JP2004081092A - フォンデュソース - Google Patents
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Abstract
【課題】加温時に難しい加熱調整をせずとも液状を保ち、焦げにくく、熱凝固をおこしにくく、浸漬した食品を引き上げた時点でただちに固化し、得られた食品の風味・食感・口溶けが良好なフォンデュソースを提供すること。
【解決手段】本発明は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするフォンデュソース、及び該フォンデュソースを使用したフォンデュ食品の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするフォンデュソース、及び該フォンデュソースを使用したフォンデュ食品の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォンデュソースおよびフォンデュ食品の製造方法に関するものであり、詳しくは、加温時に液状で、加温による焦げつきも少なく、食品を浸漬し、引き上げた際ただちに固化する、熱可逆性のあるフォンデュソースであり、浸漬して引き上げた食品は滑らかな食感で風味に優れるものであるフォンデュソースおよびフォンデュ食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
世界には、さまざまな種類のフォンデュ食品が知られている。
このフォンデュ食品とは、なべなどで加熱溶解したフォンデュソース中に、串やフォークに刺したパンや野菜類などの食品を浸漬して、フォンデュソースで被覆し、引き上げて熱いうちに食するもので、特に有名なのが、チーズを利用したチーズフォンデュ、チョコレートを使用したチョコレートフォンデュ、カスタードクリームを使用したカスタードフォンデュである。
【0003】
これらのうちチーズフォンデュは、ヨーロッパの郷土料理として広く知れ渡っており、チョコレートフォンデュやカスタードフォンデュは温製デザートとして知名度が上がってきている。
【0004】
しかし、上記の伝統的なフォンデュ、例えばチーズフォンデュは、特定のチーズを使用し、ワイン等の洋酒を使用するなど一般的でない面があり、また、家庭で簡単に楽しむには、洋酒のアルコール分を飛ばす手間や、硬質のチーズ溶解に手間がかかり、さらには澱粉や蛋白質を含む粘度の高い溶液を加熱するため、フォンデュソースは加熱により糊状となって、焦げつきやすく、火加減が難しいという問題があった。
【0005】
このため従来より、より容易にフォンデュソースを作るための提案がなされている。例えば特開昭58−20151号公報では、チーズと酒類を予め調整した粉末顆粒が提案されており、これを牛乳またはお湯に溶かすことでソースを作ることを可能としている。また特開平2−84146号公報では、粉末酒を利用し、この粉末酒に小麦粉および乾燥調味料(塩、胡椒等)を加え粉末化した粉末調味料が開示されている。しかし、これらは簡便にソースを得ることは可能であるが、焦げつきの問題や、加熱調整が難しい点の改善はなかった。
【0006】
また、特開平7−274821号公報には、乳成分の結着剤として微量のスターチを添加することでフォンデュ鍋底部の焦げを抑制し、また、該溶融ソースを脱気包装しフォンデュ時に必要量だけ開封して使用することを特徴とするチーズフォンデュの製造方法があげられている。しかし、約2重量%のスターチを添加する点については、もともと、小麦粉や澱粉は、チーズフォンデュには必須成分であり、この記述は一般のフォンデュソースの配合成分についての記述にすぎない。
【0007】
また、特開平8−38049号公報には従来のフォンデュソースの水分を増加させることにより常温以下でも流動性のあるフォンデュソースとし、かつ冷温でフォンデュした食品の製法があげられている。しかし、この方法では焦げつきや加熱調整が難しい点は根本から解決されるが、フォンデュ本来の温製食品、あるいは温製デザートとしての特徴もまた失われてしまっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
よって、加温時に難しい加熱調整をせずとも液状を保ち、焦げつきにくく、浸漬した食品を引き上げた時点でただちに固化し、得られた食品の風味・食感・口溶けが良好なフォンデュソース、およびフォンデュ食品の製造方法が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、特定の澱粉粒子を含む熱可逆的ゲルを用いることにより、上記問題を解決しうるフォンデュソースが得られることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするフォンデュソースを提供するものである。
【0011】
また本発明は、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×105個以上1×107個未満存在する前記フォンデュソースを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、カスタードフォンデュソース、チーズフォンデュソースおよびチョコレートフォンデュソースであることを特徴とする前記フォンデュソースを提供するものである。
【0013】
また本発明は、食品を、前記フォンデュソースを水中油型乳化物のゲル融点以上に加熱した液中に浸漬することを特徴とするフォンデュ食品の製造方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記フォンデュソースに漬ける食品が冷凍品であることを特徴とするフォンデュ食品を提供するものである。
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフォンデュソースについて詳述する。
【0015】
本発明のフォンデュソースは、粒径が30μmより大きい澱粉粒子、好ましくは粒径が50μmよりも大きい澱粉粒子を含む水中油型乳化組成物を含有してなる。
【0016】
上記水中油型乳化組成物に含まれる澱粉粒子の粒径が30μm以下であると加熱時にフォンデュソースが十分な流動性のある状態にならず、また得られたフォンデュ食品が、滑らかな食感でなくなるため好ましくない。尚、上記澱粉粒子の粒径の上限は、200μm以下とする。
【0017】
また、上記水中油型乳化組成物1ml中に、上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、好ましくは1×105個以上1×107個未満、さらに好ましくは5×105個以上5×106個未満存在するものであるのがよい。さらに、上記の粒径が50μmより大きい澱粉粒子が、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは7×104個以上7×106個未満、さらに好ましくは3×105個以上4×106個未満存在するものであるのが望ましい。
【0018】
上記澱粉粒子の粒径と数の測定は、例えば以下のような方法により測定する。まず、血球計測器であるJIS規格品の中央に多数の0.0025mm2の区画があるスライドグラスとカバーグラスを用意する。上記スライドグラスにヨウ素水溶液にて澱粉粒子を着色した水中油型乳化組成物または水中油型乳化組成物の希釈液(試料)を縦15区画×横15区画=225区画中に1〜3個程度の澱粉粒子が顕微鏡下で認められる程度になるように入れ、その225区画内にある澱粉粒子の粒径と粒径が30μmより大きい澱粉粒子数を測定する。ちなみにスライドグラスの1区画あたりの容積はスライドグラスとカバーグラスとの間に0.1mm厚の空間ができるので、0.00025mm3である。このような一連の測定を同一試料について50回行い、平均をとることにより、得られた値を澱粉粒子の粒径と数とする。同様の手段により50μmより大きい澱粉粒子の粒径と数を測定する。
【0019】
また、上記澱粉粒子の粒径とは、澱粉粒子の形状が球体であればその直径を指すものであり、楕円体であればその長径と短径の平均を表すものとする。
【0020】
次に上記水中油型乳化組成物で用いることができる配合材料について説明する。
澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉を用いる。上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉であればどのような澱粉でも構わないが、例えば馬鈴薯由来の澱粉や、馬鈴薯澱粉の化工澱粉、各種餡類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
上記の化工澱粉とは、エステル化、エーテル化、リン酸架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の化学変性処理をした澱粉や、アルファ化処理等の物理変性処理をした澱粉をいい、これらは単独又は2種以上組合わせて用いることができる。また、上記処理方法を2種以上重複して施した化工澱粉を用いても良い。上記の各種餡類としては、小豆、大豆、枝豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆等の豆類等から作られたものが挙げられる。
【0022】
上記水中油型乳化組成物中、上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉の含有量は、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0023】
上記水中油型乳化組成物は、ゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する。このような性質を付与するためゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。
上記水中油型乳化組成物では、上記ゲル化剤のうち、特にキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用するのが好ましい。キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用する場合の両者の配合比率は、重量比率で、好ましくはキサンタンガム:ローカストビーンガム=30:70〜70:30、さらに好ましくは40:60〜60:40、最も好ましくは45:55〜55:45である。
【0024】
上記水中油型乳化組成物中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.001〜2重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.001〜0.7重量%である。
上記水中油型乳化組成物は、油脂を好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%含有する。
【0025】
また、上記水中油型乳化組成物は、水道水や天然水等を好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%含有する。
【0026】
上記水中油型乳化組成物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、乳脂、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品があげられる。上記油脂のうち、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのが好ましく、特に油脂として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを用いるのが好ましい。
【0027】
上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、生クリーム、ホイップクリーム、クリームチーズ、マスカルポーネ、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、バター、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、豆乳加工品等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
また、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品としては、好ましくは油分が3〜85重量%、さらに好ましくは油分が3〜70重量%、最も好ましくは油分が3〜60重量%である乳製品及び/又は乳製品類似食品を用いる。
【0029】
上記水中油型乳化組成物では、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品として、生クリーム、クリームチーズ及びマスカルポーネの中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。特に生クリーム、クリームチーズ、マスカルポーネを冷凍処理したものを用いるのが好ましい。冷凍処理を施すことにより上記乳製品中の蛋白質が変性し、ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊離状態になるため、解凍後に蛋白質分子間架橋結合が生成し易い状態になり、これによって豊かな乳風味を有する水中油型乳化組成物となると考えられる。冷凍変性をさせるために、冷凍期間は7日間〜24ヶ月であることが望ましい。該冷凍期間が7日間より短いと、冷凍変性が不十分なため、その含有効果が十分に得られず、また24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり溶解、乳化が困難となる。また、冷凍温度は−10℃以下とするのが望ましい。
【0030】
上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品は、上記水中油型乳化組成物中の油分が好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%となるように用いる。
【0031】
上記水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。斯かる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。
【0032】
上記水中油型乳化組成物は、乳化剤としてはレシチン等の天然の乳化剤や、以下に示した合成乳化剤を使用することができる。合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記乳化剤を好ましくは0〜2重量%含有するのがよい。しかし、上記水中油型乳化組成物では、風味や、また消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記の合成乳化剤を用いないほうがより好ましく、さらに好ましくは乳化剤を用いないのがよい。
【0033】
また、上記水中油型乳化組成物は、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を用いてもよいが、消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記のリン酸塩を用いないのが好ましい。
【0034】
上記水中油型乳化組成物には、粒径が30μm以下の澱粉を用いることができる。上記の粒径が30μm以下の澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等が挙げられる。本発明の水中油型乳化組成物は、上記の粒径が30μm以下の澱粉を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有する。
【0035】
上記水中油型乳化組成物には、油脂を含有しない乳製品を用いることができる。上記の油脂を含有しない乳製品としては、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記の油脂を含有しない乳製品を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有する。
【0036】
上記水中油型乳化組成物には、卵製品を用いることができる。上記の卵製品としては、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄及び酵素処理卵黄等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記の卵製品を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%含有する。
【0037】
また、上記水中油型乳化組成物は、その他の材料として無機塩及び有機酸塩、ゼラチン、グリシン、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、チーズ、洋酒等のアルコール類、果汁、ジャム、ナッツ加工品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記水中油型乳化組成物は、上記のゼラチンを好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%含有する。
【0038】
上述した、粒径が30μm以下の澱粉、油脂を含有しない乳製品、卵製品及びゼラチンの中から選ばれた1種類又は2種類以上を、それぞれ上述した範囲内の量で適宜選択して配合することで、熱可逆的にゲル化することにより形成されるゲル骨格を阻害し、食感の調整をすることができる。
【0039】
次に上記水中油型乳化組成物の製造方法について説明する。
上記水中油型乳化組成物を製造するには、まず、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製する。尚、配合油脂の融点以上とは、上記水中油型乳化組成物の配合において、例えば、植物油脂を用いた水中油型乳化物と生クリームを油脂として用いる場合は、植物油脂と生クリーム中の乳脂のうち、融点が高い方の油脂の融点以上とする。
【0040】
例えば、水中油型乳化組成物の油脂として生クリームのみを用い、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、生クリームの品質にもよるが、配合油脂の融点は、28〜33℃程度であり、また水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、溶融状態にある水中油型乳化組成物の温度を下げていったときに、ゲル化が開始する温度のことを示している。
【0041】
全原料を混合攪拌する際、油脂を使用する場合は、油脂及び必要により油溶性成分を含有する油相と、水及び必要により乳製品、砂糖、水溶性成分を含有する水相とを混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。また、油分として油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品のみを使用し、油脂を使用しない場合は、水に、油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品並びに必要により砂糖及び水溶性成分を混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。
【0042】
上記の予備乳化物を調製する際、澱粉やゲル化剤は、水相及び/又は油相に添加することが可能であり、また水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することも可能である。本発明では、上記の澱粉やゲル化剤は、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することが好ましい。この場合、上記の澱粉やゲル化剤の一部を水相及び/又は油相に添加し、残りの澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加してもよい。上記の澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加せず、上記の澱粉やゲル化剤を水相及び/又は油相に添加した後、予備乳化物を製造すると、予備乳化物を均一に攪拌しにくく、均一に乳化させにくくなる。
【0043】
また、上記ゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する場合、上記ゲル化剤を糖類等の水によく溶ける原料と混合して、予備乳化物に添加することにより、上記ゲル化剤がダマになるのを防止することができる。
【0044】
本発明では、上記の澱粉やゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わないことが好ましい。これは均質化処理により、澱粉粒子が破壊されたり、ゲル化剤のゲル化力が低下しやすいためである。均質化が必要な場合は、上記ゲル化剤を添加する前に行うことが好ましい。均質化処理機としては、ホモゲナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等が挙げられる。尚、本発明では、製造の全工程を通じて均質化処理を行わないことが好ましい。
【0045】
次いで、上記予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌又は滅菌する。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル融点とは、ゲル化した水中油型乳化組成物が融け始める温度を示している。なお、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、水中油型乳化組成物のゲル融点は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。
【0046】
上記殺菌又は滅菌は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができ、UHTによる加熱滅菌若しくは加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0047】
そして、上記の殺菌又は滅菌後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することにより、上記水中油型乳化組成物が得られる。上記の容器への充填は、無菌充填をはじめとする衛生的な充填手法で行うのが好ましい。
【0048】
尚、上記水中油型乳化組成物の製造方法において、ゲル化開始温度と、ゲル融点という言葉を用いているが、一般的にこの2つの温度が異なっている場合が多いことがわかっている。また上記水中油型乳化組成物は、必要により、冷蔵若しくは冷凍状態で保存してもよい。
【0049】
次に本発明のフォンデュソースの配合および製法について述べる。
本発明のフォンデュソースにおける上記水中油型乳化組成物の含有量は、好ましくは30〜100重量%、更に好ましくは40〜100重量%、最も好ましくは50〜100重量%である。本発明のフォンデュソースにおける上記水中油型乳化組成物の含有量が30%未満であると、水中油型乳化組成物の熱可逆性ゲルの効果がフォンデュソースにおいて認められない。
【0050】
本発明のフォンデュソースには、効果に影響のない範囲において、粘度調整や風味の調整の目的で、以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、薄力粉、中力粉等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等の糖類、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、澱粉等の増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0051】
本発明のフォンデュソースを製造するには、上記水中油型乳化組成物に加え、必要に応じ、上記の粘度調整や風味の調整の目的で添加する各種食品素材をミキサー等を用いて混合することによって得られる。
本発明のフォンデュソースは、フォンデュ食品を得るためのフォンデュ料理や温製デザートに用いられる。なかでも、チーズフォンデュ、チョコレートフォンデュ、カスタードフォンデュとして、フォンデュ料理や温製デザートに好ましく用いることが出来る。
【0052】
次に本発明のフォンデュ食品の製造方法について述べる。
本発明のフォンデュ食品は、上記水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度に加熱した本発明のフォンデュソース中に、串にさした食品を浸漬し、十分になじませてから引きあげることによって得られる。そして、このフォンデュ食品は熱いうちに食することが好ましい。
【0053】
なお、上記フォンデュソースを上記水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度に加熱する場合の加熱方法としては、直火による加熱、オーブンによる加熱、湯煎による加熱、オイルバスによる加熱、電子レンジによる加熱等が挙げられる。
【0054】
本発明のフォンデュソースの加熱温度条件は、上記水中油型乳化組成物のゲル融点以上であることが必須であり、最高温度はフォンデュソースの種類によって異なるが、好ましくは熱可逆性ゲルの融点+2℃以上摂氏100℃以下、さらに好ましくは熱可逆性ゲルの融点+5℃以上摂氏80℃以下、さらに最も好ましくは、熱可逆性ゲルの融点+5℃以上摂氏70℃以下である。
【0055】
本発明のフォンデュソースに浸漬する食品は、フォークで刺すことの可能なものであれば、どのような食品でも問題なく使用できるが、その中ではとくに、フランスパンのスライス品をはじめ各種パンのスライス・カット品、およびそれらのトースト品、ケーキスポンジ・あるいは、野菜類、調理済肉類、調理済魚類、豆類などの食品、バナナ、りんご、チェリー、杏、パイナップル、メロンなどの果物類が好ましい。また、食品は冷蔵品や冷凍品であっても、フォークで刺すことの可能な物性であれば問題なく使用でき、その中ではとくに、冷凍した果物が好適に使用される。冷凍された食品を使用することにより、フォンデュソースから食品を引き上げた際の固化速度が飛躍的に速くなり、かつ、温製食品でありながら冷たい食感も味わうことができる。
【0056】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0057】
(水中油型乳化組成物Aの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部の油相と、水51.3重量部、卵黄5重量部とカスタード香料0.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%含有、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0058】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Aを得た。
【0059】
得られた水中油型乳化組成物Aの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は13.0重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0060】
(水中油型乳化組成物Bの調製)
水46重量部、卵黄5重量部とカスタード香料0.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、クリーム(油分47重量%含有、融点31℃)25重量部を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0061】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Bを得た。
【0062】
得られた水中油型乳化組成物Bの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は13.0重量%、配合油脂の融点は31℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0063】
(水中油型乳化組成物Cの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部にカカオマス3重量部とチョコレート香料0.3重量部を配合した油相と、水53.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%含有、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0064】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Cを得た。
【0065】
得られた水中油型乳化組成物Cの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は13.4重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0066】
(水中油型乳化組成物Dの調製)
水63.15重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、チーズ香料0.3重量部を添加し、さらに冷凍処理したクリームチーズ(クリームチーズを3ヶ月冷凍保存したもので、油分60重量部、融点31℃)30重量部を添加して、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモジナイザーH−20型(三和機械(株)製)によって、1段目150kg/cm2、2段目10kg/cm2にて均質化処理を行った。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量部と、あらかじめコーンスターチ2重量部、ゼラチン0.25重量部、キサンタンガム0.15重量部及びローカストビーンガム0.15重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0067】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Dを得た。
【0068】
得られた水中油型乳化組成物Dの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は18重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0069】
(自家製カスタードの調製)
牛乳61.3重量部、上白糖18.4重量部、薄力粉2.4重量部、コーンスターチ2.5重量部、卵黄15.4重量部を均一に混合後、加熱し、沸騰させ、その後十分に冷却し、自家製カスタードを得た。
【0070】
(実施例1 カスタードフォンデュソース1の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Aをそのまま本発明のカスタードフォンデュソース1とした。このフォンデュソース1をフォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのフォンデュソース1は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このフォンデュソース1中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したフォンデュソース1は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンはカスタード風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0071】
(実施例2 カスタードフォンデュソース2の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Aを500重量部に粘度調整のため植物性ホイップクリーム100重量部を添加混合し、本発明のカスタードフォンデュソース2を得た。これを、フォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのフォンデュソース2は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このフォンデュソース2中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したフォンデュソース2は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンはカスタード風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0072】
(実施例3 カスタードフォンデュソース3の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Bをそのまま本発明のカスタードフォンデュソース3とした。これを、深さ5cm、直径20cmの円柱状トレイに800g投入し、1700ワットの電子レンジで2分加熱した。この時点でこのフォンデュソース3の品温は64℃であり、流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このフォンデュソース3中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したフォンデュソース3は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンはカスタード風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、トレイの底や淵には焦げはみられなかった。
【0073】
(実施例4 チョコレートフォンデュソース1の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Cをそのまま本発明のチョコレートフォンデュソース1とした。このチョコレートフォンデュソース1を鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのフォンデュソース1は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチョコレートフォンデュソース1中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。チョコレートフォンデュソース1は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたチョコレートフォンデュした角切りフランスパンはチョコ風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0074】
(実施例5 チョコレートフォンデュソース2の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Bを500重量部に風味調整のためガナッシュを150重量部添加混合し、本発明のチョコレートフォンデュソース2を得た。これをフォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのチョコレートフォンデュソース2は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチョコレートフォンデュソース2中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。チョコレートフォンデュソース2は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたチョコレートフォンデュした角切りフランスパンはチョコ風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0075】
(実施例6 チーズフォンデュソース1の調製およびフォンデュ食品の製造)水中油型乳化組成物Dをそのまま本発明のチーズフォンデュソース1とした。これをフォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱溶解し本発明のチーズフォンデュソース1を得た。この時点でこのチーズフォンデュソース1は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチーズフォンデュソース1中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。チーズフォンデュソース1は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたチーズフォンデュした角切りフランスパンはチーズ風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0076】
(比較例1 カスタードフォンデュソース4の調製およびフォンデュ食品の製造)
実施例1で使用した水中油型乳化組成物Aに代えて、同量の自家製カスタードを使用し、これをフォンデュソース4とした。それ以外は実施例1と全く同一の方法でカスタードフォンデュした角切りフランスパンを得た。このフォンデュソース4は熱可逆性がないため、加熱時の性状は大変粘度が高いゲル状であった。また、得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンは、ゲル状態のフォンデュソース4がそのまま付着した状態であり、カスタード風味が良好であるが、一部焦げた風味のある粘つく食感を示し、口溶けは大変悪かった。鍋の底や淵には焦げの発生が見られた。
【0077】
(比較例2 カスタードフォンデュソース5の調製、およびフォンデュ食品の製造)
実施例2で使用した水中油型乳化組成物Aを、同量の自家製カスタードに置き換えた以外は、実施例2と全く同一の方法で、カスタードフォンデュソース5を得、さらにカスタードフォンデュした角切りフランスパンを得た。このフォンデュソース5の加熱時の性状はやや粘度のあるゲル状であった。また、得られたカスタードフォンデュしたパンは、付着したフォンデュソース5はゲルのままであり、やや焦げた風味のある、粘つく食感を示し、口溶けは大変悪かった。鍋の底や淵には一部焦げの発生が見られた。
【0078】
(比較例3 チーズフォンデュソース2の調製およびフォンデュ食品の製造)鍋に、白ワインを120g投入し、80℃に加熱してアルコールを飛ばした後いったん55℃まで冷却し、牛乳200gを投入し十分に混合後、さらに弱火で加熱した。ここにゴーダチーズを200g、コーンスターチ20gを投入し、10分溶解混合し、伝統的ヨーロッパの郷土料理であるチーズフォンデュソース2を得た。このチーズフォンデュソース2の品温は63℃であり、やや粘度のある流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチーズフォンデュソース2中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したチーズフォンデュソース2は5秒でゲル化した。得られたチーズフォンデュした角切りフランスパンは、チーズ風味が良好であるが、口中でチーズ独特の粘つく食感を示し、口溶けも不良であった。トレイの底や淵の一部に焦げの発生が見られた。また、チーズフォンデュソース2を得る際に、アルコールを飛ばす操作やチーズ溶解の操作に時間がかかるなど、大変作業が煩雑であった。
【0079】
【発明の効果】
本発明は、加温時に難しい加熱調整をせずとも液状を保ち、焦げつきにくく、浸漬した食品を引き上げた時点でただちに固化し、得られた食品の風味・食感・口溶けが良好なフォンデュソース、およびフォンデュ食品の製造方法を提供するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォンデュソースおよびフォンデュ食品の製造方法に関するものであり、詳しくは、加温時に液状で、加温による焦げつきも少なく、食品を浸漬し、引き上げた際ただちに固化する、熱可逆性のあるフォンデュソースであり、浸漬して引き上げた食品は滑らかな食感で風味に優れるものであるフォンデュソースおよびフォンデュ食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
世界には、さまざまな種類のフォンデュ食品が知られている。
このフォンデュ食品とは、なべなどで加熱溶解したフォンデュソース中に、串やフォークに刺したパンや野菜類などの食品を浸漬して、フォンデュソースで被覆し、引き上げて熱いうちに食するもので、特に有名なのが、チーズを利用したチーズフォンデュ、チョコレートを使用したチョコレートフォンデュ、カスタードクリームを使用したカスタードフォンデュである。
【0003】
これらのうちチーズフォンデュは、ヨーロッパの郷土料理として広く知れ渡っており、チョコレートフォンデュやカスタードフォンデュは温製デザートとして知名度が上がってきている。
【0004】
しかし、上記の伝統的なフォンデュ、例えばチーズフォンデュは、特定のチーズを使用し、ワイン等の洋酒を使用するなど一般的でない面があり、また、家庭で簡単に楽しむには、洋酒のアルコール分を飛ばす手間や、硬質のチーズ溶解に手間がかかり、さらには澱粉や蛋白質を含む粘度の高い溶液を加熱するため、フォンデュソースは加熱により糊状となって、焦げつきやすく、火加減が難しいという問題があった。
【0005】
このため従来より、より容易にフォンデュソースを作るための提案がなされている。例えば特開昭58−20151号公報では、チーズと酒類を予め調整した粉末顆粒が提案されており、これを牛乳またはお湯に溶かすことでソースを作ることを可能としている。また特開平2−84146号公報では、粉末酒を利用し、この粉末酒に小麦粉および乾燥調味料(塩、胡椒等)を加え粉末化した粉末調味料が開示されている。しかし、これらは簡便にソースを得ることは可能であるが、焦げつきの問題や、加熱調整が難しい点の改善はなかった。
【0006】
また、特開平7−274821号公報には、乳成分の結着剤として微量のスターチを添加することでフォンデュ鍋底部の焦げを抑制し、また、該溶融ソースを脱気包装しフォンデュ時に必要量だけ開封して使用することを特徴とするチーズフォンデュの製造方法があげられている。しかし、約2重量%のスターチを添加する点については、もともと、小麦粉や澱粉は、チーズフォンデュには必須成分であり、この記述は一般のフォンデュソースの配合成分についての記述にすぎない。
【0007】
また、特開平8−38049号公報には従来のフォンデュソースの水分を増加させることにより常温以下でも流動性のあるフォンデュソースとし、かつ冷温でフォンデュした食品の製法があげられている。しかし、この方法では焦げつきや加熱調整が難しい点は根本から解決されるが、フォンデュ本来の温製食品、あるいは温製デザートとしての特徴もまた失われてしまっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
よって、加温時に難しい加熱調整をせずとも液状を保ち、焦げつきにくく、浸漬した食品を引き上げた時点でただちに固化し、得られた食品の風味・食感・口溶けが良好なフォンデュソース、およびフォンデュ食品の製造方法が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、特定の澱粉粒子を含む熱可逆的ゲルを用いることにより、上記問題を解決しうるフォンデュソースが得られることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするフォンデュソースを提供するものである。
【0011】
また本発明は、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×105個以上1×107個未満存在する前記フォンデュソースを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、カスタードフォンデュソース、チーズフォンデュソースおよびチョコレートフォンデュソースであることを特徴とする前記フォンデュソースを提供するものである。
【0013】
また本発明は、食品を、前記フォンデュソースを水中油型乳化物のゲル融点以上に加熱した液中に浸漬することを特徴とするフォンデュ食品の製造方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記フォンデュソースに漬ける食品が冷凍品であることを特徴とするフォンデュ食品を提供するものである。
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフォンデュソースについて詳述する。
【0015】
本発明のフォンデュソースは、粒径が30μmより大きい澱粉粒子、好ましくは粒径が50μmよりも大きい澱粉粒子を含む水中油型乳化組成物を含有してなる。
【0016】
上記水中油型乳化組成物に含まれる澱粉粒子の粒径が30μm以下であると加熱時にフォンデュソースが十分な流動性のある状態にならず、また得られたフォンデュ食品が、滑らかな食感でなくなるため好ましくない。尚、上記澱粉粒子の粒径の上限は、200μm以下とする。
【0017】
また、上記水中油型乳化組成物1ml中に、上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、好ましくは1×105個以上1×107個未満、さらに好ましくは5×105個以上5×106個未満存在するものであるのがよい。さらに、上記の粒径が50μmより大きい澱粉粒子が、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは7×104個以上7×106個未満、さらに好ましくは3×105個以上4×106個未満存在するものであるのが望ましい。
【0018】
上記澱粉粒子の粒径と数の測定は、例えば以下のような方法により測定する。まず、血球計測器であるJIS規格品の中央に多数の0.0025mm2の区画があるスライドグラスとカバーグラスを用意する。上記スライドグラスにヨウ素水溶液にて澱粉粒子を着色した水中油型乳化組成物または水中油型乳化組成物の希釈液(試料)を縦15区画×横15区画=225区画中に1〜3個程度の澱粉粒子が顕微鏡下で認められる程度になるように入れ、その225区画内にある澱粉粒子の粒径と粒径が30μmより大きい澱粉粒子数を測定する。ちなみにスライドグラスの1区画あたりの容積はスライドグラスとカバーグラスとの間に0.1mm厚の空間ができるので、0.00025mm3である。このような一連の測定を同一試料について50回行い、平均をとることにより、得られた値を澱粉粒子の粒径と数とする。同様の手段により50μmより大きい澱粉粒子の粒径と数を測定する。
【0019】
また、上記澱粉粒子の粒径とは、澱粉粒子の形状が球体であればその直径を指すものであり、楕円体であればその長径と短径の平均を表すものとする。
【0020】
次に上記水中油型乳化組成物で用いることができる配合材料について説明する。
澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉を用いる。上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉であればどのような澱粉でも構わないが、例えば馬鈴薯由来の澱粉や、馬鈴薯澱粉の化工澱粉、各種餡類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
上記の化工澱粉とは、エステル化、エーテル化、リン酸架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の化学変性処理をした澱粉や、アルファ化処理等の物理変性処理をした澱粉をいい、これらは単独又は2種以上組合わせて用いることができる。また、上記処理方法を2種以上重複して施した化工澱粉を用いても良い。上記の各種餡類としては、小豆、大豆、枝豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆等の豆類等から作られたものが挙げられる。
【0022】
上記水中油型乳化組成物中、上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉の含有量は、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0023】
上記水中油型乳化組成物は、ゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する。このような性質を付与するためゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。
上記水中油型乳化組成物では、上記ゲル化剤のうち、特にキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用するのが好ましい。キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用する場合の両者の配合比率は、重量比率で、好ましくはキサンタンガム:ローカストビーンガム=30:70〜70:30、さらに好ましくは40:60〜60:40、最も好ましくは45:55〜55:45である。
【0024】
上記水中油型乳化組成物中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.001〜2重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.001〜0.7重量%である。
上記水中油型乳化組成物は、油脂を好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%含有する。
【0025】
また、上記水中油型乳化組成物は、水道水や天然水等を好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%含有する。
【0026】
上記水中油型乳化組成物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、乳脂、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品があげられる。上記油脂のうち、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのが好ましく、特に油脂として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを用いるのが好ましい。
【0027】
上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、生クリーム、ホイップクリーム、クリームチーズ、マスカルポーネ、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、バター、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、豆乳加工品等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
また、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品としては、好ましくは油分が3〜85重量%、さらに好ましくは油分が3〜70重量%、最も好ましくは油分が3〜60重量%である乳製品及び/又は乳製品類似食品を用いる。
【0029】
上記水中油型乳化組成物では、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品として、生クリーム、クリームチーズ及びマスカルポーネの中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。特に生クリーム、クリームチーズ、マスカルポーネを冷凍処理したものを用いるのが好ましい。冷凍処理を施すことにより上記乳製品中の蛋白質が変性し、ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊離状態になるため、解凍後に蛋白質分子間架橋結合が生成し易い状態になり、これによって豊かな乳風味を有する水中油型乳化組成物となると考えられる。冷凍変性をさせるために、冷凍期間は7日間〜24ヶ月であることが望ましい。該冷凍期間が7日間より短いと、冷凍変性が不十分なため、その含有効果が十分に得られず、また24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり溶解、乳化が困難となる。また、冷凍温度は−10℃以下とするのが望ましい。
【0030】
上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品は、上記水中油型乳化組成物中の油分が好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%となるように用いる。
【0031】
上記水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。斯かる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。
【0032】
上記水中油型乳化組成物は、乳化剤としてはレシチン等の天然の乳化剤や、以下に示した合成乳化剤を使用することができる。合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記乳化剤を好ましくは0〜2重量%含有するのがよい。しかし、上記水中油型乳化組成物では、風味や、また消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記の合成乳化剤を用いないほうがより好ましく、さらに好ましくは乳化剤を用いないのがよい。
【0033】
また、上記水中油型乳化組成物は、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を用いてもよいが、消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記のリン酸塩を用いないのが好ましい。
【0034】
上記水中油型乳化組成物には、粒径が30μm以下の澱粉を用いることができる。上記の粒径が30μm以下の澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等が挙げられる。本発明の水中油型乳化組成物は、上記の粒径が30μm以下の澱粉を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有する。
【0035】
上記水中油型乳化組成物には、油脂を含有しない乳製品を用いることができる。上記の油脂を含有しない乳製品としては、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記の油脂を含有しない乳製品を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有する。
【0036】
上記水中油型乳化組成物には、卵製品を用いることができる。上記の卵製品としては、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄及び酵素処理卵黄等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記の卵製品を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%含有する。
【0037】
また、上記水中油型乳化組成物は、その他の材料として無機塩及び有機酸塩、ゼラチン、グリシン、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、チーズ、洋酒等のアルコール類、果汁、ジャム、ナッツ加工品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記水中油型乳化組成物は、上記のゼラチンを好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%含有する。
【0038】
上述した、粒径が30μm以下の澱粉、油脂を含有しない乳製品、卵製品及びゼラチンの中から選ばれた1種類又は2種類以上を、それぞれ上述した範囲内の量で適宜選択して配合することで、熱可逆的にゲル化することにより形成されるゲル骨格を阻害し、食感の調整をすることができる。
【0039】
次に上記水中油型乳化組成物の製造方法について説明する。
上記水中油型乳化組成物を製造するには、まず、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製する。尚、配合油脂の融点以上とは、上記水中油型乳化組成物の配合において、例えば、植物油脂を用いた水中油型乳化物と生クリームを油脂として用いる場合は、植物油脂と生クリーム中の乳脂のうち、融点が高い方の油脂の融点以上とする。
【0040】
例えば、水中油型乳化組成物の油脂として生クリームのみを用い、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、生クリームの品質にもよるが、配合油脂の融点は、28〜33℃程度であり、また水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、溶融状態にある水中油型乳化組成物の温度を下げていったときに、ゲル化が開始する温度のことを示している。
【0041】
全原料を混合攪拌する際、油脂を使用する場合は、油脂及び必要により油溶性成分を含有する油相と、水及び必要により乳製品、砂糖、水溶性成分を含有する水相とを混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。また、油分として油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品のみを使用し、油脂を使用しない場合は、水に、油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品並びに必要により砂糖及び水溶性成分を混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。
【0042】
上記の予備乳化物を調製する際、澱粉やゲル化剤は、水相及び/又は油相に添加することが可能であり、また水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することも可能である。本発明では、上記の澱粉やゲル化剤は、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することが好ましい。この場合、上記の澱粉やゲル化剤の一部を水相及び/又は油相に添加し、残りの澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加してもよい。上記の澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加せず、上記の澱粉やゲル化剤を水相及び/又は油相に添加した後、予備乳化物を製造すると、予備乳化物を均一に攪拌しにくく、均一に乳化させにくくなる。
【0043】
また、上記ゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する場合、上記ゲル化剤を糖類等の水によく溶ける原料と混合して、予備乳化物に添加することにより、上記ゲル化剤がダマになるのを防止することができる。
【0044】
本発明では、上記の澱粉やゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わないことが好ましい。これは均質化処理により、澱粉粒子が破壊されたり、ゲル化剤のゲル化力が低下しやすいためである。均質化が必要な場合は、上記ゲル化剤を添加する前に行うことが好ましい。均質化処理機としては、ホモゲナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等が挙げられる。尚、本発明では、製造の全工程を通じて均質化処理を行わないことが好ましい。
【0045】
次いで、上記予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌又は滅菌する。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル融点とは、ゲル化した水中油型乳化組成物が融け始める温度を示している。なお、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、水中油型乳化組成物のゲル融点は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。
【0046】
上記殺菌又は滅菌は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができ、UHTによる加熱滅菌若しくは加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0047】
そして、上記の殺菌又は滅菌後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することにより、上記水中油型乳化組成物が得られる。上記の容器への充填は、無菌充填をはじめとする衛生的な充填手法で行うのが好ましい。
【0048】
尚、上記水中油型乳化組成物の製造方法において、ゲル化開始温度と、ゲル融点という言葉を用いているが、一般的にこの2つの温度が異なっている場合が多いことがわかっている。また上記水中油型乳化組成物は、必要により、冷蔵若しくは冷凍状態で保存してもよい。
【0049】
次に本発明のフォンデュソースの配合および製法について述べる。
本発明のフォンデュソースにおける上記水中油型乳化組成物の含有量は、好ましくは30〜100重量%、更に好ましくは40〜100重量%、最も好ましくは50〜100重量%である。本発明のフォンデュソースにおける上記水中油型乳化組成物の含有量が30%未満であると、水中油型乳化組成物の熱可逆性ゲルの効果がフォンデュソースにおいて認められない。
【0050】
本発明のフォンデュソースには、効果に影響のない範囲において、粘度調整や風味の調整の目的で、以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、薄力粉、中力粉等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等の糖類、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、澱粉等の増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0051】
本発明のフォンデュソースを製造するには、上記水中油型乳化組成物に加え、必要に応じ、上記の粘度調整や風味の調整の目的で添加する各種食品素材をミキサー等を用いて混合することによって得られる。
本発明のフォンデュソースは、フォンデュ食品を得るためのフォンデュ料理や温製デザートに用いられる。なかでも、チーズフォンデュ、チョコレートフォンデュ、カスタードフォンデュとして、フォンデュ料理や温製デザートに好ましく用いることが出来る。
【0052】
次に本発明のフォンデュ食品の製造方法について述べる。
本発明のフォンデュ食品は、上記水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度に加熱した本発明のフォンデュソース中に、串にさした食品を浸漬し、十分になじませてから引きあげることによって得られる。そして、このフォンデュ食品は熱いうちに食することが好ましい。
【0053】
なお、上記フォンデュソースを上記水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度に加熱する場合の加熱方法としては、直火による加熱、オーブンによる加熱、湯煎による加熱、オイルバスによる加熱、電子レンジによる加熱等が挙げられる。
【0054】
本発明のフォンデュソースの加熱温度条件は、上記水中油型乳化組成物のゲル融点以上であることが必須であり、最高温度はフォンデュソースの種類によって異なるが、好ましくは熱可逆性ゲルの融点+2℃以上摂氏100℃以下、さらに好ましくは熱可逆性ゲルの融点+5℃以上摂氏80℃以下、さらに最も好ましくは、熱可逆性ゲルの融点+5℃以上摂氏70℃以下である。
【0055】
本発明のフォンデュソースに浸漬する食品は、フォークで刺すことの可能なものであれば、どのような食品でも問題なく使用できるが、その中ではとくに、フランスパンのスライス品をはじめ各種パンのスライス・カット品、およびそれらのトースト品、ケーキスポンジ・あるいは、野菜類、調理済肉類、調理済魚類、豆類などの食品、バナナ、りんご、チェリー、杏、パイナップル、メロンなどの果物類が好ましい。また、食品は冷蔵品や冷凍品であっても、フォークで刺すことの可能な物性であれば問題なく使用でき、その中ではとくに、冷凍した果物が好適に使用される。冷凍された食品を使用することにより、フォンデュソースから食品を引き上げた際の固化速度が飛躍的に速くなり、かつ、温製食品でありながら冷たい食感も味わうことができる。
【0056】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0057】
(水中油型乳化組成物Aの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部の油相と、水51.3重量部、卵黄5重量部とカスタード香料0.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%含有、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0058】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Aを得た。
【0059】
得られた水中油型乳化組成物Aの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は13.0重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0060】
(水中油型乳化組成物Bの調製)
水46重量部、卵黄5重量部とカスタード香料0.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、クリーム(油分47重量%含有、融点31℃)25重量部を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0061】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Bを得た。
【0062】
得られた水中油型乳化組成物Bの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は13.0重量%、配合油脂の融点は31℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0063】
(水中油型乳化組成物Cの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部にカカオマス3重量部とチョコレート香料0.3重量部を配合した油相と、水53.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%含有、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0064】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Cを得た。
【0065】
得られた水中油型乳化組成物Cの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は13.4重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0066】
(水中油型乳化組成物Dの調製)
水63.15重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、チーズ香料0.3重量部を添加し、さらに冷凍処理したクリームチーズ(クリームチーズを3ヶ月冷凍保存したもので、油分60重量部、融点31℃)30重量部を添加して、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモジナイザーH−20型(三和機械(株)製)によって、1段目150kg/cm2、2段目10kg/cm2にて均質化処理を行った。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量部と、あらかじめコーンスターチ2重量部、ゼラチン0.25重量部、キサンタンガム0.15重量部及びローカストビーンガム0.15重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0067】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Dを得た。
【0068】
得られた水中油型乳化組成物Dの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は18重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0069】
(自家製カスタードの調製)
牛乳61.3重量部、上白糖18.4重量部、薄力粉2.4重量部、コーンスターチ2.5重量部、卵黄15.4重量部を均一に混合後、加熱し、沸騰させ、その後十分に冷却し、自家製カスタードを得た。
【0070】
(実施例1 カスタードフォンデュソース1の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Aをそのまま本発明のカスタードフォンデュソース1とした。このフォンデュソース1をフォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのフォンデュソース1は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このフォンデュソース1中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したフォンデュソース1は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンはカスタード風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0071】
(実施例2 カスタードフォンデュソース2の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Aを500重量部に粘度調整のため植物性ホイップクリーム100重量部を添加混合し、本発明のカスタードフォンデュソース2を得た。これを、フォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのフォンデュソース2は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このフォンデュソース2中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したフォンデュソース2は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンはカスタード風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0072】
(実施例3 カスタードフォンデュソース3の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Bをそのまま本発明のカスタードフォンデュソース3とした。これを、深さ5cm、直径20cmの円柱状トレイに800g投入し、1700ワットの電子レンジで2分加熱した。この時点でこのフォンデュソース3の品温は64℃であり、流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このフォンデュソース3中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したフォンデュソース3は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンはカスタード風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、トレイの底や淵には焦げはみられなかった。
【0073】
(実施例4 チョコレートフォンデュソース1の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Cをそのまま本発明のチョコレートフォンデュソース1とした。このチョコレートフォンデュソース1を鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのフォンデュソース1は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチョコレートフォンデュソース1中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。チョコレートフォンデュソース1は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたチョコレートフォンデュした角切りフランスパンはチョコ風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0074】
(実施例5 チョコレートフォンデュソース2の調製およびフォンデュ食品の製造)
水中油型乳化組成物Bを500重量部に風味調整のためガナッシュを150重量部添加混合し、本発明のチョコレートフォンデュソース2を得た。これをフォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱した。この時点でこのチョコレートフォンデュソース2は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチョコレートフォンデュソース2中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。チョコレートフォンデュソース2は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたチョコレートフォンデュした角切りフランスパンはチョコ風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0075】
(実施例6 チーズフォンデュソース1の調製およびフォンデュ食品の製造)水中油型乳化組成物Dをそのまま本発明のチーズフォンデュソース1とした。これをフォンデュ鍋に500g投入し、65℃になるまで弱火で加熱溶解し本発明のチーズフォンデュソース1を得た。この時点でこのチーズフォンデュソース1は流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチーズフォンデュソース1中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。チーズフォンデュソース1は5秒で完全にゲル状態に戻った。得られたチーズフォンデュした角切りフランスパンはチーズ風味が良好であり、口中で、粘つくこともなく口溶けが大変良好であった。なお、鍋の底や淵には焦げはみられなかった。
【0076】
(比較例1 カスタードフォンデュソース4の調製およびフォンデュ食品の製造)
実施例1で使用した水中油型乳化組成物Aに代えて、同量の自家製カスタードを使用し、これをフォンデュソース4とした。それ以外は実施例1と全く同一の方法でカスタードフォンデュした角切りフランスパンを得た。このフォンデュソース4は熱可逆性がないため、加熱時の性状は大変粘度が高いゲル状であった。また、得られたカスタードフォンデュした角切りフランスパンは、ゲル状態のフォンデュソース4がそのまま付着した状態であり、カスタード風味が良好であるが、一部焦げた風味のある粘つく食感を示し、口溶けは大変悪かった。鍋の底や淵には焦げの発生が見られた。
【0077】
(比較例2 カスタードフォンデュソース5の調製、およびフォンデュ食品の製造)
実施例2で使用した水中油型乳化組成物Aを、同量の自家製カスタードに置き換えた以外は、実施例2と全く同一の方法で、カスタードフォンデュソース5を得、さらにカスタードフォンデュした角切りフランスパンを得た。このフォンデュソース5の加熱時の性状はやや粘度のあるゲル状であった。また、得られたカスタードフォンデュしたパンは、付着したフォンデュソース5はゲルのままであり、やや焦げた風味のある、粘つく食感を示し、口溶けは大変悪かった。鍋の底や淵には一部焦げの発生が見られた。
【0078】
(比較例3 チーズフォンデュソース2の調製およびフォンデュ食品の製造)鍋に、白ワインを120g投入し、80℃に加熱してアルコールを飛ばした後いったん55℃まで冷却し、牛乳200gを投入し十分に混合後、さらに弱火で加熱した。ここにゴーダチーズを200g、コーンスターチ20gを投入し、10分溶解混合し、伝統的ヨーロッパの郷土料理であるチーズフォンデュソース2を得た。このチーズフォンデュソース2の品温は63℃であり、やや粘度のある流動性を示した。20mm×20mm×20mmの直方体にカットしたフランスパンをフォークに刺し、このチーズフォンデュソース2中に10秒間完全に潜没させ、引き上げた。付着したチーズフォンデュソース2は5秒でゲル化した。得られたチーズフォンデュした角切りフランスパンは、チーズ風味が良好であるが、口中でチーズ独特の粘つく食感を示し、口溶けも不良であった。トレイの底や淵の一部に焦げの発生が見られた。また、チーズフォンデュソース2を得る際に、アルコールを飛ばす操作やチーズ溶解の操作に時間がかかるなど、大変作業が煩雑であった。
【0079】
【発明の効果】
本発明は、加温時に難しい加熱調整をせずとも液状を保ち、焦げつきにくく、浸漬した食品を引き上げた時点でただちに固化し、得られた食品の風味・食感・口溶けが良好なフォンデュソース、およびフォンデュ食品の製造方法を提供するものである。
Claims (4)
- 粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするフォンデュソース。
- 上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×105個以上1×107個未満存在する請求項1記載のフォンデュソース。
- 請求項1または2記載のフォンデュソースを水中油型乳化組成物のゲル融点以上に加熱した液中に、食品を浸漬することを特徴とするフォンデュ食品の製造方法。
- フォンデュソースに浸漬する食品が冷凍されたものであることを特徴とする請求項3記載のフォンデュ食品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002246054A JP2004081092A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | フォンデュソース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002246054A JP2004081092A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | フォンデュソース |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-08-27 JP JP2002246054A patent/JP2004081092A/ja active Pending
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