・NISA口座開設件数 16万件→27万件 1.7倍
・NISA口座数 1124件→1476件 1.3倍
・成長投資枠での買付額 1578億円→7466億円 4.7倍
・つみたて投資枠での買付額 949億円→2776億円 2.9倍
※成長投資枠は2023年は一般NISA、つみたて投資枠は2023年のつみたてNISAとの比較
※日本証券業界 NISA口座の開設・利用状況 (証券会社10社・2024年4月末時点)(PDF)
しかし、一方で投資詐欺についての報道を目にする機会も増えた。これは、盛り上がりを見せているが故の弊害と言えるのかもしれない。教えて!gooのQ&Aでも投資詐欺で検索すると非常に多くの投稿が見つかる。そこで今回は投資詐欺の手口や対策を、法律家の観点で紹介するべく、富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に話を聞いてきた。
■投資詐欺の手口
まずは投資詐欺の手口について伺った。
「投資詐欺とは、未公開株、社債、仮想通貨、新技術の権利などへの投資を働きかけ、金銭を騙し取る詐欺です。その手口は多様化・巧妙化しつつありますが、典型例としては、『劇場型』、『SNS利用型』、『ロマンス型』、『FX詐欺』などがあります」(井上義之弁護士)
「劇場型は、詐欺業者が別々の役回りを演じ、『複数の会社が注目しているなら有望な投資先だ』などと消費者を誤信させる手口です。SNS利用型は、有名人の名を騙るなどしてSNSを通じ非対面で投資話をもちかける手口です。ロマンス型は、恋愛感情や親近感を抱かせてから投資話を持ち掛ける手口です。これらの型が複合しているケースもあります」(井上義之弁護士)
手口は益々巧妙化しているようだ。
■投資詐欺に遭わないためのポイント
次に投資詐欺に遭わないためのポイントを聞いてみた。
「まず、投資話を持ち掛けてきた相手が金融庁の免許・許可・登録等を受けている業者かどうかを金融庁HPの該当ページで確認すべきです。こちらに掲載されていない場合、より慎重な対応が必要になります」(井上義之弁護士)
「また、投資はリスクを伴うのが当然ですので、『必ず儲かる』や『元本保証』といった言葉で勧誘を受けた場合は投資詐欺を疑った方が良いです。さらに、投資話について『一人で決めない』ことが非常に重要だと思います。少なくとも、家族や友人に相談し冷静な意見を聞くべきです。ちなみに、『今日が締め切り』『今契約すれば手数料半額』などと、相談する時間もないほど契約を急がせるような業者は詐欺の可能性が高いです」(井上義之弁護士)
これらの幾つかのフィルタを通すだけで、投資詐欺を見抜くことができると考えれば、非常に有益な情報だろう。
■投資詐欺の被害に遭ったときの対応策
最後に投資詐欺に遭った場合の対応策を聞いてみた。
「銀行振込でお金を支払った場合、『振り込め詐欺救済法』に基づいて振込先口座を凍結し口座内のお金の分配を受けることができる可能性がありますので、警察に連絡した上、振込先金融機関に口座凍結を依頼すべきです」(井上義之弁護士)
「口座凍結以外の被害回復手段としては、金銭請求事件一般と同様に、示談交渉、財産の仮差押え、訴訟、強制執行といった手段が考えられます。もっとも、投資詐欺事件では、加害者と連絡が取れない、加害者に十分な財産がない等の事情で、法的手段を尽くしても被害回復ができないケースも多いので、そもそも投資詐欺に遭わないように、くれぐれも注意すべきです」(井上義之弁護士)
筆者は投資をしているが、投資について、自ら誰かと話しをしたことはない。ところが数ヶ月前に幼馴染から投資を始めるべきかどうか悩んでいるという話をされた。先日は親からも似たような話をされた。投資が非常に身近になってきているのを感じている。ただ投資で資産を増やす前に、詐欺で減らさないようにすることも投資する上での重要なリテラシーであることを忘れないようにしたい。
専門家プロフィール:弁護士 井上義之 事務所HP ブログ
依頼者の置かれている状況は様々です。詳しい事情・希望を伺った上で、個別具体的事情に応じたきめ細やかなサービスを提供することをモットーに業務遂行しております。
記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
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