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JP2011157506A - 塗料組成物 - Google Patents

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JP2011157506A
JP2011157506A JP2010021413A JP2010021413A JP2011157506A JP 2011157506 A JP2011157506 A JP 2011157506A JP 2010021413 A JP2010021413 A JP 2010021413A JP 2010021413 A JP2010021413 A JP 2010021413A JP 2011157506 A JP2011157506 A JP 2011157506A
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聡宏 矢野
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純 吉田
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Abstract

【課題】本発明は、低屈折率および低反射率の塗膜を形成可能な塗料組成物及びその製造方法、並びに、当該塗料組成物を用いて形成される塗膜または反射防止膜を提供する。
【解決手段】本発明の塗料組成物は、マトリックス形成材と、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を含み平均一次粒子径が10〜200nmのメソポーラスシリカ粒子とを含む。本発明の塗料組成物を用いて形成された塗膜は、マトリックスと、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と前記外殻部よりも内側に存在する中空部とを含み平均一次粒子径が10〜200nmの中空メソポーラスシリカ粒子とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗料組成物、塗膜、反射防止膜及びそれらの製造方法に関する。
反射防止膜は、フラットパネルディスプレー、光学レンズ、光学フィルター、自動車用ガラス等に幅広く利用されている。優れた反射防止性能を発現するためには、膜の低屈折率化が重要である。膜の屈折率低減のために、膜内部に最も屈折率の低い物質である空気を含ませる、すなわち膜の空孔率を増加させる方法が知られている。
膜の空孔率を増加させ、屈折率を低減させる方法として、多孔質シリカ粒子を膜に含有させる方法が知られている。例えば、特許文献1には、多孔質シリカ粒子として中空シリカ粒子を含有した塗料組成物及び塗膜が開示されている。
特開2009−203285号公報
しかし、特許文献1が開示した従来技術では、中空シリカ粒子の強度、すなわち塗膜強度の観点から、中空シリカ粒子の高空孔率化、すなわち塗膜の低屈折率化に限界がある。そのため、特許文献1が開示した中空シリカ粒子を含む塗料組成物を用いて形成された塗膜の屈折率および反射率は十分に低いものではなかった。
本発明は、低屈折率および低反射率の塗膜を形成可能な塗料組成物及びその製造方法、並びに、当該塗料組成物を用いて形成される塗膜または反射防止膜を提供する。
本発明の塗料組成物は、マトリックス形成材と、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を含み平均一次粒子径が10〜200nmのメソポーラスシリカ粒子とを含む。
本発明の塗膜は、本発明の塗料組成物から作製された塗膜である。
本発明の塗膜は、マトリックスと、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と前記外殻部よりも内側に存在する中空部とを含み平均一次粒子径が10〜200nmの中空メソポーラスシリカ粒子とを含む。
本発明の反射防止膜は、本発明の塗膜を含む。
本発明の塗料組成物の製造方法は、
疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を高圧乳化法により加圧して、前記疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成した後、前記乳濁液にシリカ源を添加して、シリカを含みメソ細孔構造を有する外殻部と前記外殻部よりも内側に前記乳化滴が含まれた複合シリカ粒子を形成する工程(I)と、
前記複合シリカ粒子から、前記界面活性剤および前記乳化滴を除去する工程(II)と、
を含む。
本発明は、低屈折率および低反射率の塗膜を形成可能な塗料組成物、及びそれを用いて形成される塗膜または反射防止膜を提供できる。
本願において「メソ細孔構造」とは、細孔径が1〜10nmであって、規則的に配列された複数の細孔を有する構造である。細孔は、粒子の外部と中空部とが連通するように外殻部を貫通している。メソ細孔構造は、例えば、カチオン性界面活性剤とシリカ源とを混合することにより生じる、シリカの自己組織化によって形成される。
本願において、「メソポーラスシリカ粒子」とは、メソ細孔構造の外殻部を有し、中空構造を有する粒子であり、「中空メソポーラスシリカ粒子」とは、メソ細孔構造を有する外殻部と外殻部よりも内側に存在する中空部とを含み、中空部および細孔内には空気が存在する粒子である。
本発明の塗料組成物は、マトリックス形成材とメソポーラスシリカ粒子とを含む。
[メソポーラスシリカ粒子]
本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子は、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を含む。メソポーラスシリカ粒子の外殻部の内側の中空部および細孔内には、後述する有機溶媒が充填されているが、塗料組成物の調整の際に使用した界面活性剤及び/又は疎水性有機化合物が少量存在する場合もある。
本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子の平均一次粒子径は、塗料組成物の保存安定性並びに塗膜の反射率の低減や高透明性の観点から、10〜200nmであることを要するが、同様の観点から、30〜100nmであると好ましく、40〜80nmであるとより好ましい。メソポーラスシリカ粒子の「平均一次粒子径」の測定条件の詳細は実施例に示す通りであり、外殻部の内側の中空部および細孔内に空気が存在すること以外は同構成の中空メソポーラスシリカ粒子から測定される値と等しい。
本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子の平均細孔径は、塗膜の屈折率及び反射率の低減の観点から、1.0〜2.5nmであると好ましく、1.0〜2.3nmであるとより好ましく、1.0〜2.2nmであるとさらに好ましい。平均細孔径が1.0nm以上であれば、高空孔率のメソポーラスシリカ粒子が得られ、塗膜の屈折率及び反射率が低減できる。また、平均細孔径が2.5nm以下であれば、塗料組成物中のマトリクス形成材がメソポーラスシリカ粒子のメソ細孔内に浸入しにくく、塗膜の屈折率及び反射率が低減できる。メソポーラスシリカ粒子の「平均細孔径」の測定条件の詳細は実施例に示す通りであり、中空部および細孔内に空気が存在すること以外は同構成の中空メソポーラスシリカ粒子から測定される値と等しい。
本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子の外殻部の平均内径(平均中空部径)は、塗膜の屈折率及び反射率の低減の観点から、5〜150nmであると好ましく、10〜100nmであるとより好ましく、30〜60nmであるとさらに好ましい。メソポーラスシリカ粒子の「外殻部の平均内径(平均中空部径)」の測定条件の詳細は実施例に示す通りであり、中空部および細孔内に空気が存在すること以外は同構成の中空メソポーラスシリカ粒子から測定される値と等しい。
本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子の平均外殻部厚みは、塗膜の屈折率及び反射率の低減と塗膜の強度向上の両立の観点から、3〜50nmであると好ましく、5〜20nmであるとより好ましく、5〜10nmであるとさらに好ましい。メソポーラスシリカ粒子の「平均外殻部厚み」の測定条件の詳細は実施例に示す通りであり、中空部および細孔内に空気が存在すること以外は同構成の中空メソポーラスシリカ粒子から測定される値と等しい。
本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子の細孔や外殻部より内側に充填された有機溶媒等を除去することにより得られる中空メソポーラスシリカ粒子の全空孔率は、塗膜の屈折率及び反射率の低減と塗膜の強度向上の両立の観点から、50〜80%であると好ましく、60〜80%であるとより好ましく、65〜80%であるとさらに好ましい。なお、中空メソポーラスシリカ粒子の全空孔率は、外殻部の空孔率と中空部の空孔率から算出できる。塗膜の屈折率及び反射率の低減と塗膜の強度向上の両立の観点から、外殻部の空孔率は、10〜60%が好ましく、15〜50%がより好ましく、中空部の空孔率は、20〜80%が好ましく、40〜70%がより好ましい。
本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子の濃度は、塗料組成物の保存安定性の向上と、塗膜の屈折率及び反射率の低減の観点から、SiO2重量換算濃度で0.2〜40重量%であると好ましく、0.2〜10重量%であるとより好ましく、0.2〜1重量%であるとさらに好ましい。ここで、SiO2重量換算濃度とは、塗料組成物中の、メソポーラスシリカ粒子に含まれるSiO2重量割合をいう。
[マトリックス形成材]
本発明の塗料組成物に含まれるマトリックス形成材としては、例えば、シラン化合物やフッ素基含有樹脂等の可視光に対して透過性を有する材料を用いることができる。
シラン化合物としては、テトラアルコキシシラン類、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類等の多官能のアルコキシシラン類が挙げられる。シラン化合物は1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、これらの部分縮合物である、メチルシリケートオリゴマーやエチルシリケートオリゴマー等も挙げられる。
テトラアルコキシシラン類としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素基含有樹脂としては、長鎖フルオロアルキル基を含有するフッ素基含有ポリマー等を用いることができる。このフッ素基含有ポリマーを形成するためのモノマーとしては、例えば、フロロオレフィン類、アルキルパーフロロビニルエーテル類、アルコキシアルキルパーフロロビニルエーテル類、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)類、パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類等を用いることができる。フロロオレフィン類としては、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロロプロピレン等が挙げられる。パーフロロ(アルキルビニルエーテル)類としては、パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)等が挙げられる。パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類としては、パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等が挙げられる。これらのモノマーは1種又は2種以上を用いることができ、さらに他のモノマーと共重合することもできる。
これらマトリクス形成材の中でも、塗膜の屈折率及び反射率の低減と塗膜の強度向上の両立の観点、更にはコスト低減、製造の容易化の観点から、シラン化合物が好ましく、メチルシリケートオリゴマーやエチルシリケートオリゴマーがより好ましく、メチルシリケートオリゴマーが特に好ましい。
本発明の塗料組成物に含まれるマトリックス形成材の濃度は、塗料組成物の保存安定性の向上と、塗膜の屈折率及び反射率の低減の観点から、マトリックス形成材の固形分濃度で、0.1〜60重量%であると好ましく、0.2〜10重量%であるとより好ましく、0.3〜1重量%であるとさらに好ましい。
マトリックス形成材の固形分重量とメソポーラスシリカ粒子のSiO2重量の合計を100重量%とした場合のマトリックス形成材の固形分濃度は、塗膜の屈折率及び反射率の低減の観点から、20〜90重量%であると好ましく、50〜80重量%であるとより好ましい。すなわち、重量比(メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量/マトリックス形成材の固形分重量)は、80/20〜10/90であると好ましく、50/50〜20/80であるとより好ましい。
[有機溶媒]
本発明の塗料組成物は溶媒として有機溶媒を含む。有機溶媒は、加熱により容易に揮発させることができるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素、グリコール類、グリコールエーテル類等を用いることができる。アルコール類としては、2−プロパノール、メタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン等、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。グリコールエーテル類としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上混合して使用できる。塗料組成物の保存安定性、コスト低減、製造の容易性の観点や塗膜の屈折率及び反射率の低減と塗膜の強度向上の観点から、有機溶媒としてアルコール類が好ましく、2−プロパノールがより好ましい。
本発明の塗料組成物は、経済性の観点から、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈する場合が多い。本発明の塗料組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば、例えば上記有機溶媒で希釈して使用すればよい。濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、濃縮液における各成分の濃度(メソポーラスシリカ粒子の含有量等)や塗布方法等に応じて適宜決定できる。
[塗料組成物の製造方法]
次に、本発明の塗料組成物の製造方法の一例について説明する。
[工程(I):混合液の調整]
本発明の塗料組成物の製造方法では、まず、疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を調整する。
混合液の調整は、例えば、疎水性有機化合物および界面活性剤を水系溶媒へ添加することで行える。疎水性有機化合物と界面活性剤はこの順で水系溶媒へ添加してもよいし、同時に添加してもよい。また、水系溶媒を、疎水性有機化合物および/または界面活性剤の添加の最中に撹拌してもよいし、添加後に撹拌してもよい。
撹拌時間は、用いられる撹拌機の種類等に応じて異なるが、全体が均一に混合されている状態において、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは5分以上である。
上記撹拌に使用される撹拌機の種類について特に制限はない。撹拌機としては、例えば、ペンシルミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。市販の撹拌機としては、例えば、ディスパー(PRIMIX社製)、クリアミクス(M−テクニック社製)、キャビトロン(太平洋機工社製)等が使用できる。
撹拌最中の混合液の温度は、水系溶媒の蒸発を防いで、混合液中の疎水性有機化合物および界面活性剤の濃度の変動を抑制する観点から、0〜90℃に保つと好ましく、10〜50℃がより好ましい。
(疎水性有機化合物)
疎水性有機化合物は、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成するものを意味する。疎水性有機化合物は、界面活性剤の存在下で分散可能であると好ましく、界面活性剤の一例である第四級アンモニウム塩の存在下で分散可能であると好ましい。
水系溶媒として水を用いる場合、疎水性有機化合物が液体状態にある温度域は、0〜100℃であると好ましく、20〜90℃であるとより好ましい。
疎水性有機化合物は、LogPOWが1以上であると好ましく、2〜25であるとより好ましい。ここで、LogPOWとは、化学物質の1−オクタノール/水分配係数であり、logKOW法により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数を積算して求められる(Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92参照)。
疎水性有機化合物としては、例えば、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6〜22の脂肪酸、及びシリコーンオイルなどの油剤が挙げられる。
炭化水素化合物としては、炭素数5〜18のアルカン、炭素数5〜18のシクロアルカン、液状パラフィン、液状石油ゼリー、スクワラン、スクアレン、ペルヒドロスクワレン、トリメチルベンゼン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。これらの中では、炭素数5〜18のアルカンおよび炭素数5〜18のシクロアルカンが好ましい。
エステル化合物としては、炭素数6〜22の脂肪酸のグリセリンエステル等の油脂類が挙げられ、具体的には、ミンク油、タトール油、大豆油、スイートアーモンド油、ビューティリーフオイル、パーム油、グレープシード油、ゴマ種油、トウモロコシ油、パーレアムオイル、アララ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ひまし油、アボガド油、ホホバ油、オリーブ油、又は穀物胚芽油等が挙げられる。
また、エステル化合物としては、炭素数4〜22の脂肪酸と炭素数1〜22の一価又はグリセリン以外の多価アルコールとの縮合物が挙げられ、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソノニル、パルチミン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル、パルチミン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル等が挙げられる。その他のエステル化合物としては、多価カルボン酸化合物とアルコールとのエステルが挙げられ、具体的には、アジピン酸ジイソプロピル、乳酸2−オクチルドデシルエステル、琥珀酸2−ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
炭素数6〜22の脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、又はイソステアリン酸等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、脂肪酸、脂肪族アルコール、又はポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン、フルオロシリコーン、パーフルオロシリコーンオイル等が挙げられる。
ポリジメチルシロキサン(PDMS)はフェニル化されていてもよく、例えば、フェニルトリメチコン、又は任意的に脂肪族基及び/又は芳香族基で置換されていてもよい。また、それらは、利用率が高いという理由から、炭化水素をベースとするオイル又はシリコーンオイルであって、シリコーン鎖のペンダント状であるか又は末端に存在するアルキル基又はアルコシキ基を任意的に含み2〜7の珪素原子を含む直鎖又は環状シリコーンが好ましく、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン等が好ましい。上記利用率とは、混合液の調整に使用される疎水性有機化合物の量のうちの、外殻部により包含される疎水性有機化合物の量の割合を意味する。
これらの疎水性有機化合物は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
これらの疎水性有機化合物の中でも、後述する一般式(1)及び一般式(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤によって乳化されやすく、利用率が高いという理由から、炭素数5〜18のアルカンおよび炭素数5〜18のシクロアルカンが好ましい。
混合液における疎水性有機化合物の含有量は、疎水性有機化合物の利用率の向上の観点から、0.1〜100ミリモル/Lであると好ましく、1〜100ミリモル/Lであるとより好ましく、5〜80ミリモル/Lであるとさらに好ましい。
(水系溶媒)
本発明の塗料組成物の製造方法で用いられる水系溶媒としては、例えば、水、又は、水と水溶性有機溶剤とからなる混合溶媒等が挙げられるが、乳化滴の安定性の点から、水系溶媒は水のみからなると好ましい。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。水系溶媒に水溶性有機溶剤が含まれる場合、水系溶媒中における水溶性有機溶剤の含有量は、乳化滴の安定性の観点から、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは、1〜30重量%である。
(界面活性剤)
本発明の製造方法で用いられる界面活性剤としては、疎水性有機化合物の利用率の向上の観点から、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤が好ましい。
[R1(CH33N]+- (1)
[R12(CH32N]+- (2)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
上記一般式(1)及び一般式(2)におけるR1及びR2は、疎水性有機化合物の利用率の向上の観点から、それぞれ独立して、好ましくは炭素数6〜18、さらに好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)におけるXは、規則性の高いメソ細孔を形成させるという観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上である。Xとしては、より好ましくはハロゲンイオンであり、さらに好ましくは塩化物イオン又は臭化物イオンであり、より一層好ましくは塩化物イオンである。
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
これらの第四級アンモニウム塩の中でも、規則的なメソ細孔を形成させる観点から、特に一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミドまたはアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。
これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。界面活性剤の種類を選択することにより、メソポーラスシリカ粒子の平均細孔径の大きさを適宜調整できる。
混合液における界面活性剤の含有量は、混合液を高圧乳化法により加圧して得られる乳濁液中の乳化滴の表面積等に応じて適宜調整すればよいが、メソポーラスシリカ粒子の収率および分散性を向上させ、粒子径分布の狭いメソポーラスシリカ粒子を得る観点から、0.1〜100ミリモル/Lであると好ましく、0.2〜80ミリモル/Lであるとより好ましく、0.5〜70ミリモル/Lであるとさらに好ましい。
[工程(I):乳化滴を含む乳濁液の調整]
本発明の塗料組成物の製造方法では、以上のようにして調整された混合液を高圧乳化法により加圧して、疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成する。
乳化滴の平均一次粒径は、平均一次粒子径が小さく、且つ、一次粒子径分布が狭いメソポーラスシリカ粒子を形成する観点から、好ましくは5〜150nmであり、より好ましくは10〜100nmであり、さらに好ましくは30〜60nmである。乳化滴の平均一次粒径が上記範囲内にあれば、その平均一次粒子径が可視光線の波長よりも短いメソポーラスシリカ粒子の形成、例えば、平均一次粒子径が10〜200nm、平均細孔径が1.0〜2.5nmのメソポーラスシリカ粒子の形成が容易に行える。故に、本発明の塗料組成物の製造方法の一例によって製造される塗料組成物は、例えば、低屈折率膜等の光学フィルムに使用される低屈折率材料として好適に使用できる。
尚、乳化滴の平均一次粒径は、本発明の塗料組成物の製造方法で得られるメソポーラスシリカ粒子の外殻部の内径から推察できる。具体的には、本発明の塗料組成物に含まれるメソポーラスシリカ粒子を乾燥させて細孔や外殻部より内側に充填された有機溶媒を除去したものを透過型電子顕微鏡で観察し、それぞれ20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子(100〜150個)の中空部径(外殻部の内径)を写真上で実測して、数平均値を算出することで乳化滴の平均一次粒径は得られる。
混合液の高圧乳化は、例えば、高圧乳化分散機の高圧分散部で行う。高圧分散部は、細い流路を備える。混合液が高圧分散部内に所定の圧力で押し込まれて上記流路を通過する際、混合液にせん断力等が加わることによって、混合液が、乳化滴を含む乳濁液となる。
上記流路の断面形状は、混合液を所定の圧力で加圧できれば特に制限はないが、例えば、円形である場合、その径は、例えば、好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは50〜100μmである。
使用できる高圧乳化分散機について特に制限はないが、取り扱い操作の簡便性の観点から、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製 M−110EHi)、スターバースト(スギノマシン社製)、ナノマイザー(吉田機械工業社製)等が好ましく挙げられる。
高圧分散部の形態としては、対抗衝突型、貫通型等のいずれであってもよい。対抗衝突型は、例えば、流路を途中で複数に分岐させ、再度合流する部分で各分岐路を流れる流体を衝突可能とする構造をしている。貫通型は、例えば、径が均一な複数の貫通孔が集積された構造をしている。
混合液を高圧乳化する際に、混合液に加わる圧力は、平均一次粒径が小さく、且つ、一次粒径分布が狭い乳化滴を形成する観点から、好ましくは20〜250MPaであり、より好ましくは30〜220MPaであり、さらに好ましくは40〜200MPaである。混合液に加わる圧力を調整することにより、平均一次粒径が所望の大きさを有し、且つ、一次粒径分布が狭い乳化滴を形成できる。上記圧力は、高圧乳化分散機が備える圧力表示部によって確認できる。
高圧乳化処理の処理回数は、上記圧力および希望する乳化滴の平均一次粒径等に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは1〜10回であり、より好ましく1〜5回である。
[工程(I):シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部の形成]
本発明の塗料組成物の製造方法では、以上のようにして調整された乳濁液にシリカ源を添加し、乳化滴表面に、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を形成して、外殻部と外殻部よりも内側に存在する疎水性有機化合物(乳化滴)とを含む複合シリカ粒子を析出させる。
シリカ源は、そのまま乳濁液に添加してもよいが、シリカ源を所定の溶媒に添加して得たシリカ源含有液を上記乳濁液に添加してもよい。当該溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、プロパノール、イソプロパノール等の水溶性有機溶剤が挙げられ、好ましくはメタノールが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、脱水処理されていると好ましい。
(シリカ源)
シリカ源としては、加水分解によりシラノール化合物を生成するものが好ましく、具体的には、下記一般式(3)〜(7)で示される化合物が挙げられる。
SiY4 (3)
3SiY3 (4)
3 2SiY2 (5)
3 3SiY (6)
3Si−R4−SiY3 (7)
(式中、R3はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R4は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
一般式(3)〜(7)において、より好ましくは、R3がそれぞれ独立して、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基であり、具体的には炭素数1〜22、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは炭素数8〜16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R4が炭素数1〜4のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基であり、Yが炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、またはフッ素を除くハロゲン基である。
シリカ源の好適例としては、次の化合物が挙げられる。
・一般式(3)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
・一般式(4)又は(5)において、R3がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるトリアルコキシシラン又はジアルコキシシラン。
・一般式(7)において、Yがメトキシ基であって、R4がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,1,1−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシランが特に好ましい。これらのシリカ源は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
シリカ源の乳濁液への添加は、全量を一度にしてもよいが、連続的にしてもよいし、断続的にしてもよい。生成する各粒子の凝集を防ぐためには、シリカ源の反応終了まで、乳濁液を撹拌し続けることが好ましく、シリカ源の添加終了後も、所定時間(例えば、10〜80℃で0.01〜24時間)撹拌し続けると好ましい。
シリカ源の乳濁液への添加速度は、反応系の容量や、シリカ源の種類、乳濁液中に添加されるシリカ源の濃度の上昇速度等を考慮して適宜調整することが望ましい。
シリカ源を添加している最中の乳濁液の温度は、乳化滴の安定性、混合液中の疎水性有機化合物および界面活性剤の濃度の変動を抑制する観点から、好ましくは10〜90℃であり、より好ましくは10〜80℃である。
シリカ源を添加している最中の乳濁液のpHは、シリカ源を効率的に加水分解・脱水縮合させる観点から、好ましくは8.5〜12.0、より好ましくは9.0〜11.5に調整されると好ましい。乳濁液のpHの調整には、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、またはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等を用いると好ましい。これらのpH調整剤は、界面活性剤と疎水性有機化合物と水系溶媒とを含む混合液の調整の際に、混合液に添加されると好ましい。混合液のpHは、好ましくは8.5〜12.0であり、より好ましくは9.0〜11.5であり、さらに好ましくは9.5〜11.5である。
シリカ源の添加量の制御により、メソポーラスシリカ粒子の外殻部の厚みを制御できる。シリカ源の添加量は、製造効率や得られる複合シリカ粒子の分散性の向上の観点から、乳濁液にシリカ源を添加して得た分散液中、SiO2重量換算濃度で、0.1〜10重量%であると好ましく、0.1〜2重量%であるとより好ましい。
[工程(II):界面活性剤の除去]
本発明の塗料組成物の製造方法では、上記のようにして得られた複合シリカ粒子含有分散液中の複合シリカ粒子とカチオン交換樹脂とを撹拌しながら接触させることにより、カチオン交換樹脂に界面活性剤を吸着させる。撹拌終了後、デカンテーションによりカチオン交換樹脂を除去することにより、メソポーラスシリカ粒子水分散液を得る。界面活性剤の除去に伴い、外殻部の内側の乳化滴(疎水性有機化合物)も除去されていると推察される。乳化滴の除去に伴い、メソポーラスシリカ粒子の外殻部の内側には細孔を通って水系溶媒が入ると推察される。尚、疎水性有機化合物の除去は、例えば、熱重量分析における疎水性有機化合物由来の吸熱ピークの消滅により確認できる。熱重量分析は、乾燥されたメソポーラスシリカ粒子に対して行われる。
カチオン交換樹脂としては、特に制限はなく、市販品を用いることができる。複合シリカ粒子含有分散液中の界面活性剤の除去効率を高める観点から、強酸性カチオン交換樹脂が好ましく、例えば、オルガノ株式会社製、アンバーライトIR120B(H+型)等を用いることができる。
複合シリカ粒子とカチオン交換樹脂との接触処理は、バッチ法、カラム法等常法により行うことができる。接触処理系内の処理温度や処理時間(撹拌時間)は、後述する中空メソポーラスシリカ粒子における有機分とSiO2の重量比(有機分の重量/SiO2の重量)が所望の値となるように適宜決定すればよいが、本発明の塗料組成物の製造容易性の観点から、処理温度は、10〜80℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましい。処理時間は、同様の観点から、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜10時間がより好ましく、2〜6時間が更に好ましい。
バッチ法におけるカチオン交換樹脂の使用量は、上記重量比(有機分の重量/SiO2の重量)が所望の値となるように適宜決定することができるが、本発明の塗料組成物の製造容易性の観点から、複合シリカ粒子含有分散液中の界面活性剤等の有機カチオン1当量に対して1〜20当量が好ましく、5〜15当量がより好ましい。
複合シリカ粒子含有分散液はカチオン交換樹脂に直接接触させて処理してもよい。しかし、界面活性剤除去による悪影響、即ち、複合シリカ粒子含有分散液中における複合シリカ粒子の凝集、沈殿、ゲル化等を抑制し、複合シリカ粒子を安定に分散させる観点から、カチオン交換樹脂との接触前に、複合シリカ粒子含有分散液と有機シランとを混合して、複合シリカ粒子表面に有機基を結合させると好ましい。
有機シランは、例えば、有機シラン含有酸性液を複合シリカ粒子含有分散液とを混合させることにより、複合シリカ粒子含有分散液に混合できる。有機シラン含有酸性液は、有機シラン以外に、例えば、水系溶媒とpH調整剤とを含む。
有機シランとしては、例えば、アルコキシシラン、ジシロキサン、クロルシラン等の有機基を有する加水分解性有機シランが好ましく、ジシロキサンがより好ましい。これらの有機シランは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ジシロキサンとしては、下記一般式(8)で表される化合物が好ましい。
5 3SiOSiR6 3 (8)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリル基、アリール基、又はアルコキシ基を示し、複数のR5及びR6は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(8)で表される化合物の中でも、炭素数1〜3のアルキル基を有するヘキサアルキルジシロキサンが好ましく、特に、ヘキサメチルジシロキサン〔(CH33SiOSi(CH33〕が好ましい。
有機シラン含有酸性液に含まれる水系溶媒としては、有機シランと複合シリカ粒子との反応性の向上の観点から、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒が好ましく、アルコール水溶液がより好ましく、メタノール水溶液、エタノール水溶液、2−プロパノール水溶液が更に好ましい。
有機シラン含有酸性液に含まれるpH調整剤としては、有機シランと複合シリカ粒子との反応性の向上、及び塗膜の屈折率及び反射率の低減の観点から、強酸が好ましく、無機酸がより好ましく、塩酸、硝酸が更に好ましい。
有機シラン含有酸性液を混合した複合シリカ粒子分散液のpHは、有機シランと複合シリカ粒子との反応性の向上観点から1.0〜7.0であると好ましく、1.5〜4.0であるとより好ましく、1.7〜3.0であるとさらに好ましい。
[工程(II):希釈―濃縮工程]
次に、カチオン交換樹脂による接触処理がなされた複合シリカ粒子含有分散液を有機溶媒で希釈した後、濃縮を行う。この希釈−濃縮工程を数回繰り返す。希釈−濃縮工程は、メソポーラスシリカ粒子の外殻部の内側や細孔内に充填された水系溶媒等を、上記有機溶媒へ置換するために行う。カチオン交換樹脂との接触処理で除去されずに残った界面活性剤及び/又は疎水性有機化合物がメソポーラスシリカ粒子の外殻部の内側や細孔内に存在している場合、希釈−濃縮工程を経ることにより、残留界面活性剤の量及び/又は残留疎水性有機化合物の量を低減できる。疎水性有機化合物が可溶な有機溶媒を用いれば、残留疎水性有機化合物の除去がより効果的に行える。
有機溶媒としては、本発明の塗料組成物に含まれ、加熱により容易に揮発させることができる前記[有機溶媒]が使用できる。
希釈倍率は、製造容易性の向上の観点から、1.5〜100倍が好ましく、2〜50倍がより好ましく、2〜10倍がさらに好ましい。濃縮倍率は、メソポーラスシリカ粒子含有分散液の保存安定性の観点から、1.5〜100倍が好ましく、2〜50倍倍がより好ましく、2〜10倍がさらに好ましい。希釈−濃縮工程の繰り返し回数は、水分量の低減及び製造容易性の観点から、1〜20回が好ましく、3〜10回がより好ましく、4〜8回がさらに好ましい。
得られたメソポーラスシリカ粒子を含む有機溶媒分散液における、メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量換算濃度は、塗料組成物の製造容易性及び分散液の保存安定性の観点から、1〜20重量%であると好ましく、2〜15重量%がより好ましく、5〜12重量%がさらに好ましい。
分散液中のメソポーラスシリカ粒子を乾燥することにより細孔内および外殻部の内側の有機溶媒等が除去され細孔内および外殻部の内側に空気が存在する中空メソポーラスシリカ粒子が得られる。中空メソポーラスシリカ粒子における有機分とSiO2の重量比(有機分の重量/SiO2の重量)は、塗膜の屈折率及び反射率の低減の観点から、0〜0.5であると好ましい。塗膜の屈折率及び反射率の低減と塗料組成物中におけるメソポーラスシリカ粒子の分散性との両立の観点、および、有機分が多いことによる膜強度の低下を抑制する観点から、重量比(有機分の重量/SiO2の重量)は、0.1〜0.4であるとより好ましく、0.2〜0.3であるとさらに好ましい。
以上のように、工程(II)においては、工程(I)で得られた複合シリカ粒子を含む分散液とカチオン交換樹脂とを接触させることにより複合シリカ粒子から界面活性剤を除去した後、前記分散液に対して有機溶媒による希釈および濃縮をこの順で行って、メソポーラスシリカ粒子を含む有機溶媒分散液を得る。
[工程(III)]
次に、得られたメソポーラスシリカ粒子を含む有機溶媒分散液と、マトリックス形成材と、必要に応じて有機溶媒とを混合すれば、本発明の塗料組成物を得られる。
以上のとおり、本発明の塗料組成物は、疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を高圧乳化法により加圧して、前記疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成した後、前記乳濁液にシリカ源を添加して、シリカを含みメソ細孔構造を有する外殻部と前記外殻部よりも内側に前記乳化滴が含まれた複合シリカ粒子を含む分散液を得、前記分散液とカチオン交換樹脂とを接触させ、次いで、前記分散液に対して有機溶媒による希釈および濃縮をこの順で行った後、前記分散液とマトリックス形成材とを混合することにより得られる。
上記の本発明の塗料組成物の製造方法の一例によれば、塗料組成物の製造過程で、メソポーラスシリカ粒子およびその前駆体(複合シリカ粒子)が液中から取り出されることがないので、メソポーラスシリカ粒子の分散性が良好な塗料組成物を提供できる。
次に、本発明の塗料組成物の製造方法の他の一例について説明する。
[混合液の調整]から[シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部の形成]までは、上記本発明の塗料組成物の製造方法の一例と同じであるが、本発明の塗料組成物の製造方法の他の一例では、界面活性剤と外殻部の内側の乳化滴(疎水性有機化合物)の除去(工程(II))を下記の通り行う。
複合シリカ粒子を分散媒から分離した後、複合シリカ粒子を乾燥させ、次いで、電気炉等を用いて焼成して、複合シリカ粒子内の界面活性剤および疎水性有機化合物を除去する。また、必要に応じて、分散媒から分離された複合シリカ粒子に対して、焼成前に、酸性液への接触、水洗、および乾燥かなる群から選ばれる少なくとも1つの処理を行ってもよい。複合シリカ粒子を酸性液に接触させると、複合シリカ粒子の細孔内の第四級アンモニウム塩等の界面活性剤を効率的に除去できる。
焼成温度は、界面活性剤および疎水性有機化合物を確実に除去するとともにメソ細孔構造の強度を向上させる観点から、好ましくは350〜800℃、より好ましくは450〜700℃であり、焼成時間は、好ましくは1〜10時間である。
分離方法としては、ろ過法、遠心分離法等が挙げられる。これらの方法で複合シリカ粒子を分離した後、焼成前に行われる乾燥処理において、乾燥機内の温度は、複合シリカ粒子に付着した有機物の炭化を抑制する観点から、好ましくは50〜150℃であり、より好ましくは80〜120℃である。
酸性液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;カチオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液等が挙げられるが、塩酸が特に好ましい。酸性液のpHは、好ましくは1.5〜5.0である。
次に、得られた中空メソポーラスシリカ粒子とマトリックス形成材と有機溶媒とを混合すれば、本発明の塗料組成物を得られる。
以上の本発明の塗料組成物の製造方法の他の一例では、複合シリカ粒子の焼成を行うので、メソポーラスシリカ粒子の強度が高く、有機分も焼成により除去されることから、より屈折率が低く且つ強度の高い塗膜を形成できる。
[塗膜の形成方法]
本発明の塗料組成物が塗布される支持体について、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリイミド、三酢酸セルロース、シクロオレフィンポリマー等の、従来公知の透光性フィルム等が用いられる。また、ガラス、石英、ITOなどの透明無機基板等も用いられる。
支持体の厚さは、特に制限はなく用途に応じて異なるが、通常50〜5000μmであると好ましい。
支持体の塗料組成物が塗布される表面には、コロナ、プラズマ処理等の表面処理が行なわれていてもよい。
塗料組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スイライドオート法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、フローコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
塗布速度に関しては、塗料組成物の塗布方法や塗料組成物の粘度等に応じて適宜選択すればよい。
支持体に塗料組成物が塗布されることにより形成された塗料層は、所定の乾燥温度で所定時間乾燥されることにより塗膜となる。塗料層中のメソポーラスシリカ粒子の細孔および外殻部の内側に充填された有機溶媒は揮発により除去され、メソポーラスシリカ粒子は中空メソポーラスシリカ粒子となり、マトリックス形成材はマトリックスになる。マトリックス形成材が、例えば、メチルシリケートオリゴマーである場合は、マトリックスはシリカ(SiO2)からなる。乾燥温度は、50〜200℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。乾燥時間は、1〜600分が好ましく、2〜10分がより好ましい。塗料組成物中のメソポーラスシリカ粒子に疎水性有機化合物が残留していている場合、疎水性有機化合物は、上記塗料層の乾燥過程で蒸発除去されるものと推察される。
次に、本発明の塗膜について説明する。
本発明の塗膜は、マトリックスと、マトリックス内に分散された中空メソポーラスシリカ粒子とを含む。中空メソポーラスシリカ粒子は、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と外殻部よりも内側に存在する中空部とを含む。中空メソポーラスシリカ粒子の平均一次粒子径は、10〜200nmである。
本発明の塗膜は、平均一次粒子径が10〜200nmのメソポーラスシリカ粒子含む本発明の塗料組成物を用いて形成されるので、その膜厚を、好ましくは10〜300nm、より好ましくは50〜200nm、さらに好ましくは70〜150nmとすることができる。故に、本発明の塗膜は、反射防止膜として好適である。
本発明の塗膜は、例えば、平均細孔径が1.0〜2.5nm、平均一次粒子径が10〜200nm、全空孔率が50〜80%の中空メソポーラスシリカ粒子含む。故に、塗膜中における中空メソポーラスシリカ粒子の含有量およびマトリックス形成材の種類等を選択することにより、本発明の塗膜は、下記の屈折率、最低反射率、全光線透過率、およびヘイズ値を呈することができる。
本発明の塗膜の屈折率は、塗膜の反射防止性能の向上の観点から、好ましくは1.10〜1.40、より好ましくは1.20〜1.36、さらに好ましくは1.22〜1.30である。「屈折率」の測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
本発明の塗膜の最低反射率は、塗膜の反射防止性能の向上の観点から、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%、さらに好ましくは0〜0.8%である。「最低反射率」の測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
本発明の塗膜の全光線透過率は、塗膜の反射防止性能の向上の観点から、好ましくは90〜100%、より好ましくは93〜100%、さらに好ましくは95〜100%である。「全光線透過」の測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
本発明の塗膜のヘイズ値は、塗膜の反射防止性能の向上の観点から、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜3%、さらに好ましくは0〜1%である。「ヘイズ値」の測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
以下、実施例により本発明を説明する。後述する実施例及び比較例において、中空メソポーラスシリカ粒子の各種測定及び評価は、以下の方法で行った。
(1)粉末X線回折(XRD)パターンの測定
粉末X線回折装置(理学電機工業株式会社製、商品名:RINT2500VPC)を用いて、粉末X線回折測定を行った。走査範囲を回折角(2θ)1〜20°、走査速度を4.0°/分とした連続スキャン法を用いた。
X線源:Cu-kα
管電圧:40mA
管電流:40kV
サンプリング幅:0.02°
発散スリット:1/2°
発散スリット縦:1.2mm
散乱スリット:1/2°
受光スリット:0.15mm
(2)平均一次粒子径、平均中空部径(外殻部の平均内径)及び平均外殻部厚みの測定
透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2100)を用いて加速電圧160kVで中空メソポーラスシリカ粒子の観察を行った。20〜30個の中空メソポーラスシリカ粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径、中空部径、及び外殻部厚みを写真上で実測し、数平均一次粒子径、数平均中空部径、及び数平均外殻部厚みを求めた。なお、中空メソポーラスシリカ粒子の観察は、高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(応研商事株式会社製、200−Aメッシュ)に試料を付着させ、余分な試料をブローで除去したものを用いて行った。
(3)BET比表面積、及び平均細孔径の測定
比表面積・細孔分布測定装置(株式会社島津製作所製、商品名:ASAP2020)を用いて、液体窒素を用いた多点法で、中空メソポーラスシリカ粒子のBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。BET比表面積の導出にはBJH法を採用し、そのピークトップを平均細孔径とした。外殻部の空孔率をt−plot法により算出した。試料には120℃で2時間加熱する前処理を施した。
(4)空孔率
上記(2)で求めた数平均一次粒子径、数平均中空部径から、中空メソポーラスシリカ粒子およびその中空部を各々球と仮定して、体積平均一次粒子径、体積平均中空部径を算出し、体積平均一次粒子径、体積平均中空部径から、中空メソポーラスシリカ粒子の中空部由来の空孔率を算出し、外殻部の空孔率と中空部の空孔率とから中空メソポーラスシリカ粒子の全空孔率を算出した。
(5)有機分の定量
中空メソポーラスシリカ粒子に含まれる有機分は、差動型示差熱天秤(TG−DTA)(理学電機工業株式会社製、商品名:Thermo Plus TG8120)を用い測定した。エアーフロー(300mL/min)下、25〜700℃まで10℃/minの速度で昇温し700℃で測定した重量残をSiO2の重量、200〜700℃までの加熱の間の減量を有機分の重量として測定し、これらの重量比(有機分の重量/SiO2の重量)を求めた。
<製造例1>
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(東京化成製)4gと、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(関東化学製)0.83gとを、水400gに溶解した水溶液に、ドデカン(関東化学製)1gを添加し攪拌して混合液(pH11.5)を得た。攪拌機には、ペンシルミキサーを用い、撹拌時間は5分とした。尚、混合液におけるドデシルトリメチルアンモニウムクロリドの濃度は、38ミリモル/Lであり、ドデカンの濃度は、15ミリモル/Lである。
得られた混合液を、流路径が75μmのY型チャンバー(マイクロフルイディクス社製)を装着した高圧乳化装置(商品名:マイクロフルイダイザー M-110EHi、マイクロフルイディクス社製)に供給し、混合液に150MPaの圧力をかけることにより、混合液に対して乳化処理を行った。
得られた乳濁液250gを20℃にし、乳濁液にシリカ源としてテトラメトキシシラン(東京化成製)1gを加えた後、これらをマグネティックスターラーで5時間攪拌させることにより複合シリカ粒子水分散液を得た。
水0.32g、濃塩酸(和光純薬製)0.46g、2−プロパノール(以下、IPA、和光純薬製)0.60g、ヘキサメチルジシロキサン(和光純薬製)0.40gを20℃で1時間攪拌して得たヘキサメチルジシロキサン含有液と、上記複合シリカ粒子水分散液200gとを20℃で24時間攪拌混合した(攪拌混合後、pH2.0)。
上記のヘキサメチルジシロキサン含有液と複合シリカ水分散液とを混合して得た混合液202gに、強酸性カチオン交換樹脂(アンバーライト120B(H)、オルガノ製)20gを添加し、これらを20℃で5時間攪拌した。攪拌停止後、デカンテーションによりカチオン交換樹脂を除去することにより、メソポーラスシリカ粒子水分散液を得た。
上記のメソポーラスシリカ粒子水分散液をIPAで2倍希釈した後、エバポレート(50℃)により2倍濃縮を行った。このIPA希釈−濃縮工程を7回繰り返すことにより、メソポーラスシリカ粒子IPA分散液(カールフィッシャー水分0.16wt%)を得た。このメソポーラスシリカ粒子IPA分散液を更にエバポレートで濃縮することにより、SiO2重量換算濃度8.7%のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液を得た。
上記のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液を100℃で1日乾燥して得た中空メソポーラスシリカ粒子についてXRD測定を行った結果、メソ細孔構造に由来するXRDピーク(面間隔d=4.3nm)が確認された。TEM観察より、平均一次粒子径が63nm、平均中空部径が47nm、平均外殻厚が8nmであり、外殻部がメソ細孔を有していることを確認した。BET比表面積は870m2/g、平均細孔径は2.2nmであった。TG−DTA分析の結果、中空メソポーラスシリカ粒子における重量比(有機分の重量/SiO2の重量)は、0.30であった。中空メソポーラスシリカ粒子の中空部の空孔率は62%、外殻部の空孔率は21%であり、全空孔率は、70%であった。
<製造例2>
製造例1において、ヘキサメチルジシロキサン含有液と複合シリカ水分散液との反応を行わなかったこと以外は、製造例1と同様にしてSiO2重量換算濃度10%のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液を得た。
上記メソポーラスシリカ粒子IPA分散液を100℃で1日乾燥して得た中空メソポーラスシリカ粒子についてXRD測定を行った結果、メソ細孔構造に由来するXRDピーク(面間隔d=4.4nm)が確認された。TEM観察より、平均一次粒子径50nm、平均中空部径37nm、平均外殻厚6nmであり、外殻部がメソ細孔を有していることを確認した。BET比表面積は850m2/g、平均細孔径が2.1nmであった。TG−DTA分析の結果、中空メソポーラスシリカ粒子における重量比(有機分の重量/SiO2の重量)は、0.20であった。中空メソポーラスシリカ粒子の中空部の空孔率は49%、外殻部の空孔率は27%であり、全空孔率は、63%であった。
<実施例1>
マトリックス形成材としてメチルシリケートオリゴマー(商品名:MS−51、多摩化学製)33.5重量部、IPA430重量部、0.1N硝酸水溶液50重量部からなる混合液を20℃で24時間攪拌した。この混合液に製造例1のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液(SiO2重量換算濃度8.7%)を128重量部混合後、更にIPAで希釈して、全固形分濃度が1重量%、重量比(メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量/マトリックス形成材の固形分重量(SiO2重量))が40/60で、メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量換算濃度が0.4重量%、マトリックス形成材の固形分濃度0.6重量%の塗料組成物を得た。
上記塗料組成物を、アセトン洗浄したスライドガラス基板(商品名:S−1111、屈折率1.52、マツナミ製)およびシリコン基板(ニラコ製)に各々スピンコーター(エイブル製)を用いてスピンコート(1000rpm、30秒)した後、120℃で5分乾燥させることにより、シリカマトリックスに中空メソポーラスシリカ粒子が分散した塗膜を作製した。
<実施例2>
製造例1のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液の代わりに製造例2のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして塗料組成物、および塗膜を作製した。
<実施例3>
製造例1のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液の代わりに製造例2のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液を用い、重量比(メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量/マトリックス形成材の固形分重量(SiO2重量))を30/70、メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量換算濃度を0.3重量%、マトリックス形成材の固形分濃度を0.7重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、および塗膜を作製した。
<実施例4>
製造例1のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液の代わりに製造例2のメソポーラスシリカ粒子IPA分散液を用い、重量比(メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量/マトリックス形成材の固形分重量(SiO2重量))を20/80、メソポーラスシリカ粒子のSiO2重量換算濃度を0.2重量%、マトリックス形成材の固形分濃度を0.8重量%としたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物、塗膜を作製した。
<比較例1>
メソポーラスシリカ粒子IPA分散液の代わりに市販シリカ(メタノールシリカゾル、日産化学製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物、塗膜を作製した。
上記市販シリカを100℃で1日乾燥して得たシリカ粉末が、TEM観察より、平均一次粒子径20nmの球状粒子であることを確認した。シリカ粉末のBET比表面積は250m2/g、平均細孔径は4.4nmであり、ブロードな細孔径分布を有していた。シリカ粉末の全空孔率は、25%であった。
<比較例2>
メソポーラスシリカ粒子IPA分散液を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物、塗膜を作製した。
<塗膜の評価方法>
(全光線透過率、ヘイズ値)
JIS K−7105に規定される積分球式光線透過率測定装置(商品名:HR−150、村上色材研究所製)を用いて、全光線透過率及びヘイズ値を測定した。
(最小反射率)
分光光度計(商品名:U−3300、日立製作所製)を用い、スライドガラス裏面に黒布をあてた状態で、入射角8°で380〜780nmの波長領域の反射スペクトルを測定した。塗膜の無いスライドガラスに黒布をあてたものをブランクとして補正することにより、塗膜の最小反射率を求めた。
(屈折率、膜厚)
自動エリプソメーター(商品名:DHA−XA/S6、溝尻光学工業所製)を用い、He−Neレーザー(波長632.8nm)を光源とし、入射角70°で塗膜の屈折率、膜厚を測定した。シリコン基板の屈折率3.8750、吸収係数0.023、入射媒質(空気)の屈折率1、吸収係数0、塗膜の吸収係数0として、塗膜の屈折率、膜厚を算出した。
上記表1に示されるように、製造例1又は2のメソポーラスシリカ粒子を含有する実施例1〜4の塗膜は、比較例1または2の塗膜よりも、屈折率及び反射率が低い。
Figure 2011157506
以上説明したとおり、本発明は、反射防止膜用の塗料組成物、塗膜として有用である。

Claims (8)

  1. マトリックス形成材と、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を含み平均一次粒子径が10〜200nmのメソポーラスシリカ粒子とを含む、塗料組成物。
  2. 前記メソポーラスシリカ粒子の前記外殻部における平均細孔径が1.0〜2.5nmである、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載の塗料組成物を用いて作製された塗膜。
  4. マトリックスと、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と前記外殻部よりも内側に存在する中空部とを含み平均一次粒子径が10〜200nmの中空メソポーラスシリカ粒子とを含む、塗膜。
  5. 膜厚が10〜300nmである、請求項3または4に記載の塗膜。
  6. 請求項3〜5いずれかに記載の塗膜を含む反射防止膜。
  7. 請求項1または2に記載の塗料組成物の製造方法であって、
    疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を高圧乳化法により加圧して、前記疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成した後、前記乳濁液にシリカ源を添加して、シリカを含みメソ細孔構造を有する外殻部と前記外殻部よりも内側に前記乳化滴が含まれた複合シリカ粒子を形成する工程(I)と、
    前記複合シリカ粒子から、前記界面活性剤および前記乳化滴を除去する工程(II)と、
    を含む、塗料組成物の製造方法。
  8. 前記工程(II)において、
    工程(I)で得られた前記複合シリカ粒子を含む分散液とカチオン交換樹脂とを接触させることにより前記複合シリカ粒子から前記界面活性剤を除去した後、前記分散液に対して有機溶媒による希釈および濃縮をこの順で行って、メソポーラスシリカ粒子を含む有機溶媒分散液を得る、請求項7に記載の塗料組成物の製造方法。
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