電解水とは、水を電解処理して得られる水溶液の総称であり、また電解水生成装置とは水を電気分解する機能を持つ、飲用のアルカリ性電解水(アルカリイオン水)や、外用の酸性電解水等を生成する装置をいう。
従来、電解水生成装置には、電極や隔膜を備えた電解槽に原水を連続的に通水しながら電極間に電圧を印加することで電解水を連続的に生成する連続式と、電解槽内に一定量の原水を貯留した状態で電極間に一定時間電圧を印加することにより電解水を生成する貯水式の、二方式がある。
従来の一般的な電解水生成装置の構成の模式図を図12及び図13に示す。
図12は、貯水式の電解水生成装置の構成の一例を示したものである。図示の例では、電解槽2内は隔膜5により陰極室2aと陽極室2bとに隔てられ、陰極室2aには陰極3aが、陽極室2bには陽極3bが、それぞれ配設されている。
このような電解水生成装置では、水道水等のカルシウムイオンを含む飲用可能な水(原水)を電解槽2内に貯留し、陰極3aと陽極3bとの間に一定時間電圧を印加することにより原水に直流電流を通電すると、原水に含まれるカルシウムイオン等の陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極に引き寄せられて、電極の表面において接触している水は電気分解されて下記に示した反応が起こる。
陰極反応
2H2O+2e- →H2+2OH-
Mn++nOH-→M(OH)n
陽極反応
H2O→1/2O2+2H++2e-
2Cl-→Cl2+2e-
Cl2(aq)+H2O→HCl+HOCl
すなわち、電気分解によって陰極室2aでは水酸化物イオン、水素ガス、カルシウムイオン及び水酸化カルシウムを含有したpH値がアルカリ性のアルカリイオン水を生成し、陽極室2bでは酸素ガス及び次亜塩素酸を含有したpH値が酸性の酸性電解水をそれぞれ生成する。
なお、原水の電気伝導率が低い場合には、所定のpH値のアルカリイオン水を生成するために電解補助剤としてカルシウム化合物を添加する必要がある。
図13は、連続式の電解水生成装置の構成の一例を示したものである。図示の例では、電解槽2内は隔膜5により陰極室2aと陽極室2bとに隔てられ、陰極室2aには陰極3aが、陽極室2bには陽極3bが、それぞれ配設されている。電解槽2に原水を供給する給水経路4は、陰極室2aに直接連通する陰極流入路4aと、陽極室2bに直接連通する陽極流入路4bとに分岐されている。また、給水経路4には浄水装置55が設けられ、陽極流入路4bには電解質供給装置56が設けられている。浄水装置55は、原水中に含まれる有機物、無機物あるいは次亜塩素酸などの臭気成分を除去するものであり、通常、抗菌活性炭フィルタ及び中空糸膜などのマイクロフィルターにて構成されている。また、陰極室2aにはこの陰極室2aで生成されたアルカリイオン水を吐出する吐水経路(陰極水吐水経路20)が接続され、また陽極室2bにはこの陽極室2bで生成された酸性イオン水を吐出する吐水経路(陽極水吐水経路22)が接続されている。
このように構成される電解水生成装置では、陰極3a及び陽極3bの間に電圧が印加された状態で、給水経路4を通水する原水が浄水装置55にて浄化された後、陰極流入路4a及び陽極流入路4bを通じてそれぞれ陰極室2a及び陽極室2bへ供給されて電解された後、陰極水吐水経路20及び陽極水吐水経路22から吐出されるものであり、このように電解水が連続的に生成されるものである。このとき、電解効率を向上するための電解質は陰極室2aに導入すると電解槽2から吐出されるアルカリイオン水に電解質がそのまま混入してしまうので、陽極流入路4bに電解質供給装置56によって、陽極室2bに流入する水にのみ電解質を添加するようにしている。
また、貯水式と連続式の各電解水生成装置の構造を組み合わせたものも、提案されており、本出願人による特許出願としても、特願2003−10275、特願2003−10355、特願2003−10365、特願2003−10366等がある。このような複合型の電解水生成装置の一例について、図14に概略全体図(断面図)を示し、図15にその水路系統図を示す。
図示の例では、電解水生成装置には、原水が貯留される原水貯水タンク1と、陰極3a及び陽極3bを備える電解槽2と、原水貯水タンク1に貯留されている原水を電解槽2に供給する給水経路4と、電解槽2にて生成された電解水を外部へ吐出する吐水経路20,22とを備えている。
上記原水貯水タンク1は、上方に開口するタンク本体1aと、このタンク本体1aの上部開口を閉塞する蓋体1bとを備えている。タンク本体1aの底部には、タンク本体1aの内部と外部とを連通する原水流入口7が設けられており、この原水流入口7が給水経路4に連通接続されている。原水流入口7には、止水弁11が設けられている。
給水経路4の経路途中には、ポンプ18と電磁弁19とが設けられており、給水経路4を通じて原水を電解槽2に供給する際には電磁弁19を開くと共にポンプ18を作動させてその駆動力により給水経路4において原水を流通させ、また電解槽2への原水の供給を停止する場合には電磁弁19を閉じると共にポンプ18を停止する。
電解槽2は、内部が隔膜5によって陰極室2aと陽極室2bとに仕切られ、陰極室2aには陰極3aが、陽極室2bには陽極3bがそれぞれ配設されている。
また、陰極室2aには陰極水吐水経路20の一端が接続され、またこの陰極水吐水経路20の他端には、装置本体12の外部で開口する吐出口21が設けられている。また陽極室2bには陽極水吐水経路22の一端が接続され、この陽極水吐水経路22の他端には吐水口23が電解水貯水タンク24に向けて開口するように形成されている。また、陰極水吐水経路20からは空気取込経路25が分岐して設けられている。また結露水の排水用の結露水排水経路26も設けられている。
また、装置本体12には、電解槽2内の電極間に印加する電圧の制御や、電磁弁19及びポンプ18の動作制御等の、電解水生成装置の動作の制御を行う制御回路28が設けられており、またこの制御回路28へ制御信号を伝達する操作回路29も設けられている。また操作回路29は、装置本体の外面に設けた操作盤30の動作スイッチ31を操作することで、それに応じた制御信号を出力するように形成されている。
また符号32は、電解水生成装置の駆動用エネルギーの供給を受けるための電源プラグである。
このような電解水生成装置にて電解水を得る場合、電解に供される原水は、予め不純物等を除去する浄化処理を施すことが好ましく、このため原水貯水タンク1のタンク本体1aの底部において原水流入口7の開口を覆うようにフィルタ57を設け、このフィルタ57により濾過が行われる。
しかし、このようなフィルタ57は原水貯水タンク1のタンク本体1aの底部に設けられることから、取り外しがしにくく、特に原水貯水タンク1が大型化する場合には取り外しが困難になってしまうものであった。そのため、フィルタ57の寿命が尽きた場合に、その交換を行う際の作業性が悪いものであった。
そこで、図16,17に示すような構成のものも提案されている。図16に示すものは、活性炭やマイクロフィルタ等にて構成される浄水器6′をタンク本体1a内の上部に設けたものであり、また図17に示すものは、このような浄水器6′をタンク本体1a内の中間部分に設けたものである。このような浄水器6′はタンク本体1aの底部に設けられているものではないから、浄水器6′の取り外しが容易なものとなっている。
特開2004−114036号公報
特許第3468241号公報
以下、本発明をその実施をするための最良の形態に基づいて説明する。
図1,2はそれぞれ本発明における電解水生成装置の水路系統図の例を示し、図3は図2に示す構成における概略全体図(断面図)を示す。
本発明に係る電解水生成装置は、原水が貯留される原水貯水タンク1と、陰極3a及び陽極3bを備える電解槽2と、原水貯水タンク1に貯留されている原水を電解槽2に供給する給水経路4と、電解槽2にて生成された電解水を外部へ吐出する吐水経路20,22とを備えている。
上記原水貯水タンク1は、上方に開口するタンク本体1aと、このタンク本体1aの上部開口を閉塞する蓋体1bとを備えている。タンク本体1aの底部には、タンク本体1aの内部と外部とを連通する原水流入口7が設けられており、この原水流入口7が給水経路4に連通接続されている。
原水流入口7には、止水弁11が設けられている。止水弁11は原水流入口7における水の流通を開閉する機能を有し、原水貯水タンク1を装置本体12から脱離した状態では止水弁11は閉じた状態となり、原水貯水タンク1を装置本体12に取着した場合には止水弁11は開いた状態となるようになっている。また止水弁11は、手動で開閉できるものであっても良い。
ここで、原水貯水タンク1の下面の周縁部には、全周に亘って下方に突出する嵌合リブ13が突設されており、一方、装置本体12には上方に開口する嵌合凹部14が形成されている。そして、原水貯水タンク1の嵌合リブ13を装置本体12の嵌合凹部14に嵌合させることにより、原水貯水タンク1が装置本体12に着脱自在に取着されている。
このとき、嵌合凹部14の内周面と嵌合リブ13の外周面との間に隙間が形成されるようにすると、例えば原水貯水タンクに冷水を貯留した場合などに原水貯水タンクの外面に結露水が生じると、この結露水を嵌合凹部14に貯留することができるものである。
また、嵌合リブ13の内側において原水貯水タンク1の下面からは、原水貯水タンク1の原水流入口7を囲むように下方に突出する嵌合リブ15が突設されており、一方、装置本体12には嵌合凹部14の底面において給水経路4の開口を囲むように上方に突出する嵌合リブ16が設けられている。そして上記のように装置本体12に原水貯水タンク1に取着する際に、同時に原水貯水タンク1の嵌合リブ15と装置本体12の嵌合リブ16とを嵌合させることで、給水経路4と原水貯水タンク1とが原水流入口7を介して連通するようになっている。図示の例では装置本体12の嵌合リブ16の内側に原水貯水タンクの嵌合リブ15が嵌合するようになっており、嵌合リブ16の内周面には水密性を確保するためのシーリング材17が設けられている。
給水経路4は、上記のようにその一端は嵌合凹部14の底面において開口し、他端は電解槽2に接続されている。またこの給水経路4の経路途中には、ポンプ18と電磁弁19とが設けられており、給水経路4を通じて原水を電解槽2に供給する際には電磁弁19を開くと共にポンプ18を作動させてその駆動力により給水経路4において原水を流通させ、また電解槽2への原水の供給を停止する場合には電磁弁19を閉じると共にポンプ18を停止する。ポンプ18は水の落差により直ちに原水がポンプ18に供給されるように、原水貯水タンク1の底部の取着位置よりも下方に配置することが好ましい。
電解槽2は、内部が隔膜5によって陰極室2aと陽極室2bとに仕切られ、陰極室2aには陰極3aが、陽極室2bには陽極3bがそれぞれ配設されている。
また、陰極室2aにはこの陰極室2aで生成されたアルカリイオン水を吐出する陰極水吐水経路20の一端が接続され、またこの陰極水吐水経路20の他端には、装置本体12の外部で開口する吐出口21が設けられている。また陽極室2bにはこの陽極室2bで生成された酸性イオン水を吐出する陽極水吐水経路22の一端が接続され、この陽極水吐水経路22の他端には吐水口23が電解水貯水タンク24に向けて開口するように形成されている。ここで電解水貯水タンク24は装置本体12に対して着脱自在に取着されているものであり、陽極室2bから陽極水吐水経路22を介して吐出される酸性イオン水を貯留するものである。
また、陰極水吐水経路20からは空気取込経路25が分岐して設けられており、この空気取込経路25の先端の開口27は、電解水貯水タンク24に向けて開口している。このため、給水の停止時に前記開口27から空気取込経路25にエアが進入することにより、装置本体12内部の給水経路4や吐水経路20,22、並びに電解槽2内の残存水を速やかに排出することができ、残存水の微生物繁殖などによる経時劣化を防止できる。
また、装置本体12の内部には、結露水排水経路26も設けられており、この結露水排水経路26の一端は嵌合凹部14の底面において開口し、他端は電解水貯水タンク24に向けて開口している(図示の例では陽極水吐水経路22と合流してから電解水貯水タンク24に向けて開口するようになっている)。この結露水排水経路26は、上記のように嵌合凹部14に原水貯水タンク1の結露水が貯留された際にこの結露水を電解水貯水タンク24へ排水する機能を有する。
また、装置本体12には、電解槽2内の電極間に印加する電圧の制御や、電磁弁19及びポンプ18の動作制御等の、電解水生成装置の動作の制御を行う制御回路28が設けられており、またこの制御回路28へ制御信号を伝達する操作回路29も設けられている。また操作回路29は、装置本体の外面に設けた操作盤30の動作スイッチ31を操作することで、それに応じた制御信号を出力するように形成されている。
また符号32は、電解水生成装置の駆動用エネルギーの供給を受けるための電源プラグである。
このような電解水生成装置を用いて電解水を生成する場合には原水貯水タンク1に原水を一旦貯留した後、この原水貯水タンク1から電解槽2へ原水を連続的に通水すると共に電解槽2において電極間に電圧を印加することにより電解水を得ることができる。具体的には、先ず使用者が原水貯水タンク1に原水を供給する。原水としては水道水に限らず、ミネラルウォータや冷水等を用いることも可能であり、飲用可能な水であれば水質や水温等は特に制限されない。
原水貯水タンク1に原水を供給するにあたっては、原水貯水タンク1を装置本体12から脱離した状態でタンク本体1aから蓋体1bを脱離し、この状態でタンク本体1aに原水を供給することができる。このため装置本体12の配置位置から離れた場所へ原水貯水タンク1を移動させて原水を供給することができる。勿論、原水貯水タンク1を装置本体12に取着した状態で蓋体1bを脱離して原水を供給しても良い。
次いで、操作盤30上の動作スイッチ31を操作することにより、電磁弁19を開くと共にポンプ18を作動させる。このとき、原水貯水タンク1に貯留されている原水はポンプ18による駆動力を受けて、原水流入口7を介して給水経路4に流入し、電解槽2へ連続的に供給される。
電解槽2内では、原水は電解槽2を連続的に通水する間に下記に示すような反応で電気分解され、原水に含まれる陽イオン(Mn+)は陰極3aに、陰イオン(X-)は陽極3bに引き寄せられ、電極の表面において接触している水は電気分解されて、陰極室2aでは水酸化物イオン、水素ガス、カルシウムイオン、水酸化カルシウム等を含有したpH値がアルカリ性の電解水(アルカリイオン水)が生成され、陽極室2bでは酸素ガス、次亜塩素酸等を含有したpH値が酸性の電解水(酸性イオン水)が生成される
陰極反応
2H2O+2e- →H2+2OH-
Mn++nOH-→M(OH)n
陽極反応
H2O→1/2O2+2H++2e-
2Cl-→Cl2+2e-
Cl2(aq)+H2O→HCl+HOCl
生成されたそれぞれの電解水は、所定の経路を通って連続的に吐出される。すなわち、アルカリイオン水は陰極室2aから陰極水吐水経路20を経て吐水口21から外部に吐水され、一方、酸性イオン水は陽極室2bから陽極水吐水経路22を経て吐水口23から吐水され、電解水貯水タンク24に貯留される。
尚、原水として水道水を電気分解すると、陰極3a側では水道水中に含まれる炭酸成分とカルシウム等の金属イオンが反応し、炭酸カルシウム等として析出して陰極3aの表面に付着することにより電極の有効面積が減少し、この陰極3aにおける残された有効な電極表面にのみ電流が流れることとなって、陰極3aの劣化が早くなるという問題があるが、このような電極の耐久性の低下を抑制するため、定期的に電極間の印加電圧を逆転させて通常の逆反応を起こすことにより、電極に付着した炭酸カルシウム等を金属イオンと炭酸成分に分離して除去することが行われる。
上記のような構成を有する電解水生成装置では、原水貯水タンク1に原水を供給するにあたって、原水貯水タンク1を装置本体12から脱離した状態でタンク本体1aから蓋体1bを脱離し、この状態でタンク本体1aに原水を供給することができるため、装置本体12の配置位置から離れた場所へ原水貯水タンク1を移動させて原水を供給することができ、このため連続式の電解水生成装置の場合のように装置と水道蛇口とを接続する必要がなく、電解水生成装置の設置場所が制限されなくなる。また酸性イオン水等を電解水貯水タンク24に貯留するため、電解水生成装置を排水設備の近辺に配置する必要もなくなり、これによっても、電解水生成装置の設置場所が制限されなくなる。
また、原水の供給の際に水道蛇口等の水源へは上記のように原水貯水タンク1のみを移動させれば良いから、装置本体12に水がかかることを防止することができ、また、電解槽2は閉鎖したセル構造に形成することができて、貯水式の電解水生成装置の場合のように電極等が外部に露出するようなくとがなく、電極の破損等の各種のトラブルを回避することができるものである。
尚、本実施形態では、動作スイッチ31の操作により電解水生成装置の電解開始の指示を入力するようにしたが、例えば電源プラグ32を電源コンセントに接続すると同時に電解を自動的に開始するようにしても良く、また原水貯水タンク1内に一定以上の原水の圧力が加わった場合に自動的に開く止水弁11を設けるようにして、原水貯水タンク1内に一定量以上の原水が供給されている際に自動的に原水の電解槽2への供給を開始して電解を行うようにしても良い。
本発明では、上記の原水貯水タンク1の蓋体1bに浄水器6が保持固定される。浄水器6は例えば活性炭繊維等や、その他適宜の濾材10を成形することで形成することができる。この場合、原水が浄水器6を通過することにより不純物を除去して浄化することができる。
また、このように浄水器6を蓋体1bに保持固定すると、浄水器6の交換にあたっては蓋体1bをタンク本体1aから脱離した状態で容易に交換作業を行うことができ、また原水貯水タンク1に原水を供給する際には蓋体1bをタンク本体1aから脱離した状態で原水を浄水器6に通過させることなくタンク本体1aに供給することができ、この原水の供給時において原水が浄水器6を通過するまで待つ必要がなく、短時間で容易に原水の供給を行うことができる。
浄水器6は、原水貯水タンク1の蓋体1bに着脱自在に保持固定することで、浄水器6の交換作業が容易なものとなり、また交換の際に着脱用の専用器具を不要とすることができるが、例えば原水貯水タンク1の蓋体1bに圧入により保持固定すると、特に浄水器6の交換作業が容易なものとなる。例えば図4(a)(b)に示すように、浄水器6を円柱や角柱等の柱状に形成すると共にその上端面に嵌合凹部33を凹設し、一方、蓋体1bの下面に前記嵌合凹部33に合致する嵌合凸部34を形成して、嵌合凸部34と嵌合凹部33とを圧入により嵌合させることで、蓋体1bの下面側に浄水器6を保持固定することができる。また、図4(c)(d)に示す例では、浄水器6を円柱や角柱等の柱状に形成し、一方、蓋体1bの下面に嵌合リブ35を突設することでこの嵌合リブ35の内側を前記浄水器6の上端部と合致する嵌合凹部36として形成して、浄水器6の上端部と嵌合凹部36とを圧入により嵌合させることで、蓋体1bの下面側に浄水器6を保持固定することができる。
このように浄水器6を蓋体1bに保持固定させると、蓋体1bをタンク本体1aに取着した際に浄水器6は原水貯水タンク1の内部に配置されて、この原水貯水タンク1内に原水が貯留されている際にはこの原水に浄水器6が浸漬されることになる。このとき原水が浄水器6を通過することで原水が浄化されるものである。
また、上記浄水器6を、原水貯水タンク1を給水経路4に連通する原水流入口7に連通するように配設することが好ましい(図2,3参照)。
上記図4に示す例では、浄水器6の下端面に嵌合凹部37を設け、一方、タンク本体1aの内部の底面には、原水流入口7を囲む嵌合リブ38を突設している。このとき、蓋体1bに浄水器6を保持固定した状態で蓋体1bをタンク本体1aに取着すると、図5に示すように、浄水器6の嵌合凹部37の内側に嵌合リブ38が圧入することで、原水流入口7に浄水器6が連通し、原水流入口7が浄水器6に閉塞されるようになっている。
このように原水流入口7に浄水器6が連通すると、原水貯水タンク1の内部の原水が電解槽2へ供給される際には、必ず浄水器6を通過した後、原水流入口7、給水経路4を通過して電解槽2に供給されることとなり、電解槽2に供給される原水を全て浄水器6にて浄化することができる。
また、図6に示すように、蓋体1bに浄水器6を嵌合自在な保持リブ8を設けると共に、この保持リブ8に、浄水器と連通する複数の孔9を設けるようにすることができる。このとき、好ましくは浄水器6の側周面を全て保持リブ8にて覆うと共に、前記の孔9にて浄水器6が露出するように形成する。
このようにすると、蓋体1bをタンク本体1aから脱離した際には、蓋体1bに保持固定されている浄水器6の外面は保持リブ8によって覆われていることから、浄水器6に直接手で触れることを防ぐことができて、浄水器6を清潔に保つことができるものである。また原水貯水タンク1内の原水は、前記の孔9を介して浄水器6を通過することができ、原水の浄化作用は損なわれることがないものである。
ここで、上記の孔9にメッシュを張設すると、孔9を形成した箇所においても浄水器6を直接手で触れることを防止することができ、浄水器6を更に清潔に保つことができる。
また、このとき保持リブ8に設ける複数の孔9はその開口面積が、保持リブ8の上方側に形成されている孔9ほど大きくなるように形成することが好ましい。この場合、原水貯水タンク1内の原水が孔9の形成位置において浄水器6へと浸入する際に、上方の孔9ほど、すなわち原水流入口7からの距離が遠い位置にある孔9ほど、この孔9の形成位置における浄水器6への原水の浸入量が多くなる。このため、浄水器6の上方側における浄水器6への原水の浸入が促進されると共に、下方側における浄水器6への原水の浸入が抑制されることとなり、原水貯水タンク1内の原水が浄水器6へ浸入してから浄水器6を通過して原水流入口7へと至るまでの経路長が短くなることを抑制して、高い浄化効率を維持することができる。
また図7に示すものは、図4(c)(d)に示す構成において、蓋体1bに浄水器6の脱離用の機構を設けたものである。図示の例では、蓋体1bの嵌合リブ35で囲まれた内側の部分に脱離ボタン39が設けられている。この脱離ボタン39は蓋体1bの上面側から押圧されることにより蓋体1bの下面に突出して、嵌合リブ35において圧入により保持固定されている浄水器6を押圧して蓋体1bから脱離させるものである。
また、図8に示すものは、蓋体1bに対して浄水器6をバイヨネット方式により接続して保持固定させる場合の一例である。この浄水器6には、その上端部に上ケース40が固着されており、この上ケース40には、上方に突出する円柱状の挿入部41と、挿入部41の外周面において外側方に突出する二つの係合突起42とが設けられている。一方、蓋体1bの下面には、挿入部41の形状に合致する接続凹部43が設けられており、この接続凹部43の内側周面には、係合突起42が摺動する二つの螺旋溝44が設けられている。また接続凹部43の開口縁には前記各螺旋溝44に連通する挿入切欠き45が設けられている。
図8に示すものにおいて、蓋体1bに浄水器6を保持固定させるにあたっては、突起部と挿入切欠き45とを位置合わせした状態で挿入部41を接続凹部43に挿入し、蓋体に対して浄水器6を所定角度だけ回転させることで各係合突起42が各螺旋溝44を摺動するようにし、これにより挿入部41を接続凹部43に係合するものである。またこの蓋体1bから浄水器6を脱離する際には、浄水器6を蓋体1bに対して、前記とは逆方向に回転させることで挿入部41と接続凹部43との係合を解除するものである。
また、図9に示すものは、蓋体1bに対して浄水器6を螺着により接続して保持固定させる場合の一例である。図示の例では、浄水器6には、その上端部に上ケース40が固着されており、この上ケース40には、上方に突出する円柱状の挿入部41が設けられ、この挿入部41の外周面には雄螺子溝46が設けられている。一方、蓋体1bの下面には、挿入部41の形状に合致する接続凹部43が設けられており、この接続凹部43の内側周面には、雌螺子溝47が設けられている。
図9に示すものにおいて、蓋体1bに浄水器6を保持固定させるにあたっては、挿入部41を接続凹部43に挿入し、蓋体に対して浄水器6を回転させることで挿入部41を接続凹部43に螺着するものである。またこの蓋体1bから浄水器6を脱離する際には、浄水器6を蓋体1bに対して、前記とは逆方向に回転させることで挿入部41と接続凹部43との螺着を解除するものである。
図10に示すものは、浄水器6を保護容器54に収納しておき、浄水器6を蓋体1bに保持固定させる際には、前記保護容器54から浄水器6の蓋体1bとの接合部を露出させ、前記接合部にて浄水器6を蓋体1bに保持固定させた後、浄水器から保護容器54を全て除去するようにしたものである。
図示のものは、図4(c)(d)に示す浄水器6を保護容器54に収納した例を示す。保護容器54は浄水器6が収容される収容空間48を有している。また収容空間48の上方には収容空間48と連通すると共に収容空間48よりも大径な接続空間49が設けられており、この接続空間49の上方は開放されていて、この開口により浄水器6の上端面が外部に露出されている。接続空間49は収容空間48と比べて、少なくとも蓋体1bの嵌合リブ35の厚み分だけ大径に形成され、且つ収容空間48の上下寸法は前記嵌合リブ35の上下寸法以下となるように形成されることが好ましい。また保護容器54の下端面は閉塞されていると共に押出用ボタン50が設けられている。この押出用ボタン50は外面側から押圧されると収容空間48内で突出して浄水器6の下端を押圧するものであり、これにより浄水器6を保護容器54から押し出すことができる。
未使用の浄水器6はこのような保護容器54に収容することで清潔に保つことができ、またこのとき保護容器54の開口をキャップやシート材等の閉塞用部材にて閉塞することで密閉すると更に浄水器6を清潔に保つことができる。
またこの浄水器6を蓋体1bに保持固定させる際には、上記のような閉塞用部材を設けている場合には、この閉塞用部材を保護容器54から除去して、浄水器6の蓋体1bとの接続部である上端部を露出させる。次いで、保護容器54の開口を蓋体1bの嵌合リブに臨ませ、接続空間49に嵌合リブを収容する。この状態で押出用ボタン50を押し出すと、浄水器6は保護容器54の上部開口に向けて押し出され、浄水器6の上端部が嵌合リブに圧入されて手嵌合する。次いで、浄水器6から保護容器54を引き抜くものであり、これにより蓋体1bに浄水器6が保持固定される。
このように保護容器54を用いると、浄水器6を保護容器54に収容した状態で浄水器6を蓋体1bに保持固定させることにより、浄水器6に直接触れることなくこの浄水器6を蓋体1bに保持固定させることができ、浄水器6を清潔に保つことができるものである。
尚、図示の例では保護容器54を剛性のケースにて形成しているが、保護容器54の形状、材質等は特に制限されず、例えば軟質のシート材や紙材等にて袋状等の保護容器54を形成しても良く、その場合も、浄水器6を蓋体1bに保持固定させる際には、浄水器6を収容している保護容器54の一部を開封、切断等することにより保護容器54から浄水器6の蓋体1bとの接合部を露出させ、前記接合部にて浄水器6を蓋体1bに保持固定させた後、浄水器6から保護容器54を全て除去することが好ましい。
浄水器6は既述のように活性炭繊維等の濾材10を成形することで形成することができるが、この浄水器6は中実に形成しても良く、また中空に形成しても良い。特に中空状に形成すると、原水が浄水器6を通過する際の圧力損失を低減して、電解槽2へ供給される原水の充分な流量を確保することができる。
図11に示す例では、活性炭繊維等の濾材10を中空筒状に成形しており、この濾材10の上端部には上ケース40、下端部には下ケース51が設けられている。上ケース40は濾材10の上部開口を閉塞すると共に、蓋体1bの構造に応じて適宜の蓋体1bとの接続構造が設けられる(例えば図8参照)。また、下ケース51は、濾材10の下部開口を閉塞するように設けられると共に、この開口に連通する流通口が設けられている。また下ケース51には、必要に応じて、タンク本体1aの原水流入口7と前記流通口とを連通接続するための接続構造が設けられる。
また、浄水器6を構成する活性炭繊維等の濾材10は、上部側ほど(すなわち原水流入口7から離れている部分ほど)その密度が小さくなるように形成することが好ましい。図11に示す例では、濾材10は密度が異なる三種類の層10a,10b,10cが上下に積層した構造を有しており、且つ上方側の層ほどその密度が小さくなるように形成されている。
このように浄水器6の濾材10を形成すると、濾材10は密度が低いほど原水が浸入する際の抵抗が少なくなることから、原水は濾材10の上方側、すなわち原水流入口7から離れている側において浸入しやすくなり、このため、原水貯水タンク1内の原水が浄水器6へ浸入してから浄水器6を通過して原水流入口7へと至るまでの経路長が短くなることを抑制して、高い浄化効率を維持することができる。
また、浄水器6には、塩素との反応により色の変化を生じる試薬を担持させることにより、この試薬の色の変化を視認することで浄水器6の交換時期を判断できるようにすることも好ましい。図11の例では、下ケース51の流通口52に不織布等から構成されるフィルタ53を設け、このフィルタ53にクチナシ色素等のような、塩素との反応により色の変化を生じる試薬を担持させている。このようにすると、浄水器6を原水が通過する際、原水は濾材10を通過した後、フィルタ53を通過することになる。このとき浄水器6が充分な浄化性能を有していて原水から塩素が充分に除去されている場合は、フィルタ53を通過する原水は塩素が充分に除去されたものとなり、フィルタ53に担持されている試薬と塩素との反応は起こらず、試薬の色は変化しない。一方、濾材10が劣化して浄水器6の浄化性能が低下し、塩素が充分に除去されなくなると、フィルタ53を通過する原水中に塩素が残存することになり、この塩素がフィルタ53に担持されている試薬と反応して、試薬の色が変化する。この試薬の色の変化により、使用者に浄水器6の交換時期を報知することができるものである。