JP2004020571A - 波長変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザ光源1と、波長変換素子2(光源1から出射されたレーザ光L1を波長変換し得る素子)とによって波長変換装置を構成するに際し、光源1から出射されたレーザ光L1が該素子2に入射するように、該光源1と該素子2とを、フォトニック結晶ファイバ3を介して接続する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光源と波長変換素子とを組み合わせた波長変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザ光源と波長変換素子とを組み合わせた波長変換装置が知られている。ここでいう「波長変換装置」は、1つの製品として独立したものだけでなく、いわゆるモジュール、ユニットなどと呼ばれる、製品の一部を構成する波長変換用部品をも含むものである。
【0003】
図5(a)は、従来の波長変換装置の一構成例を示しており、同図の例では、半導体レーザ(LD)50と、光導波路型の波長変換素子70とが用いられている。光導波路型の波長変換素子70は、強誘電体結晶基板71の表層に帯状の光導波路72を形成し、かつ該光導波路に重複させて周期的分極反転構造(以下、分極反転構造ともいう)を形成したものである。分極反転構造は図示を省略している。LD50は、レンズ系(光学系)60を介して波長変換素子70の光導波路72に結合されており、該光導波路を通過するレーザ光L10は、非線形光学効果(位相整合は分極反転構造による擬似位相整合である)によって波長変換され、波長変換光L20となって出力される。LD50は、レーザ光L10の波長を波長変換素子70の位相整合波長に合致させ得るよう、発振波長可変のものが用いられる。レンズ系60には、波長板62が配置される。波長板62は、LDが発するレーザ光の偏光方向と光導波路の偏光方向との関係を調整するためのものであるが、波長変換素子の偏光方向を変えることによって省略する態様もある。
【0004】
図5(b)は、図5(a)の構成の変形例であって、LD50と波長変換素子70の光導波路とをサブマウント用基板80上で直接結合することで、レンズ系を省略した構造(サブマウント構造)となっている。
【0005】
図5(c)は、固体レーザ(レーザ媒質55、共振器56a、56b等)とバルク型の波長変換素子75とを用いた構成の一例を示している。バルク型の波長変換素子75は、強誘電体結晶基板全体に分極反転構造(ハッチングで縞状に示す構造)を形成したものであり、光導波路は持たない。同図の例では、固体レーザの共振器(56a、56b)の内部に波長変換素子75が挿入され、固体レーザの発振光L11は素子75において波長変換され、波長変換光L21となって出力される構造となっている(内部共振器型)。同図の例では、固体レーザの励起光源にLD51が用いられている。また、共振器(56a、56b)の内部には、固体レーザの縦モードを単一化しモード競合を減らして出力を安定化するために、エタロン板57が挿入されている。
【0006】
上記いずれの態様にも、光源や波長変換素子などの温度を一定化するための温度制御機構が設けられ、さらに、必要に応じて信号処理部(温度や光出力のモニター回路やフィードバック回路)などが加えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等は、上記のような従来の波長変換装置の構成に、次に示す改善すべき問題点を見出している。
【0008】
先ず、図5(a)、(c)の態様のように、結合のためにレンズ系を用いる構成では、レンズ系の機械的安定性に問題があり信頼性の高い製品ができない。また光学部品が多くコスト高になる。さらに、図5(a)の態様では、LDの開口数(Numerical Aperture)は通常大きく(0.3以上)、光導波路の開口数(0.2以下)とは大きな隔たりがあるために、結合効率が上がらない。
【0009】
また、図5(b)に示すようなサブマウント構造では、LDが発するレーザ光の偏光方向と、光導波路の偏光方向(=波長変換に係る結晶の分極方向)とが一致するように双方の偏光方向を合わせて組み立てる必要があり、波長変換素子を作製する際の結晶方位が限定される。即ち、図5(b)において、LDが発するレーザ光の偏光方向は、同図の紙面に垂直であるため、これに一致させるべく、波長変換素子の偏光方向を同図の紙面に垂直にしようとすると、波長変換素子の素材である強誘電体結晶基板はX軸カット基板(分極反転すべきZ軸が基板面に平行)に限定される。このようなX軸カット基板では基板面から深い領域までZ軸について分極反転することは困難であり、深さ方向に十分に断面の広い光路は確保できず、よって変換効率も低い。また、光導波路とLDの伝播モードの断面形状のサイズは双方共に数μmと小さいので、位置合わせの際には非常に高い位置合わせ精度が要求され、生産が困難である。
【0010】
本発明の課題は、上記問題を改善し得る新規な接続構造を有する波長変換装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の特徴を有するものである。
(1)レーザ光源と、該光源から出射されたレーザ光を波長変換し得る波長変換素子とを有し、該光源から出射されたレーザ光が該素子に入射するように、該光源と該素子とが、フォトニック結晶ファイバを介して接続されていることを特徴とする波長変換装置。
【0012】
(2)波長変換素子が光導波路型の素子であって、フォトニック結晶ファイバが、レーザ光源側の端面においては該光源の開口数以上の開口数を有し、かつ、波長変換素子側の端面においては該素子の光導波路の開口数以下の開口数を有するように、長手方向に沿って伝搬モードの断面形状が変化する構造を有するものである、上記(1)記載の波長変換装置。
【0013】
(3)レーザ光源から出射されたレーザ光の偏光方向と、波長変換素子の波長変換に関する偏光方向とが一致するように、フォトニック結晶ファイバに捩じりが加えられている、上記(1)または(2)記載の波長変換装置。
【0014】
(4)下記(あ)〜(う)のいずれかの光導波路上に、さらに反射構造が設けられており、該反射構造は、レーザ光源から出射されたレーザ光の発振スペクトルのうちの所定の波長の光を該レーザ光源へ返すように反射し得るものである、上記(1)記載の波長変換装置。
(あ)フォトニック結晶ファイバの光導波路上。
(い)波長変換素子の光導波路上。
(う)上記波長変換素子の出射面より後段にさらに付加される他の光導波路上。
【0015】
(5)上記反射構造が光導波路に形成されたブラッググレーティングである、上記(4)記載の波長変換装置。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による波長変換装置は、図1に概略的に示すとおり、レーザ光源(以下、光源ともいう)1と、波長変換素子(以下、素子ともいう)2とを有する。該素子2は、光源1から出射されたレーザ光L1を通過させることによって、非線形光学効果によってこれを波長変換し出力光(波長変換された光)L2として出射する素子である。そして、光源1から出射されたレーザ光L1が、素子2の波長変換可能な光路へ入射するように、フォトニック結晶ファイバ(Photonic crystal fiber、以下、PCFともいう)3が、該光源1の出射面と該素子2の入射面との間に介在しており、光源1と素子2とを光学的に接続している。
【0017】
PCFは、より詳しくは後述するが、近年報告された光ファイバの一種であって、短波長域に於いてもシングルモード伝搬可能なことなら、もっぱら短波長でのエネルギー伝送やセンサー用途の分野において使用されている。
本発明者等は、光源と素子との接続部分に存在する波長変換装置独特の問題点(上述のレンズ系の不安定性、光学部品使用による高コスト、開口数の差異)に着目し、また一方で、PCFが、通常のファイバ(屈折率分布を内部に形成したもの)とは異なり、コア径をテーパ状に変化させてもシングルモード伝播を維持することが可能である点、PCF内では偏波面が全長にわたって一定に保存され得る点に着目している。そして、図1の構成のように、PCFを光源と素子との接続用部材として適用することに想到し、PCFの前記特徴によって、上記接続部分の問題点を解決している。該問題点を解決するためのPCFの具体的な態様は後述する。
【0018】
本発明でいうPCFには、狭義のフォトニック結晶ファイバ(後述)のみならず、所謂、ホーリーファイバ(微細構造ファイバ)をも含めるものとする。いずれの態様でも、空孔がファイバ内に長手方向に沿って延びており、この空孔によって、偏波面保持性および/または伝播モードの断面形状の可変性・保持性が確保される。偏波面保持性および/または伝播モードの断面形状の可変性・保持性のいずれの性質を有するPCFを用いるかは、本発明の態様に応じて適宜選択すればよい。
【0019】
狭義のPCFは、図2に光軸に垂直な断面を例示するように、空孔h1の周期的な配列と、その配列の周期性を破る配列(中心部の空孔h2)とを有するものである。これらの配列によってフォトニックバンドギャップが生じ、光は、周期性を破る空孔コアに局在して伝播する。この原理に基づくPCFは、フォトニックバンドギャップファイバとも呼ばれている。
ホーリーファイバは、必ずしも空孔の周期的な配列を持たず、全反射で導波するものをも含んでいるが、本発明が必要とする性質に応じて、偏波面保持性および/または伝播モードの断面形状の可変性が付与されたものであればよい。
PCFについては、特開平10−95628号公報などを参照してよい。
【0020】
当該装置に用いられるレーザ光源、波長変換素子に限定は無く、従来公知のものを組合わせればよい。レーザ光源としては、LD、固体レーザ、ファイバレーザ、ガスレーザ、色素レーザなど、あらゆるものが使用可能である。また、波長変換素子としてはバルク形のものや光導波路型のものが挙げられる。
従来技術の説明で述べたとおり、半導体レーザと光導波路型の波長変換素子との組み合わせは、それぞれの開口数や偏波面方向の点で互いにマッチし難く、本発明によって改善され得る問題点を多く含んでおり、本発明の有用性がより顕著となる組み合わせである。
【0021】
光源として利用し得る半導体レーザに限定は無く、従来公知のものを用いてよい。好ましいものとして、例えば、材料系として、GaAs系、InGaAs系、GaN系、発振波長として、800nm〜1000nm、1550nm〜1700nm、400nm〜600nmなどのものが挙げられる。
【0022】
波長変換素子は公知のものを用いてよい。該素子の基本的な構造としては、強誘電体結晶からなる基板に分極反転構造が形成されたものが挙げられる。光導波路型のものは、さらに該分極反転構造を横切るように光導波路が設けられれる。
【0023】
分極反転構造は、図3(a)、(b)に一例を示すように、強誘電体結晶基板20中の分極方向を局所的に反転させた構造であって、分極方向を反転させた反転領域R20と、もとの結晶基板の分極方向のままの非反転領域N20とが、所定の周期にてストライプ状に交互に並ぶように形成した構造である。
図3(a)は光導波路型の例を示しており、結晶基板の表層に、分極反転構造を横切るように光導波路21が形成されている。また、図3(b)はバルク型の例を示しており、結晶基板の基板面全体、厚さ全体にわたって分極反転構造が形成されており、光路に制限は無い。これら結晶基板に対して、波長変換すべき入力光L1がPCFによって入射され、該光L1は、非反転領域と反転領域とを交互に通過することで擬似位相整合法に従って波長変換され、出力光L2となる。波長変換には、第2次高調波発生(SHG)、光パラメトリック発振・増幅・発生(OPO、OPA、OPG)、差周波発生(DFG)、和周波発生(SFG)などが挙げられる。
【0024】
強誘電体結晶は公知のものであってよく、例えば、LiNbO3、LiTaO3、XATiOXBO4(XA=K、Rb、Tl、Cs、XB=P、As)などの代表的なものや、これらにMgなどの種々の元素をドープしたものが挙げられる。
【0025】
光導波路型の波長変換素子の構造は公知技術を参照すればよいが、光導波路構造については、例えば、イオン交換法などによって光導波路部分の屈折率を周囲よりも高くした埋め込み型導波路構造、該光導波路部分だけをリッジ状(尾根状)に残して周囲を除去したリッジ導波路構造、表面に誘電体や金属を装荷した装荷型導波路構造などが挙げられる。
【0026】
PCFは、通常のファイバ(屈折率分布を内部に形成したもの)とは異なり、コア径を変化させてもシングルモード伝播をそのまま維持し得るので、波長変換素子に対して最適な基本波モードを高効率に接続することができる。例えば、LDと光導波路型の波長変換素子との組合わせでは、PCFの伝播モードの断面形状の径を長手方向に沿って変化させ、LD側の径を大きくして、LDとの結合効率を上げ、光導波路側は光導波路モード形状に合わせて小さくすることができる。
より具体的には、図1のように、LD光源側の端面においては、該光源の開口数以上の開口数とし、素子側の端面においては、該素子の光導波路の開口数以下の開口数となるよう、光源1側から素子2側に向かって漸次細くなるテーパ状とする態様が挙げられる。これによって、光源1とPCF3との結合効率、素子2とPCF3との結合効率が十分に高められ、LD光源と、光導波路型の波長変換素子との結合効率を向上させることができる。
さらに、光導波路の伝播モードの断面形状、例えば、楕円に合せて伝播モードの断面形状を制御することができるため、光導波路との結合効率を格段に向上させることができる。
【0027】
ここで、伝播モードの断面形状とは、伝播光によって伝播モードとして生じている電界強度分布を、光導波路の光路(光軸)に垂直な断面で見たときの分布の形状である。
【0028】
PCFをテーパ状とする場合の具体的な例としては、全長数mm〜数100mm程度、LD光源側の端面における伝播モードの径が直径5〜50μmであり、素子側の端面での伝播モードの径が直径2〜15μmである態様が挙げられる。両端面間の変化は直線的あるいは任意の変化率であってよい。また、PCFの伝播モードの断面形状の変化については、断面円形から断面円形への変化のみならず、断面円形から断面楕円形への変化など、光源、素子に応じて適宜決定すればよい。
【0029】
PCF端面と光源の出射面、PCF端面と素子の入射面との接続は、面同士が互いに密着した接続であっても、空隙をおいた接続であってもよい。これら各々の端面においては、光源と素子の対象に応じて、伝搬モードサイズ、開口数などを制御できるため光学設計の自由度が大きく採れることに特長があり、PCFの端面自身が従来のレンズと同様の一つの光学要素として設計することができる。
【0030】
本発明では、レーザ光源(特に問題の多いLD)からのレーザ光の偏光方向と、素子の偏光方向とが一致し難いという問題に対して、PCF内で偏波面が全長にわたって一定に保存できる点を利用し、該PCFに捩じりを加えることによって、LDからPCF内に入射したレーザ光の偏光方向を、波長変換素子の有用な偏光(非線形光学定数の大きな方向)方向と一致させて光導波路内に入射する構成としている。具体的な捩じりの角度は、例えば、両偏光方向が直交する場合には90度である。これによって、例えば、分極方向が水平であるXカット基板(その代わり、分極反転領域の深さは十分に確保できない)を使用する必要が無くなり、十分に深い分極反転構造を有するZカット基板を利用できる結果、位置合わせが容易になり、また、波長変換効率も向上する。
【0031】
また、本発明では、LDの発振波長が温度変化等の条件によって変動するという、さらなる問題に着目している。波長変換素子は、特定の波長だけを変換するように設計されているから、発振波長が変動すれば、波長変換自体が不能ともなる。これに対して、本発明では、当該装置の光路のいずれかの部位に反射構造を設けて、LDから出射されたレーザ光の発振スペクトルのうちの所定の波長の光の5%〜50%程度を該LDへ返すことによって、該LDの発振波長をその所定の値に固定し、発振波長の変動を抑制している。
発振波長が固定される原理は、LD内部に特定の波長のスペクトルを安定に注入することで、LDの発振がこの波長に引き込まれる形で発振すること(注入同期)による。
【0032】
上記反射構造は、所定の波長の光だけを選択的に反射し得るものであればよく、素子端面にコーティングで設けた反射層でも、光学部材の使用でもよいが、いずれかの光導波路上にブラッググレーティングを設ける態様が、波長変換に適した狭く安定した発振波長を得る点で好ましい。光導波路上へのブラッググレーティングの形成法は、公知技術を参照してよいが、例えば、光導波路上に形成した誘電体薄膜を、グレーティング周期に応じ、光導波路に沿って周期状に凹凸加工したものが挙げられる。
【0033】
ブラッググレーティングを設ける部位は、PCF3の光導波路上(図4のBG1)、波長変換素子2の光導波路上(図4のBG2)、上記波長変換素子の出射面より後段にさらに付加される他の光導波路4上(図4のBG3)などのうちのいずれかの部位が挙げられる。これらの中でも、PCF3の光導波路上に設ける態様は、部品点数が低減でき、また接続個所が少ないことからレーザへの帰還光を安定に戻すことが可能となる好ましい態様である。
【0034】
PCFや後段の光導波路などにブラッググレーティングを設ける場合、その部位の光導波路の温度を加熱・冷却、電圧印加などによって調整し、ブラッググレーティングの部位に局所的な膨張(加熱)や収縮(冷却)、屈折率変化を生じさせ、該ブラッググレーティングの周期(間隔)を長短に調整し得る構成としてもよい。
これによって、LDに返す波長を安定させることができ、また、波長変換素子の特性に合わせて、LDの発振波長を微調整できる。加熱手段としては各種ヒーター、光照射などが挙げられ、冷却手段としては電子冷却素子、水冷などが挙げられ、電圧印加は適宜電極を設けることが挙げられる。制御回路は公知技術を参照してよい。
【0035】
【実施例】
実施例1
本実施例では、図1に示すように、発振波長980nmのInGaAs系LD(端面発光型)光源と、光導波路型の波長変換素子(SHG素子)とを、PCFによって接続し、波長490nmの出力光を出射し得る装置を構成した。
【0036】
波長変換素子は、MgドープLiNbO3結晶からなるZ板(厚さ0.5mm、幅3mm、光路方向長さ10mm)に、分極反転構造(反転周期5.3μm)を形成し、表層にモードサイズ(幅8μm×厚さ5μm)の光導波路を形成したものである。
【0037】
PCFは、周期的な空孔配列と該周期性を破る空孔配列とを有するホーリーファイバーであって、光源側の伝搬モードの断面形状が長辺15μm×短辺10μmの楕円形、素子側の伝搬モードの断面形状が長辺7μm×短辺5μmの楕円形となるようテーパ状に形成されたものである。
保存される垂直及び水平の偏光に対する消光比は30dB以上である。
LD光源と波長変換素子とをPCFによって接続するに際しては、レーザ光の偏光方向が、素子の分極反転方向と一致するように、PCFに捩じりを加えた。
【0038】
また、本実施例では、図4において符号BG1で示すように、PCFの中間位置に、LDから出射されたレーザ光の発振スペクトルのうち中心波長980nmの光を10%反射するブラッググレーティングを形成し、該光をLDに返して発振波長を安定させる構成とした。
【0039】
本実施例によって、光学部品が省略でき、簡単な構成で波長変換装置が得られることがわかった。また、PCFとLD光源との開口数の適合、PCFと素子の光導波路の開口数の適合によって、結合効率が向上し、変換効率を向上に有用であることがわかった。
また、当該装置を用いて、実際に第2高調波発生を行ったところ、LD光源での発振は波長980nmにおいて安定し、常に490nmのSHG光が安定して高効率で出力されることがわかった。
【0040】
実施例2
本実施例では、図4に示すように、波長変換素子の出射面にさらに光ファイバ(PCF)4を接続し、この光ファイバに上記実施例1のブラッググレーティングを移動したこと(図4に符号BG3で示すブラッググレーティング)以外は、上記実施例1と同様に波長変換装置を構成した。その結果、上記実施例1と同様に、簡単な構成で、安定したSHG光が得られた。
【0041】
実施例3
本実施例では、図1の装置構成における波長変換素子2を、図3(b)に示すバルク型のものに置き換えたこと意外は、上記実施例1と同様に波長変換装置を構成した。その結果、上記実施例1と同様に、簡単な構成で、安定したSHG光が得られた。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、PCFをレーザ光源と波長変換素子との結合に適用したので、次の効果が得られる。
▲1▼光源(特にLD)から波長変換素子(特に光導波路型)へ基本波光を高効率に入射させることが可能となる。
▲2▼PCFに捩じりを加えるだけで偏波面の調整ができるので、Z板からなる波長変換素子が容易に利用できる。Z板からなる波長変換素子は、分極反転結晶の作製において再現性が良好であり、ひいては、波長変換装置の再現性も良好となる。
▲3▼光学部品が少なく、機械的な安定性が良好となる。
▲4▼光軸合わせ精度が緩和され、量産し易くなる。
▲5▼反射構造を設け、所定の波長光をLDに返すことによって、LDの発振波長が安定するので、特殊な制御構造のLDが不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による波長変換装置の構成を概略的に示す断面図である。同図では、装置を側方から見ており、図面には、結晶基板20の厚さ、LDの厚さが現われている。
【図2】PCFの断面(導波方向に垂直な断面)の一例を模式的に示す図である。
【図3】波長変換素子の構造を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の装置において、各光導波路上にブラッググレーティングを設ける場合の配置位置の例を模式的に示す図である。同図では、波長変換素子2の結晶基板面を見ており、該基板面には光導波路が中央に現われている。
【図5】従来の波長変換装置における、光源〜波長変換素子の配置構成例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 波長変換素子
3 フォトニック結晶ファイバ
Claims (5)
- レーザ光源と、該光源から出射されたレーザ光を波長変換し得る波長変換素子とを有し、
該光源から出射されたレーザ光が該素子に入射するように、該光源と該素子とが、フォトニック結晶ファイバを介して接続されていることを特徴とする波長変換装置。 - 波長変換素子が光導波路型の素子であって、フォトニック結晶ファイバが、レーザ光源側の端面においては該光源の開口数以上の開口数を有し、かつ、波長変換素子側の端面においては該素子の光導波路の開口数以下の開口数を有するように、長手方向に沿って伝搬モードの断面形状が変化する構造を有するものである、請求項1記載の波長変換装置。
- レーザ光源から出射されたレーザ光の偏光方向と、波長変換素子の波長変換に関する偏光方向とが一致するように、フォトニック結晶ファイバに捩じりが加えられている、請求項1または2記載の波長変換装置。
- 下記(あ)〜(う)のいずれかの光導波路上に、さらに反射構造が設けられており、該反射構造は、レーザ光源から出射されたレーザ光の発振スペクトルのうちの所定の波長の光を該レーザ光源へ返すように反射し得るものである、請求項1記載の波長変換装置。
(あ)フォトニック結晶ファイバの光導波路上。
(い)波長変換素子の光導波路上。
(う)上記波長変換素子の出射面より後段にさらに付加される他の光導波路上。 - 上記反射構造が光導波路に形成されたブラッググレーティングである、請求項4記載の波長変換装置。
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