■観葉植物選びも風水の観点から
そもそも風水とはどのようなものだろうか。
「風水は、長い時間をかけて自然と人の関係などを観察しその統計をもとにした、いわば地形・環境学です。凶を避けることに重きを置くのが基本で、結果として運気のアップにつながります。風水は複雑ですので、今回はポイントを絞って部屋作りと観葉植物の関係をご紹介します」(福島さん)
風水の観点では、どのような観葉植物を選ぶとよいのだろう?
「風水ではとがっているものを『殺(さつ)』と呼び、嫌う傾向があります。そのため、サボテンなど葉が鋭くとがっているものは好ましくありません。葉は大きめで優しく見えるものがよいですし、土を必要としない観葉植物のほうが扱いやすいといえます。具体的にはエアプランツ、あるいは水耕栽培も可能なミリオンバンブーがおすすめです」(福島さん)
ミリオンバンブーを選ぶ場合、1本ではなく3本を育てるのがよいとのこと。
■壁の角は大きめの観葉植物で隠す
もちろん置き場所にもコツがある。
「部屋の柱などの角はとがっているので、風水では『殺』と考えられます。観葉植物で運気をアップするためのわかりやすいコツは、部屋のなかの角がソファーやベッドに向いている場合、角に大きめの観葉植物を置いて隠すことです」(福島さん)
大きな観葉植物には気をつけたい点もあるとか。
「窓からの光を遮るほどの大きな観葉植物はよくありません。ただし、玄関を開けて、すぐに窓が見える間取りは『漏財宅(ろうざいたく)』といって金銭面に問題が生じる可能性があります。その窓を隠すために観葉植物を置いてもよいでしょう」
方位についても知っておきたい。
「風水では、木・火・土・金・水という五つの性質「五行」に分類して考えます。そして、観葉植物は五行の「木」に該当し、「金」が悪さをする場所に置くことがよいとされています。いろいろな状況が考えられるので、一概にはいえないのですが、たとえば今年(2024年)は、家の中心からみて北東と南に玄関がある家は注意が必要です。この方位に玄関がある家ではその玄関に観葉植物を置くのもよいでしょう」(福島さん)
風水の考え方では、年によって適切な方位の考え方が変わる。ずっと同じ場所というわけにはいかないということのようだ。
■恋愛運をアップする置き位置は生まれた年で違う
ひと口に運気といっても、仕事運、恋愛運、金銭運などいろいろな要素がある。上げたい運気ごとの注意点はあるだろうか。
「仕事運や金銭運に関しては、その方位にどんな気が存在するのかを考慮しなくてはいけないので、一概には説明が難しいですが、恋愛運は『桃花』という方位をキーワードとして考えることができます。この考えでは、部屋の中心から見て桃花方位に生花を飾ります。観葉植物であれば花が咲く植物がよいでしょう」(福島さん)
その方位は自分の生まれた年を基本に考えるそうだ。
「申・子・辰年生まれの方は西、寅・午・戌年生まれの方は東、巳・酉・丑年生まれは南、亥・卯・未年生まれは北です。注意点としては桃花方位に観葉植物をずっと置いておくものではなく、効果が現れたらすぐに別の場所に移動します。ずっと置いたままだと『殺』になります」(福島さん)
ちなみに枯れてしまった観葉植物は、風水ではどのように考えるのだろうか。
「元気がなくなった、枯れてしまったものは『殺』となり、凶作用を引き起こすと考えられています」(福島さん)
「殺」となる前に速やかに片付けるとよいだろう。
日当たりなどの問題から、風水の観点で適した場所がその観葉植物の生育環境として最適であるとは限らないこともある。置きたい場所に適しているか、種類選びからこだわりたいものだ。新年度をよい年にするためにも、今回伺ったお話を参考に、自宅に観葉植物を飾ってみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:福島 昌彦
株式会社福島建築事務所・代表取締役社長。一級建築士であり、伝統的中国風水、四柱推命、易も扱う。建築士としての業務と並行して、風水のコンサルティングも精力的に行い、風水フォーラムにも参加している。
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