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JP2017082834A - 車両用ブレーキ - Google Patents

車両用ブレーキ Download PDF

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JP2017082834A
JP2017082834A JP2015209272A JP2015209272A JP2017082834A JP 2017082834 A JP2017082834 A JP 2017082834A JP 2015209272 A JP2015209272 A JP 2015209272A JP 2015209272 A JP2015209272 A JP 2015209272A JP 2017082834 A JP2017082834 A JP 2017082834A
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明大 岩田
Akihiro Iwata
明大 岩田
善隆 石丸
Yoshitaka Ishimaru
善隆 石丸
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Abstract

【課題】例えば、モータの回転負荷をより低減することが可能な車両用ブレーキを得る。【解決手段】車両用ブレーキは、例えば、ホイールを制動すべく制動部材を移動させる作動部材と、モータと、モータによって回転される回転部材と、回転部材の回転に伴って直動し作動部材を移動させる直動部材と、弾性部材と、回転部材の当該回転部材の軸方向への移動により回転部材との間で弾性部材を軸方向に弾性変形させる対向部材と、回転部材と対向部材との間に設けられ、回転部材が回転される際に、回転部材を対向部材に対して滑らせる滑り部材と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、車両用ブレーキに関する。
従来、運動変換機構においてモータの回転をケーブルの直動に変換し、ケーブルを引いてブレーキシューを動かすことにより制動状態を得る車両用ブレーキが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、例えば、運動変換機構の可動部材による皿ばねの圧縮により、モータの回転負荷が高まるよう構成されている。この場合、モータの回転負荷を検出することにより、例えば、直動部材やケーブルが所定位置、例えば可動範囲の境界位置にあることを、検知することができる。
特表2014−504711号公報
このような車両用ブレーキでは、例えば、皿ばねの圧縮に伴って摺動しながら相対回転する二つの部品間での摩擦抵抗トルクが大きくなりすぎると、その後モータを動かす際の回転負荷が高くなりすぎる虞があった。そこで、本発明の課題の一つは、例えば、モータの回転負荷をより低減することが可能な車両用ブレーキを得ることである。
本発明の車両用ブレーキは、例えば、ホイールを制動すべく制動部材を移動させる作動部材と、モータと、上記モータによって回転される回転部材と、上記回転部材の回転に伴って直動し上記作動部材を移動させる直動部材と、弾性部材と、上記回転部材の当該回転部材の軸方向への移動により上記回転部材との間で上記弾性部材を上記軸方向に弾性変形させる対向部材と、上記回転部材と上記対向部材との間に設けられ、上記回転部材が回転される際に、上記回転部材を上記対向部材に対して滑らせる滑り部材と、を備える。
上記車両用ブレーキでは、回転部材と弾性部材および対向部材のうち一方との間に設けられた滑り部材が、回転部材が回転される際に、回転部材を一方に対して滑らせる。よって、例えば、回転部材と弾性部材および対向部材のうち一方との相対的な回転および摺動に伴う摩擦抵抗トルクをより小さくすることができる。よって、モータの回転負荷がより低減されうる。
また、上記車両用ブレーキでは、例えば、上記滑り部材は、上記軸方向からの視線での中央部に凸曲面状の接触領域を有する。
上記車両用ブレーキでは、接触領域を回転部材の回転軸の近傍に配置できる。よって、回転部材と弾性部材および対向部材のうち一方との相対的な回転に伴う摩擦抵抗トルクにおけるモーメントアームを小さくでき、これにより回転部材と弾性部材および対向部材のうち一方との相対的な回転および摺動に伴う摩擦抵抗トルクをより小さくすることができる。よって、モータの回転負荷がより低減されうる。
また、上記車両用ブレーキでは、例えば、上記滑り部材は、球である。
上記車両用ブレーキによれば、滑り部材として球を用いることにより、比較的簡素な構成によって、回転部材と弾性部材および対向部材のうち一方との相対的な回転および摺動に伴う摩擦抵抗トルクをより小さくし、ひいては、モータの回転負荷を低減することができる。
また、上記車両用ブレーキでは、例えば、上記滑り部材は、転がり軸受である。
上記車両用ブレーキによれば、滑り部材として転がり軸受を用いることにより、比較的簡素な構成によって、回転部材と弾性部材および対向部材のうち一方との相対的な回転に伴う摩擦抵抗トルクをより小さくし、ひいては、モータの回転負荷を低減することができる。
図1は、実施形態の車両用ブレーキの車両後方からの例示的かつ模式的な背面図である。 図2は、実施形態の車両用ブレーキの車幅方向外方からの例示的かつ模式的な側面図である。 図3は、実施形態の車両用ブレーキの移動機構による制動部材の動作の例示的かつ模式的な側面図であって、非制動状態での図である。 図4は、実施形態の車両用ブレーキの移動機構による制動部材の動作の例示的かつ模式的な側面図であって、制動状態での図である。 図5は、第1実施形態の車両用ブレーキに含まれる駆動機構の例示的かつ模式的な断面図であって、非制動状態での図である。 図6は、第1実施形態の車両用ブレーキに含まれる駆動機構の例示的かつ模式的な断面図であって、制動状態での図である。 図7は、図5のVII−VII断面図である。 図8は、第2実施形態の車両用ブレーキに含まれる駆動機構の例示的かつ模式的な断面図である。 図9は、第3実施形態の車両用ブレーキに含まれる駆動機構の例示的かつ模式的な断面図である。 図10は、第1実施形態の変形例の車両用ブレーキに含まれる駆動機構の例示的かつ模式的な断面図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
以下の実施形態や変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
また、図1〜4では、便宜上、車両前後方向の前方が矢印Xで示され、車幅方向(車軸方向)の外方が矢印Yで示され、車両上下方向の上方が矢印Zで示される。
また、以下では、車両用ブレーキの一例であるブレーキ装置2が、左側の後輪(非駆動輪)に適用された場合が例示されるが、本発明は、他の車輪にも同様に適用可能である。
<第1実施形態>
<ブレーキ装置の構成>
図1に示されるように、ブレーキ装置2は、円筒状のホイール1の周壁1aの内側に収容されている。また、ブレーキ装置2は、ドラムブレーキとして構成されている。すなわち、図2に示されるように、ブレーキ装置2は、前後両側に円弧状のブレーキシュー3を備えている。ブレーキ装置2の周囲には、円筒状のドラム4(図3,4参照)が設けられている。ドラム4は、車幅方向(Y方向)に沿う回転中心Ax回りに、ホイール1と一体に回転する。ブレーキ装置2は、二つのブレーキシュー3を、円筒状のドラム4の内周面4aに接触するよう移動させる。これにより、ブレーキシュー3とドラム4との摩擦によって、ドラム4ひいてはホイール1が制動される。ブレーキシュー3は、制動部材の一例である。
ブレーキ装置2は、ブレーキシュー3を動かすアクチュエータとして、油圧によって動作するホイルシリンダ51(図2参照)と、通電によって動作するモータ120(図5参照)と、を備えている。ホイルシリンダ51およびモータ120は、それぞれ、二つのブレーキシュー3を動かすことができる。ホイルシリンダ51は、例えば、走行中の制動に用いられ、モータ120は、例えば、駐車時の制動に用いられる。すなわち、ブレーキ装置2は、電動パーキングブレーキの一例である。なお、モータ120は、走行中の制動にも用いられてもよい。
ブレーキ装置2は、図1,2に示されるように、円盤状のバックプレート6を備えている。バックプレート6は、車幅方向と交差した姿勢で設けられる。すなわち、バックプレート6は、車幅方向と交差する方向に略沿って、具体的には直交する方向(XZ平面)に略沿って、広がっている。図1に示されるように、ブレーキ装置2の構成部品は、バックプレート6の車幅方向の外側および内側の双方に設けられている。バックプレート6は、ブレーキ装置2の各構成部品を直接的または間接的に支持する。すなわち、バックプレート6は、支持部材の一例である。また、バックプレート6は、車体との不図示の接続部材と接続される。接続部材は、例えば、サスペンションの一部(例えば、アーム、リンク、取付部材等)である。図2に示されるバックプレート6に設けられた開口部6bは、接続部材との結合に用いられる。なお、ブレーキ装置2は、駆動輪にも用いることができる。ブレーキ装置2が駆動輪に用いられる場合、図2に示されるバックプレート6に設けられた開口部6cを不図示の車軸が貫通する。バックプレート6は、例えば、金属材料で構成される。
図2に示されるホイルシリンダ51や、ブレーキシュー3等は、バックプレート6の車幅方向外側に配置されている。ブレーキシュー3は、バックプレート6に移動可能に支持されている。本実施形態では、図3に示されるように、例えば、ブレーキシュー3の下端部3aが、回転中心C1回りに回転可能に、バックプレート6に支持されている。回転中心C1は、ホイール1の回転中心Cと略平行である。また、ホイルシリンダ51は、バックプレート6の上端部に支持されている。ホイルシリンダ51は、車両前後方向(図2の左右方向)に突出可能な二つの不図示の可動部(ピストン)を有する。ホイルシリンダ51は、加圧に応じて、二つの可動部を突出させる。突出した二つの可動部は、それぞれ、ブレーキシュー3の上端部3bを押す。二つの可動部の突出により、二つのブレーキシュー3は、それぞれ、回転中心C1回りに回転し、上端部3b同士が車両前後方向に互いに離間するように移動する。これにより、二つのブレーキシュー3は、ホイール1の回転中心Cの径方向外側に移動する。各ブレーキシュー3の外周部には、円筒面に沿った帯状のライニング31が設けられている。よって、二つのブレーキシュー3の、回転中心Cの径方向外側への移動により、ライニング31とドラム4の内周面4a(図4参照)とが接触する。ライニング31と内周面4aとの摩擦によって、ドラム4ひいてはホイール1が制動される。また、図2に示されるように、ブレーキ装置2は、復帰部材32を備えている。復帰部材32は、ホイルシリンダ51によるブレーキシュー3を押す動作が解除された場合に、二つのブレーキシュー3を、ドラム4の内周面4aと接触する位置(制動位置Pb、図4参照)からドラム4の内周面4aと接触しない位置(非制動位置Pn、初期位置、図3参照)へ動かす。復帰部材32は、例えば、コイルスプリング等の弾性部材であり、各ブレーキシュー3に、もう一方のブレーキシュー3に近付く方向の力、すなわち、ドラム4の内周面4aから離れる方向の力を与える。
<移動機構の構成および動作>
また、ブレーキ装置2は、二つのブレーキシュー3を非制動位置Pnから制動位置Pbに移動させる移動機構8(図3,4参照)を備えている。移動機構8は、バックプレート6の車幅方向外側に設けられている。移動機構8は、図2〜4に示されるように、レバー81(ただし、図2には示されず)と、ケーブル82と、ストラット83と、を有する。レバー81は、二つのうち一方、例えば図2の左側のブレーキシュー3Lとバックプレート6との間で、当該ブレーキシュー3Lおよびバックプレート6にホイール1の回転中心Axの軸方向に重なるように、設けられている。また、レバー81は、ブレーキシュー3Lに、回転中心Ax2回りに回転可能に支持されている。回転中心Ax2は、ブレーキシュー3Lの、回転中心Ax0から離れた側、図2では上側の端部に位置され、回転中心Axおよび回転中心Ax0と略平行である。ケーブル82は、レバー81の回転中心Ax2から遠い側の下端部81aを、他方、例えば、図2の右側のブレーキシュー3Rに近付く方向に動かす。ケーブル82は、バックプレート6に略沿って移動する。また、ストラット83は、レバー81と当該レバー81が支持されるブレーキシュー3Lとは別のブレーキシュー3Rとの間に介在し、レバー81と当該別のブレーキシュー3Rとの間で突っ張る。また、レバー81とストラット83との接続位置P1は、回転中心Ax2と、ケーブル82とレバー81との接続位置P2と、の間に設定されている。ケーブル82は、ブレーキシュー3を移動させる作動部材の一例である。
このような移動機構8において、ケーブル82が引かれて図3,4の右側へ動くことにより、レバー81が、図4に示されるように、ブレーキシュー3Rに近付く方向へ動くと(矢印a)、レバー81はストラット83を介してブレーキシュー3Rを押す(矢印b)。これにより、ブレーキシュー3Rは、非制動位置Pn(図3)から回転中心Ax0回りに回転し(矢印c)、ドラム4の内周面4aと接触する位置(制動位置Pb、図4)へ動く。この状態では、ケーブル82とレバー81との接続位置P2は力点、回転中心Ax2は支点、レバー81とストラット83との接続位置P1は作用点に相当する。さらに、ブレーキシュー3Rが、内周面4aに接触した状態で、レバー81が図3,4の右側、すなわち、ストラット83がブレーキシュー3Rを押す方向へ動くと(矢印a)、ストラット83が突っ張ることにより、レバー81はストラット83との接続位置P1を支点として、レバー81の動く方向とは逆方向、すなわち、図3,4での反時計回りに回転する(矢印d)。これにより、ブレーキシュー3Lは、非制動位置Pn(図3)から回転中心Ax0回りに回転し、ドラム4の内周面4aと接触する位置(制動位置Pb、図4)へ動く。このようにして、移動機構8の作動により、ブレーキシュー3L,3Rは、非制動位置Pnから制動位置Pbへ動く。なお、ブレーキシュー3Rがドラム4の内周面4aに接触した以降の状態では、レバー81とストラット83との接続位置P1が支点となる。なお、ブレーキシュー3L,3Rの移動量は微少、例えば、1mm以下である。
<駆動機構>
図1,2,5,6に示される駆動機構100は、上述した移動機構8を介して、二つのブレーキシュー3を、非制動位置Pnから制動位置Pbへ動かす。駆動機構100は、バックプレート6の車幅方向内側に位置され、バックプレート6に固定されている。図2〜4に示されるケーブル82は、バックプレート6に設けられた不図示の開口部を貫通している。
図5に示されるように、駆動機構100は、ハウジング110、モータ120、減速機構130、および運動変換機構140を備えている。
ハウジング110は、モータ120、減速機構130、および運動変換機構140を支持している。ハウジング110は、複数の部材を含んでいる。複数の部材は、例えばねじ等の不図示の結合具によって結合され、一体化されている。ハウジング110内には、壁部111によって囲まれた収容室Rが設けられている。モータ120、減速機構130、および運動変換機構140は、収容室R内に収容され、壁部111によって覆われている。ハウジング110は、ベースや、支持部材、ケーシング等と称されうる。なお、ハウジング110の構成は、ここで例示されたものには限定されない。
モータ120は、アクチュエータの一例であって、ケース121と、ケース121内に収容された収容部品と、を有する。収容部品には、例えば、シャフト122の他、ステータや、ロータ、コイル、磁石(不図示)等が含まれる。シャフト122は、ケース121から、モータ120の第一の回転中心Ax1に沿ったD1方向に突出している。D1方向は、図5では右方である。モータ120は、制御信号に基づく駆動電力によって駆動され、シャフト122を回転させる。シャフト122は、出力シャフトとも称されうる。
減速機構130は、ハウジング110に回転可能に支持された複数のギヤを含む。複数のギヤは、例えば、第一ギヤ131、第二ギヤ132、および第三ギヤ133である。減速機構130は、回転伝達機構と称されうる。
第一ギヤ131は、モータ120のシャフト122と一体に回転する。第一ギヤ131は、ドライブギヤと称されうる。
第二ギヤ132は、第一の回転中心Ax1と平行な第二の回転中心Ax2周りに回転する。第二ギヤ132は、入力ギヤ132aと出力ギヤ132bとを含む。入力ギヤ132aは、第一ギヤ131と噛み合っている。入力ギヤ132aの歯数は、第一ギヤ131の歯数よりも多い。よって、第二ギヤ132は、第一ギヤ131よりも低い回転速度に減速される。出力ギヤ132bは、入力ギヤ132aに対して、D1方向の反対方向に位置されている。第二ギヤ132は、アイドラギヤと称されうる。
第三ギヤ133は、第一の回転中心Ax1と平行な第三の回転中心Ax3周りに回転する。第三ギヤ133は、第二ギヤ132の出力ギヤ132bと噛み合っている。第三ギヤ133の歯数は、出力ギヤ132bの歯数よりも多い。よって、第三ギヤ133は、第二ギヤ132よりも低い回転速度に減速される。第三ギヤ133は、ドリブンギヤと称されうる。なお、減速機構130の構成は、ここで例示されたものには限定されない。減速機構130は、例えば、ベルトやプーリ等を用いた回転伝達機構のような、ギヤ機構以外の回転伝達機構であってもよい。
運動変換機構140は、回転部材141と、直動部材142とを有している。
回転部材141は、第三の回転中心Ax3回りに回転する。回転部材141は、小径部141aと、小径部141aよりも外径の大きい大径部141bと、を有する。小径部141aは、回転部材141のうちD1方向の反対方向に位置された部位であり、筒状に構成されている。大径部141bは、回転部材141のうちD1方向に位置された部位である。大径部141bは、底壁部141b1と、側壁部141b2とを有する。底壁部141b1は、小径部141aのD1方向の端部から径方向に張り出し、円環状かつ板状に構成されている。側壁部141b2は、底壁部141b1の周縁部からD1方向に延び、円筒状に構成されている。側壁部141b2は、周壁部、筒状壁部と称されうる。大径部141bには、D1方向に向けて開放された凹部141b3が設けられている。
大径部141bの側壁部141b2には、第三ギヤ133の歯が設けられている。すなわち、回転部材141は、第三ギヤ133でもある。第三ギヤ133の歯が設けられた部位は、被駆動部の一例である。凹部141b3内には、ハウジング110の筒状部112が収容されている。凹部141b3内では、筒状部112のD1方向の反対方向の端部112aと底壁部141b1との間に、スラストベアリング143が位置されている。スラストベアリング143は、第三の回転中心Ax3の軸方向の荷重を受ける。スラストベアリング143は、図5の例では、スラストころ軸受であるが、これには限定されない。大径部141bひいては回転部材141は、ハウジング110に、スラストベアリング143を介して回転可能に支持されている。
小径部141aは、ハウジング110の第一孔部113aに収容されたラジアルベアリング144に挿入されている。第一孔部113aの断面は略円形である。第一孔部113aは、第三の回転中心Ax3の軸方向に沿って延びている。小径部141aひいては回転部材141は、ハウジング110に、ラジアルベアリング144を介して回転可能に支持されている。ラジアルベアリング144は、図5の例では、メタルブッシュであるが、これには限定されない。
回転部材141には、小径部141aおよび底壁部141b1を貫通する円形断面の貫通孔141cが設けられている。貫通孔141cには、雌ねじ部145aが設けられている。
直動部材142は、第三の回転中心Ax3に沿って延び、回転部材141を貫通している。直動部材142は、棒状部142aと、連結部142bとを有する。
棒状部142aは、回転部材141の貫通孔141c、回転部材141の大径部141bの凹部141b3、およびハウジング110の筒状部112に設けられた第二孔部113b内に挿入されている。第二孔部113bの断面は、略円形である。第二孔部113bは、第一孔部113aの方向D1に位置され、第三の回転中心Ax3の軸方向に沿って延びている。棒状部142aの断面は略円形である。棒状部142aには、回転部材141の雌ねじ部145aと噛み合う雄ねじ部145bが設けられている。
連結部142bは、連結部材146によって、ケーブル82の端部82aと連結されている。連結部材146は、図7に示されるように、ケーブル82の端部82aおよび連結部142bを貫通している。連結部材146は、例えばピンである。
図7に示されるように、ハウジング110の筒状部112に設けられた第二孔部113bの内面には、溝部113cが設けられている。溝部113cは、第三の回転中心Ax3に沿って略一定の幅および深さで延びている。溝部113cは、第三の回転中心Ax3を挟んだ二箇所に設けられている。溝部113cには、連結部材146の長手方向の端部が挿入されている。溝部113cの第三の回転中心Ax3の周方向の幅は、連結部材146の長手方向の端部の幅よりも、僅かに大きく設定されている。よって、連結部材146と溝部113cの周方向の面とが当接することにより、連結部材146ひいては直動部材142の第三の回転中心Ax3回りの回転が制限される。また、図6に示されるように、連結部材146は、凹部141b3内に移動可能である。すなわち、連結部材146は、直動部材142が制動位置Pbに位置されている状態で、凹部141b3内に位置されている。また、図7に示される溝部113cの方向D1の面113dは、連結部材146が方向D1に移動するのを制限している。面113dは、ストッパや、位置制限部と称されうる。なお、直動部材142とケーブル82とを結合する構造は、図7の例には限定されない。
このような構成において、モータ120のシャフト122の回転が、減速機構130を介して回転部材141に伝達され、回転部材141が回転すると、回転部材141の雌ねじ部145aと直動部材142の雄ねじ部145bとの噛み合い、および溝部113cにおけるハウジング110による直動部材142の回転の制限により、直動部材142は、第三の回転中心Ax3の軸方向に沿って非制動位置Pn(図5)と制動位置Pb(図6)との間で移動する。
ハウジング110の筒状部112のうち、溝部113cが設けられた部位は、連結部材146ひいては直動部材142の第三の回転中心Ax3回りの回転を制限する回転制限部の一例であり、連結部材146ひいては直動部材142を第三の回転中心Ax3の軸方向に沿って案内するガイド部の一例でもある。
<モータ回転負荷増大機構および摩擦抵抗トルク低減機構>
図5に示されるように、回転部材141のD1方向の反対方向(図5の左方向)に位置されたハウジング110の壁部111aと、当該回転部材141との間には、球160、板バネ151、およびスペーサ152が設けられている。球160、板バネ151、およびスペーサ152は、第三の回転中心Ax3の軸方向に並んでいる。
球160は、ハウジング110の壁部111aと接し、第一孔部113a内の、D1方向の反対方向の端部に位置されている。球160は、例えば鋼球である。球160は、第三の回転中心Ax3の軸方向からの視線での中央部に、凸曲面状、すなわちこの例では球面状の、接触領域160aを有している。接触領域160aは、球160のうち、隣接する部材、すなわち、図5の例ではハウジング110の壁部111aまたは板バネ151と、接触する部位である。なお、接触領域160aを有する滑り部材は、例えば、半球や、鈍頭の円錐体等、球160以外の部材であってもよい。
板バネ151は、球160のD1方向(図5の右方向)に位置されている。板バネ151は、球160とスペーサ152との間に位置されている。板バネ151には、環状、板状、かつ扁平な円錐状の複数の要素が含まれている。板バネ151は、例えばステンレススチールによって構成されうる。板バネ151は、第三の回転中心Ax3の軸方向に圧縮されると、軸方向に弾性的に伸長する反力を生じる。板バネ151は、弾性部材の一例である。板バネ151は、付勢部材や、反発部材と称されうる。弾性部材は、例えばコイルスプリングやエラストマ等、板バネ以外の弾性部材であってもよい。
スペーサ152は、板バネ151のD1方向に位置されている。スペーサ152は、板バネ151と回転部材141の小径部141aとの間に位置されている。スペーサ152は、円筒状に構成されている。
モータ120の回転によって、直動部材142が方向D1へ移動した場合において、例えば、連結部材146と図7に例示される面113dとの接触によって、直動部材142の方向D1への移動が制限されると、回転部材141は、モータ120の回転駆動によって回転しようとするのにも拘わらず、直動部材142の方向D1への移動(直動)が制限される状態となる。このため、回転部材141は、回転部材141の雌ねじ部145aと直動部材142の雄ねじ部145bとの噛み合いにより、直動部材142から方向D1の反対方向(図5の左方向)へ反力を受ける。この場合、本実施形態では、板バネ151が、ハウジング110の壁部111a、球160および回転部材141によって挟まれ、弾性的に圧縮される。板バネ151の弾性的な圧縮反力の増大により、雌ねじ部145aおよび雄ねじ部145bにおけるねじ面の法線方向の力が増大するため、雌ねじ部145aと雄ねじ部145bとの摩擦抵抗トルクが増大し、これによりモータ120の負荷トルクが増大する。したがって、例えば、モータ120の制御装置(不図示)は、モータ120の駆動電流等によって負荷トルクを検出することにより、直動部材142の方向D1への移動が制限された状態であることを検知することができる。すなわち、本実施形態では、主として回転部材141に軸方向に弾性的な反力を与える弾性部材としての板バネ151により、モータ回転負荷増大機構が構成されている。
このような構成において、球160は、壁部111aとの球160との間、および板バネ151と球160との間の、一方または双方において、摩擦抵抗トルク(摺動抵抗トルク)を低減することができる。これは、上述したように、球160は、第三の回転中心Ax3の軸方向からの視線で、中央部の凸曲面状、すなわち球面状の接触領域160aを有しているからである。第三の回転中心Ax3から接触領域160aまでのモーメントアームは、比較的小さい(短い)ため、壁部111aとの球160と間、および板バネ151と球160との間では、摩擦力とモーメントアームとの乗算である摩擦抵抗トルクは、比較的小さくなる。仮に、球160が設けられない場合、板バネ151の方向D1の端部は、モータ120によって回転される回転部材141との摩擦抵抗によって回転されようとする一方、板バネ151の方向D1の反対方向の端部は、固定された壁部111aとの摩擦抵抗によって、回転が阻害されようとする。したがって、壁部111a、板バネ151、スペーサ152、および回転部材141は、それらの接触面において、摩擦抵抗トルクが増大する虞がある。この場合、板バネ151が弾性的に圧縮されている間、摩擦抵抗トルクが比較的高い状態状態、すなわちモータ120の回転負荷が比較的高い状態が、維持されることになる。この点、本実施形態では、球160により、壁部111aと回転部材141との間に、摩擦抵抗トルクの小さい部分(区間)を設けることができるため、壁部111aと回転部材141との間の二つの部品間での摩擦抵抗トルク(摺動トルク)に基づいてモータ120の回転負荷が増大するのが、抑制されうる。すなわち、本実施形態では、主として球160により、摩擦抵抗トルク低減機構が構成されている。球160は、回転部材141が回転される際に、回転部材141をハウジング110の壁部111aに対して滑らせる、滑り部材の一例である。壁部111aは、対向部材の一例である。本実施形態では、板バネ151が弾性的に圧縮された状態では、回転部材141、スペーサ152、および板バネ151は、ほぼ一体的に回転することができる。壁部111aは、固定部材や、非回転部材、相対回転部材と称されうる。
なお、本実施形態のように球160、すなわち、滑り部材、あるいは摩擦抵抗トルク低減機構を設けた場合にあっても、板バネ151の軸方向の弾性的な圧縮反力は、雌ねじ部145aと雄ねじ部145bとの噛み合い部に作用するため、当該噛み合い部における摩擦力の増大によるモータ120の負荷トルクの増大の検知を利用した制御に、支障は無い。
以上説明したように、本実施形態では、球160が、回転部材141と壁部111a(対向部材)との間に設けられ、回転部材141が回転される際に、回転部材141を壁部111aに対して滑らせる。よって、本実施形態によれば、例えば、回転部材141と壁部111aとの間の摩擦抵抗トルクが増大してモータ120の回転負荷が増大するような事象が、生じ難い。
また、本実施形態では、球160は、第三の回転中心Ax3の軸方向からの視線での中央部に、凸曲面状の接触領域160aを有している。よって、本実施形態によれば、例えば、回転部材141の回転に伴う球160と壁部111aまたは板バネ151との間の摩擦抵抗トルクにおけるモーメントアームを小さくでき、これにより摩擦抵抗トルクをより小さくすることができる。よって、モータ120の回転負荷がより低減されうる。
また、本実施形態では、滑り部材として球160を用いることにより、比較的簡素な構成によって、摩擦抵抗トルク低減機構を構成することができる。
<第2実施形態>
図8に示される本実施形態の駆動機構100Aは、第1実施形態の駆動機構100と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果が得られる。
ただし、本実施形態では、滑り部材として、スラストニードルベアリング160Aが設けられている。スラストニードルベアリング160Aは、ころ軸受の一例であり、転がり軸受の一例である。滑り部材は、例えば、玉軸受等、ニードルベアリング以外のベアリングであってもよい。
また、本実施形態では、壁部111aの方向D1に板バネ151が設けられ、板バネ151の方向D1にスラストニードルベアリング160Aが設けられ、スラストニードルベアリング160Aの方向D1にスペーサ152が設けられている。すなわち、滑り部材としてのスラストニードルベアリング160Aは、弾性部材としての板バネ151と、スペーサ152との間に、設けられている。
本実施形態によれば、スラストニードルベアリング160Aが、回転部材141と壁部111a(対向部材)との間に設けられ、回転部材141が回転される際に、回転部材141を壁部111aに対して滑らせる。よって、本実施形態によれば、例えば、回転部材141と壁部111aとの摩擦抵抗トルクが増大してモータ120の回転負荷が増大するような事象が、生じ難い。
また、本実施形態では、滑り部材としてスラストニードルベアリング160Aを用いることにより、比較的簡素な構成によって、摩擦抵抗トルク低減機構を構成することができる。また、摩擦抵抗トルク低減機構を、軸方向により短く構成できる。
<第3実施形態>
図9に示される本実施形態の駆動機構100Bは、第2実施形態の駆動機構100Aと同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の構成に基づく同様の結果が得られる。
ただし、本実施形態では、駆動機構100Bは、スペーサ152を含まず、対向部材としてのハウジング110の壁部111bと回転部材141との間に、板バネ151とスラストニードルベアリング160Bとが、スペーサ152を介することなく、挟まれている。
壁部111bは、ハウジング110のうち第一孔部113aが設けられている部分の、方向D1側を部分的に拡張することで、フランジ状に設けられている。壁部111bは、円環状に設けられ、第三の回転中心Ax3と直交する面を有している。
板バネ151およびスラストニードルベアリング160Bは、回転部材141の小径部141aおよび直動部材142の回りを取り囲むように、設けられている。すなわち、小径部141aおよび直動部材142は、板バネ151およびスラストニードルベアリング160Bの中央部に設けられた開口部を貫通している。
壁部111bの方向D1に板バネ151が位置され、板バネ151の方向D1にスラストニードルベアリング160Bが位置され、スラストニードルベアリング160Bの方向D1に回転部材141が位置されている。板バネ151とスラストニードルベアリング160Bとの位置は、逆であってもよい。
以上の本実施形態によれば、スペーサ152が無い分、例えば、駆動機構100Bの部品点数や質量が減ったりといった効果が得られる。
<第1実施形態の変形例>
図10に示される変形例の駆動機構100Cは、第1実施形態の駆動機構100と同様の構成を備えている。よって、本変形例によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果が得られる。
ただし、本変形例では、ハウジング110が、壁部111と壁部114とを含む。壁部114は、壁部111と着脱可能に一体化されている。壁部114を含む部分は、例えば、ねじ等の結合具によって、壁部111と一体化されうる。また、例えば、壁部114を含む部分には、雄ねじ部または雌ねじ部が設けられ、壁部111を含む部分に設けられた雌ねじ部または雄ねじ部と噛み合って一体化されるよう、構成されうる。壁部111を含む部分は、第一部材、第一部分、第一分割体と称され、壁部114を含む部分は、第二部材、第二部分、第二分割体と称されうる。壁部114は、対向部材の一例である。
そして、壁部114を含む部分が、壁部111を含む部分と分離された状態で、球160、板バネ151、およびスペーサ152を取り出すと、直動部材142の端部が露出するよう、構成されている。直動部材142の端部には、六角穴142cが設けられている。よって、緊急時等において、回転部材141がロックされているような状態にあっても、作業者は、六角穴142cに六角レンチを嵌めて回すことにより、直動部材142を動かすことができる。なお、直動部材142には、六角穴142cに替えて、指で操作できるハンドルや、凹凸部が設けられてもよいし、六角レンチとは異なるドライバ等の汎用工具や、専用工具等を嵌め込み可能な嵌合構造が設けられてもよい。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、ブレーキ装置2は、リーディングトレーリング式のドラムブレーキとして構成されたが、本発明は他の形式のブレーキ装置としても構成することができる。また、一のアクチュエータによるディスクブレーキと他のアクチュエータによるドラムブレーキとを有するブレーキ装置の、当該他のアクチュエータに対応した構成として、本発明を実施することが可能である。また、対向部材は、直動部材であってもよい。
また、上記実施形態では、制動部材を移動させる作動部材がケーブル82である構成が例示されたが、作動部材は、ロッドやレバーなど、ケーブル82以外のものであってもよい。また、作動部材は、引っ張るのではなく押すことにより、制動部材を移動させてもよい。
1…ホイール、2…ブレーキ装置(車両用ブレーキ)、3…ブレーキシュー(制動部材)、82…ケーブル(作動部材)、110…ハウジング(対向部材)、111a,114…壁部(対向部材)、120…モータ、141…回転部材、142…直動部材、151…板バネ(弾性部材)、160…球、160a…接触領域、160A,160B…スラストニードルベアリング。

Claims (4)

  1. ホイールを制動すべく制動部材を移動させる作動部材と、
    モータと、
    前記モータによって回転される回転部材と、
    前記回転部材の回転に伴って直動し前記作動部材を移動させる直動部材と、
    弾性部材と、
    前記回転部材の当該回転部材の軸方向への移動により前記回転部材との間で前記弾性部材を前記軸方向に弾性変形させる対向部材と、
    前記回転部材と前記対向部材との間に設けられ、前記回転部材が回転される際に、前記回転部材を前記対向部材に対して滑らせる滑り部材と、
    を備えた、車両用ブレーキ。
  2. 前記滑り部材には、前記軸方向からの視線での中央部に凸曲面状の接触領域を有した、請求項1に記載の車両用ブレーキ。
  3. 前記滑り部材は、球である、請求項1または2に記載の車両用ブレーキ。
  4. 前記滑り部材は、転がり軸受である、請求項1に記載の車両用ブレーキ。
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