JP2007121878A - 光コネクタの接続工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】メカニカルスプライスを内蔵する心線用コネクタ及び外被把持用コネクタの双方において良好な作業性及び信頼性の高い接続状態を実現する接続工具を提供する。
【解決手段】接続工具1は、基板11の上に設けられた心線用コネクタ接続部12及び外被把持用コネクタ接続部13を有する。心線用コネクタ接続部12は、心線用コネクタを位置決めするためのガイド部材121と、接続作業時に後述する第1心線ホルダを心線の長手方向Dにのみ可動に支持する心線ホルダガイドレール122とを有する。またガイドレール122は、心線ホルダの可動範囲を規定する前進ストッパ124及び後退ストッパ125を有する。
【選択図】図1
【解決手段】接続工具1は、基板11の上に設けられた心線用コネクタ接続部12及び外被把持用コネクタ接続部13を有する。心線用コネクタ接続部12は、心線用コネクタを位置決めするためのガイド部材121と、接続作業時に後述する第1心線ホルダを心線の長手方向Dにのみ可動に支持する心線ホルダガイドレール122とを有する。またガイドレール122は、心線ホルダの可動範囲を規定する前進ストッパ124及び後退ストッパ125を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、メカニカルスプライス内蔵型の光コネクタの接続工具に関する。
近年、光ファイバを内蔵する現場取付け型の光コネクタが、FTTH(Fiber to the Home)等の光ファイバネットワークの敷設に使用されている。これらのコネクタは、例えば特許文献1に記載されるように、内部にいわゆるメカニカルスプライス(被覆を除去した光ファイバの素線の端面同士を突き合わせた状態で融着や接着を行わずに恒久的に接続する機構)を内蔵している。施工現場で光ファイバの被覆除去、清掃、切断等の前処理がなされたファイバをコネクタ内部に挿入し、コネクタ内に内蔵されたメカニカルスプライスで接続することにより、コネクタ端面の研磨を現場で行うことなく短時間に光ファイバにコネクタを取付けることが可能になる。
一般に、メカニカルスプライスを内蔵する心線用コネクタにおいては、現場で処理した2つの光ファイバの先端が互いに突き合わせられる。このときに確実な突き合わせ状態を確保するために、コネクタ内部で光ファイバがいくらか撓むように、光ファイバはコネクタに向かって付勢される。この撓みによる反力を利用して、2つの光ファイバの先端の突き合わせが維持される。例えば特許文献2には、心線用コネクタのメカニカルスプライス内部での光ファイバへの簡易な接続を企図した接続治具が開示されている。
また、引込みケーブル(いわゆるドロップケーブル)と呼ばれる構造のケーブルに対応したメカニカルスプライス内蔵型ファイバ(いわゆる外被把持型コネクタ)も開発され、実際に使用されている。この外被把持型のコネクタにおいても、スタブファイバと現場処理した光ファイバの先端とを突き合わせるために、光ファイバはコネクタに向かって付勢される。
特許文献2に記載の接続治具を用いる場合、作業者は光ファイバの心線を任意の位置で保持してコネクタに挿入するので、ファイバの撓み量が一定しない。これは、ファイバの先端に作用する突き合わせ力が各接続操作間で一定にならないことを意味し、コネクタの接続特性のばらつきを大きくする原因となり得る。また、ファイバの挿入が正常に行われたか否かの判断を撓み量から判断することもできない。
一方、外被把持型コネクタについては、スタブファイバと現場処理された光ファイバの先端との突き合わせ状態を維持したままメカニカルスプライスのエレメントを閉じて、ファイバの調心及び固定を行う接続工具が開発されている。この場合はファイバの処理長さが一定なので、撓み量も各操作間で一定であり、故に撓み量を確認することでファイバの挿入が適切に行われているか否かを判断することができる。しかし、作業者は片方の手でケーブルを押えて撓み量を保持しつつ、もう片方の手でエレメントを閉じる操作を行う必要があるため、両手が塞がれることになり作業性が悪い。
また、上述の心線用コネクタにおいても、コネクタ特性の安定性及び作業の容易さから、外被把持用コネクタと同様又は類似の手順で2つのファイバを接続可能な接続工具が求められている。
そこで本発明は、メカニカルスプライスを内蔵する心線用コネクタ及び外被把持用コネクタの双方において良好な作業性及び信頼性の高い接続状態を実現する接続工具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、メカニカルスプライスを内蔵する光コネクタに、直径0.25mm又は0.5mmの心線からなる光ファイバを接続するための接続工具であって、前記心線を保持するベース部材、及び該ベース部材の前端部に取り付けられるとともに、該ベース部材に保持された前記心線の長手方向に、前記ベース部材に対して所定長さだけ移動可能に構成されたヘッド部材を有する心線保持手段と、前記光コネクタ及び前記心線保持手段を、各々の長手方向が一致するように配置するための位置決め手段と、前記心線保持手段を、該心線保持手段で保持した前記心線の長手方向に移動させて、該心線の先端を前記メカニカルスプライス内に挿入するとともに前記心線に予め定めた量の撓みを生じさせる撓み発生手段と、前記心線保持手段を、前記心線が前記予め定めた量の撓みを有する状態に保持する撓み保持手段と、前記メカニカルスプライスを閉じる接続手段と、を有することを特徴とする接続工具を提供する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の接続工具において、前記撓み保持手段は、前記心線が前記予め定めた量の撓みを有する状態で前記心線保持手段の位置を固定するストッパを有する、接続工具を提供する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の接続工具において、前記心線保持手段の前記ベース部材は、前記心線保持手段の全長が最も長くなるような相対位置に前記ヘッド部材があるときに該ヘッド部材の前端面と同一面を形成する舌部を前記ベース部材の前記前端部に有する、接続工具を提供する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の接続工具において、前記光ファイバは直径0.5mmの心線であり、前記心線保持手段は、前記ヘッド部材の前記前端面から突出する心線を規定長さだけ収容する溝を備えた突起を有する、接続工具を提供する。
請求項5に記載の発明は、メカニカルスプライスを内蔵する光コネクタに、直径0.25mm又は0.5mmの心線を内包する外被を備えたケーブルからなる光ファイバを接続するための接続工具であって、前記光コネクタ及び前記ケーブルを、各々の長手方向が一致するように配置するための位置決め手段と、前記ケーブルを、該ケーブルの長手方向に移動させて、該ケーブルの露出された心線の先端を前記メカニカルスプライス内に挿入するとともに前記心線に予め定めた量の撓みを生じさせる撓み発生手段と、前記ケーブルを、前記心線が前記予め定めた量の撓みを有する状態に保持する撓み保持手段と、前記メカニカルスプライスを閉じる接続手段と、前記撓み保持手段による前記ケーブルの保持を解除するとともに、前記ケーブルを該ケーブルの長手方向にのみ可動にする固定解除手段と、を有することを特徴とする接続工具を提供する。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の接続工具において、前記撓み保持手段は前記ケーブルを把持する把持具であり、前記固定解除手段は前記把持具を押し開いた状態に保持して該把持具による前記ケーブルの把持を解除するように構成される、接続工具を提供する。
本発明に係る接続工具によれば、メカニカルスプライスを用いた光ファイバ接続時に望まれるファイバの撓みを定量的かつ容易に生じさせることができ、故にメカニカルスプライスでの確実な接続が可能になる。またファイバを撓んだ状態に保持することができるので、作業者は両手が塞がることがなく、作業性が向上する。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は、本発明に係る光コネクタの接続工具1の上面図である。なお本明細書において光コネクタなる用語は、本発明において光ファイバが接続される心線用コネクタ及び外被把持用コネクタの総称として用いられる。また接続工具1により光コネクタに接続可能な光ファイバは、図2(a)に示す直径0.25mmの心線2A及びその心線を内蔵する外被付ケーブル(いわゆるドロップケーブル)、並びに図2(b)に示す直径0.5mmの心線2B及びその心線を内包する外被付ケーブルである。心線2Aは直径0.125mmの石英ガラス21A及びUV被覆22Aを有し、心線2Bは直径0.125mmの石英ガラス21B及びUV被覆22Bに加え、被覆22Bの外側にさらなるUV被覆23Bを備えた構造を有する。心線2Bの方が強度や取扱い面で有利であるが、後述する接続方法において被覆23Bのみを除去する作業を要する。
図1(a)及び(b)は、本発明に係る光コネクタの接続工具1の上面図である。なお本明細書において光コネクタなる用語は、本発明において光ファイバが接続される心線用コネクタ及び外被把持用コネクタの総称として用いられる。また接続工具1により光コネクタに接続可能な光ファイバは、図2(a)に示す直径0.25mmの心線2A及びその心線を内蔵する外被付ケーブル(いわゆるドロップケーブル)、並びに図2(b)に示す直径0.5mmの心線2B及びその心線を内包する外被付ケーブルである。心線2Aは直径0.125mmの石英ガラス21A及びUV被覆22Aを有し、心線2Bは直径0.125mmの石英ガラス21B及びUV被覆22Bに加え、被覆22Bの外側にさらなるUV被覆23Bを備えた構造を有する。心線2Bの方が強度や取扱い面で有利であるが、後述する接続方法において被覆23Bのみを除去する作業を要する。
図3及び図4は、それぞれ心線2A又は2Bを接続するための心線用コネクタ3、及び心線2A又は2Bを内包するドロップケーブルを接続するための外被把持用コネクタ4を示す。心線用コネクタ3は、図示しないメカニカルスプライスを内蔵し、作動部材31を押し込むことにより、メカニカルスプライスにおいてスタブファイバ及び心線の端面同士の接続を行うように構成される。なお典型的なメカニカルスプライスは、本願と同一出願人による特願2004−210251号及び特願2004−210357号に記載されている。接続された心線は、エンドキャップ32によって案内される。また外被把持用コネクタ4は、同様のメカニカルスプライスを内蔵し作動部材31と同様の作動部材41を有する点で心線用コネクタ3と同じであるが、エンドキャップ42の構成が心線用のエンドキャップ32とは異なる。すなわち、エンドキャップ42は、ドロップケーブルを把持した把持部材(後述)を受容する受容孔421を有し、把持部材とエンドキャップ42とは固定部材43によって固定される。なお図3及び図4はいずれも雄コネクタを示しており、それぞれに対応する雌コネクタも本発明に係る接続工具1によって光ファイバと接続可能であるが、以降の説明に関しては雄コネクタと雌コネクタとの間に差はないので、雌コネクタについての説明はここでは省略する。
図1(a)に示すように、接続工具1は、基板11の上に設けられた心線用コネクタ接続部12及び外被把持用コネクタ接続部13を有する。心線用コネクタ接続部12は、上述の心線用コネクタ3を位置決めするためのガイド部材121と、接続作業時に後述する第1心線ホルダを心線の長手方向Dにのみ可動に支持する心線ホルダガイドレール122とを有する。ガイド部材121により、心線用コネクタ3は点線で示すコネクタ配置部位123に正確に位置決めされる。またガイドレール122は、心線ホルダの可動範囲を規定する前進ストッパ124及び後退ストッパ125を有する。後退ストッパ125は、自らの下方に配置された図示しないスプリングによって上下方向(図1(a)において紙面に垂直な方向)に可動に構成され、ガイドレール122上に心線ホルダが置かれていない自由な状態のときはガイドレール122から突出する。
一方、外被把持用コネクタ接続部13は、上述の外被把持用コネクタ4を位置決めするための、心線用コネクタ接続部12のガイド部材121と同様のガイド部材131と、接続作業時にドロップケーブルを固定するケーブル把持具132とを有する。ガイド部材131により、外被把持用コネクタ4は点線で示すコネクタ配置部位133に正確に位置決めされる。また把持具132の近傍には、把持具132によるドロップケーブルの固定すなわち把持を解除するとともにドロップケーブルをケーブル長手方向Dにのみ可動に案内する固定解除部材134が設けられる。またコネクタ配置部位133とケーブル把持具132との間には、ドロップケーブルを把持した把持部材を案内する把持部材ガイド135が設けられる。さらに外被把持用コネクタ接続部13は、上述の固定部材43をコネクタ4に押し込むための固定部材押圧レバー136を有する。
図1(a)及び(b)に示すように、接続工具1は、ヒンジ14によって基板11に枢着された接続レバー15を有する。接続レバー15は2つの突起151及び152を有し、これらの突起は、ファイバ接続作業時に、接続レバーが基板11に対して回転して点線で示す位置に移動したときに、配置部位123又は133に配置されたコネクタ3又は4の作動部材31又は41を押して、それにより各コネクタに内蔵されたメカニカルスプライスでの光ファイバの接続がなされる。
次に、心線ホルダの構成について説明する。心線ホルダは、外被を有さない直径0.25mm又は0.5mmの心線ファイバを光コネクタに接続する際に使用する。本発明では直径によって心線ホルダを使い分けるので、先ず直径0.25mm用の心線ホルダ5について説明する。
図5(a)は、接続工具1のガイドレール122上で使用される第1心線ホルダ5の斜視図である。図示するように、第1心線ホルダ5は、直線状の溝511を全長に亘って備えたベース部材51と、ヒンジ52によってベース部材51の後部512に枢着されたカバー部材53と、略直方体に形成されたベース部材51の前部513に嵌合するとともに前部513に対して溝511の長手方向に所定の長さだけ相対移動可能に構成されたヘッド部材54とを有する。ヘッド部材54の両側面には長孔541が設けられており(図では片側のみ図示)、長孔541に挿通可能なネジ又はピン55がヘッド部材54の前部513に取り付けられる。このような構成により、前部513に対するヘッド部材54の相対移動距離が規定される。また上面図5(b)に示されるように、前部513とヘッド部材54との間にはスプリング56が配置され、スプリング56は前部513とヘッド部材54とが最も離れた状態(すなわちホルダ全体としての全長が最も長くなる状態)になるようにヘッド部材54を付勢する。
またベース部材51のみを示す図6に示すように、ベース部材51は、前部513から溝511の長手方向に突出した舌部514を有する。舌部514は、ホルダ5全体としての全長が最も長い状態(図5(a))のときに、舌部の先端面515がヘッド部材54の前端面542と同一面を形成するように定められる。この構成の長所については後述する。
またカバー部材53は、図7に示すように、直径0.25mmの心線2Aが溝511に配置された後にヒンジ52を中心に回転することにより、溝511の上部を塞いで心線2Aが溝511から不意に外れることを防止する。また図5(a)及び(b)に示すように、ベース部材51の後部512に永久磁石57を設け、カバー部材53を磁石に吸引される材料から作製することにより、図6の状態からカバー部材がばたついて心線が溝511から外れることが確実に防止される。さらに、心線2Aに当接する後部512の面上及び図6の状態でその面に対向するカバー部材53の面上には、研磨紙やゴム等の摩擦係数の高い材料58が貼り付けられ、それにより、図7の状態で心線2Aが溝511の長手方向に移動することが防止される。
図8は、直径0.5mmの心線2Bに使用される第2心線ホルダ6の斜視図である。第2心線ホルダ6が第1心線ホルダ5と異なる点は、ヘッド部材64の前端面642に溝付きの突起643が設けられていることであり、他は第1心線ホルダと同様でよいので説明は省略する。突起643の作用については後述する。
次に、接続工具1を用いた光ファイバの光コネクタへの接続方法について説明する。上述のように接続工具1は心線用コネクタ3及び外被把持用コネクタ4の双方を扱うことができ、先ず外被把持用コネクタ4へのドロップケーブルの接続について説明する。
接続工具1を使用する前に、ドロップケーブルの前処理を行う。先ず図9(a)に示すように、心線2A又は2B(図示例では2A)を被覆21Cで被覆したドロップケーブル2Cの外被21Cの一部を除去し、直径0.25mmの心線2Aを露出させる。ケーブル2Cに内包されている心線が直径0.5mmの2Bである場合は、NTT−AT社製のファイバニッパ等の適当な工具を用いて心線2Bの外側の被覆23B(図2(b)参照)のみを除去し、露出する心線の直径が0.25mmとなるようにする。次に、図9(b)に示すように、残った被覆21Cの端部に把持部材44を取り付ける。把持部材44は、その内部に被覆21Cを確実に把持する爪(図示せず)を有する。
次に図9(c)に示すように、露出した心線2A(又は被覆23Bが除去された心線2B)の被覆22A(又は22B)を除去し、ガラス21A(又は21B)を露出させる。このとき、直径0.25mmの被覆22A(又は22B)の長さXは正確に規定する必要があり、そのためのツールとして例えば「FAコネクタ用フォルダ」の品名で古河電気工業により市販されている前処理用ホルダ(図示せず)を使用することができる。この前処理用ホルダでドロップケーブルを把持して、直径0.25mm用の被覆除去ツールで被覆を除去することができる。この被覆除去ツールとしては、古河電気工業株式会社製のFAコネクタ用メカニカルストリッパ(図示せず)が使用可能である。最後に、ファイバ清掃後、前処理用ホルダを適当なファイバカッタに載せ、光ファイバ(すなわちガラス21A又は21B)を規定長に切断する。ファイバカッタは市販のカッタが各種使用できるが、その一例は住友電気工業製のFC−7(図示せず)である。以上でドロップケーブル2Cの前処理が完了する。
ケーブルの前処理が完了したら、接続工具1による接続を行う。先ず、図10に示すように、上述の外被把持用コネクタ4を外被把持用コネクタ接続部13の配置部位133に配置する。次に、前処理されたドロップケーブル2Cを、把持部材44が把持部材ガイド135に支持されるように外被把持用コネクタ接続部13に配置する。このとき光ファイバの先端は、光コネクタ4のエンドキャップ42の上面に形成されたスリット422(図4参照)を通り、光コネクタ4内の図示しないメカニカルスプライスの挿入口近傍に位置する。
図10の状態からケーブル2Cを光コネクタ4に向けてケーブル長手方向に徐々に移動させていくと、ファイバ先端がメカニカルスプライス内に入り、内部のファイバスタブと接触する。この状態からケーブル2Cをさらに前進させると、ケーブル2Cの心線2A(上述の長さXの部分)が、把持部材44とメカニカルスプライス挿入口との間(すなわちスリット422がある位置)で撓みを生じる。この撓みは、光ファイバ先端とファイバスタブ先端との常時接触を保つための力を発生させる。次に、この状態でケーブル2Cを把持具132によって固定し、心線2Aが撓んだ状態を維持する。把持具132はその下部に設けられたスプリング137(図1(b)参照)の付勢力によりケーブル2Cを把持する。従ってこれ以降の作業はケーブルから手を離して行うことができる。また、心線の撓みは機械的に保持されているため、作業者のミスで不用意に撓みが解除されたり撓み量が変化したりすることもない。
ケーブル2Cを固定し心線2Aが撓んでいる状態で、図11に示すように、接続工具1の接続レバー15を押し下げ、コネクタ4の作動部材41(図4参照)を押し下げる。これにより、メカニカルスプライスのエレメントが閉じられ、ケーブル2Cのガラス21A又は21Bとファイバスタブとが調心され固定される。
上述のようにファイバ2Cの心線2Aの撓みは、メカニカルスプライスでの接続が完了するまでは必要であるが、その後は不要であるばかりか、曲げ損失という光の減衰をもたらす虞がある。そこで次に、図1(b)に類似する図12に示すように、固定解除部材134を押し下げて把持具132を押し開き、把持具132によるケーブル固定を解除する。図11の状態では、ケーブル2Cは光コネクタ4に対して、メカニカルスプライスでのファイバ先端においてのみ接続されており、僅かな外力によってもファイバ(特に先端)が破損する虞がある。また、ケーブル2Cのような外被付きのケーブルには一般的に曲がり癖がついているため、把持具132を開いてケーブルを解除しようとしたときに、ケーブルが暴れてファイバ先端に好ましくない力がかかり得る。このような問題は、固定解除部材134により解消される。すなわち、固定解除部材134はヒンジを介して把持具132と連結され、ケーブル2Cを解放するときは、固定解除部材134を回転させて把持具132に押込む。固定解除部材134は把持具132を押し開いた状態に保持してケーブル2Cの固定を解除するとともに、把持具132と協働してケーブル2Cを実質的にケーブル長手方向D(図1(a)参照)にのみ可動に案内する。換言すれば、ケーブル2Cは固定解除後に不意に暴れることがなく、撓んだ心線2Aの反発力によって、撓みがなくなるまで長手方向Dに沿って後退する。従って、ファイバ先端に好ましくない力をかけることなく簡単な操作で心線の撓みを除去することができる。
心線の撓みが除去されたら、図13に示すように、接続工具1の固定部材押圧レバー136を押込み、固定部材43(図4参照)で光コネクタ4のエンドキャップ42と把持部材44とを固定する。以上により、ドロップケーブル2Cと光コネクタ4との接続が完了する。
次に、心線用コネクタ3と心線2A又は2Bとの接続方法を説明するが、先ず直径0.25mmの心線2Aの場合について説明する。先ず図7に示したように、上述の第1心線ホルダ5によって心線2Aを保持する。すなわち、心線ホルダ5のカバー部材53を開き、心線2Aをヘッド部材54先端から規定のファイバ切断長を得るのに必要な長さ以上突出するようにベース部材51に載せ、カバー部材53を閉じる。
次に、図14(a)に示すように、心線2A用の第1前処理ホルダ7に、心線2Aを保持した第1心線ホルダ5を保持させて、適当な被覆除去ツール及びファイバカッタを使用して心線2Aの前処理を行なう。第1前処理ホルダ7は、心線ホルダ5を支持するベース部71と、ベース部71に対して枢着されたカバー部72とを有し、さらにベース部71は、心線ホルダ5のベース部51、ヘッド部材54及びヘッド部材54から突出した心線2Aをそれぞれ受容するベース受容凹部711、ヘッド受容凹部712及び溝713を有する。ヘッド受容凹部712がヘッド部材54の外形の相補形状を有することと、さらにカバー部72を用いることとにより、前処理ホルダ7に保持された心線ホルダ5は前処理ホルダ7に対して確実に固定される。また図14(b)に示すように、ベース部材51が上述の舌部514を有し、舌部の先端面515がヘッド部材54の前端面542と同一面を形成するように定められることから、前処理ホルダ7に保持された状態では舌部の先端面515がヘッド部材54の前端面542がいずれもヘッド受容凹部の壁面712aに当接し、ベース部材51に対するヘッド部材54の相対移動が防止される。従って被覆除去ツールやファイバカッタによる被覆除去長さや切断長が前処理毎に変化することがなく、安定した前処理を行うことができる。
次に、図15に示すように、心線2Aを接続すべき心線用光コネクタ3を接続工具1の心線用コネクタ接続部12の配置部位123に配置し、第1心線ホルダ5を第1前処理用ホルダ7から取り外し、接続工具1の心線ホルダガイドレール122に載せる。このとき、図示するように、心線ホルダ5のベース部材51の後部512がガイドレール122の右端部122aに当接するように心線ホルダ5を配置すると、切断された心線2Aの先端が光コネクタ3手前の適所に位置するようになっている。
次に、心線2Aの先端が光コネクタ3のエンドキャップ32のファイバ挿入口に入ることを確認しながら、心線ホルダ5を光コネクタ3に向けてガイドレール122上を滑らせるように移動させる。心線ホルダ5のヘッド部材54の前端面542が接続工具1の前進ストッパ124に当接すると、ヘッド部材54はそれ以上前進できなくなるが、ベース部材51はヘッド部材54に対して移動可能なので、ベース部材51のみをさらに押込むことができる。このとき、ベース部材51とヘッド部材54に配置されたスプリング56(図15参照)が圧縮される。また上述のベース部材51の研磨紙58(図5参照)の作用によって心線2Aはベース部材51に対して長手方向に移動しないので、心線2Aはベース部材51の動きに連動してコネクタ3の内部に前進していく。
光コネクタ3内部に進入しれた心線2Aがコネクタ3に内蔵されたファイバスタブ(図示せず)の先端に当接すると、ヘッド部材54の前端面542からカバー部材53の先端部531までの間にある心線2Aが撓んでくる。図16の状態、すなわちベース部材51がこれ以上前進できない位置)までベース部材51が前進すると、ガイドレール122の後退ストッパ125が持ち上がってベース部材51の後部512に当接し、心線ホルダ5の後退を防ぐ。この状態において心線ホルダ5から手を離しても、心線2Aの撓みは維持される。このようにして撓みが維持された状態で、接続工具1の接続レバー15を閉じてメカニカルスプライスによる接続を行う。
なお、心線ホルダ5のヘッド部材54の前端面542から光ファイバ2Aの先端までの距離を、光コネクタ3に内蔵されているメカニカルスプライスのスタブファイバの端面から光コネクタ3の端部(エンドキャップ32)までの距離よりも、撓み発生のための心線ホルダ押し込み長さ以上長くすることができるのであれば、心線ホルダ5自体は伸縮機構(すなわち相対移動可能なベース部材及びヘッド部材)を有する必要はない。しかしながら、既存コネクタとのファイバ前処理用の工具類の互換性を保つために、上述の長さが確保できない場合も少なくない。従って本発明では、心線ホルダ自体が伸縮機構を備えることにより、予め定めた量の撓みを、作業者の熟練度等に左右されることなく容易に生じさせることを可能にしている。
また上述のように、本発明による心線ホルダを使用して心線用コネクタを接続すると、接続工程を外被把持用コネクタの接続工程と殆ど同じにすることができ、作業者がコネクタ種類ごとに別の作業手順を覚える必要がない。
次に、直径0.5mmの心線2Bの場合について説明する。この場合は、直径0.5mmの被覆23Bのみを除去して直径0.25mmの被覆22Bを露出させる作業が必要であり、その露出長さを容易かつ正確に規定するために、図8に示した第2心線ホルダ6を使用する。以降の心線2Bの接続作業の説明は、心線2Aの接続作業と異なる部分についてのみ行う。
心線2Bの外側の被覆23Bを除去する場合、第2心線ホルダ6から突出する被覆23Bの長さを規定するために、上述の溝付き突起643の先端を基準とする。具体的には、適当な被覆除去ツールを突起643に対して押付けてから、被覆除去ツールを閉じてツールの被覆除去刃を被覆23Bに切り込ませ、被覆除去ツールを閉じたまま前方に動かして被覆23Bを除去する。従って被覆23Bが除去された後は、突起643の先端から被覆除去ツールの刃の厚み分だけ離れた位置から、直径0.25mmの被覆22Bが露出することになる。
本発明に係る第2心線ホルダ6では、突起643がヘッド部材64と一体になっているため、ヘッド部材64を指で固定しながら被覆23Bを除去すれば、その除去長を正確に保てる。心線ホルダ先端部の構成として、突起のみが心線ホルダに対して可動である構造も可能であるが、そのような構造では被覆除去時に突起を押さないように注意が必要となる。突起を押さないような形状の被覆除去ツールを使用することも可能だが、ツール選択の余地を狭めてしまう。その点、本発明のような構成とすると、被覆除去ツールの種類を選ばずに、被覆除去長を一定にすることができる。
被覆23Bが除去された心線2Bを保持した第2心線ホルダ6は、心線2Aを保持した第1心線ホルダ5の場合と同様に、第2前処理用ホルダ8に保持される(図17参照)。第2前処理ホルダ8が有する第1前処理ホルダ7と同様の構成要素については、参照符号の頭の数字を7から8に変更して示してある。但し、第2前処理用ホルダ8は、第2心線ホルダ6の突起643を受容する溝814をさらに有する。なお第2前処理ホルダ8においても、ベース部材81が有する舌部によって、第2前処理ホルダに保持された状態では第2心線ホルダのベース部材61に対するヘッド部材64の相対移動が防止され、後の工程でファイバの切断長が不適切になることが防止される。
第2心線ホルダ6を用いた以降の作業については、上述の第1心線ホルダ5を用いた作業と同様に行うことができる。但し第2心線ホルダ6は突起643を有するので、心線2Bにおける直径0.5mmの部分の長さが正確に規定され、ファイバ接続が完了した後に曲げを受け得るファイバの部分を強度の高い直径0.5mmの部分のみに限定することができる。
1 接続工具
2A、2B 心線
2C ドロップケーブル
3、4 光コネクタ
5、6 心線ホルダ
7、8 前処理ホルダ
2A、2B 心線
2C ドロップケーブル
3、4 光コネクタ
5、6 心線ホルダ
7、8 前処理ホルダ
Claims (6)
- メカニカルスプライスを内蔵する光コネクタに、直径0.25mm又は0.5mmの心線からなる光ファイバを接続するための接続工具であって、
前記心線を保持するベース部材、及び該ベース部材の前端部に取り付けられるとともに、該ベース部材に保持された前記心線の長手方向に、前記ベース部材に対して所定長さだけ移動可能に構成されたヘッド部材を有する心線保持手段と、
前記光コネクタ及び前記心線保持手段を、各々の長手方向が一致するように配置するための位置決め手段と、
前記心線保持手段を、該心線保持手段で保持した前記心線の長手方向に移動させて、該心線の先端を前記メカニカルスプライス内に挿入するとともに前記心線に予め定めた量の撓みを生じさせる撓み発生手段と、
前記心線保持手段を、前記心線が前記予め定めた量の撓みを有する状態に保持する撓み保持手段と、
前記メカニカルスプライスを閉じる接続手段と、
を有することを特徴とする接続工具。 - 前記撓み保持手段は、前記心線が前記予め定めた量の撓みを有する状態で前記心線保持手段の位置を固定するストッパを有する、請求項1に記載の接続工具。
- 前記心線保持手段の前記ベース部材は、前記心線保持手段の全長が最も長くなるような相対位置に前記ヘッド部材があるときに該ヘッド部材の前端面と同一面を形成する舌部を前記ベース部材の前記前端部に有する、請求項2に記載の接続工具。
- 前記光ファイバは直径0.5mmの心線であり、前記心線保持手段は、前記ヘッド部材の前記前端面から突出する心線を規定長さだけ収容する溝を備えた突起を有する、請求項3に記載の接続工具。
- メカニカルスプライスを内蔵する光コネクタに、直径0.25mm又は0.5mmの心線を内包する外被を備えたケーブルからなる光ファイバを接続するための接続工具であって、
前記光コネクタ及び前記ケーブルを、各々の長手方向が一致するように配置するための位置決め手段と、
前記ケーブルを、該ケーブルの長手方向に移動させて、該ケーブルの露出された心線の先端を前記メカニカルスプライス内に挿入するとともに前記心線に予め定めた量の撓みを生じさせる撓み発生手段と、
前記ケーブルを、前記心線が前記予め定めた量の撓みを有する状態に保持する撓み保持手段と、
前記メカニカルスプライスを閉じる接続手段と、
前記撓み保持手段による前記ケーブルの保持を解除するとともに、前記ケーブルを該ケーブルの長手方向にのみ可動にする固定解除手段と、
を有することを特徴とする接続工具。 - 前記撓み保持手段は前記ケーブルを把持する把持具であり、前記固定解除手段は前記把持具を押し開いた状態に保持して該把持具による前記ケーブルの把持を解除するように構成される、請求項5に記載の接続工具。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2005
- 2005-10-31 JP JP2005316678A patent/JP2007121878A/ja active Pending
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