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JP2012117387A - 送風機及びその送風機を備えた空気調和機 - Google Patents

送風機及びその送風機を備えた空気調和機 Download PDF

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JP2012117387A
JP2012117387A JP2010265244A JP2010265244A JP2012117387A JP 2012117387 A JP2012117387 A JP 2012117387A JP 2010265244 A JP2010265244 A JP 2010265244A JP 2010265244 A JP2010265244 A JP 2010265244A JP 2012117387 A JP2012117387 A JP 2012117387A
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Takashi Matsumoto
崇 松本
Kenichi Sakota
健一 迫田
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

【課題】従来の送風機において、ファンが一回転する間に流入と流出の2つの流れがブレードに起こるため、流入に適したブレード形状を取ると流路幅が狭くなり損失が増大し、流出に適したブレード形状を取ると翼表面からの流れのはく離が生じて騒音が増大する。
【解決手段】この発明に係る送風機は、複数の翼からなるファンを有する送風機において、前記複数の翼は、前記ファンの回転軸から等距離に配置され、前記回転軸を中心とする同心円が隣接翼で区切られた場合の円弧長の最小値が、前記複数の翼のそれぞれの翼間で略等しく、前記ファンの回転面での断面における最大肉厚位置が前記複数の翼の中心位置を通る同心円周上またはその中心側に配置されると共に、前記最大肉厚位置が前記複数の翼の隣接翼毎に異なることを特徴としている。
【選択図】図4

Description

本発明は、送風機及び該送風機を具備した空気調和機に関し、詳しくは筐体及び該筐体に内包されたファン(クロスフローファンを含む。以下ファンとのみ記載)の翼(ブレード、以下ブレードと記載する場合もある)の構造に関するものである。
一般に貫流型送風機は空気調和機の送風機構としてよく用いられ、筐体と、筐体に内包されたファンと、ファンに隣接して背面側に設けた気流を導くケーシングとファンに隣接して前面側に設けた循環渦を定在化するスタビライザとで構成されている(例えば、特許文献1参照)。
このような空気調和機の送風機構として用いられるときは、その筐体は略直方体であることが多く、筐体を支持するための複数の剛性面と、空気の吹出口(以下、排気口とも記載する)を設けた少なくとも一つの吹出面、空気の吸込口(以下、吸気口とも記載する)を設けた少なくとも一つの吸込面とで構成され、面数の合計が6となるよう各面を設定する。
この場合、筐体の剛性が高く荷重を安定して保持できることから、直方体の最大面積を有する面を剛性面とすることが多い。空気の吸込口は、吸気効率の面から出来る限り広い方が望ましい。このため、最大面積を有する剛体面に対向する面と、次に大きな面積を有する面の2つの面とを吸込面とすることが一般的である。また、通常は吸込口に格子状のグリルが設けられ、内部構造を隠すと共に、手先の侵入を防止する。
なお、2番目に大きな面積を有するもう一つの面に空気の吹出口を設け、最小面積を有する2つの面は剛性面とすることが一般的である。このような貫流型送風機では、筐体の上面及び前面の空気の吸込口からの空気がフィルターや熱交換器などの損失体を通過しファンへと流れ込み、ファン内部で全圧上昇し、その空気がケーシング側へ吹き出される。高風量が得られない場合には、ファンの回転数を上昇させる必要があり、結果として騒音の上昇につながる。
そこで、騒音を低減する技術として、例えば、ファンを外周側の肉厚が厚いブレードと、内周側の肉厚が厚いブレードで構成し、かつ、外周側の肉厚が厚いブレードと内周側の肉厚が厚いブレードで隣接するブレードの組み合わせが羽根車の周方向について連続しないように配置する。加えて内周側の肉厚が厚いブレード同士が隣接する場合には、ブレードの配置角を狭くするように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、ファンのブレードを構成するパラメータのうち、翼弦、キャンバ角、設定角、または、コードキャンバ最大距離のうち1つ以上のパラメータがランダムに変化するように構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−241188号公報 特開平8−14193号公報
上記特許文献1に係る送風機では、ファンが一回転する間に流入と流出の2つの流れがブレードに起こるため、流入に適したブレード形状を取ると流路幅が狭くなり損失が増大し、流出に適したブレード形状を取ると翼表面からの流れのはく離が生じて騒音が増大するという課題がある。
また、上記特許文献2に係る送風機では、発生する騒音のうち卓越周波数成分が低減できないという課題がある。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、最小流路幅を一定に保つと共にファンの翼の最大肉厚位置を隣接翼間で変化させ、ファン一回転中の渦スケールの一致性を低減ですると共に、広帯域騒音も防止することを目的とする。
この発明に係る送風機は、複数の翼からなるファンを有する送風機において、前記複数の翼は、前記ファンの回転軸から等距離に配置され、前記回転軸を中心とする同心円が隣接翼で区切られた場合の円弧長の最小値が、前記複数の翼のそれぞれの翼間で略等しく、前記ファンの回転面での断面における最大肉厚位置が前記複数の翼の中心位置を通る同心円周上またはその中心側に配置されると共に、前記最大肉厚位置が前記複数の翼の隣接翼毎に異なることを特徴としている。
本発明によれば、ファン一回転中の渦スケールの一致性を低減できると共に、広帯域騒音も低減できる。
この発明の実施の形態1に係る送風機を備えた空気調和機の断面図である。 この発明の実施の形態1に係る送風機を備えた空気調和機の斜視図である。 この発明の実施の形態1の送風機に係るファンの斜視図である。 この発明の実施の形態1の送風機に係るファンの翼部分を拡大した断面図である。 この発明の実施の形態1に係る翼の最大肉厚位置を設定した一例を示すグラフである。 この発明の実施の形態1に係るファン翼間の空気の流れを示した模式図である。 従来技術とこの発明の実施の形態1の送風機のファンの翼間距離を比較したグラフである。 従来のファンとこの発明の実施の形態1の送風機のファンの騒音特性を比較したグラフである。 この発明の実施の形態2の送風機に係るファンの翼部分を拡大した断面図である。 この発明の実施の形態2に係る翼の最大肉厚位置を設定した一例を示すグラフである。 この発明の実施の形態2に係るファン翼間の空気の流れを示した模式図である。 従来技術とこの発明の実施の形態2の送風機のファンの翼間距離を比較したグラフである。 従来のファンとこの発明の実施の形態2の送風機のファンの騒音特性を比較したグラフである。 この発明の実施の形態3の送風機に係るファンの翼部分を拡大した断面図である。 この発明の実施の形態3に係る翼の最大肉厚位置を設定した一例を示すグラフである。 この発明の実施の形態3に係るファン翼間の空気の流れを示した模式図である。 この発明の実施の形態3の送風機に係るファンの翼部分を拡大した断面図である。 この発明の実施の形態1と実施の形態3の送風機のファンの騒音特性を比較したグラフである。
実施の形態1.
次に、図面を用いて、この発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
図1は、この発明の実施の形態1に係る送風機を備えた空気調和機の断面図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係る送風機を備えた空気調和機の斜視図である。図において、筐体1は、筐体の前部に位置し、筐体を支持する複数の剛性面の一つである前面パネル1aと、前面パネル1aと対向する位置に設けられた他の剛性面の一つである後面パネル1bと、筐体の上部に位置し、空気の吸込口4を設けた吸込面である上面パネル1cと、上面パネル1cと対向する位置に設けられ、空気の吹出口8を設けた吹出面である下面パネル1dと、筐体の側部に位置し、筐体を支持する複数の剛性面の一つである左右の側面パネル1e及び1fとから構成される。
ファン回転方向へ向いた複数の翼(ブレード)を有するファン2は、筐体1に内包して配置され、ファン2の吸込気流側にハ字状に配置した熱交換器3が設けられ、空気の吸込口4に設けられた吸い込みグリル5の隙間からフィルター6を通して、外部から吸い込まれた空気の温度を制御する。ケーシング7は、下面パネル1d側に向かうに従い拡大しながら、ファン2の略後面下流側に位置し熱交換器3で熱交換された空気を室内へ送風するための吹出口8へ向けた吹出側流路を構成する。スタビライザ9は、ファン2の略前面下部に近接対向して位置し、ファン2の吸込側流路と吹出側流路を分離する。
上記のように構成されたファンを備えた送風機において、図1及び図2に示すように、前面パネル1aはフィルター6を取り外し可能とするために脱着可能に設置するが送風時においては図で示す位置に固定した状態である。送風機を運転する場合、ファン2は時計周りに回転し、ファン2が回転すると、空気の吸込口4に設けられた吸い込みグリル5の隙間から室内の空気を吸い込み、空気中の大きなホコリをフィルター6で除去した後、熱交換器3を前面側と後面側とに分かれて通過する。熱交換器3を通過した空気は冷却または加熱され、その後ファン2に吸い込まれる。そしてファン2からケーシング7の面に吹き出され空気は、筐体1の斜め下方に向いた吹出口8へ向け送られ室内に放出される。
図3は、この発明の実施の形態1の送風機に係るファンの斜視図である。また、図4は、この発明の実施の形態1の送風機に係るファンの翼部分を拡大した断面図である。図3において、ファン2は複数枚、ここでは35枚の翼10によって構成され、翼10の各々の翼間の最狭部の間隔は略均等とする必要がある。
図4において、Aの破線は翼の外周側端部の軌跡、Bの矢印は回転方向、Cの破線は翼中心の軌跡を示す。翼10は、それぞれ略同長同幅を有し、略円弧状の翼外側面10aと、略同形状で略円弧状の翼内側面10bとで構成され、その回転方向に翼内側面10bが向くように、ファン2の回転中心13から回転中心側端部14までの距離が略等距離であり、中心角θが略等しくなるように配置される。
ここで、θはファン2の各翼に対する回転中心13から回転中心側端部14を結ぶ線分が隣接翼との間でなす角であり、各翼に対し添え字iを用いてθで示された場合、θ=360/翼枚数−1 iは1〜翼枚数の整数となる。なお、iが翼枚数+1の場合は、iが1の場合を示す。
このように配置された翼10を有するファン2においては、回転中心13から各々の翼10の翼外側面10aに接する接線が隣接翼との接線との間でなす角もθで一定となり、回転中心13の同心円上の円弧長の隣接翼表面間、すなわち、ある翼10の翼内側面10bとその次の翼10の翼外側面10aの距離の最小値Wが全ての翼の隣接翼間で略等間隔となる。
ここで、隣接翼表面間の最小値Wは、ファン2の回転中心13の同心円上の円弧に対する弦の長さの最小値として表されているが、弦の長さが最小となる場合、円弧長も最小の値となることはいうまでもない。
ここで、回転中心13から翼10の最大肉厚位置までの距離をrとすれば、各翼に対する最大肉厚位置が添え字iを用いてrで示された場合、r≧Rかつri−1≠r≠ri+1 iは1〜翼枚数の整数とする。なお、i−1=0の場合は、iが翼枚数の場合を示す。Rは回転中心13から翼中心の軌跡Cまでの距離を示し、R=(回転中心13から翼の外周側端部15までの距離+回転中心13から翼の回転中心側端部14までの距離)/2である。
図5は、上記条件を元に翼10の最大肉厚位置rを設定した一例である。
このように構成したファン翼間の空気の流れの模式図を図6に示す。翼間流れはファン2の最大肉厚部において、縮流から拡大流へと転向する。空気動力学の分野において、速度分布関数の二次微分が0となる点が流れの不安定の起点となることが知られている。このような流れの不安定の起点は翼断面の最大肉厚位置と一致しており、そこからは翼間距離の幅に依存した縦渦が発生する。これらの縦渦同士の合体や、渦が壁面に衝突することによって圧力波が発生し、これが卓越周波数騒音の原因となる。卓越周波数騒音は広帯域騒音と比較してエネルギー的に同等であっても、人間の知覚的にはうるさく感じるためこれらの低減が必要である。
従来の技術では、最大肉厚位置が一定であったため、翼間の渦の起点がファンの各翼列で同一となり、渦のスケールも一致し、より卓越周波数騒音が増大する傾向にあった。この発明の実施の形態1の送風機では、ファン2の翼10の翼間距離は同一であるものの渦の起点である最大肉厚位置が、少なくとも隣接する翼10との間で異なるため、渦発生点から放出された渦が合流する翼列通過後までの距離が不等となるため渦の減衰に伴って渦スケールが分散し卓越周波数騒音の発生が抑制される。
また、従来の技術として、渦の起点である最大肉厚位置を変えるために翼間距離を不均一としたものがある。すなわち、翼形状を変えずに取り付けを逆向きにすることにより肉厚位置を翼ごとに変化させたもの(従来技術2)、あるいは、翼間距離を不等間隔にしたもの(従来技術1)もある。しかしながら、これらの技術では、図7に示すように、一つ飛ばしの翼の集合体である翼列を想定した場合に、その翼列の最小流路距離をプロットすると本願発明の最小流路距離を下回る固定周期の翼列が存在する。
ファン内を通過する流れは慣性力によって、ほぼ定常に流れるため、翼間が狭い翼列には一定流量が通過するため、その分翼間の流速が増加する。ファンで発生する広帯域騒音は翼間流速の2〜8乗に比例し増加することが知られている。つまり、このような一定周期でプロット下場合に最小流路距離が小さくなる翼列が存在する場合、広帯域騒音が増加する。仮に、翼間距離を不均一化することで卓越周波数騒音を減少できたとしても、その反面で広帯域騒音が予想以上に増大する結果を招くこととなる。上記実施の形態1の構成では、翼間距離が略一定値となるため、広帯域騒音を増大させることなしに卓越周波数騒音を低下できる効果が得られる。
図8は、従来技術とこの発明の実施の形態1の送風機のファンの騒音特性を比較したグラフである。なお、図において、投入した電力量と得られた風量がほぼ同一である時の特性を比較した。従来のファンでは、約950Hzの卓越周波数騒音のレベルが約38dBであったのに対し、この発明の実施の形態1の送風機のファンでは、同レベルが約33dBと約5dBの音圧レベルの低減効果を得られた。また広帯域騒音である1kHz〜3kHzの騒音は増大することなく、卓越周波数成分のみ低減効果が得られていることがわかる。
この発明の実施の形態1の送風機の構成により、ファンの翼断面における最大肉厚位置をファン外周側の径方向に分散するようにしたので、騒音に変化するまでに放出される渦のスケールを分指させることで卓越周波数騒音が低減される。また、翼間距離を一定に保つことで翼間流速を増加させず広帯域騒音の増大も発生しない。上記実施の形態1では、送風機を備えた空気調和機について説明したが、熱交換器やフィルターを有しない送風機であっても同等の効果が得られることは自明である。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、翼の最大肉厚位置をファンの中心から翼中心の軌跡Cの外周側に配置していたが、翼中心の軌跡Cの内周側に配置してもよい。
図9は、この発明の実施の形態2の送風機に係るファンの翼部分を拡大した断面図である。図9において、ファン2は複数枚、ここでは35枚の翼11によって構成され、翼11の各々の翼間の最狭部Wの間隔は略均等とする必要がある。ここでは、主として上記実施の形態1と異なる部分について記載し、特に言及しない場合は、上記実施の形態1の構成と同じである。
図9において、Aの破線は翼の外周側端部の軌跡、Bの矢印は回転方向、Cの破線は翼中心の軌跡を示す。翼11は、それぞれ略同長同幅を有し、略円弧状の翼外側面11aと、略同形状で略円弧状の翼内側面11bとで構成され、その回転方向に翼内側面11bが向くように、ファン2の回転中心13から回転中心側端部14までの距離が略等距離であり、中心角θが略等しくなるように配置される。
ここで、θはファン2の各翼に対する回転中心13から回転中心側端部14を結ぶ線分が隣接翼との間でなす角であり、各翼に対し添え字iを用いてθで示された場合、θ=360/翼枚数−1 iは1〜翼枚数の整数となる。なお、iが翼枚数+1の場合は、iが1の場合を示す。
このように配置された翼11を有するファン2においては、回転中心13から各々の翼11の翼外側面11aに接する接線が隣接翼との接線との間でなす角もθで一定となり、回転中心13の同心円上の円弧長の隣接翼表面間、すなわち、ある翼10の翼内側面10bとその次の翼10の翼外側面10aの距離の最小値Wが全ての翼の隣接翼間で略等間隔となる。
ここで、回転中心13から翼11の最大肉厚位置までの距離をrとすれば、各翼に対する最大肉厚位置が添え字iを用いてrで示された場合、r≦Rかつri−1≠r≠ri+1 iは1〜翼枚数の整数とする。なお、i−1=0の場合は、iが翼枚数の場合を示す。Rは回転中心13から翼中心の軌跡Cまでの距離を示し、R=(回転中心13から翼の外周側端部15までの距離+回転中心13から翼の回転中心側端部14までの距離)/2である。
図10は、上記条件を元に翼10の最大肉厚位置rを設定した一例である。
このように構成したファン翼間の空気の流れの模式図を図11に示す。翼間の空気の流れはファン2の最大肉厚部において、縮流から拡大流へと転向し渦が発生する。これらの縦渦同士の合体や、渦が壁面に衝突することによって圧力波が発生し、これが卓越周波数騒音の原因となる。卓越周波数騒音は広帯域騒音と比較してエネルギー的に同等であっても、人間の知覚的にはうるさく感じるためこれらの低減が必要である。
上記実施の形態1で説明したように、従来の技術では最大肉厚位置が一定であったため、翼間の渦の起点がファンの各翼列で同一となり、渦のスケールも一致し、より卓越周波数騒音が増大する傾向にあった。この発明の実施の形態2の送風機では、上記実施の形態1で説明したのと同様な理由により、上記実施の形態1同様に卓越周波数騒音の発生が抑制される。
上記実施の形態1と同様に従来技術では、図12に示すように、一つ飛ばしの翼の集合体である翼列を想定した場合に、その翼列の最小流路距離をプロットすると本願発明の最小流路距離を下回る固定周期の翼列が存在する。
ファン内を通過する流れは慣性力によって、ほぼ定常に流れるため、翼間が狭い翼列には一定流量が通過するため、その分翼間の流速が増加する。ファンで発生する広帯域騒音は翼間流速の2〜8乗に比例し増加することが知られている。つまり、このような一定周期でプロット下場合に最小流路距離が小さくなる翼列が存在する場合、広帯域騒音が増加する。仮に、翼間距離を不均一化することで卓越周波数騒音を減少できたとしても、その反面で広帯域騒音が予想以上に増大する結果を招くこととなる。上記実施の形態1の構成では、翼間距離が略一定値となるため、広帯域騒音を増大させることなしに卓越周波数騒音を低下できる効果が得られる。
図13は、従来技術とこの発明の実施の形態1の送風機のファンの騒音特性を比較したグラフである。なお、図において、投入した電力量と得られた風量がほぼ同一である時の特性を比較した。従来のファンでは、約950Hzの卓越周波数騒音のレベルが約38dBであったのに対し、この発明の実施の形態1の送風機のファンでは、同レベルが約33dBと約5dBの音圧レベルの低減効果を得られた。また広帯域騒音である1kHz〜3kHzの騒音は増大することなく、卓越周波数成分のみ低減効果が得られていることがわかる
この発明の実施の形態2の送風機の構成により、ファンの翼断面における最大肉厚位置をファン内周側の径方向に分散するようにしたので、騒音に変化するまでに放出される渦のスケールを分指させることで卓越周波数騒音が低減される。また、翼間距離を一定に保つことで翼間流速を増加させず広帯域騒音の増大も発生しない。上記実施の形態2では、送風機を備えた空気調和機について説明したが、熱交換器やフィルターを有しない送風機であっても同等の効果が得られることは自明である。
実施の形態3
上記実施の形態1では、翼の最大肉厚位置をファンの中心から翼中心の軌跡Cの外周側に任意に配置していたが、最大肉厚位置の移動割合が一定となるように配置してもよい。
図14は、この発明の実施の形態3の送風機に係るファンの翼部分を拡大した断面図である。図14において、ファン2は複数枚、ここでは35枚の翼12によって構成され、翼12の各々の翼間の最狭部Wの間隔は略均等とする必要がある。ここでは、主として上記実施の形態1と異なる部分について記載し、特に言及しない場合は、上記実施の形態1の構成と同じである。
図14において、Aの破線は翼の外周側端部の軌跡、Bの矢印は回転方向、Cの破線は翼中心の軌跡を示す。翼12は、それぞれ略同長同幅を有し、略円弧状の翼外側面12aと、略同形状で略円弧状の翼内側面12bとで構成され、その回転方向に翼内側面12bが向くように、ファン2の回転中心13から回転中心側端部14までの距離が略等距離であり、中心角θが略等しくなるように配置される。
ここで、θはファン2の各翼に対する回転中心13から回転中心側端部14を結ぶ線分が隣接翼との間でなす角であり、各翼に対し添え字iを用いてθで示された場合、θ=360/翼枚数−1 iは1〜翼枚数の整数となる。なお、iが翼枚数+1の場合は、iが1の場合を示す。
このように配置された翼12を有するファン2においては、回転中心13から各々の翼12の翼外側面12aに接する接線が隣接翼との接線との間でなす角もθで一定となり、回転中心13の同心円上の円弧長の隣接翼表面間、すなわち、ある翼10の翼内側面10bとその次の翼10の翼外側面10aの距離の最小値Wが全ての翼の隣接翼間で略等間隔となる。
ここで、回転中心13から翼12の最大肉厚位置までの距離をrが、各翼に対する最大肉厚位置が添え字iを用いてrで示された場合、一周期における最大肉厚位置の移動幅をA、回転中心13から翼の外周側端部15までの距離と翼の回転中心側端部14までの距離の差、すなわち、翼12の幅をEとすれば、r=R+E/4+Asin{(翼枚数−1)/(i−1)×2×π}、E/2≧A、πは円周率、iは1〜翼枚数の整数とする。なお、i−1=0の場合は、iが翼枚数の場合を示す。Rは回転中心13から翼中心の軌跡Cまでの距離を示し、R=(回転中心13から翼の外周側端部15までの距離+回転中心13から翼の回転中心側端部14までの距離)/2である。
図15は、上記条件を元に翼12の最大肉厚位置rの変位を示した一例である。
このように構成したファン翼間の空気の流れの模式図を図16に示す。翼間の空気の流れはファン2の最大肉厚部において、縮流から拡大流へと転向し渦が発生する。これらの縦渦同士の合体や、渦が壁面に衝突することによって圧力波が発生し、これが卓越周波数騒音の原因となる。卓越周波数騒音は広帯域騒音と比較してエネルギー的に同等であっても、人間の知覚的にはうるさく感じるためこれらの低減が必要である。
上記実施の形態1で説明したように、従来の技術では最大肉厚位置が一定であったため、翼間の渦の起点がファンの各翼列で同一となり、渦のスケールも一致し、より卓越周波数騒音が増大する傾向にあった。上記実施の形態1または実施の形態2では、翼間距離は同一であるものの渦の起点である最大肉厚位置をファンの径方向に不等とすることで、渦発生点から放出された渦が合流する翼列通過後までの距離が不等となるため渦の減衰に伴って渦スケールが分散し卓越周波数騒音の発生が抑制された。
この発明の実施の形態3の送風機が上記実施の形態1または上記実施の形態2の送風機と異なるのは、周期関数を用いて最大肉厚位置を定めているため、その移動量が隣接翼間で均等となる一方で、ファン1回転中で最大肉厚位置が必ず異なる点となることである。
図17に示すように、翼間から放出された後の後流は、翼面に沿った流れのまま放出されるため、翼外側面に沿った後流は翼の最大肉厚位置によって、その吹き出し角度が変化する。従って、ファンの気流吹出部では翼の後流が合流することで広帯域騒音の原因となるせん断流れが発生する。上記実施の形態1または上記実施の形態2のように翼間の最大肉厚位置の移動量が不均等であると隣接翼間で最大肉厚位置が大きく変化する箇所が存在するため、翼で発生する広帯域騒音の原因となるせん断流れがあまり減少しない。
しかし、実施の形態3のように隣接翼間で最大肉厚位置がファン1回転中で漸次変化する構成とすることで、各翼に対する後流成分のベクトルの差であるせん断成分Dを最小として均等にすることができ、すなわち、隣接翼間で最大肉厚位置が大きく変化する箇所が存在しないため、せん断流れの発生を最小化すると同時に、所期の翼間で発生する渦のスケールを一致させないことの2点を両立でき、広帯域騒音の減少効果も発揮する。
図18は、上記実施の形態1とこの発明の実施の形態3の送風機のファンの騒音特性を比較したグラフである。なお、図において、投入した電力量と得られた風量がほぼ同一である時の特性を比較した。上記実施の形態1のファンでは、約950Hzの卓越周波数騒音のレベルが約33dBであったのに対し、この発明の実施の形態3の送風機のファンでは、同レベルが約28dBと約5dBの音圧レベルの低減効果を得られた。また広帯域騒音である1kHz〜3kHzの騒音はせん断流れの減少により上記実施の形態1と比べて全体的に2dB程度減少し、全体的な騒音の低減が図られたことがわかる。
この発明の実施の形態3の送風機の構成により、ファンの翼断面における最大肉厚位置を径方向に一定の割合で分散するようにしたので、騒音に変化するまでに放出される渦のスケールを分散させることで卓越周波数騒音が低減される。さらに、翼の最大肉厚位置が漸次変化することで、せん断流れを減少させることができ広帯域騒音の低減効果も得ることが出来る。
実施の形態4
上記実施の形態3では、翼の最大肉厚位置をファンの中心から翼中心の軌跡Cの外周側で周期的に変位するよう設定していたが、内周側で周期的に変位するよう設定してしてもよい。
この場合、回転中心13から翼12の最大肉厚位置までの距離をrが、各翼に対する最大肉厚位置が添え字iを用いてrで示された場合、一周期における最大肉厚位置の移動幅をA、回転中心13から翼の外周側端部15までの距離と翼の回転中心側端部14までの距離の差、すなわち、翼12の幅をEとすれば、r=R−E/4+Asin{(翼枚数−1)/(i−1)×2×π}、E/2≧A、πは円周率、iは1〜翼枚数の整数とする。なお、i−1=0の場合は、iが翼枚数の場合を示す。Rは回転中心13から翼中心の軌跡Cまでの距離を示し、R=(回転中心13から翼の外周側端部15までの距離+回転中心13から翼の回転中心側端部14までの距離)/2である。
上記実施の形態では、回転中心13から翼12の最大肉厚位置までの距離をrが、r=R−E/4+Asin{(翼枚数−1)/(i−1)×2×π}、E/2≧A、すなわち、(R−E/4)を半径とする円周上を変位のセンターとして、その内周側で最大肉厚位置が移動するような設定としていたが、r=R+Asin{(翼枚数−1)/(i−1)×2×π}、E/2≧A、すなわち、Rを半径とする円周上を変位のセンターとして、AがE/2の間で変位するような構成としてもよい。
つまり、最大肉厚位置が翼の所定の範囲、例えば、E/2、E/3、・・・、E/n(nは自然数)の間で変化し、かつ、隣接翼間でその位置が異なるような構成であれば、本発明の効果が得られる。ただし、上記実施の形態の構成のように翼の内周側、もしくは、外周側に特定する形で最大肉厚位置が変化する構成とした方がより顕著な効果が得られる。
また、上記実施の形態3または上記実施の形態4の場合の周期関数の変位の中心をそれぞれR+E/4またはR−E/4として説明したが、例えば、R+E/5またはR−E/5、・・・、R+E/nまたはR−E/n nは自然数、としても構わない。ただし、この場合、変位の中心に併せて最大肉厚位置が変化する翼の所定の範囲を設定することは当然である。
上記実施の形態では、送風機を備えた空気調和機について説明したが、熱交換器やフィルターを有しない送風機であっても同等の効果が得られることは自明である。
1 筐体、1a 前面パネル、1b 後面パネル、1c 上面パネル、1d 下面パネル、1e 左側面パネル、1f 右側面パネル、2 ファン、3 熱交換器、4 吸込口、5 グリル、6 フィルター、7 ケーシング、8 吹出口、9 スタビライザ、10 翼、10a 翼外側面、10b 翼内側面、11 翼、11a 翼外側面、11b 翼内側面、12 翼、12a 翼外側面、12b 翼内側面、13 回転中心、14 回転中心側端部、15 外周側端部

Claims (4)

  1. 複数の翼からなるファンを有する送風機において、前記複数の翼は、前記ファンの回転軸から等距離に配置され、前記回転軸を中心とする同心円が隣接翼で区切られた場合の円弧長の最小値が、前記複数の翼のそれぞれの翼間で略等しく、前記ファンの回転面での断面における最大肉厚位置が前記複数の翼の中心位置を通る同心円周上またはその中心側に配置されると共に、前記最大肉厚位置が前記複数の翼の隣接翼毎に異なることを特徴とする送風機。
  2. 複数の翼からなるファンを有する送風機において、前記複数の翼は、前記ファンの回転軸から等距離に配置され、前記回転軸を中心とする同心円が隣接翼で区切られた場合の円弧長の最小値が、前記複数の翼のそれぞれの翼間で略等しく、前記ファンの回転面での断面における最大肉厚位置が前記複数の翼の中心位置を通る同心円周上またはその外周側に配置されると共に、前記最大肉厚位置が前記複数の翼の隣接翼毎に異なることを特徴とする送風機。
  3. 前記ファンの回転面での断面における最大肉厚位置が前記複数の翼の隣接翼間での中心角θの周期関数からなることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の送風機。
  4. 前記請求項1乃至前記請求項3のいずれか一つに記載の送風機を備えたことを特徴とする空気調和機。
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