JP2006116757A - インクジェット印刷物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のインクジェット印刷物は、印刷基材10上に硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインクジェット印刷インキで、実質的に基材の色調と同色であって基材と判別できないように画像2が形成されており、当該画像2部分を硬貨で摩擦、引っ掻き等することにより、削られた硬貨の金属で印刷部分を着色して着色した画像5があらわれることを特徴とする。他の実施形態では、1の領域における上記画像とともに、他の領域に硬貨の金属と同等か、もしくはそれよりも小さな硬度を有する比較的柔らかい材料を含むインキで画像が形成されている特徴がある。また、シリアル番号または通し番号3を同時に形成してもよい。
【選択図】図1
Description
これを解決する印刷物として、印刷基材上に硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインキで文字や絵柄の画像を印刷するもの、すなわち隠蔽層を設けず、その印刷部分を擦ると硬貨の金属が削り取られ、削り取られた金属によって印刷部分が着色され、より明瞭に視認し得る状態となることを利用したものがある。これには、特許文献1、特許文献2のような先行文献が知られている。
また、本願請求項3に記載するシリアル番号または通し番号の印刷に関し、従来、宝くじ等に抽選番号等を印字する場合は、特許文献3のように特別な番号印字装置を用いるのが通常である。また、宝くじ等ではないが、カードにカード番号を設ける場合に、ノンインパクトプリンタを用いる例が、特許文献4に記載されている。
有版印刷の場合、シリアル番号を印刷できないので、それらを隠蔽した状態で提供するには、一旦、基材にデータ出力印刷可能な方式でシリアル番号印刷を行ってから、別工程で、スクラッチ印刷やクリスタルプリントなどの隠蔽加工を施す必要があった。前者は銀や金などの隠蔽インキをコインで削り取るタイプであり、スクリーン印刷により製造されている。後者は隠蔽インキを粘着テープで剥離するタイプであり枚葉グラビア印刷等により製造されている。
特許文献3のように、特別な印刷装置を使用したり、特許文献4のようにインパクトプリンタを使用するのでは、工程の複雑化やコスト問題を回避できない。
そこで、刷版を用いない顕像化可能印刷物、特にシリアル番号または通し番号を有する印刷物を、1回の印刷工程で完成することを研究して本発明の完成に至ったものである。
請求項2の発明では、顕像可能な画像が、硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインクジェット印刷インキで第1の領域に印刷され、かつ他の第2の領域に硬貨の金属と同等か、もしくはそれよりも小さな硬度を有する比較的柔らかい材料を含むインキで画像が形成されているので、画像を出現させる前において隠し画像を一層見え難くすることができる。また、当該インクジェット印刷物は刷版を用いないで、1回の工程で印刷できるので、生産性、コスト低減に同様に寄与できる。
請求項3の発明は、インクジェット印刷物が画像に加えて、インクジェット印刷によるシリアル番号または通し番号を印刷する場合であるが、この場合でも、1回の工程で印刷できるので、生産性、コスト低減に同様に寄与できる。
第1実施形態のインクジェット印刷物1は、図1(A)のように、基材10の上に、硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインクジェット印刷インキで画像2が形成されている。必要により、シリアル番号または通し番号(以下、「シリアル番号等」とも表記する)3を同時に印刷してもよい。なお、シリアル番号とは、必ずしも連続しないが、異なる数値を付した番号を意味し、通し番号とは、異なる連続した数値を付した番号を意味するものとする。
図1の場合、シリアル番号等3は潜像画像とした例が図示されているので、以下、図1に従って説明する。
図2では図示していないが必要により、シリアル番号等も硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインクで同時に同様に印刷してよい。
画像2、画像4が、その表面を硬貨で擦る前は基材10と同色であって視認できない状態が好ましいのは、第1実施形態の場合と同じである。シリアル番号等3は前記のように目的によって潜像画像としたり着色画像としたり使いわけする。画像2、画像4は画線やベタ刷りでも構成できるが、図2のように平網を均一に施すものであってもよい。平網とは一定の大きさの網点やドットを均一に印刷した画像をいう。
画像2は画像4に対しても区別できないようにして潜像を判別し難くするものなので、相互に近似する色調と光沢を有するものが好ましい。インクジェット印刷物における画像は、画像2または画像4のみから形成するものにかぎらず、同一のインクジェット印刷工程で印刷できれば、他の着色画像等が含まれていても構わないが、潜像画像と当該着色画像部分が同色になるように注意する。
白色の紙基材に印刷する場合は、材料として白色顔料、特に酸化チタン顔料の使用が考えられる。酸化チタン顔料はルチル型であってもアナターゼ型であってもよい。ただし、インクジェット記録方式では、一般には極めて微細な吐出口からインクを吐出するため、インクの粘度を低くする必要があり、微細な粒径の顔料にしなければ顔料が沈降してしまう問題がある。一般的には、0.05〜1.0μm、好ましくは、0.20〜0.50μm程度の粒径とするのが、沈降性と着色の点からは好ましい。硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の硬貨の金属と同等かもしくはこれ以下の硬度の比較的柔らかい材料も同等の粒径か、やや微粒にしたものを使用することができる。
白色以外の着色紙基材に印刷する場合は染料等により色彩を調整する必要がある。
樹脂の種類としては、例えば、水溶性のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。また、天然高分子であってもよく、その具体例としては、ゼラチン、カゼイン、アルブミンなどの蛋白質類、アラビアゴムなどの天然ゴム類がある。
これらの樹脂はアンモニア、アミン類等の中和材で中和してもよい。該アミン類としては、トリエチルアミン、ジメチルメタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等を挙げることができる。
インクジェットインク印刷の顕像化層に硬質の材料を用いるので、コート層にも硬質の材料が含まれる場合は、硬貨で摩擦した場合に双方の面で硬貨が削られて、着色の効果が減少するか区別し難くなるからである。
脱イオン水26.0質量部、2−アミノ−2−メチルプロパノール0.5質量部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂11.0質量部、ルチル型二酸化チタン62.0質量部、を撹拌、混合後に、ビーズミルにて分散を行って、平均粒径約0.32μmの白色顔料分散体組成物Iを得た。
上記顔料分散体組成物Iを用い、下記配合に従い、ポリエチレン製円筒型容器に顔料分散体を規定量採取し、分散機(ディスパー)にて撹拌しながら、脱イオン水、溶剤、分散剤および表面調整剤を順次添加した後、均一になるまで撹拌を行った。
[配合]
顔料分散体組成物I 32 質量部
脱イオン水 44 質量部
ジエチレングリコール 15 質量部
グリセリン 10 質量部
分散剤および表面調整剤 微量
上記で得られたインクジェット印刷インキIを、インクジェット印刷機のインキカートリッジに充填し、図1のように潜像画像2とシリアル番号3を白色用紙に印刷した。
用紙には、三菱製紙株式会社製(「ニューVマット」坪量310g/m2 )を使用した。印刷された潜像画像2とシリアル番号3は、白色の顔料しか含まないインキであるため視覚での視認が困難であった。このようにして得られた画像2とシリアル番号3を1円硬貨(アルミ製)で擦ると、黒色化して明瞭に視認できる状態になった。
脱イオン水48.0質量部、2−アミノ−2−メチルプロパノール1.0質量部、水酸基含有水溶性アクリル樹脂21.0質量部、微粒子硫酸バリウム(Mohs硬度2.6)29.0質量部、を撹拌、混合後に、ビーズミルにて分散を行って、平均粒径約0.20μmの顔料分散体組成物IIを得た。
上記顔料分散体組成物IIを用い、下記配合に従い、ポリエチレン製円筒型容器に顔料分散体を規定量採取し、分散機(ディスパー)にて撹拌しながら、脱イオン水、溶剤、分散剤および表面調整剤を順次添加した後、均一になるまで撹拌を行った。
[配合]
顔料分散体組成物II 40 質量部
脱イオン水 32 質量部
ジエチレングリコール 15 質量部
グリセリン 10 質量部
分散剤および表面調整剤 微量
上記で得られたインクジェット印刷インキIIと、先の実施例1で得られたインクジェット印刷インキIを、インクジェット印刷機のインキカートリッジに充填して、図2のように平網からなる潜像画像2を白色用紙の第1の領域に、画像4を第2の領域に、それぞれ印刷した。用紙には、三菱製紙株式会社製(「ニューVマット」坪量310g/m2 )を使用した。
印刷された平網画像は、いずれも白色の顔料しか含まないインキであるため視覚での視認が困難であった。このようにして得られた潜像画像2や画像4部分を1円硬貨(アルミ製)で擦ると、画像2部分は黒色化して明瞭に視認できる状態になったが、画像4部分は硬貨の金属よりも柔らかい顔料からなるので、黒色にはならなかった。したがって、全体として図2(C)のように黒色の円環状の画像が明瞭に視認できるようになった。
2 画像
3 シリアル番号または通し番号、シリアル番号等
4 画像
5 着色した画像
6 着色したシリアル番号または通し番号
7 第1の領域
8 第2の領域
10 基材
Claims (3)
- 印刷基材上に硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインクジェット印刷インキで、実質的に基材の色調と同色であって基材と判別できないように画像が形成されており、硬貨で摩擦、引っ掻き等をすることにより、削られた硬貨の金属で印刷部分を着色して画像があらわれることを特徴とするインクジェット印刷物。
- 印刷基材上の第1の領域に硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインクジェット印刷インキで、実質的に基材の色調と同色であって基材と判別できないように1の画像が形成されており、かつ他の第2の領域に硬貨の金属と同等か、もしくはそれよりも小さな硬度を有する比較的柔らかい材料を含むインキで画像が形成され、硬貨で摩擦、引っ掻き等をすることにより、前記第1の領域に、削られた硬貨の金属で印刷部分を着色して画像があらわれることを特徴とするインクジェット印刷物。
- 画像に加えて、シリアル番号または通し番号が印刷されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のインクジェット印刷物。
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