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JP2008087544A - 空気抵抗低減装置 - Google Patents

空気抵抗低減装置 Download PDF

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Akihiro Narasaki
昭尋 楢崎
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Abstract

【課題】車両の意匠上の要求を満足しつつ、車両の空気抵抗を低減することができる空気抵抗低減装置を提供すること。
【解決手段】本発明による空気抵抗低減装置1は、車両の空気抵抗を低減する空気抵抗低減装置であって、車両側面又は車両上面から車両背面に至る境界部に、走行中の前記車両側面又は車両上面を流れる空気が前記車両背面に回り込んで流れることを抑制する抑制手段4を備えると共に、抑制手段4の車両前方に前記車両側面又は車両上面を流れる空気に擾乱を与える擾乱手段5、7を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両に適用されて好適な空気抵抗低減装置に関する。
従来から、走行中の車両の空気抵抗を低減する技術としては、種々のものが存在する。走行中の車両の空気抵抗の内、寄与率の大きなものは、走行中の空気の流れが車両側面及び車両上面から車両背面に回り込むときに流れの方向が強制的に変化させられるために必要な求心力を車両が空気に付与することにより、その反力が車両の背面に作用することに起因して発生する空気抵抗が挙げられる。
この空気抵抗を低減する技術として、車両側面と車両背面とを連結するCピラー部及び車両上面と車両背面とを連結するルーフ後端部に車両に対して隙間無くスポイラーを設けて、車両側面及び車両上面の空気の流れをCピラー部及びルーフ後端部から剥離させて、車両側面及び車両上面から車両背面への空気の回り込みを抑制することが行われている。
ところが、スポイラーにより車両側面及び車両上面の空気の流れをCピラー部及びルーフ後端部から剥離させるためにはスポイラーそのものが大きくなり、車両の意匠上の要求に背反するデメリットを発生させていた。
スポイラーを始めとした車両を構成する部分の部分的な空気抵抗を低減する技術としては、特許文献1に記載されているようなものがあり、凸部や凹部よりなる擾乱手段を設けることにより乱流の規則性を失わせて、カルマン渦の発生を抑制して、空気抵抗を低減することが行われている。
特開2001−50215号公報
ところが、スポイラーの大きさを抑制してなおかつ車両側面及び上面から車両背面に空気が回り込むことに起因する車両の空気抵抗を低減するための技術は現在の所無く、スポイラーの有する直線的な形状が車両のCピラー部やルーフ後端部が本来要求される曲面形状と一致せずに、車両の意匠上の要求を依然として満たすことができないという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑み、車両の意匠上の要求を満足しつつ、車両の空気抵抗を低減することができる空気抵抗低減装置を提供することを目的とする。
上記の問題を解決するため、本発明による空気抵抗低減装置は、
車両の空気抵抗を低減する空気抵抗低減装置であって、
車両側面又は車両上面から車両背面に至る境界部に、走行中の前記車両側面又は車両上面を流れる空気が前記車両背面に回り込んで流れることを抑制する抑制手段を備えると共に、
当該抑制手段の車両前方に前記車両側面又は車両上面を流れる空気に擾乱を与える擾乱手段を備えることを特徴とする。
ここで、前記空気抵抗低減装置において、
前記境界部とは、具体的には、車両側面から車両背面に至るCピラー部又は車両上面から車両背面に至るルーフ後端部である。
また、前記空気抵抗低減装置において、
前記抑制手段は、具体的には、スポイラーであってもよいし、
前記抑制手段は、具体的には、段差形状であってもよい。
ここでスポイラーとはCピラー部又はルーフ後端部に車両側面又は車両上面とほぼ平行な平面を構成して、前記車両背面には空気が回り込まないようにその延在方向全てにわたって車両に隙間無く密着するように設けられるいわゆるエアロパーツである。従って単にダウンフォースを得るためのウィングはここではスポイラーに含まない。
さらに、前記空気抵抗低減装置において、
前記擾乱手段が凹部又は凸部の組み合わせより構成されることを特徴としてもよいし、凸条部であることを特徴としてもよい。また、前記擾乱手段がサイドバイザーであってもよい。なお、サイドバイザーとは、車両後部座席ドアのウィンドウの周囲に設けられる水よけ板を指す。さらに前記擾乱手段はアンテナや表示灯等の形状を変更させたものであっても良い。
いずれによっても、前記凸部や凹部の組み合わせ又は凸条部、サイドバイザー等の擾乱手段により車両側面又は車両上面を流れる空気に擾乱を与えることにより、前記抑制手段、具体的にはスポイラー又は段差形状の大きさが小さくても、空気がCピラー部又はルーフ後端部から剥離しやすくして、空気が車両背面に回り込むことを抑制できる。これにより空気抵抗を低減すると共に、スポイラー又は段差形状の大きさを抑制して、Cピラー部又はルーフ後端部に求められる意匠上の要求を満足することができる。
本発明によれば、車両の意匠上の要求を満足しつつ、車両の空気抵抗を低減することができる空気抵抗低減装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る空気抵抗低減装置の一実施形態を示す模式図である。図2は、図1のAA断面において本発明に係る空気抵抗低減装置の一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示すように、空気抵抗低減装置1は、車両のCピラー部2からルーフ後端部3にわたって設けられたスポイラー4と、スポイラー4の車両前方のCピラー部2に位置する凸条部5と、同じくスポイラー4の車両前方のルーフ6に位置する凸条部7とを備えて構成される。なお、図1中左側が車両前方を示し、手前側が車両左右方向左側を示す。
Cピラー部2は車両のリア側ガラスと後部座席ドアとの間に位置して車両のルーフ6を支持する柱をなすものである。
ルーフ後端部3は車両のルーフ6の車両後方部分を指し、リアガラスを支持すると共に、Cピラー部2により支持されるものである。
スポイラー4はCピラー部2およびルーフ後端部3の全体を車両に対して隙間無く覆うように、車両後方から見てコの字状に形成される図1中黒で塗りつぶして示すエアロパーツであり、その車両前端から車両後端にかけて車両側面及び車両上面に対して連続した平面を形成し、その車両後端は小さいR形状をなし、Cピラー部2およびルーフ後端部3を車両前方から後方に向かって流れる空気を剥離させて、車両背面に空気が回り込んで流れることを抑制する抑制手段を構成する。
凸条部5は、車両後部座席ドアのウィンドウの周囲に設けられ、車両側面つまりはCピラー部を車両前方から後方に向かって流れる空気に擾乱を与える擾乱手段を構成する。なお凸条部5はスポイラー4の車両前方に位置していればよいが、擾乱を与えた空気がスポイラー4の位置において再び層流とならない程度にスポイラー4から離隔した位置であることが必要である。
凸条部7は、ルーフ後端部3の前方のルーフ6に設けられ、これも車両上面つまりはルーフ後端部3を車両前方から後方に向かって流れる空気に擾乱を与える擾乱手段を構成する。なお凸条部7についても凸条部5と同様にスポイラー4の車両前方に位置していればよいが、擾乱を与えた空気がスポイラー4の位置において再び層流とならない程度にスポイラー4から離隔した位置であることが必要である。
凸条部5は図2に示すように、その車両前後方向中間部が盛り上がった形状をなし、その頂上部分はCピラー部2に対してW1の厚みを有する。頂上部分の前後はAA断面内において凹形状を有する。
凸条部7については、図示は省略するが、凸条部5と同様にその車両前後方向中間部が盛り上がった形状をなし、その頂上部分はルーフ後端部3に対して所定の高さを有する。頂上部分の前後は凹形状を有する。
ここで、車両背面に車両側面及び車両上面から空気が回り込んで流れることに起因する空気抵抗について説明する。図3は、車両における空気抵抗の発生する原理を示す車両の水平面内の模式断面図である。
図3のように、車両を水平面内の断面で示すと、車両前方から順番に車両側面、Cピラー部、車両背面が連続して位置する。車両の走行時においては、空気が車両前方から後方に向かって流れ、平板状の車両側面51、曲面形状のCピラー部52、平板状の車両背面53の順番にその表面を沿うように空気が流れる。この場合において、空気は車両前後方向から車両左右方向に大きくその流れの方向を変えるべく、車両から求心力を付与され、その求心力の反作用として、車両には反力が作用し、その反力の車両前後方向の分力が空気抵抗として車両に作用する。これと同様に、車両上面から車両背面に空気が回り込んで流れることによっても空気抵抗が車両に作用する。
このような空気の車両背面53への回り込みにより発生する空気抵抗を低減するために、従来においては、図4に示すような手法がとられていた。図4及び図5は、空気抵抗を低減するための従来の手法を示す模式断面図である。
従来技術においては、図4に示すように、Cピラー部52に車両側面51から後方に向かう平面を構成し、その車両後端部分には小さいR形状を構成する大型のスポイラー54が設けられ、この大型のスポイラー54により車両側面51の車両前方から後方に向かって流れる空気をCピラー部52において剥離させて、車両背面53に空気が流れ込んで流れることを抑制し、図3に示したような原理により発生する空気抵抗を低減していた。
ところが、このように車両側面51を流れる空気をCピラー部52において剥離させるためには、スポイラー54を大型にする必要があり、スポイラー54は空気を剥離させる機能を持たせることから、直線的な形状を備える必要があることから、本来曲面形状であるCピラー部52と形状が不一致となり、意匠上の要求を満足しないという問題があった。
この問題は、ルーフ後端部におけるスポイラーの設置においても同様に生じる。
この要求を満たすために、図5に示すように小型のスポイラー55を設置することも考えられるが、スポイラー55を小型にしてしまうと、今度は、車両側面51を流れる空気をCピラー部52において剥離させて、空気が車両背面53に回り込んで流れることを十分に抑制できず、空気抵抗が発生することを十分に抑制することができない。
そこで、本発明では、図1に示したように、スポイラー4の車両前方に、凸条部5、凸条部7を備え、これらの凸条部5、7に擾乱手段としての役割を持たせるのである。以下にその作用効果について示す。図6及び図7は本発明に係わる空気抵抗低減装置の作用効果を示す模式図である。図6は車両の水平面内の模式断面図であり、図7は車両の左右方向に垂直な面内の模式断面図である。
図1に示したような擾乱手段つまりは凸条部5により、図6に示すように、車両側面を流れる空気に擾乱を与えることができる。
図1中において灰色で示す部分は従来のスポイラーを示し、黒で塗りつぶした部分が本発明に係わる空気抵抗低減装置を構成するスポイラー4を示す。このように、スポイラー4の車両側方部分前方に凸条部5を設けて空気に擾乱を与えることにより、同じように空気をCピラー部2から剥離させる機能を持たせても、スポイラー4の車両側方部分を大幅に小型化することができる。
同様に、図1に示したような擾乱手段つまりは凸条部7により、図7に示すように、車両上面を流れる空気に擾乱を与えることができる。
図1中において灰色と黒で示す部分は従来の大型のスポイラーを示し、黒で塗りつぶした部分が本発明に係わる空気抵抗低減装置を構成する小型のスポイラー4を示す。このように、スポイラー4の車両上方部分前方に凸条部7を設けて空気に擾乱を与えることにより、同じように空気をルーフ後端部3から剥離させる機能を持たせても、スポイラー4の車両上方部分を大幅に小型化することができる。
これにより、車両背面に空気が回り込んで流れ込むことを抑制する抑制手段としてのスポイラー4の大きさが小さくても、空気がCピラー部2又はルーフ後端部3から剥離しやすくして、空気が車両背面に回り込むことを抑制できる。これにより空気抵抗を低減すると共に、スポイラー4の大きさを抑制して、Cピラー部2又はルーフ後端部3に求められる意匠上の要求を満足することができる。
なお、図2において示した凸条部5の厚みW1はスポイラー4の大きさに逆比例する関係にあり、スポイラー4を小型にするほど、凸条部5の厚みW1を厚くする必要が生じる。この関係は凸条部7とスポイラー4においても同様である。このため凸条部5、凸条部7およびスポイラー4の大きさをどのようなものとするかは、車両全体としての意匠、凸条部5、凸条部7、スポイラー4に起因する個々の空気抵抗と、空気が背面に回り込んで流れ込むことに起因する車両全体の空気抵抗とを鑑みて、車両全体のバランスを考慮して決定する必要がある。なお、凸条部の厚みは個々の空気抵抗を考慮して50mm以内とすることが好ましい。また、本発明によりスポイラー4の大きさは従来のものよりも1/3程度の大きさとすることができる。
さらに、凸条部5の頂上部分の前後に位置する凹形状を深くすることにより、空気に擾乱を与えることに寄与しない部分をなるべく小さくして、凸条部5自体をなるべく小型のものとすることができる。
なお、図1においては、車両上面又は車両側面から車両背面に空気が回り込んで流れることを抑制する抑制手段としてスポイラーを適用することを示したが、Cピラー部2又はルーフ後端部3から車両側面を流れる空気を剥離させることができるものであればスポイラーに限定されることはない。
図8は、本発明に係わる空気抵抗低減装置の他の実施形態を示す模式図である。図8に示すように、Cピラー部2又はルーフ後端部3から車両側面を流れる空気を剥離させて、車両上面又は車両側面から車両背面に空気が回り込んで流れることを抑制する抑制手段
として、スポイラーを設置することに換えて幅W2の段差形状8をCピラー部2又はルーフ後端部3に備えることもできる。
これによっても、車両背面に空気が回り込んで流れ込むことを抑制する抑制手段としての段差形状8の幅W2が小さくても、空気がCピラー部2又はルーフ後端部3から剥離しやすくして、空気が車両背面に回り込むことを抑制できる。これにより空気抵抗を低減すると共に、段差形状8の幅W2を抑制して、Cピラー部2又はルーフ後端部3に求められる意匠上の要求を満足することができる。
なおここでも、凸条部5の厚みW1は段差形状8の厚みW2に逆比例する関係にあり、段差形状8の厚みW2を小型にするほど、凸条部5の厚みW1を厚くする必要が生じる。この関係は凸条部7とスポイラー4においても同様である。このため凸条部5、凸条部7および段差形状8の大きさをどのようなものとするかは、車両全体としての意匠、凸条部5、凸条部7、段差形状8に起因する個々の空気抵抗と、空気が背面に回り込んで流れ込むことに起因する車両全体の空気抵抗とを鑑みて、車両全体のバランスを考慮して決定する。また、本発明により段差形状8の大きさは従来のものよりも1/3程度の大きさとすることができる。
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
例えば、擾乱手段として実施例においては凸条部を主に示したが、凸部又は凹部の組み合わせ、例えば、ディンプル形状や羽毛形状などを適用することも可能である。また、これらの擾乱手段として、別途部品を追加することなく、従前から存在する車両を構成する部品、例えば、表示灯やアンテナ、荷物を搭載するキャリア、サイドバイザー等に適宜変形を加えたものを適用することも可能である。
本発明は、車両に適用して好適な空気抵抗低減装置に関するものであり、空気抵抗低減装置を構成するスポイラーや段差形状をなるべく小さなものとして、車両のCピラー部やルーフ後端部の意匠上の要求を満足させることができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用しても有益なものである。
本発明に係る空気抵抗低減装置の一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る空気抵抗低減装置の一実施形態を示す模式図である。 従来技術において空気抵抗が発生する原理を示す模式図である。 従来の空気抵抗を低減する手法を示す模式図である。 従来の空気抵抗を低減する手法を示す模式図である。 本発明による空気抵抗低減装置の原理を示す模式図である。 本発明による空気抵抗低減装置の原理を示す模式図である。 本発明に係る空気抵抗低減装置の一実施形態を示す模式図である。
符号の説明
1 空気抵抗低減装置
2 Cピラー
3 ルーフ後端部
4 スポイラー
5 凸条部
6 ルーフ
7 凸条部
8 段差形状
51 車両側面
52 Cピラー部
53 車両背面
54 大型スポイラー
55 小型スポイラー

Claims (7)

  1. 車両の空気抵抗を低減する空気抵抗低減装置であって、
    車両側面又は車両上面から車両背面に至る境界部に、走行中の前記車両側面又は車両上面を流れる空気が前記車両背面に回り込んで流れることを抑制する抑制手段を備えると共に、
    当該抑制手段の車両前方に前記車両側面又は車両上面を流れる空気に擾乱を与える擾乱手段を備えることを特徴とする空気抵抗低減装置。
  2. 前記境界部がCピラー部又はルーフ後端部であることを特徴とする請求項1に記載の空気抵抗低減装置。
  3. 前記抑制手段がスポイラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気抵抗低減装置。
  4. 前記抑制手段が段差形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気抵抗低減装置。
  5. 前記擾乱手段が凹部又は凸部の組み合わせより構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気抵抗低減装置。
  6. 前記擾乱手段が凸条部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気抵抗低減装置。
  7. 前記擾乱手段がサイドバイザーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気抵抗低減装置。
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