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JP2019098953A - 防振装置 - Google Patents

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JP2019098953A JP2017232543A JP2017232543A JP2019098953A JP 2019098953 A JP2019098953 A JP 2019098953A JP 2017232543 A JP2017232543 A JP 2017232543A JP 2017232543 A JP2017232543 A JP 2017232543A JP 2019098953 A JP2019098953 A JP 2019098953A
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Abstract

【課題】簡易な構造で防振特性を低下させることなく、キャビテーション崩壊に起因する異音の発生を抑える。【解決手段】制限通路24は、第1液室14に開口する第1連通部26、第2液室15に開口する第2連通部、および第1連通部と第2連通部とを連通する本体流路25を備え、第1連通部および第2連通部のうちの少なくとも一方は、複数の細孔26aを備え、複数の細孔が形成された障壁40は、ゴム材料により形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置に関する。
この種の防振装置として、従来から、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、これらの両取付部材を連結する弾性体と、液体が封入された第1取付部材内の液室を主液室と副液室とに区画する仕切部材と、を備える構成が知られている。仕切部材には、主液室と副液室とを連通する制限通路が形成されている。この防振装置では、振動入力時に、両取付部材が弾性体を弾性変形させながら相対的に変位し、主液室の液圧を変動させて制限通路に液体を流通させることで、振動を吸収および減衰している。
ところで、この防振装置では、例えば路面の凹凸等から大きな荷重(振動)が入力され、主液室の液圧が急激に上昇した後、弾性体のリバウンド等によって逆方向に荷重が入力されたときに、主液室が急激に負圧化されることがある。すると、この急激な負圧化により液中に多数の気泡が生成されるキャビテーションが発生し、さらに生成した気泡が崩壊するキャビテーション崩壊に起因して、異音が生じることがある。
そこで、例えば下記特許文献1に示される防振装置のように、制限通路内に弁体を設けることで、大きな振幅の振動が入力されたときであっても、主液室の負圧化を抑制する構成が知られている。
特開2012−172832号公報
しかしながら、前記従来の防振装置では、弁体が設けられることで構造が複雑になり、弁体のチューニングも必要となるため、製造コストが増加するといった課題がある。また、弁体を設けることで設計自由度が低下し、結果として防振特性が低下するおそれもある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、簡易な構造で防振特性を低下させることなく、キャビテーション崩壊に起因する異音の発生を抑えることができる防振装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、これら両取付部材を弾性的に連結する弾性体と、液体が封入された前記第1取付部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、前記制限通路は、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方は、複数の細孔を備え、前記複数の細孔が形成された障壁は、ゴム材料により形成されている。
本発明によれば、振動入力時に、両取付部材が、弾性体を弾性変形させながら相対的に変位して、第1液室および第2液室のうちの少なくとも一方の液圧が変動することで、液体が制限通路を通って第1液室と第2液室との間を流通しようとする。このとき液体は、第1連通部および第2連通部のうちの一方を通して制限通路に流入し、本体流路内を通過した後、第1連通部および第2連通部のうちの他方を通して制限通路から流出する。
ここで、液体は、複数の細孔を通して制限通路から第1液室または第2液室に流入する際に、これらの細孔が形成された障壁により圧力損失させられながら各細孔を流通するため、第1液室または第2液室に流入する液体の流速を抑えることができる。しかも、液体が、単一の細孔ではなく複数の細孔を流通するので、液体を複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔を通過した液体の流速を低減させることができる。これにより、仮に防振装置に大きな荷重(振動)が入力されたとしても、細孔を通過して第1液室内または第2液室内に流入した液体と、第1液室内または第2液室内の液体と、の間で生じる流速差を小さく抑えることが可能になり、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。また、仮に気泡が第1液室や第2液室ではなく制限通路で発生しても、液体を、複数の細孔を通過させることで、発生した気泡同士を、第1液室内または第2液室内で離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持しやすくすることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができる上、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持しやすくすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
また、本発明に係る防振装置の障壁はゴム材料により形成されているので、障壁に形成された複数の細孔を通して第1液室および第2液室のいずれか一方に液体が流入する際に本体流路の液圧が前記一方の液室の液圧よりも高くなると、障壁は弾性変形して前記一方の液室に向けて膨出する。このとき、細孔における前記一方の液室側の内径は、本体流路側の内径よりも大きくなり、液体は細孔を内径の小さい側から大きい側に向けて流通するため、細孔の流通抵抗をさらに増大させることができ、細孔を流通する液体をより大きく圧力損失させて、その流速をさらに低減させることができる。
また、第1液室および第2液室のいずれか一方に液体が流入する際に、障壁は弾性変形して前記一方の液室に向けて膨出するので、障壁に形成された複数の細孔を通して液体を前記一方の液室にさらに分散させて流入させることができ、仮に気泡が制限通路で発生しても、気泡をさらに分散させた状態に維持しやすくすることができる。
また、障壁(または障壁を含む部材)が鋳造または射出成形により成形される場合には、細孔を障壁に形成することが難しかったり、成形した障壁の金型からの離型時に細孔形成用の金型の成形ピンが摩耗したりする可能性があるが、本発明の障壁はゴム材料により形成されているので、障壁に細孔を容易に形成できるとともに、障壁が弾性変形することで金型から容易に離型でき、金型の成形ピンに対する摩擦を抑えてその摩耗を低減させることができる。このため、防振装置の生産効率を向上でき、製造コストを削減することができる。
前記仕切部材には、メンブランが収容された収容室が形成され、前記障壁は、前記メンブランと一体に形成されていてもよい。
この場合、仕切部材には、メンブランが収容された収容室が形成され、障壁は、メンブランと一体に形成されているので、防振装置の部品点数を少なくでき、製造コストを削減することができる。
前記仕切部材は、前記第1取付部材内に嵌合された基部材を備え、前記基部材は、剛性を有する材料により形成されていてもよい。
この場合、仕切部材は、第1取付部材内に嵌合された基部材を備え、基部材は、剛性を有する材料により形成されているので、第1液室や第2液室の液圧が変動した場合であっても、この基部材が、第1取付部材内の液室を第1液室と第2液室とに適切に区画することができる。
本発明によれば、簡易な構造で防振特性を低下させることなく、キャビテーション崩壊に起因する異音の発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る防振装置の縦断面図である。 図1に示す防振装置を構成する仕切部材の平面図である。 本発明の一実施形態に係る防振装置の動作を示す説明図であって、(a)は渦室から主液室に向けて液体が流通する際の障壁の状態を示す図、(b)は主液室から渦室に向けて液体が流通する際の障壁の状態を示す図である。
以下、本発明に係る防振装置の実施の形態について、図1および図2に基づいて説明する。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材11と、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される第2取付部材12と、第1取付部材11および第2取付部材12を互いに弾性的に連結する弾性体13と、第1取付部材11内の液室19を後述する主液室(第1液室)14と副液室(第2液室)15とに区画する仕切部材16と、を備える液体封入型の防振装置である。
以下、第1取付部材11の中心軸線Oに沿う方向を軸方向という。また、軸方向に沿う第2取付部材12側を上側、仕切部材16側を下側という。また、防振装置10を軸方向から見た平面視において、中心軸線Oに直交する方向を径方向といい、中心軸線O周りに周回する方向を周方向という。
なお、第1取付部材11、第2取付部材12、および弾性体13はそれぞれ、平面視した状態で円形状若しくは円環状に形成されるとともに、中心軸線Oと同軸に配置されている。
この防振装置10が例えば自動車に装着される場合、第2取付部材12が振動発生部としてのエンジンに連結され、第1取付部材11が振動受部としての車体に連結される。これにより、エンジンの振動が車体に伝達することが抑えられる。
第2取付部材12は、軸方向に延在する柱状部材であり、下端部が下方に向けて膨出する半球面状に形成されるとともに、この半球面状の下端部より上方に鍔部12aを有している。第2取付部材12には、その上端面から下方に向かって延びるねじ孔12bが穿設され、このねじ孔12bにエンジン側の取付け具となるボルト(図示せず)が螺合される。第2取付部材12は、弾性体13を介して、第1取付部材11の上端開口部に配置されている。
弾性体13は、第1取付部材11の上端開口部と第2取付部材12の下部の外周面とにそれぞれ加硫接着されて、これらの間に介在させられたゴム体であって、第1取付部材11の上端開口部を上側から閉塞している。弾性体13は、その上端部が第2取付部材12の鍔部12aに当接することで、第2取付部材12に充分に密着し、第2取付部材12の変位により良好に追従するようになっている。弾性体13の下端部には、第1取付部材11における内周面と下端開口縁の内周部とを液密に被覆するゴム膜17が一体に形成されている。なお、弾性体13としては、ゴム以外にも合成樹脂等からなる弾性体を用いることも可能である。
第1取付部材11は、下端部にフランジ18を有する円筒状に形成され、フランジ18を介して振動受部としての車体等に連結される。本実施形態では、第1取付部材11の下端部に仕切部材16が設けられ、さらにこの仕切部材16の下方にダイヤフラム20が設けられている。
仕切部材16は、表裏面が軸方向を向く板状に形成されており、その径方向外側に連結されている外周部22の上面が、第1取付部材11の下端開口縁に当接している。
ダイヤフラム20は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料からなり、有底円筒状に形成されている。ダイヤフラム20の上端部の一部が、仕切部材16の外周部22の下面に形成された円環状の取付溝16aに液密に係合した状態で、ダイヤフラム20の上端部は、外周部22の下面と、仕切部材16より下方に位置するリング状の保持具21と、によって軸方向に挟まれている。ゴム膜17の下端部の一部が、外周部22の上面に形成された円環状の保持溝16bに係合した状態で、ゴム膜17の下端部が仕切部材16の外周部22の上面に液密に当接している。
このような構成のもとに、第1取付部材11の下端開口縁に、仕切部材16の外周部22、および保持具21が下方に向けてこの順に配置されるとともに、ねじ23によって一体に固定されることにより、ダイヤフラム20は、仕切部材16を介して第1取付部材11の下端開口部に取り付けられている。なお図示の例では、ダイヤフラム20の底部が、外周側で深く中央部で浅い形状になっている。ただし、ダイヤフラム20の形状としては、このような形状以外にも、従来公知の種々の形状を採用することができる。
そして、このように第1取付部材11に仕切部材16を介してダイヤフラム20が取り付けられたことにより、前述したように第1取付部材11内に液室19が形成されている。液室19は、第1取付部材11内、すなわち平面視して第1取付部材11の内側に配設され、弾性体13とダイヤフラム20とにより液密に封止された密閉空間となっている。そして、この液室19に液体Lが封入(充填)されている。
液室19は、仕切部材16によって主液室14と副液室15とに区画されている。主液室14は、弾性体13の下面13aを壁面の一部に有し、この弾性体13と第1取付部材11の内周面を液密に覆うゴム膜17と仕切部材16とによって囲まれた空間であり、弾性体13の変形によって内容積が変化する。副液室15は、ダイヤフラム20と仕切部材16とによって囲まれた空間であり、ダイヤフラム20の変形によって内容積が変化する。このような構成からなる防振装置10は、主液室14が鉛直方向上側に位置し、副液室15が鉛直方向下側に位置するように取り付けられて用いられる、圧縮式の装置である。
仕切部材16の内部には、ゴム材料で形成されたメンブラン41が収容された収容室42が形成されている。メンブラン41は、表裏面が軸方向を向く板状に形成されている。仕切部材16には、収容室42と主液室14とを連通する複数の第1連通孔42aと、収容室42と副液室15とを連通する複数の第2連通孔42bと、が形成されている。第1連通孔42aおよび第2連通孔42bの各個数は同じになっている。第1連通孔42aおよび第2連通孔42bの各内径は同じになっている。複数の第1連通孔42a、および複数の第2連通孔42bは各別に、メンブラン41および収容室42を挟んで軸方向で対向している。
図1および図2に示すように、仕切部材16には、主液室14と副液室15とを連通する制限通路24が設けられている。制限通路24は、主液室14に開口する第1連通部26と、副液室15に開口する第2連通部27と、第1連通部26と第2連通部27とを連通するとともに周方向に延びる本体流路25と、を備えている。
本体流路25は、仕切部材16の外周面に形成されている。図示の例では、本体流路25は、仕切部材16に、中心軸線Oを中心とする180°を超える角度範囲に配置されている。
本体流路25は、周方向に延びるとともに表裏面が軸方向を向く円弧状の第1障壁36と、第1障壁36の上側に位置で周方向に延びるとともに表裏面が軸方向を向く円弧状の第2障壁37と、第1障壁36および第2障壁37それぞれの内周縁同士を連結し、径方向の外側を向く溝底面38と、により画成されている。第1障壁36は副液室15に面しており、第2障壁37は主液室14に面している。
本体流路25のうち、周方向の一方側の端部は、他の部分より径方向の内側に向けて張り出している。
第2連通部27は、本体流路25における周方向の他方側の端部に開口しており、第1障壁36を軸方向に貫く1つの開口により構成されている。
本体流路25において、第1連通部26との接続部分には、第2連通部27側からの液体Lの流速に応じて液体Lの旋回流を形成する渦室39が配置されている。
渦室39は、仕切部材16の内部に形成されている。渦室39は、軸方向に直交する方向に収容室42と並べて配設され、仕切部材16の内部で収容室42と非連通となっている。渦室39の内容積および平面積は、収容室42の内容積および平面積より小さくなっている。渦室39の平面視形状は、円形となっている。なお、渦室39は、平面視非円形、例えば楕円形等に形成されていてもよい。渦室39を画成する壁面のうち、第1連通部26に軸方向で対向する対向面39aの平面積は、本体流路25の流路断面積より大きくなっている。本実施形態の対向面39aは軸方向に直交している。
渦室39の中心軸線は、中心軸線Oと平行し、かつ平面視で中心軸線Oと異なる位置に配設されている。渦室39内に形成される液体Lの旋回流は、渦室39の中心軸線に沿う渦軸回りに形成される。
第1連通部26は、渦室39を画成する壁部のうち、上側に位置して表裏面が軸方向を向き、対向面39aと軸方向に対向し、かつ主液室14に面する渦室障壁(障壁)40に形成されている。第1連通部26は、渦室障壁40を軸方向に貫通した各々平面視円形状の複数の細孔26aを備えている。渦室障壁40は前記渦軸に直交する方向に延在しており、渦室障壁40の下面は平坦面となっている。なお、渦室障壁40が、前記渦軸に交差する方向に延在していてもよい。渦室障壁40の軸方向の板厚は、一定となっている。本実施形態の渦室障壁40は、ゴム材料により形成されている。
複数の細孔26aは、渦室39と主液室14とを連通しているため、渦室39は、第2連通部27から本体流路25を通して流入した液体Lを、複数の細孔26aを通して主液室14に流出可能となっている。
複数の細孔26aはいずれも、本体流路25の流路断面積より小さく、軸方向から見た平面視において渦室39の内側に配置されている。細孔26aの内径は、互いに同等であり、その流路長さの全域にわたって一定である。細孔26aの内径は、第1連通孔42a、および第2連通孔42bの各内径より小さくなっている。複数の細孔26aの開口面積の総和は、複数の第1連通孔42aの開口面積の総和、および複数の第2連通孔42bの開口面積の総和より小さくなっている。複数の細孔26aの開口面積の総和は、本体流路25における流路断面積の最小値の例えば1.5倍以上4.0倍以下としてもよい。細孔26aの開口面積は、例えば25mm以下、好ましくは0.7mm以上17mm以下としてもよい。
ここで、本実施形態の渦室障壁40とメンブラン41とは一体に形成されている。渦室障壁40とメンブラン41とは、平面視で円弧状に延びる接続部43を介して互いに連結されており、渦室障壁40はメンブラン41よりも上側にずれて配設されている。渦室障壁40およびメンブラン41は、全体として平面視円形状に形成されている。
仕切部材16は、上側部材(基部材)44と下側部材(基部材)45とが軸方向に重ねられて構成されている。上側部材44および下側部材45は、いずれも金属や硬質樹脂等の剛性を有する材料を用いて板状に形成されており、第1取付部材11内に嵌合されている。なお、仕切部材16は、全体が一体に形成されていてもよい。上側部材44および下側部材45は、いずれも渦室障壁40より高い剛性を有している。
上側部材44の外周縁部には、第2障壁37が設けられている。上側部材44には、第1連通孔42aと、開口部44aとが、軸方向に貫通してそれぞれ形成されている。開口部44aは、平面視で渦室39と同等の位置に配設されており、複数の細孔26aは、平面視で開口部44aの内側に配置されている。上側部材44の下面には、メンブラン41の上面における外周縁部に全周にわたって当接する支持突部が設けられている。
下側部材45の外周縁部には、第1障壁36および溝底面38が設けられている。第1障壁36の径方向外側に、外周部22が連結されている。下側部材45の上面に、上側部材44の下面との間で収容室42を画成する第1凹部と、渦室障壁40の下面との間で渦室39を画成する第2凹部と、が各別に形成されている。下側部材45には、第2連通孔42bが前記第1凹部の底面に開口するように、軸方向に貫通して形成されている。下側部材45の前記第1凹部の底面には、メンブラン41の下面における外周縁部に全周にわたって当接する支持突部が設けられている。
上側部材44の下面における開口部44aの開口周縁部と、下側部材45の前記第2凹部の開口周縁部と、の間に、渦室障壁40の外周縁部が全周にわたって挟持されており、渦室障壁40の下面における外周縁部は、下側部材45の前記第2凹部の開口周縁部に液密に当接している。すなわち、複数の細孔26a(第1連通部26)が設けられかつゴム材料からなる渦室障壁40の外周縁部が、剛性を有する材料からなる上側部材44および下側部材45によって挟持されている。
このような構成からなる防振装置10では、振動入力時に、両取付部材11、12が、弾性体13を弾性変形させながら相対的に変位する。すると、主液室14および副液室15のうちの少なくとも一方の液圧が変動し、液体Lが制限通路24を通って主液室14と副液室15との間を流通しようとする。このとき液体は、第1連通部26および第2連通部27のうちの一方を通して制限通路24に流入し、本体流路25内を通過した後、第1連通部26および第2連通部27のうちの他方を通して制限通路24から流出する。
ここで、特に液体Lが、本体流路25において第1連通部26との接続部分に設けられた渦室39に、第2連通部27側から流入すると、渦室39に流入した液体Lは、渦室39の中心軸線に沿う渦軸回りに旋回しつつ、当該渦軸に交差する旋回径方向の外側から内側に向けて流動する。このとき、液体Lと渦室39の内面(すなわち前記第2凹部の内面や渦室障壁40の下面)との摩擦や液体Lの流体摩擦等によって、旋回流の流速を旋回径方向の外側から内側に向かうにつれて減少させることができる。
また、液体Lが、複数の細孔26aを通して制限通路24から主液室14に流出する際に、これらの細孔26aが形成された渦室障壁40により圧力損失させられながら各細孔26aを流通するため、主液室14に流入する液体Lの流速を抑えることができる。しかも、液体Lが、単一の細孔ではなく複数の細孔26aを流通するので、液体Lを複数に分岐させて流通させることが可能になり、個々の細孔26aを通過した液体Lの流速を低減させることができる。これにより、仮に防振装置10に大きな荷重(振動)が入力されたとしても、細孔26aを通過して主液室14内に流入した液体Lと、主液室14内の液体Lと、の間で生じる流速差を小さく抑えることが可能になり、流速差に起因する渦の発生、およびこの渦に起因する気泡の発生を抑えることができる。また、仮に気泡が主液室14ではなく制限通路24で発生しても、液体Lを、複数の細孔26aを通過させることで、発生した気泡同士を、主液室14内で離間させることが可能になり、気泡が合流して成長するのを抑えて気泡を細かく分散させた状態に維持しやすくすることができる。
以上のように、気泡の発生そのものを抑えることができる上、たとえ気泡が発生したとしても、気泡を細かく分散させた状態に維持しやすくすることができるので、気泡が崩壊するキャビテーション崩壊が生じても、発生する異音を小さく抑えることができる。
本実施形態の渦室障壁40はゴム材料により形成されているので、副液室15から主液室14に向けて液体Lが流通し渦室障壁40に形成された複数の細孔26aを通して主液室14に液体Lが流入する際に、渦室39(本体流路25)の液圧が主液室14の液圧よりも高くなると、図3(a)に示すように、渦室障壁40は弾性変形して主液室14に向けて膨出する。このとき、細孔26aにおける主液室14側の内径は、渦室39側の内径よりも大きくなり、液体Lは細孔26aを内径の小さい側から大きい側に向けて流通するため、細孔26aの流通抵抗をさらに増大させることができ、細孔26aを流通する液体Lをより大きく圧力損失させて、その流速をさらに低減させることができる。
また、副液室15から制限通路24を通して主液室14に液体Lが流入する際に、渦室障壁40は弾性変形して主液室14に向けて膨出するので、渦室障壁40に形成された複数の細孔26aを通して液体Lを主液室14にさらに分散させて流入させることができ、仮に気泡が制限通路24で発生しても、気泡をさらに分散させた状態に維持しやすくすることができる。
一方、主液室14から副液室15に向けて液体Lが流通し渦室障壁40に形成された複数の細孔26aを通して渦室39(本体流路25)に液体Lが流入する際に、主液室14の液圧が渦室39の液圧よりも高くなると、図3(b)に示すように、渦室障壁40は弾性変形して渦室39に向けて膨出する。このとき、細孔26aにおける主液室14側の内径は、渦室39側の内径よりも小さくなるが、細孔26aの主液室14側の端部が完全に閉塞されることはなく、細孔26aを通した主液室14から渦室39への液体Lの流通は確保される。
すなわち、細孔26aを通した液体Lの流通は、液体Lが主液室14から渦室39へ向かう場合と、渦室39から主液室14へ向かう場合と、のいずれにおいても確保されている。言い換えれば、細孔26aを通した液体Lの流通がいずれの流通方向においても確保されるように、細孔26aの大きさ、並びに渦室障壁40の形状および剛性等が適宜設定されている。
また、渦室障壁(または渦室障壁を含む部材、例えば渦室障壁とメンブランとからなる部材)が鋳造または射出成形により成形される場合には、細孔を渦室障壁に形成することが難しかったり、成形した渦室障壁の金型からの離型時に細孔形成用の金型の成形ピンが摩耗したりする可能性があるが、本発明の渦室障壁40はゴム材料により形成されているので、渦室障壁40に細孔を容易に形成できるとともに、渦室障壁40が弾性変形することで金型から容易に離型でき、金型の成形ピンに対する摩擦を抑えてその摩耗を低減させることができる。このため、防振装置の生産効率を向上でき、製造コストを削減することができる。
仕切部材16には、メンブラン41が収容された収容室42が形成され、渦室障壁40は、メンブラン41と一体に形成されているので、防振装置10の部品点数を少なくでき、製造コストを削減することができる。
仕切部材16は、第1取付部材11内に嵌合された上側部材44および下側部材45を備え、上側部材44および下側部材45は、剛性を有する材料により形成されているので、主液室14や副液室15の液圧が変動した場合であっても、これら上側部材44および下側部材45が、第1取付部材11内の液室19を主液室14と副液室15とに適切に区画することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、渦室障壁40とメンブラン41とは一体に形成されているが、これらが別体に形成されていてもよい。
仕切部材16には渦室39が設けられているが、仕切部材に渦室が設けられずともよい。この場合、第1連通部および第2連通部のうちの少なくとも一方が複数の細孔を備え、本体流路において、前記一方の連通部との接続部分に、本体流路の流路断面積よりも大きな流路断面積を有する拡散室が設けられていてもよい。
仕切部材16は、メンブラン41が収容された収容室42を有しているが、仕切部材に収容室およびメンブランが設けられずともよい。
前記実施形態の複数の細孔26aの内径は互いに同等であるが、異ならせてもよい。例えば、前記渦軸に交差する旋回径方向の内側に位置する細孔26aの内径が、前記旋回径方向の外側に位置する細孔26aの内径よりも大きくてもよい。
細孔26aの内径は、その流路長さの全域にわたって一定であるが、細孔26aの内径がその流路長さ方向において漸次変化していてもよい。この場合であっても、細孔26aを通した液体Lの流通は、液体Lが主液室14から渦室39へ向かう場合と、渦室39から主液室14へ向かう場合と、のいずれにおいても確保されている。
複数の細孔の流通抵抗を異ならせるために、複数の細孔26aの内面の表面処理を異ならせたり、一部の細孔26aの内面に凹凸等を設けたりしてもよい。
前記実施形態では、複数の細孔26aはいずれも平面視円形状に形成されているが、平面視非円形状、例えば、楕円状や多角形状に形成されていてもよい。
複数の細孔26aが、例えば、平面視で前記渦軸と同軸の多重円環状に配置されてもよいし、前記渦軸から平面視で放射状に延びる複数の直線上に配置されてもよい。
複数の細孔26aは一方向(軸方向)に延びて形成されているが、細孔が途中で屈曲していてもよい。
前記実施形態では、渦室障壁40の軸方向の板厚は一定であるが、前記旋回径方向において渦室障壁40の板厚が漸次変化していてもよい。例えば、渦室障壁40のうち、前記旋回径方向の内側に位置する部分の板厚が、前記旋回径方向の外側に位置する部分の板厚よりも小さくてもよい。
第2連通部27が、副液室15に開口する複数の開口部や細孔を備えていてもよい。
前記実施形態では、本体流路25において、第1連通部26との接続部分に渦室39が配置されているが、第2連通部27との接続部分に渦室が配置される一方で、第1連通部26との接続部分に渦室が配置されず、第2連通部27が複数の細孔を備えていてもよい。この場合、本体流路25において、第2連通部27との接続部分に配置された渦室は、第1連通部26から流入する液体Lの流速に応じて液体Lの旋回流を形成し、この液体Lを、第2連通部27の複数の細孔を通して副液室15に流出させる。また、本体流路25において、第1連通部26および第2連通部27との両接続部分に各別に渦室が配置されていてもよい。
前記実施形態では、渦室39の中心軸線が平面視で中心軸線Oと異なる位置に配設されているが、渦室39が中心軸線Oと同軸に配置されていてもよい。
前記実施形態では、渦室39の中心軸線が中心軸線Oと平行しているが、渦室39の中心軸線が中心軸線Oと非平行になるように、渦室39が配置されてもよい。
仕切部材16は、主液室14と副液室15とを区画できるのであれば、どのような形状であってもよい。
また、前記実施形態では、仕切部材16を第1取付部材11の下端部に配置し、仕切部材16の外周部22を第1取付部材11の下端開口縁に当接させているが、例えば仕切部材16を第1取付部材11の下端開口縁より充分上方に配置し、この仕切部材16の下側、すなわち第1取付部材11の下端部にダイヤフラム20を配設することで、仕切部材16の下面からダイヤフラム20の底面にかけて副液室15を形成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、支持荷重が作用することで主液室14に正圧が作用する圧縮式の防振装置10について説明したが、主液室14が鉛直方向下側に位置し、かつ副液室15が鉛直方向上側に位置するように取り付けられ、支持荷重が作用することで主液室14に負圧が作用する吊り下げ式の防振装置にも本発明は適用可能である。
また、前記実施形態では、仕切部材16が、第1取付部材11内の液室19を、弾性体13を壁面の一部に有する主液室14、および副液室15に仕切るものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ダイヤフラム20を設けるのに代えて弾性体13を設け、副液室15を設けるのに代えて、弾性体13を壁面の一部に有する受圧液室を設けてもよい。例えば、仕切部材16が、液体Lが封入される第1取付部材11内の液室19を、第1液室14および第2液室15に仕切り、第1液室14および第2液室15のうちの少なくとも1つが、弾性体13を壁面の一部に有する他の構成に適宜変更することが可能である。
また、本発明に係る防振装置10は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントに適用することも可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
10 防振装置
11 第1取付部材
12 第2取付部材
13 弾性体
14 主液室(第1液室)
15 副液室(第2液室)
16 仕切部材
19 液室
24 制限通路
25 本体流路
26 第1連通部
26a 細孔
27 第2連通部
40 渦室障壁(障壁)
41 メンブラン
42 収容室
44 上側部材(基部材)
45 下側部材(基部材)
L 液体

Claims (3)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付部材、および他方に連結される第2取付部材と、
    これら両取付部材を弾性的に連結する弾性体と、
    液体が封入された前記第1取付部材内の液室を第1液室と第2液室とに区画する仕切部材と、を備えるとともに、
    前記仕切部材に、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、
    前記制限通路は、前記第1液室に開口する第1連通部、前記第2液室に開口する第2連通部、および前記第1連通部と前記第2連通部とを連通する本体流路を備え、
    前記第1連通部および前記第2連通部のうちの少なくとも一方は、複数の細孔を備え、
    前記複数の細孔が形成された障壁は、ゴム材料により形成されていることを特徴とする防振装置。
  2. 前記仕切部材には、メンブランが収容された収容室が形成され、
    前記障壁は、前記メンブランと一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記仕切部材は、前記第1取付部材内に嵌合された基部材を備え、
    前記基部材は、剛性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防振装置。
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