JP2002206069A - 防汚塗料組成物、この防汚塗料組成物から形成されている防汚塗膜、該防汚塗料組成物を用いた防汚方法および該塗膜で被覆された船体または水中構造物 - Google Patents
防汚塗料組成物、この防汚塗料組成物から形成されている防汚塗膜、該防汚塗料組成物を用いた防汚方法および該塗膜で被覆された船体または水中構造物Info
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Abstract
成物を提供する。 【解決手段】 [A-1](a)重合性不飽和カルボン酸シリル
エステルから誘導される成分単位と、(b)上記(a)成分単
位以外の他の重合性不飽和単量体単位とから構成される
シリルエステル共重合体ブロック単位と、 [A-2]下記式
(1)または(2)で表されるメルカプト化合物から誘導され
るブロック単位とからなる(ポリ)オキシアルキレンブ
ロックシリルエステル共重合体を含有する防汚塗料組成
物。 (上記式中、R1は、1価以上の炭素数1〜30の炭化
水素基などを示し、R2は炭素数1〜30の二価炭化水素
基などを示す。nは1〜5の整数を示し、mは1〜100
の整数を示し、lは1〜5の整数を示し、kは0〜100
の整数を示し、aは0または1の整数を示し、jは1〜
50の整数を示し、iはR1の価数を示す。)
Description
ンブロックシリルエステル共重合体を含有する防汚塗料
組成物、この防汚塗料組成物から形成されている防汚塗
膜、該防汚塗料組成物を用いた防汚方法および該塗膜で
被覆された船体または水中構造物に関する。
水中に長期間さらされることにより、その表面に、カ
キ、イガイ、フジツボ等の動物類、ノリ(海苔)等の植
物類、あるいはバクテリア類などの各種水棲生物が付着
・繁殖すると、外観が損ねられ、その機能が害されるこ
とがある。
殖すると、船底の表面粗度が増加し、船速の低下、燃費
の拡大などを招くことがある。また、このような水棲生
物を船底から取り除くには、多大な労力、作業時間が必
要となる。また、バクテリア類が水中構造物などに付着
・繁殖し、さらにそこにスライム(ヘドロ状物)が付着
して腐敗を生じたり、さらに大型の付着生物が鉄鋼構造
物などのような水中構造物の表面に付着・繁殖してその
水中構造物の腐食防止用の塗膜などを損傷すると、その
水中構造物の強度や機能が低下し寿命が著しく低下する
等の被害が生ずる虞がある。
船底などには防汚性に優れた防汚塗料として、たとえ
ば、トリブチル錫メタクリレートとメチルメタクリレー
ト等との共重合体と、亜酸化銅(Cu2O)とを含有す
るものが塗布されていた。この防 汚塗料中の該共重合
体は、海水中で加水分解されてビストリブチル錫オキサ
イド(トリブチル錫エーテル,Bu3Sn-O-SnB
u3:Buはブチル基)あるいはトリブチル錫ハロゲン
化物(Bu3SnX:Xはハロゲン原子)等の有機錫化
合物を放出して防汚効果を発揮するとともに、加水分解
された共重合体自身も水溶性化して海水中に溶解してい
く「加水分解性自己研磨型塗料」であるため、船底塗装
表面は、樹脂残渣が残らず、常に活性な表面を保つこと
ができる。
は、毒性が強く、海洋汚染、奇形魚類や奇形貝類の発
生、食物連鎖による生態系への悪影響などが懸念され、
これに代わり得るような錫を含有せずに防汚性の良好な
防汚塗料の開発が求められている。このような錫を含有
しない防汚塗料としては、たとえば、特開平4-26
4170号公報、特開平4-264169号公報、
特開平4-264168号公報に記載のシリルエステル
系防汚塗料が挙げられる。しかしながら、これらの防汚
塗料には、特開平6-157941号公報、特開平
6-157940号公報などにも教示されているよう
に、防汚性に劣り、クラック、剥離が生ずるとの問題点
がある。
は、トリメチルシリルメタクリレート、エチルメタクリ
レートおよびメトキシエチルアクリレートをアゾ系重合
開始剤の存在下に共重合してなり、トリメチルシリル基
によりブロックされたカルボン酸基を含有するブロック
された酸官能性コポリマー(A)と、多価カチオンの化
合物(B)とを含有する防汚塗料が教示されている。し
かしながら、この防汚塗料から得られる塗膜は、耐クラ
ック性が充分満足しうるものではないという問題点があ
る。
昭63-215780号公報には、(メタ)アクリル酸
のトリアルキルシリルエステルなどのオルガノシリル基
を有するビニル系単量体などを他のビニル系単量体と共
重合させてなり、数平均分子量が3000〜40000
の防汚塗料用樹脂が記載され、さらにオルトギ酸トリメ
チル等の有機系水結合剤、酸化第一銅等の防汚剤、ベン
ガラ等の顔料などを配合し得る旨記載されているが、上
記特開平6-157940号公報にも記載されている
ように、この防汚塗料用樹脂は、貯蔵中にゲル化しやす
く、この防汚塗料から形成される塗膜は、耐クラック
性、耐剥離性に劣るとの問題点がある。
対応する特公平5-32433号公報には、毒物(a)と、
式([−CH2-CX(COOR)−(B)−]:XはHまた
はCH3であり、RはSiR'3又はSi(OR')3でR'は
アルキル基などを示し、Bはエチレン性不飽和単量体残
基を示す)で表される反復単位を有し、特定の加水分解
速度などを有する重合体結合材(b)とからなる防汚塗
料が開示され、さらに溶剤、水感受性顔料成分、不活性
顔料、充填剤、遅延剤を含有し得る旨記載されている
が、この公報記載の防汚塗料から得られる塗膜は、耐ク
ラック性に劣るとの問題点がある。
子内に、式(I):-COO-SiR1R 2R3(R1〜R3は炭
素数1〜18のアルキル基などを示す)で表されるトリ
有機珪素エステル基を有する有機珪素含有単量体Aの重
合体と、(B)銅または銅化合物とを主成分とする塗料組
成物において、上記の(A),(B)成分以外の必須成分
として、(C)式:
1〜18のアルコキシ基、シクロアルコキシ基、などを
示し、R7は炭素数1〜18のアルキル基などを示し、
nは1〜3の整数を示す)で表されるアルコキシ基含有
珪素化合物を含有した塗料組成物が開示されている。ま
た、該公報には、上記式(I)で表される基を有する単
量体Aと共重合可能なビニル系単量体Bとの共重合体A
Bが含まれていてもよい旨記載され、単量体Bとして、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられている。
から得られる塗膜は、耐クラック性や防汚性あるいは防
汚性のうち特に高汚損環境下における防汚性に劣るとの
問題点がある。なお、高汚損環境下とは、船舶または水
中構造物が内海などの富栄養海域環境やさらにそのよう
な海域で静置されたり、あるいは船舶などでは運航〜停
止を頻繁に繰り返したり10ノット以下程度の低速で稼
動しているような状態を指す。
は、式:X−SiR1R2R3(ただし、式中R1〜R3はい
ずれもアルキル基、アリール基の中から選ばれた基であ
って、互いに同一の基であっても異なる基であってもよ
い。Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ
基、マレイノイルオキシ基またはフマロイルオキシ基で
ある。)で表される単量体Aと、 式:Y−(CH2CH2O)n−R4(ただし、R4はアルキ
ル基またはアリール基であり、Yはアクリロイルオキシ
基またはメタクリロイルオキシ基であり、nは1〜25
の整数である。)で表される単量体Bとを含む単量体混
合物の共重合体と、防汚剤とを必須成分として含有する
塗料組成物が開示されている。さらに、該防汚剤として
は、無機化合物として亜酸化銅、銅粉等の銅化合物、硫
酸亜鉛、酸化亜鉛等が挙げられ、金属を含む有機化合物
としてオキシン銅等の有機銅系化合物;有機ニッケル系
化合物;ジンクピリチオン等の有機亜鉛系化合物;が挙
げられている。しかしながら、該公報には、(ポリ)オ
キシアルキレンのブロック構造を有する有機シリルエス
テル基含有重合体は何ら示されていない上に、該公報に
記載の塗料では防汚性あるいは高汚損環境下における防
汚性に劣るとの問題点がある。
上記特開平7-102193号公報に記載の式(1):
X−SiR1R2R3で表される単量体Aと、式(2):Y
−(CH(R4))−(OR5)(ただしR4はアルキル基、R5
はアルキル基またはシクロアルキル基である。Yはアク
リロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、マレイノ
イルオキシ基またはフマロイルオキシ基である。)で表
される単量体Bと、必要によりこれらA、Bと共重合可
能なビニル系単量体Cとを含む単量体混合物の共重合体
と、防汚剤とを必須成分として含有する塗料組成物が開
示されている。このビニル系単量体Cとしては、アクリ
ル酸エステル、メタアクリル酸エステル、スチレン、酢
酸ビニル等が挙げられている。さらに、該防汚剤として
は、無機化合物として亜酸化銅、銅粉等の銅化合物、硫
酸亜鉛、酸化亜鉛等が挙げられ、金属を含む有機化合物
としてオキシン銅等の有機銅系化合物;有機ニッケル系
化合物;ジンクピリチオン等の有機亜鉛系化合物;が挙
げられている。
式(1):X−SiR1R2R3(ただし、式中R1〜R3は
いずれも炭素数1〜20の炭化水素基であって、互いに
同一の基であっても異なる基であってもよい。Xはアク
リロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、マレイノ
イルオキシ基、フマロイルオキシ基またはイタコノイル
オキシ基である。)で表される単量体Aと、式(2):
Y−(CH2CH2O)n−R4(ただしR4はアルキル基ま
たはアリール基であり、Yはアクリロイルオキシ基、メ
タクリロイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロ
イルオキシ基またはイタコノイルオキシ基であり、nは
1〜25の整数である。)で表される単量体Bとを含む
単量体混合物の共重合体と、ビス(2−ピリジンチオー
ル−1−オキシド)銅塩(:銅ピリチオン)とを、必須
成分として含有する塗料組成物が開示されている。さら
に、上記単量体Aとして、ジメチル−t−ブチルシリル
アクリレート等が挙げられ、上記防汚剤としては、無機
化合物として亜酸化銅、銅粉等の銅化合物、硫酸亜鉛、
酸化亜鉛等が挙げられ、金属を含む有機化合物としてオ
キシン銅等の有機銅系化合物;有機ニッケル系化合物;
ジンクピリチオン・等の有機亜鉛系化合物;が挙げられ
ている。また、添加可能な溶解速度調整剤としてロジ
ン、ロジン誘導体などが挙げられている。
トリオルガノシリル基を有する不飽和単量体Aと、下記
式(2)〜(9)の何れかで表される単量体Bとを含む
単量体混合物の共重合体と、防汚剤とを含有する塗料組
成物が開示されている。各単量体Bは、それぞれ下記の
通りである。式(2)CH2=CR4COOR5−NR6R
7(R4 は、HまたはCH3を示し、R5はアルキレン基
を示し、R6、R7は、アルキル基であって、互いに同一
でも異なっていてもよい。)で示される三級アミノ基含
有単量体、式(3)CH2=CR8COOR9−NR10R11
R12 (Y)(R8はHまたはCH 3を示し、R9はアルキ
レン基を示し、R10〜R12は、アルキル基であって、互
いに同一でも異なっていてもよく、Yはハロゲン原子を
示す。)で示される四級アンモニウム塩含有単量体、式
(4)CH2=CH−Z(ZはN含有複素環からなる基を
示す。)で示される窒素含有複素環を含む単量体、式
(5)CH2=CR13COO(R14O)m(R15O)n(R16O)
o−R17 (R13は、H、CH3を示し、R14はエチレン
基を示し、R15は炭素数3のアルキレン基を示し、R16
は炭素数4のアルキレン基を示し、R17はアルキル基、
アリール基を示す。m、n、oは0以上の整数でn、o
は同時に0でない。)で示される分子内にアルコキシ基
またはアリーロキシアルキレングリコール基を有する単
量体、式(6)CH2=CR18CONR19R20(R18は、
H、CH3を示し、R19、R2 0は、アルキル基であり互
いに同一でも異なっていてもよい。)で示される(メ
タ)アクリル酸アミド、式(7)CH2=CR21CO
N()Q(R21は、H、CH3を示し、N()Qは、N
含有基で、QにO、N、S等を含有してもよい。)で示
される窒素含有環状炭化水素基を含む(メタ)アクリル
酸アミド、式(8)CH2=CR23COOCH2−T(R
23は、H、CH3を示し、Tは、フラン環、テトラヒド
ロフラン環を示す。)で示されるフラン環含有(メタ)
アクリル酸系エステル、式(9)CH2=CH−CN。
意成分として、アクリル酸、アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル等種々の共重合性モノマー
が挙げられている。またその実施例には、トリn−ブチ
ルシリルアクリレート(TBSA)とジエチルアミノエチルメ
タクリレート(DEAEMA)とメチルメタクリレート(MMA)と
からなる共重合体や、トリn−ブチルシリルアクリレー
ト(TBSA)とN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)とメ
チルメタクリレート(MMA)とからなる共重合体等が示さ
れているが、(ポリ)オキシアルキレンのブロック構造
を有する有機シリルエステル基含有共重合体は何ら示さ
れていない。
上記特開平8-269388号公報に記載の防汚剤と同
様の防汚剤が挙げられている。(13)特開平8-2693
90号公報には、式(1):X−SiR1R2R3(ただ
し、式中R1〜R3は何れもアルキル基、アリール基の中
から選ばれた基であって、互いに同一の基であっても異
なる基であってもよい。Xはアクリロイルオキシ基、メ
タクリロイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロ
イルオキシ基またはイタコノイルオキシ基である。)で
表される単量体Aを用いた重合体と、式(2):Y−
(CH2CH2O)n−R4(ただしR4はアルキル基または
アリール基であり、Yはアクリロイルオキシ基、メタク
リロイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイル
オキシ基またはイタコノイルオキシ基であり、nは1〜
25の整数である。)で表される単量体Bを用いた重合
体と、防汚剤とを含む塗料組成物が開示されている。上
記防汚剤としては、上記特開平8-269388号公報
に記載の防汚剤と同様の防汚剤が挙げられている。ま
た、添加可能な成分としてロジン等の樹脂、沈降防止剤
などが挙げられている。
前記(11):特開平8-269388号公報に記載の式
(1):X−SiR1R2R3で表される単量体Aと、同
じく同公報に記載の式(2):Y−(CH2CH2O)n−
R4で表される単量体Bとを含む単量体混合物の共重合
体と、トリフェニルボロンピリジン錯体とを含有し、樹
脂成分および海棲生物付着阻害剤が金属を含まない重合
体および金属を含まない有機系阻害剤のみで構成された
塗料組成物が開示されている。また、添加可能な溶解速
度調整剤としてロジン、ロジン誘導体などが挙げられて
いる。
(A)ロジン、ロジン誘導体またはロジン金属塩からなる
ロジン系化合物の1種または2種以上と、(B)式
(1):X−SiR1R2R3(ただし、式中R1〜R3は何
れもアルキル基、アリール基の中から選ばれた基であっ
て、互いに同一の基であっても異なる基であってもよ
い。Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ
基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタ
コノイルオキシ基、シトラコノイルオキシ基である。)
で表される単量体Mの1種または2種以の重合体、およ
び/または、該単量体Mの1種または2種以上とそれ以
外の重合性単量体の1種または2種以上との重合体から
なる有機シリルエステル基含有重合体と、(C)防汚剤と
を含む塗料組成物が開示されている。また、単量体Mと
共重合可能な任意成分としての他の単量体として、アク
リル酸、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプ
ロピル等が挙げられているが、該公報には、(ポリ)オ
キシアルキレンのブロック構造を有する有機シリルエス
テル基含有重合体は何ら示されていない。
-269388号公報に記載の防汚剤と同様の防汚剤が
挙げられている。また、添加可能な成分として、顔料、
塩素化パラフィン、沈降防止剤などが挙げられている。
しかしながらこれら〜(15)には、(ポリ)オキシアル
キレンのブロック構造を有する有機シリルエステル基含
有共重合体は何ら示されておらず、また、これら公報に
記載の塗料組成物では、得られる塗膜は耐クラック性に
劣るか、あるいは得られる塗膜は耐クラック性、耐剥離
性(塗膜付着性)、防汚性能あるいは防汚性のうち特に
高汚損環境下における防汚性や、長期防汚性、自己研磨
性などのバランスの点で充分でない。
には、共重合可能な任意成分として、2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト等が挙げられている。また(17)特開平9−48947
号公報、(18)特開平9−48948号公報、(19)特開平
9−48949号公報、(20)特開平9−48950号公
報、(21)特開平9−48951号公報、(22)特公平5−
32433号公報、(23)USP4,593,055、(2
4)特開平2−1968669号公報、(25)WO91/1
4743には、シリル(メタ)アクリレート系共重合体
が記載されている。しかしながら、これら公報(16)〜
(25)には、(ポリ)オキシアルキレンのブロック構造
を有する有機シリルエステル基含有共重合体は何ら示さ
れていない。また、これら公報(16)〜(25)に記載の
共重合体を用いた防汚塗料では、得られる塗膜は耐クラ
ック性に劣るか、あるいは得られる塗膜は耐クラック
性、耐剥離性(塗膜付着性)、防汚性能あるいは防汚性
のうち特に高汚損環境下における防汚性や、長期防汚
性、自己研磨性などのバランスの点でさらなる改良の余
地がある。
報には、共重合成分としてメチルメタクリレート、n−
ブチルメタクリレート、アクリルアミド等を用いた共重
合体が示され、該共重合体と亜酸化銅とを配合した防汚
塗料が示されているが、上記公報に記載の防汚塗料など
と同様の問題点がある。また、(27)WO96/034
65には、3から8官能の多官能メルカプト化合物を用
いて得られるスター型ポリマーが記載されており、この
ポリマーは低粘度のため、高固型分濃度の塗料の調製が
可能で貯蔵中に増粘やゲル化を生じにくい傾向にあると
の記載されている。また、該WO96/03465公報
には、モノマーとして不飽和カルボン酸シリルエステル
を使用する旨が使用されている。しかしながら(ポリ)
オキシアルキレンのように親水性を有し、防汚塗料の防
汚性能を向上するようなブロック構造を有する有機シリ
ルエステル基含有共重合体は何ら示されていない上に、
少なくともAB型あるいはABA型のブロック共重合体
は示されていない。
問題点を解決しようとするものであって、塗膜にクラッ
クが発生しにくく、塗膜付着性が良好で塗膜剥離が起き
にくく、塗膜の加水分解速度が良好に制御され、防汚性
能(防汚活性)あるいは防汚性のうち特に高汚損環境下
における防汚性や、長期防汚性に優れた防汚塗膜が得ら
れる防汚塗料を得ることが可能な防汚塗料組成物を提供
することを目的としている。
物から形成されている防汚塗膜、該防汚塗料組成物を用
いた防汚方法および該塗膜で被覆された船体または水中
構造物を提供することを目的としている。
(a)重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導さ
れる成分単位と、(b)上記(a)成分単位以外の他の重合性
不飽和単量体単位とから構成されるシリルエステル共重
合体ブロック単位と、[A-2]下記式(1)または(2)で表さ
れるメルカプト化合物
炭化水素基またはエーテル結合含有炭化水素基を示し、
R2は炭素数1〜30の二価炭化水素基または−CH
(R3)−で表される基を示し、R3はR4−O−R5で表
される基を示し、R4は炭素数1〜30の二価炭化水素
基を示し、R5は炭素数1〜30の一価の炭化水素基を
示す。
の整数を示し、lは1〜5の整数を示し、kは0〜10
0の整数を示し、aは0または1の整数を示し、jは1
〜50の整数を示し、iはR1の価数を示す。)から誘
導されるブロック単位とからなる(ポリ)オキシアルキ
レンブロックシリルエステル共重合体を含有することを
特徴としている。
ルから誘導される成分単位(a)として、下記式(I)で表さ
れるシリル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位
(a-1)を含有することが好ましい。 −CH2−CR(COOSiRaRbRc)− …(I) (式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、
Ra、Rb、Rcは、互いに同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロ
アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ト
リメチルシリルオキシ基を示す。) 上記式(I)中のRa、Rb、Rcの少なくとも1つが、分岐
アルキル基またはシクロアルキル基であることが好まし
い。
エステルから誘導される成分単位(a)は、下記式(II)で
表されるシリル(メタ)アクリレート成分単位(a-2)と −CH2−CR(COOSiR11R12R13)− …(II) (式(II)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、R
11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10の
直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェニル基
またはトリメチルシリルオキシ基を示し、R13は、環構
造または分岐を有していてもよい炭素数が1〜18のア
ルキル基、炭素数が6〜10の置換されていてもよいフ
ェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基を示す。) 下記式(III)で表されるシリル(メタ)アクリレート成
分単位(a-3)と −CH2−CR(COOSiR14R15R16)− …(III) (式(III)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、
R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜10
の分岐またはシクロアルキル基を示し、R16は、炭素数
が1〜10の直鎖アルキル基、炭素数が3〜10の分岐
またはシクロアルキル基、または炭素数が6〜10の置
換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシリル
オキシ基を示す。)からなることが好ましい。
単量体単位(b)は、(b-1)極性基含有アクリル系不飽和単
量体から誘導される成分単位からなることが好ましい。
前記極性基含有アクリル系不飽和単量体から誘導される
成分単位(b-1)は、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアル
キル基、アルコキシル基、ポリオキシアルキレン基、ア
ルキルポリオキシアルキレン基、アミノ基、N置換アミ
ノ基、アミド基、N置換アミド基、エポキシ基、オキシ
ラン基、テトラヒドロフルフリル基およびモルホリノ基
からなる群から選ばれる一種以上の極性基を有している
ことが好ましい。
汚剤(B)を含有していることが好ましい。本発明に係
る防汚塗料組成物は、さらに、酸化亜鉛(C)を含有し
ていることが好ましい。本発明に係る防汚塗料組成物
は、さらに、無機脱水剤(D)を含有していることが好
ましい。
出促進成分(E)を含有していることが好ましい。本発
明に係る防汚塗膜は、前記記載の防汚塗料組成物から形
成されてなることを特徴としている。本発明に係る船体
または水中構造物の防汚方法は、上記記載の防汚塗料組
成物を用いることを特徴としている。
記記載の防汚塗料組成物からなる塗膜にて船体または水
中構造物の表面が被覆されていることを特徴としてい
る。本発明に係る防汚塗料組成物には、特定の(ポリ)
オキシアルキレンブロックシリルエステル共重合体が含
まれているので、塗膜にクラックが発生しにくく、塗膜
付着性が良好で塗膜剥離が起きにくく、塗膜の加水分解
速度が良好に制御され、防汚性能(防汚活性)あるいは
防汚性のうち特に高汚損環境下における防汚性や、長期
防汚性に優れ、しかもこれら特性にバランスよく優れた
防汚塗膜を得ることが可能な防汚塗料組成物が提供され
る。
物について具体的に説明する。本発明に係る防汚塗料組
成物は、[A-1](a)重合性不飽和カルボン酸シリルエステ
ルから誘導される成分単位と、(b)上記(a)成分単位以外
の他の重合性不飽和単量体単位とから構成されるシリル
エステル共重合体ブロック単位と、[A-2]特定のメルカ
プト化合物から誘導されるブロック単位とからなる(ポ
リ)オキシアルキレンブロックシリルエステル共重合体
を含んでいる。なお、(ポリ)オキシアルキレンブロッ
クシリルエステル共重合体における「(ポリ)オキシア
ルキレン」とは、シリルエステル共重合体中にオキシア
ルキレンまたはポリオキシアルキレンが含まれているこ
とを意味する。
ルエステル共重合体]シリルエステル共重合体ブロック単位(A-1) まず、このシリルエステル共重合体ブロック単位(A-
1)を構成する各成分単位(a)および(b)について説明す
る。(a)重合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導さ
れる成分単位 重合性不飽和カルボン酸シリルエステルとしては、たと
えば、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカル
ボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ
二塩基酸などのα,β-不飽和ジカルボン酸、α,β-不飽
和ジカルボン酸のハーフエステル構造である不飽和モノ
カルボン酸などのシリルエステルが挙げられる。
エステルから誘導される成分単位としては、シリル(メ
タ)アクリレートから誘導される成分単位(a-1)が好まし
い。このようなシリル(メタ)アクリレートから誘導され
る成分単位としては、具体的には下記式(I)で表され
る。 −CH2−CR(COOSiRaRbRc)− …(I) 上記式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、
Ra、Rb、Rcは、互いに同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロ
アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ト
リメチルシリルオキシ基、の何れかを示し、上記直鎖ア
ルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、さらに好ま
しくは1〜6であり、分岐アルキル基またはシクロアル
キル基の炭素数は、好ましくは3〜10、さらに好まし
くは3〜8である。また、上記フェニル基中の水素原子
と置換可能な置換基としては、アルキル、アリール、ハ
ロゲンなどが挙げられ、置換基を有していてもよいフェ
ニル基の炭素数は6〜18、好ましくは6〜12の範囲
にある。
分単位を誘導しうるシリル(メタ)アクリレート(a-1)
は、下記式(i)で表される。 式(i):
同様のものであって、水素原子またはメチル基を示し、
Ra、Rb、Rcも上記式(I)中のRa、Rb、Rcと同様
のものであって、互いに同一でも異なっていてもよく、
それぞれ直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアル
キル基、置換基を有していてもよいフェニル基、トリメ
チルシリルオキシ基の何れかを示す。
-1)としては、具体的には、たとえば、(メタ)アクリ
ル酸トリメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ト
リエチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリプロ
ピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリイソプロ
ピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリブチルシ
リルエステル、(メタ)アクリル酸トリsec−ブチルシ
リルエステル、(メタ)アクリル酸トリiso−ブチルシ
リルエステル等のようにRa、RbおよびRcが同一のシ
リル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸ジsec
−ブチル−メチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸
sec−ブチル−ジメチルシリルエステル、(メタ)ア
クリル酸ジメチルプロピルシリルエステル、(メタ)ア
クリル酸モノメチルジプロピルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸メチルエチルプロピルシリルエステル等
のようにRa、RbおよびRcのうちの1部または全部が
互いに異なったシリル(メタ)アクリレートなどが挙げ
られる。
分単位(a-1)を含む共重合体は、防汚塗料用ビヒクルと
して使用すると、自己研磨性(消耗性)に優れるととも
に、長期間の防汚性に優れた防汚塗膜を形成できる。本
発明では、前記式(I)で表されるシリル(メタ)アクリレ
ートから誘導される成分単位(a-1)のRa〜Rcの少なく
とも1つが、分岐アルキル基またはシクロアルキル基あ
ることが好ましい。このような分岐アルキル基またはシ
クロアルキル基を有する成分を、防汚塗料用ビヒクルと
して使用すると、耐クラック性、耐剥離性に優れた防汚
塗膜を形成できる。
エステルから誘導される成分単位として、下記式(II)で
表されるシリル(メタ)アクリレート成分単位(a-2)と −CH2−CR(COOSiR11R12R13)− …(II) (式(II)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、R
11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10の
直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェニル基
またはトリメチルシリルオキシ基を示し、R13は、環構
造または分岐を有していてもよい炭素数が1〜18のア
ルキル基、炭素数が6〜10の置換されていてもよいフ
ェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基を示す。) 下記式(III)で表されるシリル(メタ)アクリレート成
分単位(a-3)と −CH2−CR(COOSiR14R15R16)− …(III) (式(III)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、
R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜10
の分岐またはシクロアルキル基を示し、R16は、炭素数
が1〜10の直鎖アルキル基、炭素数が3〜10の分岐
またはシクロアルキル基、または炭素数が6〜10の置
換されていてもよいフェニル基またはトリメチルシリル
オキシ基を示す。)からなることが好ましい。
(II)で表される。 −CH2−CR(COOSiR11R12R13)− …(II) 式(II)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、R
11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10、
好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6の直鎖アル
キル基または置換されていてもよいフェニル基またはト
リメチルシリルオキシ基を示す。上記直鎖アルキル基と
しては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、
n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−
デシル基が挙げられる。
置換基としては、アルキル、アリール、ハロゲンなどが
挙げられる。R13は、環構造または分岐を有していても
よい炭素数が1〜18、好ましくは1〜12、さらに好
ましくは1〜9のアルキル基、炭素数が6〜10、好ま
しくは6〜8の置換されていてもよいフェニル基、また
はトリメチルシリルオキシ基:「(CH3)3SiO−」で
ある。
した直鎖状アルキル基の他;iso−プロピル基、is
o−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、neo−ペンチル基等の分岐状アルキル基;シクロ
ヘキシル基、エチリデンノルボニル基等の脂環構造(シ
クロヘキサン環、ノルボルナン環)を有する脂環式アル
キル基;等が挙げられる。
ては、互いに同一でも異なっていてもよいが、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘ
キシル基、トリメチルシリルオキシ基が好ましく、特
に、メチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘ
キシル基が好ましい。このようなシリル(メタ)アクリ
レート成分単位(a-2)を誘導しうるシリル(メタ)アク
リレート(a-2)は、下記式(ii)で表される。
あり、R11〜R13も上記式(II)中のR11〜R13と同様
のものである。このようなシリル(メタ)アクリレート
(a-2)としては、具体的には、(メタ)アクリル酸ト
リメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリエチ
ルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−プロピ
ルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−ブチル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−ペンチル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−ヘキシル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−ヘプチル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−オクチル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−ノニルシ
リルエステル、(メタ)アクリル酸トリn−デシルシリ
ルエステルのようにR11〜R13が同一の脂肪族系シリル
(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸トリフェ
ニルシリルエステルの他、(メタ)アクリル酸トリス
(トリメチルシリルオキシ)シリルエステル等のR11〜
R13が同一の芳香族系あるいはシロキサン系シリル(メ
タ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸ジメチルn−
プロピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸イソプロ
ピルジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジn
−ブチル−iso−ブチルシリルエステル、(メタ)ア
クリル酸n−ヘキシル−ジメチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸sec−ブチル−ジメチルシリルエステ
ル、(メタ)アクリル酸モノメチルジn−プロピルシリ
ルエステル、(メタ)アクリル酸メチルエチルn−プロ
ピルシリルエステル、(メタ)アクリル酸エチリデンノ
ルボルニル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリ
ル酸トリメチルシリルオキシ−ジメチルシリルエステル
(CH2=C(CH3)COOSi(CH3)2(OSi(C
H3)3)、CH2=CHCOOSi(CH3)2(OSi(C
H3)3))等のようにR11〜R13のうちの一部または全部
が互いに異なった脂肪族系のシリル(メタ)アクリレー
ト類;等が挙げられる。
2)は、1種または2種以上組み合わせて用いることが
できる。シリル(メタ)アクリレート成分単位(a-3) シリル(メタ)アクリレート成分単位(a-3)は、下記式
(III)で表される。 −CH2−CR(COOSiR14R15R16)− …(III) 式(III)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、
R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜1
0、好ましくは3〜8の分岐アルキル基または炭素数が
3〜10、好ましくは3〜9のシクロアルキル基を示
す。
I)中のものと同様に、iso-プロピル基、iso-ブチル
基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、neo-ペンチル基等
の分岐状アルキル基が挙げられる。上記シクロアルキル
基としては、シクロヘキシル基、エチリデンノルボルニ
ル基が挙げられる。
〜8、さらに好ましくは1〜6の直鎖アルキル基、炭素
数が3〜10、好ましくは3〜9の分岐またはシクロア
ルキル基、または炭素数が6〜10、好ましくは6〜8
の置換されていてもよいフェニル基、またはトリメチル
シリルオキシ基を示す。このR16中の直鎖アルキル基、
分岐またはシクロアルキル基、フェニル基などとして
は、具体的には、上記と同様の基を挙げることができ
る。
ては、互いに同一でも異なっていてもよいが、同一の場
合には、iso-プロピル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基
が好ましく、特に、iso-プロピル基、sec-ブチル基が好
ましい。 また、R14、R15、R16の一部または全部が
異なる場合には、R14、R15は互いに同一でも異なって
いてもよいが、R14、R15としては、iso-プロピル基、
iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が好まし
く、R16としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、iso-ブチル基、トリメ
チルシリルオキシ基が好ましい。
分単位(a-3)を誘導しうるシリル(メタ)アクリレート
(a-3)は、下記式(iii)で表される。 CH2=CR(COOSiR14R15R16) …(iii) 式(iii)中、R、R14、R15、R16は、上記式(II)
中のR、R14、R15、R16と同様のものである。
(a-3)としては、具体的には、たとえば、 (メタ)アクリル酸トリiso-プロピルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリiso-ブチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリsec-ブチルシリルエステルのよ
うにR14、R15およびR16が同一のシリル(メタ)アク
リレート;(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル−シクロ
ヘキシルシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジiso-プ
ロピル−フェニルシリルエステル、(メタ)アクリル酸
ジiso-プロピル−トリメチルシロキシシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−メチルシリルエステ
ル、(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−エチルシリルエ
ステル、(メタ)アクリル酸ジsec-ブチル−トリメチル
シリルオキシシリルエステル、(メタ)アクリル酸iso-
プロピル−sec-ブチル−メチルシリルエステルのよう
に、R14、R15およびR16のうちの1部または全部が互
いに異なったシリル(メタ)アクリレート;などが挙げ
られる。
タ)アクリレート(a-3)は、1種または2種以上組み
合わせて用いることができる。以上のようなシリル(メ
タ)アクリレート成分単位のうちでは、特にシリルエス
テル共重合体ブロック単位(A-1)合成の容易性、あるい
はこのようなシリルエステル共重合体ブロック単位(A-
1)を含むブロック共重合体を用いてなる防汚塗料組成物
の造膜性、貯蔵安定性、研掃性の制御のしやすさなどを
考慮すると、シリル(メタ)アクリレート(a-2)のう
ちの、(メタ)アクリル酸トリメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸トリエチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−プロピルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリn−ブチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸n−ヘキシル−ジメチルシリルエステ
ル、(メタ)アクリル酸n−オクチル−ジメチルシリル
エステル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル−ジメチル
シリルエステル、(メタ)アクリル酸エチリデンノルボ
ルニル−ジメチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸
トリメチルシリルオキシ−ジメチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ビス(トリメチルシリルオキシ)−
メチルシリルエステル、(メタ)アクリル酸トリス(ト
リメチルシリルオキシ)シリルエステルから選択される
何れか1種または2種以上から誘導される成分単位と、
シリル(メタ)アクリレート(a-3)のうちの、(メ
タ)アクリル酸トリiso-プロピルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリiso-ブチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸トリsec-ブチルシリルエステル、(メ
タ)アクリル酸ジsec-ブチル−メチルシリルエステル、
(メタ)アクリル酸ジiso-プロピル−トリメチルシリル
オキシシリルエステル、(メタ)アクリル酸ジsec-ブチ
ル−トリメチルシリルオキシシリルエステルから選択さ
れる何れか1種または2種以上の成分単位とを組み合わ
せたものが好ましい。
(a-2)のうちの、(メタ)アクリル酸トリn−ブチル
シリルエステルから誘導される成分単位と、シリル(メ
タ)アクリレート(a-3)のうちの、(メタ)アクリル
酸トリiso-プロピルシリルエステルから誘導された成分
単位の組み合わせが好ましい。
ン酸シリルエステルから誘導される成分単位(a)ととも
にシリル(メタ)アクリレート共重合体ブロック単位を
構成しており、しかも上記重合性不飽和カルボン酸シリ
ルエステルから誘導される成分単位(a)とは異なる成分
単位であって、このような不飽和単量体成分単位(b)を
誘導しうる不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸n-,iso-,tert-ブチル、(メタ)アクリ
ル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキ
シル等の疎水性(メタ)アクリル酸エステル類;(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシ
ブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メ
タ)アクリル酸メチルポリオキシエチレン、(メタ)ア
クリル酸メチルポリオキシプロピレン等の親水性(メ
タ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル、
安息香酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の
ビニルエステル類;クロトン酸エステル類、イタコン酸
エステル類、フマル酸エステル類、マレイン酸エステル
類等が挙げられ、これらのうちでは、(メタ)アクリル
酸エステル類、スチレン類、ビニルエステル類が適度の
塗膜強度を有する防汚塗膜が得られるため好ましい。特
に、親水性(メタ)アクリル酸エステル類を使用すると
塗膜の消耗性を増大させることができ、この目的ではア
クリルアミド誘導体などの親水性を有するコモノマーの
使用も可能である。
(b)として、(b-1)極性基含有アクリル系不飽和単量体か
ら誘導される成分単位が好ましい。極性基としては、
前記極性基含有アクリル系不飽和単量体から誘導される
成分単位(b-1)が、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアル
キル基、アルコキシル基、ポリオキシアルキレン基、ア
ルキルポリオキシアルキレン基、アミノ基、N置換アミ
ノ基、アミド基、N置換アミド基、エポキシ基、オキシ
ラン基、オキソラン基、オキセタン基、テトラヒドロフ
ルフリル基およびモルホリノ基からなる群から選ばれる
一種以上の極性基を有していることが好ましい。
量体から誘導される成分単位(b-1)は下記式(IV)で表さ
れる。
ル基を示し、Wは極性基を示す。極性基WはZR6で表
され、Zは、酸素原子または−NR7を示す。Zが酸素
原子である場合には、R6は置換基を有していてもよい
ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、
式:
(ただし、R8は、アルキレン基であり、nは、2〜5
0の整数を示し、xは1〜100の整数、Ryはアルキ
ル基を示す。)、または式
てもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、複数の
R10は、互いに同一でも異なっていてもよく、Hまたは
炭素数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素原子に
結合するR10同士は互いに結合して環構造を形成してい
てもよい。)で表されるエポキシ基またはオキセタン基
を示す。
炭素数は、好ましくは1〜18、さらに好ましくは2〜
9であり、また上記ヒドロキシシクロアルキル基の炭素
数は、好ましくは3〜10、さらに好ましくは3〜8で
あり、上記アルキレン基R8の炭素数は、1〜8、好ま
しくは2〜4である。ヒドロキシアルキル基またはヒド
ロキシシクロアルキル基の置換基は、好ましくは塩素な
どのハロゲン原子、フェニル基、ヒドロキシ基である。
7は、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、置換アミ
ノ基、アシル基、アルコキシ基の何れかで置換されてい
てもよい上記と同様の炭素数のアルキル基を示し、R6
は水素原子を示す。このような極性基を有する不飽和単
量体成分単位(b-1)を含んでいる共重合体は、防汚塗料
ビヒクルとして用いたときに、特に高汚損海域での防汚
性に優れている。
分単位(b-1)を誘導しうる不飽和単量体(b-1)は、下記式
(IV-a)で表される。 式(IV-a):
V)中のR5およびWと同様のものを示す。このような不
飽和単量体(IV-a)としては、具体的には、たとえば、
式(IV-a)中、Wを構成するZR6のうちZが酸素原子
であるものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、
2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブ
チルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレ
ート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリ
レート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート
(n=2)、ポリエチレングリコールモノメタクリレー
ト(n=4)、ポリエチレングリコールモノメタクリレ
ート(n=5)、ポリエチレングリコールモノメタクリ
レート(n=8)、ポリエチレングリコールモノメタク
リレート(n=10)、ポリエチレングリコールモノメ
タクリレート(n=15)、ポリプロピレングリコール
モノメタクリレート(n=5)、ポリプロピレングリコ
ールモノメタクリレート(n=9)、ポリプロピレング
リコールモノメタクリレート(n=12)、2-メトキシ
エチルアクリレート、3-ブトキシプロピルメタクリルレ
ート、メトキシポリエチレングリコールモノメタフリレ
ート(n=35)等が挙げられる。
たはオキセタン基を有する不飽和単量体(IV-a)として
は、
あるものとしては、具体的には、たとえば、N−メチロ
ールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミ
ド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチル
アミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリル
アミド等が挙げられる。
上組み合わせて用いられる。これらの不飽和単量体(b)
は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。シリ
ルエステル共重合体ブロック単位(A-1)中には、上記重
合性不飽和カルボン酸シリルエステルから誘導される成
分単位(a)10〜95重量%、好ましくは20〜85重
量%の範囲で、上記(a)以外の不飽和単量体成分単位(b)
は5〜90重量%、好ましくは15〜80重量%((a)
+(b)=100重量%)の量で含まれていることが、塗
膜へのクラックの発生防止、塗膜の耐剥離性、塗膜強
度、消耗性の点で望ましい。また重合性不飽和カルボン
酸シリルエステルから誘導される成分単位(a)として、
シリル(メタ)アクリレート成分単位(a-2)および(a-3)
が含まれている場合、シリル(メタ)アクリレート成分
単位(a-2)は、0.1〜60重量%、好ましくは0.5
〜40重量%の量で、シリル(メタ)アクリレート成分
単位(a-3)は10〜70重量%、好ましくは30〜65
重量%の量(ただし、(a-2)+(a-3)は上記成分単位(a)の
範囲内である)にあることが望ましい。
ク単位(A-2)]ブロック単位(A-2)は下記式(1)または(2)
で表されるメルカプト化合物から誘導される。
くは1〜20であって、かつ1価以上の炭化水素基また
はエーテル結合含有炭化水素基である。このようなR1
は、脂肪族炭化水素基であっても、脂環族炭化水素基で
あっても、さらにはアルキル基で置換されていてもよい
芳香族脂肪族炭化水素基であってもよい。またR1が2
価以上の場合、R1を構成する1つの炭素原子のみが複
数の酸素原子結合基(−O−)と結合していてもよく、
また炭化水素基を構成する複数の炭素原子が、それぞれ
酸素原子結合基と結合していてもよい。
0の二価炭化水素基または−CH(R 3)−で表される基
を示す。R3はR4−O−R5で表される基を示し、R4は
炭素数1〜30、好ましくは1〜10の二価炭化水素基
を示し、R5は炭素数1〜30、好ましくは1〜20の
一価の炭化水素基を示す。
す。mは1〜100、好ましくは1〜60の整数を示
す。lは1〜5の整数を示し、kは0〜100の整数を
示し、aは0または1の整数を示し、jは1〜50の整
数を示し、iはR1の価数を示す。から構成される。
違したアルキレンオキサイド鎖(OCnH2n)が存在する
場合、メルカプト化合物中で同じアルキレンオキサイド
鎖同士がブロックを形成していてもよく、また2種以上
の相違したアルキレンオキサイド鎖(OCnH2n)mがラン
ダムに配列していてもよい。このようなメルカプト化合
物としては、
化合物の数平均分子量は100〜10000、好ましく
は150〜8000、さらに好ましくは150〜500
0の範囲にあることが好ましい。このようなメルカプト
化合物から誘導されるブロック単位が含まれていると、
防汚塗料用のビヒクルとして用いた場合の表面更新性が
良好であるという優れた特性を有するブロック共重合体
が得られる。なお、表面更新性が良好であるとは自己研
摩型防汚塗料塗膜が消耗しながら表面を更新する際に防
汚剤の溶出痕より形成される最表層の多孔質層(いわゆ
るスケルトン層)の厚さが薄く、常に活性の高い塗膜表
面が露出している状態を指す。
製造される(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエ
ステル共重合体は通常のシリルエステル共重合体に比較
し低分子量であり、その溶液は低粘度であるという特徴
を有する。従って本発明の(ポリ)オキシアルキレンブ
ロックシリルエステル共重合体を用いた防汚塗料組成物
は溶媒の使用量を極力低減することが可能でかつ塗装時
の作業性が良好であるという優れた特性を有する。
ブロックシリルエステル共重合体(A)においては、こ
れらの成分単位(A-1)および/または(A-2)は、それぞ
れ、1種または2種以上存在していてもよい。このよう
な本発明に係る(ポリ)オキシアルキレンブロックシリ
ルエステル共重合体では、各成分単位(A-1)と(A-2)の合
計を100重量%とするとき、上記シリルエステル共重
合体ブロック単位(A-1)は、通常、40〜99.9重量
%、好ましくは50〜99.5重量%、特に好ましくは
70〜99重量%の量で、メルカプト化合物から構成さ
れるブロック単位(A-2)は、通常0.1〜60重量%、
好ましくは0.5〜50重量%、特に好ましくは1〜3
0重量%の量で、含まれていることが望ましい。
上記範囲にあると、防汚性が良好で塗膜の更新性に優
れ、しかも塗膜の硬度、摩耗性などの物性も優れる傾向
がある。(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエス
テル共重合体を構成する成分単位(A-2)を誘導するメル
カプト化合物が、「SH」を1個有する化合物である場
合(上記した式(1)および(2)のiが1の化合物)には、
該共重合体中においては、成分単位(A-1)の片末端を封
止するように、該共重合体の片末端部に1個の成分単位
(A-2)が存在しているものと思われる。(すなわち、A
−B型) また、たとえば、成分単位(A-2)を誘導するメルカプト
化合物が、「SH」を両末端に1個ずつ有する成分単位
である場合(上記式(1)および(2)のiが2の化合物)に
は、該共重合体中においては、成分単位(A-1)の一末端
と成分単位(A-2)とが結合し、さらにその成分単位(A-2)
の末端が、他の成分単位(A-1)の一末端と結合している
ものと思われる。(すなわち、A−B−A型) これらのブロック共重合体の他に、3つ以上の成分単位
(A-1)の鎖の末端位置が、成分単位(A-2)の3つ以上のS
元素に結合した、いわゆる星型などの配列をしているも
のも考えられる。
ロックシリルエステル共重合体として、A−B−A型ま
たは星型のものが好ましい。
%濃度の溶液の25℃における粘度は、用いられる共重
合体の用途によっても異なり一概に決定されないが、共
重合体を含む組成物の塗装性、溶剤希釈したときのタレ
防止などの観点を考慮すると、通常、5cps〜20
0,000(20万)cps、好ましくは10〜50,
000(5万)cpsであることが望ましい。
0〜20万、好ましくは1000〜10万、さらに好ま
しくは1500〜8万の範囲にあることが好ましい。こ
のような(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエス
テル共重合体(A)は、前記シリルエステル共重合体成
分と前記メルカプト化合物とをブロック共重合すること
によって製造できる。
シリルエステル共重合体の製造方法について説明する。(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステル共重
合体の製造方法 このような(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエ
ステル共重合体を得るには、シリルエステル共重合体成
分(A-1)の重合条件下にメルカプト化合物(A-2)を存在さ
せてブロック共重合を行う。
成分(A-1)の構成成分である上記した重合性不飽和カル
ボン酸シリルエステル (a)と重合性不飽和カルボン酸シ
リルエステル以外の不飽和単量体 (b)とをシリルエステ
ル共重合体成分(A-1)中の量として重合性不飽和カルボ
ン酸シリルエステル(a)を10〜95重量%好ましくは
20〜85%の範囲で、不飽和単量体(b)を5〜90重
量%好ましくは15〜80重量%((a)+(b)=100重
量%)となる量で使用し、メルカプト化合物(A-2)を
(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステル共重
合体中の量として0.1〜60重量%、好ましくは0.
5〜50重量%となる量で使用し、これらをラジカル重
合開始剤の存在下に、溶液重合、塊状重合、乳化重合、
懸濁重合等の各種方法にてブロック重合させればよい。
は通常ランダム共重合したシリルエステル共重合体成分
(A-1)鎖と(ポリ)オキシアルキレンブロック鎖より構
成される。ラジカル重合開始剤としては、従来より公知
のアゾ化合物、過酸化物などを広く用いることができ、
アゾ化合物としては、具体的には、たとえば、2,2'-ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチル
ブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレ
ロニトリル)等が挙げられ、過酸化物としては、たとえ
ば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーオキシアセテ
ート、tert-ブチルパーオキシオクテート、クメンハイ
ドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、ter
t-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオ
キシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルハイドロ
パーオキサイド、過硫酸塩(カリウム塩、アンモニウム
塩)等が挙げられる。
ともできる。
開始剤を使用すると更に(ポリ)オキシアルキレンブロ
ックシリルエステル共重合体の親水性を向上することが
でき、防汚塗料組成物の防汚性や消耗性を一層向上する
ことができる。なお、上記式で表される開始剤では、上
記のようなメルカプト化合物を用いない場合において
も、たとえば不飽和カルボン酸シリルエステルを重合さ
せてシリルエステル共重合体を製造する場合において
も、好適に使用することができる。
上記各種重合法のうちでは、有機溶剤中で重合が行われ
る溶液重合法や塊状重合法が好ましく、溶液重合の際用
いられる有機溶剤としては、溶媒としては、上記共重合
用モノマーの何れとも反応せず不活性であり、かつ、こ
れらモノマーを溶解し得る限り特に限定されないが、た
とえば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ヘ
キサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、
酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルアルコール、
ブチルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、ジエ
チルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン等のケトン類;等が挙げられる。
これらの溶剤は、1種または2種以上組み合わせて用い
られる。
ンブロックシリルエステル共重合体の構成成分の合計1
00重量部に対して、たとえば、0.01〜20重量
部、好ましくは0.1〜10重量部の量で用いられる。
このような触媒は1度に添加してもよく、複数回に分け
て添加してもよいが、複数回に分けて添加することが分
子量の調整、反応効率、転化率の点で好ましい。
00重量部に対して、たとえば、0〜1000重量部、
好ましくは10〜500重量部の量で用いられる。こう
して重合されたシリルエステル共重合体(A-1)の重量分
子量は、500〜20万、好ましくは1000〜10
万、さらに好ましくは1500〜8万の範囲にあること
が望ましい。
ックシリルエステル共重合体のブロック重合では、たと
えば下記式(X)に示すようにシリルエステル共重合体
(A-1)の成長過程にある末端ラジカルがメルカプト化合
物(A-2)のS原子に連鎖移動し、本発明の(ポリ)オキ
シアルキレンブロックシリルエステル共重合体が得られ
る。
れ前記に同じ。) このようにして得られる(ポリ)オキシアルキレンブロ
ックシリルエステル共重合体は、メルカプト化合物(A-
2)のメルカプト基の官能数と応じてA−B型(1官
能)、ABA型(2官能)、星型(3官能以上)のもの
が得られる。本発明においては、このような反応は各成
分の添加順序や溶媒の有無について、適宜選択して行う
ことができるが、好ましくは溶媒を用い、その他の成分
を一括に仕込み、あるいは適当に分割して順次仕込んで
反応させれば良い。反応温度は、たとえば30〜200
℃、好ましくは40〜180℃、さらに好ましくは50
℃〜150℃の温度で、30分〜24時間程度重合反応
を進行させて、本発明の(ポリ)オキシアルキレンブロ
ックシリルエステル共重合体を得ることができる。
アルキレンブロックシリルエステル共重合体は通常、A
−B型、A−B−A型、または星型のブロック構造を有
している。以上のような反応の同定は、GPC、IRス
ペクトル、NMRスペクトルの測定などにより行うこと
ができる。
シアルキレンブロックシリルエステル共重合体(A)を
塗膜形成成分として、含有している。このような本発明
に係る防汚塗料組成物には、さらに、各種添加剤を含有
している。
リルエステル共重合体が含有された防汚塗料組成物によ
れば、塗膜にクラックが発生しにくく、塗膜付着性が良
好で塗膜剥離が起きにくく、塗膜の加水分解速度が良好
に制御され、防汚性能あるいは防汚性のうち特に高汚損
環境下における防汚性や、長期防汚性に優れた防汚塗膜
が得られる。
記(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステル共
重合体(A)を必須成分として含有しているが、この
(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステル共重
合体(A)以外に、防汚剤(B)、酸化亜鉛(亜鉛華)
(C)、無機脱水剤(D)、タレ止め・沈降防止剤、ロ
ジン等の溶出促進成分、塩素化パラフィン等の可塑剤、
着色顔料、体質顔料などの各種顔料、アクリル樹脂、ポ
リアルキルビニルエーテル(ビニルエーテル系(共)重
合体)などの各種樹脂、消泡剤、色別れ防止剤、レベリ
ング剤などの各種添加剤などのような成分を含有してい
てもよい。
レンブロックシリルエステル共重合体(A)以外の成分
および各種添加剤について説明する。 [防汚剤(B)]防汚剤(B)としては、無機系、有機
系の何れであってもよく、従来より公知のものを広く用
いることができるが、本発明においては、銅および/ま
たは銅化合物(B−1)、金属ピリチオン類(B−2)
等の有機防汚剤が好ましい。
銅および/または銅化合物(B−1)(ピリチオン類を
除く。以下同様。)について説明すると、上記銅および
/または銅化合物としては、その分子量が通常63.5
〜2000、好ましくは63.5〜1000のものが用
いられる。このような銅化合物(B−1)としては、有
機系、無機系の銅化合物の何れであってもよく、このう
ち無機系の銅化合物としては、たとえば、亜酸化銅、チ
オシアン酸銅(チオシアン酸第一銅、ロダン銅)、塩基
性硫酸銅、塩化銅、酸化銅等が挙げられ、有機系の銅化
合物としては、たとえば、塩基性酢酸銅、オキシン銅、
ノニルフェノールスルホン酸銅、カツパービス(エチレ
ンジアミン)−ビス(ドデシルベンゼンスルホネー
ト)、ナフテン酸銅、ロジン酸銅、ビス(ペンタクロロ
フェノール酸)銅などが挙げられ、好ましくは無機系の
亜酸化銅、チオシアン化銅(ロダン銅)が用いられる。
いは銅とともに1種または2種以上組み合わせて用いる
ことができる。このような銅および/または銅化合物
は、本発明の防汚塗料組成物中に、合計で通常、1〜7
0重量%、好ましくは3〜65重量%の量で含まれてい
ることが望ましい。また防汚塗料組成物中に含まれる
(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステル共重
合体(A)100重量部に対して、該銅および/または
銅化合物(B−1)は、合計で通常、3〜1400重量
部、好ましくは10〜1300重量部の量で含まれてい
ることが望ましい。
塗料組成物中にこの範囲で含まれていると、防汚性に優
れた防汚塗膜を形成することができる。本発明において
は、防汚剤として、上記銅および/または銅化合物(B
-1)とともに、あるいは上記銅および/または銅化合物
に代えて、有機防汚剤を用いることができる。有機防汚
剤としては、たとえば、金属ピリチオン類(B−2)を
用いることができる。金属ピリチオン類としては、ナト
リウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミ
ニウム、銅、亜鉛、鉄、鉛などの金属ピリチオン類を例
示できる。上記金属ピリチオン類のうちでは、銅ピリチ
オン、ジンクピリチオンが好ましく、とくに銅ピリチオ
ンが好ましい。
は、本発明の防汚塗料組成物中に、合計で通常、0.1
〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%の量で含
まれていることが望ましい。また防汚塗料組成物中に含
まれる(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステ
ル共重合体(A)100重量部に対して、該ピリチオン
系化合物(B−2)は、合計で通常、0.3〜300重
量部、好ましくは2〜200重量部の量で含まれている
ことが望ましい。
物(B−2)とともに、あるいはこのピリチオン系化合
物に代えて下記の防汚剤(他の防汚剤)を含有していて
もよく、このような他の防汚剤としては、従来より公知
の各種防汚剤を用いることができ、具体的には、たとえ
ば、テトラメチルチウラムジサルファイド、カーバメー
ト系の化合物(例:ジンクジメチルジチオカーバメー
ト、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート)、
2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、
N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2−メチルチ
オ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピル
アミノ-s-トリアジン、4,5−ジクロロ-2-n-オクチ
ル-4−イソチアゾリン−3−オン、2,4,6−トリク
ロロフェニルマレイミド、ピリジン-トリフェニルボラ
ン、アミン−トリフェニルボラン等を挙げることができ
る。
ンクピリチオン(上記式(IV)で、R1〜R4=H、M=
Zn、n=2のものに相当)、銅ピリチオン(上記式
(IV)で、R1〜R4=H、M=Cu、n=2のものに相
当)等のピリチオン系化合物(金属ピリチオン類)とと
もに、1種または2種以上組み合わせて用いることがで
きる。たとえば、銅ピリチオンおよび/またはジンクピ
リチオンと、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4
−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いるこ
とができる。
および/または銅化合物(B−1)、ピリチオン系化合
物(B−2)などの各種防汚剤の合計含有量は、防汚塗
料組成物調製時に用いられる防汚剤、被膜形成性共重合
体などの種類あるいはこのような防汚塗料組成物が塗布
形成される船舶等の種類(船舶では、航路、船速、稼働
率、大きさや船底の部位)などにもより一概に決定され
ないが、上記(ポリ)オキシアルキレンブロックシリル
エステル共重合体(A)100重量部に対して、防汚剤
総量として通常10〜1400重量部の量で、好ましく
は20〜1300重量部の量で含有されていることが望
ましい。
汚性に劣ることがあり、また1400重量部を超えると
それ以上の防汚性は期待できない上に、耐クラック性に
劣ることがある。たとえば、防汚塗料組成物の防汚剤と
してジンクピリチオンと亜酸化銅(Cu 2O)とを組み
合わせて用いる場合、ジンクピリチオンは、(ポリ)オ
キシアルキレンブロックシリルエステル共重合体(A)
100重量部に対して2〜200重量部の量で、また、
この亜酸化銅は、上記(ポリ)オキシアルキレンブロッ
クシリルエステル共重合体(A)100重量部に対して
通常10〜1300重量部程度の量で防汚塗料組成物中
に含有されていてもよい。このようにジンクピリチオン
と亜酸化銅とを含有していても、この防汚塗料組成物
は、前述したような従来例に係る防汚塗料と異なり貯蔵
安定性に優れ、貯蔵中に増粘・ゲル化しない。
として銅ピリチオンと亜酸化銅(Cu2O)とを組み合
わせて用いる場合、銅ピリチオンは、(ポリ)オキシア
ルキレンブロックシリルエステル共重合体(A)100
重量部に対して2〜200重量部の量で、また、この亜
酸化銅は、(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエ
ステル共重合体(A)100重量部に対して通常10〜
1300重量部程度の量で防汚塗料組成物中に含有され
ていてもよい。
る防汚塗料組成物には、酸化亜鉛(亜鉛華)(C)が含
有されていてもよい。このように酸化亜鉛が配合された
防汚塗料組成物では、得られる塗膜強度が向上し、塗膜
の研掃性を効果的に制御できる。また、このような酸化
亜鉛は、消耗度調整、塗膜硬度調整の観点から、この防
汚塗料組成物中に、通常、0.5〜35重量%、好まし
くは1〜25重量%の量で含まれていることが望まし
い。
料組成物には、無機系あるいは有機系の脱水剤、好まし
くは無機系の脱水剤(無機脱水剤(D))が配合されて
いてもよい。このように脱水剤が配合された防汚塗料組
成物では、貯蔵安定性を一層向上させることができる。
無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商
品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オ
ルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソほう酸エ
ステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:ア
ディティブT1)等が挙げられ、特に無機系脱水剤
(D)としては、無水石膏、モレキュラーシーブが好ま
しく用いられる。このような無機脱水剤は、1種または
2種以上組み合わせて用いることができる。
(ポリ)オキシアルキレンブロックシリルエステル共重
合体(A)100重量部に対して、通常、0.02〜1
00重量部、好ましくは0.2〜50重量部の量で配合
することが好ましい。また、このような無機脱水剤は、
この防汚塗料組成物中に、合計で通常、0.01〜10
重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で含まれてい
ることが望ましい。このような量で無機脱水剤が防汚塗
料組成物中に含まれていると、貯蔵安定性が向上する傾
向がある。
料組成物には、溶出促進成分(E)が含まれていてもよ
く、たとえば、ロジン、ロジン誘導体、有機カルボン酸
および有機カルボン酸金属塩などが挙げられる。ロジン
には、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなど
があるが、本発明ではいずれをも使用することができ
る。ロジン誘導体としては、たとえば、不均化ロジン、
低融点不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン、マレイ
ン化ロジン、アルデヒド変性ロジン、ロジンのポリオキ
シアルキレンエステル、還元ロジン(ロジンアルコー
ル)、ロジンの金属塩(ロジンの銅塩、亜鉛塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩など)、ロジンアミン等が挙げ
られる。これらのロジンおよびその誘導体は、1種また
は2種以上組み合わせて用いることができる。
数5〜30程度の脂肪酸、合成脂肪酸などが挙げられ
る。このような有機カルボン酸としては、具体的に、ピ
バル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラウ
リン酸、イソノナン酸、バーサチック酸、トール油脂肪
酸、イソステアリン酸、ナフテン酸、2−エチルヘキサ
ン酸、やし油脂肪酸、大豆油脂肪酸などが挙げられる。
有機カルボン酸の金属塩としては、銅塩、亜鉛塩、マグ
ネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
またはその誘導体が好ましい。これらの溶出促進成分
は、1種または2種以上組み合わせて用いることができ
る。これらの溶出促進成分は、防汚塗料組成物100重
量部中に、0.1〜30重量部、好ましくは、0.1〜
20重量部、さらに好ましくは0.5〜15重量部の量
で含有されていることが望ましい。溶出促進成分の配合
割合は、塗膜の強度、防汚性能および耐水性能の観点か
らこの範囲にあることが望ましい。
オキシアルキレンブロックシリルエステル共重合体(A)
100重量部に対して、該溶出促進成分は、合計で通
常、0.3〜600重量部、好ましくは2〜300重量
部の量で含まれていることが望ましい。この溶出促進成
分が、該防汚塗料組成物中にこの範囲にあると、防汚性
や塗膜の消耗性に優れるようになる傾向がある。
発明の防汚塗料組成物において、ビニルエーテル系
(共)重合体を配合すると、得られる塗膜の耐クラック
性、耐剥離性、溶出速度安定性等の向上に寄与し、塗膜
形成成分としても機能するようになる。上記ビニルエー
テル系(共)重合体として具体的には、ポリビニルメチ
ルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイ
ソプロピルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルな
どを例示することができる。
(F)は、防汚塗料組成物100重量部中に、合計で通
常、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部
の量で含まれていることが望ましい。また防汚塗料組成
物中に含まれるシリルエステル共重合体(A)100重量
部に対して、該ビニルエーテル系(共)重合体は、通
常、0.3〜60重量部、好ましくは0.6〜40重量
部の量で含まれていることが望ましい。
えて、あるいはビニルエーテル系(共)重合体ととも
に、各種の親水性基含有重合体を使用することができ
る。このような親水性基含有重合体としては、(メトキ
シ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート
(共)重合体のような各種(アルコキシ)ポリアルキレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート(共)重合体な
どが挙げられ、これらの使用によって、ビニルエーテル
系(共)重合体と同様の効果を得ることが可能である。
エステル、塩素化パラフィン、フタル酸エステル、アジ
ピン酸エステル等、通常、塗料用に用いられる可塑剤が
使用される。これらの可塑剤は、1種または2種以上組
み合わせて用いることができる。このような可塑剤を配
合する場合には、可塑剤は、この防汚塗料組成物中に、
たとえば、0.1〜10重量%の量で配合される。
物からなる塗膜(本明細書中では、「防汚塗膜」とも言
う)の耐クラック性の向上に寄与するが、これら可塑剤
のうちで、塩素化パラフィンまたはトリクレジルフォス
フェート(TCP)などの正リン酸エステルが好ましく
用いられる。この塩素化パラフィンとしては、直鎖状で
もよく分岐を有していていてもよく、室温で液状でも固
体(粉体)でもよい。このような塩素化パラフィンとし
ては、東ソー(株)製の「トヨパラックス150」、「ト
ヨパラックスA-70」などが挙げられる。本発明において
は、このような塩素含有率、炭素数などの異なる2種以
上の塩素化パラフィンを適宜組み合わせて用いることが
できる。このように2種以上の塩素化パラフィンを組み
合わせて用いる場合には、上記塩素化パラフィンの炭素
数、塩素化率は、防汚塗料組成物中に含まれるこれらの
塩素化パラフィンの炭素数あるいは塩素化率の平均値で
示す。
フィンを用いる場合は、防汚塗料組成物100重量部中
に、通常、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜
15重量部の量で含まれていることが望ましい。また防
汚塗料組成物中に含まれるシリルエステル共重合体(A)
100重量部に対して、該塩素化パラフィンは、1〜5
0重量部、好ましくは2〜40重量部の量で含まれてい
ることが望ましい。また、この塩素化パラフィンの量が
この範囲にあると、塗膜のクラックの抑制効果、塗膜強
度および耐ダメージ(衝撃)性に優れるようになる。
ルを用いる場合、防汚塗料組成物100重量部中に、通
常、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜15重
量部の量で含まれていることが望ましい。また防汚塗料
組成物中に含まれるシリルエステル共重合体(A)100
重量部に対して、正リン酸エステルは、1〜50重量
部、好ましくは2〜40重量部の量で含まれていること
が望ましい。
テルが含まれていると、割れ、剥がれの少ない塗膜が形
成でき、また塗膜の消耗度を高めることができる。 [脱水剤(H)]この防汚塗料組成物には、無機系あるい
は有機系の脱水剤が配合されていてもよい。このように
脱水剤が配合された防汚塗料組成物では、貯蔵安定性を
一層向上させることができる。
無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商
品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オ
ルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソほう酸エ
ステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:ア
ディティブT1)等が挙げられ、このうちで無機脱水剤
(H)としては、無水石膏、モレキュラーシーブが好まし
く用いられる。このような脱水剤は、1種または2種以
上組み合わせて用いることができる。
アルキレンブロックシリルエステル共重合体(A)100
重量部に対して、通常、0.02〜100重量部、好ま
しくは0.2〜50重量部の量で配合することが好まし
い。また、このような脱水剤は、この防汚塗料組成物中
に、合計で通常、0.01〜20重量%、好ましくは
0.1〜8重量%の量で含まれていることが望ましい。
このような量で脱水剤が防汚塗料組成物中に含まれてい
ると、貯蔵安定性が向上する傾向がある。
成物は、上記成分以外に、タレ止め・沈降防止剤、着色
顔料、体質顔料などの各種顔料、上記ビニルエーテル系
(共)重合体を除くアクリル樹脂などの各種樹脂、消泡
剤、色別れ防止剤、レベリング剤などの各種添加剤な
ど、下記のような成分を含有していてもよい。
防止剤としては、従来より公知のものが任意量で配合さ
れていてもよい。このようなタレ止め・沈降防止剤とし
ては、Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン
塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワ
ックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワック
ス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエ
チレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは水添ヒマシ
油ワックス、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、
酸化ポリエチレン系ワックスが用いられる。このような
タレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の
「ディスパロンA-603-20X」、「ディスパロン4200-20」
等の商品名で上市されているものが挙げられる。
有機系、無機系の各種顔料(例:チタン白、ベンガラ、
有機赤色顔料、タルクなど)を用いることができる。な
お、染料等の各種着色剤も含まれていてもよい。顔料の
形態として針状、扁平状、鱗片状のものを使用すること
により塗膜の耐クラック性を一層向上させることが可能
である。
族系(例:キシレン、トルエン等)、ケトン系、エステ
ル系、エーテル系など通常、防汚塗料に配合されるよう
な各種溶剤が用いられる。また、本発明に係る防汚塗料
組成物中に含まれる溶剤には、上記シリルエステル共重
合体を調製する際に使用した溶媒が含まれていてもよ
い。
樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ゴム樹脂、石油
樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ブチラール樹脂、アイオモノマー樹脂など
が挙げられる。 [防汚塗料組成物の製造]本発明に係る防汚塗料組成物
は、従来より公知の方法を適宜利用することにより製造
することができ、たとえば、上記(ポリ)オキシアルキ
レンブロックシリルエステル共重合体(A)と、該共重合
体(A)100重量部に対して、3〜1400重量部の量
の銅および/または銅化合物(B)と、0.07〜120
0重量部の有機防汚剤(C)と、2〜700重量部の量の
酸化亜鉛(D)と、0〜600重量部の量の溶出促進成分
(E)と、0.3〜200重量部の量のビニルエーテル系
(共)重合体(F)と、1〜50重量部の量の可塑剤(G)
と、0.03〜200重量部の量の脱水剤(例:無水石
膏、モレキュラーシーブ)(H)と、適宜量で用いられる
タレ止め・沈降防止剤、顔料、溶剤などとを一度にある
いは任意の順序で加えて撹拌・混合・分散等すればよ
い。
性に優れ、防汚塗料の付着性、耐久性、防汚性といった
各種要求性能を満足するものである。上記のような防汚
塗料組成物を水中・水上構造物すなわち海洋構造物
(例:原子力発電所の給排水口)、湾岸道路、海底トン
ネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工
事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁具(例:ロープ、漁網)
などの各種成形体(基材)の表面に常法に従って1回〜
複数回塗布・乾燥させれば、耐クラック性、防汚性に優
れた防汚塗膜被覆船体または海洋構造物などが得られ
る。なお、この防汚塗料組成物は、直接上記船体または
海洋構造物等の表面に塗布してもよく、また予め防錆
剤、プライマーなどの下地材が塗布された船体または海
洋構造物等の表面に塗布してもよい。さらには、既に従
来の防汚塗料による塗装が行われ、あるいは本発明の防
汚塗料組成物による塗装が行われている船体、海洋構造
物等の表面に、補修用として本発明の防汚塗料組成物を
上塗りしてもよい。このようにして船体、海洋構造物等
の表面に形成された防汚塗膜の厚さは特に限定されない
が、たとえば、30〜150μm/回程度である。
クが発生しにくく、塗膜付着性が良好で塗膜剥離が起き
にくく、塗膜の加水分解速度が良好に制御され、防汚性
特に高汚損環境下における防汚性や、長期防汚性に優
れ、しかもこれら特性にバランスよく優れた防汚塗料組
成物が得られる。
性を有する塗膜および該塗膜で被覆され、上記特性を有
する船体または水中構造物が提供される。また本発明に
よれば、このような防汚塗料組成物を用いた、環境汚染
の恐れの極めて少ない防汚方法が提供される。
説明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限
されるものではない。なお、以下の実施例、比較例にお
いて、「部」は「重量部」の意味である。
ルエステル共重合体(BP−1)の製造) 撹拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、窒素導入
管、加熱冷却ジャケットを備えた反応容器にキシレン1
00部を仕込み窒素を吸き込みながら85℃の温度条件
に加熱撹拌を行った。同温度を保持しつつ滴下装置よ
り、上記反応容器内にトリイソプロピルシリルアクリレ
ート40部、メチルメタクリレート55部、下記に示す
メルカプト化合物(M−1)5部および重合開始剤の2,2'-
アゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を2時間かけ
て滴下した。その後同温度で4時間撹拌を行った後、2,
2'-アゾビスイソブチロニトリル0.4部を加え、さら
に同温度で4時間撹拌を行い、無色透明の(ポリ)オキ
シアルキレンブロックシリルエステル共重合体(BP−
1)溶液を得た。
残分(105℃の熱風乾燥機中3時間乾燥後の加熱残
分)は50.5重量%であり、25℃における粘度は7
2cpsであり、GPCにより測定した数平均分子量
(Mn)は2748であり、重量平均分子量(Mw)は
5603であった。共重合体BP−1のGPCクロマト
グラムを図1にIRスペクトルのチャートを図2に示
す。
である。 (GPC測定条件) 装置:東ソー社製 HLC−8120GPC カラム:東ソー社製 Super H2000+H4000 6mm I.D.,15cm 溶離液:THF 流速:0.500ml/min 検出器:RI カラム恒温槽温度:40℃ (IR測定条件) 装置:日立製作所製 270−30形 日立赤外分光光度計 測定方法:KBrセル、塗布法
20)および共重合体(H−1)および(H−2)の製
造 前記共重合体(BP−1)の製造において、滴下成分の
混合物の組成を表1に示すように変えた以外は、上記と
同様にして共重合体(BP−2)〜(BP−20)およ
び比較例用共重合体H-1およびH-2を得、上記と同様
にこれらの共重合体(溶液)の物性値を測定した。
ト化合物M−2〜M-12は下記化合物である。
(BBP-28)の調製 表2に示す配合組成の配合成分をガラスビーズをメディ
アとしたペイントシェーカーに仕込み、2時間振とうし
た後、100メッシュのフィルターにて濾過して、所望
の防汚塗料組成物を得た。
貯蔵後の貯蔵安定性を評価した。結果を表2に合わせて
示す。貯蔵安定性の評価は塗料試作直後と常温2ヶ月間
貯蔵後の粘度(ストーマー粘度計により測定した25℃
におけるKu値)の増加度により以下の尺度で評価し
た。
を下記のようにして行った。
付可能なように曲げ加工が施された70×200×3mm
のサンドブラスト鋼板を用意した。このサンドブラスト
鋼板に、エポキシ系ジンクリッチプライマー、エポキシ
系防食塗料、ビニル系バインダーコートをそれぞれの乾
燥膜厚が20μm、150μm、50μmとなるように
塗装し、その後スキマ500μmのアプリケーターを用
い供試防汚塗料組成物を円心から半径方向に放射状に塗
装した後7日間室内で乾燥し、試験板を得た。
5ノット、50%稼動条件(夜間12時間稼動、昼間1
2時間停止の交互運転)にて12ヶ月間高汚損環境条件
での試験を行い防汚性の評価を行った。防汚性の評価に
ついては目視で行い以上の基準を用いた。 (評価基準) 5:塗膜表面に付着物を認めない 4:塗膜表面に薄いスライムの付着を認める 3:塗膜表面に濃いスライムの付着を認める 2:塗膜表面にスライムの付着および部分的にシオミド
ロなどの植物の付着を認める 1:塗膜表面全体がシオミドロなどの植物で覆われてい
る また、下記のような条件で消耗度の調査を行った。 (消耗性評価)直径300mmで厚さ3mmの円盤状サンド
ブラスト鋼板にエポキシ系ジンクリッチプライマー、エ
ポキシ系防食塗料、ビニル系バインダーコートをそれぞ
れの乾燥膜厚が20μm、150μm、50μmとなる
よう1日毎に順次重ねて塗装した後、7日間室内で乾燥
した。その後スキマ500μmのアプリケーターを用い
供試防汚塗料組成物を円心から半径方向に放射状に塗装
した後7日間室内で乾燥し、試験板を得た。
にこの試験板を取り付け、周速15ノットで12ヶ月間
回転し、円周付近の消耗度(膜厚減少)を測定した。評
価結果を合わせて表2に示す。さらにまた、膜厚減少測
定時の塗膜状態を目視で観察し以下の基準にて評価を行
った。
ある。 「トヨパラックス150」東ソー(株)製の塩素化パ
ラフィン、 平均炭素数:14.5、塩素含有量:50% 粘度:12ポイズ/25℃、比重:1.25/25℃。 「ルトナールA−25」BASF社製のポリビニルエ
チルエーテル、 粘度:2.5〜6.0Pa・s/23℃、比重:0.9
6/20℃。 「ロジン溶液」WWロジンの50%キシレン溶液 「ナフテン酸銅溶液」ナフテン酸銅のキシレン溶液、 溶液中の銅含有率:8%。 「可溶性無水石膏D−1」(株)ノリタケカンパニー
リミテド製、IIICaSO4、白色粉末、平均粒径1
5μm。 「ディスパロン4200−20」楠本化成(株)製、
酸化ポリエチレンワックス(20%キシレンペースト) 「ディスパロンA603−20X」楠本化成(株)製 脂肪酸アマイドワックス(20%キシレンペースト) キョーワノイックN:協和油化(株)3,5,5-トリメチ
ルヘキサン酸(イソノナン酸) バーサチック10(バーサチック酸):シェル化学、
三級合成脂肪酸(平均炭素数10) (10)ナフテン酸:酸価200
料組成物の配合を表2に示すようにした以外は実施例1
〜28と同様にして、貯蔵安定性および防汚性を評価し
た。結果を表2に示す。
クロマトグラムを示す。
ペクトルのチャートを示す。
クロマトグラムを示す。
ペクトルのチャートを示す。
クロマトグラムを示す。
ペクトルのチャートを示す。
クロマトグラムを示す。
ペクトルのチャートを示す。
クロマトグラムを示す。
スペクトルのチャートを示す。
Cクロマトグラムを示す。
スペクトルのチャートを示す。
Cクロマトグラムを示す。
スペクトルのチャートを示す。
Cクロマトグラムを示す。
スペクトルのチャートを示す。
Cクロマトグラムを示す。
スペクトルのチャートを示す。
PCクロマトグラムを示す。
Rスペクトルのチャートを示す。
PCクロマトグラムを示す。
Rスペクトルのチャートを示す。
PCクロマトグラムを示す。
Rスペクトルのチャートを示す。
PCクロマトグラムを示す。
Rスペクトルのチャートを示す。
Claims (13)
- 【請求項1】[A-1](a)重合性不飽和カルボン酸シリルエ
ステルから誘導される成分単位と、 (b)上記(a)成分単位以外の他の重合性不飽和単量体単位
とから構成されるシリルエステル共重合体ブロック単位
と、[A-2]下記式(1)または(2)で表されるメルカプト化
合物 【化1】 (上記式中、R1は、1価以上の炭素数1〜30の炭化
水素基またはエーテル結合含有炭化水素基を示し、R2
は炭素数1〜30の二価炭化水素基または−CH
(R3)−で表される基を示し、R3はR4−O−R5で表
される基を示し、R4は炭素数1〜30の二価炭化水素
基を示し、R5は炭素数1〜30の一価の炭化水素基を
示す。 【化2】 nは1〜5の整数を示し、mは1〜100の整数を示
し、lは1〜5の整数を示し、kは0〜100の整数を
示し、aは0または1の整数を示し、jは1〜50の整
数を示し、iはR1の価数を示す。)から誘導されるブ
ロック単位とからなる(ポリ)オキシアルキレンブロッ
クシリルエステル共重合体を含有することを特徴とする
防汚塗料組成物。 - 【請求項2】重合性不飽和カルボン酸シリルエステルか
ら誘導される成分単位(a)として、下記式(I)で表される
シリル(メタ)アクリレートから誘導される成分単位(a-
1)を含有することを特徴とする請求項1に記載の防汚塗
料組成物; −CH2−CR(COOSiRaRbRc)− …(I) (式(I)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、
Ra、Rb、Rcは、互いに同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロ
アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ト
リメチルシリルオキシ基を示す。) - 【請求項3】上記式(I)中のRa、Rb、Rcの少なくとも
1つが、分岐アルキル基またはシクロアルキル基である
ことを特徴とする請求項2に記載の防汚塗料組成物。 - 【請求項4】重合性不飽和カルボン酸シリルエステルか
ら誘導される成分単位(a)が、 下記式(II)で表されるシリル(メタ)アクリレート成分
単位(a-2)と: −CH2−CR(COOSiR11R12R13)− …(II) (式(II)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、R
11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10の
直鎖アルキル基または置換されていてもよいフェニル基
またはトリメチルシリルオキシ基を示し、R13は、環構
造または分岐を有していてもよい炭素数が1〜18のア
ルキル基、炭素数が6〜10の置換されていてもよいフ
ェニル基、またはトリメチルシリルオキシ基を示す。) 下記式(III)で表されるシリル(メタ)アクリレート成
分単位(a-3)と: −CH2−CR(COOSiR14R15R16)− …(III) (式(III)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、
R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数が3〜10
の分岐またはシクロアルキル基を示し、 R16は、炭素数が1〜10の直鎖アルキル基、炭素数が
3〜10の分岐またはシクロアルキル基、または炭素数
が6〜10の置換されていてもよいフェニル基またはト
リメチルシリルオキシ基を示す。)から構成されること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防汚塗料
組成物。 - 【請求項5】前記(a)成分単位以外の他の重合性不飽和
単量体単位(b)が、 (b-1)極性基含有アクリル系不飽和単量体から誘導され
る成分単位からなることを特徴とする請求項1〜4のい
ずれかに記載の防汚塗料組成物。 - 【請求項6】前記極性基含有アクリル系不飽和単量体か
ら誘導される成分単位(b-1)が、ヒドロキシル基、ヒド
ロキシルアルキル基、アルコキシル基、ポリオキシアル
キレン基、アルキルポリオキシアルキレン基、アミノ
基、N置換アミノ基、アミド基、N置換アミド基、エポ
キシ基、オキソラン基、オキセタン基、オキシラン基、
テトラヒドロフルフリル基およびモルホリノ基からなる
群から選ばれる一種以上の極性基含有アクリル系不飽和
単量体から誘導される成分単位であることを特徴とする
請求項5に記載の防汚塗料組成物。 - 【請求項7】さらに防汚剤(B)を含有することを特徴
とする請求項1〜6のいずれかに記載の防汚塗料組成
物。 - 【請求項8】さらに、酸化亜鉛(C)を含有することを
特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防汚塗料組
成物。 - 【請求項9】さらに、無機脱水剤(D)を含有すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の防汚塗料
組成物。 - 【請求項10】さらに、溶出促進成分(E)を含有する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の防汚
塗料組成物。 - 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の防汚
塗料組成物から形成されてなることを特徴とする防汚塗
膜。 - 【請求項12】請求項1〜10のいずれかに記載の防汚
塗料組成物から形成された防汚塗膜で表面を被覆された
船舶、水中構造物または漁具・漁網。 - 【請求項13】船舶、水中構造物または漁具・漁網の基
材表面に、請求項1〜10のいずれかに記載の防汚塗料
組成物を塗布し乾燥させて、得られた塗膜で、上記基材
表面を被覆する船舶、水中構造物または漁具・漁網の防
汚方法。
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