JP2007295935A - コレステロールの定量法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 遠心分離などの前処理の必要がなく、簡便な操作で効率よく測定することができ、種々の自動分析装置に適用できるHDL中のコレステロールの定量法を提供すること。
【解決手段】 血清に対し、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ばれる界面活性剤、ならびにコレステロール測定用酵素試薬を添加し、リポタンパク質のうち、HDL中のコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間内にそのコレステロールの反応量を測定するHDLコレステロールの定量法および更に血清リポタンパク質中のコレステロールとコレステロール測定用酵素試薬との反応を阻害する効果を有する物質を加えたHDLコレステロールの定量法。
【選択図】 なし
【解決手段】 血清に対し、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ばれる界面活性剤、ならびにコレステロール測定用酵素試薬を添加し、リポタンパク質のうち、HDL中のコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間内にそのコレステロールの反応量を測定するHDLコレステロールの定量法および更に血清リポタンパク質中のコレステロールとコレステロール測定用酵素試薬との反応を阻害する効果を有する物質を加えたHDLコレステロールの定量法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、遠心分離などの操作の必要がなく、少ない試料で簡便な操作により効率良く高比重リポタンパク(HDL)中のコレステロールとHDL以外のリポタンパク中のコレステロールとを分離定量する方法に関する。
コレステロール等の脂質は、血清中においてアポタンパクと結合し、リポタンパク質を形成している。リポタンパク質は物理的な性状の違いにより、カイロミクロン、超低比重リポタンパク(VLDL)、低比重リポタンパク(LDL)、高比重リポタンパク(HDL)等に分類される。これらのリポタンパク質のうち、LDLは動脈硬化を引き起こす原因物質の一つであり、一方HDLは抗動脈硬化作用を示す事が知られている。
疫学的には、HDL中のコレステロール値は動脈硬化性疾患の発症頻度と逆相関を示す事が知られており、今日では、虚血性心疾患の予防や診断を目的としてHDL中のコレステロールの測定が広く行われている。HDL中のコレステロールの測定法としては、たとえば超遠心分離によってHDLを、他のリポタンパクと分離した後、コレステロール測定に供する方法や、電気泳動によって分離した後に脂質の染色を行って、その発色強度を測定する方法が知られている。しかしながら、これらの方法は、いずれも、操作が煩雑であったり、多数の検体を処理できないなどの問題があり、日常的にほとんど用いられていなかった。
現在臨床検査の領域で一般に広く用いられている、HDL中のコレステロールの測定方法は、検体に沈殿剤を加えてHDL以外のリポタンパクを凝集させ、これを遠心分離によって取り除き、分離されたHDLのみを含む上清中のコレステロールを測定する沈殿法である。 この方法は、超遠心法や電気泳動法に比較して簡便であるものの、沈殿剤を加えて分離する操作を含むために、比較的多量の検体量を要し、又、分析誤差を生じる可能性も高く、全分析工程を完全に自動化することはできなかった。
一方、酵素的にHDL中のコレステロールを分別定量する方法も検討されている。たとえば、胆汁酸塩及び非イオン系界面活性剤の存在下に、酵素反応を行う方法(特開昭63−126498号公報)が知られている。この方法は、反応初期の酵素反応はLDL濃度に比例し、その後HDL中のコレステロール濃度に比例することを利用したものであるが、HDL中のコレステロールと他のリポタンパク質の中のコレステロールの反応を完全に分別することはできず、正確性に問題があった。
また、HDL以外のリポタンパク質をあらかじめ凝集させておき、HDL中のコレステロールのみを酵素的に反応させた後に、酵素を失活させると同時に凝集を再溶解して吸光度を測定するという方法(特開平6−242110号)が知られている。しかしながら、この方法は少なくとも3回の試薬を添加する操作が必要であるため、限定された自動分析装置にしか適用できず、汎用性の点で問題があった。又、沈殿の再溶解に際しては、高濃度の塩を使う等、分析器機に対するダメージや試薬廃棄の点でも満足できるものではなかった。
更に、特許第2600065号では、通常の沈殿法に用いられる、HDL以外のリポタンパクを沈殿させる沈殿試薬と一般的なコレステロール測定試薬を組み合わせて使用し、沈殿しないHDL中のコレステロールを測定する方法が開示されるが、沈殿剤の効果によって生じる濁りが測定系に妨害を与え、また、一般的なコレステロール試薬では沈殿するHDL以外のリポタンパク中のコレステロールとも反応してしまうなど、精度の点では不十分な測定法であった。
特開昭63−126498号公報
特開平6−242110号公報
特許第2600065号公報
したがって、本発明の目的は、遠心分離などの前処理の必要がなく、簡便な操作で効率よく測定することができ、種々の自動分析装置に適用できるHDL中のコレステロールの定量法を提供することにある。
本発明者等は血清中のリポタンパク中のコレステロールの測定について種々検討していたところ、リポタンパクを溶解する特定の界面活性剤の存在下で血清とコレステロール測定用酵素試薬との反応を行えば、まず最初にHDLコレステロールのみが反応し、次いでHDLの反応に遅れてVLDL中のコレステロールが反応し、最後にかなり遅れてLDL中のコレステロールが反応することを知った。
そして、更に研究を行った結果、最初のHDLコレステロール濃度に依存する反応を測定できるよう測定ポイントを適宜選択することにより、HDLコレステロールのみを測定できること、および系内に血清リポタンパク内のコレステロールとコレステロール測定用酵素との反応を阻害する物質を存在せしめることにより、HDLコレステロールの濃度のみに依存した反応を長時間にわたって維持できること、更にこれらの方法は自動分析装置にも適用できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、血清に対し、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ばれる界面活性剤、ならびにコレステロール測定用酵素試薬を添加し、リポタンパク質のうち、HDL中のコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間内にそのコレステロールの反応量を測定することを特徴とするHDLコレステロールの定量法を提供するものである。
また、本発明は、上記HDLコレステロールの定量法において、更に血清リポタンパク質中のコレステロールとコレステロール測定用酵素試薬との反応を阻害する効果を有する物質を加えた方法を提供するものである。
本発明によれば、遠心分離などの前処理の必要がなく、簡便な操作で効率良くHDL中のコレステロールを定量する事ができる。 また、少ない試料で、簡便な操作により、特異的な測定が可能であるため、種々の自動分析装置に適用でき、臨床検査の領域において極めて有用である。
本発明方法で用いられるポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ばれる界面活性剤(以下、「溶解促進性活性剤」という)は、リポタンパク質を溶解する作用を有する界面活性剤である。 このうち前者の市販品の例としてはエマルゲンA−60(花王社製)などが、後者の市販品の例としてはエマルゲンB66(花王社製)等があげられる。 かかる界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる事ができる。 またその使用量は化合物によって異なり、特に制限されるものではないが、試薬を適用すべき分析装置毎に、望ましい測定時間内にHDLコレステロールが検出できる感度となるよう、実験的に定めることができ、通常は0.01−5重量%の濃度にて使用するのが好ましい。
また、本発明の測定方法においては、血清リポタンパク質のコレステロールとコレステロール測定用酵素試薬との反応を阻害する効果を有する物質(以下、「反応阻害物質」)の存在下で行うことが好ましく、そうすることにより存在しない場合に比較して、より長時間HDLコレステロールの濃度のみに依存した反応を維持することができる。
本発明で用いられる反応阻害物質としては、リポタンパク質に結合親和性を示す物質やリポタンパク質を溶解しない界面活性剤が挙げられ、それぞれ単独であるいは複数の物質を組み合わせて用いることができる。
リポタンパク質に結合親和性を示す物質(以下、「結合性物質」という)の例としては、ポリアニオンと2価金属塩を生成する物質の組み合わせを挙げることができるが、これはHDLとも結合し沈殿を生じるような物質であってもかまわない。 具体的なポリアニオンの例としては、デキストラン硫酸、リンタングステン酸、ヘパリン等が、2価金属塩を生成する物質の例としては、MgCl2、CaCl2、MnCl2、NiCl2等の2価金属の塩化物やこれらの水和物等が挙げられる。 これらの結合性物質は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、またその使用量は物質の種類によって異なり、特に限定されるものではないが、反応終濃度として、ポリアニオンの場合には0.002−10重量%、2価金属塩を生成する物質の場合には0.01−5重量%となる範囲で用いるのが望ましい。
また、リポタンパク質を溶解しない界面活性剤(以下、「溶解阻害性活性剤」という)としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等から選ばれる界面活性剤が挙げられる。
これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンセチルエーテル(市販品としてはエマルゲン220(花王社製)等)が;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(市販品としてはエマルゲン913(花王社製)等)が;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物としてはプルロニックF−88(旭電化社製)が;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としてはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(市販品としてはエマール20C(花王社製)等)が;アルキルベンゼンスルホン酸塩としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
これらの溶解阻害性活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いる事ができ、その使用量は特に限定されないが、試料と混合したときの濃度が0.01−5重量%、特に0.05−1重量%になるような範囲で用いるのが望ましい。
溶解促進性活性剤とコレステロール測定用酵素試薬(以下、「コレステロール試薬」という)を検体である血清へ添加するに際しては、それぞれを別途添加しても、また混合物として同時に添加してもよい。 また、反応阻害物質は、溶解促進性活性剤とコレステロール試薬のいずれかまたはこれらの混合物に添加して用いることができる。更に、複数の反応阻害物質を使用する場合は、混合して単独の場合と同様に用いられるほか、溶解促進性活性剤とコレステロール試薬にそれぞれ別に添加して用いてもよい。
本発明のコレステロールの測定のために用いるコレステロール試薬としては、公知の酵素試薬、例えばコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの組み合わせ、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼの組み合わせ等が挙げられる。これらのうち、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの組み合わせが好ましい。
更に、これらのコレステロール試薬を添加した後、最終的にコレステロールの反応量を測定するために用いる方法は特に制限されず、例えばパーオキシダーゼと色原体をさらに組み合わせて行う吸光度分析、補酵素や過酸化水素を直接検出する方法等が挙げられる。
本発明方法においては、HDLのコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間内にその反応を検出する必要があるが、そのためには溶解促進性活性剤とコレステロール試薬と試料とを混合した後の、進行する反応を動力学的にモニターする方法や、HDLコレステロールの反応を反応終末点法で測定してブランク値にて補正する方法(2ポイント法)等を用いることができる。また、HDLの反応をより長くモニターする必要がある場合には、反応阻害物質を添加し、コレステロールの検出反応を遅延させる事によって、HDLコレステロール濃度のみに依存する反応を延長させることができる。
本発明方法を有利に実施するために利用される試薬ないし試薬キットとしては、例えば次のものを挙げることができる。
(1)次の2成分(イ)および(ロ)を含有するもの。
(イ)溶解促進性活性剤
(ロ)コレステロール試薬
(2)次の成分(イ)〜(ハ)、
(イ)溶解促進性活性剤
(ロ)反応阻害物質(結合性物質、溶解阻害性活性剤)
(ハ)コレステロール試薬
(1)次の2成分(イ)および(ロ)を含有するもの。
(イ)溶解促進性活性剤
(ロ)コレステロール試薬
(2)次の成分(イ)〜(ハ)、
(イ)溶解促進性活性剤
(ロ)反応阻害物質(結合性物質、溶解阻害性活性剤)
(ハ)コレステロール試薬
このような試薬や試薬キットには、前記の溶解促進性活性剤、コレステロール試薬(コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ等)、反応阻害物質(結合性物質、溶解阻害性活性剤)、パーオキシダーゼ、色原体、補酵素等の他、適当なpH緩衝剤、酸化防止剤、担体等を組み合わせることができる。 また、試薬や試薬キットの形状としても、液体状のものの他、これを凍結乾燥したもの等が利用できる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
リポタンパク質を含む50例の血清検体について、以下の本発明方法及び従来の沈殿法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。
本発明方法は、各血清検体3μlに、100mMのMES緩衝液(第一試薬;pH6.5)300μlを添加し、約5分後に、エマルゲンB−66 1%、コレステロールエステラーゼ 1U/ml、コレステロールオキシダーゼ 1U/ml、パーオキシダーゼ 5U/ml及びジスルフホブチルメタトルイジン 0.04%、4−アミノアンチピリン 0.004%を含む100mMのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第二試薬)100μlを加え、第二試薬直前と添加後5分後の600nm(副波長 700nm)における吸光度を測定し、その差より血清検体中のHDLコレステロール濃度を求めた(2ポイント法)。 また、較正用物質として濃度既知のコントロール血清を用いた。 なお、以上の操作は、日立7150型自動分析装置を用いて行った。
リポタンパク質を含む50例の血清検体について、以下の本発明方法及び従来の沈殿法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。
本発明方法は、各血清検体3μlに、100mMのMES緩衝液(第一試薬;pH6.5)300μlを添加し、約5分後に、エマルゲンB−66 1%、コレステロールエステラーゼ 1U/ml、コレステロールオキシダーゼ 1U/ml、パーオキシダーゼ 5U/ml及びジスルフホブチルメタトルイジン 0.04%、4−アミノアンチピリン 0.004%を含む100mMのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第二試薬)100μlを加え、第二試薬直前と添加後5分後の600nm(副波長 700nm)における吸光度を測定し、その差より血清検体中のHDLコレステロール濃度を求めた(2ポイント法)。 また、較正用物質として濃度既知のコントロール血清を用いた。 なお、以上の操作は、日立7150型自動分析装置を用いて行った。
一方、沈殿法によりHDL中のコレステロールを測定するには、デキストラン硫酸 0.3%及び塩化マグネシウム 2%を含む水溶液 200μlを検体 200μlと混和し、3000rpmで10分間遠心分離を行った。 この上清50μlを採取し、TritonX−100 1%、コレステロールエステラーゼ 1U/ml、コレステロールオキシダーゼ 1U/ml、パーオキシダーゼ 5U/ml及びジスルフホブチルメタトルイジン 0.04%、4−アミノアンチピリン 0.004%を含む100mMのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬3mlと混合し、37℃で10分間インキュベートした後、600nmにおける吸光度を測定し、HDL中のコレステロール濃度を求めた。
本発明法と沈殿法による結果の相関図を図1に示すが、本発明方法は簡便な操作であるにもかかわらず、従来の沈殿法と極めて良好な相関を示していた。
実 施 例 2
第二試薬中のエマルゲンB−66の代わりにエマルゲンA−60 1%を添加した以外は実施例1と同一の試薬を用い、同一の方法でリポタンパク質を含む50例の血清検体について、HDL中のコレステロールを定量した。
即ち、検体3μlに第一試薬300μlを添加し、約5分後、第二試薬100μlを加えた。 第2試薬添加後、12秒後から24秒後までの546nm(副波長 660nm)における吸光度変化を測定し、血清検体中のHDLコレステロール濃度を求めた。 また、較正用物質としては濃度既知の2種類のコントロール血清(低濃度と高濃度)を使用した。 なお、以上の操作は、日立7150型自動分析装置を用いて行った。
また、同じ検体について、従来の沈殿法で実施例1と同様に、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。 この結果を図2に示す。
第二試薬中のエマルゲンB−66の代わりにエマルゲンA−60 1%を添加した以外は実施例1と同一の試薬を用い、同一の方法でリポタンパク質を含む50例の血清検体について、HDL中のコレステロールを定量した。
即ち、検体3μlに第一試薬300μlを添加し、約5分後、第二試薬100μlを加えた。 第2試薬添加後、12秒後から24秒後までの546nm(副波長 660nm)における吸光度変化を測定し、血清検体中のHDLコレステロール濃度を求めた。 また、較正用物質としては濃度既知の2種類のコントロール血清(低濃度と高濃度)を使用した。 なお、以上の操作は、日立7150型自動分析装置を用いて行った。
また、同じ検体について、従来の沈殿法で実施例1と同様に、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。 この結果を図2に示す。
図2の結果から、本発明方法は簡便な操作であるにもかかわらず、従来の沈殿法と良好な相関を示した。
実 施 例 3
実施例2において用いたのと同一の第二試薬と、下記の第一試薬を用い、リポタンパク質を含む50例の血清検体について、本発明方法及び従来の沈殿法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。 なお、第一試薬A(実施例2と同じ)は対照として加えた。
実施例2において用いたのと同一の第二試薬と、下記の第一試薬を用い、リポタンパク質を含む50例の血清検体について、本発明方法及び従来の沈殿法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。 なお、第一試薬A(実施例2と同じ)は対照として加えた。
[ 第一試薬 ]
第一試薬A:
100mMのMES緩衝液(pH6.5)
第一試薬B:
プルロニックF−88(旭電化社製)0.2%水溶液
第一試薬C:
リンタングステン酸ナトリウム 0.2%及び塩化マグネシウム 100mM
を含む水溶液(pH6.4)
第一試薬D:
プルロニックF−88 0.2%、リンタングステン酸ナトリウム 0.2%及
び塩化マグネシウム 100mMを含む水溶液(pH6.4)
第一試薬A:
100mMのMES緩衝液(pH6.5)
第一試薬B:
プルロニックF−88(旭電化社製)0.2%水溶液
第一試薬C:
リンタングステン酸ナトリウム 0.2%及び塩化マグネシウム 100mM
を含む水溶液(pH6.4)
第一試薬D:
プルロニックF−88 0.2%、リンタングステン酸ナトリウム 0.2%及
び塩化マグネシウム 100mMを含む水溶液(pH6.4)
吸光度の測定は、反応阻害物質の添加の効果を確認するため、日立7150を用いて第二試薬添加後12秒から24秒後、12秒後から168秒後及び12秒後から312秒後のそれぞれ異なる測光時間を用いて測定を行った。
一方、沈殿法によるHDLの測定は実施例1と同様に行い、各条件での本発明方法との相関関係を調べた。 この相関係数を表1に示す。
一方、沈殿法によるHDLの測定は実施例1と同様に行い、各条件での本発明方法との相関関係を調べた。 この相関係数を表1に示す。
この結果に示されるように、反応阻害物質を含まない第一試薬では、反応初期の吸光度測定でのみ良好な結果を示した。 一方、反応阻害物質を含むプルロニックF−88(旭電化社製)0.2%水溶液、リンタングステン酸ナトリウム 0.2%及び塩化マグネシウム 100mMを含む水溶液(pH6.4)並びにプルロニックF−88 0.2%、リンタングステン酸ナトリウム 0.2%及び塩化マグネシウム 100mMを含む水溶液(pH6.4)をそれぞれ第一試薬として用いた測定結果では、長時間の測定でいずれも良好な相関(1に近いほど相関性が高い)を示し、反応阻害物質が、HDLコレステロール量に依存する反応を延長する効果があることが確認された。
Claims (10)
- 次の成分(イ)〜(ハ)、
(イ)以下の方法(a1)又は(a2)、
(a1)血清検体3μlに、100mMのMES緩衝液(第一試薬;pH6.5)
300μlを添加し、約5分後に、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエー
テル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ば
れる界面活性剤1%、コレステロールエステラーゼ1U/ml、コレステロール
オキシダーゼ1U/ml、パーオキシダーゼ5U/ml、ジスルフホブチルメタ
トルイジン0.04%及び4−アミノアンチピリン0.004%を含む100m
MのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第二試薬)
100μlを加え、第二試薬添加直前と添加後5分後の波長600nm(副波長
700nm)における吸光度を測定し、その差より血清検体中の高比重リポタン
パク質(HDL)コレステロール濃度を求める。
(a2)血清検体3μlに、100mMのMES緩衝液(第一試薬;pH6.5)
300μlを添加し、約5分後に、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエー
テル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ば
れる界面活性剤1%、コレステロールエステラーゼ1U/ml、コレステロール
オキシダーゼ1U/ml、パーオキシダーゼ5U/ml、ジスルフホブチルメタ
トルイジン0.04%及び4−アミノアンチピリン0.004%を含む100m
MのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第二試薬)
100μlを加え、第二試薬添加後、12秒から24秒までの波長546nm(副
波長660nm)における吸光度変化を測定し、血清検体中のHDLコレステロ
ール濃度を求める。
により測定された検体中のHDLコレステロール濃度と、
以下の沈殿法(b)、
(b)デキストラン硫酸0.3%及び塩化マグネシウム2%を含む水溶液200μ
lを血清検体200μlと混和し、3000rpmで10分間遠心分離を行った
上清50μlと、Triton(登録商標)X−100 1%、コレステロール
エステラーゼ1U/ml、コレステロールオキシダーゼ1U/ml、パーオキシ
ダーゼ5U/ml、ジスルフホブチルメタトルイジン0.04%及び4−アミノ
アンチピリン0.004%を含む100mMのMES緩衝液(pH6.5)から
なるコレステロール測定試薬3mlと混合し、37℃で10分間インキュベート
した後、波長600nmにおける吸光度を測定し、HDLコレステロール濃度を
求める。
により測定された検体中のHDLコレステロール濃度を比較したとき、沈殿法(b)
に対する方法(a1)又は(a2)の測定値の相関係数が0.922以上となるポ
リオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレン
トリベンジルフェニルエーテルであるエマルゲン(登録商標)A−60及びエマル
ゲン(登録商標)B66から選ばれる界面活性剤、
(ロ)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれるリポタン
パク質を溶解しない界面活性剤、
及び/又は
ポリアニオン、2価金属イオンを生成する物質若しくはポリアニオンと2価金属イ
オンを生成する物質の組み合わせから選ばれる血清リポタンパク質中のコレステロ
ールとコレステロール測定用酵素試薬との反応を阻害する効果を有する物質、
(ハ)コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの組み合わせ又
はコレステロールエステラーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼの組み合わせ
からなるコレステロール測定用酵素試薬、
を血清に添加し、リポタンパク質のうち、高比重リポタンパク質(HDL)中のコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間内にそのコレステロールの反応量を測定することを特徴とする高比重リポタンパク質コレステロールの定量法。 - ポリアニオンが、デキストラン硫酸、リンタングステン酸、ヘパリンから選ばれるものである請求項1記載の高比重リポタンパク質コレステロールの定量法。
- 2価金属イオンを生成する物質が、2価金属の塩化物及びこれらの水和物から選ばれるものである請求項1記載の高比重リポタンパク質コレステロールの定量法。
- 2価金属イオンを生成する物質が、MgCl2、CaCl2、MnCl2、NiCl2、及びこれらの水和物から選ばれるものである請求項1記載の高比重リポタンパク質コレステロールの定量法。
- 高比重リポタンパク質中のコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間内が、HDL中のコレステロールが反応し、HDL以外のリポタンパク質中のコレステロールが反応しない時間内である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高比重リポタンパク質コレステロールの定量法。
- 高比重リポタンパク質中のコレステロールが優先的にコレステロール測定用酵素試薬と反応する時間が、12−312秒である請求項1〜5のいずれか1項に記載の高比重リポタンパク質コレステロールの定量法。
- 次の成分(イ)〜(ハ)、
(イ)以下の方法(a1)又は(a2)、
(a1)血清検体3μlに、100mMのMES緩衝液(第一試薬;pH6.5)
300μlを添加し、約5分後に、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエー
テル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ば
れる界面活性剤1%、コレステロールエステラーゼ1U/ml、コレステロール
オキシダーゼ1U/ml、パーオキシダーゼ5U/ml、ジスルフホブチルメタ
トルイジン0.04%及び4−アミノアンチピリン0.004%を含む100m
MのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第二試薬)
100μlを加え、第二試薬添加直前と添加後5分後の波長600nm(副波長
700nm)における吸光度を測定し、その差より血清検体中のHDLコレステ
ロール濃度を求める。
(a2)血清検体3μlに、100mMのMES緩衝液(第一試薬;pH6.5)
300μlを添加し、約5分後に、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエー
テル及びポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルから選ば
れる界面活性剤1%、コレステロールエステラーゼ1U/ml、コレステロール
オキシダーゼ1U/ml、パーオキシダーゼ5U/ml、ジスルフホブチルメタ
トルイジン0.04%及び4−アミノアンチピリンを含む100mMのMES緩
衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第二試薬)100μlを
加え、第二試薬添加後、12秒から24秒までの波長546nm(副波長660
nm)における吸光度変化を測定し、血清検体中のHDLコレステロール濃度を
求める。
により測定された検体中のHDLコレステロール濃度と、
以下の沈殿法(b)、
(b)デキストラン硫酸0.3%及び塩化マグネシウム2%を含む水溶液200μ
lを血清検体200μlと混和し、3000rpmで10分間遠心分離を行った
上清50μlと、Triton(登録商標)X−100 1%、コレステロール
エステラーゼ1U/ml、コレステロールオキシダーゼ1U/ml、パーオキシ
ダーゼ5U/ml、ジスルフホブチルメタトルイジン0.04%及び4−アミノ
アンチピリン0.004%を含む100mMのMES緩衝液(pH6.5)から
なるコレステロール測定試薬3mlと混合し、37℃で10分間インキュベート
した後、波長600nmにおける吸光度を測定し、HDLコレステロール濃度を
求める。
により測定された検体中のHDLコレステロール濃度を比較したとき、沈殿法(b)
に対する方法(a1)又は(a2)の測定値の相関係数が0.922以上となるポ
リオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキレン
トリベンジルフェニルエーテルであるエマルゲン(登録商標)A−60及びエマル
ゲン(登録商標)B66から選ばれる界面活性剤
(ロ)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれるリポタン
パク質を溶解しない界面活性剤、
及び/又は
ポリアニオン、2価金属イオンを生成する物質若しくはポリアニオンと2価金属イ
オンを生成する物質の組み合わせから選ばれる血清リポタンパク質中のコレステロ
ールとコレステロール測定用酵素試薬との反応を阻害する効果を有する物質
(ハ)コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの組み合わせ又
はコレステロールエステラーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼの組み合わせ
からなるコレステロール測定用酵素試薬
を含有する請求項1に記載の高比重リポタンパク質コレステロールの定量法に用いるための高比重リポタンパク質コレステロール測定用試薬又は試薬キット。 - ポリアニオンが、デキストラン硫酸、リンタングステン酸、ヘパリンから選ばれるものである請求項7記載の高比重リポタンパク質コレステロール測定用試薬又は試薬キット。
- 2価金属イオンを生成する物質が、2価金属の塩化物及びこれらの水和物から選ばれるものである請求項7記載の高比重リポタンパク質コレステロール測定用試薬又は試薬キット。
- 2価金属イオンを生成する物質が、MgCl2、CaCl2、MnCl2、NiCl2、及びこれらの水和物から選ばれるものである請求項7記載の高比重リポタンパク質コレステロール測定用試薬又は試薬キット。
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JP2007202821A JP2007295935A (ja) | 2007-08-03 | 2007-08-03 | コレステロールの定量法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2017060522A (ja) * | 2016-12-20 | 2017-03-30 | デンカ生研株式会社 | 高密度リポ蛋白(hdl)中のコレステロールの定量方法 |
CN114134202A (zh) * | 2021-11-26 | 2022-03-04 | 深圳市雷诺华科技实业有限公司 | 一种无机杂化纳米花进行高密度脂蛋白胆固醇测定的方法 |
-
2007
- 2007-08-03 JP JP2007202821A patent/JP2007295935A/ja active Pending
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CN114134202B (zh) * | 2021-11-26 | 2022-12-13 | 深圳市雷诺华科技实业有限公司 | 一种无机杂化纳米花进行高密度脂蛋白胆固醇测定的方法 |
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