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試合観戦契約約款
第1章 総則
第1条 (目的)
本約款は、一般社団法人日本野球機構(以下、「当機構」という)及び当機構から試合に関する興行の許諾を受けた者(以下、当機構とあわせて「主催者」という。)の主催する試合の観客の観戦に関する事項を定め、もって、円滑な試合進行と観客の安全かつ平穏な試合観戦を確保することを目的とする。
本約款において、以下の用語の意義は、特に文脈上他の意義を有することが明らかな場合を除いて、それぞれ各号に定めるところによる。
(1) 「球場」とは、試合の行われる球場をいい、「球場管理者」とは当該球場を管理運営する主体をいう。
(2) 「試合」とは、プロフェッショナル野球の年度連盟選手権試合、非公式試合、出場選手以外の支配下選手による試合、その他の試合をいう。
(3) 「試合観戦契約」とは、入場券の券面記載の日時及び場所における球場への入場並びに入場券により指定された座席又は場所における試合観戦に関わる契約をいう。
(4) 「入場券」とは、主催者又は主催者からの委託を受けた者が発行した球場への入場及び試合観戦のための証票をいう。
(5) 「正規入場券」とは、入場券のうち、試合観戦を希望する者が、主催者又は主催者の指定する者から取得したもの又は第4条の定めに違反することなく第三者から取得したものをいい、それら以外の態様で取得された入場券、副券が切り離された入場券、入鋏済みの入場券、その他主催者が別途定める入場券を含まない。
(6) 「主催者の職員等」とは、主催者の役員及び正社員のほか、契約社員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員その他主催者の指揮監督に服する者及び請負契約、委託契約その他の契約に基づき主催者のために役務を提供する警備員、球場管理者の関係者その他の者をいう。
(7) 「本プロ野球約款」とは、本約款、当機構以外の一般社団法人日本野球機構に属する球団及び一般社団法人日本野球機構が定めた試合観戦に関する約款をいい、文脈上明らかに特別応援許可規程を除外している場合を除き、下部規程である特別応援許可規程等を当然に含む。
第2章 観戦契約
第2条 (契約の成立)
試合観戦契約は、試合観戦を希望する者が、正規入場券を取得したとき、本約款に基づき成立する。
正規入場券を有する者は、正規入場券の定めに従い、本約款及び主催者が予め告知した条件に基づき、球場に入場し、指定された座席又は場所において試合を観戦することができる。
観客は、球場への入場に際し、主催者所定の方法により、正規入場券を提示したうえで改札を受けるものとし、また、入場後においても球場を退出するまでの間、正規入場券の半券を保持し、主催者の職員等の求めがある場合、これを提示しなければならない。
入場券及び入場に関する細目については、第7条の規定によるほか、別途、主催者において定めるものとする。
第3条 (販売拒否事由)
主催者は、以下の各号の一に該当する者に対し入場券の販売をしない。また、その者が当該事由にかかわらず、自ら又は第三者を通じ入場券を取得した場合、主催者はその者に対し、第6条に基づき入場を拒否することができる。
(1) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年5月15日 法律第77号)第2条の暴力団又はこれに類する反社会的団体(以下、「暴力団等」という)に所属する者(以下、「暴力団員等」という)
(2) 暴力団員等でなくなった時から5年を経過しない者
(3) 暴力団等又は暴力団員等と組織上又は業務上の関係を有し又は当該関係を有する団体に所属する者
(4) 暴力団等又は暴力団員等に対し、資金その他の便益を提供し又は社会的に相当と認められない密接な関係を有する者
(5) 第4条に違反する行為を目的として入場券を取得する者
(6) 試合(主催者の主催しないものも含む)において、第4条に違反する行為、球場もしくはその管理区域内での行為又は組織的な応援に関する活動に関連して罰金以上の刑の言渡を受け、当該裁判の確定の日から5年を経過しない者
(7) 自ら又は第三者を通じ、主催者が別途定める一人あたりの取得制限枚数を超えて入場券を取得する者(団体の場合は当該団体に所属する者すべてを対象とする)
(8) 第11条により販売拒否対象者として指定された者
(9) その他入場券の販売をしないこととする相当の理由があると主催者が判断した者
第4条 (転売等の禁止)
何人も第三者に対し、主催者の許可を得ることなく、入場券を転売(インターネットオークションを通じての転売を含む)その他の方法で取得させてはならない。但し、家族、友人、取引先、その他これらに類する特定の関係に基づき、営利を目的とせず、かつ、業として行われない場合については、この限りでない。
第5条 (持込禁止物)
何人も、主催者に許可された場合を除き、球場に以下の物を持ち込んではならない。
(1) 銃砲刀剣類、花火、爆竹、劇薬物、その他の危険物
(2) 著しい悪臭を放ち、観戦を妨げる音量を発し、又は、その他の態様で他の観客の観戦を妨げる虞のある物
(3) ビン、缶類、アイスボックス及びこれらに類する物
(4) ペットその他の動物(但し、盲導犬、聴導犬等を除く)
(5) 過度な座席確保を目的とする物
(6) その他主催者又は球場管理者が別途指定する物
前項の実効性を確保するため、主催者は、入場時に観客の鞄、袋その他の開披及び内容の提示を求め、手荷物検査を行うことができる。
第6条 (入場拒否)
主催者は、以下の各号の一に該当する者の球場への入場を拒否することができる。
(1) 正規入場券を所持せず又はその提示をしない者
(2) 第3条の販売拒否事由に該当する者
(3) 第5条1項の持込禁止物の持込をしようとし又は同条2項の手荷物検査に応じない者
(4) 第8条の禁止行為に違反し又はその虞のある者
(5) 著しく酒気を帯びている者
(6) 試合の円滑な進行を妨害し又はその虞のある者
(7) 他の観客の観戦に著しい支障を生じる行為を行ない又はその虞のある者
(8) その他入場を拒否することが相当と主催者が判断した者
第3章 観戦
第7条 (入場及び退場)
観客は、主催者が定めた時刻から球場に入場することができ、試合が終了したときは、主催者の職員等の指示に従い、速やかに球場から退場しなければならない。
何人も、試合観戦において、次条及び第9条に定めるほか、主催者が適宜定める注意事項を遵守し、また、主催者の職員等による指示を遵守しなければならない。
第8条 (禁止行為)
何人も、以下の行為を行ってはならない。
(1) 正規入場券により指定された座席以外の座席を占拠し、又は、通路、階段、出入り口等でたむろしもしくは観戦する行為
(2) 自らの試合観戦に不要な自由席や立ち見エリア等を確保する行為
(3) フラッシュ、光線、その他これらに類するものを使用した試合妨害の虞のある行為
(4) 球場の施設及び物品の毀損行為
(5) 物品販売、宣伝広告、アンケート又はチラシの配布その他これらに類する行為
(6) 他の観客及び監督、コーチ、選手、主催者及びその職員等、販売店その他の球場関係者への威嚇、作為又は不作為の強要、暴力、誹謗中傷その他の迷惑を及ぼす行為
(7) 座席の確保、応援、観戦その他に関し他の観客に対し金品その他の利益を求める行為
(8) グラウンドへの乱入、客席、コンコース、グラウンド等への物品の投げ入れ、フェンス、ダグアウト、柵、手すり、ネット等へのよじ登り又はぶら下がり行為、グラウンド内に身を乗り出す行為、その他自己又は他人の生命、身体、財産に危険を及ぼす虞のある行為
(9) グラウンド、バックスクリーンその他の立入禁止場所への立入行為
(10) 宴会、パーティ、賭博、麻雀、その他試合観戦にふさわしくない行為
(11) みだりに球場外で気勢を上げ騒音を出す行為
(12) 球場管理者の定める球場管理に関する規則又は球場での掲示その他の方法で告知された注意事項に違反する行為
(13) 試合の円滑な進行又は他の観客の観戦を妨げ又は妨げる虞のある行為
(14) 入場券を犯罪の用に供する行為
(15) ボール等の追いかけ、その他理由の如何を問わず、他の観客に損害を及ぼしうる行為
(16) 主催者の職員等の指示に反する行為
(17) 本項各号に定める行為を共同で行い、又は教唆、ほう助する行為
前項の規定に違反した者(団体の場合はその構成員全員。本項において以下同じ)又は主催者の職員等がこれに準じた相当の理由があると判断した者は、身分証明書の提示、顔写真の提示その他主催者の職員等の指示する事項に従わなければならない。
第9条 (応援行為)
何人も、主催者の許可を得ることなく、試合観戦に際し、以下の各号の応援行為をしてはならない。
(1) トランペット、太鼓、カネ、笛その他の楽器又はこれに類する物を使用した応援
(2) 応援旗、横断幕等の他の観客の観戦に支障を及ぼす虞のある物を使用した応援
(3) 観客を組織化し又は観客の応援を統率して行われる集団による応援
(4) その他当機構が別途指定した方法による応援
何人も、試合の応援において、主催者が適宜定める注意事項を遵守し、また、主催者の職員等による指示に従わなければならない。
本条1項の許可の基準及び手続は、別途、当機構において定める。
第4章 違反に対する措置
第10条 (退場措置)
主催者は、以下の各号の一に該当する観客につき、試合中その他如何なる場合でも、球場から退場させる。但し、当該観客が、速やかに退場事由を解消し、かつ、他の観客に対する迷惑の程度が軽微と認められる場合、主催者は退場を猶予することがある。
(1) 第3条の販売拒否事由に該当する者である場合
(2) 第5条1項の持込禁止物を球場内に持ち込んだ場合
(3) 第6条の入場拒否事由に該当する者である場合
(4) 第8条の禁止行為に違反した場合
(5) 第9条に基づく許可を得た者又は団体が、その許可の範囲を逸脱し又は許可に付された条件に反する行為を行った場合
(6) 主催者の職員等による指示を遵守しない場合
(7) その他前各号に準じる退場事由があると主催者が判断した場合
主催者が退場を相当と認める場合において、主催者の職員等の退場要求にもかかわらず観客が退場をしない場合、主催者は、警察へ通報し又は相当と認められる限度で退場を促すための措置を講じることができる。
第11条 (販売拒否対象者の指定)
第5条1項各号の持込禁止物を持ち込んだ者、第8条1項各号の禁止行為に違反した者、第9条1項各号及び2項の禁止された応援行為を行った者、その他本プロ野球約款に違反した者、本プロ野球約款に関する手続で虚偽又は誤解を招く申述をした者(これらの行為をした者が団体である場合にはその構成員)で、主催者が当該行為を悪質であると判断するとき、主催者は、当該違反者(違反者が団体の場合にはその構成員)を第3条の販売拒否対象者として指定する。
前項の場合において、当該違反者が応援を行う団体に所属する場合、主催者は、事情により、当該団体の構成員及び当該団体と同一の連合組織に属する他の団体の構成員及び当該違反のときに構成員であった者につき、第3条の販売拒否対象者として指定する。
第3条1号乃至7号及び9号に該当する者が応援を行う団体に所属する場合、主催者は、事情により、当該団体の構成員、当該団体と同一の連合組織に属する他の団体の構成員並びに当該該当者と同時期に同一の団体又は連合組織に所属したことがある者につき、第3条の販売拒否対象者として指定する。
第5条1項各号、第8条1項各号、第9条1項各号及び2項に違反する行為を集団的かつ継続的に行った者で、主催者が当該行為を悪質であると判断するとき、主催者は、当該違反者及びその集団に属する者を第3条の販売拒否対象者として指定する。
本プロ野球約款に複数回以上違反した者で、執行猶予付き有罪判決以上の刑の言い渡しを受け、当該裁判の確定の日から5年を経過しない者につき、主催者は第3条の販売拒否対象者として指定することができる。
何人も、主催者の前5項の判断に何ら異議を出すことはできない。
本条1項乃至5項の指定を受けた者は、身分証明書の提示、顔写真の提示その他主催者の職員等の指示する事項に従わなければならない。
主催者は、本条1項乃至5項の指定を受けた者が、その行為を反省し、今後当該違反行為の虞がないと認めた場合、プロ野球暴力団等排除対策協議会における協議を経たうえで、当該指定を解除することがある。
主催者は、前項の指定解除に関する判断のために必要と認めるときは、特定の試合又は特定の期間の試合につき経過観察の期間を設け、当該期間内の観戦又は応援の態度が良好であったことを条件とすることができる。
第5章 入場料の払戻等
第12条 (入場料の払戻)
第6条に基づく入場拒否又は第10条に基づく退場措置の場合は、入場料の払戻はしない。
前項に定めるほか、入場料の払戻の条件及びその詳細は、別途、主催者において定める。但し、払戻事由の如何を問わず、正規入場券以外の入場券の払戻はしない。
第13条 (責任の制限)
主催者及び球場管理者は、観客が被った以下の損害の賠償について責任を負わないものとする。但し、主催者若しくは主催者の職員等又は球場管理者の責めに帰すべき事由による場合はこの限りでない。
(1) ホームラン・ボール、ファール・ボール、その他試合、ファンサービス行為又は練習行為に起因する損害
(2) 暴動、騒乱等の他の観客の行為に起因する損害
(3) 球場施設に起因する損害
(4) 本約款その他主催者の定める規則又は主催者の職員等の指示に反した観客の行為に起因する損害
(5) 第6条の入場拒否又は第10条の退場措置に起因する損害
(6) 前各号に定めるほか、試合観戦に際して、球場及びその管理区域内で発生した損害
前項但書の場合において、主催者又は球場管理者が負担する損害賠償の範囲は、治療費等の直接損害に限定されるものとし、逸失利益その他の間接損害及び特別損害は含まれないものとする。但し、主催者若しくは主催者の職員等又は球場管理者の故意行為又は重過失行為に起因する損害についてはこの限りでない。
観客は、練習中のボール、ホームラン・ボール、ファール・ボール、ファンサービスのために投げ入れられたボール等の行方を常に注視し、自らが損害を被ることのないよう十分注意を払わなければならない。
第6章 その他
第14条 (詳細の定め)
試合観戦に関するその他の詳細については、別途主催者において定めるものとする。
第15条 (管轄)
試合観戦契約に関する観客と主催者との間の紛争については、訴額により、主催者の本店所在地の地方裁判所又は簡易裁判所をもって、第1審の専属的管轄権を有する裁判所とする。
第7章 附則
第16条 (効力)
本約款は、平成22年2月4日に効力を発するものとする。
本約款は、年度連盟選手権試合開催期間中といえども、主催者において改訂することができ、改訂された約款は、当該改訂の施行日以降に開催される試合に関する試合観戦契約に適用される。
第17条 (本約款発効前の行為)
本約款の発効日以前の行為が、本約款が適用されたとすれば、第11条1項、2項又は3項の規定に該当する場合、主催者は、同条1項又は2項に基づき、その者を第3条の販売拒否対象者として指定することができる。