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JP2004259561A - 電界放射型電子源の製造方法 - Google Patents

電界放射型電子源の製造方法 Download PDF

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JP2004259561A
JP2004259561A JP2003048271A JP2003048271A JP2004259561A JP 2004259561 A JP2004259561 A JP 2004259561A JP 2003048271 A JP2003048271 A JP 2003048271A JP 2003048271 A JP2003048271 A JP 2003048271A JP 2004259561 A JP2004259561 A JP 2004259561A
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insulating
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field emission
lower electrode
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JP2003048271A
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English (en)
Inventor
Yoshifumi Watabe
祥文 渡部
Koichi Aizawa
浩一 相澤
Takuya Komoda
卓哉 菰田
Takashi Hatai
崇 幡井
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

【課題】従来に比べて製造時の歩留まりを向上できる電界放射型電子源の製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁性基板11上に導電性層12aを積層し(図1(a))、導電性層12a上に半導体層3aを積層する(図1(b))。その後、フッ化水素水溶液とエタノールとの混合液よりなる電解液を用いたナノ結晶化プロセスを行い、酸化プロセスを行うことで第2の複合ナノ結晶層6aを形成する(図1(c))。次に、第2の複合ナノ結晶層6aおよび半導体層3bおよび導電性層12aを連続的にパターニングすることでドリフト部6および多結晶シリコン層3および下部電極12をパターン形成する(図1(d))。その後、酸化性ガス雰囲気中で下部電極12の両側面に絶縁層17を形成する(図1(e))。その後、表面電極7を形成し、パッド28を形成する(図1(f))。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射により電子線を放射するようにした電界放射型電子源の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ナノ結晶シリコン(ナノメータオーダのシリコン微結晶)を利用した電子デバイスとして図12や図13に示す構成の電界放射型電子源10’,10”が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図12に示す構成の電界放射型電子源10’は、導電性基板としてのn形シリコン基板1の主表面(一表面)側に酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に金属薄膜(例えば、金薄膜)よりなる表面電極7が形成されている。また、n形シリコン基板1の裏面にはオーミック電極2が形成されており、n形シリコン基板1とオーミック電極2とで下部電極12を構成している。なお、図12に示す例では、n形シリコン基板1と強電界ドリフト層6との間にノンドープの多結晶シリコン層3を介在させてあり、多結晶シリコン層3と強電界ドリフト層6とで電子が通過する電子通過部を構成しているが、多結晶シリコン層3を介在させずに強電界ドリフト層6のみで電子通過部を構成したものも提案されている。
【0004】
図12に示す構成の電界放射型電子源10’から電子を放出させるには、例えば、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極12に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極12との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。ここに、直流電圧Vpsを適宜に設定すれば、下部電極12から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(図12中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子eの流れを示す)。なお、表面電極7の厚さは10〜15nm程度に設定されている。
【0005】
ところで、図12に示した構成の電界放射型電子源10’では、n形シリコン基板1とオーミック電極2とで下部電極12を構成しているが、図13に示すように、例えば絶縁性を有するガラス基板よりなる絶縁性基板11の一表面上に金属薄膜よりなる下部電極12を形成した電界放射型電子源10”も提案されている。ここに、上述の図12に示した電界放射型電子源10’と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0006】
図13に示す構成の電界放射型電子源10”から電子を放出させるには、例えば、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極12に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極12との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。ここに、直流電圧Vpsを適宜に設定すれば、下部電極12から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(図13中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子eの流れを示す)。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。
【0007】
上述の各電界放射型電子源10’,10”では、表面電極7と下部電極12との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極21と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば(図12および図13参照)、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率(=(Ie/Ips)×100〔%〕)が高くなる。なお、上述の電界放射型電子源10’,10”では、表面電極7と下部電極12との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができ、直流電圧Vpsが大きいほどエミッション電流Ieが大きくなる。
【0008】
また、図13に示した電界放射型電子源10”をディスプレイの電子源とし応用する場合には、例えば図14に示す構成を採用すればよい。
【0009】
図14に示すディスプレイは、電界放射型電子源10に対向して平板状のガラス基板よりなるフェースプレート30が配置され、フェースプレート30における電界放射型電子源10との対向面には透明な導電膜(例えば、ITO膜)よりなるコレクタ電極(以下、アノード電極と称す)21が形成されている。また、アノード電極21における電界放射型電子源10との対向面には、画素ごとに形成された蛍光物質と蛍光物質間に形成された黒色材料からなるブラックストライプとが設けられている。ここに、蛍光物質はアノード電極21における電界放射型電子源10との対向面に塗布されており、電界放射型電子源10から放射される電子線によって可視光を発光する。なお、蛍光物質には電界放射型電子源10から放射されアノード電極21に印加された電圧によって加速された高エネルギの電子が衝突するようになっており、蛍光物質としてはR(赤色),G(緑色),B(青色)の各発光色のものを用いている。また、フェースプレート30は図示しない矩形枠状のフレームによって電界放射型電子源10と離間させてあり、フェースプレート30と電界放射型電子源10との間に形成される気密空間を真空にしてある。
【0010】
図14に示した電界放射型電子源10は、絶縁性を有するガラス基板よりなる絶縁性基板11と、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の下部電極12と、下部電極12にそれぞれ重なる形で形成された複数のノンドープの多結晶シリコン層3と、多結晶シリコン層3にそれぞれ重なる形で形成された酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなる複数のドリフト部6と、ドリフト部6の周辺(隣り合うドリフト部6a間など)および多結晶シリコン層3の周辺(隣り合う多結晶シリコン層3間など)および下部電極12の周辺(隣り合う下部電極12間など)を埋めるノンドープの多結晶シリコン層よりなる分離部16と、ドリフト部6と多結晶シリコン層3と分離部16とからなる電子通過部5の上でドリフト部6および分離部16に跨って下部電極12に交差する方向に列設された複数の表面電極7とを備えている。
【0011】
ここにおいて、図14に示す電界放射型電子源10では、上述のようにドリフト部6と多結晶シリコン層3と分離部16とで電子通過部5を構成しており、図15に示すように、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の下部電極12と絶縁性基板11の一表面に平行な面内で下部電極12に直交する方向に列設された複数の表面電極7とで電子通過部5を挟んでいる。なお、ドリフト部6と下部電極12との間に多結晶シリコン層3を介在させずにドリフト部6と分離部16とで電子通過部5を構成したものも提案されている。
【0012】
この電界放射型電子源10では、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の下部電極12と、下部電極12に交差する方向に列設された複数の表面電極7との交点に相当する部位にドリフト部6の一部が挟まれているから、表面電極7と下部電極12との組を適宜選択して選択した組間に電圧を印加することにより、ドリフト部6において選択された表面電極7と下部電極12との交点に相当する部位に強電界が作用して電子が放出される。つまり、複数の表面電極7の群と複数の下部電極12の群とからなるマトリクス(格子)の格子点に、下部電極12と、下部電極12上の多結晶シリコン層3と、多結晶シリコン層3上のドリフト部6と、ドリフト部6上の表面電極7とからなる電子源素子10aを配置したことに相当し、電圧を印加する表面電極7と下部電極12との組を選択することによって所望の電子源素子10aから電子を放出させることが可能になる。なお、上述の記載から分かるように、電子源素子10aは画素ごとに設けられることになる。
【0013】
ところで、上述の電界放射型電子源10は、図16に示すように、下部電極12の長手方向の両端部上にそれぞれパッド27が形成され、表面電極7の長手方向の両端部上にそれぞれパッド28が形成されている。
【0014】
以下、図16に示す構成の電界放射型電子源10の製造方法について図17および図18を参照しながら説明する。
【0015】
まず、絶縁性基板11の上記一表面側の全面に下部電極12用の導電性層12aを形成することにより、図17(a)に示す構造を得る。
【0016】
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して導電性層12aの不要部分をエッチングすることでそれぞれ導電性層12aの一部からなる下部電極12をパターン形成することにより、図17(b)に示す構造を得る。
【0017】
その後、絶縁性基板11の上記一表面側の全面に、電子通過部5を構成するドリフト部6および分離部16の基礎となるノンドープの多結晶シリコン層からなる半導体層3aをプラズマCVD法や減圧CVD法などによって成膜することにより、図17(c)に示す構造を得る。
【0018】
その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して半導体層3aの不要部分をエッチングすることで各下部電極12の両端部を露出させることにより、図18に示す構造を得る。なお、図18は図16(a)におけるB−B’断面に対応する断面図である。
【0019】
続いて、半導体層3aのうち下部電極12に重ならない部分の表面を覆い下部電極12に重なる部分の表面が露出するように開孔されたレジスト層からなるマスク層13を形成することにより、図17(d)に示す構造を得る。
【0020】
その後、マスク層13をマスクとして半導体層3aのうち下部電極12に重なる部分を所定深さまでフッ化水素水溶液を含む電解液中で陽極酸化することにより多結晶シリコンのグレインおよび多数のナノメータオーダのシリコン微結晶を含む多孔質多結晶シリコン層を形成し、多孔質多結晶シリコン層を急速加熱法ないし電気化学的な酸化方法によって酸化することでドリフト部6を形成し、マスク層13を除去することにより、図17(e)に示す構造を得る。ここに、ドリフト部6は、多結晶シリコンのグレイン、多数のナノメータオーダのシリコン微結晶、各グレインの表面に形成された薄いシリコン酸化膜、各シリコン微結晶の表面に形成されたシリコン酸化膜とを有している。なお、上述の半導体層3aのうち上記マスク13に重なっていた部分が上述の分離部16となり、ドリフト部6と下部電極12との間の部分が多結晶シリコン層3となる。
【0021】
その後、表面電極7を形成してから、表面電極7と電気的に接続されるパッド27を形成することにより、図17(f)に示す構造を得る。
【0022】
ところで、本願発明者らはドリフト部6の厚さを薄くするにつれて単位面積当たりの電子放出量が多くなり電子放出効率が高くなることを実験的に確かめており、ノンドープの多結晶シリコン層からなる半導体層3aの成膜時の膜厚を例えば2μm以下に設定することを提案している。
【0023】
しかしながら、下部電極12の厚さにもよるが半導体層3aの膜厚が比較的薄い場合(例えば、半導体層3aの膜厚が1.5μm程度の場合)には図17(c)に示したように半導体層3aの表面が平坦化されずに段差部が形成され、半導体層3aにおける段差部のところで深さ方向へ走るクラックが発生してしまう。このため、陽極酸化時に電解液が半導体層3aのうちマスク層13により覆われていない表面からクラックを通って浸入して下部電極12に到達すると、絶縁性基板11としてガラスなど、下部電極12としてクロムやチタンなどのようなフッ化水素に対する耐性(耐腐食性)の低い材料を採用している場合、絶縁性基板11や下部電極12が腐食されてしまい、下部電極12や半導体層3aが剥離して歩留まりが低下してしまうので、上述のマスク層13は、半導体層3aの段差部を覆うように形成されている。
【0024】
【特許文献1】
特許第2987140号公報(第4頁−第7頁、図1−図3)
【特許文献2】
特許第3112456号公報(第10頁−第14頁、図1、図2、図8、図9)
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の電界放射型電子源10の製造方法では、半導体層3aのうち下部電極12に重なる部分を所定深さまでフッ化水素水溶液を含む電解液中で陽極酸化することにより多結晶シリコンのグレインおよび多数のナノメータオーダのシリコン微結晶を含む多孔質多結晶シリコン層を形成する際のマスクとしてレジスト層からなるマスク層13を利用しているが、レジスト層は電解液であるフッ化水素水溶液に対する耐性が低いので、マスク層13を設けているにもかかわらず電解液が半導体層3aのクラックを通って浸入して下部電極12に到達してしまい、絶縁性基板11としてガラスなど、下部電極12としてクロムやチタンなどのようなフッ化水素に対する耐性(耐腐食性)の低い材料を採用している場合、絶縁性基板11や下部電極12が腐食されて下部電極12や半導体層3aが剥離して歩留まりが低下してしまう。
【0026】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来に比べて製造時の歩留まりを向上できる電界放射型電子源の製造方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、絶縁性基板の一表面側に多数の電子源素子がマトリクス状に配置され、各電子源素子が、絶縁性基板の前記一表面上の下部電極と、絶縁性基板の厚み方向において下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極の間に介在し多数のナノメータオーダの半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成された半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の多数の絶縁膜を有するドリフト部とを備えた電界放射型電子源の製造方法であって、前記絶縁性基板の前記一表面に下部電極用の導電性層を積層する第1の成膜工程と、導電性層上にドリフト部の基礎となる半導体層を積層する第2の成膜工程と、電解液を用いて半導体層をナノ結晶化することで多数のナノメータオーダの半導体微結晶を有する第1の複合ナノ結晶層を形成するナノ結晶化工程と、各半導体微結晶それぞれの表面に半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜を成膜することで多数の半導体微結晶および多数の絶縁膜を有する第2の複合ナノ結晶層を形成する絶縁膜形成工程と、第2の複合ナノ結晶層および導電性層の不要部分を連続的にエッチングすることでそれぞれ第2の複合ナノ結晶層の一部からなるドリフト部およびそれぞれ導電性層の一部からなる下部電極をパターン形成する一括パターニング工程と、ドリフト部上に表面電極を形成する電極形成工程とを備えることを特徴とし、ナノ結晶化工程において下部電極用の導電性層や絶縁性基板が電解液によって腐食されるのを防止することが可能となって、下部電極が絶縁性基板から剥がれたり下部電極上の層が下部電極から剥がれるのを防止することができ、製造時の歩留まりを向上できるとともに長期的な信頼性を向上できる。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第2の成膜工程では、前記導電性層のうち前記各下部電極におけるコンタクト部となる部位の表面にマスク材を配置した状態で前記半導体層を前記導電性層に積層するので、前記半導体層を前記導電性層に積層した後でマスク材を取り除けば、前記導電性層のうち前記各下部電極におけるコンタクト部となる部位の表面が露出することになるから、前記半導体層を前記導電性層に積層した後で前記下部電極においてコンタクト部となる部位の表面を露出させるためのパターニング工程を別途に設ける必要がなく、製造プロセスの簡略化を図れる。
【0029】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングすることで前記各ドリフト部および前記各下部電極をパターン形成するので、前記一括パターニング工程でパターン形成される前記各ドリフト部および前記各下部電極の形状の再現性を高めることができる。
【0030】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料としてタングステンを採用するとともに、前記第2の成膜工程で前記導電性層に積層する前記半導体層の材料として多結晶シリコンを採用し、前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングするにあたって、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いるので、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をエッチング条件を変更することなしに連続してドライエッチングすることができ、スループットが向上するとともに工程管理が容易になる。
【0031】
請求項5の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をウェットエッチングすることで前記各ドリフト部および前記各下部電極をパターン形成するので、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングする場合のようにドライエッチング装置のような真空装置を必要としないから、製造装置の低コスト化を図ることができ、特に前記絶縁性基板の大面積化を図る際に有利になる。
【0032】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記一括パターニング工程では、前記ドリフト部下の前記下部電極がサイドエッチングされるようにエッチング条件を設定するので、前記電極形成工程で形成する前記表面電極のパターンによらず、前記表面電極と前記下部電極とが短絡するのを防止することができる。
【0033】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料として酸化されやすく且つその酸化物が絶縁性を有する導電性材料を用い、前記一括パターニング工程と前記電極形成工程との間に、前記下部電極の露出表面を酸化することで前記導電性材料の酸化物からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えるので、前記電極形成工程で前記表面電極を形成する前に前記下部電極の露出表面に絶縁層を形成することができるから、前記電極形成工程で形成する前記表面電極のパターンによらず、前記表面電極と前記下部電極とが短絡するのを防止することができる。
【0034】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料として酸化されやすく且つその酸化物が絶縁性を有する導電性材料を用い、前記絶縁膜形成工程では、酸化性ガス雰囲気中での急速熱酸化法を採用するので、前記各半導体微結晶それぞれの表面に絶縁膜を形成する際に、前記下部電極の露出表面に前記導電性材料の酸化物からなる絶縁層を形成することができるから、前記下部電極の露出表面に絶縁層を形成するために別途の工程を設ける必要がなく、請求項7の発明に比べて工程数を削減することができる。
【0035】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記一括パターニング工程と前記電極形成工程との間に、前記各下部電極の周辺および前記各ドリフト部の周辺を埋める絶縁材料からなる絶縁部を形成する絶縁分離工程を備えるので、前記電極形成工程にて形成する前記表面電極のパターンによらず前記表面電極と前記下部電極とが短絡するのを防止することができ、しかも、前記表面電極形成前における前記絶縁性基板の前記一表面側の露出表面の凹凸を少なくすることができ、前記表面電極のパターンによらず前記表面電極の断線を防止することができる。
【0036】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記絶縁分離工程では、前記絶縁材料として絶縁性を有する感光性材料を採用し、感光性材料を前記絶縁性基板の前記一表面側に塗布してからフォトリソグラフィによりパターニングし、絶縁部を形成するので、リフトオフ法を利用して前記絶縁部を形成する場合に比べて前記絶縁部を容易に形成することができる。
【0037】
請求項11の発明は、請求項9の発明において、前記絶縁分離工程では、前記絶縁材料として窒化物を採用し、前記各下部電極の周辺および前記各ドリフト部の周辺に窒化物の粒子を含むペーストを印刷法により埋め込み、絶縁部を形成するので、リフトオフ法を利用して前記絶縁部を形成する場合に比べて前記絶縁部を容易に形成することができる。
【0038】
請求項12の発明は、請求項9ないし請求項11の発明において、前記電極形成工程の後に、前記表面電極と電気的に接続される複数のパッドを前記絶縁部に重なる位置に形成するパッド形成工程を備えるので、前記表面電極と前記パッドとの間で断線が起こるのを防止することができる。
【0039】
請求項13の発明は、請求項1ないし請求項12の発明において、前記ナノ結晶化工程では、前記電解液中で前記半導体層に陰極を対向配置して前記導電性層を陽極とし、陽極と陰極との間に電流を流す際に前記導電性層の周部の全周から電流を流すので、前記ナノ結晶化工程において陽極と陰極との間に電流を流している際に前記導電性層の電気抵抗による電圧降下が軽減され、前記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性が向上する。
【0040】
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13の発明において、前記絶縁膜形成工程は電気化学的な酸化工程であって、酸化用の電解液中で前記第1の複合ナノ結晶層に陰極を対向配置してから前記導電性層を陽極として陽極と陰極との間に定電流を流し、陽極と陰極との間の電圧が規定量だけ増加した後は陽極と陰極との間の電圧を増加後の電圧に維持して電流が所定値まで減少したときに酸化を終了させるので、陽極と陰極との間に定電流を流して陽極と陰極との間の電圧が規定量だけ増加したときに酸化を終了させる場合に比べて、前記各電子源素子の絶縁耐圧が向上する。
【0041】
請求項15の発明は、請求項9ないし請求項12の発明において、前記一括パターニング工程と前記絶縁分離工程との間に、前記一括パターニング工程によりパターニングされたドリフト部のうち前記電子源素子に対応する部位の間の部分を前記下部電極が露出するまでエッチングするエッチング工程を備えるので、隣り合う電子源素子間をより確実に絶縁することができ、各電子源素子の電子放出特性を向上できる。
【0042】
請求項16の発明は、請求項1の発明において、前記導電性層の形成前における前記絶縁性基板として前記電界放射型電子源を複数個形成可能な大面積基板を用い、前記電極形成工程よりも後で前記絶縁性基板を前記電界放射型電子源に対応する大きさに分割する分割工程を備えるので、製造コストを低減することが可能となる。
【0043】
請求項17の発明は、請求項16の発明において、前記絶縁膜形成工程よりも後に、前記第2の複合ナノ結晶層の一部をエッチングすることにより前記下部電極の一部を露出させるエッチング工程を備えるので、前記導電性層の成膜時に前記導電性層をパターニングする必要がないという利点がある。
【0044】
請求項18の発明は、請求項16の発明において、前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記各電界放射型電子源それぞれに対応した領域にのみ前記第1の複合ナノ結晶層を形成するので、前記導電性層での電圧降下を低減することができ、前記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性を向上させることができる。
【0045】
請求項19の発明は、請求項16の発明において、前記第2の成膜工程の前に、前記第1の成膜工程により前記大面積基板に積層した前記導電性層を前記各電界放射型電子源に対応する領域ごとに分けて電気的に分離する分離工程を備え、前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記分離工程において分離された前記導電性層それぞれに重なる部分に対して個別に前記第1の複合ナノ結晶層を形成するので、前記導電性層での電圧降下を低減することができ、前記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性を向上させることができる。
【0046】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記分離工程において分離された前記導電性層それぞれに重なる部分に対して前記第1の複合ナノ結晶層を順次形成するので、前記ナノ結晶化工程での消費電力を低減することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の電界放射型電子源10は、図4に示すように、絶縁性を有するガラス基板よりなる絶縁性基板11と、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の帯板状の下部電極12と、下部電極12にそれぞれ重なる形で形成された複数のノンドープの多結晶シリコン層3と、多結晶シリコン層3にそれぞれ重なる形で形成された複合ナノ結晶層(後述の第2の複合ナノ結晶層)よりなる複数のドリフト部6と、下部電極12の幅方向の両側面それぞれに形成された絶縁層17,17と、下部電極12に交差する方向に列設された複数の表面電極7とを備えている。ここにおいて、表面電極7は、絶縁性基板11の厚み方向において一部が下部電極12と対向している。また、下部電極12は長手方向の両端部上にそれぞれパッド27が形成され、表面電極7は長手方向の両端部上にそれぞれパッド28が形成されている。また、本実施形態では、表面電極7の断面形状が矩形波状に形成されているが、下部電極12の両側面には下部電極12の材料を構成元素として含み絶縁性を有する酸化物(例えば、Al、SiOなど)からなる絶縁層17,17が形成されているので、表面電極7と下部電極12とが短絡することはない。なお、下部電極12はドリフト部6に比べて幅方向の寸法がやや小さく、幅方向の両側の絶縁層17,17を合わせた幅寸法がドリフト部6の幅寸法に略等しくなっている。
【0048】
下部電極12の材料としては、耐酸化性が低く酸化されやすい導電性材料(例えば、Al、高濃度ドープの多結晶シリコンなど)を採用している。したがって、下部電極12の両側面を酸化することによって上述の絶縁層17を形成することができる。なお、本実施形態では、下部電極12の膜厚を3000Å程度に設定してある。
【0049】
一方、表面電極7の表面が酸化などの変質を起こすと電子放出効率が減少するので、表面電極7には耐酸化性が高く化学的に安定な貴金属材料(例えば、金)を採用しているが、表面電極7の材料は金に限定するものではない。また、表面電極7は単層構造に限らず、多層構造としてもよい。なお、表面電極7の厚さはドリフト部6を通ってきた電子がトンネルできる厚さであればよく、6nm〜15nm程度に設定すればよい。
【0050】
本実施形態における電界放射型電子源10は、図14および図16に示した従来構成と同様に、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数の下部電極12と、下部電極12に交差する方向に列設された複数の表面電極7との交点に相当する部位にドリフト部6の一部が挟まれているから、表面電極7と下部電極12との組を適宜選択して選択した組間に電圧を印加することにより、ドリフト部6において選択された表面電極7と下部電極12との交点に相当する部位に強電界が作用して電子が放出される。つまり、複数の表面電極7の群と複数の下部電極12の群とからなるマトリクス(格子)の格子点に、下部電極12と、下部電極12上の多結晶シリコン層3と、多結晶シリコン層3上のドリフト部6と、ドリフト部6上の表面電極7とからなる電子源素子10aを配置したことに相当し、電圧を印加する表面電極7と下部電極12との組を選択することによって所望の電子源素子10aから電子を放出させることが可能になる。なお、表面電極7を電子源素子10aに対応する部位にのみ形成して下部電極12に直交する方向に並んだ複数の表面電極7を低抵抗のバス電極により電気的に接続するようにしてもよい。
【0051】
ドリフト部6は、後述のナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスを行うことにより形成されており、図5に示すように、少なくとも、下部電極12の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶(半導体微結晶)63と、各シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である多数のシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。なお、各グレイン51は、下部電極12の厚み方向に延びている。
【0052】
本実施形態の電界放射型電子源10の電子源素子10aでは、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、表面電極7と下部電極12との間に表面電極7を高電位側として直流電圧Vpsを印加することにより、下部電極12からドリフト部6へ電子eが注入される。一方、ドリフト部6に印加された電界の大部分はシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子eはシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、ドリフト部6におけるグレイン51の間の領域を表面に向かって図5中の矢印の向き(図5における上向き)へドリフトし、表面電極7をトンネルし真空中に放出される。しかして、ドリフト部6では下部電極12から注入された電子がシリコン微結晶63でほとんど散乱されることなくシリコン酸化膜64にかかっている電界で加速されてドリフトし、表面電極7を通して放出され、ドリフト部6で発生した熱がグレイン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。なお、ドリフト部6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。
【0053】
以下、本実施形態の電界放射型電子源10の製造方法について図1〜図3を参照しながら説明する。
【0054】
まず、絶縁性基板11の上記一表面上に所定膜厚(例えば、3000Å)のアルミニウム膜からなる導電性層12aを例えばスパッタ法によって積層(成膜)する第1の成膜工程を行うことにより、図1(a)に示す構造を得る。なお、導電性層12aは、下部電極12用であり、後述の一括パターニング工程で複数の下部電極12にパターニングされる。
【0055】
続いて、導電性層12a上に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層からなる半導体層3aをプラズマCVD法によって積層する(成膜)する第2の成膜工程を行うことにより、図1(b)に示す構造を得る。ただし、第2の成膜工程では、導電性層12aのうち各下部電極12におけるコンタクト部となる部位の表面にガラスや金属などで作製されたマスク材(図示せず)を配置した状態(マスク材を密着させた状態)で半導体層3aを導電性層12aに積層する。したがって、半導体層3aを導電性層12aに積層した後でマスク材を取り除けば、導電性層12aのうち各下部電極12におけるコンタクト部となる部位の表面が露出することになるから、半導体層3aを導電性層12aに積層した後で下部電極12においてコンタクト部となる部位の表面を露出させるためのパターニング工程を別途に設ける必要がなく、製造プロセスの簡略化を図れる。ここにおけるマスク材としては例えば導電性層12aの周部を全周に亘って覆う矩形枠状のものを用いれば、図2に示すように導電性層12aの周部を露出させることができる。なお、半導体層3aは、ドリフト部6の基礎となるものであり、後述のナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスを施すことによりドリフト部6と同じ構成となる。また、第2の成膜工程における半導体層3aの成膜方法は、プラズマCVD法に限らず、LPCVD法や触媒CVD法などを採用してもよい。
【0056】
上述の半導体層3aを成膜した後、上述のナノ結晶化プロセス(ナノ結晶化工程)を行うことにより、多結晶シリコンの多数のグレイン51(図5参照)と多数のシリコン微結晶63(図5参照)とが混在する複合ナノ結晶層(以下、第1の複合ナノ結晶層と称す)を形成し、続いて、上述の酸化プロセスを行うことで第1の複合ナノ結晶層を電気化学的に酸化することによって、図5のような構成の複合ナノ結晶層(以下、第2の複合ナノ結晶層と称す)6aを形成することにより、図1(c)に示す構造を得る。なお、図1(c)では上述の半導体層3aのうち第2の複合ナノ結晶層6a下の部分を半導体層3bとしてある。
【0057】
ナノ結晶化プロセスでは、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液を用い、導電性層12aを陽極とし、電解液中において半導体層3aに白金電極よりなる陰極を対向配置して、500Wのタングステンランプからなる光源により半導体層3aの主表面に光照射を行いながら、電源から陽極と陰極との間に定電流(例えば、電流密度が12mA/cmの電流)を所定時間(例えば、10秒)だけ流すことによって、多結晶シリコンのグレイン51およびシリコン微結晶63を含む第1の複合ナノ結晶層を形成する。なお、ナノ結晶化プロセスでは、半導体層3aの主表面の周部および露出した導電性層12aが電解液に触れないようにシールした形で絶縁性基板11をセットできるようにした処理槽を利用している。ここにおいて、本実施形態では、上述の半導体層3aが平坦な導電性層12aに積層されていて半導体層3aの厚さに関係なく半導体層3aの表面が平坦になっており、半導体層3aに従来のようなクラック(亀裂)が発生していないので、半導体層3aのクラックを通して電解液が浸入するという問題の発生を防止することができ、下部電極12用の導電性層12aや絶縁性基板11が腐食されるのを防止することができる。なお、本実施形態のナノ結晶化プロセスを行う際には、上述の図2に示したように導電性層12aの周部が露出しており、上記電解液中で半導体層3aに陰極を対向配置して導電性層12aを陽極とし、陽極と陰極との間に電流を流す際に導電性層12aの周部の全周から電流を流すので、ナノ結晶化プロセスにおいて陽極と陰極との間に電流を流している際に導電性層12aの電気抵抗による電圧降下が軽減され、上記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性が向上する。
【0058】
酸化プロセスでは、例えば、1mol/lのHSO溶液からなる電解液を用い、導電性層12aを陽極とし、電解液中において第1の複合ナノ結晶層に白金電極よりなる陰極を対向配置して、電源から陽極と陰極との間に一定の化成電流密度の電流を流し続けて陽極と陰極との間の電圧が規定量だけ上昇した後は陽極と陰極との間の電圧を増加後の電圧に維持して化成電流密度が所定値まで減少したときに通電を停止させることで第1の複合ナノ結晶層を電気化学的に酸化することによって、上述のグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64を含む第2の複合ナノ結晶層6aを形成するようになっている。この酸化プロセスにおいては、通電開始からの時間経過にともなって化成電流密度が図3中に実線で示した「イ」のように変化し、陽極と陰極との間の電圧が同図中に一点鎖線で示した「ロ」のように変化する。なお、本実施形態では、上記一定の化成電流密度を2.5mA/cmとし、陽極と陰極との間の電圧が規定量だけ増加することで20Vまで上昇した後、陽極と陰極との間の電圧を20Vに維持して化成電流密度が0.01A/cmまで上昇した時点で通電を停止した。なお、上述の酸化プロセスで用いる電解液は1mol/lのHSO溶液に限定するものではなく、各種酸(例えば、HSO、HNO、王水など)の水溶液や、有機溶媒(例えば、エチレングリコールなど)中に電解質(例えば、硝酸カリウムなど)を溶かした溶液を用いてもよい。また、本実施形態では、シリコン酸化膜64が絶縁膜を構成しており、酸化プロセスが絶縁膜形成工程となる。また、本実施形態では、上述のナノ結晶化プロセスを行うことによって形成される第1の複合ナノ結晶層においてグレイン51、シリコン微結晶63以外の領域はアモルファスシリコンからなるアモルファス領域となっており、第2の複合ナノ結晶層においてグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64以外の領域がアモルファスシリコン若しくは一部が酸化したアモルファスシリコンからなるアモルファス領域65となっているが、ナノ結晶化プロセスの条件によってはアモルファス領域65が孔となり、このような場合の第1の複合ナノ結晶層は従来例で説明した多孔質多結晶シリコン層と同じ構成とみなすことができる。
【0059】
上述の酸化プロセスが終了した後、第2の複合ナノ結晶層6a上に、それぞれ第2の複合ナノ結晶層の一部からなる複数のドリフト部6およびそれぞれ半導体層3bの一部からなる多結晶シリコン層3およびそれぞれ導電性層12aの一部からなる複数の下部電極12をパターン形成するためのエッチングマスク層(図示せず)を形成するマスク層形成工程を行ってから、エッチングマスク層をマスクとして、第2の複合ナノ結晶層6aおよび半導体層3bおよび導電性層12aを連続的にパターニングする一括パターニング工程を行うことでドリフト部6および多結晶シリコン層3および下部電極12をパターン形成し、エッチングマスク層を除去することにより、図1(d)に示す構造が得られる。ここにおいて、エッチングマスク層の材料としては、例えば、フォトレジストを採用すればよく、エッチングマスク層の材料としてフォトレジストを採用する場合には、スピンコーティングにより絶縁性基板11の上記一表面側の全面にレジスト層を形成し、リソグラフィ技術によってレジスト層のうち不要部分を除去することでパターニングされたレジスト層からなるエッチングマスク層を形成することができる。なお、本実施形態における一括パターニング工程では、第2の複合ナノ結晶層6aおよび導電性層12aそれぞれの不要部分をウェットエッチングで除去しているが、ドリフト部6下の下部電極12の幅がドリフト部6の幅に比べてやや狭くなる(つまり、下部電極12がサイドエッチングされる)ようにエッチング条件を設定してある。なお、第2の複合ナノ結晶層6aの基礎となる半導体層3aの材料が多結晶シリコンで、導電性層12aの材料がアルミニウムであれば、フッ酸と硝酸との混酸を用いて第2の複合ナノ結晶層6aの不要部分および半導体層3bの不要部分および導電性層12aの不要部分を連続してウエットエッチングしてそれぞれ第2の複合ナノ結晶層6aの一部からなるドリフト部6およびそれぞれ半導体層3bの一部からなる多結晶シリコン層3およびそれぞれ導電性層12aの一部からなる下部電極12をパターン形成することができる。
【0060】
その後、酸化性ガス(例えば、Oガス、NOガスなど)雰囲気中で絶縁性基板11を所定の基板温度(例えば、600℃)に加熱して各下部電極12aの露出表面を酸化することで下部電極12の構成材料(導電性材料)の酸化物(例えば、Alなど)からなる絶縁層17を各下部電極12の幅方向の両側面に形成する絶縁層形成工程を行うことにより、図1(e)に示す構造を得る。なお、この絶縁層形成工程では、下部電極12の露出表面に絶縁層17が形成されるのと同時に、上述のドリフト部6が酸化性ガス雰囲気中でアニール処理されることになるので、ドリフト部6の各シリコン酸化膜52,64の膜質が改善される。また、上述の絶縁膜形成工程では電気化学的な酸化方法を採用しているが、絶縁膜形成工程において酸素ガス雰囲気中での急速熱酸化法(RTO法)を採用するようにすれば、各シリコン微結晶63それぞれの表面にシリコン酸化膜64を形成する際に、下部電極12の露出表面に下部電極12の構成材料(導電性材料)の酸化物からなる絶縁層17を形成することができるから、下部電極12の露出表面に絶縁層17を形成するために別途に上記絶縁層形成工程を設ける必要がなく、工程数を削減することができる。
【0061】
絶縁層17を形成した後、例えば蒸着法などによって金薄膜からなる表面電極7を形成する電極形成工程を行い、続いて、各表面電極7の両端部上にパッド28を形成するとともに各下部電極12の両端部上にパッド27を形成するパッド形成工程を行うことにより、図1(f)に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。
【0062】
以上説明した製造方法にて製造した本実施形態の電界放射型電子源10は、ナノ結晶化工程において電解液が半導体層3aに形成されたクラックを通して浸入するという問題の発生を防止することができ、製造時の歩留まりを向上できるとともに長期的な信頼性を向上できる。また、ナノ結晶化工程において下部電極12用の導電性層12aや絶縁性基板11が電解液によって腐食されるのを防止することが可能となって、絶縁性基板11から下部電極12が剥離したり下部電極12から下部電極12上の多結晶シリコン層3が剥離したりするのを防止することができる。
【0063】
また、第1の成膜工程で絶縁性基板11の上記一表面に積層する導電性層12aの材料として酸化されやすく且つその酸化物が絶縁性を有する導電性材料を用い、一括パターニング工程と電極形成工程との間に、下部電極12の露出表面を酸化することで導電性材料の酸化物からなる絶縁層17を形成する絶縁層形成工程を備えるので、電極形成工程で表面電極7を形成する前に下部電極12の露出表面に絶縁層17を形成することができるから、電極形成工程で形成する表面電極7のパターンによらず、表面電極7と下部電極12とが短絡するのを防止することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、ノンドープの多結晶シリコン層からなる半導体層3aに対してナノ結晶化プロセスを行って、その後、酸化プロセスを行うことによりドリフト部6を形成しているが、半導体層3aとしてノンドープの多結晶シリコン層の代わりに他の半導体層を採用してもよい。また、絶縁膜形成工程としては、酸化プロセスの代わりに窒化プロセスないし酸窒化プロセスを採用してもよく、窒化プロセスを採用した場合には図5にて説明した各シリコン酸化膜52,64がいずれもシリコン窒化膜となり、酸窒化プロセスを採用した場合には各シリコン酸化膜52,64がシリコン酸窒化膜となる。すなわち、酸化プロセスを採用した場合にはシリコン酸化膜64が半導体微結晶たるシリコン微結晶63の表面に形成された絶縁膜を構成しているが、窒化プロセスを採用した場合にはシリコン酸化膜64の代わりに形成されるシリコン窒化膜が絶縁膜を構成し、酸窒化プロセスを採用した場合にはシリコン酸化膜64の代わりに形成されるシリコン酸窒化膜が絶縁膜を構成する。
【0065】
(実施形態2)
ところで、実施形態1の電界放射型電子源10では、表面電極7の断面形状が矩形波状に形成されているので、表面電極7が断線してしまう恐れがある。そこで、表面電極7を電子源素子10aに対応する部位のみに形成して下部電極12に交差する方向に列設された表面電極7を表面電極7に比べて膜厚を大きくできるバス電極により共通接続することも考えられるが、各ドリフト部6aの両側面および各多結晶シリコン層3の両側面および各絶縁層17の側面でのバス電極の膜厚が他の部位に比べて薄くなり断線してしまう恐れがある。
【0066】
これに対して、本実施形態の電界放射型電子源10の基本構成は実施形態1と略同じであって、下部電極12の両側面に絶縁層17,17を形成する代わりに、図7に示すように、下部電極12の幅をドリフト部6および多結晶シリコン層3の幅と揃えてドリフト部6の周辺(隣り合うドリフト部6a間など)および多結晶シリコン層3の周辺(隣り合う多結晶シリコン層3間など)および下部電極12の周辺(隣り合う下部電極12間など)を埋める絶縁材料(例えば、絶縁性を有する感光性材料、絶縁性を有する窒化物など)からなる絶縁部18を設けている点、表面電極7が、ドリフト部6と多結晶シリコン層3と絶縁部18とからなる電子通過部5の上でドリフト部6および絶縁部18に跨って下部電極12に交差する方向に列設されている点が相違する。ここにおいて、絶縁部18は、当該絶縁部18の表面をドリフト部6の表面と同一平面上に揃えるように厚さを設定してある。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、実施形態1のように下部電極12の露出表面を酸化することで絶縁層17を形成する絶縁層形成工程が不要となるから、下部電極12の材料としては、例えば、W,Ti,Mo,Cr,Ta,Ni,Al,Cu,Au,Ptなどの金属あるいは合金あるいはシリサイドなど金属間化合物、高濃度ドープの多結晶シリコンなどの導電性材料を採用すればよい。また、下部電極12は、単層構造でもよいし多層構造でもよい。なお、本実施形態では、一例として下部電極12の材料をWとし、下部電極12の膜厚を3000Å程度に設定した場合について説明する。
【0068】
以下、本実施形態の電界放射型電子源の製造方法について図6を参照しながら説明するが、実施形態1と同様の工程については説明を適宜省略する。
【0069】
まず、絶縁性基板11の上記一表面上に所定膜厚(例えば、3000Å)のタングステン膜からなる導電性層12aを例えばスパッタ法によって積層(成膜)する第1の成膜工程を行うことにより、図6(a)に示す構造を得る。なお、導電性層12aは、下部電極12用であり、後述の一括パターニング工程で複数の下部電極12にパターニングされる。
【0070】
続いて、導電性層12a上に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコン層からなる半導体層3aをプラズマCVD法によって積層する(成膜)する第2の成膜工程を行うことにより、図6(b)に示す構造を得る。ただし、第2の成膜工程では、導電性層12aのうち各下部電極12におけるコンタクト部となる部位の表面にガラスや金属などで作製されたマスク材(図示せず)を配置した状態(マスク材を密着させた状態)で半導体層3aを導電性層12aに積層する。したがって、半導体層3aを導電性層12aに積層した後でマスク材を取り除けば、導電性層12aのうち各下部電極12におけるコンタクト部となる部位の表面が露出することになるから、半導体層3aを導電性層12aに積層した後で下部電極12においてコンタクト部となる部位の表面を露出させるためのパターニング工程を別途に設ける必要がなく、製造プロセスの簡略化を図れる。ここにおけるマスク材としては例えば導電性層12aの周部を全周に亘って覆う矩形枠状のものを用いれば、上述の図2に示すように導電性層12aの周部を露出させることができる。なお、半導体層3aは、ドリフト部6の基礎となるものであり、実施形態1にて説明したナノ結晶化プロセスおよび酸化プロセスを施すことによりドリフト部6と同じ構成となる。また、第2の成膜工程における半導体層3aの成膜方法は、プラズマCVD法に限らず、LPCVD法や触媒CVD法などを採用してもよい。
【0071】
上述の半導体層3aを成膜した後、実施形態1にて説明したナノ結晶化プロセス(ナノ結晶化工程)を行うことにより、多結晶シリコンの多数のグレイン51(図5参照)と多数のシリコン微結晶63(図5参照)とが混在する複合ナノ結晶層(以下、第1の複合ナノ結晶層と称す)を形成し、続いて、実施形態1にて説明した酸化プロセスを行うことで第1の複合ナノ結晶層を電気化学的に酸化することによって、図5のような構成の複合ナノ結晶層(以下、第2の複合ナノ結晶層と称す)6aを形成することにより、図6(c)に示す構造を得る。なお、図6(c)では上述の半導体層3aのうち第2の複合ナノ結晶層6a下の部分を半導体層3bとしてある。なお、本実施形態においても、実施形態1と同様、上述の半導体層3aが平坦な導電性層12aに積層されていて半導体層3aの厚さに関係なく半導体層3aの表面が平坦になっており、半導体層3aに従来のようなクラック(亀裂)が発生していないので、半導体層3aのクラックを通して電解液が浸入するという問題の発生を防止することができ、下部電極12用の導電性層12aや絶縁性基板11が腐食されるのを防止することができる。
【0072】
上述の酸化プロセスが終了した後、第2の複合ナノ結晶層6a上に、それぞれ第2の複合ナノ結晶層の一部からなる複数のドリフト部6およびそれぞれ半導体層3bの一部からなる多結晶シリコン層3およびそれぞれ導電性層12aの一部からなる複数の下部電極12をパターン形成するためのエッチングマスク層(図示せず)を形成するマスク層形成工程を行ってから、エッチングマスク層をマスクとして、第2の複合ナノ結晶層6aおよび半導体層3bおよび導電性層12aを連続的にパターニングする一括パターニング工程を行うことでドリフト部6および多結晶シリコン層3および下部電極12をパターン形成し、エッチングマスク層を除去することにより、図6(d)に示す構造が得られる。ここにおいて、エッチングマスク層の材料としては、例えば、フォトレジストを採用すればよく、エッチングマスク層の材料としてフォトレジストを採用する場合には、スピンコーティングにより絶縁性基板11の上記一表面側の全面にレジスト層を形成し、リソグラフィ技術によってレジスト層のうち不要部分を除去することでパターニングされたレジスト層からなるエッチングマスク層を形成することができる。なお、本実施形態における一括パターニング工程では、第2の複合ナノ結晶層6aおよび半導体層3a,3bおよび導電性層12aそれぞれの不要部分を反応性イオンエッチングなどの異方性の高いドライエッチングで除去しており、ドリフト部6下の下部電極12の幅がドリフト部6の幅および多結晶シリコン層3の幅と略同じになっている。ここにおいて、第2の複合ナノ結晶層の基礎となる半導体層3aの材料が多結晶シリコンで、導電性層12aの材料がタングステンであれば、フッ素系ガス(例えば、SFガスなど)を用いることにより、第2の複合ナノ結晶層6aおよび導電性層12aの不要部分をエッチング条件を変更することなしに連続してドライエッチングすることができ、スループットが向上するとともに工程管理が容易になる。なお、上述のように、第2の複合ナノ結晶層6aの基礎となる半導体層3aの材料が多結晶シリコンで、導電性層12aの材料がタングステンであれば、フッ酸と硝酸との混酸を用いて第2の複合ナノ結晶層6aの不要部分および半導体層3bの不要部分をウエットエッチングしてそれぞれ第2の複合ナノ結晶層の一部からなるドリフト部6をパターン形成することができ、ドリフト部6をマスクとして過酸化水素水を用いて導電性層12aの不要部分をウェットエッチングしてそれぞれ導電性層12aの一部からなる下部電極12をパターン形成することもできる。
【0073】
その後、各下部電極12の周辺および各多結晶シリコン層3の周辺および各ドリフト部6の周辺を埋める絶縁材料(例えば、絶縁性を有する感光性材料、絶縁性を有する窒化物など)からなる絶縁部18を形成する絶縁分離工程を行うことにより、図6(e)に示す構造を得る。このような絶縁分離工程を設けることにより、後述の電極形成工程において形成する表面電極7のパターンによらず表面電極7と下部電極12とが短絡するのを防止することができ、しかも、表面電極7形成前における絶縁性基板11の上記一表面側の露出表面の凹凸を少なくすることができ、表面電極7のパターンによらず表面電極7の断線を防止することができる。ところで、絶縁部18を形成する方法としては、ドリフト部6上にリフトオフ用のフォトレジストからレジスト層を形成してから、蒸着法などによって絶縁性基板11の上記一表面側の全面に絶縁体層を形成し、リフトオフ法により上記レジスト層および上記レジスト層上の絶縁体層を除去することでそれぞれ上記絶縁体層の一部からなる絶縁部18をパターン形成することが考えられる。しかしながら、このようなリフトオフ法を採用した場合には、絶縁性基板11の大面積化を図った場合に処理が難しくなってしまうという不具合や、製造プロセスが複雑になるという不具合がある。これに対して、本実施形態における絶縁分離工程では、上記絶縁材料として例えば絶縁性を有する感光性材料を採用した場合には、感光性材料を上記絶縁性基板11の上記一表面側に塗布してからフォトリソグラフィによりパターニングし、その後に熱処理を施すことにより絶縁部18を形成するので、リフトオフ法を利用して絶縁部18を形成する場合に比べて絶縁部18を容易に形成することができる。また、本実施形態における絶縁分離工程では、上記絶縁材料として例えば絶縁性を有する窒化物を採用した場合には、各下部電極12の周辺および各多結晶シリコン層3の周辺および各ドリフト部6の周辺に窒化物の粒子を含むペーストを印刷法により埋め込み、その後に熱処理を施すことにより絶縁部18を形成するので、リフトオフ法を利用して絶縁部18を形成する場合に比べて絶縁部18を容易に形成することができる。
【0074】
絶縁部18を形成した後には、例えば蒸着法などによって金薄膜からなる表面電極7を形成する電極形成工程を行い、続いて、各表面電極7の両端部上にパッド28を形成するとともに各下部電極12の両端部上にパッド27を形成するパッド形成工程を行うことにより、図6(f)に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。なお、パッド形成工程では、表面電極7と電気的に接続されるパッド28を絶縁部18に重なる位置に形成しているので、表面電極7とパッド28との間で断線が起こるのを防止することができる。
【0075】
以上説明した製造方法にて製造した本実施形態の電界放射型電子源10は、ナノ結晶化工程において電解液が半導体層3aに形成されたクラックを通して浸入するという問題の発生を防止することができ、製造時の歩留まりを向上できるとともに長期的な信頼性を向上できる。また、ナノ結晶化工程において下部電極12用の導電性層12aや絶縁性基板11が電解液によって腐食されるのを防止することが可能となって、絶縁性基板11から下部電極12が剥離したり下部電極12から下部電極12上の多結晶シリコン層3が剥離したりするのを防止することができる。
【0076】
また、一括パターニング工程では、第2の複合ナノ結晶層6aおよび半導体層3bおよび導電性層12aの不要部分をドライエッチングすることで各ドリフト部6および各多結晶シリコン層3および各下部電極12をパターン形成するので、一括パターニング工程でパターン形成される各ドリフト部6および各多結晶シリコン層3および各下部電極12の形状の再現性を高めることができる。
【0077】
なお、上述の実施形態では表面電極7を下部電極12に交差する方向に形成してあるが、表面電極7を電子源素子10aに対応する部位のみに形成して下部電極12に交差する方向に列設された表面電極7を表面電極7に比べて膜厚を大きくできるバス電極により共通接続するようにしてもよいことは勿論である。
【0078】
(実施形態3)
ところで、実施形態2の電界放射型電子源10では、下部電極12の長手方向において隣り合う電子源素子10a間にもドリフト部6の一部が形成されているので、下部電極12の長手方向において隣り合う電子源素子10a間の電気的な絶縁が不十分になってクロストークが発生してしまう恐れがある。これに対して、本実施形態の電界放射型電子源10は、図8に示すように、各電子源素子10aの周囲が絶縁部18により囲まれている点が相違する。すなわち、本実施形態では、下部電極12の長手方向において隣り合う電子源素子10a間にも絶縁部18が形成されている点が実施形態2と相違する。
【0079】
本実施形態の電界放射型電子源10の製造方法は実施形態2にて説明した製造方法と略同じであって、上記一括パターニング工程と上記絶縁分離工程との間に、一括パターニング工程によりパターニングされたドリフト部6のうち電子源素子10aに対応する部位の間の部分を下部電極12が露出するまでエッチングするエッチング工程を備えている点が相違するだけである。
【0080】
しかして、本実施形態の製造方法により製造した電界放射型電子源10では、るので、隣り合う電子源素子10a間をより確実に絶縁することができ、各電子源素子10aの電子放出特性を向上できる。
【0081】
(実施形態4)
本実施形態の電界放射型電子源10の構成は実施形態2と同じであり、製造方法が相違するだけである。
【0082】
本実施形態の製造方法では、導電性層12aの形成前における絶縁性基板11として図9に示すように電界放射型電子源10を複数個形成可能な大面積基板を用い、上記電極形成工程よりも後で絶縁性基板11を電界放射型電子源10に対応する大きさに分割する分割工程を備えている点に特徴がある。
【0083】
しかして、本実施形態の製造方法では、製造コストを低減することが可能となる。また、本実施形態の製造方法においては、上記絶縁膜形成工程よりも後に、第2の複合ナノ結晶層6の一部をエッチングすることにより下部電極12の一部を露出させるエッチング工程を備えるので、導電性層12aの成膜時に導電性層12aをパターニングする必要がないという利点がある。
【0084】
ところで、本実施形態の製造方法においては、上記第2の成膜工程の前に、第1の成膜工程により大面積基板(絶縁性基板11)に積層した導電性層12aを図10に示すように各電界放射型電子源10に対応する領域ごと(図示例では、4つの領域)に分けて電気的に分離する分離工程を備え、上記ナノ結晶化工程では、半導体層3aのうち分離工程において分離された導電性層12aそれぞれに重なる部分に対して個別に第1の複合ナノ結晶層を形成するので、導電性層12aでの電圧降下を低減することができ、第1の複合ナノ結晶層の面内均一性を向上させることができる。つまり、本実施形態におけるナノ結晶化工程では、半導体層3aのうち各電界放射型電子源10それぞれに対応した領域にのみ上記第1の複合ナノ結晶層を形成するので、導電性層12aでの電圧降下を低減することができ、上記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性を向上させることができ、結果的に上記第2の複合ナノ結晶層6aの面内均一性を向上させることができる。
【0085】
なお、本実施形態におけるナノ結晶化工程では、図11に示すように、上記分離工程において分離された導電性層12aごとに、表面側に矩形枠状のシール壁41を密着させて、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液Bを入れ、導電性層12aを陽極とし、電解液B中において半導体層3aに白金電極よりなる陰極42を対向配置して、500Wのタングステンランプ(図示せず)からなる光源により半導体層3aの主表面に光照射を行いながら、電源43から陽極(導電性層12a)と陰極42との間に定電流を所定時間だけ流すことによって、上記第1の複合ナノ結晶層を形成している。しかして、本実施形態におけるナノ結晶化工程では、半導体層3aのうち分離工程において分離された導電性層12aそれぞれに重なる部分に対して上記第1の複合ナノ結晶層を順次形成するので、ナノ結晶化工程での消費電力を低減することができる。
【0086】
なお、本実施形態のように導電性層12aの形成前における絶縁性基板11として電界放射型電子源10を複数個形成可能な大面積基板を用い、上記電極形成工程よりも後で絶縁性基板11を電界放射型電子源10に対応する大きさに分割する分割工程を設けるという技術思想は他の実施形態においても適用することができる。
【0087】
【発明の効果】
請求項1の発明は、絶縁性基板の一表面側に多数の電子源素子がマトリクス状に配置され、各電子源素子が、絶縁性基板の前記一表面上の下部電極と、絶縁性基板の厚み方向において下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極の間に介在し多数のナノメータオーダの半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成された半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の多数の絶縁膜を有するドリフト部とを備えた電界放射型電子源の製造方法であって、前記絶縁性基板の前記一表面に下部電極用の導電性層を積層する第1の成膜工程と、導電性層上にドリフト部の基礎となる半導体層を積層する第2の成膜工程と、電解液を用いて半導体層をナノ結晶化することで多数のナノメータオーダの半導体微結晶を有する第1の複合ナノ結晶層を形成するナノ結晶化工程と、各半導体微結晶それぞれの表面に半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜を成膜することで多数の半導体微結晶および多数の絶縁膜を有する第2の複合ナノ結晶層を形成する絶縁膜形成工程と、第2の複合ナノ結晶層および導電性層の不要部分を連続的にエッチングすることでそれぞれ第2の複合ナノ結晶層の一部からなるドリフト部およびそれぞれ導電性層の一部からなる下部電極をパターン形成する一括パターニング工程と、ドリフト部上に表面電極を形成する電極形成工程とを備えるので、ナノ結晶化工程において下部電極用の導電性層や絶縁性基板が電解液によって腐食されるのを防止することが可能となって、下部電極が絶縁性基板から剥がれたり下部電極上の層が下部電極から剥がれるのを防止することができ、製造時の歩留まりを向上できるとともに長期的な信頼性を向上できるという効果がある。
【0088】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第2の成膜工程では、前記導電性層のうち前記各下部電極におけるコンタクト部となる部位の表面にマスク材を配置した状態で前記半導体層を前記導電性層に積層するので、前記半導体層を前記導電性層に積層した後でマスク材を取り除けば、前記導電性層のうち前記各下部電極におけるコンタクト部となる部位の表面が露出することになるから、前記半導体層を前記導電性層に積層した後で前記下部電極においてコンタクト部となる部位の表面を露出させるためのパターニング工程を別途に設ける必要がなく、製造プロセスの簡略化を図れるという効果がある。
【0089】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングすることで前記各ドリフト部および前記各下部電極をパターン形成するので、前記一括パターニング工程でパターン形成される前記各ドリフト部および前記各下部電極の形状の再現性を高めることができるという効果がある。
【0090】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料としてタングステンを採用するとともに、前記第2の成膜工程で前記導電性層に積層する前記半導体層の材料として多結晶シリコンを採用し、前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングするにあたって、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いるので、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をエッチング条件を変更することなしに連続してドライエッチングすることができ、スループットが向上するとともに工程管理が容易になるという効果がある。
【0091】
請求項5の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をウェットエッチングすることで前記各ドリフト部および前記各下部電極をパターン形成するので、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングする場合のようにドライエッチング装置のような真空装置を必要としないから、製造装置の低コスト化を図ることができ、特に前記絶縁性基板の大面積化を図る際に有利になるという効果がある。
【0092】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記一括パターニング工程では、前記ドリフト部下の前記下部電極がサイドエッチングされるようにエッチング条件を設定するので、前記電極形成工程で形成する前記表面電極のパターンによらず、前記表面電極と前記下部電極とが短絡するのを防止することができるという効果がある。
【0093】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料として酸化されやすく且つその酸化物が絶縁性を有する導電性材料を用い、前記一括パターニング工程と前記電極形成工程との間に、前記下部電極の露出表面を酸化することで前記導電性材料の酸化物からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えるので、前記電極形成工程で前記表面電極を形成する前に前記下部電極の露出表面に絶縁層を形成することができるから、前記電極形成工程で形成する前記表面電極のパターンによらず、前記表面電極と前記下部電極とが短絡するのを防止することができるという効果がある。
【0094】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料として酸化されやすく且つその酸化物が絶縁性を有する導電性材料を用い、前記絶縁膜形成工程では、酸化性ガス雰囲気中での急速熱酸化法を採用するので、前記各半導体微結晶それぞれの表面に絶縁膜を形成する際に、前記下部電極の露出表面に前記導電性材料の酸化物からなる絶縁層を形成することができるから、前記下部電極の露出表面に絶縁層を形成するために別途の工程を設ける必要がなく、請求項7の発明に比べて工程数を削減することができるという効果がある。
【0095】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記一括パターニング工程と前記電極形成工程との間に、前記各下部電極の周辺および前記各ドリフト部の周辺を埋める絶縁材料からなる絶縁部を形成する絶縁分離工程を備えるので、前記電極形成工程にて形成する前記表面電極のパターンによらず前記表面電極と前記下部電極とが短絡するのを防止することができ、しかも、前記表面電極形成前における前記絶縁性基板の前記一表面側の露出表面の凹凸を少なくすることができ、前記表面電極のパターンによらず前記表面電極の断線を防止することができるという効果がある。
【0096】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記絶縁分離工程では、前記絶縁材料として絶縁性を有する感光性材料を採用し、感光性材料を前記絶縁性基板の前記一表面側に塗布してからフォトリソグラフィによりパターニングし、絶縁部を形成するので、リフトオフ法を利用して前記絶縁部を形成する場合に比べて前記絶縁部を容易に形成することができるという効果がある。
【0097】
請求項11の発明は、請求項9の発明において、前記絶縁分離工程では、前記絶縁材料として窒化物を採用し、前記各下部電極の周辺および前記各ドリフト部の周辺に窒化物の粒子を含むペーストを印刷法により埋め込み、絶縁部を形成するので、リフトオフ法を利用して前記絶縁部を形成する場合に比べて前記絶縁部を容易に形成することができるという効果がある。
【0098】
請求項12の発明は、請求項9ないし請求項11の発明において、前記電極形成工程の後に、前記表面電極と電気的に接続される複数のパッドを前記絶縁部に重なる位置に形成するパッド形成工程を備えるので、前記表面電極と前記パッドとの間で断線が起こるのを防止することができるという効果がある。
【0099】
請求項13の発明は、請求項1ないし請求項12の発明において、前記ナノ結晶化工程では、前記電解液中で前記半導体層に陰極を対向配置して前記導電性層を陽極とし、陽極と陰極との間に電流を流す際に前記導電性層の周部の全周から電流を流すので、前記ナノ結晶化工程において陽極と陰極との間に電流を流している際に前記導電性層の電気抵抗による電圧降下が軽減され、前記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性が向上するという効果がある。
【0100】
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13の発明において、前記絶縁膜形成工程は電気化学的な酸化工程であって、酸化用の電解液中で前記第1の複合ナノ結晶層に陰極を対向配置してから前記導電性層を陽極として陽極と陰極との間に定電流を流し、陽極と陰極との間の電圧が規定量だけ増加した後は陽極と陰極との間の電圧を増加後の電圧に維持して電流が所定値まで減少したときに酸化を終了させるので、陽極と陰極との間に定電流を流して陽極と陰極との間の電圧が規定量だけ増加したときに酸化を終了させる場合に比べて、前記各電子源素子の絶縁耐圧が向上するという効果がある。
【0101】
請求項15の発明は、請求項9ないし請求項12の発明において、前記一括パターニング工程と前記絶縁分離工程との間に、前記一括パターニング工程によりパターニングされたドリフト部のうち前記電子源素子に対応する部位の間の部分を前記下部電極が露出するまでエッチングするエッチング工程を備えるので、隣り合う電子源素子間をより確実に絶縁することができ、各電子源素子の電子放出特性を向上できるという効果がある。
【0102】
請求項16の発明は、請求項1の発明において、前記導電性層の形成前における前記絶縁性基板として前記電界放射型電子源を複数個形成可能な大面積基板を用い、前記電極形成工程よりも後で前記絶縁性基板を前記電界放射型電子源に対応する大きさに分割する分割工程を備えるので、製造コストを低減することが可能となるという効果がある。
【0103】
請求項17の発明は、請求項16の発明において、前記絶縁膜形成工程よりも後に、前記第2の複合ナノ結晶層の一部をエッチングすることにより前記下部電極の一部を露出させるエッチング工程を備えるので、前記導電性層の成膜時に前記導電性層をパターニングする必要がないという利点がある。
【0104】
請求項18の発明は、請求項16の発明において、前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記各電界放射型電子源それぞれに対応した領域にのみ前記第1の複合ナノ結晶層を形成するので、前記導電性層での電圧降下を低減することができ、前記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性を向上させることができるという効果がある。
【0105】
請求項19の発明は、請求項16の発明において、前記第2の成膜工程の前に、前記第1の成膜工程により前記大面積基板に積層した前記導電性層を前記各電界放射型電子源に対応する領域ごとに分けて電気的に分離する分離工程を備え、前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記分離工程において分離された前記導電性層それぞれに重なる部分に対して個別に前記第1の複合ナノ結晶層を形成するので、前記導電性層での電圧降下を低減することができ、前記第1の複合ナノ結晶層の面内均一性を向上させることができるという効果がある。
【0106】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記分離工程において分離された前記導電性層それぞれに重なる部分に対して前記第1の複合ナノ結晶層を順次形成するので、前記ナノ結晶化工程での消費電力を低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図2】同上における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程平面図である。
【図3】同上における電界放射型電子源の製造方法の説明図である。
【図4】同上における電界放射型電子源を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’断面図である。
【図5】同上における電界放射型電子源の要部概略構成図である。
【図6】実施形態2における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図7】同上における電界放射型電子源を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’断面図である。
【図8】実施形態3における電界放射型電子源を示す概略平面図である。
【図9】実施形態4における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程平面図である。
【図10】同上における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程平面図である。
【図11】同上における電界放射型電子源の製造方法の説明図である。
【図12】従来例を示す電界放射型電子源の動作説明図である。
【図13】他の従来例を示す電界放射型電子源の動作説明図である。
【図14】同上を応用したディスプレイの概略構成図である。
【図15】同上を応用したディスプレイにおける電界放射型電子源の概略斜視図である。
【図16】同上を応用したディスプレイにおける電界放射型電子源を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は(a)のB−B’断面図である。
【図17】同上を応用したディスプレイにおける電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図18】同上を応用したディスプレイにおける電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【符号の説明】
3 多結晶シリコン層
3a 半導体層
3b 半導体層
6 ドリフト部
6a 第2の複合ナノ結晶層
7 表面電極
10 電界放射型電子源
10a 電子源素子
11 絶縁性基板
12 下部電極
12a 導電性層
17 絶縁層
27 パッド
28 パッド
51 グレイン
52 シリコン酸化膜
63 シリコン微結晶
64 シリコン酸化膜

Claims (20)

  1. 絶縁性基板の一表面側に多数の電子源素子がマトリクス状に配置され、各電子源素子が、絶縁性基板の前記一表面上の下部電極と、絶縁性基板の厚み方向において下部電極に対向する表面電極と、下部電極と表面電極の間に介在し多数のナノメータオーダの半導体微結晶および各半導体微結晶それぞれの表面に形成された半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の多数の絶縁膜を有するドリフト部とを備えた電界放射型電子源の製造方法であって、前記絶縁性基板の前記一表面に下部電極用の導電性層を積層する第1の成膜工程と、導電性層上にドリフト部の基礎となる半導体層を積層する第2の成膜工程と、電解液を用いて半導体層をナノ結晶化することで多数のナノメータオーダの半導体微結晶を有する第1の複合ナノ結晶層を形成するナノ結晶化工程と、各半導体微結晶それぞれの表面に半導体微結晶の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜を成膜することで多数の半導体微結晶および多数の絶縁膜を有する第2の複合ナノ結晶層を形成する絶縁膜形成工程と、第2の複合ナノ結晶層および導電性層の不要部分を連続的にエッチングすることでそれぞれ第2の複合ナノ結晶層の一部からなるドリフト部およびそれぞれ導電性層の一部からなる下部電極をパターン形成する一括パターニング工程と、ドリフト部上に表面電極を形成する電極形成工程とを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
  2. 前記第2の成膜工程では、前記導電性層のうち前記各下部電極におけるコンタクト部となる部位の表面にマスク材を配置した状態で前記半導体層を前記導電性層に積層することを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法。
  3. 前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングすることで前記各ドリフト部および前記各下部電極をパターン形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電界放射型電子源の製造方法。
  4. 前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料としてタングステンを採用するとともに、前記第2の成膜工程で前記導電性層に積層する前記半導体層の材料として多結晶シリコンを採用し、前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をドライエッチングするにあたって、エッチングガスとしてフッ素系ガスを用いることを特徴とする請求項3記載の電界放射型電子源の製造方法。
  5. 前記一括パターニング工程では、前記第2の複合ナノ結晶層および前記導電性層の不要部分をウェットエッチングすることで前記各ドリフト部および前記各下部電極をパターン形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電界放射型電子源の製造方法。
  6. 前記一括パターニング工程では、前記ドリフト部下の前記下部電極がサイドエッチングされるようにエッチング条件を設定することを特徴とする請求項5記載の電界放射型電子源の製造方法。
  7. 前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料として酸化されやすく且つその酸化物が絶縁性を有する導電性材料を用い、前記一括パターニング工程と前記電極形成工程との間に、前記下部電極の露出表面を酸化することで前記導電性材料の酸化物からなる絶縁層を形成する絶縁層形成工程を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  8. 前記第1の成膜工程で前記絶縁性基板の前記一表面に積層する前記導電性層の材料として酸化されやすく且つその酸化物が絶縁性を有する導電性材料を用い、前記絶縁膜形成工程では、酸化性ガス雰囲気中での急速熱酸化法を採用することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  9. 前記一括パターニング工程と前記電極形成工程との間に、前記各下部電極の周辺および前記各ドリフト部の周辺を埋める絶縁材料からなる絶縁部を形成する絶縁分離工程を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  10. 前記絶縁分離工程では、前記絶縁材料として絶縁性を有する感光性材料を採用し、感光性材料を前記絶縁性基板の前記一表面側に塗布してからフォトリソグラフィによりパターニングし、絶縁部を形成することを特徴とする請求項9記載の電界放射型電子源の製造方法。
  11. 前記絶縁分離工程では、前記絶縁材料として窒化物を採用し、前記各下部電極の周辺および前記各ドリフト部の周辺に窒化物の粒子を含むペーストを印刷法により埋め込み、絶縁部を形成することを特徴とする請求項9記載の電界放射型電子源の製造方法。
  12. 前記電極形成工程の後に、前記表面電極と電気的に接続される複数のパッドを前記絶縁部に重なる位置に形成するパッド形成工程を備えることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  13. 前記ナノ結晶化工程では、前記電解液中で前記半導体層に陰極を対向配置して前記導電性層を陽極とし、陽極と陰極との間に電流を流す際に前記導電性層の周部の全周から電流を流すことを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  14. 前記絶縁膜形成工程は電気化学的な酸化工程であって、酸化用の電解液中で前記第1の複合ナノ結晶層に陰極を対向配置してから前記導電性層を陽極として陽極と陰極との間に定電流を流し、陽極と陰極との間の電圧が規定量だけ増加した後は陽極と陰極との間の電圧を増加後の電圧に維持して電流が所定値まで減少したときに酸化を終了させることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  15. 前記一括パターニング工程と前記絶縁分離工程との間に、前記一括パターニング工程によりパターニングされたドリフト部のうち前記電子源素子に対応する部位の間の部分を前記下部電極が露出するまでエッチングするエッチング工程を備えることを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の電界放射型電子源の製造方法。
  16. 前記導電性層の形成前における前記絶縁性基板として前記電界放射型電子源を複数個形成可能な大面積基板を用い、前記電極形成工程よりも後で前記絶縁性基板を前記電界放射型電子源に対応する大きさに分割する分割工程を備えることを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法。
  17. 前記絶縁膜形成工程よりも後に、前記第2の複合ナノ結晶層の一部をエッチングすることにより前記下部電極の一部を露出させるエッチング工程を備えることを特徴とする請求項16記載の電界放射型電子源の製造方法。
  18. 前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記各電界放射型電子源それぞれに対応した領域にのみ前記第1の複合ナノ結晶層を形成することを特徴とする請求項16記載の電界放射型電子源の製造方法。
  19. 前記第2の成膜工程の前に、前記第1の成膜工程により前記大面積基板に積層した前記導電性層を前記各電界放射型電子源に対応する領域ごとに分けて電気的に分離する分離工程を備え、前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記分離工程において分離された前記導電性層それぞれに重なる部分に対して個別に前記第1の複合ナノ結晶層を形成することを特徴とする請求項16記載の電界放射型電子源の製造方法。
  20. 前記ナノ結晶化工程では、前記半導体層のうち前記分離工程において分離された前記導電性層それぞれに重なる部分に対して前記第1の複合ナノ結晶層を順次形成することを特徴とする請求項19記載の電界放射型電子源の製造方法。
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