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JP2015194415A - ニッケル微粒子 - Google Patents

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JP2015194415A JP2014072712A JP2014072712A JP2015194415A JP 2015194415 A JP2015194415 A JP 2015194415A JP 2014072712 A JP2014072712 A JP 2014072712A JP 2014072712 A JP2014072712 A JP 2014072712A JP 2015194415 A JP2015194415 A JP 2015194415A
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井上 修治
Shuji Inoue
修治 井上
山田 勝弘
Katsuhiro Yamada
勝弘 山田
賢三 中野
Kenzo Nakano
賢三 中野
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Fukuoka Prefecture
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Nippon Steel and Sumikin Chemical Co Ltd
Fukuoka Prefecture
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Abstract

【課題】出来るだけ低い温度で融着状態となり、導通性と高いシェア強度を有する接合層を形成することが可能なニッケル微粒子を提供する。【解決手段】嵩密度が0.5〜3.5g/cm3の範囲内、炭素元素の含有量が0.3〜1.0質量%の範囲内、酸素元素の含有量が0.5〜2.5質量%の範囲内であって、(1)飛行時間型二次イオン質量分析法を用いて測定したときに、質量数(m/z)≧80において、C及びHからなる有機物由来のフラグメントが検出されない;(2)飛行時間型二次イオン質量分析法を用いて測定したときに、質量数(m/z)=45において、CH2CH2Oのフラグメントが検出される;(3)ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて、前記質量数(m/z)=45におけるマススペクトルを測定して得られるクロマトグラムにおいて、3種類以上のスペクトルが確認される;を満足するニッケル微粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品などの製造に利用可能なニッケル微粒子に関する。
金属微粒子は、バルク金属とは異なる物理的・化学的特性を有することから、様々な工業材料に利用されている。近年では、電子機器の小型化や薄型化に伴い、工業用の金属微粒子の粒子径も、数十〜数百nm程度まで微粒子化が進んでいる。例えば、特許文献1では、比較的に安価で、高温での使用が可能なニッケル材料を利用した電子部品の接合材が提案されている。特許文献1の接合材は、ニッケル又はニッケル合金により構成される金属微粒子と、該金属微粒子を被覆する酸素含有皮膜と、を備え、平均粒子径が100nm以下である金属ナノ粒子を使用している。
金属微粒子を接合材に使用する場合、金属微粒子を含有する接合材料を被接合部材間に配置し、例えば300℃以上の温度で加熱する焼成工程が必要となる。この焼成工程における金属微粒子の挙動(以下、「焼結性」と記すことがある)は、接合層の導通性やせん断強度に大きな影響を与える。例えば、焼成工程後の接合層において、多くの金属微粒子の粒子界面が確認されるような状態であると、接合層の導通性やせん断強度が十分に高くならない。それに対し、焼成工程後の接合層において、金属微粒子の粒子界面が全く確認されない融着状態であると、導通性と高いせん断強度を有するものとなる。
国際公開WO2012/173187号パンフレット
ニッケル微粒子を接合材として利用する場合、焼成によってニッケル微粒子が融着した状態となって導通性を有するとともに、接合層が十分に高いせん断強度を有している必要がある。接合層の導通性やせん断強度に影響を与える因子として、原料として用いる金属微粒子の平均粒子径やその粒度分布、分散/凝集状態、表面修飾状態のほか、焼成工程の焼成条件などが考えられる。しかし、これらの因子は、相互に関連性を有している。例えば最適な焼成条件は、他の因子、すなわち、原料の金属微粒子の種類や平均粒子径、その粒度分布、分散/凝集状態、表面修飾状態などに応じて変化する。
本発明の目的は、出来るだけ低い温度で融着状態となり、導通性と高いシェア強度を有する接合層を形成することが可能なニッケル微粒子を提供することである。
本発明のニッケル微粒子は、嵩密度が0.5〜3.5g/cmの範囲内であり、炭素元素の含有量が0.3〜1.0質量%の範囲内、酸素元素の含有量が0.5〜2.5質量%の範囲内であって、下記の条件(1)及び(2)又は(3)、
(1)飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて測定したときに、質量数(m/z)≧80において、C及びHからなる有機物由来のフラグメントが検出されないこと;
(2)飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて測定したときに、質量数(m/z)=45において、CHCHOのフラグメントが検出されること;
(3)ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)を用いて、前記質量数(m/z)=45におけるマススペクトルを測定して得られるクロマトグラムにおいて、3種類以上のスペクトルが確認されること;
を満足する。
本発明のニッケル微粒子は、平均一次粒子径が10〜150nmの範囲内であり、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.25以下であり、Scherrer法により算出される結晶子径が15nm以下であってもよい。
本発明のニッケル微粒子によれば、均一な分散状態で150℃程度の低温で焼結、熱融着させることが可能である。従って、本発明のニッケル微粒子は、例えば従来のSiデバイスでは使用できない高温用途に向けた、低温での焼結が可能なダイボンディング材料として、好適に用いることができる。
実施例1で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 実施例1で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 実施例1で得られたニッケル微粒子の熱機械分析装置(TMA)の測定結果を示すチャートである。 実施例2で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 実施例2で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 実施例2で得られたニッケル微粒子の熱機械分析装置(TMA)の測定結果を示すチャートである。 実施例3で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 実施例3で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 実施例3で得られたニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果を示すチャートである。 実施例3で得られたニッケル微粒子の飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)の測定結果を示すチャートである。 実施例4で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 実施例4で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 実施例4で得られたニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果を示すチャートである。 実施例4で得られたニッケル微粒子のガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)の測定結果を示すチャートである。 比較例1で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 比較例1で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 比較例1で得られたニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果を示すチャートである。 比較例2で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 比較例2で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 比較例2で得られたニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果を示すチャートである。 比較例3で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 比較例3で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 比較例3で得られたニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果を示すチャートである。 比較例4で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。 比較例4で得られたニッケル微粒子の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。 比較例4で得られたニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果を示すチャートである。 比較例5で得られたニッケル微粒子のSEM写真である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[ニッケル微粒子]
本実施の形態のニッケル微粒子は、ニッケルを主成分として含む微粒子である。ここで、「ニッケルを主成分として含む」とは、全金属元素量に対し、ニッケル元素を50重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは100重量%含有することを意味する。本実施の形態のニッケル微粒子は、ニッケル以外の金属として、例えば、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム、スズ、タングステン、モリブデン、バナジウム等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム等の貴金属などの金属元素を、単独で又は2種以上含有していてもよい。
本実施の形態のニッケル微粒子は、嵩密度が0.5〜3.5g/cmの範囲内であり、0.5〜3.0g/cmの範囲内が好ましい。嵩密度は、低温焼結性とハンドリング性に寄与する。嵩密度が0.5g/cmを下回る場合には、ニッケル微粒子に不必要なネッキングや凝集が生じ、低温焼結の妨げとなる。一方、嵩密度が3.5g/cmを超えても特に差支えないが、例えばペースト化する場合ペースト化に使用する材料の種類によっては、ハンドリング性に弊害を生じるおそれがある。
本実施の形態のニッケル微粒子は、炭素元素の含有量が0.3〜1.0質量%の範囲内であり、0.3〜0.6質量%の範囲内が好ましい。炭素元素は、適量であればニッケル微粒子の分散性に寄与する。また、炭素元素の含有量が上記範囲内であると、ニッケル微粒子に存在する酸素元素を効率よく還元することができる。炭素元素の含有量が0.3質量%を下回ると、分散性の向上効果が得られない。炭素元素の含有量が1.0質量%を超えると、焼結後の残留炭素量が多くなり、接合材として使用した場合に、導通性を低下させる場合がある。
本実施の形態のニッケル微粒子は、酸素元素の含有量が0.5〜2.5質量%の範囲内であり、0.5〜2.3質量%の範囲内が好ましい。酸素元素は、主として、ニッケル微粒子の表面に存在する酸化被膜に由来する。酸素元素の含有量が0.5質量%を下回ると、ニッケル微粒子の焼結の際に、炭素元素が十分に酸化されず、残留炭素として残りやすくなり、接合層の強度が低下する可能性がある。酸素元素の含有量が2.5質量%を超えると、接合材として使用した場合に、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす可能性があると共に、酸化物がニッケル微粒子の表面に強固に存在することによって、低温での焼結を妨げるおそれがある。
また、本実施の形態のニッケル微粒子は、下記の条件(1)を満たし、条件(2)又は条件(3)の少なくとも片方を満たす。
(1)飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて測定したときに、質量数(m/z)≧80において、C及びHからなる有機物由来のフラグメントが検出されないこと。
ここで、「C及びHからなる」は、「CとHのみで構成される」の意味である。この条件(1)は、質量数が大きいアルキル基のフラグメントが検出されないことを意味している。すなわち、本実施の形態のニッケル微粒子が、例えば、R−O−(CHCHO)n−CH−COOH[ここで、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を意味する]のような界面活性剤を含有しないことを規定したものである。このような長鎖のアルキル基を含むと、焼結後の残留炭素量が多くなって、接合材として使用した場合に、導通性やせん断強度に悪影響を与える場合がある。
なお、条件(1)では、例えばCHCHO(Oを含む)や、シロキサン由来(Siを含む)のフラグメントの存在は許容される。これらは、焼結時に分解して揮散しやすく、接合材として使用した場合に、接合層中に残留することが少ないと考えられるからである。従って、本実施の形態のニッケル微粒子は、グリコール化合物やシロキサン化合物を含有していてもよい。
(2)飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて測定したときに、質量数(m/z)=45において、CHCHOのフラグメントが検出されること。
上記CHCHOのフラグメントとは、ポリエチレングリコール由来のフラグメントを意味する。ポリエチレングリコールは、ニッケル微粒子を合成する工程で使用されるもので、生成するニッケル微粒子の粒子径を小さくすると共に、CV値を低くする作用を有するが、焼結工程で分解しやすく、残留炭素として残りにくい成分である。
(3)ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)を用いて、前記質量数(m/z)=45におけるマススペクトルを測定して得られるクロマトグラムにおいて、3種類以上のスペクトルが確認されること。
上記質量数(m/z)=45において検出される3種類以上のスペクトルは、ポリエチレングリコール由来のスペクトルを意味する。
上記条件(2)及び条件(3)は、いずれも、ポリエチレングリコールの存在を確認するものである。従って、本実施の形態のニッケル微粒子は、ポリエチレングリコールを含有している。
本実施の形態のニッケル微粒子は、一次粒子の平均粒子径が、10〜150nmの範囲内にあることが好ましく、10〜60nmの範囲内にあることがより好ましい。ニッケル微粒子は、平均粒子径が小さくなるほどサイズ効果による融点降下に起因して、融点の絶対値が大きく減少する。従って、ニッケル微粒子の焼結温度は、平均粒子径が小さくなるほど低くなるが、ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径が10nm未満であると、分散性が低下する傾向があると共に、表面活性が高いために酸化物を抑制することが困難となる。一方、ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径が150nmを超えると、低温での焼結が困難になる場合がある。なお、本明細書において、ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径は、実施例で用いた値を含めて、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として算出した値である。
また、本実施の形態のニッケル微粒子は、十分な分散性を得るために、粒子径分布が狭いことが好ましく、例えば、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径;CV値)は、0.25以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。CV値が0.25を超えると、分散性が低下する傾向がある。
また、本実施の形態のニッケル微粒子は、Scherrer法により算出される結晶子径が15nm以下であることが好ましく、13nm以下であることがより好ましい。平均粒子径に対する結晶子径の割合が大きくなると、焼結温度が高くなる。そのため、ニッケル微粒子の結晶子径が15nmを超えると、低温での焼結が困難になる場合がある。
本実施の形態のニッケル微粒子を接合材料として用いる場合は、ニッケル微粒子以外に、例えば、分散剤、有機溶媒、フラックス成分、粘度調整剤、チキソ剤、還元剤、界面活性剤等を含有することができる。接合材料は、例えばスラリー状、ペースト状、グリース状、ワックス状等の形態とすることができる。
[ニッケル微粒子の製造方法]
次に、本実施の形態のニッケル微粒子の好ましい製造方法について説明する。本実施の形態に係るニッケル微粒子の製造は、例えば、ニッケル塩と、過剰量のヒドラジンと、アルカリ金属の水酸化物と、複数の水酸基およびエーテル酸素の一方または双方を有する分子量100〜5000の水溶性有機化合物(以下、単に「水溶性有機化合物」と記すことがある)とを含む前駆体水溶液を調製する工程(工程I)と、工程Iで得られた前駆体水溶液を40〜150℃の範囲内の温度で加熱撹拌し、ニッケルイオンの還元およびニッケル微粒子の生成を行う(工程II)と、を含む方法により行うことができる。
(工程I)
工程Iは、ニッケル塩またはその水溶液と、過剰量のヒドラジン水和物またはその水溶液と、を混合し、ニッケルヒドラジン錯塩スラリーを生成させる工程I−Aと、工程I−Aで得られたスラリーに、アルカリ金属の水酸化物またはその水溶液を添加し、ニッケルヒドラジン錯塩を溶解させ、ニッケルヒドラジン錯体水溶液を調製する工程I−Bと、を含むことができる。水溶性有機化合物は、工程I−Aにおいてヒドラジン錯塩スラリーの生成前または生成後に水溶液に加えてもよく、工程I−Bの後でニッケルヒドラジン錯体溶液に加えてもよい。
一般に、塩化ニッケルとヒドラジンを水溶液中で混合すると溶解度の低いニッケルヒドラジン錯塩が析出することが知られている。本製造方法では、工程I−Aにおいて、ニッケル塩に対して過剰量のヒドラジンを混合することによって、ニッケルヒドラジン錯塩を形成させる。次に、工程I−Bでは、工程I−Aで得られたスラリー状の混合物にアルカリ金属の水酸化物またはその水溶液を添加し、水溶液を強アルカリ性にする。水溶液を強アルカリ性にすることによって、ニッケルヒドラジン錯塩が溶解し、スラリー状の混合物が均一な溶液になる。このようにして得られる水溶液には錯化剤を加えていないため、前駆体溶液は、ニッケルヒドラジン錯体の水溶液となる。
前駆体水溶液の調製に用いられるニッケル塩としては、水溶性を有する任意のニッケル塩を用いることができ、その具体例としては、フッ化ニッケル、塩化ニッケル(II)、塩化ニッケル(III)、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等が挙げられる。
工程Iにおいて、「過剰量のヒドラジン」とは、前駆体水溶液の調製に際し、使用されるヒドラジンのモル数が、ニッケルイオンのモル数よりも大きいことを意味する。従って、前駆体水溶液において、ニッケルイオン1モルに対するヒドラジンの含有量は、例えば6〜30モルの範囲内が好ましい。ヒドラジンの存在量が前記の範囲を下回る場合、ニッケルヒドラジン錯塩が完全に溶解せず、前駆体溶液が得られない。また、ヒドラジンの存在量が前記の範囲を上回る場合、ヒドラジンの使用量が過大となり、経済的でない。
アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどを用いることができる。これらのアルカリ金属の水酸化物は、任意のものを単独で、または、2以上を任意の割合で混合したものを用いることができる。これらのアルカリ金属の水酸化物のうち、入手の容易さ、価格を考慮すると、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましい。
前駆体水溶液のpHは13以上であることが好ましい。pHが13未満では、ニッケルヒドラジン錯塩が完全に溶解せず、前駆体溶液が得られないため、均一な反応の点から好ましくない。従って、アルカリ金属の水酸化物は、前駆体水溶液のpHが13以上となることを目安にして配合すればよい。
前駆体水溶液中の水溶性有機化合物の分子量は、例えば100〜5000の範囲内であることが好ましい。水溶性有機化合物の分子量が100未満では、分散効果が低く、ニッケル微粒子が効率的に生成しない。一方、分子量が5000を超えると、水溶性有機化合物が前駆体溶液中へ溶解しにくくなるため好ましくない。好ましい水溶性有機化合物の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが特に好ましい。なお、工程IIにおける加熱温度が低い場合には、グルコース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、デキストリン、アミロース等の糖質を用いることもできる。これらの水溶性有機化合物は、任意の2種以上を任意の割合で混合して用いてもよく、分子量(重合度)の異なる同種の化合物の混合物であってもよい。
前駆体水溶液中の水溶性有機化合物の濃度は、好ましくは1〜200g/Lの範囲内である。水溶性有機化合物の濃度が1g/L未満である場合、分散剤としての十分な効果が得られない。また、水溶性有機化合物の濃度が200g/Lを超える場合は、前駆体溶液に含まれる水溶性化合物が過剰であり、効率的にニッケル微粒子を生成することが困難になる。
(工程II)
工程IIでは、前駆体水溶液を40℃以上の温度に加熱することにより、ニッケル微粒子が形成する際に水溶性有機化合物が分散剤として作用し、過度の粒子成長や二次粒子の生成が抑制され、粒径が150nm以下のニッケル微粒子が得られる。
前駆体水溶液を加熱すると、瞬時に緑色の均一なスラリーを形成し、その後、黒色の析出物に変化する。緑色の中間生成物は、ニッケル水酸化物と考えられ、このニッケル水酸化物が還元されて、ニッケル微粒子が生成する。この際、中間生成物への吸着力が弱い上記の水溶性有機化合物を使用することで、水酸化ニッケルのニッケルへの還元を妨げず、生成したニッケル微粒子に弱く吸着する分散剤として、過度の粒子成長や凝集を妨げることができる。
また、工程IIでは、ニッケル微粒子の嵩密度を0.5〜3.5g/cmの範囲内に調整する目的で、高速で撹拌を行いながら加熱を行うことが好ましい。加熱処理における撹拌速度としては、例えば300r.p.m.以上が好ましく、400r.p.m.以上がより好ましい。撹拌速度が300r.p.m.未満では、ニッケル微粒子にネッキングが生じ、嵩密度が0.5g/cmよりも低くなる傾向がある。ネッキングは、ニッケル微粒子の表面活性を安定化させ、低温焼結の妨げとなる。また、加熱温度を60℃〜100℃程度にすることが好ましい。加熱温度が100℃より高すぎると、溶媒が揮発しやすく、液組成が不安定になる。また、加熱温度が60℃より低すぎるとニッケル微粒子の生成反応速度が遅くなるため、ニッケル微粒子にネッキングが生じ、嵩密度が0.5g/cmよりも低くなる傾向がある。
以上のようにして、ニッケル微粒子を調製することができる。なお、ニッケル合金を製造する場合も、上記方法に準じて行うことができる。
このようにして得られるニッケル微粒子は、均一な分散状態で150℃程度の低温で焼結、熱融着させることが可能であるため、例えば接合材として使用した場合に、接合層のシェア強度を十分に高くすることができる。
<接合材としての適用方法>
本実施の形態のニッケル微粒子を接合材料として用いる場合は、ニッケル微粒子を含有する接合材料を、被接合部材の間に介在させて、還元性ガスを含有する還元性ガス雰囲気下で例えば150〜480℃の範囲内の温度に加熱すればよい。この加熱により、ニッケル微粒子を焼結させて被接合部材同士を接合することができる。
より具体的には、例えば、ニッケル微粒子を含むペースト状の接合材を一対の被接合部品の片方又は両方の被接合面に塗布する工程(塗布工程)、被接合面どうしを貼り合せ、例えば温度150℃以上480℃以下の範囲内、好ましくは200℃以上450℃以下に加熱することにより、接合材を焼結させる工程(焼成工程)、並びに、焼結した接合材を冷却することにより固化し、接合層を形成する工程(固化工程)、を含むことができる。
接合材を塗布する塗布工程では、例えばスプレー塗布、インクジェット塗布、印刷等の方法を採用できる。接合材は、目的に応じて、例えばパターン状、アイランド状、メッシュ状、格子状、ストライプ状など任意の形状に塗布することができる。塗布工程では、接合後の固化した接合部分(接合層)の厚みが120nm以上となるように、接合材を塗布することが好ましい。このような厚みで塗布をすることで、接合部分の欠陥を少なくできるため、電気抵抗の上昇や接合強度の低下を防止できる。
焼成工程では、ニッケル微粒子が焼結し、均一で強固な接着力を持つ接合層を形成することができる。また、ニッケル微粒子に含有される酸化物被膜や有機化合物が還元されるため、接合層中に酸素が入りこむことが抑制され、接合層の導電性が確保される。接合のための加熱温度は、十分な接合強度を得るために、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。また、加熱温度が480℃超では、周辺回路もしくは電極への損傷が懸念されるので、加熱温度の上限は480℃以下が好ましい。
ニッケル微粒子による接合層の形成は、例えばHなどの還元性ガスが存在する雰囲気で行うことが好ましい。また、減圧することで、ボイド発生を抑制する効果が得られ、例えば大気圧の95%以下の圧力でその効果が確認される。また、接合面を貼り合わせる際には、必要に応じて加圧することができる。
ニッケル微粒子が焼結して形成される接合部分(接合層)の厚みは、例えば120nm以上が好ましい。接合部分の厚みがこれよりも薄い場合は、接合部分の欠陥が多くなり、電気抵抗の上昇や、強度の低下を引き起こす原因となる。なお、接合部分(接合層)は、熱応力緩和を必要とする用途に適用する場合には、ボイドを有してもよい。
本実施の形態のニッケル微粒子は、例えば、Si、SiCの半導体材料ほか、金属材料などの接合にも利用できる。特に蝋材や溶接による接合で、熱影響部における母材の劣化がみられる場合に低温で接合することが好適である。例えば、本実施の形態のニッケル微粒子は、450℃以上又は800℃以上での加熱により、回復や再結晶等により強度低下する焼き入れ鋼、ステンレス鋼、加工硬化により強化された金属材料、熱酸化や熱ひずみにより劣化する無機材料や金属材料の接合に適している。被接合体は管、板、継手、ロッド、ワイヤ、ボルトなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本実施の形態のニッケル微粒子は、電子部品の製造過程でも接合材として利用できる。ここで、電子部品としては、主に半導体装置、エネルギー変換モジュール部品などを例示できる。電子部品が半導体装置である場合、例えば、半導体素子の裏面と基板との間、半導体電極と基板電極との間、半導体電極と半導体電極との間、パワーデバイス若しくはパワーモジュールと放熱部材との間などの接合に適用できる。
電子部品を接合させる際は、接合強度を高めるため、予め被接合面の片方又は両方に、例えば、Au,Cu,Pd,Ni,Ag,Cr,Tiあるいはそれらの合金などの材質の接触金属層を設けておくことが好ましい。また、被接合面の材質が、SiCもしくはSiあるいはそれらの表面の酸化膜である場合は、例えばTi,TiW,TiN,Cr,Ni、Pd,Vあるいはそれらの合金などの材質の接触金属層を設けておくことが好ましい。接触金属層の膜厚は、それぞれ、例えば50nm以上2μm以下の範囲内であることが好ましい。接触金属層の厚みが50nm未満では、欠陥が生じやすく、2μm超では蒸着工程が長くなり、生産効率が低下することがある。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、本発明の実施例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
[ニッケル微粒子の平均粒子径]
平均粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出して、その平均粒径(面積平均径)と標準偏差を求めた。具体的には、抽出した微粒子のそれぞれについて面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子の平均粒子径とした。また、CV値(変動係数)は、(標準偏差)÷(平均粒子径)によって算出した。なお、CV値が小さいほど、粒子径がより均一であることを示す。
[ニッケル微粒子の結晶子径]
粉末X線回折(XRD)結果から、Scherrerの式により算出した。
[5%熱収縮温度]
試料を5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス成型して得られる成型体を作製し、窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、熱機械分析装置(TMA)により測定される5%熱収縮の温度を5%熱収縮温度とした。
(実施例1)
濃度が108g/Lの塩化ニッケル六水和物、272g/Lのヒドラジン一水和物、97.3g/Lの水酸化ナトリウム及び50g/Lの分子量1540のポリエチレングリコールを含む溶液を調製した。次いで、激しく攪拌しながら(撹拌速度;600r.p.m.)、その溶液を80℃に加熱して、その温度に一時間保持することで、ニッケル微粒子1を得た。このニッケル微粒子1の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子1の元素分析;C:0.4、O:0.8(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子1のSEM測定から得られた平均粒子径;147nm、CV値;0.22。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子1におけるXRDからのNiの結晶子径;20.3nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;246℃
5)TOF−SIMS分析によりポリエチレングリコール由来の(CHCHO)−の官能基を示す質量数45にピークが検出された。また質量数60以上にはニッケル由来のピーク以外は検出されなかった。
6)ニッケル微粒子1の嵩密度;1.0g/cm
ニッケル微粒子1のSEM、XRD、TMAの測定結果をそれぞれ図1〜図3に示す。
(実施例2)
上記実施例1において、分子量400のポリエチレングリコールの濃度を200g/Lとしたこと以外は同様の過程を行って、ニッケル微粒子2を得た。このニッケル微粒子2の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子2の元素分析;C:0.5、O:1.1(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子2のSEM測定から得られた平均粒子径;87nm、CV値;0.26。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子2におけるXRDからのNiの結晶子径;15.8nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;254℃
5)TOF−SIMS分析によりポリエチレングリコール由来の(CHCHO)−の官能基を示す質量数45にピークが検出された。また質量数60以上にはニッケル由来のピーク以外は検出されなかった。
6)ニッケル微粒子2の嵩密度;0.7g/cm
ニッケル微粒子2のSEM、XRD、TMAの測定結果をそれぞれ図4〜図6に示す。
(実施例3)
上記実施例1において、分子量200のポリエチレングリコールの濃度を100g/L、保持時間を30分間としたこと以外は同様の過程を行って、ニッケル微粒子3を得た。このニッケル微粒子3の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子3の元素分析;C:0.4、O:2.1(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子3のSEM測定から得られた平均粒子径;50nm、CV値;0.18。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子4におけるXRDからのNiの結晶子径;11.8nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;142℃
5)TOF−SIMS分析によりポリエチレングリコール由来の(CHCHO)−の官能基を示す質量数45にピークが検出された。また質量数60以上にはニッケル由来のピーク以外は検出されなかった。
6)ニッケル微粒子3の嵩密度;0.6g/cm
ニッケル微粒子3のSEM、XRD、TMA、TOF−SIMSの測定結果をそれぞれ図7〜図10に示す。
(実施例4)
上記実施例1において、分子量400のポリエチレングリコールの濃度を200g/L、保持時間を30分間としたこと以外は同様の過程を行って、ニッケル微粒子4を得た。このニッケル微粒子4の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子4の元素分析;C:0.6、O:1.9(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子4のSEM測定から得られた平均粒子径;51nm、CV値;0.18。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子4におけるXRDからのNiの結晶子径;13.7nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;220℃
5)GC−MS分析によりポリエチレングリコール由来の(CHCHO)−の官能基を示す質量数45にピークが検出されるとともに、(CHCHO)−の官能基を示す質量数90にもピークを検出した。
6)ニッケル微粒子4の嵩密度;0.6g/cm
ニッケル微粒子4のSEM、XRD、TMA、GC−MSの測定結果をそれぞれ図11〜図14に示す。
(比較例1)
<溶解工程>
酢酸ニッケル四水和物285g(1.14mol)にオレイルアミン690g(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、20分間加熱することによって酢酸ニッケルをオレイルアミンに溶解させた。
<還元工程>
次いで、その溶液にマイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分保持することによってニッケル微粒子5を得た。このニッケル微粒子5の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子5の元素分析;C:0.3、O:0.6(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子5のSEM測定から得られた平均粒子径;158nm、CV値;0.12。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子5におけるXRDからのNiの結晶子径;18.3nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;315℃
5)ニッケル微粒子5の嵩密度;3.5g/cm
ニッケル微粒子5のSEM、XRD、TMAの測定結果をそれぞれ図15〜図17に示す。
(比較例2)
<溶解工程>
酢酸ニッケル四水和物60.0g(241.1mmmol)にオレイルアミン690g(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、20分間加熱することによって酢酸ニッケルをオレイルアミンに溶解させた。
<還元工程>
次いで、その溶液にマイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分保持することによってニッケル微粒子6を得た。このニッケル微粒子6の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子6の元素分析;C:0.7、O:1.3(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子6のSEM測定から得られた平均粒子径;90nm、CV値;0.19。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子6におけるXRDからのNiの結晶子径;16.0nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;295℃
5)ニッケル微粒子6の嵩密度;3.3g/cm
ニッケル微粒子6のSEM、XRD、TMAの測定結果をそれぞれ図18〜図20に示す。
(比較例3)
<溶解工程>
酢酸ニッケル四水和物479g(1.93mmmol)にオレイルアミン690g(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、40分間加熱することによって酢酸ニッケルをオレイルアミンに溶解させた。
<還元工程>
次いで、その溶液に硝酸銀を1.63g加えてマイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分保持することによってニッケル微粒子7を得た。このニッケル微粒子7の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子7の元素分析;C:1.5、O:2.9(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子7のSEM測定から得られた平均粒子径;51nm、CV値;0.15。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子7におけるXRDからのNiの結晶子径;14.1nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;300℃
5)ニッケル微粒子7の嵩密度;3.0g/cm
ニッケル微粒子7のSEM、XRD、TMAの測定結果をそれぞれ図21〜図23に示す。
(比較例4)
濃度が108g/Lの塩化ニッケル六水和物、272g/Lのヒドラジン一水和物、97.3g/Lの水酸化ナトリウムを含む溶液を調製した。次いで、その溶液を80℃に加熱して、その温度に一時間保持することでニッケル微粒子8を得た。このニッケル微粒子8の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子8の元素分析;C:0.3、O:0.2(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子8のSEM測定から得られた平均粒子径;539nm、CV値;0.14。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子8におけるXRDからのNiの結晶子径;24.6nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;500℃
5)ニッケル微粒子8の嵩密度;1.9g/cm
ニッケル微粒子8のSEM、XRD、TMAの測定結果をそれぞれ図24〜図26に示す。
(比較例5)
塩化ニッケル六水和物の濃度が194g/Lの水・イソプロパノール混合溶液を、ヒドラジン一水和物の濃度254g/Lのイソプロパノール溶液に添加した。その溶液に濃度404g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加した。次いで、35℃で30分間静置後、1時間撹拌することで、ニッケル微粒子9を得た。このニッケル微粒子9の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子9の元素分析;C:0.3、O:0.7(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子9のSEM測定から得られた平均粒子径;80nm、CV値;0.17。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子9におけるXRDからのNiの結晶子径;15.0nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;320℃
5)ニッケル微粒子9の嵩密度;0.3g/cm
ニッケル微粒子9のSEMの測定結果を図27に示す。
(参考例1)
上記実施例1における加熱時の撹拌速度を100r.p.m.にしたこと以外、実施例1と同様にして、ニッケル微粒子10を得た。このニッケル微粒子10の特徴は、次のとおりであった。
1)ニッケル微粒子10の元素分析;C:0.3、O:0.7(単位は質量%)。
2)ニッケル微粒子10のSEM測定から得られた平均粒子径;80nm、CV値;0.17。
3)XRDでNi以外のピークは検出されず。ニッケル微粒子10におけるXRDからのNiの結晶子径;15.0nm。
4)TMA測定時の5%熱収縮時の温度;320℃
5)ニッケル微粒子10の嵩密度;0.3g/cm
実施例1〜4、比較例1〜5及び参考例1の結果をまとめて表1に示す。
以上の結果より、嵩密度が0.5〜3.5g/cmの範囲内、炭素元素の含有量が0.3〜1.0質量%の範囲内、酸素元素の含有量が0.5〜2.5質量%の範囲内であって、上の条件(1)と、条件(2)又は条件(3)の少なくとも片方を満足する実施例1〜4のニッケル微粒子は、比較例1〜5及び参考例1のニッケル微粒子に比べ、5%熱収縮温度が十分に低いことが確認できた。特に、実施例3におけるTMAの測定結果は、150℃程度の低温でも接合できる可能性があることを示している。従って、実施例1〜4のニッケル微粒子は、低温での焼結、熱融着が可能であり、接合材料として有用である。また、比較例5及び参考例1のニッケル微粒子は、実施例1〜4のニッケル微粒子に比べて嵩密度が低かった。その原因として、比較例5及び参考例1のニッケル微粒子では、ネッキングが生じて密なパッキングが行われていないことが考えられる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。

Claims (2)

  1. 嵩密度が0.5〜3.5g/cmの範囲内であり、炭素元素の含有量が0.3〜1.0質量%の範囲内、酸素元素の含有量が0.5〜2.5質量%の範囲内であって、下記の条件(1)及び(2)又は(3)、
    (1)飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて測定したときに、質量数(m/z)≧80において、C及びHからなる有機物由来のフラグメントが検出されないこと;
    (2)飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて測定したときに、質量数(m/z)=45において、CHCHOのフラグメントが検出されること;
    (3)ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)を用いて、前記質量数(m/z)=45におけるマススペクトルを測定して得られるクロマトグラムにおいて、3種類以上のスペクトルが確認されること;
    を満足するニッケル微粒子。
  2. 平均一次粒子径が10〜150nmの範囲内であり、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.25以下であり、Scherrer法により算出される結晶子径が15nm以下である請求項1に記載のニッケル微粒子。
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