JP2015077778A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のノズルが一括成形されたチップで構成されるラインヘッドを用いる場合において、ノズル成型時の収差に伴う記録位置ずれを緩和し高品位な画像を出力することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】重複領域に相当するノズルのうち、チップの中心から離れた位置にある複合ずれ部に含まれるノズルの吐出回数を、複合ずれ部に含まれないノズルの吐出回数よりも低く抑えるように吐出動作を制御する。
【選択図】図13
【解決手段】重複領域に相当するノズルのうち、チップの中心から離れた位置にある複合ずれ部に含まれるノズルの吐出回数を、複合ずれ部に含まれないノズルの吐出回数よりも低く抑えるように吐出動作を制御する。
【選択図】図13
Description
本発明は、フルライン型のインクジェット記録装置に関する。特に、複数の吐出口(ノズル)が配列されたチップを、記録媒体の幅方向に更に複数配列させて構成されるラインヘッドを用いて画像を記録するフルライン型のインクジェット記録装置に関する。
フルライン型のインクジェット記録装置では、記録媒体の幅方向に配列されたノズルから記録データに応じてインクを吐出し、この吐出動作の最中に記録媒体を長手方向に搬送することにより画像を記録する。このような記録装置に用いられるラインヘッドを製造する場合、その歩留まりを向上させるため、一般に、まず記録媒体の幅よりも短い領域にノズルが配列されたチップを複数製造し、これら複数のチップを更に上記幅方向に配列することが多い。
図1は上記ラインヘッド20の構成例を説明するための図である。チップ1〜チップ4のそれぞれには、複数のノズルが所定のピッチで記録媒体の幅方向(Y方向)に配列して構成されるノズル列55が、記録媒体の搬送方向(X方向)に4列ずつ配置されている。そして、さらにこれら4つのチップが、X方向に重複領域99a〜99cを設けながらY方向に配置されることにより、記録媒体の幅Wに対応する長さのラインヘッド20が形成されている。そして、記録データに従って個々のノズルからインクを所定の周波数で吐出させるとともに、上記周波数に対応する速度で記録媒体をX方向に搬送させることにより、記録媒体に1ページ分の画像を形成することが出来る。
この際、記録媒体においてX方向に1列に配列する複数のドットは、4つのノズル列A〜Dの4つのノズルによって代わる代わる記録される。よって、いずれかのノズルに多少の吐出ばらつきや不吐出が存在したとしても、そのノズルが記録するドットが記録媒体上で連続して配置されることはなく、吐出ばらつきや不吐出に伴う画像劣化を緩和することが出来る。また、複数のチップが重複領域を設けながら配置されているので、特許文献1に記載のグラデーションマスクを併用することにより、夫々のチップによって記録される画像領域を記録媒体上で滑らかに連続させ、つなぎ部を目立たせないようにすることが可能となる。
ところで、図1に示したようなチップ30(チップ1〜チップ4)において、高密度に配列する多数のノズルは、ノズル材に半導体露光技術を施すことによって一括成形されることが多い。しかしながら、レーザ光をノズル材に照射する際に用いるレンズにはどうしてもある程度の収差が存在し、ノズルが形成される位置が設計値からわずかにずれたり、ノズルが照射方向に対し傾いて形成されたりすることがある。そして、このようなノズルのずれや傾きは、記録媒体にドットを記録した場合に、X方向とY方向の両方の記録位置ずれを招致し、特許文献1に記載されているようなグラデーションマスクを用いても十分に解消されない画像弊害を誘発する。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よって、その目的とするところは、複数のノズルが一括成形されたチップで構成されるラインヘッドを用いる場合において、ノズル成型時の収差に伴う記録位置ずれを緩和し高品位な画像を出力することが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
そのために本発明は、同じ色のインクを吐出する複数のノズルが第1の方向に配列されたノズル列の複数を、前記第1の方向とは交差する第2の方向に配置させて成るチップの更に複数を、前記第2の方向に重複する重複領域を設けながら前記ノズルの配列が前記第1の方向に連続するように配置して構成されるラインヘッドを用い、該ラインヘッドに対し記録媒体を前記第2の方向に相対的に移動することにより前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記重複領域に相当するノズルのうち、前記チップの中心から離れた位置にある所定領域に含まれるノズルの吐出回数を、前記所定領域に含まれないノズルの吐出回数よりも低く抑えるように、画像データに従った前記ラインヘッドの吐出動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複合ずれ部の吐出状態に起因する画像弊害が抑制された高品位な画像を出力することが可能となる。
(第1の実施形態)
図2は、本発明に使用可能なインクジェット記録装置1000の内部構成を示す断面図である。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納し、択一的にシートを引き出して搬送経路に供給する。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上であってもよい。
図2は、本発明に使用可能なインクジェット記録装置1000の内部構成を示す断面図である。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納し、択一的にシートを引き出して搬送経路に供給する。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上であってもよい。
デカール部2は、シート供給部1や後述する反転部9から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを押し当て、シートに対しカールとは逆向きの反りを与える。デカール部2を通過することで、シート供給部1や反転部9でのカール癖は軽減され、シートは平滑に搬送される。
斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートが直進するように方向付ける。
プリント部4は、記録ヘッド14に対して相対的に搬送されるシートに向けて、記録ヘッド14からインクを吐出して画像を記録する。本実施例の記録ヘッド14は、図1に示したラインヘッド20がインク色ごとに用意され、これら複数のラインヘッド20がX方向に並列配置することによって構成されている。記録ヘッド14は、画像データの他、シートを切断する位置を示すカットマークや記録ヘッドの記録状態を確認するためのテストパターンなども記録する。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラやシートを下方から支えるプラテンなどを備え、記録ヘッド14に対向する領域のシートが平滑になるようにこれを支持している。
本実施形態の記録ヘッド14はインクジェット方式のラインヘッドであり、インクを吐出するノズルの複数が、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でシートの搬送方向(X方向)とは交差するY方向(第1の方向)に配列している。そして、このようなラインヘッドが、更にインク色に対応する数だけ搬送方向(第2の方向)に並列配置されている。ここではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック)の4色に対応した4つのラインヘッドを備えるものとする。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれのインクチューブを介して記録ヘッド14に供給される。
検査部5は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサを備え、プリント部4にて記録されたシート上の検査パターンや画像を光学的に読み取るユニットである。読み取った情報は、制御部13に転送され、記録ヘッド14のノズルの状態、シートの搬送状態、画像の位置等が判定される。
カッタ部6は、シート上に記録されたカットマークに合わせて画像を切断するユニットである。但し、両面記録を行う場合、カッタ部6は、第1面については最後の画像の後端部を切断するのみであり、連続シートはカットされることなく情報記録部7へ搬送される。情報記録部7は、画像シートの余白領域に記録画像に関わるシリアル番号や日付などの情報を文字やコードとして記録する。乾燥部8は、付与されたインクを短時間に乾燥させるためのユニットである。
反転部9は、両面記録を行う際に第1面の記録が完了した連続シートを一時的に巻取るユニットである。第1面の記録が終了した連続シートは、反時計回りに回転する回転体(ドラム)9aに徐々に巻き取られていく。回転体9aは、連続シートの後端部まで巻き取った時点で停止し、その後逆の方向すなわち時計回りに回転する。これにより、連続シートはデカール部2に送出される。デカール部2では、回転体9aで巻き取られた際の反りを軽減する方向にシートを矯正する。
デカール部2からプリント部4に向かう経路において、連続シートは、その表裏と先後端部が逆転した状態になっている。すなわち、第2面が記録ヘッド14に対向し、第1面記録時における後端部が先端部となって搬送される。なお、両面記録を行わない場合すなわち片面記録の場合、第1面のプリントおよびカッタ部による切断が施された後のカットシートは、反転部9へ向かうことなくそのまま排出搬送部10へ送られる。
排出搬送部10は、カッタ部6で切断され乾燥部8で乾燥させられたカットシートを、ソータ部11まで搬送する。ソータ部11は、記録済みのカットシートをサイズ別などのグループごとに仕分け、夫々の排出口へと排出する。個々の排出口には、カットシートを受けるためのトレイ12が用意され、カットシートはいずれかのトレイ12上に積載される。制御部13は、記録装置全体の制御を司るユニットである。記録装置全体の動作は、制御部13または外部に接続されるホスト装置16からの指令に基づいて制御される。
図3は、インクジェット記録装置1000の制御の構成を説明するためのブロック図である。制御部13は、CPU1501、ROM1502、RAM1503、各種I/Oインターフェース1504を備えたコントローラ15及び電源1301を有する。記録装置全体の動作は、コントローラ15又はコントローラ15にI/Oインターフェース1504を介して接続されるホストコンピュータ等の外部機器16からの指令に基づいて制御される。
外部機器16から記録すべき画像データを受信すると、コントローラ15はROM1502に記憶された画像処理プログラムに従って所定の画像処理を行い、記録ヘッド14が記録可能な記録データを生成する。作成された記録データは、インク色ごとにRAM1503内のプリントバッファに蓄えられる。プリントバッファに所定量の記録データが蓄積されると、CPU1501はこれら記録データをヘッドドライバ301に転送する。ヘッドドライバ301は、受信した記録データを個々のノズルがインクを吐出するためのデータに変換し、個々のノズルからインクを吐出させる。この吐出動作の最中、CPU1501の指示のもと、搬送系ドライバ302は装置内の搬送経路において記録媒体を供給および搬送するための搬送モータ304を駆動する。そして、搬送される記録媒体に記録ヘッド14から吐出されたインクが着弾することにより、画像が記録される。CPU1501が記録データを生成するために実行する本発明の特徴的な画像処理については、後に詳しく説明する。
センサドライバ303は、検出部5に備えられたイメージセンサを駆動して、その検出結果をコントローラ15に通知する。カッタドライバ306は、カッタ部6に備えられたカッタ307の切断動作を制御する。ヒータドライバ308は、乾燥部8に備えられたヒータ309の駆動制御を行う。
図4は、図1で示したラインヘッド20に配列されるチップ30を製造する際の半導体露光装置における露光状態を示す図である。支持台300に載せられたチップ30の表面には、ネガ型感光性を持つエポキシ樹脂の層がノズル材として形成されている。このノズル材に対し、ノズルパターンが形成されたレクチル200を介してレーザ光を照射した後、現像工程が施されることにより、ノズルパターンによって遮光された部分のノズル材のみが除去される。その結果、高解像度に配列する多数のノズルが一括して形成される。
半導体露光装置において、レクチル200とチップ30の表面は平行に配置され、これら間の光路には、投影されたノズルパターンを縮小するための2つのレンズ202およびスリット203が配備されている。このような光学系において、レクチル200上のノズルパターンがチップ30の表面に正確に投影されるためには、レクチル200側においてもチップ30側においても、領域内の主光線204が光軸に対し平行すなわちテレセントリックであることが要される。言い換えると、高精度なテレセントリック光学系が実現されることにより、レクチル200に形成されたノズルパターンと相似形であって且つエポキシ層に対し垂直な液路を有するノズルが構成される。
しかしながら、実際の半導体露光装置では、レンズ202の収差などの要因により、光軸に対して主光線が僅かに傾き、全照射領域で十分なテレセン度(平行度)が得られない場合がある。
図5(a)および(b)は、テレセン度(平行度)が高い場合と低い場合におけるノズルの形成状態を説明するための模式図である。十分なテレセン度が得られている場合、図5(a)に示すように、主光線204は基板304上のノズル材302に対し垂直に照射される。ノズルパターンが示すノズルの位置は遮光されるので、その部分に相当する樹脂層(ノズル材)302が現像時に除去され、複数のノズル55が一括して形成される。基板304上において、個々のノズルに対応する位置には、インクの吐出エネルギを生成するためのヒータ303が配備されている。十分なテレセン度が得られている場合、個々のノズルの液路51はヒータ303の面に対し垂直に形成される。
一方、図5(b)は、十分なテレセン度が得られず、主光線204がノズル材302に対し傾いて照射される状態を示している。この場合、個々のノズルの液路51はヒータ303の面に対し傾き、インクの出口となる吐出口の間隔もレクチル上のノズルパターンとは異なるピッチで配置する。なお、図では説明のために、光軸に対する主光線204の角度を誇張して示しているが、半導体露光装置で実際に生じるずれ角は、約0.1度〜1.0度程度である。
図6(a)および(b)は、図5(a)および(b)のように形成されたノズルを用いてインクを吐出した場合の、吐出状態を示す図である。図5(a)のようにテレセン度が高い状態で形成されたノズルでは、インク滴999はノズル材302の表面に対しほぼ垂直に吐出される。一方、図5(b)のようにテレセン度が低い状態で形成されたノズルにおいて、インク滴999はノズル材302の表面に対し傾いた状態で吐出される。そして、半導体露光装置の収差が原因で生じるこのような吐出傾きは、吐出口の位置が装置の光軸から離れるほど大きくなる傾向がある。すなわち、同一チップにおいて複数のノズル列を一括して成形する場合には、チップの中心から最も離れた四隅のノズルの記録位置が他のノズルに対して記録位置ずれが大きくなり易い。
図7(a)〜(c)は、チップ30上におけるノズルの配列状態と、夫々のノズルが記録媒体にドットを記録した場合の記録状態を、テレセン度が高い装置で製造されたチップと低い装置で製造されたチップを比較する図である。ここでは簡単のため、ノズル列A列〜D列のそれぞれは、Y方向に配列する24個のノズルで構成されているものとする。
チップ30がテレセン度が高い装置で製造されている場合、個々のノズルによって記録されるドットは、図7(b)のようにチップ30上に配列するノズルと同じように配列する。すなわち、X方向においてもY方向においてもずれのない状態でドットが記録される。これに対し、テレセン度が低い装置でチップ30が製造されている場合、個々のノズルによって記録されるドットは、図7(c)のように配列する。すなわち、チップの中心近傍にあるノズルが記録するドットのずれは小さいが、中心から離れるほどX方向のずれもY方向のずれも大きくなり、四隅近傍のノズルで記録されるドットが最も大きくずれている。以後、本明細書において、チップの四隅近傍であって、X方向にもY方向にもドットの位置ずれが画像弊害を及ぼす程大きくなってしまうノズルが位置する所定領域を、「複合ずれ部」と称する。このような複合ずれ部が存在するチップを用いて、図1のようなラインヘッド20を製造した場合、上記複合ずれ部は、主に重複領域99a〜99cに配置されることになる。
図8は、図1に示したラインヘッド20において、チップ1およびチップ2の重複領域99aのノズル配列状態を示す図である。個々のノズル列はY方向に1200dpiのピッチで配列する複数のノズルによって構成され、チップ1およびチップ2のそれぞれに配列する複数のノズルのうち、個々のノズル列の端部から16個のノズルが重複領域99aに含まれているものとする。ここでは便宜上、最端部から順番にノズル1〜ノズル16と呼称する。ここでは、チップ1においてもチップ2においても、X方向の外側に位置するA列とD列のノズル1〜ノズル4が斜線で示した複合ずれ部100に含まれているものとする。
複合ずれ部100のノズルを他のノズルと同様に使用した場合、複合ずれ部100のノズルが記録するドットの位置は、他のノズルが記録するドット配列に対してX方向にもY方向にもずれてしまう。そして、このような記録位置ずれは、重複領域の記録状態を他の領域と異ならせ、濃度ムラやつなぎスジのような画像弊害を招致してしまう。よって、本実施形態では、複合ずれ部100に含まれるノズルの使用頻度を他のノズルよりも抑えるような画像処理を施す。
図9は、本実施形態のCPU1501が実行する画像処理の工程を説明するためのブロック図である。ホストコンピュータのような外部機器16からI/Oインターフェース部1504を介して画像データを受信すると(J01)、CPU1501は、まず色変換処理(J02)を実行する。本実施形態において、受信する画像データは600dpi×600dpiの解像度を有し、1画素につき8bit256階調で表現される輝度データ(R,G,B)とする。色変換処理(J02)において、CPU1501は、ROM1502に格納された3次元のLUTを参照することにより、8bit256階調の(R,G,B)輝度データを、8bit256階調のインク色(C、M、Y、K)に対応した階調データに変換する。
続く階調補正処理(J03)において、CPU1501は、予めROM1502に記憶されている1次元LUTを参照することにより、階調データに対する一次変換処理を行う。このような階調補正処理は、記録媒体で実際に表現される濃度が入力データに対して線形性を有するようにするための処理である。更にCPU1501は、ムラ補正処理(J04)において、ノズルごとに8bit256値を、同じく8bit256値を有する階調データに変換する。このようなムラ補正処理により、比較的吐出量が多く濃度が高くなりがちなノズルに対応するデータの階調値は下げられ、比較的吐出量が少なく濃度が高くなりがちなノズルに対応するデータの階調値は上げられる。すなわち、ムラ補正処理J04により、複数のノズルの出力濃度ばらつきが補正される。その後、8bit256値を有する各色の階調データは、量子化処理J06によって、3bit8値の量子化データに変換される。この際、CPU1501は、量子化処理として多値誤差拡散法やディザ法などを採用することが出来る。
図10は、本実施形態で採用可能な多値誤差拡散法を説明するための図である。変換前の画素領域2301において、600dpiの解像度で配列する各画素は、0〜255のいずれかの階調値を有している。CPU1501は、各画素の階調値を予め定められている7段階の閾値と比較することにより、各画素の256レベルの階調データを0〜7のいずれかの値に量子化し、3値の画像領域2303を得る。この際、注目画素(※)の階調データと閾値との間で発生する誤差は、所定の拡散係数2302に従って、未だ量子化処理が行われていない周辺の画素に拡散される。周辺の画素については、自身が有する階調データに対し拡散された誤差を加算し、その結果を上記閾値と比較することにより、0〜7のいずれかの値に量子化する。
再度図9を参照するに、量子化処理J06によって量子化された各色600dpi8値の量子化データは、インデックス展開処理J07によって、1200dpi3値の記録データに変換される。
図11は、インデックス展開処理J07においてCPU1501が参照するインデックス展開テーブルを示す図である。図の左側は量子化処理J06によって量子化された600dpiの各画素が有する8値のレベルを示している。また、その右側は、各レベルに対応する1200dpiの3値データを示している。600dpiの1画素は、1200dpiでは2画素×2画素に相当し、図では1200dpiの各画素に対しいくつのドットを記録するかが定められている。このようなインデックス展開処理J07によって生成される記録データは、実際に記録媒体に記録するドットの配置を定めるデータである。ここでは、それぞれのレベルに対し2×2のパターンを1つずつ用意したが、等しいレベルについては配列の異なる複数のパターンを用意することも出来る。この場合は、これら複数のパターンを、X方向Y方向に順番に配列して使用すればよい。なお、ここでは600dpiの8値を1200dpiの3値に変換するためのインデックステーブルを示したが、このような値は特に限定されるものではない。例えば600dpiの16値を1200dpiの2値に変換するために32×32のパターンを用意しても良い。このようなインデックス展開テーブルは、装置内のROM1502に予め記憶されている。
再度図9を参照するに、インデックス展開処理J07によって生成された記録データは、列分配処理J08によって、チップ上のA列〜D列のいずれかのノズル列に分配される。これにより、A列〜D列の夫々についてドットの記録または非記録を定める2値データが生成される。A列〜D列の各列に対しては、ほぼ均等に2値データが分配されれば良く、ランダムマスク等のマスクパターンや列分配テーブル等を用いることが出来る。
ところで、列分配処理J08によって分配された2値データは、それが図1で示した重複領域99a〜99c以外の非重複領域に含まれる2値データであれば、該当するチップの該当するノズル列(A列〜D列)によってそのまま記録されれば良い。従って、このような2値データについては、そのまま該当するチップの該当するノズル列(A列〜D列)のプリントバッファJ11に転送される。一方、その2値データが重複領域99a〜99cのいずれかに含まれる2値データである場合、このデータは更に重複領域を形成する2つのチップに分配される必要がある。そこで、このような2値データについては、更にマスク処理J10を施してからプリントバッファJ11に転送する。図9では、列分配処理J08より後の画像処理について、特に、チップ1とチップ2の間の重複領域99aに注目した画像処理構成を示している。
図12は、チップ1とチップ2の間の重複領域99aに対し、マスク処理J10において使用されるマスクパターンを示す図である。このようなマスクパターンは、重複領域99a〜99cの夫々に対応づけて、装置内のROM1502に予め記憶されている。図12において、個々の四角は、重複領域99aに含まれるノズル1〜ノズル16の夫々に対応しX方向に連続する8画素分の画素を示している。ここで、黒四角は記録を許容する記録許容画素、白四角は記録を許容しない記録非許容画素を夫々示している。
左側に示すマスク1〜マスク4が重複領域99aにおいてチップ1のA列〜D列のノズル列に使用するマスクパターンであり、右側に示すマスク5〜マスク8が重複領域99aにおいてチップ2のA列〜D列のノズル列に使用するマスクパターンである。このように、A列〜D列のノズル列について異なるマスクパターンを用意しながらも、いずれのノズル列においても、チップ1用のマスクパターンとチップ2用のマスクパターンは、互いに補完関係を有するようになっている。なお、これらマスクパターンは、X方向に繰り返し使用され、CPU1501は列分配処理J08によって分配された各画素の2値データとマスクパターンの2値データとの間でAND処理を行うことによって、マスク処理J10を実行する。
本実施形態では、このようなマスクパターンに特徴を持たせることによって、複合ずれ部100に含まれるノズルの使用頻度を抑えるようにしている。具体的に説明すると、図12によれば、チップ1においてもチップ2においても、図8で示した複合ずれ部100に含まれるA列のノズル1〜ノズル4とD列のノズル1〜ノズル4の位置に記録許容画素(黒四角)が存在しないようになっている。すなわち、これらノズルの吐出回数を0に設定している。
図13(a)および(b)は、本実施形態のマスクパターンにおける、ノズル並び方向に対する記録許容率の変化を説明するための図である。図13(a)は、重複領域99aにおけるチップ1の記録に使用するノズル(黒丸)と記録許容率を、同図(b)は重複領域99aにおけるチップ2の記録に使用するノズルと記録許容率を夫々示している。例えば、チップ1のA列については、ノズル1〜ノズル8が非使用(白丸)ノズルであり、ノズル9以降において記録許容率が徐々に増加している。B列ではノズル1〜ノズル12が非使用ノズルであり、ノズル13以降において記録許容率が徐々に増加している。C列では非使用ノズルは存在せず、ノズル1から記録許容率が徐々に増加している。D列ではノズル1〜ノズル4が非使用ノズルであり、ノズル5以降において記録許容率が徐々に増加している。そして、これら4つのノズル列について記録許容率を合計した結果は、ノズル1からノズル16に向かって記録許容率が徐々に増加し、ノズル17以降の非重複領域では記録許容率が100%になっている。
一方、図13(b)に示したチップ2においても、チップ1と同様、チップ全体の合計結果では、ノズル1からノズル16に向かって記録許容率が徐々に増加し、ノズル17以降の非重複領域では記録許容率が100%になっている。そして、更に、チップ1の記録許容率の合計とチップ2の記録許容率の合計を合計すると、重複領域における記録許容率は一様に100%になる。
このような8種類のマスクパターンを用いれば、複合ずれ部100の記録許容率を0%にしながらも、個々のノズル列においても個々のチップにおいても、重複領域99aの端部からチップの中央部に向けて記録許容率を徐々に増加させることが出来る。その結果、複合ずれ部100に起因する画像弊害を回避しながらも、夫々のチップによって記録される画像領域を記録媒体上で滑らかに連続させ、つなぎ部を目立たせないようにすることが可能となる。
図14は、重複領域99a〜99cの夫々について、A列〜D列の夫々のノズル列に対し、図12で示したマスクパターン1〜8のいずれを使用するかを示す図である。夫々の重複領域について、適切なマスクパターンが各チップの各ノズル列に宛がわれることにより、いずれの重複領域においても複合ずれ部の記録許容率を0%に抑えつつ、つなぎ部を目立たせないようなグラデーションマスクを実現することが出来る。
図15、図16(a)および(b)は、特許文献1に開示されているような従来型のマスクパターンを、図12、図13(a)および(b)で示した本実施形態のマスクパターンを比較するための図である。従来型のマスクパターンであっても、個々のノズル列および個々のチップにおいて、重複領域の端部からチップの中央部に向けて記録許容率は徐々に増加している。しかしながら、図16(a)および(b)を参照するに、従来型のマスクパターンでは、複合ずれ部100に相当する領域にも記録許容画素(黒四角)が含まれてしまっている。そして、複合ずれ部100に含まれるノズル1〜4も他の領域と同様の記録許容率で使用されている。その結果、このようなマスクパターンを用いた場合、チップ間のつなぎ部を目立たせないようにすることは出来るが、複合ずれ部100に起因する画像弊害は、本実施形態のように回避することは出来ない。
図15、図16(a)および(b)は、特許文献1に開示されているような従来型のマスクパターンを、図12、図13(a)および(b)で示した本実施形態のマスクパターンを比較するための図である。従来型のマスクパターンであっても、個々のノズル列および個々のチップにおいて、重複領域の端部からチップの中央部に向けて記録許容率は徐々に増加している。しかしながら、図16(a)および(b)を参照するに、従来型のマスクパターンでは、複合ずれ部100に相当する領域にも記録許容画素(黒四角)が含まれてしまっている。そして、複合ずれ部100に含まれるノズル1〜4も他の領域と同様の記録許容率で使用されている。その結果、このようなマスクパターンを用いた場合、チップ間のつなぎ部を目立たせないようにすることは出来るが、複合ずれ部100に起因する画像弊害は、本実施形態のように回避することは出来ない。
以上説明したように本実施形態によれば、複合ずれ部に含まれるノズルの使用頻度を抑えながらも、個々のノズル列および個々のチップについては記録許容率を重複領域の端部から徐々に増加させるようなグラデーションマスクを用いる。これにより、チップ間のつなぎ部を目立たせないようにしながら、複合ずれ部に起因する画像弊害も回避することが可能となる。
なお、以上の説明では、チップ内における複合ずれ部100に含まれるノズルは、A列およびD列の4ノズルずつとしたが、画像上で問題になる程度の複合ずれが現れるノズルは、このように限定出来るものではない。上述したように、複合ずれの主な原因はチップ製造時の露光装置にあり、チップを量産する際にはロットによってばらつきが生じる場合もある。また、チップの中心から離れるほど複合ずれは大きくなるが、チップの四隅において、必ずしも同程度の複合ずれが現れるとは限らない。更に、実際に記録媒体に記録した際に現れる画像弊害の程度も、記録媒体の種類などによって変化する。すなわち、記録時の様々な条件によって複合ずれの程度は異なり、複合ずれ部として認定すべき領域も異なる。従って、記録許容率を0%とする領域は四隅の4ノズルに限定されるものではなく、記録許容率を0%とする領域を異ならせたマスクパターンを記録時の様々な条件によって複数用意し、記録モードに応じてこれらを切り替えることが有効である。
更に、明らかに複合ずれ部に含まれるノズルに対しては、その記録許容率を必ずしも0%に固定する必要はない。このようなノズルの記録許容率は、同じ画素を記録可能な他のノズルに比べて十分抑えられていれば、本実施形態の効果を得ることは出来る。
(第2の実施形態)
本実施形態においても、図1〜図3で説明した記録装置および記録ヘッドを用いるものとする。図17は、本実施形態においてCPU1501が実行する画像処理の工程を説明するためのブロック図である。第1の実施形態で説明した図9との違いは、ムラ補正処理J04と量子化処理J06の間に画像データ分配処理J12を設けたことである。以下、画像データ分配処理J12以降の画像処理について説明する。
本実施形態においても、図1〜図3で説明した記録装置および記録ヘッドを用いるものとする。図17は、本実施形態においてCPU1501が実行する画像処理の工程を説明するためのブロック図である。第1の実施形態で説明した図9との違いは、ムラ補正処理J04と量子化処理J06の間に画像データ分配処理J12を設けたことである。以下、画像データ分配処理J12以降の画像処理について説明する。
ムラ補正処理J04より出力される画像データは、8bit256値を有する階調データであるが、CPU1501はこの階調データを第1プレーンと第2プレーンに分配する。ここで、第1プレーンは、A列とB列のノズル列に対応する多値データであり、8bit256値を有する。一方、第2プレーンは、C列とD列のノズル列に対応する多値データであり、同じく8bit256値を有する。その後、分配された2つの多値データは、量子化処理J06において、それぞれ独立の量子化処理が施される。
図18は、本実施形態における画像データ分配処理J12と、量子化処理の工程を具体的に説明するための図である。CPU1501は、ムラ補正処理J04から受信した各画素の階調データを、第1プレーンの該当画素と第2プレーンの該当画素に、所定の割合で分配する。図18では、1:1の割合で分配する例を示しており、左上の画素が有する226の階調データは第1プレーンにも第2プレーンにも113ずつ分配されている。なお、分配比については1:1に限定されるものではない。例えば、A列やB列の使用頻度をC列やD列よりも高くしたい場合には、第1プレーンと第2プレーンの分配比を3:1などとすることも出来る。
分配された2つの多値データは、量子化処理J06において、互いに相関性を有することなく多値誤差拡散処理が施され、0〜7のいずれかの値に量子化される。この際、CPU1501は、第1のプレーンと第2のプレーンとで異なる拡散係数を用いて誤差を拡散する。このように拡散係数を異ならせることにより、画像分配処理後の多値データが第1のプレーンと第2のプレーンで同値であったとしても、量子化後の結果は第1のプレーンと第2のプレーンで異なる値とすることが出来る。
再度図17を参照するに、量子化処理J06によって量子化された各色600dpi8値の量子化データは、インデックス展開処理J07によって、1200dpi3値の記録データに変換される。図19は、インデックス展開処理J07においてCPU1501が参照する第1プレーン用と第2プレーン用のインデックス展開テーブルを示す図である。図の左側は量子化処理J06によって量子化された600dpiの画素が有する8段階のレベルを示している。また、その右側は、第1プレーン用のインデックス展開処理における、各レベルに対応する1200dpiの3値データを示している。更にその右側は、第2プレーン用のインデックス展開処理における、各レベルに対応する1200dpiの3値データを示している。第1プレーン用と第2プレーン用とで等しいインデックス展開テーブルを使用することも出来るが、記録媒体上でドットの分散性を高めるためには、図19のような異なるテーブルを用意することが好ましい。
その後、それぞれのインデックス展開処理J07によって生成された記録データは、列分配処理Aまたは列分配処理Bによって、チップ30上のA列〜D列のいずれかのノズル列に分配される。具体的には、インデックス展開処理Aによって生成された記録データは、列分配処理Aによって、A列に対応する2値データとB列に対応する2値データに変換される。また、インデックス展開処理Bによって生成された記録データは、列分配処理Bによって、C列に対応する2値データとD列に対応する2値データに変換される。
ここで、生成された2値データは、それが図1で示した重複領域99a〜99c以外の非重複領域に含まれる2値データであれば、該当するチップの該当するノズル列(A列〜D列)によってそのまま記録されれば良い。よって、このような2値データについては、そのまま該当するチップの該当するノズル列(A列〜D列)のプリントバッファJ11に転送される。一方、その2値データが重複領域99a〜99cのいずれかに含まれる2値データであれば、これを更に2つのチップのノズル列に分配する必要が生じる。そこで、このような2値データについては、更にマスク処理J10を施してから夫々のプリントバッファJ11に2値データを転送する。図17では、列分配処理J08より後の画像処理について、特に、チップ1とチップ2の間の重複領域99aに注目した画像処理構成を示している。
マスク処理J10については、上記実施形態で説明した図12のマスクパターンを同じように使用することが出来る。すなわち、複合ずれ部100に含まれるノズルを使用することなく、重複領域99aにおいてチップ1とチップ2の記録許容率が徐々に変化するようなマスクパターンを用いることが出来る。その結果、第1の実施形態と同様に、チップ間のつなぎ部を目立たせないようにしながら、複合ずれ部に起因する画像弊害も回避することが可能となる。
本実施形態では、多値の階調データの段階で第1のプレーンと第2のプレーンに分配してから、夫々のプレーンで量子化処理を行っている。よって、排他的なマスクパターンを用いて分割する場合に比べ、記録媒体の同じ位置にドットが重複記録される確率が高くなる。一般に、ノズル列単位の記録位置ずれが生じた場合、夫々のノズル列によって記録されるドット群間の相対的な位置ずれが濃度ムラの原因となっている。これは、分離して記録されるべき2つのドットが記録位置ずれによって重複し、記録媒体におけるドットの被覆面積が低下してしまうためである。このような濃度ムラを低減するためには、予め重複して記録されるドットをある程度設けておくことが有効である。なぜなら、記録位置ずれが発生することにより、分離して記録されるべきドットが重複する箇所が生じても、重複して記録されるべきドットが分離する箇所も発生するので、画像全体の被覆面積すなわち濃度の変位をある程度の範囲に抑えることが出来るからである。そして、本実施形態のように、多値の階調データを複数のプレーンに分配してから夫々のプレーンで量子化処理を行うことは、予め適当な数の重複ドットを用意しておくことにつながり、記録位置ずれに伴う濃度ムラを積極的に抑制することが出来るのである。
なお、図17では、画像データ分配処理J12において、多値データを2つのプレーンに分配する例で説明したが、プレーンの数はノズル列ごとに用意するなど、更に多くすることも出来る。
更に以上説明した実施形態では、チップ上にA列〜D列のノズル列を有し、16ノズル分の重複領域を用意する形態で説明したが、無論ラインヘッドの構成はこれに限定されるものではない。ラインヘッドの構成としては、チップ上に配列するノズル列は4から24程度、重複領域に含まれるノズル数は実際には32〜256ノズル程度が好ましい。
また、以上説明した実施形態では、インデックス展開処理J07において、600dpiの8値の量子化データを1200dpiの3値データに変換するためのインデックス展開テーブルを用意したが、本発明はこのような構成に限定されるものでもない。例えば、600dpiの5値の量子化データを1200dpiの2値データに変換する形態でも良い。
また、図1で示した記録装置では、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの4色のインクを用いる形態で説明したが、無論本発明はこのような形態に限定されるものではない。LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)などのインクを吐出するためのラインヘッドを更に備えた形態であっても良いし、ブラックインク用のラインヘッドのみが配備されたモノクローム専用の記録装置であっても良い。
また、図1では、ロール紙の両面に画像を記録するフルライン型のインクジェット記録装置を例に説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものでもない。カット紙の片面のみに画像を記録するフルライン型の記録装置とすることも出来る。
更に、重複領域を設けながら複数のチップを配列して構成されるラインヘッドを使用するのであれば、記録装置自体が必ずしもフルライン型のインクジェット記録装置でなくても良い。長尺の記録ヘッドを移動させながらインクを吐出する記録走査と、該記録走査とは交差する方向に記録媒体を搬送する搬送動作とを交互に行うようなシリアル型のインクジェット記録装置であっても良い。このような構成であっても、重複領域のつなぎスジを低減しながら複合ずれ部に含まれるノズルの記録頻度を下げるという本発明の効果は十分に得ることが出来る。
更にまた、上記実施形態では、図9や図17に示した一連の画像処理の全てを記録装置1000に備えられたCPU1501によって実行する内容で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものでもない。上記一連の画像処理の一部または全てを、ホストコンピュータのような外部機器16が実行し、残りの画像処理と記録動作のみを記録装置1000が実行する形態であっても、本発明は有効である。この場合、外部機器16と記録装置1000を含んだシステム全体が、本発明のインクジェット記録装置となる。
なお、本実施形態の機能は以下の構成によっても実現することができる。つまり、本実施形態の処理を行うためのプログラムコードをシステムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)がプログラムコードを実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することとなり、またそのプログラムコードを記憶した記憶媒体も本実施形態の機能を実現することになる。
また、本実施形態の機能を実現するためのプログラムコードを、1つのコンピュータ(CPU、MPU)で実行する場合であってもよいし、複数のコンピュータが協働することによって実行する場合であってもよい。さらに、プログラムコードをコンピュータが実行する場合であってもよいし、プログラムコードの機能を実現するための回路等のハードウェアを設けてもよい。またはプログラムコードの一部をハードウェアで実現し、残りの部分をコンピュータが実行する場合であってもよい。
20 ラインヘッド
55 ノズル列
99 重複領域
100 複合ずれ部
1000 インクジェット記録装置
1501 CPU
55 ノズル列
99 重複領域
100 複合ずれ部
1000 インクジェット記録装置
1501 CPU
Claims (9)
- 同じ色のインクを吐出する複数のノズルが第1の方向に配列されたノズル列の複数を、前記第1の方向とは交差する第2の方向に配置させて成るチップの更に複数を、前記第2の方向に重複する重複領域を設けながら前記ノズルの配列が前記第1の方向に連続するように配置して構成されるラインヘッドを用い、該ラインヘッドに対し記録媒体を前記第2の方向に相対的に移動することにより前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記重複領域に相当するノズルのうち、前記チップの中心から離れた位置にある所定領域に含まれるノズルの吐出回数を、前記所定領域に含まれないノズルの吐出回数よりも低く抑えるように、画像データに従った前記ラインヘッドの吐出動作を制御する制御手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記制御手段は、前記複数のノズル列の夫々について、前記第1の方向における最端部に位置するノズルから中央に位置するノズルに向けて吐出回数が徐々に多くなるように、前記画像データに従った前記ラインヘッドの吐出動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記所定領域は、前記チップに配置された前記複数のノズル列のうち、前記第2の方向において最も外側に配置されたノズル列の、前記第1の方向における最端部から連続する複数のノズルを含む領域であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記制御手段は、前記所定領域に含まれるノズルの吐出回数を0にすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記制御手段は、前記画像データに基づいて、前記記録媒体の各画素に対するドットの記録または非記録を定める2値データを生成した後に、前記所定領域に含まれるノズルの吐出回数が前記所定領域に含まれないノズルの吐出回数よりも低く抑えられるように、前記2値データを前記複数のチップの前記複数のノズル列に分配することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記制御手段は、前記記録媒体の各画素に対する前記重複領域に相当するノズルの吐出の許容または非許容を互いに補完関係を有するように定めたマスクパターンを用いることにより、前記2値データを前記複数のチップの前記複数のノズル列に分配することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 前記画像データは多値の階調データであり、前記制御手段は、前記階調データを前記複数のノズル列に対応づけて複数の階調データに分配した後、前記複数の階調データの夫々を量子化処理することにより、前記記録媒体の各画素に対するドットの記録または非記録を定める2値データを生成し、前記所定領域に含まれるノズルの吐出回数が前記所定領域に含まれないノズルの吐出回数よりも低く抑えられるように、前記2値データを前記複数のチップの前記複数のノズル列に分配することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 同じ色のインクを吐出する複数のノズルが第1の方向に配列されたノズル列の複数を、前記第1の方向とは交差する第2の方向に配置させて成るチップの更に複数を、前記第2の方向に重複する重複領域を設けながら前記ノズルの配列が前記第1の方向に連続するように配置して構成されるラインヘッドを用い、該ラインヘッドに対し記録媒体を前記第2の方向に相対的に移動することにより前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記重複領域に相当するノズルのうち、前記チップの中心から離れた位置にある所定領域に含まれるノズルの吐出回数を、前記所定領域に含まれないノズルの吐出回数よりも低く抑えるように、画像データに従った前記ラインヘッドの吐出動作を制御する制御工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 請求項8に記載のインクジェット記録方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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JP2019195983A (ja) * | 2018-05-11 | 2019-11-14 | キヤノン株式会社 | 記録装置および記録装置の制御方法 |
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