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JP2013253565A - 車両の内燃機関の燃焼状態制御装置 - Google Patents

車両の内燃機関の燃焼状態制御装置 Download PDF

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JP2013253565A
JP2013253565A JP2012130089A JP2012130089A JP2013253565A JP 2013253565 A JP2013253565 A JP 2013253565A JP 2012130089 A JP2012130089 A JP 2012130089A JP 2012130089 A JP2012130089 A JP 2012130089A JP 2013253565 A JP2013253565 A JP 2013253565A
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fuel supply
abnormal combustion
cylinder
unit
internal combustion
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JP2012130089A
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Shunsuke Yamana
俊輔 山名
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】気筒への燃料供給量の増量によって異常燃焼を抑制するとともに、気筒への燃料供給量の増量に起因するエンジンの振動を抑制して商品性の向上を図る。
【解決手段】内燃機関の燃焼状態制御装置は、内燃機関1の異常燃焼を検出する異常燃焼検出部62と、異常燃焼検出部62が異常燃焼を検出したとき当該異常燃焼を検出した気筒への燃料の供給量を異常燃焼検出部62が異常燃焼を検出していないときよりも増加させる燃料供給増量部63と、車両の振動を検出する車両振動検出部65と、燃料供給増量部63が燃料の供給量を増加させている期間中に車両振動検出部65が車両の振動を検出したとき当該燃料の供給量を増加させることを終了させる燃料供給増量終了部64とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の内燃機関の燃焼状態を制御する技術に関する。
内燃機関の燃費改善手段の1つとして、内燃機関を高圧縮比化する技術がある。
しかし、内燃機関を高圧縮比化すると、ノッキングや点火前の早期着火(プレイグニッション、以下、プレイグとも言う。)等といった異常燃焼が発生し易くなるといった問題が発生する。
このような問題を解決する技術として、ノッキング検出や点火プラグを介して流れるイオン電流の検出を基に、可変吸気弁機構を用いて吸気弁の閉時期を遅らせる、いわゆる吸気VVT(Variable Valve Timing)の遅角を行って、異常燃焼を回避する技術がある(例えば特許文献1参照)。
しかし、このような技術では、特に厳しい運転状況下(例えば、圧縮比が特に高い、排気干渉が大きい等)にある内燃機関の場合、水温及び吸気温度がともに高い環境(すなわち熱害環境)になると、吸気VVTの遅角のみでは異常燃焼を抑制することが困難となる。
これに対して、ノッキングやプレイグニッションが発生した気筒への燃料の供給量を増加させて、気筒内を冷却して異常燃焼を抑制する技術がある。
例えば、特許文献2に開示の技術では、内燃機関が全負荷状態で且つ高回転の状態から低回転の状態に急激に変化した場合に燃料の噴射量を増加させてプレイグニッションの発生を防止している。
特開平11−36906号公報 特許第3382771号公報
しかし、異常燃焼が発生した気筒への燃料の噴射量を増加させると、異常燃焼が発生していない本来のエンジン駆動状態と比較してエンジン振動が大きくなる恐れがある。
そして、このようにして発生したエンジン振動は、乗員に不快感を与えてしまう恐れがある。
本発明の目的は、気筒への燃料供給量の増量によって異常燃焼を抑制するとともに、気筒への燃料供給量の増量に起因するエンジンの振動を抑制して商品性の向上を図ることである。
前記課題を解決するために、(1)本発明の一態様は、内燃機関の異常燃焼を検出したとき前記内燃機関の気筒への燃料の供給量を増加させる車両の内燃機関の燃焼状態制御装置であって、前記内燃機関の異常燃焼を検出する異常燃焼検出部と、前記異常燃焼検出部が異常燃焼を検出したとき当該異常燃焼を検出した気筒への燃料の供給量を前記異常燃焼検出部が異常燃焼を検出していないときよりも増加させる燃料供給増量部と、車両の振動を検出する振動検出部と、前記燃料供給増量部が燃料の供給量を増加させている期間中に前記振動検出部が車両の振動を検出したとき当該燃料の供給量を増加させることを終了させる燃料供給増量終了部と、を有することを特徴とする車両の内燃機関の燃焼状態制御装置を提供する。
(2)本発明の一態様では、前記燃料供給増量部は、前記異常燃焼検出部が複数の気筒の異常燃焼を検出したとき前記内燃機関における1サイクルを1気筒だけの燃料供給量の増量を実施する期間の単位として前記複数の気筒の各気筒について順番に各サイクルで燃料の供給量を増加させることが好ましい。
(3)本発明の一態様では、前記車両は、前記内燃機関の各気筒の排気マニホルドが接続される排気路に触媒が配置されている車両であり、前記内燃機関の各気筒から排出された前記排気路における排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、前記燃料供給増量部が燃料の供給量を増加させている気筒以外の気筒への燃料の供給量を減少させる調整を行う燃料供給量調整部をさらに有することが好ましい。
(4)本発明の一態様では、前記燃料供給量調整部は、前記燃料供給増量部が燃料の供給量を増加させている気筒以外の気筒が複数有るとき当該複数の気筒への燃料の供給量をそれぞれ同等に減少させることが好ましい。
(5)本発明の一態様では、前記内燃機関の異常燃焼の度合いを検出する異常燃焼度合い検出部をさらに有し、前記燃料供給増量部は、前記異常燃焼検出部が複数の気筒の異常燃焼を検出したとき当該複数の気筒のうち前記異常燃焼度合い検出部が検出した異常燃焼の度合いが高い気筒から順番に又は当該複数の気筒のうち燃焼行程が早く到来する気筒から順番に燃料の供給量を増加させることが好ましい。
(6)本発明の一態様では、前記内燃機関の異常燃焼の度合いを検出する異常燃焼度合い検出部をさらに有し、前記燃料供給増量部は、前記異常燃焼検出部が異常燃焼を検出した気筒についての前記異常燃焼度合い検出部が検出した異常燃焼の度合いが高いほど当該気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることが好ましい。
(7)本発明の一態様では、前記内燃機関の水温を検出する水温検出部をさらに有し、
前記燃料供給増量部は、前記水温検出部が検出した水温が高いほど前記気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることが好ましい。
(8)本発明の一態様では、吸気温度を検出する吸気温度検出部をさらに有し、前記燃料供給増量部は、前記吸気温度検出部が検出した吸気温度が高いほど前記気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることが好ましい。
(9)本発明の一態様では、前記燃料供給増量部は、前記内燃機関の複数回の連続するサイクルで気筒への燃料の供給量を増加させることで前記気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることが好ましい。
(10)本発明の一態様では、車両の走行時の加速度を検出する走行時加速度検出部をさらに有し、前記燃料供給停止部は、前記走行時加速度が検出した走行時の加速度が予め設定したしきい値以下であるとき燃料の供給の停止を行わないことが好ましい。
(1)の態様の発明によれば、異常燃焼を検出した気筒への燃料の供給量を増加させて燃料の気化潜熱を増加させることによって、異常燃焼の発生した気筒を冷却でき、その気筒の異常燃焼が継続するのを抑制できる。さらに、(1)の態様の発明によれば、異常燃焼が再び発生することを防止できる。
また、(1)の態様の発明によれば、燃料の供給量を増加させている期間中に振動検出部が車両の振動を検出したとき燃料の供給量を増加させることを終了させることによって、燃料供給量の増量に起因した内燃機関の振動の増大を抑制できる。これによって、(1)の態様の発明では、異常燃焼抑制制御中に乗員に不快な振動が伝わることを防止できる。
(2)の態様の発明によれば、複数の気筒の燃料の供給量を同時期に増加させないことで排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側になることを低減できる。これによって、(2)の態様の発明では、触媒の排気ガスの浄化性能が低下してしまうのを防止できる。
また、(2)の態様の発明によれば、複数の気筒の燃料の供給量を同時期に増加させないことで、燃料供給量を増量に起因する内燃機関の振動が大きくなるのを抑制できる。
(3)の態様の発明によれば、内燃機関の排気路に配置されている触媒が排気ガスを効率よく浄化できる。
(4)の態様の発明によれば、燃料供給増量部が燃料の供給量を増加させている気筒以外の気筒が複数有るときに特定の気筒に偏って燃料の供給量を減少させないようにすることで、燃料供給量の減量が過大となった気筒がNOxを多く発生させてしまうのを防止できる。
(5)の態様の発明によれば、異常燃焼の度合いが高い気筒から順番に、又は燃焼行程が早く到来する気筒から順番に、異常燃焼の継続を防止するための燃料供給量の増量を実施できる。
(6)の態様の発明によれば、異常燃焼の度合いが高いほど燃料供給量の増加量を多くすることで、異常燃焼の度合いに合致させてより効果的に異常燃焼の継続を抑制できる。
(7)の態様の発明によれば、異常燃焼発生後に異常燃焼が再度発生することを抑制できる。
(8)の態様の発明によれば、異常燃焼発生後に異常燃焼が再度発生することを抑制できる。
(9)の態様の発明によれば、複数の気筒で異常燃焼が発生したときにも1つの気筒への燃料の供給量を集中して増加させることで当該気筒の異常燃焼の継続を早期に抑制できる。
(10)の態様の発明によれば、内燃機関からの振動変動が少ないために内燃機関の振動の変化を乗員が感知しやすい車両走行状況下で、燃料供給量の増量に起因する内燃機関の振動が乗員に不快感を与えてしまうのを防止できる。
本実施形態における車両の構成例を示す図である。 エンジン制御装置の構成例を示すブロック図である。 第1の実施形態におけるエンジン制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるエンジン制御装置の構成例を示すブロック図である。 第2の実施形態におけるエンジン制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。 第3の実施形態におけるエンジン制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、内燃機関の燃焼状態制御装置を搭載した車両を挙げている。
(構成)
図1は、本実施形態における車両の構成例を示す図である。
図1中、車両が搭載する内燃機関1の構成として、2はシリンダヘッド、3はシリンダヘッドカバー、4はピストン、5は燃焼室、6はイグニションコイルをそれぞれ示す。この内燃機関1は、4ストローク型の内燃機関である。そして、この内燃機関1は、エンジン制御装置(例えば、ECM:Engine Control Module)60によって燃焼状態等が制御される。
この内燃機関1の吸気系において、吸気管11が、電子制御スロットルボディ12及びサージタンク13を介して、燃焼室5に連通する吸気マニホルド14に接続されている。また、吸気管11には、上流側にエアクリーナ15が配置されている。ここで、電子制御スロットルボディ12内には、スロットル弁12aが設けられている。この電子制御スロットルボディ12は、エンジン制御装置60によってスロットル弁12aの開度等が制御される。
また、吸気マニホルド14には、燃焼室5に指向した燃料噴射弁16が設けられている。燃料噴射弁16には、不図示の燃料タンクに連絡した燃料供給管17が接続されている。この燃料噴射弁16は、エンジン制御装置60によって燃料噴射量や燃料噴射タイミング等が制御される。
また、内燃機関1の排気系において、各気筒の燃焼室5に連通する排気マニホルド(多岐管ともいう。)21が、排気路22に接続されている。そして、排気路22には、触媒コンバータ23が配置されている。触媒コンバータ23内には、触媒24が設けられている。
また、シリンダヘッド2には、不図示の吸気カム軸の端部に、可変バルブタイミング(VVT)装置の吸気VVTアクチュエータ31が取り付けられている。また、シリンダヘッド2には、不図示の排気カム軸の端部に、排気VVTアクチュエータ32が取り付けられている。このような構成に対応して、内燃機関1には、吸気VVTアクチュエータ31を作動する吸気VVTオイルコントロールバルブ33が設けられ、排気VVTアクチュエータ32を作動する排気VVTオイルコントロールバルブ34が設けられている。エンジン制御装置60は、このような各VVTオイルコントロールバルブ33,34を介して各VVTアクチュエータ31,32の駆動を制御する。
また、イグニションコイル6は、不図示の点火プラグと電気的に接続されており、その点火プラグを発火させるための電圧がエンジン制御装置60によって制御される。
また、シリンダヘッドカバー3には、PCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ41を介して、サージタンク13内に連通する第1ブローバイガス管42が接続されている。また、シリンダヘッドカバー3には、吸気管11に電子制御スロットルボディ12の上流側で連通する第2ブローバイガス管43が接続されている。ここで、PCVバルブ41は、クランクケース内のブローバイガスを吸気側に戻すためのものである。
また、本実施形態の車両は、車速センサ51、車両加速度センサ(いわゆる車両Gセンサ)52、水温センサ53、エンジン回転数センサ54、吸気温度センサ55、及びノッキングセンサ(又はノックセンサ)56を有している。
車速センサ51は、自車両の車速を検出する。そして、車速センサ51は、検出値をエンジン制御装置60に出力する。
車両加速度センサ52は、車体の床面等に取り付けられて車両の振動及び道路勾配(すなわち、車両の傾き)を検出するセンサである。本実施形態では、車両加速度センサ52は、車両内で発生している車両加速度を検出する。そして、車両加速度センサ52は、検出値をエンジン制御装置60に出力する。
エンジン回転数センサ54は、内燃機関1に取り付けられてエンジン回転数を検出する。そして、エンジン回転数センサ54は、検出値をエンジン制御装置60に出力する。
水温センサ53は、内燃機関1の冷却水の温度を検出する。そして、水温センサ53は、検出値をエンジン制御装置60に出力する。
吸気温度センサ55は、吸気管11に取り付けられており、吸気温度を検出する。そして、吸気温度センサ55は、検出値をエンジン制御装置60に出力する。本実施形態では、図1に示すように、吸気温度センサ55は、吸気管11への流入空気量を検出するエアフローセンサ57に隣接されて取り付けられている。
ノッキングセンサ56は、ノッキングによって発生するエンジンブロックの振動を検出する。このノッキングセンサ56は、内燃機関1のエンジンブロックに各気筒に対応して取り付けてある。そして、ノッキングセンサ56は、検出値をエンジン制御装置60に出力する。
エンジン制御装置60は、例えば、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備えるECU(Electronic Control Unit)において構成されている。そのために、例えば、エンジン制御装置60は、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。ROMには、各種処理を実現する1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。
このエンジン制御装置60は、車速センサ51等の各種センサ等から検出値等を基に内燃機関1を制御する。
そして、本実施形態では、エンジン制御装置60は、各種センサの検出値を基に異常燃焼を抑制する制御を行う。
図2は、そのような制御を実現するためのエンジン制御装置60の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、エンジン制御装置60は、加速判定部61、異常燃焼検出部62、燃料供給増量部63、燃料供給増量終了部64、車両振動検出部65、及び記憶部66を有している。
ここで、加速判定部61は、自車両が加速中であるか否かを判定する。具体的には、加速判定部61は、車速センサ51の検出値(すなわち車速)の変化率(すなわち加速度)が加速度判定用しきい値以上である場合、自車両が加速中であると判定する。例えば、加速度判定用しきい値は、車両が加速していることを検出することができる程度に、実験的、経験的、又は理論的に予め設定された値である。
異常燃焼検出部62は、内燃機関1(具体的には各気筒)の異常燃焼を検出する。具体的には、異常燃焼検出部62は、各気筒に取り付けられたノッキングセンサ56の検出値を基に各気筒について異常燃焼を検出する。例えば、異常燃焼検出部62は、ノッキングセンサ56の検出値が異常燃焼判定用しきい値以上である場合、当該ノッキングセンサ56が取り付けられている気筒が異常燃焼しているとの結果を得る。例えば、異常燃焼判定用しきい値は、実験的、経験的、又は理論的に予め設定された値である。
なお、異常燃焼検出部62は、このようなノッキング時の異常燃焼を検出することに限定されないことは言うまでもなく、プレイグニッションのような異常燃焼を検出することもできる。
燃料供給増量部63は、燃料噴射弁16による燃料噴射量を増加させる。具体的には、燃料供給増量部63は、燃料噴射弁16の駆動を制御して、燃料噴射期間を延長することによって燃料噴射量を増加させる。
燃料供給増量終了部64は、そのような燃料供給増量部63による燃料噴射量の増加処理を終了させる。
車両振動検出部65は、車両が振動していることを検出する。具体的には、車両振動検出部65は、車両加速度センサ52の検出値である車両加速度が振動判定用車両加速度以上である場合(車両加速度≧振動判定用車両加速度)、又はエンジン回転数センサ54の検出値であるエンジン回転数の変動が振動判定用変動値以上である場合(エンジン回転数の変動≧振動判定用変動値)、車両が振動しているとの結果を得る。例えば、振動判定用車両加速度及び振動判定用変動値は、実験的、経験的、又は理論的に予め設定された値である。
記憶部66には、異常燃焼検出部62が検出した異常燃焼が発生している気筒(以下、異常燃焼発生気筒という。)の情報(例えば気筒番号)が記憶される。記憶部66は、前述のRAM等のデータの書き換えが可能なメモリである。
図3は、このような図2に示す構成によって実現される異常燃焼抑制処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、先ずステップS1では、エンジン制御装置60は、加速判定部61の判定結果及び異常燃焼検出部62の検出結果を基に、自車両が加速中に異常燃焼が発生したか否かを判定する。エンジン制御装置60は、自車両が加速中に異常燃焼が発生したと判定したときに、ステップS2に進む。
ステップS2では、エンジン制御装置60は、異常燃焼抑制制御の有無を示す異常燃焼判定フラグに1を設定する(異常燃焼判定フラグ=1)。そして、エンジン制御装置60は、異常燃焼抑制制御を開始する。
次に、ステップS3では、エンジン制御装置60は、異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を記憶部66に記憶する。このとき、異常燃焼発生気筒が複数であれば、エンジン制御装置60は、その複数の異常燃焼発発生気筒(例えば気筒番号)を記憶部66に記憶する。
次に、ステップS4では、エンジン制御装置60は、燃料供給増量部63によって、記憶部66に記憶されている異常燃焼発生気筒の情報(例えば気筒番号)を基に、リッチ化(すなわち、燃料噴射量を増加させること)を実施する異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を選択する。
ここで、燃料供給増量部63は、記憶部66に複数の異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)が記憶されている場合には、複数の異常燃焼発生気筒から一の異常燃焼発生気筒を選択する。このとき、例えば、燃料供給増量部63は、記憶部66に記憶されている複数の異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を、燃焼行程の実施順で選択する。すなわち、燃料供給増量部63は、異常燃焼検出時から最も早く燃焼行程を実施する爆発気筒を先ず選択していく。
また、選択順序については、これに限らず、例えば、異常燃焼強度(すなわち、異常燃焼の度合い)を基に決定することもできる。ここで、例えば、ノッキングセンサ56の検出値が大きいほど異常燃焼強度が高いとする。燃料供給増量部63は、このような異常燃焼強度が高い順番から一の異常燃焼発生気筒を選択していく。
次に、ステップS5では、エンジン制御装置60は、燃料供給増量部63によって、前記ステップS4で選択した異常燃焼発生気筒についてリッチ化を実施する。
このとき、燃料供給増量部63は、選択した異常燃焼発生気筒の燃料噴射量を当該異常燃焼発生気筒について異常燃焼が検出されていないときの燃料噴射量よりも多くする。また、燃料供給増量部63は、内燃機関1における1サイクルを1気筒だけの燃料噴射量の増量を実施する期間の単位とし、複数の気筒(ここでは、異常燃焼発生気筒)の各気筒について順番に各サイクルで燃料の供給量を増加させる。すなわち、燃料供給増量部63は、一の異常燃焼発生気筒について燃料噴射量を増加させている1サイクル中に、他の気筒については異常燃焼発生気筒であっても燃料噴射量を増加させないようにする。つまり、燃料供給増量部63は、異常燃焼発生気筒の燃料噴射料の増量を排他的に行うようにする。なお、ここでいう1サイクルは、例えば、吸気行程から次の吸気行程までの1サイクルであり、内燃機関1が2回転するサイクルである。
次に、ステップS6では、エンジン制御装置60は、異常燃焼検出部62の検出結果を基に、全ての気筒について異常燃焼していないか否かを判定する。エンジン制御装置60は、異常燃焼していないと判定すると、ステップS8に進む。また、エンジン制御装置60は、異常燃焼していると判定すると、ステップS7に進む。
ステップS7では、エンジン制御装置60は、車両振動検出部65によって、車両加速度が振動判定用車両加速度以上であるか否か、又はエンジン回転数の変動が振動判定用変動値以上であるか否かを判定する。エンジン制御装置60は、車両加速度が振動判定用車両加速度以上であると判定すると(車両加速度≧振動判定用車両加速度)、又はエンジン回転数の変動が振動判定用変動値以上であると判定すると(エンジン回転数の変動≧振動判定用変動値)、ステップS8に進む。また、エンジン制御装置60は、それ以外であると判定すると(車両加速度<振動判定用車両加速度かつエンジン回転数の変動<振動判定用変動値)、前記ステップS4から再び処理を開始する。
ステップS8では、エンジン制御装置60は、燃料供給増量終了部64によって、リッチ化(すなわち、燃料噴射量の増量)の実施を止めて異常燃焼抑制制御を終了し、異常燃焼判定フラグに0を設定する(異常燃焼判定フラグ=0)。そして、エンジン制御装置60は、当該図3に示す処理を終了する。
(動作、作用等)
次に、エンジン制御装置60の一連の動作、及びその作用等について説明する。
エンジン制御装置60は、自車両が加速中に異常燃焼が発生した場合、異常燃焼判定フラグに1を設定して異常燃焼抑制制御を開始するとともに、異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を記憶部66に記憶する(前記ステップS1乃至前記ステップS3)。
そして、エンジン制御装置60は、記憶部66からリッチ化を実施する異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を読み込み、読み込んだ異常燃焼発生気筒(例えば、記憶部66から読み込んだ気筒番号に対応する異常燃焼気筒)についてリッチ化を実施する(前記ステップS4、前記ステップS5)。
また、エンジン制御装置60は、異常燃焼発生気筒が複数有る場合には、記憶部66に記憶されている複数の異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を、異常燃焼強度が高い順序又は燃焼行程の実施順に選択していき、選択した異常燃焼発生気筒についてリッチ化を順次実施する。
そして、エンジン制御装置60は、全ての気筒について異常燃焼がなくなるまで、又はある程度の大きさの車両振動を検出しない限り、異常燃焼発生気筒についてリッチ化を実施する(前記ステップS6、前記ステップS7)。一方、エンジン制御装置60は、全ての気筒について異常燃焼がなくなると、又は車両振動がある程度の大きさになると、異常燃焼抑制制御を終了してリッチ化を止めて(すなわち、燃料噴射量を通常の量に戻して)、異常燃焼判定フラグに0を設定する(前記ステップS6乃至前記ステップS8)。
(第1の実施形態における効果)
第1の実施形態では、異常燃焼発生気筒についてリッチ化を実施している。これによって、第1の実施形態では、異常燃焼発生気筒について燃料の気化潜熱を増加させて、異常燃焼発生気筒を冷却し、異常燃焼が継続するのを抑制している。
また、第1の実施形態では、車両の振動が大きくなったとき(具体的には、車両加速度≧振動判定用車両加速度又はエンジン回転数の変動≧振動判定用変動値になったとき)、リッチ化の実施を中止している。これによって、第1の実施形態では、異常燃焼発生気筒の燃料噴射量の増量に起因し、異常燃焼が発生していない本来のエンジン駆動状態と比較してエンジン振動が大きくなってしまうことを防止し、車両の振動が乗員に不快感を与えてしまうのを防止できる。
また、第1の実施形態では、一の異常燃焼発生気筒について燃料噴射量を増加させている1サイクル中に、他の異常燃焼発生気筒については燃料噴射量を増加させないようにしている。すなわち、第1の実施形態では、異常燃焼発生気筒の燃料噴射料の増量を排他的に行っている。
これは、燃料噴射量を増加させると、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側になるために、触媒24での排気ガス中のHC(Hydrocarbon)、CO(mono carbon oxide)等の未燃成分の浄化率が低下してしまう恐れがあるからである。
ここで、例えば、前述の特許文献2に開示の技術では、プレイグが発生する可能性がある場合に、プレイグを回避するために、燃料噴射量の増量を所定時間(5秒程度)続けている。よって、この所定時間の間は、燃料噴射量の増量によって内燃機関から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側となる。
ところで、排気ガスを浄化するための触媒として、一般に三元触媒が用いられる。そして、この三元触媒は、排気ガスの空燃比が理論空燃比に近いほど、より適切な浄化を行うことができる性質を持つ。このようなことから、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側となる場合、触媒として一般に用いられる三元触媒は、排気ガスの浄化を効率よく行えない恐れがある。
このようなことから、特許文献2に開示の技術のように単に燃料噴射量を増量するだけだと、排気ガスの浄化が効率よく行えない恐れがある。
このようなことから、第1の実施形態では、一の異常燃焼発生気筒について燃料噴射量を増加させている1サイクル中に、他の異常燃焼発生気筒については燃料噴射量を増加させないようにすることで、触媒24の直前位置(すなわち、排気路22)で排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも極端にリッチ側になるのを防止して、触媒24での排気ガスの浄化率が低下してしまうのを抑制している。
また、内燃機関1の振動という見地では、前述のように異常燃焼発生気筒の燃料噴射料の増量を排他的に行うのではなく全ての異常燃焼発生気筒の燃料噴射量を同時期に増加させて各異常燃焼発生気筒で得られる出力を同時期に同等にすることで、異常燃焼発生気筒の燃料噴射料の増量を排他的に行う場合よりも内燃機関1の振動を減少させることができると考えられる。しかし、この場合、触媒24での排気ガスの浄化率が低下してしまう恐れがある。このようなことから、本実施形態では、触媒24での排気ガスの浄化の面と内燃機関1の振動の面とを比較衡量して、異常燃焼発生気筒の燃料噴射料の増量を排他的に行っている。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、前述の第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
この第2の実施形態では、リッチ化を実施していない気筒について燃料供給量を減少させる処理を行っている。
図4は、そのような第2の実施形態における処理を実現するエンジン制御装置60の構成例を示す。
図4に示すように、第2の実施形態におけるエンジン制御装置60は、燃料供給量調整部71をさらに有する。
図5は、第2の実施形態における異常燃焼抑制処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、この処理では、第1の実施形態における図3の処理に対して、ステップS5の処理の後にステップS21の処理が追加されている。
そのステップS21では、エンジン制御装置60は、燃料供給量調整部71によって、前記ステップS5でリッチ化を実施している気筒以外の全気筒への燃料供給量を減少させる。
ここで、前記ステップS5でリッチ化を実施している気筒以外の気筒として、他の異常燃焼発生気筒や異常燃焼が発生していない気筒がある。
また、燃料供給量調整部71は、例えば、燃料噴射弁16の駆動を制御して、燃料噴射期間を短縮することによって燃料噴射量を減少させる。
また、燃料供給量調整部71は、各気筒からの排気ガスが集まる位置、すなわち触媒24の直前位置(すなわち、排気路22)での排気ガスの空燃比が理論空燃比(ストイキとも言う。空気:燃料=14.7:1の状態となることを指す。)となるように、各気筒への燃料供給量を減少させる。すなわち例えば、燃料供給量調整部71は、リッチ化するために異常燃焼発生気筒に燃料供給した燃料分だけ、当該異常燃焼発生気筒以外の気筒の燃料噴射量で減少させる。このとき、当該異常燃焼発生気筒以外の気筒が複数有る場合には、燃料供給量調整部71は、当該異常燃焼発生気筒についてリッチ化するために燃料噴射量を増量した分だけ、当該異常燃焼発生気筒以外の複数の気筒の各燃料噴射量を均等に減少させる。ここで、通常は、各気筒への流入空気量はそれぞれ等しいことから、燃料供給量調整部71は、各気筒の燃料噴射量を均等に減少させている。
以上は、第2の実施形態における構成であるが、第2の実施形態のその他の構成は、前述の第1の実施形態の構成と同様である。
(第2の実施形態における効果)
第2の実施形態では、触媒24の直前位置における排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、リッチ化を実施している異常燃焼発生気筒以外の各気筒への燃料供給量を減少させている。これによって、第2の実施形態では、内燃機関1の排気路に配置されている触媒24が排気ガス中のHC、CO等の未燃成分を効率よく浄化できる。
ここで、異常燃焼発生気筒についてリッチ化を実施すると、リッチ化を実施していない気筒(異常燃焼発生気筒であるが未だリッチ化を実施していない気筒を含む)を含めた全体の排気ガスの空燃比がリッチ側(すなわち、理論空燃比よりも空気量が小となる状態)となる。そして、この場合、第1の実施形態において説明したように、触媒24での排気ガスの浄化率が低下してしまう恐れがある。
このようなことから、第2の実施形態では、前述のようにリッチ化を実施している気筒以外の各気筒への燃料噴射量を減少させることによって、内燃機関1の排気路22に配置されている触媒24が排気ガス中のHC、CO等の未燃成分を効率よく浄化できるようにしている。
また、第2の実施形態では、異常燃焼発生気筒以外の気筒が複数有る場合には、当該異常燃焼発生気筒についてリッチ化するために燃料噴射量を増量した分だけ、当該異常燃焼発生気筒以外の複数の気筒の各燃料噴射量を均等に減少させている。これによって、第2の実施形態では、特定の気筒に偏って燃料噴射量を減少させてしまうことによってNOxの発生量が増加してしまうのを防止している。さらに、第2の実施形態では、気筒ごとに燃料噴射量の減少分が異なることによって各気筒から得られる出力がバラつきエンジン回転数の変動が増加してしまうのを防止している。これによって、第2の実施形態では、そのようなエンジン回転数の変動の増加によるエンジンの振動が乗員に不快感を与えてしまうのを防止している。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、前述の第1及び第2の実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
この第3の実施形態では、異常燃焼強度等を基にリッチ化の実施内容を決定する処理を行っている。
図6は、そのような第3の実施形態における処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、この処理では、第2の実施形態における図5の処理に対して、ステップS3の処理の後にステップS41乃至ステップS44の処理を追加している。
そのステップS41では、エンジン制御装置60は、異常燃焼強度が異常燃焼強度判定用しきい値以上の異常燃焼発生気筒が有るか否かを判定する。ここで、異常燃焼強度判定用しきい値は、実験的、経験的、又は理論的に予め設定された値である。エンジン制御装置60は、異常燃焼強度が異常燃焼強度判定用しきい値以上(異常燃焼強度≧異常燃焼強度判定用しきい値)の異常燃焼発生気筒が有ると判定すると、ステップS42に進む。また、エンジン制御装置60は、異常燃焼強度が異常燃焼強度判定用しきい値以上の異常燃焼発生気筒が無いと判定すると(異常燃焼強度<異常燃焼強度判定用しきい値)、ステップS43に進む。
ステップS42では、エンジン制御装置60は、燃料供給増量部63によって、記憶部66に記憶されている異常燃焼発生気筒の情報(例えば気筒番号)を基に、リッチ化を実施する異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を選択するとともに、選択した異常燃焼発生気筒についてリッチ化の実施内容を決定する。そして、エンジン制御装置60は、前記ステップS5に換わるステップS44に進む。
ここで、燃料供給増量部63は、記憶部66に複数の異常燃焼発生気筒が記憶されている場合には、記憶部66に記憶されている複数の異常燃焼発生気筒から、リッチ化を実施する異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を、異常燃焼強度が高い順に選択する。
さらに、燃料供給増量部63は、リッチ化の実施内容として、リッチ化を実施するサイクル数(以下、リッチ化の実施回数ともいう。)を決定するとともに、リッチ化を複数回のサイクルにわたって実施する場合に連続してリッチ化を実施するか不連続にリッチ化を実施するかを決定する。
ここで、リッチ化の実施回数については、燃料供給増量部63は、異常燃焼強度を基に決定する。具体的には、燃料供給増量部63は、異常燃焼強度が高いほどリッチ化の実施回数を多くする。また、これに限らず、燃料供給増量部63は、水温センサ53が検出した水温や吸気温度センサ55が検出した吸気温度を基にリッチ化の実施回数を決定することもできる。具体的には、燃料供給増量部63は、水温センサ53が検出した水温が高いほどリッチ化の実施回数を多くする。また、燃料供給増量部63は、吸気温度センサ55が検出した吸気温度が高いほどリッチ化の実施回数を多くする。
また、選択した異常燃焼発生気筒についてリッチ化を複数回実施する場合において、リッチ化を連続して実施するとは、異常燃焼発生気筒が複数有るときでも、当該選択した異常燃焼発生気筒について内燃機関1の1サイクル(すなわち、内燃機関1が2回転すること)を単位として複数回の連続したサイクルでリッチ化を実施することである。また、選択した異常燃焼発生気筒についてリッチ化を複数回実施する場合において、リッチ化を不連続に実施するとは、例えば、当該選択した異常燃焼発生気筒について内燃機関1の1サイクル分のリッチ化を実施し、その後に他の全ての異常燃焼発生気筒それぞれについて内燃機関1の1サイクル分のリッチ化を実施してから、再度、当該選択した異常燃焼発生気筒について内燃機関1の1サイクル分のリッチ化を実施することである。これによって、燃料供給増量部63は、異常燃焼発生気筒の燃料噴射料の増量を排他的に行いつつも、複数回の連続したサイクルでリッチ化を実施したり、1サイクル単位でリッチ化を実施したりすることができる。
また、例えば、リッチ化を複数回のサイクルにわたって実施する場合に連続してリッチ化を実施するか不連続にリッチ化を実施するかについては、燃料供給増量部63は、異常燃焼強度、水温センサ53が検出した水温、又は吸気温度センサ55が検出した吸気温度等の種々の情報を基に決定する。
また、ステップS43では、エンジン制御装置60は、燃料供給増量部63によって、記憶部66に記憶されている異常燃焼発生気筒の情報(例えば気筒番号)を基に、リッチ化を実施する異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を選択するとともに、選択した異常燃焼発生気筒についてリッチ化の実施内容を決定する。そして、エンジン制御装置60は、ステップS44に進む。
ここで、燃料供給増量部63は、記憶部66に複数の異常燃焼発生気筒が記憶されている場合には、記憶部66に記憶されている複数の異常燃焼発生気筒から、リッチ化を実施する異常燃焼発生気筒(例えば気筒番号)を燃焼行程の実施順に選択する。
また、燃料供給増量部63は、リッチ化の実施回数について、前記ステップS42と同様に、異常燃焼強度、水温センサ53が検出した水温、又は吸気温度センサ55が検出した吸気温度を基に決定する。
そして、燃料供給増量部63は、リッチ化の実施内容として、前記ステップS42と同様に、リッチ化の実施回数を決定するとともに、リッチ化を複数回のサイクルにわたって実施する場合に連続してリッチ化を実施するか不連続にリッチ化を実施するかを決定する。
ステップS44では、エンジン制御装置60は、燃料供給増量部63によって、前記ステップS42又は前記ステップS43で選択した異常燃焼発生気筒について、前記ステップS42又は前記ステップS43で決定した実施内容に基づきリッチ化を実施する。
このとき、燃料供給増量部63は、前記ステップS42又は前記ステップS43で決定した実施内容に従い、一の異常燃焼発生気筒について燃料噴射量を増加させている1サイクル中に、他の異常燃焼発生気筒については燃料噴射量を増加させないようにする。すなわち、燃料供給増量部63は、異常燃焼発生気筒の燃料噴射料の増量を排他的に行う。
以上は、第3の実施形態における構成であるが、第3の実施形態のその他の構成は、前述の第1及び第2の実施形態の構成と同様である。
第3の実施形態では、以上のような構成によって、複数の異常燃焼発生気筒が有る場合に異常燃焼強度が高い順又は燃焼行程の実施順にリッチ化を実施するとともに、そのリッチ化の実施を、異常燃焼強度等に応じた内容(リッチ化の実施回数及び連続又は不連続に実施すること)に従い行っている。
(第3の実施形態における効果)
第3の実施形態では、異常燃焼強度が高い気筒から順番に、又は燃焼行程が早く到来する気筒から順番に、異常燃焼の継続を防止するための燃料噴射量の増量を実施できる。これによって、第3の実施形態では、異常燃焼強度や燃焼行程の実施順序に合致させて燃料噴射量の増量を実施できるために、より適切に異常燃焼の継続を防止できる。
以上の実施形態の説明では、エンジン制御装置60は、例えば、内燃機関の燃焼状態制御装置を構成する。
(本実施形態の変形例)
本実施形態では、異常燃焼強度、水温センサ53が検出した水温、又は吸気温度センサ55が検出した吸気温度を基にリッチ化の実施回数(すなわち、実施するサイクル数)を決定している。しかし、本実施形態では、異常燃焼強度、水温センサ53が検出した水温、又は吸気温度センサ55が検出した吸気温度を基にリッチ化を実施する期間を、前述のようにサイクル単位で規定することに限定されない。例えば、本実施形態では、異常燃焼強度が高いほど、水温センサ53が検出した水温が高いほど、又は吸気温度センサ55が検出した吸気温度が高いほど、1サイクル内における燃料噴射時間を長くすることもできる。
また、本実施形態では、エンジンの振動に起因する車両の振動を検出するために、車両加速度センサ52及びエンジン回転数センサ54を用いている。しかし、本実施形態では、これに限定されない。すなわち、本実施形態では、エンジンの振動に起因する車両の振動をこれら以外の他の検出部を用いることができる。
また、本実施形態では、車両加速度センサ52及びエンジン回転数センサ54の検出値を基に車両振動を検出している。しかし、本実施形態では、これに限定されない。すなわち例えば、本実施形態では、車両加速度センサ52及びエンジン回転数センサ54の何れか一方の検出値を用いて車両振動を検出することもできる。このような構成は、車両が車両加速度センサ52及びエンジン回転数センサ54の何れか一方しか搭載していない場合に有効である。
また、本実施形態では、ノッキングセンサ56の検出値を基に異常燃焼を検出している。しかし、本実施形態では、これに限定されない。すなわち例えば、本実施形態では、イオン電流を検出するイオン電流検出部の検出値を基に異常燃焼を検出することもできる。このイオン電流検出部を用いた異常燃料の検出は次のようになる。
イオン電流検出部は、点火プラグの電極に電流を流して、混合ガスの燃焼中に発生するイオン電流を検出する。そして、異常燃焼検出部62は、イオン電流検出部が検出したイオン電流の発生タイミングを基に、プレイグである異常燃焼を検出する。
また、本実施形態では、吸気VVTアクチュエータ31を有する可変吸気弁機構を用いて吸気弁の閉時期を遅らせる、いわゆる吸気VVTの遅角を行って、異常燃焼を回避することもできる。この場合、本実施形態では、このような吸気VVTの遅角によっても異常燃焼を回避できないときに、前述のようなリッチ化による異常燃焼の抑制を図ることができる。
また、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
1 内燃機関、51 車速センサ、52 車両加速度センサ、53 水温センサ、54 エンジン回転数センサ、55 吸気温度センサ、56 ノッキングセンサ、60 エンジン制御装置、61 加速判定部、62 異常燃焼検出部、63 燃料供給増量部、64 燃料供給増量終了部、65 車両振動検出部、66 記憶部、71 燃料供給量調整部

Claims (10)

  1. 内燃機関の異常燃焼を検出したとき前記内燃機関の気筒への燃料の供給量を増加させる車両の内燃機関の燃焼状態制御装置であって、
    前記内燃機関の異常燃焼を検出する異常燃焼検出部と、
    前記異常燃焼検出部が異常燃焼を検出したとき当該異常燃焼を検出した気筒への燃料の供給量を前記異常燃焼検出部が異常燃焼を検出していないときよりも増加させる燃料供給増量部と、
    車両の振動を検出する振動検出部と、
    前記燃料供給増量部が燃料の供給量を増加させている期間中に前記振動検出部が車両の振動を検出したとき当該燃料の供給量を増加させることを終了させる燃料供給増量終了部と、
    を有することを特徴とする車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  2. 前記燃料供給増量部は、前記異常燃焼検出部が複数の気筒の異常燃焼を検出したとき前記内燃機関における1サイクルを1気筒だけの燃料供給量の増量を実施する期間の単位として前記複数の気筒の各気筒について順番に各サイクルで燃料の供給量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  3. 前記車両は、前記内燃機関の各気筒の排気マニホルドが接続される排気路に触媒が配置されている車両であり、
    前記内燃機関の各気筒から排出された前記排気路における排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、前記燃料供給増量部が燃料の供給量を増加させている気筒以外の気筒への燃料の供給量を減少させる調整を行う燃料供給量調整部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  4. 前記燃料供給量調整部は、前記燃料供給増量部が燃料の供給量を増加させている気筒以外の気筒が複数有るとき当該複数の気筒への燃料の供給量をそれぞれ同等に減少させることを特徴とする請求項3に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  5. 前記内燃機関の異常燃焼の度合いを検出する異常燃焼度合い検出部をさらに有し、
    前記燃料供給増量部は、前記異常燃焼検出部が複数の気筒の異常燃焼を検出したとき当該複数の気筒のうち前記異常燃焼度合い検出部が検出した異常燃焼の度合いが高い気筒から順番に又は当該複数の気筒のうち燃焼行程が早く到来する気筒から順番に燃料の供給量を増加させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  6. 前記内燃機関の異常燃焼の度合いを検出する異常燃焼度合い検出部をさらに有し、
    前記燃料供給増量部は、前記異常燃焼検出部が異常燃焼を検出した気筒についての前記異常燃焼度合い検出部が検出した異常燃焼の度合いが高いほど当該気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  7. 前記内燃機関の水温を検出する水温検出部をさらに有し、
    前記燃料供給増量部は、前記水温検出部が検出した水温が高いほど前記気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  8. 吸気温度を検出する吸気温度検出部をさらに有し、
    前記燃料供給増量部は、前記吸気温度検出部が検出した吸気温度が高いほど前記気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  9. 前記燃料供給増量部は、前記内燃機関の複数回の連続するサイクルで気筒への燃料の供給量を増加させることで前記気筒への燃料の供給量を増加させる期間を長くすることを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
  10. 車両の走行時の加速度を検出する走行時加速度検出部をさらに有し、
    前記燃料供給停止部は、前記走行時加速度が検出した走行時の加速度が予め設定したしきい値以下であるとき燃料の供給の停止を行わないことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の車両の内燃機関の燃焼状態制御装置。
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