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JP2005082823A - Si含有ガスを用いた硬質窒化膜の形成方法 - Google Patents

Si含有ガスを用いた硬質窒化膜の形成方法 Download PDF

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JP2005082823A
JP2005082823A JP2003313451A JP2003313451A JP2005082823A JP 2005082823 A JP2005082823 A JP 2005082823A JP 2003313451 A JP2003313451 A JP 2003313451A JP 2003313451 A JP2003313451 A JP 2003313451A JP 2005082823 A JP2005082823 A JP 2005082823A
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forming
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JP2003313451A
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Akiro Ando
彰朗 安藤
Manabu Okui
学 奥井
Tomotsugu Nie
朝胤 聶
Hisashi Watanabe
久 渡邊
Saburo Otani
三郎 大谷
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Ion Engineering Research Institute Corp
Original Assignee
Ion Engineering Research Institute Corp
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Abstract

【課題】
アーク式イオンプレーティング法にてTiSiNやCrSiN等のナノ複合被膜を形成する際に、カソードのSiの添加上限があるため、被膜のSi含有量に上限がある。
【解決手段】
モノシランガスやジシランガス等のSi含有ガスを雰囲気ガスと共に導入し、イオン化活性機構を用いて分解されたSiをイオン化し、被膜のSi含有量を増加することができ、被膜の機械的特性が向上できる。また、モノメチルシランガスやテトラメチルシランガス等のSi含有ガスを用いると、被膜にSiと共にCも添加でき、被膜の摺動特性を向上することができる。

Description

本発明は、工具やエンジン部品等の摺動部材等の表面を硬化するため形成した硬質窒化膜のアーク式イオンプレーティング法による形成方法に関するものである。
摺動部品の長寿命化のため、部品の表面に硬質被膜を形成し、耐摩耗性を向上させる技術が確立されている。例えば、特開2002−266697号公報にはCrSiNやTiSiNといったナノ複合被膜が開示されている。
特開2002−266697
アーク式イオンプレーティング法でこれらの被膜を形成する場合には、CrやTiといった金属とSiの合金をカソードとして、窒素中でアーク放電を起こし金属とSiのイオンを発生させ、基材表面に金属とSiの複合窒化物を形成することになる。
ここで用いるカソードは金属とSiの合金でなくても形成可能である。例えば、金属カソードにSiの円柱を埋め込むという方法で、アーク放電により金属がイオン化する際に周辺のSiも同時にイオン化させるというものである。しかし、この方法ではSiが均一にイオン化する訳ではないので、均質な被膜を形成することは困難である。そのため、合金カソードを用いることになる。
しかし、CrやTiといった金属とSiの合金カソードを必要な形状に加工する際に合金の強度が十分でないと、カソードに亀裂が入ったり割れてしまう等均質な成膜が行なえなくなる。そのため、合金化する際のSi含有量はどうしても上限がある。Cr−Siの場合には15at%程度、Ti−Siの場合には10at%程度のSi添加が限界であった。カソードのSi含有量が10at%程度では、形成した被膜中のSi含有量は5〜7at%程度となってしまう。
我々のこれまでの研究で、Si含有量を20at%程度まで増加させると、金属窒化物とアモルファスSi−Nとのナノ複合被膜の特性が最良となることが分かっている。これをアーク式イオンプレーティングで実現するにはカソード以外にSi添加源を用意しなければならない。そこで、雰囲気ガスよりSiを添加すべく、Si含有ガスを検討した。
特開2000−198161号公報には、Si含有ガスであるシランやジシランを用いてイオンプレーティング法で酸化珪素のガスバリヤ膜を形成することが開示されている。しかしながら、硬質窒化膜を形成する場合とは異なり酸素雰囲気が必要となる系である上、カソードを使わないカソードアーク方式ではないイオンプレーティングを示唆している。カソードを用いたアーク式イオンプレーティングと該特許のSi含有ガスによるイオンプレーティング法との組み合わせを考えると、該特許のイオンプレーティング法による被膜厚みが2000Åを超えると割れが生じるとの記載があるように成膜レートが非常に遅いものであり、1時間に数μmの被膜を形成する前者アーク式イオンプレーティングとの組合せを考えるのは困難である。さらに、後者は酸素雰囲気が必須であるが、前者で酸素が不純物として含有していると窒化膜が一部酸窒化膜に変成してしまい硬質窒化膜の特性が劣化してしまう。即ち、これらを組合わせて考慮することは困難である。
特開2000−198161
本発明が解決しようとする問題は、アーク式イオンプレーティングにて金属窒化物とアモルファスSi−Nとのナノ複合被膜を形成する際に、Si源としてカソードに加えてSi含有ガスを用い被膜のSi含有量を増加させ、被膜の特性を向上させることのできる硬質窒化膜の形成方法を得るものである。
本発明は、アーク式イオンプレーティングにて金属窒化物とアモルファスSi−Nとのナノ複合被膜を形成する際に、カソードに含有されるSiに加えてSi含有ガスを用い、被膜のSi含有量を増加させ、被膜の特性を向上させる、硬質窒化膜の形成方法を得るものである。特に、Si含有ガスを雰囲気ガスと共に導入する際に、イオン化活性機構を用いてイオン化を促すことで、より多くのSiを均質に被膜に導入することができる。
Si含有ガスの雰囲気ガス中の比率を高くすれば、被膜のSi含有量は増加するが、CVD的に添加されるSiイオンが増えることにつながるため、均質なPVD膜に比べ被膜の表面粗さが悪化し、被膜の密着性や摺動特性はかえって低下することになってしまう。即ち、Si含有ガスの比率には上限が存在する。但し、この上限はガス種によって異なることから一定数値にはできない。
本発明の効果として、成膜レートの高い量産対応できるアーク式イオンプレーティングにおいてもSi含有量の高い硬度や摺動特性に優れた金属窒化物とアモルファスSi−Nのナノ複合被膜を容易に形成することができる。
また、Si含有ガスとしてメチルシランガス系のSiとCを含有するものを選択する場合には、C添加された低摩擦係数のC含有ナノ複合被膜を容易に形成することができる。
本発明の詳細を、実施例に沿って説明する。なお、実施例ではCr−Siの合金カソードを用いてCrSiN硬質被膜を形成しているが、カソードをTi−Siの合金カソードに変えるとTiSiN硬質被膜の形成方法になる。また、カソードのコストを抑えるために合金カソードではなくCrやTiといった安価な金属カソードとSi含有ガスとの組合せでCrSiNやTiSiNといったナノ複合被膜を形成することも可能である。
また、Si含有ガス種に依ってはC等の元素もイオン化して被膜内に取り込まれるが、これらも被膜特性を変化させるので、有効に活用しても良い。例えば、モノメチルシラン(CH4SiH3)ガスやテトラメチルシラン(Si(CH4)3)ガスの場合には、Siと共にCも添加され、硬度は若干低下するものの、被膜の摩擦抵抗が下がり摺動特性が向上する。
アーク式イオンプレーティング装置にて、金属CrのカソードとCrに10at%Siを添加したカソードを用いて、雰囲気ガスとしてArと窒素とモノシラン(SiH4)ガスを接続し、先ずCrカソードを用いてAr中で鉄系基板にCr下地層を形成する。その上に、窒素中でCrN下地層を形成した。次いで、Cr−Si合金カソードを用いて、窒素400sccmとシランガス100sccmの混合雰囲気中でCrSiN硬質被膜を形成した。
得られた被膜について、機械的特性とXPSによる化学組成分析を行なった。膜厚は5μm、ヌープ硬度はHk4200、スクラッチ値は48Nであった。また被膜中のSi含有量は12at%であった。
実施例1と同様にCrとCrNの下地層を形成した上に、Cr−Si合金カソードを用いて、窒素400sccmとシランガス100sccmの混合雰囲気中でCrSiN硬質被膜を形成した。この際に、イオン化活性機構を用いて、シランガスの分解・イオン化を促した。得られた被膜は、膜厚5μm、ヌープ硬度Hk4800、スクラッチ値42Nであった。また被膜中のSi含有量は14at%であった。
実施例1と同様にCrとCrNの下地層を形成した上に、Cr−Si合金カソードを用いて、窒素400sccmとシランガス150sccmの混合雰囲気中でCrSiN硬質被膜を形成した。この際に、イオン化活性機構を用いて、シランガスの分解・イオン化を促した。得られた被膜は、膜厚6μm、ヌープ硬度Hk4900、スクラッチ値40Nであった。また被膜中のSi含有量は16at%であった。
比較例1
実施例1と同様にCrとCrNの下地層を形成した上に、Cr−Si合金カソードを用いたのみで、Si含有ガスは導入せずに窒素雰囲気中でCrSiN硬質被膜を形成した。得られた被膜は、膜厚4.5μm、ヌープ硬度Hk3700、スクラッチ値56Nであった。また、被膜中のSi含有量は6at%であった。
比較例2
実施例1と同様にCrとCrNの下地層を形成した上に、Cr−Si合金カソードを用いて、窒素400sccmとシランガス200sccmの混合雰囲気中でCrSiN硬質被膜を形成した。この際に、イオン化活性機構を用いて、シランガスの分解・イオン化を促した。得られた被膜は、膜厚6.7μm、ヌープ硬度Hk4900、スクラッチ値25Nであった。また被膜中のSi含有量は19at%であった。
この時の被膜の表面はかなり荒れており、スクラッチ値が低くなっているのは被膜が均質に付かなくなったことに起因していると考えられる。
以上の実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を検討する。シランガス導入の際にイオン化活性機構を用いると、被膜中のSi含有量が増加し、それに伴い硬度が上昇している。また、シランガスの流量が増えるに従い被膜中のSi含有量が増加し、硬度も上昇している。
一方、シランガスの流量が増えるに従い、スクラッチ値が減少し、比較例2においては、スクラッチ値が実用値の30Nを下回ってしまった。これは、シランガスからSiが導入されるのがCVD的反応であることから、被膜が荒れてしまうことに起因すると考えられる。即ち、シランガスよりSiを添加する場合には、窒素400sccmに対しシランガス180sccmという比率の上限があることを示している。
ガス種を変えて検討したが、ジシラン(Si2H6)ガスの場合は、Si添加量がモノシランガスの2倍弱であったことから、実施例1〜3と比較例2の場合と同様な傾向を示したが、スクラッチ値が30N以上の実用範囲であったのは、窒素400sccmに対しジシランガス100sccmという比率より小さな範囲であった。
実施例1と同様にCrとCrNの下地層を形成した上に、Cr−Si合金カソードを用いて、窒素400sccmとモノメチルシランガス100sccmの混合雰囲気中でCrSiCN硬質被膜を形成した。この際に、イオン化活性機構を用いて、モノメチルシランガスの分解・イオン化を促した。得られた被膜は、膜厚5μm、ヌープ硬度Hk4200、スクラッチ値42Nであった。また被膜中のSi含有量は10at%、C含有量は8at%であった。摩擦摩耗試験機を用いて得られた被膜の摩擦係数を測定したところ、モノメチルシランガス未添加のCrSiN被膜(比較例1の場合)の0.6に対し0.52と摩擦係数が低減した。
実施例1と同様にCrとCrNの下地層を形成した上に、Cr−Si合金カソードを用いて、窒素400sccmとモノメチルシランガス150sccmの混合雰囲気中でCrSiN硬質被膜を形成した。この際に、イオン化活性機構を用いて、モノメチルシランガスの分解・イオン化を促した。得られた被膜は、膜厚6μm、ヌープ硬度Hk3400、スクラッチ値37Nであった。また被膜中のSi含有量は12at%、C含有量は11at%であった。また、摩擦係数は0.46とさらに低減した。
比較例3
実施例1と同様にCrとCrNの下地層を形成した上に、Cr−Si合金カソードを用いて、窒素400sccmとモノメチルシランガス200sccmの混合雰囲気中でCrSiN硬質被膜を形成した。この際に、イオン化活性機構を用いて、モノメチルシランガスの分解・イオン化を促した。得られた被膜は、膜厚6.6μm、ヌープ硬度Hk2800、スクラッチ値23Nであった。また被膜中のSi含有量は15at%、C含有量は14at%であった。摩擦係数は0.63とモノメチルシランガス未添加の場合より悪化した。
以上の実施例4、5、比較例1、3について検討する。モノメチルシランガスの流量増加に伴いヌープ硬度は低下した。これは、SiとともにCが添加された影響である。また、摩擦係数は低下していくが、200sccm流量の場合には、被膜が荒れてしまったために、かえって摩擦係数が上昇したものと考えられる。スクラッチ値との相関も合わせて考慮すると、やはり窒素ガス400sccmに対してモノメチルシランガス170sccmという比率の上限が存在する。
ガス種をテトラメチルシランに変えて検討したが、モノメチルシランガスに対してSi添加は同等であるが、C添加が4倍近くとなるため、実施例4〜5と比較例3の場合と同様な傾向を示したが、スクラッチ値が30N以上の実用範囲で、摩擦係数も低減する範囲は、窒素400sccmに対しテトラメチルシランガス60sccmという比率より小さな範囲であった。

Claims (8)

  1. アーク式イオンプレーティング法にて金属窒化物とアモルファスSi−Nのナノ複合被膜を形成するに当たり、Si源としてカソード以外にSi含有ガスを用いることを特徴とする硬質窒化膜の形成方法。
  2. Si含有ガスを導入する際にイオン活性機構を用いて、該ガスの分解・イオン化を促すことを特徴とする、請求項1に記載の硬質窒化膜の形成方法。
  3. Si含有ガスとしてシラン系ガスを用いることを特徴とする、請求項1ないし2に記載の硬質窒化膜の形成方法。
  4. Si含有ガスとしてモノシランガスを用い、モノシランガス/(窒素+モノシランガス)の比率を180/580以下とすることを特徴とする、請求項3に記載の硬質窒化膜の形成方法。
  5. Si含有ガスとしてジシランガスを用い、ジシランガス/(窒素+ジシランガス)の比率を100/500以下とすることを特徴とする、請求項3に記載の硬質窒化膜の形成方法。
  6. Si含有ガスとしてメチルシラン系ガスを用いて、C含有硬質被膜を得ることを特徴とする、請求項1ないし2に記載の硬質窒化膜の形成方法。
  7. Si含有ガスとしてモノメチルシランガスを用い、モノメチルシランガス/(窒素+モノメチルシランガス)の比率を170/570以下とすることを特徴とする、請求項6に記載の硬質窒化膜の形成方法。
  8. Si含有ガスとしてテトラメチルシランガスを用い、テトラメチルシランガス/(窒素+テトラメチルシランガス)の比率を60/460以下とすることを特徴とする、請求項6に記載の硬質窒化膜の形成方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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