JP2019203542A - 防振装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この防振装置では、大きな荷重(振動)が入力され、第1液室または第2液室が急激に負圧化されたときに、本体流路内で気泡が発生しても、この気泡を、複数の細孔を通過させることで、細かく分割して第1液室または第2液室に分散させることが可能になり、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
しかしながら、この場合、仕切部材の製造が困難になるという新たな問題が生ずる。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、これら両取付部材を弾性的に連結する弾性体と、液体が封入された前記第1取付部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、前記制限通路は、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方は、前記第1液室または前記第2液室に面する第1障壁を貫く複数の細孔を備え、前記本体流路に、前記第1連通部および前記第2連通部のうちのいずれか他方側からの液体を衝突させて分岐させる障壁剛体が配設されていることを特徴とする。
ここで、液体が、複数の細孔を通して制限通路から第1液室または第2液室に流入する際に、これらの細孔が形成された第1障壁により圧力損失させられながら各細孔を流通するため、第1液室または第2液室に流入する液体の流速を抑えることができる。しかも、液体が、単一の細孔ではなく複数の細孔を流通するので、液体を複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔を通過した液体の流速を低減させることができる。これにより、仮に防振装置に大きな荷重(振動)が入力されたとしても、細孔を通過して第1液室または第2液室に流入した液体と、第1液室内または第2液室内の液体と、の間で生じる流速差を小さく抑えることが可能になり、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。また、仮に気泡が第1液室や第2液室ではなく制限通路で発生しても、液体を、複数の細孔を通過させることで、発生した気泡同士を、第1液室内または第2液室内で離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができる上、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材11、および他方に連結される第2取付部材12と、第1取付部材11および第2取付部材12を互いに弾性的に連結する弾性体13と、液体Lが封入された第1取付部材11内の液室19を後述する主液室(第1液室)14と副液室(第2液室)15とに区画する仕切部材16と、を備える液体封入型の防振装置である。
なお、第1取付部材11、第2取付部材12、および弾性体13はそれぞれ、平面視した状態で円形状若しくは円環状に形成されるとともに、中心軸線Oと同軸に配置されている。
ダイヤフラム20は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料からなり、有底円筒状に形成されている。ダイヤフラム20の外周面は、ダイヤフラムリング21の内周面に加硫接着されている。ダイヤフラムリング21は、第1取付部材11の下端部内に、第2ゴム膜13bを介して嵌合されている。ダイヤフラムリング21は、第1取付部材11の下端部内に加締められて固定されている。ダイヤフラム20およびダイヤフラムリング21それぞれの上端開口縁は、仕切部材16の下面に液密に当接している。
なお図示の例では、ダイヤフラム20の底部が、外周側で深く中央部で浅い形状になっている。ただし、ダイヤフラム20の形状としては、このような形状以外にも、従来公知の種々の形状を採用することができる。
図示の例では、主流路31は、第2連通部27から周方向の一方側に向けて延びている。端室34と第1連通部26とが軸方向に直結されており、端室34は、本体流路25における第1連通部26側の端部となっている。
上側障壁35は主液室14に面している。下側障壁36は副液室15に面しており、第2連通部27は、下側障壁36を軸方向に貫く1つの開口により構成されている。
端室34と主流路31とを連結する外連通部46は、前記平面視で直線状に延びている。外連通部46は、前記平面視で端室34の内周面の接線方向に延びている。外連通部46の周方向の大きさは、端室34の内径より小さい。端室34は、外連通部46に対して、主流路31における周方向の他方側に張り出している。外連通部46および端室34それぞれの軸方向の大きさは、互いに同等になっている。
複数の細孔26a、26bそれぞれにおける流路断面積の総和は、主流路31の流路断面積の最小値の例えば1.5倍以上4.0倍以下としてもよい。図示の例では、主流路31の流路断面積は、全長にわたって同等となっている。細孔26a、26bの流路断面積は、例えば25mm2以下、好ましくは0.7mm2以上17mm2以下としてもよい。
図示の例では、障壁剛体41は、第2連通部27側からの液体Lを衝突させて分岐させる。障壁剛体41は、本体流路25の端室34に配設されている。障壁剛体41は、第1障壁38に軸方向で対向している。障壁剛体41は、図3に示されるように、軸方向の内側から外側に向かうに従い漸次、縮径された2つの円錐状体の底面同士が突き合わされて一体とされ、かつ端室径方向の外側から見て菱形状を呈する構成となっている。障壁剛体41は、端室34の中心軸線と同軸に配設されている。障壁剛体41の表面は、端室34を画成する壁面と非接触となっている。前記平面視において、端室34に占める障壁剛体41の平面積の割合は半分程度となっている。障壁剛体41は、制限通路24内を流通する液体Lの流動圧では変形、および変位しない剛体となっている。
なお例えば、障壁剛体41は、2つの角錐状体の底面同士が突き合わされて一体とされ、かつ径方向の外側から見て菱形状を呈する構成、柱状、若しくは板状等であってもよい。
下側部材48の上端部の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、かつ第2連通部27が形成された環状の下側障壁36が形成されている。上側部材47の上端部の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、下側部材48の下側障壁36と軸方向で対向する上側障壁35が形成されている。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができるうえ、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持し易くすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
また、第1連通部26および第2連通部27の双方が、細孔26a、26bを有する構成を採用してもよい。
また、主流路31として、仕切部材16を約1周する構成を示したが、仕切部材16を1周より長く周回する構成を採用してもよい。
また、本体流路25として、例えば軸方向に延びる構成、若しくは端室34を有しない構成等を採用してもよい。
図示の例では、非対向細孔26bは、障壁剛体41を介さず端室34の下壁面と軸方向で対向している。対向細孔26aおよび非対向細孔26bそれぞれの内径が互いに同等となっている。
この場合、第2連通部27側からの液体Lが、非対向細孔26bよりも対向細孔26aに到達しにくくなるので、対向細孔26aの流通抵抗を、非対向細孔26bの流通抵抗より小さくしてもよく、また、第1障壁38の下面において、障壁剛体41と軸方向で対向する部分の平面積に占める対向細孔26aの開口面積の割合を、残りの、障壁剛体41と軸方向で対向していない部分の平面積に占める非対向細孔26bの開口面積の割合より大きくしてもよい。
また、障壁剛体41は、第1障壁38の下面に近付け、かつ第2障壁39の上面から上方に離間させてもよい。
この場合、主流路31から端室34に流入した液体の多くを、第1障壁38に到達させる前に障壁剛体41に衝突させることが可能になり、発生する圧力損失をより一層確実に高めることができる。
11 第1取付部材
12 第2取付部材
13 弾性体
14 主液室(第1液室)
15 副液室(第2液室)
16 仕切部材
19 液室
24 制限通路
25 本体流路
26 第1連通部
26a、26b 細孔
27 第2連通部
38 第1障壁
41 障壁剛体
41b 案内面
L 液体
O 中心軸線
Claims (4)
- 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、
これら両取付部材を弾性的に連結する弾性体と、
液体が封入された前記第1取付部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、
前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、
前記制限通路は、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、
前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方は、前記第1液室または前記第2液室に面する第1障壁を貫く複数の細孔を備え、
前記本体流路に、前記第1連通部および前記第2連通部のうちのいずれか他方側からの液体を衝突させて分岐させる障壁剛体が配設されていることを特徴とする防振装置。 - 前記障壁剛体には、衝突して分岐した前記他方側からの液体を合流させて前記第1障壁に案内する案内面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
- 前記障壁剛体は、前記第1障壁に前記細孔の開口方向で対向し、
複数の細孔のうち、前記障壁剛体と前記細孔の開口方向で対向する前記細孔の流通抵抗は、残りの前記細孔の流通抵抗より大きいことを特徴とする請求項2に記載の防振装置。 - 前記障壁剛体は、前記第1障壁に前記細孔の開口方向で対向し、
前記第1障壁の、前記本体流路側を向く内面において、前記障壁剛体と前記細孔の開口方向で対向する部分の平面積に占める前記細孔の開口面積の割合が、残りの部分の平面積に占める前記細孔の開口面積の割合より小さいことを特徴とする請求項2または3に記載の防振装置。
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