JP2014226768A - 工作用割出しテーブルのクランプ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に工作機械が工作物を加工するときは、工作用割出しテーブルに固定された工作物が指令角度に割出され、割出された角度のまま保持された状態で切削される。切削完了後、工作物は次の指令角度に割出され、割出された角度のまま保持された状態で切削されるといった一連の作業となっている。
したがって、工作機械が工作用割出しテーブルに固定された工作物を加工するとき、工作物には切削抵抗分の外力が作用する。
そのため、工作用割出しテーブルは、工作物を外力に抗して割出された角度の状態に保持するためのクランプ機構が必要となる。
従来、割出しテーブルのクランプ機構の一つとして、構造が簡単でありクランプ力を大きくすることができる等の理由で、ディスクプレートを用いたディスククランプ方式が使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献1では、薄肉円盤状のクランププレートが外周の複数箇所を切除した切り欠きで形成されており、切り欠き部に本体の端面部とピストンとの両面における食い込みによる引っ掛かり作用によって、工作用割出しテーブルに働く大きな外力に対処している。
特許文献2では、弾性変形する薄肉の摩擦プレートとクランププレートを備え、クランププレートが摩擦プレートを軸方向において挟み込むことによって、工作用割出しテーブルに働く大きな外力に対処している。
特に、近年では、工作機械が重切削可能となってきているため、外力が大きくなり、クランプ力を大きくすることが強く求められている。
そのため、潤滑油が封入またはグリスが塗布された金属材料の両面を滑りにくくして、クランプ力を大きくすることは難しい。
本発明は、潤滑油が封入されている、またはグリスが塗布されている工作用割出しテーブルであってもクランププレートの機能に最適な構造となして、クランプを確実なものにすべく大きなクランプ力が得られる割出しテーブルのクランプ構造を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の割出しテーブルのクランプ構造は、本体にベアリングを介して回転可能に支持されたスピンドルと、本体の径方向内方において、本体に固定された薄肉ドーナツ形状の固定プレートと、スピンドルの径方向外方において、スピンドルに固定された薄肉ドーナツ形状の回転プレートとを備え、回転プレートと固定プレートのどちらか一方のプレートには、径方向外方に切り欠き部を有し、固定プレートの径方向内方近傍と回転プレートの径方向外方近傍とは、外力により重ね合わされる重なり部を有し、重なり部は、前記切り欠き部の全体を覆わないようになされている。
図1は、従来の割出しテーブルの構成を示した回転軸に沿う断面図である。
図1に示すように、従来の割出しテーブル200は、本体110にベアリング111を介して、回転軸Jを中心に回転可能に支持されたスピンドル112と、本体110の径方向内方において、本体110に固定された薄肉ドーナツ形状の固定プレート113と、スピンドル112の径方向外方において、スピンドル112に固定された薄肉ドーナツ形状の回転プレート114とを備えている。
ここで、回転プレート114は、径方向外方(外周部)に、切り欠き部Xを有している。
図2に示すように、回転プレート114Bの径方向外方の上方には、隙間が設けられ本体110の端面部115が位置している。また、回転プレート114Aの径方向外方の下方には、隙間が設けられスピンドル112の軸方向へ移動可能な外力となるピストン116が配設されている。
このピストン116の軸方向上方への移動によるピストン軸力によって、回転プレート114Aの径方向外方部分が押圧されて固定プレート113Aの内周部分が押圧される。さらにその状態のまま、回転プレート114Bの径方向外方部分に押圧されて本体110の端面部115に押圧される。
上述の一連の作用によって、テーブル117の回動が阻止される構造になっている。
従って、回転プレート114Aとピストン116との共回りを防ぐために、回り止めプレート118を介してピストン116にボルトを軸方向上方に固定し、回り止めプレート118を介してシリンダにボルトを軸方向下方に固定する構造としている。すなわち、ピストン116は、回り止めプレート118を介して間接的にシリンダに固定されている。
さらに、シリンダは本体110に固定されているため、上述のピストン116は共回りしない構造となっている。
以上のことより、任意の回転位置に停止されたテーブル117は、その回動を完全に止められ、テーブル117上にセットされた加工物の加工が行われる。
しかしながら、この場合、枚数を増やすことによって割出しテーブル200の胴厚T1が厚くなり、近年割出しテーブル200の胴厚T1を薄くして加工時の作業スペースを確保したいというユーザー要求にそぐわないこととなる。また、枚数増加による部品点数の増加にもなりコストが高くなってしまう。
他の案としては、プレートを摩擦係数を高い材料で選定したり、プレート側に摩擦係数が高くなるような表面加工処理をしたりすれば良い。
しかしながら、この場合、ブレーキノイズやブレーキ振動が起こりやすくなる。さらにコストが高くなってしまう。
従って、従来の方法では、胴厚を厚くしないで、または、コストを抑えてクランプ力を大きくするには限界があった。
図4は図3に示すB部の部分拡大図である。
ところで、図3に示すように、従来の固定プレートの径方向内方と前記回転プレートの径方向外方とは、外力により重ね合わされる重なり部を有している。
また、従来の回転プレート114は、径方向外方に、切り欠き部Xを有している。従来の割出しテーブル200は、クランプ時に切り欠き部Xを有した回転プレート114が固定プレート113を押圧することで、切り欠き部Xの全体は固定プレートに完全に覆われ、切り欠き部Xに食い込み作用を発生させクランプ力を大きくしている。
従って、従来の固定プレート114または回転プレート113の形状では、ピストン116で押圧して、さらに切り欠き部Xに食い込み作用を発生させた状態であっても潤滑油が重なり部Kから逃げにくいため、クランプ力を大きくしにくい問題があった。
さらに、本願発明者等は第二に回転プレート114や固定プレート113の形状に注目した。すなわち、形状を変えることで、潤滑油を素早く逃がし、滑り難い(摩擦力が大きい)構造にできないか検討を行った。
図5は、本発明の第1の実施形態における割出しテーブル100の構成を示した断面図である。
図5に示すように、本実施形態における割出しテーブル100は、本体10にベアリング11を介して、回転軸Jを中心に回転可能に支持されたスピンドル12と、本体10の径方向内方において、本体10に固定された弾性変形する薄肉ドーナツ形状の固定プレート13と、スピンドル12の径方向外方において、スピンドル12に固定された弾性変形する薄肉ドーナツ形状の回転プレート14とを備えている。
図6に示すように、スピンドル12に固定された回転プレート14Bの径方向外方の上方には、隙間が設けられ本体10の端面部15が位置している。また、回転プレート14Bの径方向外方の下方には、隙間が設けられ本体10に固定された固定プレート13Bが位置している。また、固定プレート13Bの径方向内方の下方には、隙間が設けられスピンドル12に固定された回転プレート14Aが位置している。また、回転プレート14Aの径方向外方の下方には、隙間が設けられ本体10に固定された固定プレート13Aが位置している。また、固定プレート13Aの径方向内方の下方には、隙間が設けられスピンドル12の軸方向へ移動可能な外力となるピストン16が配設されている。
上述の一連の作用によって、テーブル17の回動が阻止される構造になっている。
これによって、任意の回転位置に停止されたテーブル17は、その回動を完全に止められ、テーブル17上にセットされた加工物の加工が行われる。
前述の従来のクランプ構造は、ピストンが回転する回転プレートに押圧されるため、ピストンは、回らないようにするための回り止めプレートを介してボルトで固定している。
しかしながら、本実施形態においては、ピストンは固定側の固定プレートを押圧するため、前述のようなピストンが回らないようにするための回り止めプレートが必要でない。よって、ボルトも不要となり、ピストン側に開けていたボルトのタップ(ねじ穴)やシリンダ側に開けていたボルトの頭の逃がし穴も不要となる。
また、コスト面においても部品点数の削減および、加工代金の削減により、コスト削減することが可能である。
図7に示すように、回転プレート14には、径方向外方(外周部)に切り欠き部Yを有している。本実施形態では、切り欠き部Yは回転プレート14側に設けているが、固定プレート13側に設けても構わない。
また、固定プレート13の径方向内方近傍と回転プレート14の径方向外方近傍とは、ピストン16などの外力により重ね合わされる重なり部Lを有し、重なり部Lは、切り欠き部Yの全体を覆わないようになされている。ここで、「近傍」とは、固定プレート13の内周部から外周方面に向けての径方向が1〜7mm程度の距離を言う。もしくは、回転プレート14の外周部から内周方面に向けての径方向が1〜7mm程度の距離を言う。
また、回転プレート14と固定プレート13のうち、切り欠き部Yを有していない他方のプレート(本実施形態では固定プレート13)は、重なり部Lより半径方向外方に同一円周上に形成された複数の円弧状長穴18を有している。
本実施形態では、円弧状長穴18の周方向の長さは、切り欠き部Yを3つ分の長さとしているが、プレートの大きさや材質、強度によって適宜決めれば良い。
また、切り欠き部Yは4つ以上で形成されているのが好ましい。切り欠き部Yの個数は多い方が食い込み作用の箇所が多くなりクランプ力は大きくなるが、プレートの大きさや材質、強度によって適宜決めれば良い。
また、切り欠き部Yは回転プレート14に設ける場合、回転プレートは回転するため回転バランスをスムーズにするためには、回転プレート14の外周面において等間隔に形成されるのが好ましい。
回転プレート14と固定プレート13との面圧を高くする条件は、使用する材料や大きさ等によって、適宜決めれば良い。典型的な条件を例示すれば、ピストン16などの外力(エア圧、油圧等)は0.5MPa、重なり部Lの径方向の長さは5mmである。本実施形態においては、外力(エア圧)は0.5MPa、重なり部Lの径方向の長さは2〜3mmにしている。
また、本実施形態において、面圧を高くするために、図4に示した重なり部Kの面積を小さくしている。面積を小さくしたことで、従来のクランプ構造に比べて、潤滑油やグリスがにげやすくなることでクランプ力も大きくすることが可能である。
図8に示すように、本実施形態では固定プレート13と回転プレート14の形状をかえることで、重なり部Lの面積を小さくしている。また、固定プレート13の内周面で切り欠き部Yの全体を覆うように重ねないで、敢えて切り欠き部Yの外方部分の一部だけ重ねる形状にしている。
それによって、回転プレート14の切り欠き部Yの内方側一部の非重なり部と、固定プレート13の円弧状長穴18の長穴部によって、切り欠き部Yの外方部分と固定プレート13が重なっている部分(以下、切り欠き外方重なり部Zと言う。)は、両端支持梁状態となることで、切り欠き部Yへの食い付きが強くなる。
尚、切り欠き部Yの形状を、両端支持梁状態により食い付きやすい形状、例えば、切り欠き外方重なり部Zの端が径方向において平行になるような形状(例えば、U字または矩形形状)にすることによって、より食い付き作用を強くすることができる。
以上のことより、本実施形態では、潤滑油の封入やグリスの塗布が必要なクランプ構造であっても、潤滑油やグリスが逃げやすい構造とすることでクランプ力を大きくすることが可能となっている。
図9は本発明の第1の実施形態における回転プレート14と固定プレート13の変形状態を示す図である。
図9に示すように、図9(a)は図6のA−A切断面である。図9(a)はアンクランプ状態を表し、ピストン16などの外力が押圧する前の状態である。下からピストン16、切り欠き部を有した回転プレート13A、固定プレート14A、切り欠き部を有した回転プレート13B、固定プレート14B、本体10の端面部15という配置である。
図9(b)はクランプ状態を表し、図9(a)のアンクランプ状態からピストン15が軸方向に押圧され、各プレートが重ね合わされ端面部15に押圧されている状態である。
図9(c)は切り欠き部Yに固定プレート13が食い付いた状態(食い付き部19)である。
図10(a)に示すように、ピストン軸力(P1)が働きクランプ状態となると、固定プレートには上と下からとの圧縮力(F1)が発生する。
図10(b)に示すように、図10(a)で発生した圧縮力(F1)は逃げ場がなくなり、左右に引張力(F2)が発生する。
図10(c)に示すように、図10(b)で発生した引張力は引張力同士がぶつかり、圧縮され、切り欠き部Yという逃げ場に向かって膨張力(F3)が発生する。
このように図10(a)〜図10(c)のような力の働きによる、固定プレート13に生じる膨張力(F3)によって、切り欠き部Yの空洞部へ向けて固定プレート13の膨張変形をうながされ、固定プレート13の食い付き部19が発生する。
この固定プレート13の食い付き部19を切り欠き部Yへ入り込ませることによって、テーブルの回転停止をより強固にし、潤滑油の封入やグリスの塗布によるプレート間のすべり状態とは関係なく、クランプ力を大きくすることが可能となる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
11 ベアリング
12 スピンドル
13、13A、13B 固定プレート
14、14A、14B 回転プレート
15 端面部
16 ピストン
17 テーブル
18 円弧状長穴
19 食い付き部
100 割出しテーブル
110 本体
111 ベアリング
112 スピンドル
113、113A、113B 固定プレート
114、114A、114B 回転プレート
115 端面部
116 ピストン
117 テーブル
118 回り止めプレート
200 割出しテーブル
K、L 重なり部
X、Y 切り欠き部
Z 切り欠き外方重なり部
Claims (5)
- 本体にベアリングを介して回転可能に支持されたスピンドルと、
前記本体の径方向内方において、該本体に固定された薄肉ドーナツ形状の固定プレートと、
前記スピンドルの径方向外方において、該スピンドルに固定された薄肉ドーナツ形状の回転プレートと、
を備え、
前記回転プレートと前記固定プレートのどちらか一方のプレートには、径方向外方に切り欠き部を有し、
前記固定プレートの径方向内方近傍と前記回転プレートの径方向外方近傍とは、外力により重ね合わされる重なり部を有し、
前記重なり部は、前記切り欠き部の全体を覆わないようになされている、割出しテーブルのクランプ構造。 - 前記回転プレートと前記固定プレートのうち、切り欠き部を有していない他方のプレートは、前記重なり部より半径方向外方に同一円周上に形成された複数の円弧状長穴を有している、請求項1に記載の割出しテーブルのクランプ構造。
- 前記切り欠き部がU字形状または矩形形状で形成されている、請求項1に記載の割出しテーブルのクランプ構造。
- 前記切り欠き部が4つ以上形成されている、請求項1に記載の割出しテーブルのクランプ構造。
- 前記重なり部の面圧が3〜100MPaである、請求項1に記載の割出しテーブルのクランプ構造。
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