本発明は、静電容量結合方式のタッチパネル機能を有し表示面への接触(タッチ)を検出可能であるとともに映像を表示可能な表示装置に用いられる基板、および、静電容量結合方式のタッチパネル機能を有し表示面への接触(タッチ)を検出可能であるとともに映像を表示可能な表示装置に関する。
現在、液晶パネル等の表示パネルを有する表示装置が組み込まれた種々の装置、例えば、券売機、ATM装置、形態電話、ゲーム機等に対する入力手段として、タッチパネルが広く用いられている。タッチパネルは、通常、表示パネルとは別個に製造され、表示パネル上に重ねて配置されている(例えば、特許文献1)。
タッチパネルにおいて表示面への接触物(指やペン等)の接触位置を検出する方式として、種々の方式が採用されている。広く用いられている方式として、二枚の導電膜を離間して配置してなる抵抗膜方式がある。抵抗膜方式のタッチパネルにおいては、接触物の接触により二枚の導電膜が部分的に導通することによって、表示面への接触位置を検出することが可能となっている。
特開2006−23904号公報
ところが、タッチパネルを表示パネル上に配置した場合、最観察者側の表面(この場合、タッチパネルの表面)だけでなく、タッチパネルと表示パネルとの界面においても、光が反射し得るようになる。この結果、照明光のような環境光(外光)がより多く反射してコントラストが低下してしまうとともに、表示パネルで表示される映像光の透過率が低下してしまう。
とりわけ、抵抗膜方式のタッチパネルにおいては、二枚の導電膜間においても光の反射が生じる。このため、コントラストの低下および映像光の透過率の低下が顕著となる。これに対し、特許文献1に開示されている静電容量結合方式のタッチパネルは、一枚の導電膜で接触位置を検出し得るように構成されている。したがって、静電容量結合方式のタッチパネルは、抵抗膜方式のタッチパネルと比較して、優れた画質で映像を表示することができる。ただし、この静電容量結合方式のタッチパネルを貼合された表示装置に対しても、現状において、映像光の透過率およびコントラストが十分とは評価されておらず、さらなる改善が求められている。
また、昨今においては表示装置として薄型の表示パネルを有したフラットパネルディスプレイが広く普及している。しかしながら、表示パネル上に別個のタッチパネルを重ねることによって、表示用のパネル全体としての厚みが厚くなってしまう、といった不具合も生じる。
さらに、現状のタッチパネルに対する種々の性能等について、例えば、入力に対する感度、表示パネルの厚さ、製造コスト等についても改善が求められている。
本発明は、このような観点からなされたものであり、静電容量結合方式のタッチパネル機能を有し表示面への接触物の接触位置を検出可能であるとともに映像を表示可能な表示装置に用いられる有用な基板、および、静電容量結合方式のタッチパネル機能を有し表示面への接触物の接触位置を検出可能であるとともに映像を表示可能な有用な表示装置を提供することを目的としている。
本発明によるカラーフィルタは、静電容量結合方式のタッチパネル機能を有し表示面への接触を検出可能な表示装置に用いられるカラーフィルタであって、基材と、前記基材の一方の側に設けられ、複数の着色部を有するカラーフィルタ層と、前記基材の他方の側に設けられ、前記表示装置に組み込まれた際に前記接触を検出するための回路に電気的に接続されるように構成された電極部と、前記電極部と前記カラーフィルタ層との間に、前記電極部から絶縁されるようにして配置されたシールド層と、を備え、前記シールド層は、導電性を有するとともに、前記表示装置に組み込まれた際に接地されるように構成されていることを特徴とする。
本発明によるカラーフィルタにおいて、前記電極部は、前記基材の他方の側に設けられた第1電極部と、前記第1電極部と前記シールド層との間に配置された第2電極部と、を有し、前記第1電極部と前記第2電極部との間に、前記第1電極部と前記第2電極部とを互いから絶縁するフィルムが設けられ、前記第1電極部は、一方向に並べて配置された複数の導電体であって、各々が前記一方向と交差する方向に延びている、複数の導電体を含み、前記第2電極部は、前記一方向とは異なる他方向に並べて配置された複数の導電体であって、各々が前記他方向と交差する方向に延びている、複数の導電体を含むようにしてもよい。このような本発明によるカラーフィルタにおいて、前記フィルムは、前記光学等方性であることが好ましい。また、このような本発明によるカラーフィルタにおいて、前記一方向は前記他方向と直交するようにしてもよい。
また、本発明によるカラーフィルタにおいて、前記電極部は、面状の透明導電体、格子状の金属または縞状の金属からなっていてもよい。
さらに、本発明によるカラーフィルタにおいて、前記シールド層は、面状の透明導電体または格子状の金属からなっていてもよい。
さらに、本発明によるカラーフィルタが、前記カラーフィルタ層の前記基材とは反対の側に配置された透明電極層を、さらに備え、前記透明電極層は、前記表示装置に組み込まれた際に各画素の表示(光の透過)を制御するための電極として機能するように構成され、前記シールド層は、前記透明電極層から絶縁されるようにして前記透明電極層と前記電極部との間に配置されていてもよい。
さらに、本発明による表示装置は、上述したいずれかのカラーフィルタを備えることを特徴とする。
本発明による表示装置が、前記カラーフィルタに対向して配置された基板と、前記カラーフィルタと前記基板との間に配置された液晶層と、をさらに備えてもよい。
本発明による表示装置用電極付フィルムは、フィルムと、前記フィルムの一方の面上に支持され、所定のパターンを有する第1電極部と、前記フィルムの他方の面上に支持され、所定のパターンを有する第2電極部と、を備え、前記第1電極部と前記第2電極部とは、前記フィルムによって絶縁されていることを特徴とする。
本発明による表示装置用電極付フィルムにおいて、前記フィルムは、光学等方性であることが好ましい。
また、本発明による表示装置用電極付フィルムにおいて、前記第1電極部は、一方向に並べて配置された複数の導電体であって、各々が前記一方向と交差する方向に延びている、複数の導電体を含み、前記第2電極部は、前記一方向とは異なる他方向に並べて配置された複数の導電体であって、各々が前記他方向と交差する方向に延びている、複数の導電体を含むようにしてもよい。このような本発明による表示装置用電極付フィルムにおいて、前記一方向は前記他方向と直交していてもよい。
本発明による電極付フィルムの製造方法は、上述したいずれかの本発明による電極付フィルムを製造する方法であって、フィルムと、前記フィルムの一方の面上に成膜された第1導電性膜と、前記第1導電性膜上に成膜された第1感光性膜と、前記フィルムの他方の面上に成膜された第2導電性膜と、前記第2導電性膜上に成膜された第2感光性膜と、を有する積層体を準備する工程と、前記第1感光性膜上に第1マスクを配置するとともに前記第2感光性膜上に第2マスクを配置した状態で前記第1感光性膜および前記第2感光性膜を同時にパターン露光して、前記第1感光性膜および前記第2感光性膜をパターニングする工程と、前記第1感光性膜および前記第2感光性膜がパターニングされた積層体をエッチングし、前記第1導電性膜をパターニングして前記第1電極部を形成するとともに、前記第2導電性膜をパターニングして前記第2電極部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によるカラーフィルタの製造方法は、上述したいずれかの本発明によるカラーフィルタを製造する方法であって、フィルムと、前記フィルムの一方の面上に支持され、所定のパターンを有する第1電極部と、前記フィルムの他方の面上に支持され、所定のパターンを有する第2電極部と、を有し、前記第1電極部と前記第2電極部とが前記フィルムによって絶縁されている、電極付フィルムを準備する工程と、前記基材と、前記基材に支持された前記シールド層および前記カラーフィルタ層と、を有する積層体を準備する工程と、前記電極付フィルムと前記積層体とを接着層を介して接着する工程と、を備えることを特徴とする。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、なお、本件において、「シート」、「フィルム」、「板」、「膜」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルム、板や膜等とも呼ばれ得るような部材や部分も含む概念である。
図1乃至図5は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は表示装置の構成を概略的に示す図であり、図2は表示面の法線方向に沿った断面において表示装置の表示パネルを示す図であり、図3は図2のIII−III線に沿った断面図であり、図4は表示パネルのカラーフィルタを示す上面図である。
図1乃至図4に示された表示装置10は、静電容量結合方式のタッチパネル機能を有し表示面への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置を検出可能であるとともに映像を表示可能な装置として、構成されている。つまり、表示装置10は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置として機能するとともに、表示面12へ接触(タッチ)することにより情報を入力する入力装置としても機能する。
ここで、「静電容量結合」方式との用語は、タッチパネルの技術分野で用いられる際の意味と同様の意味を有するものとして、本件においても用いている。なお、「静電容量結合」方式は、タッチパネルの技術分野において「静電容量」方式や「容量結合」方式等とも呼ばれており、本件では、これらの「静電容量」方式や「容量結合」方式等と同義の用語として取り扱う。典型的な静電容量結合方式のタッチパネルは導電体層を含んでおり、外部の導体(典型的には人間の指)がタッチパネルに接触することにより、外部の導体とタッチパネルの導電体層との間でコンデンサ(静電容量)が形成されるようになる。そして、このコンデンサの形成にともなった電気的な状態の変化に基づき、タッチパネル上において外部導体が接触している位置の位置座標が特定されるようになる。
図1乃至図5に示すように、本実施の形態における表示装置10は、液晶表示パネル(LCDパネル、液晶パネル)として構成された表示パネル40を有している。すなわち、以下の実施の形態においては、本発明を液晶表示装置(液晶ディスプレイ)に適用した例について説明する。
図1に示すように、表示装置10は、表示パネル40と、表示パネル40に接続され表示パネル40の駆動を制御する制御部20と、液晶パネルとしての表示パネル40を背面側(非観察者側)から照明する面光源装置(バックライト)30と、を有している。本実施の形態においては、液晶パネルとして形成された表示パネル40が面光源装置30からの面状光を選択的に透過させることにより、映像を表示面12に表示することができるようになっている。また、表示パネル40の表示面12が、タッチパネルの入力面(タッチ面、接触面)として機能するようになる。つまり、表示面12に導体、例えば人間の指を接触させることにより、表示装置10に対して外部から情報を入力することができるようになっている。
面光源装置30としては、例えば、エッジライト型や直下型等の面光源装置を適宜用いることができる。
制御部20は、表示されるべき映像に関する情報を処理する映像情報処理部22と、表示面12を介して入力される情報を処理する入力情報処理部24と、を有している。映像情報処理部22は、表示パネル40に接続され、映像情報に基づいて表示パネル40を駆動する。すなわち、映像情報処理部22は、映像情報に基づいて、各画素の表示状態を制御するように構成された回路(駆動回路)を含んでいる。
一方、入力情報処理部24は、表示パネル40に接続され、表示面12を介して入力された情報を処理する。具体的には、入力情報処理部24は、表示面12へ導体(典型的には、人間の指)が接触している際に、表示面12への導体の接触位置を特定し得るように構成された回路(検出回路)を含んでいる。また、入力情報処理部24は、映像情報処理部22と接続され、処理した入力情報を映像情報処理部22へ送信することもできる。この際、映像情報処理部22は、入力情報に基づいた映像情報を作成し、入力情報に対応した映像を表示面12に表示させるようにすることもできる。
このような制御部20の映像情報処理部22および入力情報処理部24については、回路構成も含め、従来の映像表示装置で用いられている映像情報処理部22や、従来のタッチパネル装置で用いられている入力情報処理部24と同様に構成することができ、ここでは、これ以上の詳細な説明を省略する。なお、一例として、上述した特許文献1(特開2006−23904号公報)に、入力情報処理部24に含まれる回路の一例が開示されている。
次に、表示パネル40について詳述する。なお、表示パネル40は、表示装置10が映像を表示することを可能とするための構成と、表示装置10がタッチパネルとして機能することを可能にするための構成と、を含んでいる。このうち、まず、表示パネル40の主に映像表示装置として機能するための構成について説明し、その後、表示パネル40の主にタッチパネルとして機能するための構成について説明する。
図1に示すように、表示パネル40は、映像を表示することができる表示領域A1と、表示領域A1を取り囲むようにして表示領域A1の外側に配置された非表示領域A2と、を含んでいる。表示領域A1は、画素領域A11と、画素領域A11の外側の領域である非画素領域A12と、からなっている(図4参照)。ここで画素領域A11とは、映像光が透過可能であるとともに画像を構成する最小要素となる画素が位置している(占めている)領域のことである。
本実施の形態において、画素領域A11は一つの画素を構成するようになる単位画素(絵素)UPを複数有し、各単位画素UPは三つのサブ画素SPから構成されている。三つのサブ画素SPはそれぞれ異なる色を選択的に透過させるようになっている。すなわち、三つのサブ画素SPから、それぞれ、互いに異なる波長域帯の光が透過する。具体的には、三つのサブ画素SPは、それぞれ、赤色光、緑色光および青色光を選択的に透過させるように構成され、これにより、表示面12にカラー映像を表示することができるようになっている。
図2に示すように、液晶パネルとしての表示パネル40は、第1の基板(以下において、カラーフィルタ(カラーフィルタ基板)または対向基板とも呼ぶ)50と、第1基板50に対面して第1基板50の背面側(面光源装置側)に配置された第2基板(以下において、素子基板、アレイ基板とも呼ぶ)80と、第1基板50および第2基板80の間に封入された液晶層45と、を有している。
図2に示すように、第1基板50は、透明な板状の第1の基材52と、第1基材52の一方の側(図2における上側)に形成されたカラーフィルタ層54と、を有している。第1の基材52は、例えば、樹脂製の板材や板ガラスから構成される。図2および図4に示すように、カラーフィルタ層54は、遮光作用を有し非画素領域を形成する遮光部55を有している。遮光部55は、各々がサブ画素SPを構成するようになる貫通開口を形成されている。この遮光部55は、いわゆるブラックマトリクスとして機能し、コントラストの向上に寄与し得る。また、本実施の形態において、各サブ画素SPを構成する貫通開口には、当該サブ画素SPの表示色に着色された着色層56(56R,56G,56B)が形成されている。なお、遮光部55および着色層56の詳細な構成や作製方法等については、種々の公知文献(例えば、特開2005−331937)に開示されており、ここでは、詳細な説明を省略する。
さらに、第1基板50には、液晶パネルの観察者側の基板(カラーフィルタ基板)として有効に機能するため、その他の構成要素が適宜設けられている。例えば、第1基板50の液晶層45に対面する側には、透明電極層58(図2参照)および配向膜(図示せず)等が設けられ、さらに、第1基材52の液晶層45とは反対の側には、偏光板59等が設けられる。このうち、透明電極層58は、各画素の表示を制御するための電極として機能するように構成されている。このような構成は、種々の公知文献(例えば、特開2007−248816)に開示されており、ここでは、詳細な説明を省略する。
一方、図2に示すように、第2基板80は、透明な第2の基材82と、基材82上の画素領域A11にそれぞれ配置された画素電極84と、を有している。また、画素電極84に対する印可を制御するスイッチング素子86が、画素電極84(サブ画素SP)毎に別個に設けられている。スイッチング素子86は、例えば低温ポリシリコン技術を用い、薄膜トランジスタ(TFT)として形成され得る。このスイッチング素子86は、上述した制御部20の映像情報処理部22に電気的に接続され、映像情報処理部22の各画素の表示を制御するための駆動回路からの信号に基づいて動作する。第2基板84上には、スイッチング素子86の駆動に必要となる、走査線や信号線(データ線)等の種々の回路配線(図示せず)が形成されている。なお、スイッチング素子86およびスイッチング素子86にともなう回路配線等の詳細な構成や作製方法、動作方法等については、種々の公知文献(例えば、特開2007−316243や特開2007−248816)に開示されており、ここでは、詳細な説明を省略する。
さらに、第2基板80には、液晶パネルの面光源装置側の基板(素子基板、アレイ基板)として有効に機能するため、その他の構成要素が適宜設けられている。例えば、第2基板80の液晶層45に対面する側には、第2基材82上の素子86等を保護するための保護層88や、配向膜(図示せず)等が設けられ、さらに、第2基板80の液晶層45とは反対の側には、偏光板(図示せず)等が設けられる。このような構成は、種々の公知文献(例えば、特開2007−248816)に開示されており、ここでは、詳細な説明を省略する。
以上が、表示パネル40の主に映像表示装置として機能するための構成である。次に、表示パネル40の主にタッチパネルとして機能するための構成について説明する。
図2に示すように、第1基材52の他方の側には、導電性を有した第1電極部(第1電極層)60および第2電極部(第2電極層)70が形成されている。すなわち、第1電極部60および第2電極部70と、カラーフィルタ層54と、が第1基材52を挟んで配置され、第1基材52の一方の側(面光源装置30の側、図2における上側)にカラーフィルタ層54が形成され、第1基材52の他方の側(観察者の側、図2における下側)に電極部60,70が形成されている。
また、第1電極部60と第2電極部70との間には、光学等方性のフィルム67が設けられている。なお、本件明細書で用いる「光学等方性」とは、光学異方性を持たない性質、言い換えると、複屈折性を有さない性質を意味している。そして、光学等方性フィルム67は、光学等方性として知られている種々の既知なフィルム、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)製フィルムや、COPフィルム(環状オレフィンポリマー)から構成され得る。また、この光学等方性フィルム67は絶縁性のフィルムであり、表示領域A1の全域に亘って延び広がっている。この結果、第1電極部60および第2電極部70は、光学等方性フィルム67を介して、互いから絶縁されている。
第1電極部60および第2電極部70は、導電性を有した材料(例えば、ITO)から形成され、外部導体の表示面12への接触位置を検出するように構成された入力情報処理部24の検出回路に電気的に接続されている。図2に示すように、第2電極部70は、第1電極部60よりも第1基材52の側に配置されている。言い換えると、第2電極部70は、第1電極部60よりもカラーフィルタ層54の側(面光源装置30の側)に配置されている。
図2のIII−III線に沿った断面を示す図3に示されているように、第1電極部60は、第1基板50の板面に沿った一方向に並べて配列された複数の線状導電体61からなっている。また、第2電極部70は、前記一方向と交差する第1基板50の板面に沿った他方向に並べて配列された複数の線状導電体71からなっている。本実施の形態において、第1電極部60の線状導電体61の配列方向である一方向と、第2電極部70の線状導電体71の配列方向である他方向と、は直交している。
図3に示すように、第1電極部60に含まれる線状導電体61は、その配列方向(前記一方向)と交差する方向に線状に延びている。同様に、第2電極部70に含まれる線状導電体71は、その配列方向(前記他方向)と交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示する例において、第1電極部60に含まれる線状導電体61は、その配列方向(前記一方向)と直交する方向(前記他方向)に沿って直線状に延びており、第2電極部70に含まれる線状導電体71は、その配列方向(前記他方向)と直交する方向(前記一方向)に沿って直線状に延びている。
本実施の形態において、第1電極部60に含まれる線状導電体61は、直線状に延びるライン部61aと、ライン部61aから膨出した膨出部61bと、を有している。図示する例において、ライン部61aは、線状導電体61の配列方向と交差する方向に沿って直線状に延びている。膨出部61bは、第1基板50の板面に沿ってライン部61aから膨らみ出ている部分である。したがって、線状導電体61の幅は、膨出部61bが設けられている部分において太くなっている。図3に示すように、本実施の形態において、線状導電体61は、膨出部61bにおいて平面視略円形状の外輪郭を有するようになっている。
第2電極部70に含まれる線状導電体71も、第1電極部60に含まれる線状導電体61と同様に構成されている。すなわち、第2電極部70に含まれる線状導電体71は、直線状に延びるライン部71aと、ライン部71aから膨出した膨出部71bと、を有している。図示する例において、ライン部71aは、線状導電体71の配列方向と交差する方向に沿って直線状に延びている。膨出部71bは、第1基板50の板面に沿ってライン部71aから膨らみ出ている部分である。したがって、線状導電体71の幅は、膨出部71bが設けられている部分において太くなっている。図3に示すように、本実施の形態において、線状導電体71は、膨出部71bにおいて平面視略円形状の外輪郭を有するようになっている。
なお、図3に示すように、第1基板50の板面の法線方向から観察した場合、第1電極部60に含まれる各線状導電体61は、第2電極部70に含まれる多数の線状導電体71と交差している。そして、図3に示すように、第1電極部60の膨出部61bは、線状導電体61上において、隣り合う二つの線状導電体71との交差点の間に配置されている。同様に、第1基板50の板面の法線方向から観察した場合、第2電極部70に含まれる各線状導電体71は、第1電極部60に含まれる多数の線状導電体61と交差している。そして、第2電極部70の膨出部71bも、線状導電体71上において、隣り合う二つの線状導電体61との交差点の間に配置されている。さらに、本実施の形態において、第1電極部60に含まれる線状導電体61の膨出部61bと、第2電極部70に含まれる線状導電体71の膨出部71bとは、第1基板50の板面の法線方向から観察した場合に重ならないように配置されている。
後述するように、カラーフィルタ50の製造過程において、第1電極部60および第2電極部70は光学等方性フィルム67とともに、電極付フィルム90を形成し得る。すなわち、電極付フィルム90は、光学等方性のフィルム67と、光学等方性フィルム67の一方の面67a上に支持され、所定のパターンを有する第1電極部60と、光学等方性フィルム67の他方の面上に支持され、所定のパターンを有する第2電極部70と、を有している。そして、この電極付フィルム90を、絶縁性の接着剤からなる接着層69を介して、第1基材52と接合させることにより、第1電極部60および第2電極部70が第1基材52の他方の側に支持されるようになっている。なお、このような接着層69として、種々の接着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、本願明細書において、「接着層」は、粘着剤からなる粘着層をも含む概念として用いる。
さらに、図3に示すように、第1基材52の他方の側の表面に、導電性を有した外部取り出し線63が形成されている。外部取り出し線63は、導電部60,70の各線状導電体61,71のそれぞれに対して二つ設けられている。外部取り出し線63は、導電性を有した材料から形成されている。そして、各線状導電体61,71の両端に、対応する外部取り出し線63の一端がそれぞれ電気的に接続されている(図3参照)。また、各外部取り出し線63は、その他端において、外部導体の表示面12への接触位置を検出するように構成された入力情報処理部24の検出回路に電気的に接続されている。つまり、電極部60,70の線状導電体61,71は、外部取り出し線63を介して、接触位置を検出する検出回路に電気的に接続されている。
ところで、図2に示すように、表示パネル40は、導電性を有したシールド層75をさらに有している。シールド層75は、第1電極部60および第2電極部70と、カラーフィルタ層54および透明電極層58と、の間に配置されている。このシールド層75は、本実施の形態において、導電性と可視光透過性とを有する膜状の層として構成され、接地されている。膜状の層としてのシールド層75は、表示領域A1の全域に亘って延び広がっている。このようなシールド層75は、例えば、上述した透明電極層58や電極部60と同様に、導電性を有した材料、例えばITO(酸化インジウムスズ)等の導電性を有した透明な材料を、スパッタリング等によって成膜することにより形成され得る。
本実施の形態において、シールド層75は、第1基材52の一方の側(面光源装置30の側)の表面に形成されている。すなわち、シールド層75は、第1基材52に関して、カラーフィルタ層54と同じ側に配置されるとともに、第1電極部60および第2電極部70とは異なる側に配置されている。したがって、シールド層75は、第1基材52を介して第1電極部60および第2電極部70から離間して配置され、第1電極部60および第2電極部70から絶縁されている。さらに、図2に示すように、シールド層75およびカラーフィルタ層54と、透明電極層58と、の間には、透明な材料からなる絶縁層(絶縁膜)79が形成されている。絶縁層79は、膜状の層であり、表示領域A1の全域に亘って延び広がっている。この結果、シールド層75およびカラーフィルタ層54は、透明電極層58から離間して絶縁されている。
次に、以上のような構成からなる第1の基板を製造する方法について説明する。なお、ここでは、第1基板の製造方法の一例として、第1基材52並びに第1基材52に支持されたシールド層75およびカラーフィルタ層54を有する積層体と、光学等方性フィルム67並びに光学等方性フィルム67上に形成された第1電極部60および第2電極部70を有する電極付フィルム90と、を接着層69を用いて接着することによって、カラーフィルタ50を製造する方法について説明する。
最初に、第1基材52、シールド層75およびカラーフィルタ層54を有する積層体を準備する工程について説明する。
まず、第1基材52をなすようになる透明な基材を準備する。透明な基材として代表的には板ガラスが用いられるが、これに限られず、樹脂板が第1基材52を構成するための透明基材として用いられてもよい。
次に、シールド層75を第2絶縁層77上に形成する。一例として、スパッタリングよりシールド層75をなすようになる材料を第1基材52上に成膜することによってシールド層75を形成することができる。なお、シールド層75をなすようになる材料としては、例えばITO(酸化インジウムスズ)等の種々の透光性および導電性を有した材料を用いることができる。
その後、カラーフィルタ層54をシールド層75上に形成する。具体的な一例として、まず、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチングによって、マトリクス状の遮光部55をシールド層75上に形成することができる。その後、フォトリソグラフィ技術を用いたパターニングによって、あるいは、インクジェット印刷によって、各着色部56R,56G,56Bを形成することができる。
次に、カラーフィルタ層54を覆うようにして、上述した絶縁層79を形成する。具体的には、カラーフィルタ層54を覆うようにして市販されている透明な絶縁フィルムを第1基材50上にラミネートすることによって絶縁層79を形成してもよいし、あるいは、カラーフィルタ層54を覆うようにして絶縁層79をなすようになる塗工液を第1基材50上にコーティングすることによって絶縁層79を形成してもよい。なお、絶縁層79をなすようになる材料としては、例えばUV硬化型アクリル樹脂等の種々の透明絶縁性材料を用いることができる。
その後、透明電極層58を絶縁層79上に形成する。一例として、スパッタリングより透明電極層58をなすようになる材料を絶縁層79上に成膜することによって透明電極層58を形成することができる。なお、透明電極層58をなすようになる材料としては、例えばITO(酸化インジウムスズ)等の種々の透光性および導電性を有した材料を用いることができる。
また、図2に図示されていない配向膜等を形成することにより、最終的に、第1基材52と、第1基材52の一方の側に形成されたシールド層75およびカラーフィルタ層54等と、を有する積層体が得られる。なお、シールド層75は、例えば基材52上に形成された端子を介し、接地されるようになる。
次に、電極付フィルム90を準備する工程について、主に図5を参照しながら説明する。
まず、図5(a)に示すように、光学等方性フィルム67と、光学等方性のフィルム67上に積層された第1導電性膜62および第2導電性膜72と、第1導電性膜62および第2導電性膜72上に積層された第1感光性膜94aおよび第2観光成膜94bと、を有する積層体92を準備する。具体的には、まず、光学等方性フィルム67をなすようになる透明で絶縁性のフィルムを準備する。このようなフィルム67として、代表的には、TACフィルムやCOPフィルムを用いることができる。
次に、光学等方性フィルム67の一方の面67a上に第1導電性膜62を形成し、光学等方性フィルム67の他方の面67b上に第2導電性膜72を形成する。一例として、第1電極部60および第2電極部70をなすようになる材料をスパッタリングより光学等方性フィルム67上に成膜することによって第1導電性膜62および第2導電性膜72を形成することができる。なお、第1導電性膜62および第2導電性膜72をなすようになる材料としては、例えばITO(酸化インジウムスズ)等の種々の透光性および導電性を有した材料を用いることができる。
その後、第1導電性膜62上に感光性材料をコーティングして第1感光性膜94aを形成するとともに、第2導電性膜72上に感光性材料をコーティングして第2感光性膜94bを形成する。このようにして、積層体92が得られる。
次に、形成されるべき第1電極部60のパターンに対応した所定のパターンを有する第1マスク96aを積層体92の第1感光性膜94a上に配置するとともに、形成されるべき第2電極部70のパターンに対応した所定のパターンを有する第2マスク96bを積層体92の第2感光性膜94b上に配置する。図5(b)に示すように、この状態で、第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bの感光特性に対応した露光光を積層体92に両側から照射し、第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bを同時にパターン露光する。その後、第1マスク96aおよび第2マスク96bを取り除き、第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bを現像する。このようにして、図5(c)に示すように、第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bがパターニングされる。
その後、図5(d)に示すように、第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bがパターニングされた積層体92をエッチングする。これにより、第1導電性膜62がパターニングされ第1電極部60が形成されるとともに、第2導電性膜72がパターニングされ第2電極部70が形成される。最後に、積層体92から第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bを除去することにより、電極付フィルム90が得られる(図5(e)参照)。
このような方法によれば、第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bが同時に露光される。両面同時露光プロセスにおいては、第1マスク96aおよび第2マスク96bのそれぞれにアライメントマークを設けておくことにより、第1マスク96aおよび第2マスク96bを互いに対して、例えばミクロン単位のオーダーで極めて精度良く、且つ、極めて容易に(したがって、短時間で)位置決めすることが可能となる。この結果、電極付フィルム90において、第1電極部60および第2電極部70の両方が光学等方性フィルム67上に極めて精度良く効率的に位置決めされるようになる。
その一方で、第1感光性膜94aおよび第2感光性膜94bを一つずつ順に露光する場合には、精度良く且つ容易に、第1電極部60および第2電極部70を作製することができない。第1電極部60および第2電極部70の両方を精度良く作製しようとすると、第1電極部60および第2電極部70の一方をアライメントマークとともにフィルム67上に形成し、その後、このフィルム67上に形成されたアライメントマークに対し、第1電極部60および第2電極部70の他方の形成に用いられるマスクを位置決めすることになる。すなわち、露光だけでなく、現像やエッチングといった各工程をも、第1電極部60および第2電極部70のそれぞれに対して別個に行う必要が生じる。このため、第1電極部60および第2電極部70を効率良く短時間で容易に形成することができない。
また、アライメントマークを用いることなく、例えば基材(フィルム67)の端部を基準として第1マスク96aおよび第2マスク96bを位置決めしながら第1電極部60および第2電極部70を露光することも可能である。この方法によれば、第1電極部60および第2電極部70のそれぞれに対して現像やエッチングといった各工程をも別個に行う上述の方法と比較して、第1電極部60および第2電極部70を効率良く形成することができる。しかしながら、第1電極部60および第2電極部70の位置決め精度は、基材(フィルム67)の外形精度に依存してしまう。一般的に、この方法によれば、第1電極部60および第2電極部70の位置決め精度は数十ミクロン単位でしか期待することができない。
以上のことから、本実施の形態の方法によれば、第1電極部60および第2電極部70を互いに対して容易かつ精度良く位置決めすることができる。すなわち、電極付フィルム90において、第1電極部60および第2電極部70の両方を光学等方性フィルム67上に極めて精度良く位置決めすることができる。
最後に、以上のようにして得られた、第1基材52、シールド層75およびカラーフィルタ層54等を有する積層体と、電極付フィルム90とを、接着層69を介して接合することにより、カラーフィルタ50が得られる。
次に、以上のような構成からなる表示装置10を使用する際の作用について説明する。上述してきたように、本実施の形態による表示装置10は、映像を表示するための装置として機能するとともに、タッチパネルとしても機能するように構成されている。このうち、まず、映像を表示するための装置として機能する際の表示装置10の作用について説明し、その後、タッチパネルとして機能する際の表示装置10の作用について説明する。
表示装置10が映像を表示するための装置として使用される場合、制御部20の映像情報処理部22からの制御によって、素子基板80に設けられたスイッチング素子86が動作させられる。これにより、各画素からの光の透過が制御され、表示面12に所望の映像が表示されるようになる。
上述したように、この表示装置10は、静電容量結合方式のタッチパネルとしても機能する。本実施の形態において、静電容量結合方式のタッチパネルに含まれる電極部60,70は独立した支持基材に支持されるのではなく、表示装置10のカラーフィルタ基板50によって支持されている。したがって、表示装置とは別体のタッチパネルを表示装置の表示面へ貼合することと比較して、照明等の環境光(外光)や映像光等を反射し得る界面の数を減じることができる。これにより、映像光の透過率が上昇してエネルギ効率が向上するとともに、環境光の反射を抑制して表示装置10に表示される映像のコントラストを向上させることができる。以上のことから、本実施の形態による表示装置10によれば、タッチパネル機能を付与されているものの、優れた画質の映像を表示することができる。
また、上述したように、カラーフィルタ層54を形成された基材52に対し、第1電極部60および第2電極部70を有する電極付フィルム90を貼り付けることによって、カラーフィルタ50を作製した場合、表示装置10に含まれる一対の偏光板間に、電極付フィルム90が配置されるようになる。本実施の形態において、第1電極部60および第2電極部70を支持する電極付フィルム90の本体部(支持体)は、光学等方性のフィルム67によって構成されている。したがって、電極付フィルム90の本体部(支持体)として機能するフィルム67は、透過光の偏光状態を乱してしまうことはない。これにより、入光側の偏光板を透過した特定の偏光状態の光が、電極付フィルム90を透過した後に、出光側の偏光板59をさらに透過することが可能であり、表示パネル40の透過率を低下させてしまうことはない。
次に、タッチパネルとして使用する際の作用について説明する。
外部の導体(例えば、人間の指)が表示面12に接触すると、当該外部導体と、外部導体による表示面12への接触位置の近傍に位置する電極部60,70の各線状導電体61,71と、が電極として機能し、電解が形成される。この際、外部導体と各線状導電体61,71との間に位置する偏光板59等は誘電体として機能する。すなわち、外部導体が表示面12に接触することにより、外部導体と電極部60,70とを電極とするコンデンサが形成される。
制御部20の入力情報処理部24の検出回路は、各線状導電体61,71に接続され、各線状導電体61,71と外部導体との間の静電容量を検出することができるようになっている。そして、入力情報処理部24が、各線状導電体61,71と外部導体との間の静電容量の変化を検出することによって、外部導体が第1電極部60のいずれの線状導電体61に対面しているか、並びに、外部導体が第2電極部70のいずれの線状導電体71に対面しているかを特定することができる。
すなわち、入力情報処理部24の検出回路は、前記一方向に並べて配列された第1電極部60の線状導電体61のうちから、外部導体と対面している線状導電体を特定することによって、前記一方向に延びる座標軸上における外部導体の位置を特定する。同様に、入力情報処理部24の検出回路は、前記他方向に並べて配列された第2電極部70の線状導電体71のうちから、外部導体と対面している線状導電体を特定することによって、前記他方向に延びる座標軸上における外部導体の位置を特定する。このようにして、表示面12への外部導体の接触位置を二つの方向において検出することにより、外部導体の表示面12への接触位置の位置座標を、表示面12上で精度良く特定することができる。
なお、容量結合方式のタッチパネルにおける接触位置の検出方法のこれ以上の詳細は、例えば上述した特許文献1(特開2006−23904号公報)に開示されており、ここでは、これ以上の説明を省略する。
図2に示すように、第1電極部60および第2電極部70は、第1基板50の板面への法線方向に沿って異なる位置に配置されている。具体的には、第2電極部70は、第1電極部60よりも表示面12から離間した位置に配置されている。このため、外部導体が接触する表示面12上での位置によっては、第1電極部60の線状導電体61が、外部導体と第2電極部70の線状導電体71との間に介在するようになる。この場合、外部導体と第2電極部70との間で、コンデンサが有効に形成されなくなる可能性がある。
一方、本実施の形態によれば、図3に示すように、第1電極部60の線状導電体61はライン部61aと膨出部61bとを有し、第2電極部70の線状導電体71はライン部71aと膨出部71bとを有している。各線状導電体61,71において、膨出部61b,71bにおける幅は、ライン部61a,71aにおける幅と比較して非常に太くなっている。そして、上述したように、第1電極部60に含まれる線状導電体61の膨出部61bと、第2電極部70に含まれる線状導電体71の膨出部71bとは、第1基板50の板面の法線方向から観察した場合に重ならないように配置されている。
したがって、外部導体が表示面12へ接触した際に、当該外部導体と第2電極部70の線状導電体71との間でコンデンサを安定して形成することができるようになる。これにより、外部導体の接触面12への接触位置(タッチ位置)を、第2電極部70の線状導電体71の配列方向と平行な方向において、極めて感度良く正確に検出することが可能となる。また、ITOを効果的に使用して高感度のタッチ位置の検出を実現しながら、高価なITOの使用量を低減してコスト削減を図ることも可能となる。
ところで、表示装置10が映像を表示する際には、各画素での表示を制御するために、スイッチング素子86の駆動によって、画素電極84と透明電極層58との間に電圧が印可される。そして、本件発明者が鋭意研究を重ねたところ、この電圧の印可に起因して、表示面12への外部導体の接触を検出するための検出回路へ電気的なノイズが加えられてしまうことが知見された。一方、本実施の形態によれば、透明電極層58と電極部60,70との間に接地されたシールド層75が設けられている。そして、このシールド層75により、映像表示装置として機能するための駆動回路と、タッチパネルとして機能するための検出回路と、が電気的に干渉してしまうことを防止することができる。これにより、表示面12への外部導体の接触を感度良く正確に検出することができる。
また、上述したように、制御部20の映像情報処理部22と入力情報処理部24とは接続されている。入力情報処理部24は、導体が表示面12の所定の位置に接触することによって入力された情報を、映像情報処理部22へ送信することができる。映像情報処理部22は、入力情報処理部24で読み取られた入力情報に基づいて、当該入力情報に対応した映像を表示装置10に表示させるようにすることもできる。すなわち、出力手段としての表示機能および入力手段としてのタッチパネル機能により、表示装置10の使用者(操作者)と当該表示装置10との間で、対話形式での情報のやりとり(例えば、使用者の表示装置10に対する指示および表示装置10による当該指示の実行)を実現することができる。
とりわけ、上述したように、第1電極部60および第2電極部70が同時露光プロセスを経て光学等方性フィルム67上にパターニングされている場合、第1電極部60の各線状導電体61および第2電極部70の各線状導電体71が互いに対して精度良く位置決めされるようになる。結果として、第1電極部60の各線状導電体61および第2電極部70の各線状導電体71の両方を、カラーフィルタ層54に対しても精度良く位置決めすることが可能となるこの場合、外部導体の表示面12への接触位置を画素配列に対応して精度良く検出することができる。この結果、表示面12に表示される映像情報に対応した入力を高分解能で高精度に検出することができ、これにより、表示装置10の使用者(操作者)と当該表示装置10との間での対話形式での情報交換が極めて円滑に進められるようになる。
以上のような本実施の形態によれば、表示装置用の基板50が、板状の基材52と、基材の一方の側に積層され複数の着色部56を有するカラーフィルタ層54と、基材52の他方の側に積層され、基板50が表示装置10に組み込まれた際に接触を検出するための回路に電気的に接続されるように構成された電極部60,70と、を有している。すなわち、静電容量結合方式タッチパネル用の電極部60,70を表示装置用の基板50に形成し、表示装置10の表示パネル12にタッチパネル機能を付与している。これにより、別体のタッチパネルを表示装置の表示面へ貼合することと比較して、製造コストを大幅に低減することができる。また、別体のタッチパネルを表示装置の表示面へ貼合することと比較して、照明等の環境光(外光)や映像光等を反射し得る界面の数を減じることができる。これにより、映像光の透過率が上昇してエネルギ効率が向上するとともに、環境光の反射を抑制して表示装置10に表示される映像のコントラストを向上させることができる。さらに、別体のタッチパネルを表示装置の表示面へ貼合することと比較して、表示装置の表示パネル部分の総厚みを大幅に減じることができる。
また、タッチパネル機能として、最も広く普及している抵抗膜方式ではなく、静電容量結合方式を採用している。抵抗膜方式では、空気層を介して二枚の導電性膜を離間して配置させる必要がある。一方、静電容量結合方式では、二枚の導電性膜を空気層により離間させる必要がないため、空気層と導電性膜との界面における反射、とりわけ屈折率差に起因した全反射や、空気層の介在に起因したニュートンリングの発生等の不具合を回避することができる。そもそも、静電容量結合方式では、導電性膜を二枚設ける必要がなく、これにより、映像画質の改善だけでなく、表示装置10のさらなる薄型化および低コスト化を図ることもできる。
また、本実施の形態によれば、表示面12に沿って互いに異なる方向に延びる線状導電体61,71を含んだ第1電極部60および第2電極部70が設けられている。そして、外部導体(典型的には、人間の指)の表示面12への接触位置が、第1電極部60に含まれる線状導電体61の配列方向における位置と、第2電極部70に含まれる線状導電体71の配列方向における位置と、に分解して特定されるように構成されている。このような方法によれば、極めて高精度に、外部導体の表示面12への接触位置の位置座標を検出することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
例えば、上述した実施の形態において、第1電極部60および第2電極部70をITOから形成する例を示したがこれに限られない。一例として、金属(銅やアルミニウム等)によって、電極部60,70をストライプ状に形成するようにしてもよい。電極部60,70が表示領域A1内を延び亘る膜(シート)として形成されていない場合には、透光性を有さない材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属)から電極部60,70を形成するとともに電極部60,70を透過する映像光を所望の程度で観察し得るように、電極部60,70を設計することができる。すなわち、電極部60,70は、面状(シート状)の透明導電体に限られず、格子状(メッシュ状)にパターニングされた金属層や縞状(ストライプ状)にパターニングされた金属層等からも構成され得る。
また、上述した実施の形態において、第1電極部60の線状導電体61はライン部61aと膨出部61bとを有し、第2電極部70の線状導電体71はライン部71aと膨出部71bとを有している例を示した。また、上述した実施の形態において、膨出部61b,71bが平面視略円形状に形成されている例を示した。しかしながら、これに限られず、一例として、膨出部61b,71bが、平面視において、正方形や菱形等の四角形形状であってもよい。また、線状導電体61,71が、膨出部61b,71bを有さず、直線状の輪郭を有するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、第1電極部60の線状導電体61と、第2電極部70の線状導電体71とが、同一に構成される例を示したが、これに限られない。例えば、図6に示すように、第2電極部70の導電体71の線幅w2が、表示装置10の表示面12(観察者側面)からより近い位置に配置された第1電極部60の導電体61の線幅w1よりも太くなるようにしてもよい。このような例によれば、外部導体が表示面12へ接触した際に、表示装置10の表示面12(観察者側面)から比較的に遠い位置に配置された第2電極部70の線状導電体71と、当該外部導体と、の間でコンデンサを安定して形成することができるようになる。また、表示面12に接触する外部導体と第1電極部60の導電体61との間で形成されるコンデンサの静電容量と比較して、表示面12に接触する外部導体と第2電極部70の導電体71との間で形成されるコンデンサの静電容量が低くなってしまうことを防止することができる。これにより、外部導体の接触面12への接触位置(タッチ位置)を、第1電極部60の線状導電体61の配列方向と平行な方向だけでなく、第2電極部70の線状導電体71の配列方向と平行な方向においても、極めて感度良く正確に検出することが可能となる。
なお、図6に示す変形例において、その他の部分の構成については、上述した実施の形態と同様に構成され得る。図6において、上述した実施の形態と同一に構成され得る部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
さらに、上述した実施の形態において、第1電極部60および第2電極部70の二つの電極部が設けられる例を示したが、これに限られない。一例として、第2電極部70を省略することもできる。すなわち、電極部が一層のみしか設けられていないようにしてもよい。この場合、膜状の透明導電体や格子模様(メッシュパターン)の導電体等から電極部を構成することができる。例えば、電極部の四隅から電圧を印可するとともに、外部導体の表示面への接触時(タッチ時)に四隅から流れ込む電流の電流値を観測することにより、外部導体の表示面12への接触位置の位置座標を、表示面に沿った座標軸上で特定することができる。
さらに、上述した実施の形態において、シールド層75がITOからなる膜状の透明電極層として形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、シールド層75が表示領域A1内を延び亘る膜(シート)として形成されていない場合には、透光性を有さない材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属)からシールド層75を形成するとともにシールド層75を透過する映像光を所望の程度で観察し得るように、シールド層75を設計することができる。すなわち、シールド層75は、シート状の透明導電体に限られず、格子状(メッシュ状)にパターニングされた金属層等からも構成され得る。
さらに、上述した実施の形態において、カラーフィルタ層54と透明電極層58との間に絶縁層79が設けられている例を示したが、これに限られない。カラーフィルタ層54とシールド層75との間に絶縁層79が設けられていてもよい。また、シールド層75が透明電極層58から絶縁される場合には、絶縁層79を省略することができる。
さらに、上述した実施の形態において、シールド層75が、第1基材52の一方の側(面光源装置30の側)の表面に形成され、第1基材52に関して、カラーフィルタ層54と同じ側に位置するとともに、電極層60,70とは異なる側に位置する例を示した。しかしながら、これに限られず、図7に示すように、シールド層75が、第1基材52の他方の側(観察者の側)の表面に形成されるようにしてもよく、とりわけ、第1基材52の他方の側の表面に形成されるようにしてもよい。すなわち、図7に示す例において、シールド層75は、第1基材52に関して、カラーフィルタ層54とは異なる側に配置されるとともに、電極層60,70と同じ側に配置されている。そして、図7に示す例においては、シールド層75と電極部70との間に、接着層としても機能し得る透明な絶縁層(絶縁膜)79が形成されている。この絶縁層79は、膜状の層であり、表示領域A1の全域に亘って延び広がっている。この結果、シールド層75は、第1基材52を介して透明電極層58から絶縁されるとともに、絶縁層79を介して電極部60,70からも絶縁されるようになる。このようなシールド75の構成によっても、上述したシールド層75の作用効果と同一の作用効果を期待することができる。
なお、図7における表示装置10において、その他の部分の構成については、上述した実施の形態と同様に構成され得る。図7において、上述した実施の形態と同一に構成され得る部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
さらに、上述した実施の形態において、第1の基板(対向基板、表示装置用基板)50を用いて液晶表示装置(液晶表示パネル)を構成する例を示したが、これに限られない。上述した第1の基板50を用いて、液晶表示装置以外の表示装置、例えばEL表示装置やプラズマディスプレイを構成することもできる。さらに、各画素の表示を制御するための電極(透明電極層58)を第1の基板(対向基板、表示装置用基板)50に配置する必要がない場合には、当然に、第1の基板(対向基板、表示装置用基板)50から透明電極層58を削除してもよい。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、表示装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、表示装置の表示面への法線方向に沿った断面において、図1の表示装置に組み込まれた表示パネルを示す断面図である。
図3は、図2の表示パネルに組み込まれたカラーフィルタ(第1基板)の電極部の構成を説明するための図であって、電極部を有する電極付フィルムを示す上面図である。なお、図3は、図2のIII−III線の沿った断面図にも概ね対応している。
図4は、図2の表示パネルに組み込まれたカラーフィルタ(第1基板)のカラーフィルタ層を示す平面図である。
図5(a)〜図(b)は、電極付フィルムの製造方法を説明するための断面図である。
図6は、図3に対応する図であって、電極部の変形例を説明するための図である。
図7は、図2に対応する図であって、表示装置および表示装置用基板の変形例を説明するための図である。
符号の説明
10 表示装置
12 表示面
20 制御部
30 面光源装置
40 表示パネル
45 液晶層
50 基板(対向基板、第1基板、表示装置用基板、カラーフィルタ基板)
52 基材(第1基材)
54 カラーフィルタ層
56,56R,56G,56B 着色部
58 透明電極層
60 電極部電極部
63 外部取り出し線
67 光学等方性フィルム
67a 一方の面
67b 他方の面
75 シールド層
79 絶縁層(絶縁膜、接着層)
80 基板(第2基板、素子基板、アレイ基板)
90 電極付フィルム
92 積層体
96a 第1マスク
96b 第2マスク