特に気になるレベルではなく、テクスチャーについては良好であるという評価であった。
(2)化粧品(美容クリーム)による肌状態改善効果
アワコガネギク生花の温水抽出物(実施例1)をグリセリンと滅菌水の1:4混合液で希釈し、0.5%アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を得た。この希釈溶液(0.5%エキス)を用いて下記表3に示す配合で、エキス配合クリーム及びエキス無配合クリームを調製した。
Figure 2021172604
目隠しテストで、エキス配合クリームとエキス無配合クリームを女性7名(40〜60代)のモニターに使用してもらい、どちらが良いかを判断してもらった。結果を表4に示す。
Figure 2021172604
表4に示すように、エキス配合クリームを使用した際に、しっとり感、ツヤ、弾力性が良いを感じた人が多かった。一方、好みに関しては意見が分かれた。
[試験例4]アワコガネギク生花温水抽出物による皮膚疾患の改善試験
アワコガネギク生花の温水抽出物(実施例1)をオートクレーブ滅菌(120℃、15分)処理した後、滅菌水で希釈し、0.5%アワコガネギク生花の温水抽出物溶液を得た。以下の症例1、症例2、症例4は、この希釈溶液(以下、0.5%エキスという)をそのまま使用し、症例3は、0.5%エキスを市販のクリームに添加して使用した。
<症例1:やけど、60代男性>
指先に熱湯がかかり、すぐに水洗いで、手を冷やすとともに、0.5%エキスを塗布したところ、水膨れもせず、また、痛みもなく、3日目には全くやけど症状がなくなった(図6A)。
<症例2:化膿炎症、60代男性>
腕に突然発生した化膿症状に対し、0.5%エキスを塗布したところ、2日目には中心の化膿部分が減り、3日目には消失した(図6B)。
<症例3:かかと角化症、60代男性>
かかとのかかと角化症に対して0.5%エキスを含む市販クリームを患部に1日数回使用をしたところ、2か月後には角質が明らかにきれいに変化していた(図6C)。
<症例4:手荒れ、40代女性>
乾燥時期になると、あかぎれができて、手袋をしないと洗い物ができないほどになっていたひどい手荒れに対して0.5%エキスを患部に1日数回使用をしたところ、2か月後にはあかぎれはほとんどなくなり、また、手がざらざらしていたものがすべすべ肌に変化した(図6D)。
本発明は、乾燥などの皮膚状態の治療、改善、及び予防を目的とした医薬品、医薬部外品、及び化粧品の製造分野において利用できる。

Claims (5)

  1. アワコガネギク生花の温水抽出物を有効成分として含有する、皮膚状態改善剤。
  2. 前記温水が40〜45℃の温水である、請求項1に記載の皮膚状態改善剤。
  3. 皮膚の水分及び油分保持作用、皮膚バリア機能向上作用、抗炎症作用、創傷修復作用、又は抗老化作用のいずれか1以上の作用を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚状態改善剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚状態改善剤を含む、皮膚外用組成物。
  5. 皮膚外用組成物が医薬品、医薬部外品、又は化粧品である、請求項4に記載の皮膚外用組成物。
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